ぽこぽこアートメモ - 2007
- [寸劇]オオタスセリ ライブ2007
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50人も入れば一杯という小さな(贅沢な)空間で、しかも至近距離にて、デカい女をたっぷり味わう。前半はコント。これは現代版の落語だと思った。前から聞いてみたかった「応援演説」が生で体感できて最高。後半はギターと歌。歌といってもきっちりコントになっていて、最後はヨッパライの歌で盛り上がって大爆笑のうちに終演。
出演:オオタスセリ
2007-12-08 茶房 犀せいにて
- [美術]2007イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
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今年も想像力をかきたてられる作品ばかり。といっても、独創的な作品を創り出すのは至難の業だな、とつくづく思う。今年もっとも印象に残ったのは、のびやかな陽気さを持つ木村晴美さんの作品だった。
2007-12-02 石川県七尾美術館にて
- [演劇]おれたちは天使じゃない
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演出はちょっと昔風かなあと思うけど、踊りの巧さに、身も心もステップを踏みたくなるような舞台。
出演:イッツフォーリーズ
2007-11-29 高岡文化ホールにて
- [音楽]ホセ・カレーラス ベル・エポック
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大海原のはるかかなたまで、深海の底にまで行き渡るような、歌。人という楽器の無限のひろがり。
2007-11-03 石川県立音楽堂にて
- [演劇]ミザリー
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精神異常者による恐怖の物語を、とてつもない迫力と笑いでもって、質の高い舞台に作り上げてしまった渡辺えりさんに拍手喝采。
出演:渡辺えり 小日向文世
2007-10-23 南砺市井波総合文化センターにて
- [演劇]明石原人
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みんな上手だが、中でも日色ともゑさんが一人際立っている。妙に耳に馴染んだ声は、「大草原の小さな家」の母さんの声だった。しかし、2時間半はちょっと長過ぎる。もうちょっと詰めようがあると思った。
出演:劇団民藝
2007-10-11 高岡文化ホールにて
- [演劇]無名塾「ドン・キホーテ」
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能登演劇堂は初めて。舞台の後ろ扉が開くと、そこはもう外という構造が素敵だし(沖縄のブセナテラスを思い出した)、全体の雰囲気もいい。ハードもソフトもレベルが高い。劇は、舞台美術もよかったし、演出が様々に凝らしてあって面白かった。
2007-09-28 能登演劇堂にて
- [音楽]上原彩子ピアノリサイタル
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地に足の着いた、確固とした感じがする。芯の通ったピアノが素晴らしい。彼女はきっと何時間でも弾き続けられるに違いない。演奏することが何よりも楽しいんだろうなと感じ、その喜びを分けてもらうことができてほんとうに幸せだった。
2007-09-19 入善コスモホールにて
- [狂言]野村万作 薪狂言の会
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夜7時開演というのに昼間の暑さがまだ抜けきらない。それでも、会場の周りが浅い人工池になっているので、ときおり水面から吹いてくる風が心地よい。最初の解説は珍しく萬斎さんがされた。紋付を忘れたのでと涼やかな白いスーツ姿。この人は狂言師になるために生まれてきたような人だなあとつくづく思う。「武悪」は、前半はシリアスな展開だが、後半になると、幽霊のふりをする万作さんと万之介さんのやりとり、二人の間で右往左往する太郎冠者がいかにも滑稽。後半の「釣針」は最初から笑いの要素に満ち満ちていて、暑さを忘れて舞台に引き込まれた。
2007-08-11 黒部市国際文化センターコラーレにて
- [演劇]銃口
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戦中戦後の北海道の一青年教師を描いた物語。若干、固い感じはあったものの、会場中が引き込まれているているのがよく分かった。「先生の仕事というのは、人と人の心を結ぶ仕事」という一言にすべてが集約されているように思う。
出演:青年劇場
2007-07-29 高岡文化ホールにて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢第225回定期公演
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前半はモーツァルトの29歳(ということは晩年)の作。さんさんと陽の当たる表通りをスキップしながら進んで行くような華々しさはない。裏通りに踏み込みんだような感じがする。安永さんのヴァイオリンはやさしく上品な響き。耳にうっとりと心地よい。
出演:安永徹(リーダー&ヴァイオリン) 市野あゆみ(ピアノ)
2007-07-21 石川県立音楽堂にて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢第222回定期公演
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一昨年の暮れ以来の庄司さんは、ぐんと大人っぽくなったよう。小柄な身体で、大きなホールをすっぽり支配してしまった。その宇宙に包み込まれる心地よさといったら。序盤は、感情を極力表に出さず淡々と演奏しているように見えるが、クライマックスになると、自然に動きも大きくなり、内に秘めた激情が垣間見えるよう。アンコールのバッハ無伴奏ヴァイオリンのパルティータが心に染みた。無伴奏チェロ組曲ブーレの変奏曲かなと思えるような曲だ。
出演:ディヴィット・スターン(指揮) 庄司紗矢香(ヴァイオリン)
2007-05-22 石川県立音楽堂にて
- [文楽]人形浄瑠璃 文楽
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昨年の夏にミニ文楽は観たけれど、本格的な文楽を観るのは生まれて初めて。外国人のお客さんの比率が高い。まずは、文楽についての解説があって、いよいよ「曾根崎心中」が始まる。黒子さんがぞろぞろと出てきて、慣れないので、ちょっと異様な感じがする。2階での鑑賞だったが、文楽は2階から観るものではないということがよく分かった。1階の目線に合わせて舞台の全てが作られているので、2階から観ると人形が空に浮いて見えてしまってどうにも変で、また、1階では見えないだろう黒子さん達の動きもすべて目に入ってしまう。日本文化の粋が詰まった文楽をきちんと鑑賞するために、できれば1階で観たかった。主催側は2階席に客を入れるべきではないと思う。いつか国立文楽劇場で観てみたいものだ。
出演:文楽協会
2007-03-17 石川県立音楽堂邦楽ホールにて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢第218回定期公演
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バッハ「ヨハネ受難曲」。そういえば、4年前にミッシェル・コルボ指揮でも聞いたなあ、あのときも、字幕に映し出される科白の残虐さに辟易したし、どうにもこうにもぐったりだったなあ、と思い出す。休憩なしの2時間は修行のようになかなかつらい。
出演:ペーター・シュライヤー(指揮) OEK合唱団(合唱)
2007-03-17 石川県立音楽堂にて
- [美術]奈良美智展 - 月夜曲
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映画を観てからの鑑賞だったため、映像の中で観ていた世界がぐんぐんせまってきて楽しかった。奈良さんの新しい世界 - 小屋の内部に入り込んで、映画の世界を反芻する。女の子の瞳の中に、果てしない宇宙が広がっている。覗き込んでいると吸い込まれそうになる。
2007-03-11 金沢21世紀美術館にて
- [落語]はひふへほっと寄席 その十六
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前半のお目当ては紫文さん。しょっぱなに越中富山の薬売りのネタ。独特の語り口調がくすくす可笑しい。トリの小三治さんは、いつも通りの静かな出だし。前半は「遺憾です」という言葉が実にイカンといった話をたんたんとされ、後半の「青菜」で観客を一気に爆笑のウズに巻き込んでしまう。会場を思うままに操ることができるって、ほんとうに快感なんだろうなあ。アゴがはずれたまま会場を後にする。
出演:柳家小三治 柳家喬太郎 アサダ二世 柳家紫文 柳家三之助 入船亭遊一
2007-03-09 石川県立音楽堂邦楽ホールにて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢第217回定期公演
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ヴァイオリンとビオラの二重唱が、オペラのそれのように何とも気持ちいい~。天にも昇る心持ち。それをまた、運良くも、久しぶりの一階前方の席にて鑑賞。ロボットの様な動きがユニークな指揮をされるツェトマイヤーさんは、ヴァイオリンを手にすると一変し、情緒豊かな音楽を紡ぎ出される。
出演:トーマス・ツェトマイアー(指揮&ヴァイオリン) ルート・キリアス(ヴィオラ)
2007-03-04 石川県立音楽堂にて
- [落語]朝日上方落語 桂米朝一門会
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米朝さんは体調によっては出演されないこともありますとの但し書きつきの落語会だったが、ちゃんと舞台に表れ高座に座られた。もう好々爺といった風情。仏様を拝むような心持ちで聴く落語。今回は初めて聴く噺家さんばかりだったけど、それぞれに米朝さんの品を受け継いでいて、まとまりのある落語で笑わせてもらった。
出演:桂米朝 桂ざこば 桂南光 桂小米 桂雀松 桂よね吉
2007-03-03 石川県立音楽堂邦楽ホールにて
- [音楽]井上道義音楽監督就任記念 OEK 雅楽・声明との出会い
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立ち見がでるざわついた雰囲気の幕開け。岩城氏が作り上げてきた、アンサンブル金沢と観客を、これからどんな風にその指揮棒で導いていってくれるのか。ちょっぴり不安の残る船出ではあるが…。
出演:井上道義(指揮) 東京楽所(雅楽) 比叡山延暦寺法儀音律研究部・天台聲明音律研究会(声明)
2007-02-25 石川県立音楽堂にて
- [音楽]OEK マイケル・ダウスの弾き語り イタリアとアルゼンチン、二つの四季
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数年前にブームとなったピアソラ。若干優しすぎる響きの、クラシックに近いピアソラで、ちょっぴり物足りない。いつも通り、会場はかなりの入りで、OEKはいい観客に支えられている。
出演:マイケル・ダウス(ヴァイオリン)
2007-02-09 石川県立音楽堂にて
- [音楽]フィンランド放送交響楽団
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40代のサカリ・オラモさんは、若々しく、大柄な身体でダイナミックな指揮をされる。それが時には歌舞伎の見得のようなコミカルなポーズに見えたりして、楽しい。大国に挟まれて過酷な歴史を経てきたフィンランドだけど、オーケストラからはそんな小国という印象はみじんも感じられず、文化の奥深さが響きに表れている。マイスキーさんは、三宅イッセイさんの衣装がほとんど身体の一部のよう。アンコールはバッハの無伴奏組曲の中のブーレ。以前、ヴァイオリンを習っていたときに最後の発表会で弾いたので、この曲を聴くと、自然に左手が弦を押さえ、右手は弓を弾きだしてしまう。マイスキーさんの演奏は、バッハの精密さからはかけはなれ、ヨーロッパのどこかの地方の民謡を聴いているような気がした。
出演:サカリ・オラモ(指揮) ミッシャ・マイスキー(チェロ)
22007-02-07 石川県立音楽堂にて
- [演劇]紙屋町さくらホテル
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井上ひさしさんの演劇の通例である3時間を超える長丁場だったが、それをちっとも感じなかった。物語の中心である紙屋町さくらホテルが原爆ドームの中にあるという舞台美術が素晴らしい。新劇の芽生えを、たった一発の原爆が一瞬にして摘み取ってしまった。その悲惨な物語を様々なユーモアをちりばめながら描く。「父と暮らせば」よりもさらに完成度が高いと思った。
出演:こまつ座 辻 萬長 中川安奈 木場勝己 森奈みはる 久保酎吉 河野洋一郎 大原康裕 栗田桃子 前田涼子
2007-02-04 高岡文化ホールにて
- [音楽]ニューイヤー・コンサート2007 ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団
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今年も幕開けはフォルクスオーパー。楽団員の顔ぶれも大分覚えてきた。入りの悪い客席が気になる。前半は、正面の後ろで、後半は袖席で鑑賞。音は正面の方がいいけれど、袖から見おろすと、楽団員の目でのやりとりなどが見えて面白い。テノールは去年と同じ人で、ソプラノのメルバさんは、豊かな胸でいかにも包容力のありそうな感じ。2重唱を聴くと天上にいる心持ちになる。
出演:ユリウス・ルーデル(指揮) メルバ・ラモス(ソプラノ) ヘルベルト・リッパート(テノール)
2007-01-05 石川県立音楽堂にて