ぽこぽこアートメモ - 2006
- [音楽]小澤征爾 新日本フィルハーモニー交響楽団
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小澤さんの演奏会は初めて。とても72歳とは思えぬ軽やかなステップで舞台に現れたのに驚かされた。一方、ピアノのユンディ・リさんは20代とは思えぬ巧みな演奏で、やはり驚かされた。
出演:小澤征爾(指揮) ユンディ・リ(李雲迪)(ピアノ)
2006-12-26 オーバード・ホールにて
- [演劇]きょうの雨、あしたの風
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藤沢周平さんの著作の中でも私がもっとも好きな作品の一つである「驟り雨」におさめられているいくつかの短編を、巧妙に組み合わせた構成。一つの長屋を舞台に、それぞれの物語に合わせて場面がくるくると展開する。脚本も役者さんも素晴らしい。小説で表現されているそこはかとない優しさを、巧みに表現していて、しみじみとよかった。
出演:劇団俳優座
2006-12-09 高岡文化ホールにて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢第211回定期公演
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ブーニンさんは、せかせかと舞台上に現れ、ジャズのように、時折床をどんどん踏みならしながら演奏し、またせかせかと舞台上から去っていかれた。指揮者のピヒラーさんは小柄な身体だが、そのまま小柄に見える。同じく小柄だった岩城さんだが、その背中にとてつもない存在感があったなあと思いながら聴いていた。
出演:ギュンター・ピヒラー(指揮) スタニスラフ・ブーニン(ピアノ)
2006-11-22 石川県立音楽堂にて
- [音楽]エマニュエル・パユ リサイタル
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小ホールでの小粋な演奏会。パユさんは、甘いマスクに、おっちゃんスタイルというアンバランスさが面白い。ピアノのエリックさんは腕も指も長くて、すごく器用そう。ボリングのフルートとピアノの掛け合いが楽しい。武満さんの無伴奏フルートのための「ヴォイス」。一音一音がすべて違い、フルートの無限の世界を追求したような曲。パユさんが竹林の中を歩く侍のように見えた。
出演:エマニュエル・パユ(フルート) エリック・ル・サージュ(ピアノ)
2006-11-13 金沢市アートホールにて
- [音楽]ヨーヨー・マ J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲
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バッハ無伴奏チェロ組曲の後半。やや演出過剰かなと思えるような富山での印象とは明らかに違う。尊大な感じはみじんもない。バッハの音と真っ直ぐに向き合って、真摯に音を紡ぎ出している。最後はもうほとんどチェロと一体化していた。素の音を堪能した。
出演:ヨーヨー・マ(チェロ)
2006-11-04 サントリーホールにて
- [美術]プライスコレクション 若冲と江戸絵画展
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日本文化の枠を超越してしまっている若冲さんの絵画が、欧米の人に受け入れられたのがよく分かる。あの色彩感覚はどんな風にして作られたのだろう。観終わったところで、プライス氏本人に遭遇。会場入りして、まずは障子の間に入られた。光の具合を確かめられたのかしら。
2006-10-05 京都国立近代美術館にて
- [演劇]最後の恋
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三幕構成で、一幕に一人ずつ女性が登場する。それぞれの女性が、鶴田忍さん演じるバーニーが老いのロマンを求めた恋の相手となる。なんだけど、なんだか誰ともしっくりいかない。一幕と二幕はやや退屈。三幕目の音無さんが断然旨かった、そして面白かった。幸せは足元にあるのだな。
出演:シルバーライニング 鶴田忍 萩尾みどり 真織由季 音無美紀子
2006-09-28 高岡文化ホールにて
- [寸劇]永六輔の<平成版>電話劇場
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テレビの中でくだらない話ばかりしているお笑い芸人たちに、ちょっとは見習って欲しいと思う。ブラックジョークという枠にはまるで収まりきらない、つきぬけた芸。
出演:永六輔 中村まり子 オオタスセリ
2006-08-28 金沢21世紀美術館シアター21にて
- [落語と文楽]落語と文楽共演会
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前半は、落語会。まずは、あまりに童顔なのでなんだか女性の噺家さんの落語を聞いているような吉坊の「商売根問」。これは江戸落語にはない噺。お次は、吉弥の「青菜」。植木職人がありありと目に浮かぶよう。続いて、こごろうの「野崎参り」。力演すぎて、ちょっと疲れる。トリの小米朝は「蔵丁稚」。四人共に共通していたのが上品なおかしみで、やはり小米朝は抜群。上方落語の底深さを見た。後半は、文楽の三代目桐竹勘十郎と小米朝のおはなし。普段表舞台に出ることの少ない、人形遣いだけど、ほとんど落語家のような楽しい掛け合いで、文楽のいろはについて説明していかはる。初体験の文楽をいきなり裏舞台から見てしまった。最後に、ミニ文楽「艶容女舞衣」を堪能して、いや~いいものを聞いて見た日だった。
出演:桂吉坊 桂吉弥 桂こごろう 桂小米朝 三代目桐竹勘十郎
2006-08-14 高岡市生涯学習センターホールにて
- [美術]第8回世界ポスタートリエンナーレトヤマ2006
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今回は中国の作品が目立つ。入賞作品は、手書きのものよりもCGによるものが多い。これはすごい!と思えるものには出会えなかった。
2006-07-23 富山県立近代美術館にて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢第205回定期公演
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天沼さんによるモーツァルト構成の演奏会。4楽章全部がサビのような「アイネ・クライネ~」に始まり、お次はモーツァルトを題材にしたシュニトケの「モーツ・アルト・ア・ラ・ハイドン」。モーツァルトのメロディを、ゴムで引っ張ったり、裏返したり、逆さまにしたり、みたいな曲で面白い。演出も凝っていた。最後は珍しい3台のピアノによる協奏曲。毎回、思うのだけれども、オーケストラ・アンサンブル金沢の定期公演のプログラムの解説は、ざっくばらんで楽しい。
出演:天沼裕子(指揮・ピアノ) 児玉 麻里、児玉 桃(ピアノ)
2006-07-20 石川県立音楽堂にて
- [音楽]岩城宏之追悼演奏会
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贅沢な出演者による贅沢な演奏会。前半のトりは、岩城さんの指揮だけでも40回以上演奏されたというアンサンブル金沢の十八番「ベートーベン交響曲第7番」。この曲だけは、指揮者なしによる演奏。指揮台に立ち指揮をとる岩城さんの姿がありありと目に浮かんで、ああ亡くなられたんだなあという実感がこみあげてきた。後半の、池辺晋一郎作曲「悲しみの森」、そこはかとない日本的な響きが、しっとりと耳に心地よかった。
出演:ジャン=ピエール・ヴァレーズ(指揮) 外山雄三(指揮) 天沼裕子(指揮) 池辺晋一郎(指揮) ジェフリー・ペイン(トランペット) ルドヴィート・カンタ(チェロ) 鳥木弥生(メゾ・ソプラノ) 鶴見彩(ピアノ) オーケストラ・アンサンブル金沢合唱団(合唱) 池辺晋一郎(司会) オーケストラ・アンサンブル金沢(管弦楽)
2006-07-16 石川県立音楽堂にて
- [音楽]クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル2006
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ピアノとツィメルマンさんの周りにひとつの宇宙が完成されていて、それを覗き込ませてもらっているようだった。幸福だった。
2006-06-06 オーバード・ホールにて
- [音楽]ヨーヨー・マ&チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団 金沢公演
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2回目のヨーヨー・マさんは、前回と同じく、今ひとつ感動が薄い。後半はマーラー「巨人」。どの交響曲もそうだけど、それぞれのパートがそれぞれに休む暇なく大忙し。体力勝負だ。こってりどっしり欧風料理のよう。ぺこさんは久しぶりの音楽会。
出演:デイヴィッド・ジンマン(指揮)
2006-06-04 石川県立音楽堂にて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢第201回定期公演
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キタエンコさんの就任記念コンサート。演目はチャイコフスキーとモーツァルト。優雅な調べ。慌ただしい日常をしばし忘れる。この時代の人達は、なんとゆったり暮らしていたのだなあ。
出演:ドミトリ・キタエンコ(指揮) ルドヴィート・カンタ(チェロ)
2006-05-16 石川県立音楽堂にて
- [音楽]オーケストラ・アンサンブル金沢第200回定期公演
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アンサンブル金沢の200回記念&岩城宏之さんの復活コンサート。岩城さんは車椅子に乗って登場。最初の挨拶で「ちょうど20年前にも首から下が突然不随になり車椅子生活をしていたので、懐かしい感じがします」と言いつつ、心から楽しそうにタクトを振っておられる。演目を全然知らずに会場入りしてみれば、前半はオペラ椿姫のハイライトで、人の声の偉大さに酔いしれ、身を委ね、心地よくなる。後半は千一夜物語。王女から夜な夜な物語を聞かされた王様の心持ちになる。アンコールはクマンバチの飛行。この曲は、実は最初に誤訳されてしまって、本当はクマンバチではなくマルハナバチの飛行なのだそうだ。それにふさわしく、いかにも小さい蜂がブンブン飛び回っている演奏だった。
出演:岩城宏之(指揮) サイ・イエングアン(ソプラノ) 佐野成宏(テノール)
2006-04-28 石川県立音楽堂にて
- [歌舞伎]三人吉三巴白波(さんにんきちさともえのしらなみ)
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クラシックに例えればバッハの音楽のように、二つの輪、三つの輪が、緻密に構成された物語に沿って展開してゆく。五七五で掛け合わされる言葉の織りなす美しさ、その調和は見事としか言いようがない。舞台美術も素晴らしく、とりわけ着物の裏側の美には、もう言葉がない。
出演:前進座
2006-03-18 高岡文化ホールにて
- [音楽]ロンドン交響楽団
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一時間を超える長丁場のマーラーの五番は、他のと同じくエンターテイメント精神に富んでいる。この激しくも美しい作品を、韓国人のチョンさんが振るのはぴったりだなと思った。
出演:チョン・ミョンフン(指揮) 横山幸雄(ピアノ)
2006-03-14 石川県立音楽堂にて
- [音楽]穐吉敏子&ルー・タバキン スーパーカルテット
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ステージに向かってやや左よりの前から4番目で聴く。上質な気品あるジャズ。人柄が滲み出てるような笑顔が素晴らしい穐吉さんは、MCの時にマイクを持つと年相応に見えるけれども、ピアノの前に座り、ひとたび鍵盤に手がかかると30歳は若返る。共演のタバキンさんは、ハリーポッターに出てくるダンブルドア校長のようで、見た目もそうだけどお茶目なところもよく似てる。「おしっこもれそう」(に見える)ポーズや片足をひょいとあげたりするコミカルな動作をしつつ、すごい演奏を聴かせてくれる。ドラムもコントラバスも、ひとつの楽器でこんなにいろんな表現ができるんだなあと感嘆させられ、それが4つともなると、もうその表現は無限に広がっていくのだった。
出演:穐吉敏子 (Piano) ルー・タバキン(T.sax/flute) ルイスナッシュ(Drum) ジョージ・ムラツ(bass)
2006-03-03 富山県民会館にて
- [音楽]ニューイヤー・コンサート2006 ウィーン・フォルクスオーパー交響楽団 「ウィーンの男と女」
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2006年の幕開けは2年ぶりのフォルクスオーパーのニューイヤーコンサート。ヴァイオリンのコータさんと久しぶりの再会。歌あり、バレエあり、鳴り物ありの、華々しく楽しいコンサート。最後はもちろんラデツキー行進曲。手拍子でほかほか温まり、きんきんに冷え込んだ中、家路についた。
出演:ユリウス・ルーデル(指揮) カテリーナ・ベラノヴァ(ソプラノ) ヘルベルト・リッパート(テノール)
2006-01-05 オーバード・ホールにて