ぽこぽこアートメモ - 2005
- [ダンス]Noism05 NINA -物質化する生け贄
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人間の身体の可能性を思う存分に魅せてくれる。盆踊りでもそうだけど、ダンスの素晴らしいところは、男女の立場があくまでも対等で、それぞれなくてはならない役割を担っているところ。生きる物の本質があるのではないかと思う。
2005-12-04 オーバード・ホールにて
- [音楽]庄司紗矢香ヴァイオリンリサイタル
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樫本大進さんでおなじみのゴランさんが伴奏で、あの「おひけえなすって」とう挨拶はいつも通りだったけど、大進さんのときよりもさらに表情が恍惚として見えたのは気のせいか。庄司さんは、いかにも育ちのよい、恵まれた環境で愛情一杯に育った感じのお嬢さんながら、その技巧はすでに神業のようで、天は二物も三物も与えるのだなあ。
出演:庄司紗矢香(Vn) イタマール・ゴラン(Pf)
2005-11-30 入善コスモホールにて
- [音楽]マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団&五嶋みどり
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聴衆もオーケストラの楽団員も、とにかく会場中が、眼と耳はもちろん、とにかく感覚のすべてを、ただ一点 - 全身全霊をこめて弾き出され奏でられるみどりさんのバイオリンの音色 - に向けていた。誰も咳などすることもなく(そのぐらいみんな集中していたのだと思う。オーケストラのみの後半は咳する人が目立った)、音楽の神様が降りてきたかのような演奏に惹きつけられ、魅せられた。前半ですっかりぼうっとしてしまったが、バイエルンオーケストラは素晴らしく、後半のストラビンスキーがまたよかった。絵にしたら、すごくユニークな線と色の構成になるだろうと思う。そして何とマリス・ヤンソンスさんはウィーンフィル・ニューイヤーコンサート2006の指揮者なのだった。おそろしく幸せな夜だったのだ。
出演:五嶋みどり(Vn)
2005-11-25 オーバード・ホールにて
- [落語]桂雀三郎・小米朝ふたり会
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三人共にレベルが高くて、また会場の空気を読むのが実に巧みで、舌を巻いた。観客も市議選の日に落語を聴きに来るお客さんなので、それなり?の人達。前座は、どうみても中学生にしか見えない童顔の桂吉坊が、それをネタにした枕で笑わせた後に、「子ほめ」の主人公熊さんを酒呑みにアレンジした噺をする。お次の雀三郎さんは、これまた酒呑み噺の「らくだ」。だんだんと立場が逆転して行く様を、実にうまいこと演じている。そして、トリは小米朝の「地獄八景亡者之戯」。この噺は、演者によって様々なアレンジがされるみたいだが、他の人のは聴いたことないものの、小米朝の世相を実に上手く取り入れたアレンジが最高に面白くて爆笑。すでに背後にはオーラが漂っているのだった。
出演:桂 吉坊・桂 雀三郎・桂 小米朝
2005-11-20 福岡町総合町民センターUホールにて
- [音楽]チャカの歌うシネマパラダイス
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金沢コミュニティ映画祭のラストは、なんとチャカさんのライブ。いかいでか、と朝から晩まで映画を観た後、いそいそと会場のもっきりやさんにのりこんだ。ぺこさんもぜひ聴きたいとのことで、仕事を終えて車で駆けつけてきた。初体験のチャカさんのライブは、なんと一番前の2mもない至近距離で、たっぷり3時間以上もパワフルな歌声と関西そのもののトークを楽しみ、ほんにほんにハッピーな夜だった。
2005-11-18 もっきりやにて
- [音楽]チェコ・フィルハーモニー管弦楽団
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色気のあるデュトワさんの指揮が何とも楽しい、3F袖席からの鑑賞。
出演:シャルル・デュトワ(指揮)
2005-11-14 石川県立音楽堂にて
- [音楽]梯 剛之 ピアノリサイタル
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優しく心に響いてくる無色透明な音に耳を傾けているうちに、なんだかやたらと懐かしいような気持ちが胸に溢れてきてしょうがなかった。郷愁かな?
2005-10-22 石川県立音楽堂にて
- [写真]中村征夫写真展ー母なる海へ
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魚の顔は、実に変化に富んでいて、色とりどりで、ほんとに楽しい。本人はそうでないのかもしれないけれど、怒り顔とか偉そうな顔とかは、やっぱりそれだけで損しているなあ。アンコウの生真面目な表情が印象に残った。中村さんのコメントも含蓄にとんでいて面白い。
2005-10-14 ミュゼふくおかカメラ館にて
- [美術]2005イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
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今年も楽しい作品揃い。世界各地のアーティストによる多種多様な作品を眺めていると、人の想像力って無限の可能性があるなあと思う。自分の中に眠っていた想像力が、むくむくと芽を出しそうな気分になる。今年の一番の傑作は平岡素子さんの「チュー納言」。
2005-10-10 石川県七尾美術館にて
- [工芸]角偉三郎美術館
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存在自体がお洒落な角さんが生み出す漆器は、用の美の極み。美術館もまたそれにふさわしくお洒落だった。
2005-10-10 角偉三郎美術館にて
- [演劇]ドライビング・ミス・デイジー
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奈良岡朋子さんの第一声から会場中が引き込まれていた。ホークの純真な魂が、最初は頑なだったデイジーさんを優しく包み込んで次第に溶かしてゆく。圧倒的な存在感をはなつ2つのオーラが、時にはぶつかりあい、時には一緒に揺らめいて。
2005-09-16 高岡文化ホールにて
- [美術]横尾忠則が招待する イッセイミヤケパリコレクション 1977-1999
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これまでのパリコレクションの招待券が、パタンパタンと閉じたり開いたりする仕掛けになっていて、横には原画やデザイン画が展示してある。横尾さんのぶっ飛んだ色彩感覚と、イッセイさんの着る人の身体の線をどこどこまでも優雅にみせる、2つの類い希なるセンスの組みあわせによって生み出された作品に脱帽。
2005-09-06 富山県立近代美術館にて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢 高岡定期公演
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急病の岩城さんの代役で、うんと若い金聖響さんが指揮をとった。若さほとばしるフレッシュな演奏が気持ちいい。川久保さんは、以前に入善コスモホールで聴いて以来の2回目。山椒は小粒でぴりりと辛い。舞台上での存在感がちょっと弱いかなあと思う。演奏が終わった後の笑顔が素晴らしい。
出演:金 聖響(指揮) 川久保賜紀(Vn)
2005-09-05 高岡市民会館にて
- [狂言・能] 黒部夏の「能・狂言の会」
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10周年記念の今年は初めて能が演じられ、舞台も最初から屋内のホールと決まっていた。観客は女性が大半で年齢層も幅広く、男性は年配の方がちらほら見えるだけ。観客はどの人もこの人もお洒落で、それを眺めているだけでも楽しい。前半の狂言は「止動方角」という萬斎さんの太郎冠者が存分に楽しめる演目。後半の能は「殺生石」。同じ舞台で演じられる能と狂言だけど、ことごとく対極の世界にある。動と静。能は、とりつくしまがないというか、敷居が高く近寄りがたい感じをひしひしと漂わせているのに対して、狂言は落語みたいな親しみやすさがある。時間の流れも対照的だ。狂言では、舞台を1周してきたらもう目的地に着いているけど、能では、まだ出発もしていない。狂言は、せわしない現代に即した芸能なのかもしれない。
2005-08-05 黒部市国際文化センターコラーレにて
- [講談]四谷怪談
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講談も怪談も生で聴くのは初めて。ひどい理不尽が、やがて恨みとなり、幽霊になる。果たせなかった思いを幽霊にたくして悪い奴をやっつけてしまうという、実は月光仮面のような話なのだった。闇の中に青白く浮かび上がる貞水さんの顔がエイリアンみたいで面白い。
出演:一龍斎貞水 春風亭柏枝
2005-07-31 高岡市生涯学習センターホールにて
- [音楽]シュレスヴィヒ・ホルシュタイン祝祭管弦楽団
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まだ若いエリック・シューマンのバイオリン協奏曲が見事。後半のブラームスの交響曲はバターたっぷりのどっしりとした菓子のようで、いささか消化不良。
出演:クリストフ・エッシェンバッハ(指揮) エリック・シューマン(Vn)
2005-07-30 石川県立音楽堂にて
- [演劇]素劇「あゝ東京行進曲」
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日本初のレコード歌手佐藤千夜子の生涯を描いた物語。会場につくと、出演者達がホールや客席にいて、座席の案内をしたり、パンフレットを販売したりしている。18人の出演者は全員黒い服、舞台背景も黒、舞台上には黒い長方形の箱が21個。この箱、白い紐、そして出演者の身体、というシンプル極まりない舞台装置を変幻自在に組み合わせて、あらゆる形を作ってしまう。階段、台、縦型ピアノ、グランドピアノ、柱、椅子、テーブル、電車、自動車、船などなど。演出がまた、今まで体験したことのない奇想天外な面白さ。歌はもちろんだけど、伴奏もアカペラで「チャカチャンチャン」と歌う。休憩なしの長丁場をほとんど出ずっぱりの出演者全員が一人何役も受け持ち、次々と目まぐるしく役が変わり、また場面も変わる。既製の演劇の概念を吹っ飛ばしてしまうような、素晴らしい素劇だった。
出演:劇団1980
2005-07-23 高岡文化ホールにて
- [音楽]オペラ「裏切る心臓」
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小さな空間でのサロンコンサートなので、オーケストラはなく、伴奏は天沼さんのピアノのみという気軽なコンサート。場の合間に作曲者でもある天沼さんの解説があって楽しい。狂気と狂気がぶつかり合う、それなのに不思議とユーモラスなオペラ。休憩時間に用意された食べ物と飲み物にどっと人々が押し寄せる。食い気と食い気がぶつかり合う、これも演目のひとつかしらん、と目がまん丸。後半は、ガラ・コンサート。小さいスペースでプロ歌手の生の歌声が聴けるなんて、なんて贅沢ないい気分だろう。
出演:天沼裕子(ピアノ、お話し) 大橋ゆり(アルト) 竹澤嘉明(バリトン)
2005-07-22 北國新聞会館1階「杜」にて
- [落語]新宿末廣亭6月末席
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2005-06-30 新宿末廣亭にて
- [音楽]オペラ「魔笛」
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「魔笛」は初見。トぺこさんは、数年前に本場本元ザルツブルグで観劇して感激してきた。舞台装置は未来的、登場人物の服装は中世的、夜の女王だけが宇宙のようなドレス。前半は、あまり見せ場もないし、やや間延びした感じ。後半になって、夜の女王のアリア、パパゲーノとパパゲーナの「パパパパ…」の歌と、楽しい見せ場が続く。ややロシア風の発音のドイツ語で演じる歌い手たちも、前半は声が出てなかったけど、後半は艶も張りも出てきて、だんだんノッてきた。盛り上がったところで、うまくまとまって終幕。
出演:ロシア国立モスクワ室内歌劇場
2005-06-22 オーバード・ホールにて
- [落語]城端落語会
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前座は、入船亭扇里さん。それから、扇橋さん。演目は「嘘つき野次郎」。おお、これは先日NHKの「日本の話芸」でやっていたのと同じじゃないか。マクラもまったく一緒。でもやはり、表情やしぐさのおかしさは、何と言ってもライブが最高。扇橋さんのおとぼけ顔は、見ているだけではや可笑しい。続いて、永六輔さんと普段は表に出ない囃子方の柳屋そのじさんが登場。三味線奏者のそのじさんはまだ若い可愛いお姉さん。演奏を交えながら出囃子についての永さんのおしゃべりがある。本日の出囃子は、扇橋さんが笛を吹き、小三治さんが太鼓を叩くという何とも豪華メンバーによる演奏なのであった。最後に、そのじさんが高座に上がって、三味線と唄を聴かせてくれる。三味線の調べに、つややかな唄声がなんともいい。そしてトリは小三治さんの「野ざらし」。間のとり方がほんとい上手いと思う。間でもって、お客さんの心を一気に引きつけ、後は自由に操ってしまうのだ。この上なく気持ちよく操られ、すっかり頭の中が笑い物質で一杯になって会場を後にする。昨年のように腹がよじれるほど可笑しくはなかったけど、でもやっぱり生の落語は最高だあ。
出演:柳家小三治・入船亭扇橋・永六輔・入船亭扇里・柳屋そのじ
2005-06-08 城端別院善徳寺本堂にて
- [演劇]國語元年
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方言のるつぼのような南郷家で繰り広げられるどたばた劇。3時間の長丁場は、やっぱり疲れる、もうちょっと短くならないものか。
出演:こまつ座
2005-04-09 高岡文化ホールにて
- [音楽]樫本大進ヴァイオリンリサイタル
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6年ぶりの大進さんは、ますますスケールアップして安定感が増していた。ピアノのイタマール・ゴランさん(6年前も彼とのコンビだったと思う)と樫本さんは、実によく似た体型で、格闘技系というか、2人ともごつい身体をしている。演奏が終わってからの拍手の際に、ゴランさんは、両手を膝においてお辞儀するので、まるで「おひけえなすって」というかんじで可笑しい。アンコールの最後にG線上のアリアを子守歌に聴かせてくれる。
出演:樫本大進(Vn) イタマール・ゴラン(Pf)
2005-02-23 入善コスモホールにて
- [演劇]十二夜
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シェイクスピア作「十二夜」。会場に着くと、ロビーで衣装を着た俳優さん達が出迎えてくれる。ヴァイオリン担当の俳優さんが、リクエストに応えて、次々と曲を演奏し、雰囲気を盛り上げている。サービス精神に富んだ楽しい趣向。歌と踊りが盛りだくさんの本番もなかなか面白かった。喜劇はいいなあ。
出演:俳優座
2005-02-05 高岡文化ホールにて
- [朗読]江守徹「羅生門」ー能楽につつまれて語る、芥川の世界
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鼓と笛の伴奏つきの朗読会。鼓の大倉正之助さんは、ちょっと落語家のこん平さんに似た太鼓腹のおじさんで、でっかいバイクを乗り回すのが趣味だという。笛の一噌幸弘さんは、笛のように細いおにいちゃんで、爬虫類をたくさん飼っているとのことで、ほんとにトカゲのような顔をしている。ダブルのスーツに色つき眼鏡の江守さんの語りはなかなか。会場に来ていたのは中高年がほとんどだった。
2005-01-27 高岡生涯学習センターにて