ALBUM COLLECTION バックナンバー 2007
■January ■Februaly ■March ■April ■May ■June ■July ■August ■September ■October ■Nobember ■December
- ABINGTON BOYS SCHOOL/ABINGTON BOYS SCHOOL
- AFTER FOREVER/AFTER FOREVER
- THE FALL OF IDEALS/ALL THAT REMAINS
- REPTILE RIDE/AMORAL
- METAL/ANNIHILATOR
- WORLDS COLLIDE [LIMITED EDITION]/APOCALYPTICA
- RISE OF THE TYRANT/ARCH ENEMY
- AVENGED SEVENFOLD/AVENGED SEVENFOLD
- BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND
- MOZAIQ/BLOOD STAIN CHILD
- RESURRECTION/CHIMAIRA
- THE CODEX/THE CODEX
- TAROT/DARK MOOR
- FICTION/DARK TRANQUILLITY
- URBAN BEING/DESTRAGE
- INCINERATE/DEW-SCENTED
- DIFFERENT SHAPES/DGM
- HE WHO SHALL NOT BLEED/DIMENSION ZERO
- IN SORTE DIABOLI/DIMMU BORGIR
- ANCIENT SPIRIT RISING/DOMINE
- THE FINAL CHAPTER/DUNGEON
- SYSTEMATIC CHAOS [SPECIAL LIMITED EDITION]/DREAM THEATER
- VICTORY SONGS/ENSIFERUM
- THE DIVINE CONSPIRACY/EPICA
- DIMENSIONS/FREEDOM CALL
- ONE FOR ALL - ALL FOR ONE/GALNERYUS
- LAND OF THE FREE II[LIMITED EDITION]/GAMMA RAY
- LIBERTY OR DEATH/GRAVE DIGGER
- SERPENT SMILES AND KILLER EYES/HATESPHERE
- GAMBLING WITH THE DEVIL/HELLOWEEN
- OVERTURE OF THE WICKED/ICED EARTH
- FRAMING ARMAGEDDON:SOMETHING WICKED PART 1/ICED EARTH [IMPORT]
- FRAMING ARMAGEDDON:SOMETHING WICKED PART 1/ICED EARTH
- AGONY - GIFT OF LIFE/INSANIA
- BLADE OF TRIUMPH/IRON FIRE
- MEGATROPOLIS/IRON SAVIOR
- GHOST OPERA/KAMELOT
- TERVASKANTO [LIMITED EDITION]/KORPIKLAANI
- 6 DAYS TO NOWHERE/LABYRINTH
- SONS OF THE JACKAL/LEGION OF THE DAMNED
- EMOTIONAL COMA/LIONS SHARE
- ASCENDENCE/LORD
- THE AROCKALYPSE [SPECIAL EDITION]/LORDI
- CIRCUS OF FOOLS/MACHINE MEN
- GODS OF WAR/MANOWAR
- THE BLACK CIRCUS, Part 2 - DISCLOSURE/MANTICORA
- UNITED ABOMINATIONS/MEGADETH
- NOTHING TO UNDO -CHAPTER SIX-/METALIUM
- PASSENGER/MNEMIC
- LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST
- SATANIC CURSES[LIMITED EDITION]/MYSTIC PROPHECY
- HERVEST/NAGLFAR
- DREAMCRUSHER/NAILDOWN
- DARK PASSION PLAY [LIMITED EDITION]/NIGHTWISH
- ITHYPHALLIC/NILE
- THE 8TH SIN/NOCTURNAL RITES
- INTO THE LIGHT/NUCLEAR BLAST ALLSTARS
- OUT OF THE DARK/NUCLEAR BLAST ALLSTARS
- 魔王戴天/陰陽座
- SCARSICK/PAIN OF SALVATION
- NEW RELIGION/PRIMAL FEAR
- ERASER/REVENGIA
- NEW PROTECTION/RIDE THE SKY
- THE UNDERCURRENT/SCARVE
- THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL
- WALK THE EARTH/SILENT FORCE
- MASK OF SANITY/SINNER
- DIVINE GATES PART III - THE LAST GATE/SKYLARK
- THE FINAL SIGN OF EVIL/SODOM
- SWORN TO A GREAT DIVIDE[LIMITED EDITION]/SOILWORK
- UNIA/SONATA ARCTICA
- PARADISE LOST/SYMPHONY X
- GOTHIC KABBALAH/THERION
- FIRE UP THE BLADES/3 INCHES OF BLOOD
- DEAD RECKONING/THRESHOLD
- MALICE/THROUGH THE EYES OF THE DEAD [IMPORT]
- EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE
- LOST IN SPACE PART 1/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA
- LOST IN SPACE PART 2/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA
- THE VARANGIAN WAY/TURISAS
- SWINELORDS/TWILIGHTNING
- MASTERCUTOR/U.D.O.
- GLACIAL INFERNO/VITALIJ KUPRIJ
- THE HEART OF EVERYTHING/WITHIN TEMPTATION
■ | JanuaryDOMINE | LORDI | SILENT FORCE | SINNER | THERION | VITALIJ KUPRIJ | |
ANCIENT SPIRIT RISING/DOMINE |
アンシェント・スピリット・ライジング/ドミネ |
MARQUEE MICP-10623 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリアンエピックメタルバンドの5枚目のアルバムです。毎度お馴染みのエルリック・サーガ色はちょっと薄まっています。テンション高めのハイトーンヴォーカルも健在のエピックサウンドは、堂々とした重厚な出で立ちのミドルテンポの1からいつも通りの世界観を作り出しており、スピードアップした2では哀愁メロディと勇壮なムードを交差させながら突っ走ります。女性ヴォーカルも加わった3はフォーキッシュなムードも増して優しいファンタジックな曲調から壮大に展開する抑揚の激しい大作。迫力タップリに迫る4はメタリックなギターリフで押し切る大仰なハイテンションのスピードナンバー。ケルティックなムードの幻想的で雄大なナンバーのやっぱり大作の5、楽天的で大仰なイントロから開放的なムードで突き進むドライヴするアッパーな感覚が心地良い6、重厚なイントロから哀愁のメロディが紡ぎだされるエモーショナルでエピックな7、神々しいイントロから疾走していく8は畳み掛けるリフと高揚感高まるコーラスが輝かしいスピードナンバー。勇壮かつ朗々と迫る9は包容力のある大作で明るい曲調でアルバムを締めていきます。ボーナストラックの10は情念込めたヴォーカルとアップテンポの曲調がロックするユーラア・ヒープのカバー。 ヒステリックなハイトーンもここに来て無理矢理感が減ってきて、余裕のある音作りをしている本作ですが、楽曲もバンドの成熟度に応じた大らかさというか風格みたいなものが出てきて聴きやすいものになりつつあります。ぶっちぎりのハイテンションは薄らいだものの伝統的で劇的なヘヴィメタルのスタイルを崩さない安定感を増した一枚になっています。 |
同系統アルバム BELIEVE/BURNING IN HELL ENTER DECEPTION/CELLADOR INSTANT MADNESS/HIGHLORD |
THE AROCKALYPSE [SPECIAL EDITION]/LORDI |
ハード・ロック黙示録 スペシャル・エディション/ローディ |
BMG JAPAN BVCP-27118/9 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランドのアルバムチャートで10週連続1位を獲得したりする上に、「ユーロビジョン・ソング・コンテスト2006」で優勝してしまう、超着ぐるみ系モンスターバンドの2006年に発表された3枚目のアルバムです。キッス〜グワー〜の系譜に連なるメイクアップ系の見た目のおどろおどろしさとキャッチーなメロディ満載のバッドボーイズ・ロックンロールとのギャップを狙うスタイルのアルバムは、やたらと長い実況中継の寸劇の1から、けたたましいイントロを経てダミ声ヴォーカルのコーラスがやたらとキャッチーなハードロックサウンドが展開されていきます。80年代ヘアメタル風のオールドスタイルのリフが何だか懐かしいミドルテンポの3、ソリッドなリフと派手なキーボードで盛り上げる4は助走から飛翔までの落差が激しい曲。ウィスパーヴォイスから哀愁たっぷりのメロディを広げていく5、ドライヴするリフでドタドタロックするウルセー6、ハードロック賛歌の7は湿ったクワイアもキャッチーに炸裂する、しかしノリノリな曲である。ウド・ダークシュナイダーが違和感無く参加するって言うか、まるで自分の曲みたいに唄ってしまうアクセプトみたいな泣きのギターソロも加わったアップテンポの8、チェインソーの唸りから始まる9は哀愁コーラスが印象的なミステリアスな一曲。何だかヨーロッパみたいな北欧ハードロックナンバーな10、サタデーナイトなロックナンバーの11、オーセンティックなメタルリフを刻む12はキャッチーなクワイアで盛り上げます。ボーナストラックの13は1stアルバムの曲のリメイク、14はミドルテンポのナーナナーなコーラスが印象的、15は湿ったメロディが哀愁を誘うロックナンバー。 音だけ聴けば、伝統的でキャッチーなハードロックサウンドなわけでして、見た目とのギャップが肝であるのは間違い無いところ。とりあえずこの容姿でなければ、こんなに注目もされなかったはずなので、マーケティング戦略的には正しかった模様。キャッチーでコンパクトな楽曲を揃えたアルバムは今時直球ど真ん中だけで勝負する意気や良し!しかし、ぶっちゃけ動く画が無いとエンターテイメントな魅力半減の一枚なので、DVD付きがオススメです。 |
同系統アルバム AMERICA MUST BE DESTROYED/GWAR HELLDORADO/W.A.S.P. ROCKET RIDE [Limited Edition]/EDGUY |
WALK THE EARTH/SILENT FORCE |
ウォーク・ジ・アース/サイレント・フォース |
KING RECORD KICP-1207 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカンパワーメタルバンドの4枚目のアルバムです。レコード会社を移籍しましたが、サウンドには影響は無いようです。エスニックなイントロからラウドロック風のギターリフで躍動感と力強さを演出していくパワーメタリックなアップテンポの1で幕を開けるアルバムは、ダイナミックな展開とパワフルなハイトーンヴォーカルとフラッシーなギター、キーボードも凄みを増したキレのあるパフォーマンスが全開のサウンドが繰り広げられていきます。重量感のあるギターリフとシンフォニックなキーボードが導く2はリリカルなパートと力感あふれるパートとのコントラストも激しい劇的ナンバー。ネオクラシカルな展開を見せる3は哀愁帯びたメロディとコーラスワークが様式美の元で花開きます。滑らかなギタープレイが凄みを感じさせるアップテンポの4はセンチメンタルなムードを開放させていくドラマティックな曲、エモーショナルなイントロからスリリングでシャープなギターリフを繰り出す5はジューダス・プリーストを彷彿とさせるハイテンションでドライヴ感のあるスピードナンバー。情感豊かに迫るミドルテンポの6はコーラスもキャッチーな叙情ナンバー。センチメンタルなムードが漂う哀愁ナンバーの7、哀切バラードの8、ヘヴィリフで迫る9は暗いムードを情感豊かに振り払っていくミドルテンポのナンバー。エモーショナルにメロディを開放していく哀愁ハードロックナンバーの10、アップテンポで叙情メロディを重ねていく11は飛翔感の強いコーラスが印象的です。ストラトヴァリウスを彷彿とさせるドラマティックなスピードナンバーの12はテンション高まるヴォーカルも高揚感を煽るスリリングな一曲。ボーナストラックの13は物悲しいアコースティックナンバー。 バンドとしての成熟度もすっかり上がったアルバムは、荒々しい攻撃性は円熟味を増し伝統的な説得力に裏打ちされる豊潤なメロディと様式的展開を見せていきます。ギターヒーロー的なプレイと強固なヴォーカル、典雅なムードを演出するキーボードの融合が安定感と余裕を感じさせ、これまで影響を受けたであろうサウンドを消化し完全に自分たちの物とした自信に満ちたものとしている楽曲はバラエティに富んでおり、バンドの可能性を更に広げる結果に繋がっています。高い完成度と求心力を持ったバンドの完成形に急接近する一枚です。 |
同系統アルバム THE FINAL REQUIEM/AXENSTAR UNITED/DREAM EVIL ALLEGIANCE/FIREWIND |
MASK OF SANITY/SINNER |
マスク・オブ・サニティ/シナー |
SUPERSONIC RECORDS XQAA-1010 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツ出身のベテランバンドの14枚目のアルバムです。今ではすっかりプライマル・フィアとしての活動の方が中心になってしまったマット・シナーですが、ここではルーツに帰ったメロディック・ハードロックなスタイルを貫いています。重量感あるギターリフで迫るブルージーな感覚も持った1から独特のメロディを個性的なダミ声ヴォーカルが歌い上げていきます。哀愁メロディが熱唱されていきギターソロもフラッシーに展開するミドルテンポの2、センチメンタルなイントロから唸り節が炸裂していく情感豊かな3、何だかガンズ・アンド・ローゼスみたいなイントロでちょっと驚く4はやっぱり唸り節のいつもの叙情ナンバー。リリカルさとアグレッシヴさが交錯する激しい劇的な5はブレインストームのヴォーカルが加わってパワフルさを増していきますが、マット・シナーとはちっとも合ってない、つーか合う人はいないな。パワーバラード風のエモーショナルな6、湿り気帯びたキャッチーなメロディを伴って小気味良く進むアップテンポの7、クランチーなリフで突き進むメタリックな8はドライヴ感も伴ってドラマティックに展開します。アップテンポでハッピーなムードを作り出すハードロッキンな9、繊細なメロディが心に染みるバラードの10、大陸的な雄大さを感じさせるイントロからアグレッシヴなヴォーカルがソリッドなリフに乗って進んでいく11はダイナミックなハードロックナンバー。ボーナストラックの12はシン・リジィのカバーが収録されています。ついでにビデオクリップはゴシックなお姉さん方が悶えています。 前作あたりでは、プライマル・フィアの路線に引きずられると言うか、どちらにも使えそうな曲調が多かったものの、このアルバムでは完全に棲み分けを果たして80年代ハードロック風サウンド、バンドがそもそも作り出してきたものに戻っており、肩の力の抜けた余裕のある楽曲が揃っています。ベテランバンドの経験と伝統から生み出される純粋なサウンドが堪能できる一枚です。 |
同系統アルバム ARMY OF ONE/RIOT MISSION NO.X/U.D.O. THRESHOLD/HAMMERFALL |
GOTHIC KABBALAH/THERION |
ゴシック・カバラ/セリオン |
TOY'S FACTORY TFCK-87412 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のシンフォニックメタルバンドの10枚目の二枚組アルバムです。今回もマッツ・レヴィンやすっかりヴォーカルづいてきたスノーウィ・ショウなどゲストも盛り沢山で製作されています。枚数は二枚ですがさほど作風の違いはあまり感じられないアルバムは、ザクザクしたギターリフとオーケストレーションがシンクロして迫る女性ソプラノがオペラティックな1から混声合唱隊も重厚さを醸し出す、和風なメロディまで飛び出すドラマティックな展開を見せるサウンドを引っさげて、へヴィに迫る2は男女ヴォーカルがエモーショナルに唄うダイナミックなミドルテンポのナンバーで、リリカルなフルートの響きとキャッチーなコーラスで迫ります。ゴシックなムード漂う3は女性ヴォーカルが暗いメロディを、男性ヴォーカルがエモーショナルに唄う幽玄なナンバー。神秘的なムードを持ったコーラスで進む4は呪術的な世界観に覆われるダイナミックな曲で、女性ヴォーカルが沈鬱なムードを吹き払うコントラストも強めなプログレ感覚。女性ソプラノの繊細な歌声が導く5はドラマティックかつパワフルに突き進むヘヴィメタル然とした感覚とオペラティックなムードが渾然一体となったミドルテンポのナンバー。何だか別のプロジェクトみたいなキーボードソロも派手派手な超正統派ドラマティックメタルの666、トリッキーなビートを刻むミドルテンポでヘヴィナンバーの7では女性ヴォーカルが情感たっぷりに唄い、厚いコーラスがムードを強化していきます。ソリッドなリフと妖しいムードが競い合って迫る8はオペラティックなコーラスが不安感を煽る起伏の激しい曲です。 二枚目は、デスヴォイスの囁きからドロドロした雰囲気で迫る1は女性コーラスも加わった妖しげなミドルテンポのナンバーで気だるいメロディが印象的。壮大なオーケストラのイントロからミステリアスなウィスパーヴォイスと混声コーラスを絡めて進む2は積み重ねられるメロディがアラビアンな空気を運ぶ一曲。オペラヴォーカルに導かれる3はメタリックな感覚とシンフォニックなパートが自然に融合するドラマティックな一曲。躍動的なギターリフが繰り出されるアップテンポの4はパワフルなハイトーンヴォーカルもテンションの高い劇的パワーメタルナンバー。5はミステリアスでエキゾチックなムードが広がる男女ヴォーカルの掛け合いも濃密なディープな一曲。ソリッドなギターリフでシャープに迫る6は女性ヴォーカルの伸びやかなハイトーンと迫力あるコーラスが合わさったパワーメタリックな曲で、唸りを上げるギターソロも加わってダイナミックなヘヴィメタルの醍醐味を生み出していきます。オペラティックな混声ヴォーカルが叙情感あふれる世界観を紡ぎだすシンフォニックなナンバーの7で壮大にクライマックスを迎えつつアルバムは一旦幕を閉じます。ボーナストラックはライヴバージョンが二曲収録されています。 バンド形態に囚われない自由な発想で作り出されるシンフォニックメタルもすっかり完成度が高まって、バンドのデスメタルな歴史なぞこれっぽっちも思い浮かばなくなったアーティスティックなアルバムは、思いついた事を全部詰め込んで形にしてみた感がたっぷりのイマジネーションと、やっぱりヘヴィメタルな感覚も取り戻して一つになった代物です。似たような方向性を持ったバンドがその形態との整合性で苦労する中、そこら辺のしがらみは振り切って作品を作り出した上にライヴもやってのけるプロデュース能力と作曲能力に感服させられる一枚です。 |
同系統アルバム A TWIST IN THE MYTH/BLIND GUARDIAN TRIUMPH OR AGONY/RHAPSODY OF FIRE REMAGINE/AFTER FOREVER |
GLACIAL INFERNO/VITALIJ KUPRIJ |
グレイシャル・インフェルノ/ヴィタリ・クープリ |
MARQUEE MICP-10633 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ウクライナ出身のキーボーディスト、ヴィタリ・クープリの6枚目のインストゥルメンタル・ソロアルバムです。いつもはゲストギタリストなど迎えて製作されていますが、今回は別プロジェクト、ヴィタリ・クープリズ・リヴェンジと同じメンバーが揃っています。勝手知ったるメンバーでリラックスしたムードで作られたようなアルバムは、いつも通りのテクニカルなプレイとスリリングなスピード感が一体となったネオクラシカル路線で、ピアノの響きも心地良いドラマティックな楽曲が揃っています。とにかくバンドでもやっているだけに楽曲もこなれていますし、メンバーのパフォーマンスのクオリティも高いし、躍動感もあるし、いつものクープリ節も炸裂しているわけですが、以前とどう違うかと尋ねられると困った感じになってしまう、そんな感じ。特に新たな趣向があるわけでもなく、ただひたすらにプレイし続けているだけなので、いつもの新しい音色とか機材を使ったりしない感じのキーボードで冒険しないヴィタリ・クープリの曲が揃った毎度お馴染みの一枚です。 |
同系統アルバム VITALIJ KUPRIJ'S REVENGE/VITALIJ KUPRIJ'S REVENGE FUTURE WORLD/ARTENSION MAJESTY & PASSION/VICTOR SMOLSKI |
■ | FebrualyDARK MOOR | METALIUM | MNEMIC | MORS PRINCIPIUM EST | PAIN OF SALVATION | RAGE | |
TAROT/DARK MOOR |
タロット/ダーク・ムーア |
MARQUEE MICP-10631 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スパニッシュメロディックメタルバンドの6枚目のアルバムです。ドラマーが交替して製作されています。緊張感高まる壮大でシンフォニックなイントロから繰り出されていくのはタロットカードをモチーフにした楽曲群。まるで、ナイトウィッシュみたいな叙情感と壮大さを合わせ持った劇的ナンバーの2は女性コーラスも加わってシンフォニックメタルをこれでもか、と展開させていきます。スピード感高まるアングラ風の3は湿ったメロディと雄大な展開が相まって壮大なクワイアが楽曲を盛り上げていきます。キラキラキーボードで疾走してみるアップテンポの4はネオクラ展開をふんだんに盛り込んだ哀愁ナンバー。ドラマティックに重厚コーラスやデスヴォイスを絡めつつ疾走していく5はスリリングにパートを重ねていくパワーメタリックな一曲。アカペラやコーラス、輪唱の重層的な導入がオペラティックな展開と一体化する超劇的ナンバーの6はバンドの能力を最大限に発揮した渾身の一曲。激しいリフとドラミングで突進していく7は邪悪なムードを湛えるパワーメタリックな曲、センチメンタルなメロディが心に染みるバラード風の8、湿ったメロディで疾走する9はパワフルなヴォーカルが印象に残る荘厳なコーラスも加わったパワーメタリックなナンバー。ベートーヴェンの“運命”から“月光”に至る有り得ないクラシック展開の超大作の10でアルバムは幕を閉じます。ボーナストラックにはモーツァルトの「トルコ行進曲」が収められています。 そういえば、ダーク・ムーアってこんなバンドだったよなあ、とヴォーカル交替からのアルバムを思い返してみてのネオクラシンフォニック路線へのサウンドの特化にかなり驚かさせられるアルバムは、ベタなくらいのクラシックフレーズの借用に思わず耳を疑ってしまうくらいの代物で、ここに来てヴォーカルの特性を完全に把握したのか、何かを思い出してしまったのか、余りの事に周囲が心配なできばえです。スペインの情熱の血が随所に炸裂していくシンフォニックメタルの直球ど真ん中に無心で投げ込んでくる色々な意味で凄みを増した一枚です。 |
同系統アルバム TRIUMPH OR AGONY/RHAPSODY OF FIRE THE FALL OF AN EMPIRE/FAIRYLAND THIRD ACT/EVIL MASQUERADE |
NOTHING TO UNDO -CHAPTER SIX-/METALIUM |
ナッシング・トゥ・アンドゥ/メタリウム |
KING RECORD KICP-1219 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンピュアメタラーの6枚目のアルバムです。語りと緊張感高まるインストのイントロで幕を開けるアルバムは、デスヴォイスすれすれのダーティヴォイスで驚かせるスリリングなパワーメタルナンバーの2で、硬質で突進力のある彼ららしいサウンドを繰り広げていきます。ミステリアスなムードが漂うヘヴィナンバーの3は朗々としたコーラスが重い空気を振り払います。唸りを上げるギターリフが熱気を帯びたクワイアを連れてくるハイテンションのミドルテンポナンバーの4、超重量級の5は不気味な様相を呈するエモーショナルなナンバー。アグレッシヴな感覚が高まる6は凶悪なヴォーカルとノイジーなリフも加わった劇的突進ナンバー。リリカルで壮大なパワーバラードの7を経て、パワー全開で迫る強靭でアップテンポの8は彼らの熱気があふれ出す一曲。重厚で妖しげなムードが高まる9はエモーショナルなヴォーカルも凄まじい圧迫感の強い曲。ボーナストラックの10は7のオーケストラバージョンで叙情感が更に高まっています。11はパワーメタル界隈で何だか大人気のクイーンのパワフルなカバーが収録されています。 アルバムを重ねる毎にシリアスでダークな雰囲気が高まってきた彼らですが、重量感と奇をてらわない展開にエモーショナルなギターソロが合わさって更に正統派ヘヴィメタルらしさを醸し出しており、不変の強固な意志を感じさせる仕上がりになっています。バンドの中心メンバーであるラーズ・ラッツのバンドに全精力を傾ける決意とバンドの意志が一つになった、重厚さと荘厳さを合わせ持つ強力な一枚です。 |
同系統アルバム BURNED DOWN THE ENEMY/BURNING POINT WHEN EDEN BURNS/PERSUADER WARBALL/VICIOUS RUMORS |
PASSENGER/MNEMIC |
パッセンジャー/ネミック |
SOUNDHOLIC TKCS-85162 [☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマーク出身のテクニカルバンドの3枚目のアルバムです。ヴォーカルに元スカーヴのギョーム・ビドーを迎えて製作されています。ジェット戦闘機の離陸のSEから凶悪な叫びを上げるデスヴォイスで始まるアルバムは、混乱と混沌が支配するテクニカルにダッシュするデスラッシュナンバーの1で幕を開けます。トリッキーなリズムが二転三転していくアジテイトするヴォーカルもアグレッシヴな2はクリーントーンのコーラスで叙情的なムードを演出します。エモーショナルな歌声を聴かせるヴォーカルのメロウなメロディが特徴的な3はクラッシュするパートとのコントラストが鮮やか。ソリッドなリフと鋭角なメロディで押し込む4は上げ下げの激しい忙しい曲。ミドルテンポで圧迫感を高めつつ不穏な空気を生み出す5、パンテラ風のアグレッションにクリーンコーラスが絡むアップテンポの6、7、変拍子で突進する8はうねるリフが暗い方向へと進行していく冷気漂う一曲。クリーンコーラス中心に迫る9、再び凶悪に転がるように突き進む10もクリーンコーラスで叙情感を付加。ミステリアスなムードをアグレッシヴかつエモーションに表現していくアップテンポの11、ミドルテンポで重量感たっぷりに突き進む12は咆哮と浮遊感のあるコーラスが絡み合い一体となっていくナンバー。 テクニカルな方法論がスリリングな曲展開よりも、アジテイターの方向へとシフトしていくサウンドは、非人間的な質感にも関わらず衝動性や情動の面が強調されるものになっており、逆に人間的なものになっているあたりが興味深くなっています。更に楽曲のスタイルとしては混沌としているものの方向性が定まっているので、結果的に整然としたものとなっている辺りも面白い状態です。しかしながら、この系統のサウンドに必須と思われる聴き手を寄せ付けない孤高性が少し物足りないあたりは、普遍性とのトレードオフという点で良かったり悪かったり。未来的な感覚が現在の状況をよる強く映し出すハイブリッドな一枚です。 |
同系統アルバム STABBING THE DRAMA/SOILWORK UNSU/LYZANXIA UNDER REPRISAL/THREAT SIGNAL |
LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST |
リベレイション=ターミネイション/モルス・プリンシピアム・エスト |
MARQUEE MICP-10637 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のメロデスバンドの3枚目のアルバムです。冷気漂う不穏なイントロから始まるアルバムは、キレのあるギターリフが切れ込んでくる起伏の激しい緊迫感のある展開にデスヴォイスが吼える、ギターソロもダイナミックな2へと。女性ヴォーカルのスキャットからヘヴィリフを叩きつけてくる3はエキゾチックなメロディも飛び出す高圧の劇的ナンバー。たたみ掛けるソリッドなリフで疾走していく哀愁スピードナンバーの4、5、叙情メロディが迫るインストの6を経て、突進リフでゴリゴリ押しまくるアグレッシヴな7は叙情パートとの異なる様相の展開を見せます。ミドルテンポの8は情感を露にするエモーショナルな曲、怒涛の突進力を見せる突撃ナンバーの9、10、叙情感漂うドラマティックなインストゥルメンタルの11でアルバムは幕を閉じます。 前作での哀愁や悲壮感、更に絶望感などと言った負の感情がほとんど希薄になってしまったサウンドは、パワフルかつ躍動感のあふれるものになっていて、これまでの彼らとは異なる表情を見せていきます。前作の成功から勢い付いて突っ走った楽曲が揃えられていますが、外見はスタイルを継承しているものの本質的な核が変質したような印象を与える、一気に駆け抜けていくコンパクトな一枚です。 |
同系統アルバム TILL DEATH UNITES US/NORTHER THE BLACK WALTZ/KALMAH WORLD DOMINATION/NAILDOWN |
SCARSICK/PAIN OF SALVATION |
スカーシック/ペイン・オブ・サルベイション |
MARQUEE MICP-10638 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデンのプログレメタルバンドの6枚目のアルバムです。ベーシストが脱退して製作されています。不穏な空気が怒りを孕んでいくラップ風ヴォーカルと幽冥なメロディのコントラストが病んだ現実社会に牙をむくアグレッシヴな1から、これまで内省的で自己罰的な思索を続けてきたバンドが外界に眼を向けた途端に世界の腐敗に気付いてしまった攻撃的で皮肉に満ちたサウンドが展開されていくアルバムは、アメリカナイズされる矛盾に満ちた社会を痛烈に非難するラップ調ヴォーカルに哀愁のメロディが絡む2はラッパーさえ容赦なくラップで非難する反骨精神に裏打ちされる大作。ドラマティックに叙情感があふれる3はこれまでの彼らに近い感触の曲、軽快なリズムとは裏腹の批判的な歌詞がアメリカへの批判を際立たせる嫌味なハッピーさが満点のアップテンポナンバーの4、ダンサブルでキャッチーな感触を持った80年代を思い起こさせる5、消費主義社会の空虚感を演出していく悲哀感の漂う6、変拍子が本当に変な7はアンビエントなムードのナンバー。へヴィメタリックなリフと浮遊感のあるパートがもたれあっていく8は気だるいムードのPOS節が二転三転する変則ナンバー。エスニックなムードも漂う9は衝動的なヴォーカルが炸裂する起伏が分かりやすい曲。暗く絶望的なムードが漂う最後の曲は、荒涼とした感覚が波のように押し寄せる劇的さでアルバムの幕を降ろします。 自己省察が完了して外界に希望を見出そうとしたら、そこも同じように絶望的な世界で、結局希望を見出せずに自虐的に自己と世界を全力で叩いてみたサウンドは、社会派風ではあるもののそれほど思索してみましたという感じではなくて、直感的にその辺の事象に言及してみたみたいな軽さと実際の世界の重さとの相克が妙な作用を発揮するあたりがギルデンロウ。次回作ではこの辺りの事は無かったことにされそうな雰囲気も無きにしもあらずなトレンドを回収してみた一枚です。 |
同系統アルバム TRAIN OF THOUGHT/DREAM THEATER OPERATION: MINDCRIME II/QUEENSRYCHE ROOM V/SHADOW GALLERY |
FULL MOON IN ST.PETERSBURG [SPECIAL EDITION]/RAGE |
フルムーン・イン・サンクト・ペテルブルク【初回限定盤】/レイジ |
MARQUEE MIZF-70004 [DVD] >>>>>BUY...?ジャーマンパワーメタラーの2006年5月20日、ロシアのサンクト・ペテルブルグで行われたライブの模様を収録したDVDです。ドラマーのマイク・テラーナが脱退したことは記憶に新しいですが、そういう事情かケースには姿は見えません。結果的には最後の雄姿と言うことになるでしょうか。アルバム「SPEAK OF THE DEAD」に伴うツアーのため、曲目も新作からのものが中心になっており、オーケストラとの競演を果たした大作“Suite Lingua Mortis”がクライマックスに据えられています。かなり広い会場とステージと言うこともあって客席からも随分離れていますし、メンバーを捕らえるカメラもロングの絵が多くなっており、4:3の画面は臨場感の点ではかなりマイナスになっています、画質もそんなに良くはありません。ライヴ的な感覚を楽しむなら「FROM THE CRADLE TO THE STAGE」の方が良さそうです。オーケストラがいれば、もう少し絵的には華やかになったかもしれませんが、まあ前のDVDで収録されていない“ENOUGH IS ENOUGH”とか“BABY, I'M YOUR NIGHTMARE”が聴けるのは良かったかも。ビデオクリップの方のライブ映像は更に低画質でガッカリ、曲も同じだし。 二枚目のドキュメンタリーの方はレイジでのマイク・テラーナの姿は見納めなので、目に焼き付けろ!と言うほど気合は入らない感じです。黒Tシャツのファンで一杯なのは、どこにでもある光景だ、女性ファンが多いのが日本と違うところか。しかし、ロシアの会場はホールって言うかスタジアムだな。CDは別に要らない気がする、つーか聴かない。 |
同系統アルバム ONE COLD WINTER'S NIGHT [DVD]/KAMELOT IMAGINATIONS THROUGH THE LOOKING GLASS/BLIND GUARDIAN[DVD] LIVE AT ROCK IN RIO/IRON MAIDEN |
■ | MarchDEW-SCENTED | NAGLFAR | NAILDOWN | THUNDERSTONE | |
INCINERATE/DEW-SCENTED |
インシネレイト/デュー・センテッド |
SOUNDHOLIC TKCS-85163 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマン・デスラッシャーの7枚目のアルバムです。サウンドミックスにアンディ・スニープを迎え、更にゲストミュージシャンも参加して制作されています。うねりながら厳かなムードを作り出すイントロから、爆発力のある凶暴なギターリフが荒れ狂う起伏の大きい突撃ナンバーの2へと進むアルバムは、窒息系の獰猛なデスヴォイスが炸裂するデスラッシュナンバーが揃えられています。雪崩を打ってリフが転がり落ちるアグレッシヴな3はスレイヤーを彷彿とさせるサイケデリックなギターソロが印象的。更にスレイヤー色が強まる4はリズムチェンジも激しい凝った展開のスピードナンバー。忙しいリフワークが切迫感を生み出すヒステリックな5、唸りを上げて突進する6はスピードを変化させて威圧感を強調していきます。ジェフ・ウォーターズとガス・Gがゲスト参加した7は凶悪な様相を見せるミドルテンポのナンバーで、二人の特徴的なプレイが味わえます。不安感を煽るヘヴィリフで組み立てられるスローパートから速度と圧力を高めていく8、ブレイクしながら突撃するスラッシャーかくあるべしな9、ダークでドゥーミーなイントロから破壊力を見せ付けていく10はスローダウンするギターソロも邪悪なムードを演出していきます。呪詛めいたヴォーカルが鋭いギターリフに乗って吼える黒い熱気を帯びた11、ミレ・ペトロッツァがヴォーカルで参加した12は邪悪なムードが蔓延る黒いナンバー、そしてアウトロへと。 ボーナストラックはカバーや海外盤ボーナスなど6曲が収録されています。 さすがに7枚目ともあってベテランの域に入ってきましたが、実直にスラッシュメタルの流れを汲んだ破壊力と殺傷力の高いサウンドを作り出しているアルバムは年月による衰えを微塵も感じさせない凶悪なものとなっています。米国と欧州の血脈をそれぞれ受け継ぎつつある楽曲は少しずつバラエティも出てきたような出てこないような感じですが、とりあえず気持ちよく頭が振れる嵐のような一枚です。 |
同系統アルバム IMPRESSIONS IN BLOOD/VADER CHRIST ILLUSION/SLAYER RECLAIM THE BEAT/DEFLESHED |
HERVEST/NAGLFAR |
ハーヴェスト/ナグルファー |
TOY'S FACTORY TFCK-87413 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のブラックメタルバンドの5枚目のアルバムです。前作でベース兼任だったヴォーカリストが専任となり、新たにベーシストを迎えて製作されています。暗雲立ち込めるドロドロしたイントロから、邪悪さがむき出しになるデスヴォイスが炸裂する呪詛めいた1から始まるアルバムは、悲壮感と絶望感が支配する暗黒世界を描き出します。凶悪な破壊力を持った突進ナンバーの2は狂乱の展開に。怪しげなムードで迫るミドルテンポの3は圧迫感の高まる一曲。畳み掛ける怒涛のドラムで圧倒するアグレッシヴな4は叙情的なギターソロをアクセントに突き進みます。凶悪な叫びから始まる5はある意味キャッチーなメロディと明朗な展開を持ったドラマティックナンバー、壮絶なブラストビートで圧殺していくダークな6は終盤の壮大な展開が印象的。叙情メロディが流れ込むボーナストラックの7は暗いムードを維持しながらドラマティックに進みます。怒涛の突進力を見せる8は緩急の付いた劇的な展開が見もの。ピアノのイントロからバロックでゴシックな物語が展開する9は壮絶展開も凄まじいドラマティックナンバー。センチメンタルなメロディに綴られるタイトルトラックは絶望的な情感を露にする劇的ナンバーです。 北欧の冷気伴う感触は後退して、悲壮感と怒りそして叙情感に満たされるサウンドが展開されるアルバムは、バンド内のムードが影響しているのかポジティヴな感覚が強まっています。劇的に展開される楽曲も経験値の高まった完成度を見せる、ブラックメタルとしてはちょっとおとなしい感じもあるものの、ヘヴィメタルとしては安定感のあるものになっている一枚です。初回限定で付いてくるDVDでのライヴの模様は既に白塗りメイクも無くメタルらしいパフォーマンスを見せています。そして物凄く普通なフロントマンへのインタビューはバンドの苦労が伺えるちょっとほろ苦なものになっています。 |
同系統アルバム VERMIN/OLD MAN'S CHILD NOW,DIABOLICAL/SATYRICON ANNIHILATION OF THE WICKED/NILE |
DREAMCRUSHER/NAILDOWN |
ドリームクラッシャー/ネイルダウン |
MARQUEE MICP-10647 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの2枚目のアルバムです。デスヴォイスの雄叫びでハイテンションで始まるアルバムは、ミドルテンポの1で殺傷力の高いクランチーなサウンドと浮遊感を持ったクリーンコーラスにフラッシーなギターソロなどの変幻自在なプレイを見せ付けると、華麗なキーボードとメタリックなリフが突進する2では哀愁帯びたメロディと破壊力のあるデスヴォイスを行き来する多面性を表していきます。ミドルテンポの3はニューウェーブ的なムードを取り入れつつアグレッシヴなパートとのコントラストを生み出していき、攻撃的なギターリフが圧力を高める4はスラッシーな勢いも伴った起伏の激しい突撃ナンバー。ヘヴィリフがトリッキーに展開される5は怪しげな雰囲気が高まる威圧感と脱力感が交錯する叙情的な一曲。叙情感たっぷりのキャッチーなメロディがドラマティックに炸裂するアップテンポナンバーの6、暗いムードが全編を覆う7は長尺のテクニカルパートが圧巻のほぼインストナンバー。キラキラ叙情メロディが満載のキャッチーでソリッドな8、ダークなリフで圧迫感を高めていく9は情感を炸裂させていくコーラスパートとのコントラストが鮮やかです。 ボーナストラックの10はタイプ・オー・ネガティヴのカバー。 キャッチーなコーラスとアグレッシヴなサウンドが複雑に交錯していくハイブリッドな新世代サウンドを更に研ぎ澄ましているアルバムは、様々な要素のコントラストが強まって独自性が高まった印象を与えます。楽器陣のプレイも複雑な要素を安定したパフォーマンスで繰り広げていますが、ヴォーカルはそれには追いついていない模様。バラエティに富んだ楽曲を揃えてバンドの進歩を実感させる、先の読めないあたりが楽しみな一枚になっています。 |
同系統アルバム COME CLARITY/IN FLAMES LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST ARE YOU DEAD YET?/CHILDREN OF BODOM |
EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE |
エヴォリューション4.0/サンダーストーン |
MARQUEE MICP-10648 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの4枚目のアルバムです。デジタルなナレーションのイントロから繰り出される、よりパワーメタリックな方向へと進んでいる楽曲は、エモーショナルでパワフルな歌声とへヴィでソリッドなギターリフが絡み合い、高速インストも飛び出すパワフルな2、さらにダークな雰囲気を増した3では静と動のコントラストも鮮やかな劇的展開が攻撃的に繰り出されていき、畳み掛ける不穏なムードを演出するギターリフとキーボードが絡まりあうパワーメタリックな4はメロウなコーラスでエモーショナルに展開する彼らの魅力が集約された一曲になっています。ザクザクしたヘヴィリフと不安感を煽るキーボードサウンドに導かれる5は情感的なムードが高まるミドルテンポの物悲しい劇的ナンバー、スラッシーなギターリフが叩きつけられていくダイナミックな6は緊迫感と圧力を高めつつ攻撃的に進んでいき、彼らの新生面を明らかにしていきます。バラード調のセンチメンタルな7はドラマティックに広がりを見せる情感豊かな曲でインストパートも劇的展開。キーボードの透明感がこれまでのサウンドを彷彿とさせる8はソリッドなリフとダイナミックな展開で盛り上げるエモーショナルな劇的ナンバー。ヘヴィリフとシリアスなムードが支配する9は感情があふれ出すパワフルな劇的ナンバーで不穏なソロパートが雰囲気を盛り上げます。緊迫感を増すギターリフがリズムチェンジしながら展開されていく10は開放感のあるコーラスでムードを一変させるコントラストの強い一曲。ミステリアスなムードのイントロから旅情的で哀愁帯びたメロディで進む11は物語を紡ぎだす詩人的な感覚が強まった余韻の残る楽曲です。 ボーナストラックの12はニック・カーショウのメロウで壮大な楽曲のカバーが収録されています。 元アンチドウトのギタリストの出自が遂に発揮されたサウンドは、ストラトヴァリウス的だった初期の頃からは大きく変貌を遂げパワーメタルにシフトしており、その硬質感が高まったギターに加えて北欧的な叙情感を演出していたキーボードすらスリリングな方向へと展開しています。叙情的でキャッチーだったメロディがすっかり後退して、バンド史上最もへヴィな仕上がりになっているあたりは賛否両論巻き起こりそうですが、情感豊かなヴォーカルが歌い上げる劇的パワーメタルバンドとしての地盤を確保するに充分過ぎる完成度の一枚です。 |
同系統アルバム LIQUID MONSTER/BRAINSTORM BUILDING UP THE APATHY/SILENT VOICES SEVEN SEALS/PRIMAL FEAR |
■ | AprilAFTER FOREVER | ALL THAT REMAINS | ANNIHILATOR | GRAVE DIGGER | LABYRINTH | MACHINE MEN | MANOWAR | SHADOWS FALL | WITHIN TEMPTATION | |
AFTER FOREVER/AFTER FOREVER |
アフター・フォーエヴァー/アフター・フォーエヴァー |
MARQUEE MICP-10655 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のバンドの5枚目のアルバムです。スケール感たっぷりのシンフォニックなイントロで圧倒するアルバムは、デスヴォイスとアグレッシヴな女性ソプラノヴォイスが交錯していくドラマティックなミドルテンポの1から聴き手をその世界観へと引きずり込んでいきます。ソプラノヴォイスに導かれる2はスピード感を増しつつ荘厳な劇的演劇世界を緊迫感たっぷりに作り出します。突撃するメタリックなフレーズが重なり合う3はデスヴォイスも加わって攻撃性を露にしていくハイテンションにスリリングな一曲。ファンタジックなムードがやっぱりテンション高めで描き出される女性ヴォーカルの情感たっぷりの歌唱が楽しめる4、不穏な空気が巻き起こるメタリックなリフと叙情メロディが錯綜する劇的メタルナンバーの5、シンフォニックな装飾を纏いながらドラマティックに攻撃的に迫る大作主義の6、再びシンフォニックなイントロからアグレッシヴなメタルパートが展開されていく7はデスヴォイスが主導する邪悪なナンバーでアナイアレイターのジェフ・ウォーターズがギターソロを担当。繊細な叙情感に満たされるバラードの8、メタリックなリフと哀感たっぷりの歌唱が融合していく哀愁ナンバー。ヘヴィ&ダークに迫る10はソプラノヴォイスにドロ・ペッシュが加わってサイコなムードさえ感じさせる一曲。ゆったりと流れるメロディが雄大さを感じさせる11は幻想的な世界を現出させるプログレ展開まで見せる起伏に富んだ大作。優しいメロディが優雅に展開されていく荘厳な12、ボーナストラックの13はピアノの響きが繊細なバラード、14はヘヴィで不穏なスピードナンバーが収録されています。 男女ヴォーカルのバンドでは一二を争うメタルっぷりが素敵なシンフォニックメタルが展開されていく様は、このバンドのヘヴィメタルバンドとしての起源を強く打ち出したものになっており、大仰かつ劇的な様式美展開こそバンドの真髄と思わせます。ゴシックメタルとはとても言えない攻撃性と迫力たっぷりのサウンドが更にパワーを増した怒涛の一枚です。 |
同系統アルバム THE HEART OF EVERYTHING/WITHIN TEMPTATION CONSIGN TO OBLIVION/EPICA ONCE/NIGHTWISH |
THE FALL OF IDEALS/ALL THAT REMAINS |
ザ・フォール・オブ・アイディアルズ/オール・ザット・リメインズ |
TOY'S FACTORY TFCK-87414 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?マサチューセッツ出身のバンドの2006年に発表された3枚目のアルバムです。怒涛の突進力を見せる激しいドラミングからデスヴォイスとクリーンコーラスによる激情と情念が荒れ狂う叙情メロディが炸裂するMAメタルのお手本のような1から始まるアルバムは、このスタイルの完成形を提示するかのようで、スラッシーなギターリフでアグレッシヴに切り込みつつ哀愁のコーラスが爆発する2では聴き手の感情を上手く誘導していきます。攻撃的なミドルテンポのリフで圧倒しクリーンヴォーカルとデスヴォイスが渾然としていく3ではツインリードギターの絡みが官能的に迫り、北欧メロデス的な叙情リフと感情を爆発させるコーラスで突き進む4、ザクザクしたビートが悶えるような情感を生み出していくエモーショナルな5、唸りを上げるリフが圧迫感を増していく6は攻撃性を露にした邪悪なナンバー。クランチーながらもメロディアスなリフで突進する緩急の大きなドラマティックナンバーの7、畳み掛ける叙情リフで突撃する8はデスヴォイスで表現力を広げる意欲的な曲。スピード感の強いリフが劇的に迫る9は反発力の強いパワフルなナンバー、小気味良いリフで疾走していく北欧メロデス風の10、キレのあるギターリフが凄みを増していく11は攻撃的に迫る破壊力のある一曲。ボーナストラックは1のデモバージョンが収録されています。 スタイル的には、ほぼ完成を見たMAメタルを貫きながら、凶悪なほど扇情性を高めたギターソロとクリーンコーラスが凄まじい破壊力を持って迫るトップクラスのサウンドを作り出しているアルバムは、バンドのキャリアハイと言えるものになっています。閉塞感が高まりつつあるこのスタイルの中でも気を吐く高い完成度を誇る一枚です。 |
同系統アルバム DREAMCRUSHER/NAILDOWN AS DAYLIGHT DIES/KILLSWITCH ENGAGE COME CLARITY/IN FLAMES |
METAL/ANNIHILATOR |
メタル/アナイアレイター |
KING RECORD KICP-1224 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?カナディアン・ベテランスラッシャーの12枚目のアルバムです。ヴォーカリストは三枚連続のデイヴ・パッデンで、ドラマーにはマイク・マンジーニ、更にバンド史上初の多数のゲストミュージシャンが参加して制作されたスペシャルな一枚になっています。独特のギターソロを見せるネヴァーモアのジェフ・ルーミスが参加した1から唸りを上げるギターリフが炸裂する彼ららしいサウンドが満載のアルバムは、 カナディアン・ハードロッカー、ダンコ・ジョーンズとアーク・エネミーのアンジェラ・ゴソウが参加した2は乾いたメロディと哀愁帯びたギターを聴かせるキャッチーながらもデスヴォイスが効いた異色作。同郷のアンヴィルのスティーヴ・クドロウが手堅いプレイを聴かせるアップテンポの3はフックのあるコーラスとドライヴするリフがノリの良いロッキンな一曲。アレキシ・ライホとの鬼気迫るプレイが聴き所の4は不穏なイントロから切れ味鋭いリフが展開されるアグレッシヴな曲で流石の高速ギターが堪能できます。ザ・ホーンテッドのギタリストが参加した5は湿ったメロディでドライヴしていく3rdアルバムっぽい曲。アナイアレイトするヘヴィナンバーの6はリズムチェンジしてからのスピード感が気持ちいいダイナミックな曲で、マイケル・アモットが扇情的なギターソロを聴かせるのも良いアクセント。スラッシーに突き進む7はイェスパーがこの面子的には普通のギターソロを聴かせるハードコアなナンバーで、後半の叙情パートとのコントラストが凄まじい曲。哀愁イントロからメタリックなリフが展開されていく8はトリヴィアムのギタリストが加わったコーラスがキャッチーでスラッシャーな突撃ナンバーで、テクニックを盗めよ若者!って感じです。ブラック・サバス風のグルーヴィな9、ラム・オヴ・ゴッドのギタリストが参加した10は、怒涛の攻撃的パートからいつものフレーズが炸裂して叙情パートへと表情を大きく変えるジェフ・ウォーターズの曲作りの冴えが見られるダイナミックなナンバー。ボーナストラックの11は同郷のベテランバンド、エキサイターのカバーで本家ヴォーカルも参加した代物です。 全体的に「NEVER,NEVERLAND」から「SET THE WORLD ON FIRE」あたりの楽曲からバラードと変態度を取っ払ったようなサウンドに仕上がっているアルバムは、ヴォーカルは相変わらず物足りないものの、ベテラン、新人と多数のゲストミュージシャンに相互に影響を与え合ったか、双方のギタープレイは近年に無い白熱振りで、エクストリーム系メタルの人材が多いにも関わらずアナイナレイター色に染まっているあたりはバンドへの敬意を感じさせます。ゲスト参加の都合上、あまり突飛な楽曲も用意出来なかったのか、常軌を逸した特異なナンバーは入りませんでしたが、スラッシュ/パワーメタルな部分を抽出してヘヴィメタルの絆を深めていくような気概を感じさせる、みんな初期のアナイアレイターが大好きなんだよ!な一枚に仕上がってます。 |
同系統アルバム UNDER REPRISAL/THREAT SIGNAL THE DEAD EYE/THE HAUNTED THE CRUSADE/TRIVIUM |
LIBERTY OR DEATH/GRAVE DIGGER |
リバティー・オア・デス/グレイヴ・ディガー |
SOUNDHOLIC TKCS-85165 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンパワーメタラーの13枚目のアルバムです。最近の作風同様「戦争と平和、そして自由」という重厚なテーマを扱ったアルバムになっています。嵐呼ぶ荘厳なイントロから、重厚なギターリフが圧倒的な存在感を持って迫り来る1から歴史絵巻的な演出を続けてきたバンドの真骨頂が炸裂する力強さと説得力を合わせ持ったアルバムは、攻撃的な突進力を見せるパワーメタルナンバーの2で吼えるダミ声ヴォーカルが彼ららしさを前面に押し出し、バグパイプのイントロから哀愁たっぷりに迫る3ではドライヴするギターリフがクワイアを呼び出す重厚さを作り出します。4は威圧的なギターリフと威嚇的なヴォーカルがシンクロして怒りを露にしていくアグレッシヴなミドルテンポのナンバー、アルバムのテーマ性が強まる5は暗く重いムードが全編を覆う密度の濃いヘヴィナンバー。暗い熱気を帯びて進む6はクワイアも重厚に迫り劇的ギターソロが炸裂するミドルテンポの曲、重量感たっぷりに迫るスローナンバーの7、不穏なリフがパワフルに迫る8は炸裂するコーラスにギターソロも熱いメタリックな一曲。唸りを上げるメタリックリフで突進する9、女性コーラスも加わった10はエキゾチックなメロディも飛び出すヘヴィナンバー。ボーナストラックは景気良くドライヴするメタルナンバーの11、EPに収録されていた有名曲と同名の曲です。 マンニ・シュミットの加入後からはギターソロのクオリティが格段に向上したことに加え、この重厚長大なスタイルが完全に板に付いたベテランの味が堪能できるサウンドはコンセプトの縛りが少ない分、個々の楽曲の特徴を生かしたものになっていてコンパクトな感じに落ち着いています。過剰な装飾が減ってヘヴィメタル然としたサウンドが戻って、コッテリ系がキツイと思っていた人にも取っ付きやすそうなグレイヴ・ディガー入門篇にちょうど良さそうな一枚です。 |
同系統アルバム NOTHING TO UNDO -CHAPTER SIX-/METALIUM ANCIENT SPIRIT RISING/DOMINE MANIACAL RENDERINGS/JON OLIVA'S PAIN |
6 DAYS TO NOWHERE/LABYRINTH |
シックス・デイズ・トゥ・ノーホウェア/ラビリンス |
KING RECORD KICP-1229 [☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリアン・メロディックメタルの6枚目のアルバムです。ベーシストが脱退して、ヴォーカリストが兼任しています。アップテンポながらも湿ったメロディ全開のエモーショナルなハイトーンヴォーカルも心に染みる哀愁ナンバーの1で幕を開けるアルバムは、プログレハード的な起伏が激しく様々な手法を使ったハードロックなサウンドが展開されており、更に哀愁ムードが強化されるシャープな感覚を持った2はコーラスも扇情性を高めていきます。ドラマーの歯車が壊れたみたいな唐突なブラストビートとデスヴォイスを絡めた3はそれは起伏も激しくなるだろうって言うクラシックギターも飛び出す静と動のコントラストがムダに壮絶な突進ナンバー。センチメンタルなギターのイントロからムードを保ちつつ進むミドルテンポのエモーショナルなヴォーカルで引っ張る4、ハードなビートとリリカルなパートのコントラストが美しい5、今時今更過ぎてかえって衝撃的なビートルズのカバーの6、メタリックなリフがテクニカルに展開される7はスピード感が少し戻ったナンバーながらも哀愁パートの比重高し。ヘヴィリフと哀愁コーラスで進むミドルテンポの8、9は物悲しいインストパートが印象的。ソリッドなリフで進む10はメタリックな感覚が強まる哀愁ヘヴィナンバー。ダークな雰囲気が全編を覆う11、シンフォニックなアレンジも飛び出す12はブラストビートも合わさってドラマティックに展開しそうな暗いナンバー。バラードナンバーの13、14はファーストアルバムからのリメイク。15〜18はデモバージョンが収録されています。 プログレバンドにも参加していたヴォーカリストの影響かどうかは謎ですが、基本的にはバックのサウンドの圧力が足りないっぽいメロディアスな哀愁ハードロックサウンドが展開されていくアルバムは、突如切れ込むブラストビートの所以かバンドがどこに向かおうとしているのか良くわからない代物になってます、多分ソフトなプログレハードを指向しているんだろうけど。色々頑張ろうとして何を言いたいのか良く分からなくなってしまった帯タタキとかレコード会社も売り上げが不安になってきたみたいなボーナストラックの詰め込み方が、更にアルバムの迷走感を助長すると言う悪循環に陥ってますが、色々なことを細かく気にしなければ、それなりに楽しめるような気がしないでもない一枚です。 |
同系統アルバム L'OMBRE ET LA LUMIERE/MANIGANCE SILENCE SPEAKS/PLATITUDE ARMY OF ONE/RIOT |
CIRCUS OF FOOLS/MACHINE MEN |
サーカス・オヴ・フールス/マシーン・メン |
MARQUEE MICP-10657 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの3枚目のアルバムです。アイアン・メイデン後継者と呼ぶにふさわしいサウンドを作り出してきた方向性を切りなおして、パワーメタリックなスタイルへとシフトしてきたアルバムは、ゴリゴリした感触のギターリフとハイトーンヴォーカルが緊迫感を作り出すギターソロも激しいアップテンポの1からソリッドでヘヴィさを増した迫力ある楽曲が揃えられています。叙情メロディで迫る2は緊張感を保ちながらダイナミックに展開するアップテンポのナンバーでキレのあるギターソロが印象的。哀愁メロディが情感を高めるドラマティックなパワーバラードの3、ドライヴするギターリフがテンションを高めていくスピードナンバーの4はドラマティックな切り返しも手伝って盛り上がる一曲。トリッキーなリズムで進むミドルテンポの5は情念が高まる劇的ナンバー、オリエンタルなギターのイントロからの6は乾いた音像と力強い歌唱が哀愁を生み出すナンバー。ソリッドなリフで突進する7はアグレッションを前面に出したスリリングでドラマティックな曲、北欧メロデス色も感じさせる8は叙情メロディで進みシンガロングも飛び出すアップテンポのナンバー。ボーナストラックの9はメイデン風イントロから哀愁メロディを紡ぐヘヴィで劇的なミドルテンポの曲、物悲しいイントロからの10は劇的パワーバラード。 ブルース・ディッキンソンにやっぱり似ているとか、ツインリードのハモリあたりが、まだ先達の影響を感じさせつつも、新しいものを作り出していこうとする意欲が強く伺える強靭なヘヴィメタルサウンド満載のアルバムは、バンドの意識の変化と向上心がダイレクトに楽曲に現れたものになっています。ヘヴィメタル的に美味しいところは残しつつ、モダンなスタイルを取り込んでいく方法論は最近のトレンドっぽいですが、正統派ヘヴィメタルを守り続ける強い意志がメタラーの連帯感を高める強力な一枚です。 |
同系統アルバム EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE WARBALL/VICIOUS RUMORS ALLEGIANCE/FIREWIND |
GODS OF WAR/MANOWAR |
ゴッズ・オヴ・ウォー/マノウォー |
MARQUEE MICP-10652 [☆] >>>>>BUY...?正統派ヘヴィメタルの旗手として名前と逸話ばかりが取り上げられるも作品の内容はそれほどでもないんでないかい?と疑問を呈されることが少なくなくなってきた未来日の伝説的バンドの10枚目のアルバムです。北欧神話をテーマにしたコンセプトアルバムになってます。荘厳で長大なフレーズがたっぷり続くインストのオープニングの1で大多数のリスナーを篩いにかける超大作のアルバムは、曲を分ける意味があるのか?というナレーション付きの2へ。間髪入れず始まるエピックで起伏の激しいスピードナンバーの3で彼ららしい堂々としたパワーメタルナンバーを聴かせつつ、荘厳なクワイアの小品の4を挟んで、ナレーションから伝説の8本足の馬スレイプニールを歌う勇壮で躍動的な5に繋げ、続くドライヴ感のある6はコンパクトなアップテンポのナンバー。朗々としたバラードナンバーの7、空虚なほど大仰なインストの8って言うかもうウンザリしてきたんで止めていいですか。 ナレーションとオーケストラの方がどう考えてもバンドサウンドよりもたっぷり尺を取っているアルバムは、予告編ばっかり並べられたDVDみたいに本編はどこだ?と探し回ってしまう困った代物で、ナレーションとかクワイアで誤魔化さずにまともに曲を作ってはどうか、と老婆心じゃなくとも忠告しないではいられません。評価も何も焼き直しの曲が数えるほどしか無いのに何をどうしろって言うんだ!な語りとエピックなムードが好きな人にはたまらない作品ですが、この一枚にはこの言葉がふさわしいんじゃないでしょうか。 「偽メタルに死を!」 |
同系統アルバム VISIONS OF EDEN/VIRGIN STEELE TRIUMPH OR AGONY/RHAPSODY OF FIRE THE LAST SUPPER/GRAVE DIGGER |
THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL |
スレッズ・オブ・ライフ/シャドウズ・フォール |
ROADRUNNER RRCY-21282 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?マサチューセッツ出身のバンドの5枚目のアルバムです。キレのあるスラッシーなリフと哀愁帯びるメロディが交錯するドラマティックなサウンドが展開される1から、オールドスタイルのヘヴィメタルが繰り広げられていくアルバムは、畳み掛けるハードなリフワークと叙情性を盛り込んだコーラスがダイナミックに躍動する2、ミドルテンポで迫力タップリに迫る3はセンチメンタルなコーラスとのコントラストで進みます。センチメンタルなイントロからヘヴィリフを繰り出していく4はスピードを上げてスラッシーに突っ走るアグレッシヴなナンバーでメガデスばりのギターソロで盛り上げます。うねる不穏なリフで進む5は起伏ある展開でドラマティックさを生み出していき、アコースティックギターで哀愁深く迫るバラードの6でクールダウンすると、叙情リフが炸裂する7は華麗なギターソロまで飛び出す劇的哀愁メロディアスナンバー。アンスラックス風にシャウト&突進してみるスラッシーな8はテスタメント展開もあったりするごった煮ナンバー。アコースティックなインストゥルメンタルの9を挟んで、フックのあるギターリフで圧迫感を高めながら突き進むダークで劇的な10、シャープなリフで激しく突っ込む11は直球勝負のパワーメタルな一曲。ボーナストラックの12は哀愁メロディを背負ったスラッシーなリフのナンバー。 80年代パワー/スラッシュメタルなマニアの血が騒ぎ出す、このあたりの音への偏執を強くアピールしていくサウンドは、ギターソロやリフ作りにダメヲタクなこだわりが随所に現れる代物になっていて思わずシンパシーを感じる人も少なくない感じです。これまでのMAメタル的なサウンドからは叙情的なメロディ以外はすっかり離れてしまっていますが、ピュアメタルに急接近していくドラマティックなヘヴィメタルをやってみせた一枚です。 |
同系統アルバム THE CRUSADE/TRIVIUM AS DAYLIGHT DIES/KILLSWITCH ENGAGE CHAOSDRAGON RISING/TERROR SQUAD |
THE HEART OF EVERYTHING/WITHIN TEMPTATION |
ザ・ハート・オブ・エヴリシング/ウィズイン・テンプテーション |
ROADRUNNER RRCY-21281 [☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のバンドの4枚目のアルバムです。劇的で壮大なイントロから、力強さを増した女性ヴォーカルが哀愁たっぷりのメロディを歌い上げていくシンフォニックナンバーの1から、独自の世界観を作り出していくアルバムは、センチメンタルなムードが高まる2はパワフルな男性ヴォーカルパートと幻想的なパートが絡み合う情念深い劇的楽曲。壮大なバラードナンバーの3、シンフォニックなコーラスワークがスケール感も大きく迫る悲劇的な4、タイトルトラックはシリアスなムードが悲壮に決着する劇的ナンバー、とかドラマティック楽曲満載です。 これまでと比べると神秘性が薄らいで普遍性というか一般性が強まって、より最近のリスナーが聴きやすい方向へとシフトしたサウンドが繰り広げられている模様で、手堅い手法でまとめた印象が強まっています。シンフォニックなサウンドとは裏腹にリアリスティックな感情が描き出される作風はこれまでのバンドの方向とは少し違いますが、最近のアメリカンポップスチャートにも殴りこめそうな幅広い客層へとアピールしてみる一枚になっています。 |
同系統アルバム THE GRAND DESIGN/EDENBRIDGE THE FALL OF AN EMPIRE/FAIRYLAND KARMACODE/LACUNA COIL |
■ | MayBLOODBOUND | DARK TRANQUILLITY | DGM | DIMMU BORGIR | ENSIFERUM | HATESPHERE | MANTICORA | MEGADETH | NUCLEAR BLAST ALL STARS | SKYLARK | SONATA ARCTICA | TWILIGHTNING | |
BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND |
ブック・オヴ・ザ・デッド/ブラッドバウンド |
MARQUEE MICP-10660 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの二枚目のアルバムです。ヴォーカリストにジーノなどに参加した、マイケル・ボーマンを迎え、更にギタリスト、ドラマーを交替して製作されています。パワフルでエモーショナルなハスキーヴォイスと言う武器を得て、ドラマティックなヘヴィメタルを作り出していくアルバムは、叙情的なメロディが炸裂するスピード感を持ったダイナミックな1からオーセンティックなピュアメタルを繰り出していきます。更なる哀愁メロディを持った2はアップテンポのキャッチーなナンバー。ソリッドなヘヴィリフでコーラスが熱いアクセプトっぽい漢メタルナンバーのタイトルトラック、唸りを上げるメタリックリフで突進する激しくハイテンションの4はスリリングなギターソロが印象に残ります。物悲しいメロディのイントロから情感込めて歌い上げていく哀愁ナンバーの5、ギャロップするギターリフが心地良い6は湿ったメロディも伴ってダイナミックに進むドライヴ感の強い超メイデンナンバー。クランチーなリフで哀愁メロディを紡いでいく7は劇的に情感を高めていくパワフルナンバーで高揚感高まるサビが印象的。泣きのギターが炸裂するバラードの8、叩きつけるビートとギターリフが一体になって迫る9はドライヴするサビがテンションを高めるアップテンポのナンバー。高揚感たかまるイントロからドラマティックに突き進むハロウィン的なスピードナンバーの10、静かなイントロから泣きメロ劇的展開を見せるメイデン節が炸裂してみた長編の11、ボーナストラックの12はピアノのイントロからセンチメンタルなムードが高まるヴォイスエフェクトの掛かったバラード。 やっている事は物凄く伝統的と言うか先達の強い影響下にあるヘヴィメタルながらも、更に実力あるヴォーカリストが加わったことで全体的な嵩上げがされてしまったようなサウンドは、ツインギターのハーモニーあたり楽器陣も余裕が出来たのか安定感が増したプレイを聞かせています。クオリティは向上したものの、楽曲ごとの個性がちょっと薄まってしまってアルバム全体での盛り上がりが少ないところは難ですが、ドラマティックなピュアメタルをタップリ堪能できる一枚になってます。 |
同系統アルバム ALLEGIANCE/FIREWIND LONG LOST PRIDE/IMAGINERY WHEN DREAM AND FATE COLLIDE/FREQUENCY |
FICTION/DARK TRANQUILLITY |
フィクション/ダーク・トランキュリティ |
TOY'S FACTORY TFCK-87415 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のメロデスバンドの8枚目のアルバムです。メンバー変更も無く、すっかり安定した状況でやっぱり高品質の安定した楽曲を提供しているアルバムは、ダークなイントロから哀愁メロディがデスヴォイスの咆哮と共に繰り出されるブラストビートやピアノも繰り出される起伏の激しい1から劇的メロデスナンバーが積み重ねられてていきます。ミドルテンポ〜アップテンポを行き来する2では叙情感が更に高まった情念深い劇的展開を見せ、タイトでソリッドなイントロから緩急付けて突進してみせる3、スリリングなリフで疾走する激しい劇的ナンバーの4、ミドルテンポでピアノの哀愁メロディが押し寄せる5、センチメンタルなメロディが情念の慟哭へと転換されていくスローナンバーの6、ブラストビートと叙情メロディが交錯していく彼ららしい疾走ナンバーの7、ミドルテンポの8はクリーンヴォイスの哀愁メロディ高まるデスヴォイスとのコントラストが鮮やかな一曲。ダイナミックなリフで進む9は躍動的な感覚を前面に押し出した突進力と扇情的なギターソロが魅力の曲、メランコリックなイントロが情念こもるヴォーカルを呼び起こすミドルテンポの10では女性ヴォーカルも導入して劇的さアップ。ボーナストラックの11は躍動感のあるギターリフと哀愁メロディが交錯していく劇的ナンバー。 北欧叙情メロディックデスメタルのデファクトスタンダードと呼べる存在に落ち着いてしまったアルバムは、意外性は無いものの相変わらずのクオリティの高さを見せ付けるものになっており、手堅い曲作りを味あわせています。新たな方向性を模索していた時期のような思いがけない展開が無いという点では手持ち無沙汰な感覚は否めないものの既に変化しようの無い老舗の看板を背負った完成度は、このスタイルのファンにとっても満足できるハンドリングの妙を楽しめる一枚になっています。でも、アーティスト的にはこのジャンルへの義理も果たした事だし自由に自分たちの嗜好を追及して予測不能のアルバムを発表しても良い頃合なのではと思われます。 |
同系統アルバム BEFORE THE BLEEDING SUN/ETERNAL TEARS OF SORROW THE UNBORN/MORS PRINCIPIUM EST DEAD FANTASIA/FOLLOWBANE |
DIFFERENT SHAPES/DGM |
ディファレント・シェイプス/DGM |
MARQUEE MICP-10646 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドの6枚目のアルバムです。最後のオリジナルメンバーだったギタリストとキーボードが交替して製作されています。ドラマティックに躍動的に迫るスリリングなメロディックナンバーの1からパワフルなヴォーカルとテクニカルなプレイが炸裂していくアルバムは、ヘヴィなイントロからトリッキーなリズムと起伏の大きい展開で劇的に進む2と多彩なメロディとフレーズを詰め込んで感情を盛り上げていきます。スペーシーなイントロからダイナミックに展開する3はメロウなサビとマイケル・アモット風ギターソロが印象的な一曲。繊細なピアノのイントロから哀愁帯びたドラマティック展開で盛り上げる多彩なフレーズを加えながらもキャッチーな4、センチメンタルなイントロから始まる優しい劇的バラードの5、アグレッシヴなビートを刻みつつスラッシーに突っ切る6はメロディアスなパートとのコントラストも激しい異色のナンバー。シンフォニックでミステリアスなイントロからの7は叙情的なメロディが満ちる開放感を導くドラマティックな一曲。スリリングなフレージングでスピード感を高めて進む8は静と動のコントラストも鮮やかなメタリックナンバー、ドライヴ感高まるスピードナンバーの9はパワーメタリックに突き進む爽快な一曲。ヘヴィリフがエモーショナルなメロディと一体化していくプログレハードで劇的な10、エンハンスドトラックには衝撃のビデオクリップが収録されています。 バンドの初期メンバーが遂に全員脱退という状況ながら、その楽曲の方はこれまでにないほどの充実振りを見せており、メロディとテクニック、エモーションとアグレッシヴさが際立つパワーが一体となって迫るプログレパワーメタルを作り出していきます。苦境を乗り越えて、多様な音楽スタイルを貪欲に取り込もうとするバンドの新生面が強く押し出された意欲的で完成度の高い一枚です。 |
同系統アルバム THE ODYSSEY/SYMPHONY X CHIMERA/ANDROMEDA L'OMBRE ET LA LUMIERE/MANIGANCE |
IN SORTE DIABOLI/DIMMU BORGIR |
イン・ソルテ・ディアボリ〜魔界選歌/ディム・ボガー |
MARQUEE MICP-10659 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ノルウェー出身のバンドの8枚目のアルバムです。ドラマーにメイヘムのヘルハマーを迎えて製作されています。荘厳な暗黒シンフォニックイントロから黒い衝動を蓄えながら重量感たっぷりに突き進む1からスケール感の大きいブラックメタルを繰り出していくアルバムは、デスヴォイスばかりでなくクリーンヴォイスなども使いながら退廃的な世界を生み出していきます。アグレッシヴな咆哮を携えて特攻する2は圧倒的な破壊力を持つ起伏の激しいメタリックナンバー。暗いメロディと邪悪なムードを炸裂させて緊迫感を高めていくアップテンポの3、冷気を伴ったイントロから女性コーラスなども加わって猥雑で荘厳なムードが展開されていくミドルテンポの4、幽玄なインストゥルメンタルの5を経て、激しく音を連ねていく圧迫感と冷酷さを持ったドラマティックな6、荘厳なコーラスのイントロから凶悪さを湛えて突き進むアグレッシヴな7、シンフォニックなイントロからメタリックなリフを積み重ねていく高密度の8、暗黒瘴気が巻き起こる9は加減速を繰り返しながら突き進む迫力たっぷりの一曲。ボーナストラックの10はヴェノムの有名曲が納められています。 完成されたスタイルと安定した楽曲が揃えられたアルバムは既にスタンダードなシンフォニックブラックメタルと言える存在になっていますが、メジャー感が強まったことでこれまでの凶悪な迫力が少なくなっており、手堅い作風なものの驚きはあまり感じられないものです。ボーナストラックが一番興奮するあたり、ちょっとどうかと思われますが一定のクオリティは維持されている一枚になってます。 |
同系統アルバム THE WINTER WAKE/ELVENKING TALES ALONG THIS ROAD/KORPIKLAANI TURIS FRATYR/EQUILIBRIUM |
VICTORY SONGS/ENSIFERUM |
ヴィクトリー・ソングス/エンシフェルム |
UNIVERSAL MUSIC UICO-1127 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身の三枚目のアルバムです。物悲しく雄大なイントロの1から繰り出されていく血沸き肉踊るヴァイキングメタルは、爆発力の強い疾走ナンバーの2でデスヴォイスの咆哮を繰り出しながらフォーキーなメロディと勇壮なコーラスを刻んでいきます。アップテンポで物悲しいメロディが流れる3は力強いコーラスが一体感を高めていき、フォーキッシュな感覚が強まった4はアッパーに突っ走るスピードナンバー。トラッドミュージック的なムードに覆われるファンタジックでアップテンポナンバーの5、哀愁帯びたメロディが心に染みるドラマティックなミドルテンポの6、ツーバスで突っ走る勇壮さと悲哀を湛えたアグレッシヴで起伏の激しい7、激しく熱気を保って突き進むアップテンポの8、哀愁帯びるアコースティックなイントロからジワジワと盛り上げていくヒロイックな大作の9、ボーナストラックの10はユーライア・ヒープのカバーが収録されています。 ビールを樽ごと呑み干したみたいなムードになることが多いヴァイキングメタルにおいて、シリアスな空気を保ちつつ勇壮さと哀愁感を高めていく真面目なサウンドを作り出していくアルバムは、北欧神話的な凄惨さと悲壮感を演出していくものになっています。ヒロイックな世界観を作り上げる演出や曲展開などに前作からの成長が強く伺え、エピックメタルとしても完成度の高いものになっている一枚です。 |
同系統アルバム THE WINTER WAKE/ELVENKING TALES ALONG THIS ROAD/KORPIKLAANI TURIS FRATYR/EQUILIBRIUM |
SERPENT SMILES AND KILLER EYES/HATESPHERE |
サーペント・スマイルズ・アンド・キラー・アイズ/ヘイトスフィア |
HOWLING BULL HWCY-1266 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマーク出身のデスラッシャーの5枚目のアルバムです。殺傷力の高いギターリフで突っ込んでくる、デスヴォイスの咆哮もテンションが上がる1の起伏の激しい突撃ナンバーから、切れ味鋭いサウンドを展開していくアルバムは、衝動性が高まるミドルテンポのアグレッシヴな2ではメロディアスなギターソロでムードを変え、再び冷徹に突進していく3はデスヴォイスの高低で不穏な空気を演出していきます。乾いたイントロからドゥーミーなリフが展開されていく新機軸の4は不安感高まるヘヴィナンバー、一気にスピードアップして突進する壮絶な5、ヘヴィナンバーの6はうねるリフが圧迫感を増していくテクニカルな感覚も残る一曲。畳み掛けるソリッドなギターリフで突進する7は高密度のサウンドで圧倒するスラッシャーな一曲。不安な空気が巻き起こるミドルテンポの8は激情が圧力を高めるダークなナンバー、躍動するアグレッシヴなリフで疾走する凄絶な9、ボーナストラックの10はコロージョン・オブ・コンフォーミティのカバーが収録されています。 突進命だった路線を若干変更して、バラエティのある楽曲を揃えてきたアルバムは、ヘヴィメタルのダイナミズムを多方面から取り寄せて彼ら流で料理してみたコアなヘヴィメタル色を強く感じさせるものになっています。もちろんアグレッシヴなメタル方面でのインスピレーションが強いわけですが、古典的なメタルの息吹も確かに伺わせるスタイルは、バンドの創作面での貪欲さが如実に現れたものになっている新しい一面を見せた一枚になっています。 |
同系統アルバム INCINERATE/DEW-SCENTED PASSENGER/MNEMIC THE GRAND MACHINERY/CONSTRUCDEAD |
THE BLACK CIRCUS, Part 2 - DISCLOSURE/MANTICORA |
ザ・ブラック・サーカス・パート2〜ディスクロージャー/マンティコラ |
ART UNION ARTSG-019 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマーク出身のパワーメタラーの6枚目のアルバムです。前作のコンセプトアルバムの続編になっており、バンドを離れていたギタリストが復帰しています。前作のエンディングをそのまま引き継ぐイントロダクションの1から、前置き無しのクライマックス状態で突っ走るアルバムは、ハイテンションでシンフォニック&ドラマティックに駆け抜ける長編の2から起伏の激しい壮絶なサウンドが展開していきます。情念深い重厚なスローパートとスリリングな長尺インストゥルメンタルパートで妖しげなダンスシーンを描き出していく3はバンドの思い切りの良い曲構成が強いコントラストを生み出す意欲作。哀愁帯びるインストの4からスパニッシュギターを加えたスラッシーでテクニカルなインストナンバーの5へと移行し、ヘヴィリフで圧力を高めていく6はリリカルなムードと怒り帯びる情念がせめぎあうダイナミックで起伏の激しい曲でドラマティックなコーラスへの展開が印象的。センチメンタルなムードを演出するインストの7からアグレッシヴに突き進むスラッシーで劇的な8へと。オーケストラをバックに朗々としたヴォーカルが哀切に歌い上げる9から、重量感たっぷりにドラマティックな展開の連続で圧倒していく10で急転直下のエンディングを迎えます。ボーナストラックはセカンドアルバムからの曲のライブバージョンが収められています。 前作がストーリーに沿った演出が加えられた楽曲を揃えていたのに対し、混沌とするストーリーに引きずられる様に緊迫感の高まる密度の高い複雑な展開のアルバムになっている今作は、先の見えない混乱した状況が再びツインギターとなったバンドの手によってドラマティックに描き出される様が凄まじいものになっています。曲の構成とか音楽的には問題がありそうですが、ラヴクラフトの流れを汲む怪奇小説的なクライマックスの連続で、妖しげな世界観としては正しいものになっていて、バンドのビジョンが忠実に再現されている一枚になっています。 |
同系統アルバム DREAMLAND MANOR/SAVAGE CIRCUS BURNT OFFERINGS/ICED EARTH THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL |
UNITED ABOMINATIONS/MEGADETH |
ユナイテッド・アボミネイションズ/メガデス |
ROADRUNNER RRCY-21285 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカンスラッシュメタル四天王の一角、復活なったメガデスの11枚目のアルバムです。前作とはメンバーも一新し、ライヴでのメンバーにベーシストには元ブラック・レーベル・ソサエティーのジェイムズ・ロメンゾが加わっています。リリカルなイントロで何だか不安になってくるアルバムは、切れ味鋭いクランチーなギターリフが炸裂する頃になるとすっかり落ち着いて聴けるようになったりで、リフまたリフの応酬に唸り節が吐き捨てられてギターが荒れ狂うメガデスサウンドが展開されていきます。メロディアスなギターが紡がれる正統派メタルナンバーな2はギターバトルの妙が堪能できる怒りに満ちた楽曲。三点リーダーな3は「RUST IN PEACE」あたりの曲っぽい展開を見せるテクニカルなナンバー。くたばれ国連なタイトルトラックは寂しいイントロからナレーション、シニカルさが炸裂するリフとリズムで恨み節を唄い上げる虚無感が際立つミドルテンポのナンバー。Xbox 360用のアクションゲームのために書かれた5は不穏なムードがドゥーミーに進んでいくヘヴィナンバーで湿ったギターソロも飛び出す一曲、四騎士が何だか久しぶりに出てきた気がするミドルテンポの6、唸り節が続くアップテンポの7、8は「YOUTHANASIA」収録曲のリメイクでラクーナ・コイルのクリスティーナ・スカビアが参加して違う表情を見せています。皮肉めいたアメリカ糾弾のひねくれナンバーの9、不安定に進むミステリアスなナンバーの10は加速するギターソロが鬱屈感を吹き飛ばす緩急の激しい曲、ミドルテンポの11はトリッキーなビートを刻みながら怪しいメロディを紡いでいきギターバトルから加速していきます。ボーナストラックはレッド・ツェッペリンのカバーが収録されています。 さすがにヤク中の頃の異常な切れ味が戻ることはありませんが、前作の延長線上にあるサウンドが「CRYPTIC WRITINGS」あたりのバラエティに富んだ楽曲と共に更に研ぎ澄まされて展開されていく様は、メガデス完全復帰の手応えを感じさせます。新しいギタリストもムステインに負けず劣らず弾きまくるスタイルで二人の壮絶なギターバトルや、すっかり元に戻った社会批判満載のムステインのスネオ節も炸裂してメガデスワールドが全開です。初期のダイハードなファンにはまだまだ物足りない代物ですが、クリーンになってからのメガデスとしてはファン層も広がりそうで何だかバカ売れしそうな雰囲気の、ジャック・バウアーも一押しの一枚になってます。 |
同系統アルバム METAL/ANNIHILATOR THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL SODOM/SODOM |
INTO THE LIGHT/NUCLEAR BLAST ALLSTARS |
イントゥ・ザ・ライト/ニュークリア・ブラスト・オールスターズ |
VICTOR VICP-63819-20 [EXTRA] >>>>>BUY...?ヘヴィメタル界隈では足を向けて寝られない気がする、ドイツのインディペンデントレーベル、ニュークリア・ブラストの創立20周年を記念して製作された企画アルバムの第一弾です。アルバムの製作の中心に立ったのはレイジで活躍するマルチプレイヤー、ヴィクター・スモールスキ。更にベースにはピーター“ピーヴィー”ワーグナー、ドラマーには新たにレイジに加入した新人が加わって、ある意味新生レイジのお披露目的な側面もあったりします。トビアス・サメットが唄うソリッドなメロディックメタルナンバーの1からレイジ色と個々のヴォーカリストのイメージに近いサウンドが展開されていくアルバムは、各々のバンドで作れそうで作れない微妙なバランスの楽曲が揃えられています。次回作も期待大の新生レイジのヘヴィでアグレッシヴな2は邪悪なムードも伴ったタフでスリリングな一曲、ソナタ・アークティカのトニーカッコが唄う3はソリッドなリフが元バンドを忘れさせるアップテンポのメタリックナンバーで、キラキラキーボード以外はヘヴィさが印象に残るドラマティックな一曲。元セリオンのマッツ・レヴィンが参加した4は女性ヴォーカルも加わってセリオン風味の重厚な展開を孕むシンフォニックなダークナンバーで作曲能力の高さが伺えます。ピーヴィーの昔馴染みな勝手知ったるデストラクションのシュミーアが参加した5は初期レイジかデストラクションかと言うハイテンションスピードナンバー、って言うか書けるじゃんこんな曲!レイジで聴きたいよな!ミステリアスなムードが高まる6はヴィクター・スモールスキのもう一つのルーツであるマインド・オデッセイ風のプログレッシヴな感覚を持ったナンバーで、唄うはブラインド・ガーディアンのハンズィ・キアシュ!ミスマッチな感触が新しい一曲。スリリングなメタリックリフが炸裂する7はハロウィンのアンディ・デリスが唄う、かなりハロウィンっぽいメロディアスながら硬質な一曲で、滑らかなギターソロと言いそういえば近いルーツだったなあと思い出させます。ヘヴィネスが支配する8はコミュニックのオドレイフ・ステンスランが参加した曲で悲壮感と哀愁が高まる異質のナンバー。ナイトウィッシュのマルコ・ヒエタラが唄う9はスリリングで華麗なフレーズが舞うメロディックパワーメタルナンバー。そしてスリリングなインストパートから元ナイトウィッシュのターヤ・トゥルネンが唄うリリカルで壮大なバラードナンバーでアルバムを締めます。 ディスク2は所属アーティストのサンプラー集で、あまり見かけないバンドや期待の新曲などが収録されています。 余所の企画アルバムとは異なり、中心人物のヴィクター・スモールスキが作曲を全て手がけたという事で全体の統一感が生み出されており、様々なアーティストのコラボレーションによるゴッタ煮感や意外性は少ないものの安心して聴けるものになっています。演奏しているメンバーがレイジでサウンドプロデュースもレイジなので、やっぱり出てくる音はレイジな訳ですが、サビにくると個々のヴォーカリストの特性が前面に出てきて、やっぱり違う感覚を味あわせるあたり芸風の広いヴィクター・スモールスキの手腕が発揮されるところです。ピーヴィーがバンドに曲を残しといて!と言いたくなるキャッチーなナンバーが揃った、様々なアーティストが混在するニュークリア・ブラストのメロディアスでピュアメタルな側面が楽しめる一枚です。 |
同系統アルバム THE ALL-STAR SESSIONS/ROADRUNNER UNITED SPEAK OF THE DEAD/RAGE GOTHIC KABBALAH/THERION |
DIVINE GATES PART III - THE LAST GATE/SKYLARK |
ディヴァイン・ゲイツ・パート3-ザ・ラスト・ゲイト/スカイラーク |
SOUNDHOLIC TKCS-85167 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ネットメタル界隈では伝説のイタリアンメタルバンドの8枚目のアルバムです。男性ヴォーカリストは完全に脱退しました。寸劇のイントロの1から、彼らのライフワーク的なストーリーが展開されていくアルバムは、叙情メロディと疾走感が交錯するシンフォニックメタルな2から線の細い女性ヴォーカルが歌い上げるドラマティックなサウンドが繰り出されていきます。伝説のメタルウォーリアーが何の因果か参加した3は日本語詩も登場して哀愁と勇壮さがせめぎ合う、扇情的なギターソロも印象的なメタルナンバー。叙情的なメロディでゆったりと進むソフトなナンバーの4、キラキラキーボードが炸裂して疾走するインストゥルメンタルの5、リリカルなバラードナンバーの6、哀愁メロディでスピード感を上げていく7は起伏も激しい展開を見出せる劇的ナンバー。シアトリカルな歌唱でストーリー性を高めていく8はコーラスワークが印象的なキラキラナンバー。9は「DIVINE GATES PART II -GATE OF HEAVEN-」収録曲のリメイク、緩急自在の展開の細かい10はドラマティックに飛翔するどんでん返しなストーリーが衝撃的な一曲。 ボーナストラックは前作収録曲のリメイクが二種類収録されています。 素人に毛の生えたみたいな女性ヴォーカルもさすがに多少は上達して、ギリギリお金を取れるくらいになった感じですが、楽曲自体はディヴァイン・ゲイツ・パート3を名乗るだけあって彼らのイメージ通りのシンフォニックでクラシカルなスピードメタルが展開されていき、さらにトミー・ハンセンのサウンド作りもこれまでのマイナー感を払拭するものになっています。バンドの状況は混沌としていますが、自分達の本来のサウンドを取り戻したファンも満足できそうな一枚になっています。 |
同系統アルバム AFTER FOREVER/AFTER FOREVER TAROT/DARK MOOR THE GRAND DESIGN/EDENBRIDGE |
UNIA/SONATA ARCTICA |
ウニア〜夢記(ゆめのしるし)/ソナタ・アークティカ |
MARQUEE MICP-10658 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの5枚目のアルバムです。不安感を孕んだメロディアスなイントロからハイトーンヴォーカルがセンチメンタルなメロディを歌い上げトリッキーなインストを聴かせるアップテンポのプログレハード風の1から始まるアルバムは、これまでのスピードメタルのイメージを払拭するサウンドを展開していきます。哀愁帯びたメロディで進むアップテンポの物悲しい2、ロマンティックでもやっぱり物悲しいミドルテンポの3、情念深いヴォーカリストが感情を露に唄いあげる4はコーラスワークもセンチメンタルなミドルテンポのナンバー。牧歌的ながら哀愁帯びたスローバラードの5、ナレーションとピアノのイントロから北欧叙情ムードが高まる輪唱コーラスも劇的なスローナンバーの6、メタリックなリフを刻みつつドライヴ感を生み出すアップテンポの7はクィーンばりのキャッチーなコーラスワークが印象的なファンタジックナンバー。ヘヴィリフと哀愁ヴォーカルが交錯してスリリングに二転三転していく展開の激しい8、アッパーな空気でキラキラしながらトリッキーに走ってみるスリリングな9は以前の楽曲を少し思い出させます。重厚なムードで情感を高めていくスローな10、ワイルドなムードで迫るミドルテンポの11はオペラティックな展開を見せ、女性ヴォーカルも加わったバラードの12でアルバムを締めます。ボーナストラックの13はピアノの響きが切ない哀愁ナンバー、14はゲイリー・ムーアが唄ったことで知られる有名曲のカバー、15は8のインストバージョンが収められています。 北欧的な繊細なメロディアス路線に特化してみたアルバムは、これまでの切迫感とか焦燥感がかなり失われて丸くなったゆったりとした空気が流れていく楽曲が揃えられています。スピードという武器を手放してしまうと、本質的にはそんなに特徴が無いサウンドだったんだなあ、と思わされたりする凡庸さが目立ってしまう結果になっていますが、良質なメロディがそこかしこに残る一枚になってました。まあ“Out In The Fields”は名曲だ。 |
同系統アルバム AFTER FOREVER/AFTER FOREVER TAROT/DARK MOOR THE GRAND DESIGN/EDENBRIDGE |
SWINELORDS/TWILIGHTNING |
スワインローズ/トワイライトニング |
UNIVERSAL MUSIC UICO-1126 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの3枚目のアルバムです。キーボーディストが脱退しています。絞ったヴォリュームのイントロからダイナミックなリフが展開されるヘヴィナンバーの1からドライヴ感の強いハードロッキンな楽曲満載のアルバムは、表現力豊かなヴォーカルと湿ったメロディが有機的に絡み合う熱気あふれるものになっています。キャッチーなメロディとアッパーなビートでドライヴ感を高める2はアメリカンな感覚が強まったパワフルなハードロックナンバー、ダイナミックでメタリックなリフを繰り出して哀愁帯びたパートと躍動感強まるパートの起伏の激しい展開を見せるアップテンポの3、乾いたメロディが印象に残るミドルテンポの4、ヘヴィなビートからアップテンポに展開する情感豊かなテクニカルロックナンバーの5、オーセンティックなメタルリフでポップなメロディを展開していく6は躍動感あふれるロックナンバー、アコースティックギターの響きに導かれる7は大陸的な感覚を持った乾いたナンバー。トリッキーなビートで熱気あるハードロッキンなムードを作り出す8、クランチーなリフで進む9はメタル色を強めつつメロディックに展開していく変則的な曲。哀愁はらむメロディがセンチメンタルな雰囲気に飲み込まれていく10、ボーナストラックの11は湿ったメロディの物悲しさが残るロックナンバー。 メロディアスな骨太ロックサウンドを作り出しているアルバムは、オーセンティックな雰囲気をまとったライヴ感の強いものになっているものの、曲中の仕掛けが全体の印象に影響を与えるほど組み込まれていて彼らの独自性に繋がっています。雰囲気としてはストレートなロックが期待されつつも考えオチみたいな捻った展開をやってしまう辺りが、とてもフィンランド的な気がしないでもないですが、何だかモヤモヤしたものが残るロックサウンドが詰め込まれた一枚になってます。 |
同系統アルバム ROCKET RIDE/EDGUY [Limited Edition] REALITY/WINGDOM THE FINAL REQUIEM/AXENSTAR |
■ | JuneDREAM THEATER | FREEDOM CALL | ICED EARTH | INSANIA | IRON SAVIOR | KAMELOT | KORPIKLAANI | NOCTURNAL RITES | SCARVE | 3 INCHES OF BLOOD | |
SYSTEMATIC CHAOS [SPECIAL LIMITED EDITION]/ |
システマティック・ケイオス(スペシャル・リミテッド・エディション)/ドリーム・シアター |
ROADRUNNER RRCY-29143 [☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカンプログレメタルの雄の9枚目でロードランナーレコード移籍第一弾アルバムです。ミステリアスでテクニカル、雄大なインストゥルメンタルナンバーで幕を開けるアルバムは、二部に分かれた長編の1から宗教的な側面を強めるエモーショナルでダイナミックな展開を携えた楽曲を展開しており、続く2ではノイジーなギターリフが繊細なメロディと交錯していくドラマティックな展開を見せていきます。緊張感を高めるリズムとヘヴィなリフで構成される3はメタリックな側面が強調されるアグレッシヴな一曲。イーヴルな感覚のヘヴィメタリックなリフが唸る4はラウドなミドルテンポのナンバーでテクニックを見せ付けるインストパートが圧巻。アルコール依存症対策のダークな長編の5、イラク戦争批判の6は物悲しいムードのキャッチーなドラマティックナンバー、壮大な長編劇的バラードの7は終盤のインストバトルがアクセント。1から続く、そんなに引っ張らなくてもいいんじゃないかなのやっぱり超大作のダークファンタジー組曲の8はドリーム・シアター全部入りのサービス満点の一曲になってます。 テクニカルなプレイと力強いヴォーカルのパフォーマンスが織り成すドリーム・シアター的音空間は、いつも通りの安定感を見せておりファンタジーと社会問題の提起が渾然と存在する歌詞が色んな意味でケイオス。そこら辺が正にバンド内の意思疎通なぞ知ったこっちゃない感が伺えますが、それはさておき、判りやすいのに咀嚼しにくく魅力はあるのに釈然としない彼ららしさがあふれる一枚になってます。 |
同系統アルバム DIFFERENT SHAPES/DGM AURORA CONSURGENS/ANGRA CHIMERA/ANDROMEDA |
DIMENSIONS/FREEDOM CALL |
ディメンションズ/フリーダム・コール |
KING RECORD KICP-1243 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンメロディックメタルの5枚目のアルバムです。ギター、ベース、キーボードと相次ぐ脱退と言う困難を乗り越えて製作されており、現在は4人体制になっています。大仰でスペーシーなイントロダクションから始まるアルバムは、メンバー交替の余波を感じさせない彼ららしさが溢れるサウンドが展開されており、スリリングなファストパートから雄々しいコーラスを絡めつつドラマティックに展開する2はモダンさも感じさせつつ、ファンタジックでメロディアスな展開で盛り上げるスピードナンバーで、ファルセットを駆使するハイトーンもロマンティックに迫ります。湿ったメロディと勇壮なムードが交錯するバンド名のクワイアも熱いヘヴィメタルアンセムの3ではクイーン風のコーラスワークも加わってドラマティックに展開します。ハロウィン風のポップでキャッチーなアップテンポのロックナンバーの4、牧歌的なメロディを加えつつヘヴィに迫る5は華やかなコーラスで一気にムードを一変させるドラマティックナンバー、ピアノの物悲しい調べに導かれる6はイントロの空気を吹き払う明るいメロディとオペラティックな歌唱で盛り上げるガンマレイ的なファンタジックナンバー。リリカルなバラードナンバーの7、情念が立ち込める8はエモーショナルなクワイアが印象的なヘヴィナンバー。メロウなキーボードを絡めつつアップテンポで進むタイトルトラックは畳み掛けるコーラスも厚いドラマティックな一曲。湿り気帯びるメロディが希望に満ちた光を放っていくミドルテンポの10、ドラマティックなイントロからシャッフルしていく11はキャッチーなサビで盛り上げます。フォーキーな雰囲気で盛り上げる12は牧歌的な味わいがクワイアによって彩られる明るいアップテンポのナンバー。ボーナストラックはセカンドアルバムからの楽曲のアンプラグドバージョンで、曲の骨格がはっきりしてメロディが際立っています。 メンバーチェンジが自分達の方向性を再認識させる事になったアルバムは、これまでの試行錯誤と伝統的なサウンドが一体となった魅力あるメロディックメタルとして結実しています。勇気と希望を与える明るい曲調と扇情的ながらも優しいヴォーカルが織り成す、輝く未来に彩られたファンタジー世界を創り出していく安定感を保つ一枚です。 |
同系統アルバム KEEPER OF THE SEVEN KEYS -THE LEGACY-/HELLOWEEN MAJESTIC/GAMMA RAY TAROT/DARK MOOR |
OVERTURE OF THE WICKED/ICED EARTH |
オーヴァーチュア・オヴ・ザ・ウィキッド/アイスド・アース |
SPV 98083 CD-5 [SINGLE] >>>>>BUY...?アメリカンパワーメタルの雄、アイスド・アースが今秋発表予定の8枚目のアルバムに先行するシングルです。メンバーは中心人物のジョン・シェイファーとヴォーカルのティム・オーウェンス以外は不安定なのもいつも通り。スラッシーなギターリフと強力なハイトーンヴォーカルがアグレッシヴに迫る新曲の1は前作からの流れを受け継ぐ勇猛さと哀愁が絡みつく劇的パワーメタリックな一曲ですが、問題の「SOMETHING WICKED THIS WAY COMES」収録の“SOMETHING WICKED”トリロジーのリメイクは原曲のヴォーカルが持っていた悲壮感とか哀愁感とか叙情感がパワーヴォーカルによってすっかり塗り替えられている硬質でタイトなアレンジが施されていて、特に“PROPHECY”辺りはかなり印象が変わっています。“BIRTH OF THE WICKED”は力押しのスピードナンバーなので、それほど違和感は感じませんが、ギターソロが大幅変更で何だかメガデスっぽく。“THE COMING CURSE”はコーラスワークが強めでテンションが上がりきらない感じがもどかしく。というわけで、ティム加入後の曲は良いとして、それ以前の曲ってライヴでどうなんだろうなあ、と心配になってしまう一枚でした。 |
AGONY - GIFT OF LIFE/INSANIA |
アゴニー〜ギフト・オヴ・ライフ/インサニア |
MARQUEE MICP-10667 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの4枚目のアルバムです。ギタリスト二人とキーボーディストが脱退という事態を乗り越えて製作されています。新しいギタリストにはジェイデッド・ハートのピーター・オストロスを迎えています。壮大で緊迫感高まるイントロダクションから、キーボードとギターが絡みつくドラマティックサウンドに粘りのあるハイトーンヴォーカルが朗々と響くダイナミックな展開を見せる2へと進むアルバムは、フラッシーなソロパートも絡めつつ煌びやかなサウンドを作り出していきます。オーガニックなギターとキャッチーなコーラスワークが印象的な3はセンチメンタルなサビでドラマティックなムードを作り出すミドルテンポのナンバー、哀愁の湿り気帯びたメロディが響く4は苦悩と希望が交錯するキャッチーなナンバーでインストパートの密度がコントラストを生み出します。コーラスワークと伸びやかなサビが飛翔感を作り出すファンタジックでシンフォニックな劇的ナンバーの5、柔らかなメロディを聴かせるパワーバラードの6、スリリングに迫る7はタイトなギターリフで疾走する起伏も激しいパワーメタリックな一曲。物悲しいメロディのキーボードに導かれる8はテンション高めのヴォーカルが高音域で引っ張るダイナミックなアップテンポのナンバー。古いレコード風演出からピアノのイントロを経てドラマティックに展開していく壮大なエモーショナルナンバーの9、シンフォニックなイントロから哀愁帯びたキャッチーなメロディを繰り出していく10はポップさと叙情感がミックスされたアップテンポの曲。ミステリアスなムードのバラードの11、情念高まるムードが曲展開とシンクロしていく12は広がりを感じさせるドラマティックナンバー、ボーナストラックの13はピアノをバックにしっとりと唄い上げるバラードが収録されています。 ハロウィン系の先達の影響下にあるドラマティックメタルなスタイルは、このアルバムでは借り物部分が薄まりつつある、もしくは気にしなくてもいいくらいに消化されていて、ハードロック畑のギタリストのインプットのお陰か、中音域を唄うハモンド使いのキーボーディストの影響かソロパートも良いアクセントになっています。ハイトーンヴォーカルは冷静に聴くとギリギリ感がちょっと落ち着かない感じを与えますが、このメジャーキーによる明るい曲調のメロディックメタルとの組み合わせはそんなに悪くない、バンドの心機一転を図る一枚になっています。 |
同系統アルバム THE FALL OF AN EMPIRE/FAIRYLAND LUXAETERNA/AQUARIA DIFFERENCE/DREAMTALE |
MEGATROPOLIS/IRON SAVIOR |
メガトロポリス/アイアン・セイヴィアー |
MARQUEE MICP-10666 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンパワーメタラーの6枚目のアルバムです。スペーシーなSFな設定の多かった彼らですが今回はディストピア的な未来世界を描き出しています。パワフルでソリッドなギターリフを叩きつけながら力強いヴォーカルが湿ったメロディをハイテンションで歌い上げていくスピードナンバーの1から彼らの本領が発揮されたアルバムは、高揚感高まるキャッチーなコーラスを絡めたダイナミックなヘヴィメタルを作り出しています。哀愁メロディがアップテンポで突き進む2はドラマティックなサビで盛り上がるエモーショナルな一曲。ヘヴィリフで威圧的に迫る3は邪悪さが高まるスリリングなミドルテンポのナンバー、唸りを上げるパワーリフでドライヴするタイトルトラックはレイジを彷彿とさせるスピード感と湿り気を帯びるメロディが特徴のダイナミックな一曲。叙情的な感覚が高まる5は哀愁のコーラスで盛り上げるアクセプト的なハードナンバー、ドライヴするアッパーな6はスリルを感じさせるシャープな感覚が熱血パワーメタルと融合するナンバー、ヘヴィリフがダークな音像を描き出す7は暗い情念高まるドラマティックな一曲。不穏なリフがエモーショナルなヴォーカルと共に希望の光に向かっていくミドルテンポの8、ハイテンションで吹っ飛ばすロッキンメタルな9、唸りを上げて突き進むメタリックなリフに導かれる10は強靭な意志を感じさせる強力な劇的パワーメタルナンバー、ボーナストラックの11は“IRON SAVIOR”と“WATCHER IN THE SKY”をメドレー形式で繋いだ一曲。 ダークな世界観に導かれるように、シリアスなムードが少し強まった哀愁と勇壮さが渾然一体となって攻め立てるサウンドは、ジャーマンパワーメタルのスタイルに忠実な強靭なものです。スタイル的にはこれまでと全く変わらない信念と自信に満ちたものですが、レコーディングの方法を多少変え曲の完成度を高めたこともあって、ギターソロの充実度など楽曲の説得力と求心力が増した感が強くなっています。個々の楽曲にとどまらず、アルバム自体のダイナミズムも高まった渾身の一枚です。 |
同系統アルバム NOTHING TO UNDO -CHAPTER SIX-/METALIUM REVENGE/IRON FIRE UNITED/DREAM EVIL |
GHOST OPERA/KAMELOT |
ゴースト・オペラ/キャメロット |
KING RECORD KICP-1231 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ノルウェー出身のヴォーカルを擁するアメリカン・メロディックメタル・バンドの8枚目のアルバムです。ツアーに同行していたキーボーディストが正式メンバーになっています。ヴァイオリンの物悲しい響きのイントロダクションから、ヘヴィで不穏な空気を演出するギターリフへと進行するダークなドラマティックナンバーの2へと展開するアルバムは久しぶりにコンセプトの無いフリースタイルなサウンドを作り出していますが、やっぱり統一されたトーンを感じさせます。タイトルトラックの3は曲名だけでノックアウト気味のドラマティック展開が炸裂する暗く狂おしい悲劇を描き出す渾身の一曲。黒いうねりを生み出すギターリフの響きも物悲しい旋律に溶け込むリリカルでヘヴィな4、陰鬱としたムードが繊細に紐解かれていく不穏なミドルテンポナンバーの5、女性ヴォーカルとのデュエットでセンシティヴなラブバラードを描き出す6、シンフォニックに不安感あふれるムードを演出していく7はダークな空気を保ちながら進む劇的ヘヴィナンバー。荘厳なコーラスから緊張感を高めながら進む8はミステリアスに迫るミドルテンポのナンバー、センチメンタルに疾走していく9は哀愁高めつつ盛り上げるスピードナンバー。繊細で美しいメロディが静かに迫るエモーショナルな10、ピアノとメタリックなリフが渾然となって迫るダイナミックな11はスケール感も大きくドラマティックにフィナーレを迎えます。ボーナストラックの12は叙情的に迫る情感豊かな一曲。 前作の流れを受け継ぐヘヴィでダークな世界観が貫かれているアルバムは、コンセプトは存在しないものの同質のヴィジョンを持った彼ららしい耽美で妖しいサウンドが紡ぎだされていきます。しかし、悲壮感が全体を覆いつくすため、躍動感とか攻撃性とか緊迫感と言った鳥肌が立つようなメタル的要素がかなり減退して、更にコンセプトによって裏打ちされていた楽曲を底支えする物語性のダイナミズムもピークに達しないので、不完全燃焼気味の楽曲が多いと感じさせます。充分及第点のアルバムでも色々注文をつけたくなるのは、更なるクオリティを求められるバンドの宿命かもしれませんが、既に孤高の世界を生み出すバンドの次への飛躍の序奏みたいな雰囲気の一枚です。 |
同系統アルバム FLOW/CONCEPTION CHRIST 0/VANDEN PLAS AFTER FOREVER/AFTER FOREVER |
TERVASKANTO [LIMITED EDITION]/KORPIKLAANI |
コルピと古の黒き賢者(初回限定盤)/コルピクラーニ |
HOWLING BULL HWCY-9002 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランドの呑んだくれヴァイキングどもの4枚目のアルバムです。アコーディオンの哀愁の調べに導かれてダミ声ヴォーカルが吼えるアルバムは、フォーキッシュに躍動し物悲しさを湛えながらも踊りたくなるようなアッパーな1からちょっとお酒が抜け気味のサウンドが展開されていきます。タイトルトラックは郷愁を感じさせるメロディで突っ走る歌詞はシリアスながらハイテンションのドランカーな一曲。物悲しいアコーディオンの調べが染みるフォーキーな3、ダークなムードながらもドラマティックな演出を加えて疾走する4、センチメンタルなイントロからアコーディオンとギターが突撃するインストゥルメンタルの5、その空気を引き継いで突っ走る6は不幸な歌詞でも馬鹿っぽい。切ないギターの調べがエモーショナルなメロディへと展開する7はアップテンポの力強い曲。その曲名はどうなんだ、と言う8は威勢良くアッパーに突っ走る暴走ナンバー、叙情メロディを奏でつつ起伏激しく突き進む9、ミドルテンポの10は哀愁メロディが押し寄せる情感豊かな一曲、11はアルバムを締めくくるフォーキーなインストゥルメンタルナンバー。 酔っ払ってハッピーな前作より、シリアスなムードが高まってフォーキッシュな部分が前面に出てきたサウンドは、バンドの別の面を見せる祭祀的なものになっています。これまでの酔った勢いは落ち着いて調整された感情表現によってバンドの意図を明確なものにしており、進歩を感じさせるサウンドを見せる一枚です。初回限定のDVDは前身バンドから、最新クリップまでこれまでのバンドの足跡を辿るビデオクリップ集でファンなら必携って感じでしょうか。 |
同系統アルバム VICTORY SONGS/ENSIFERUM THE WINTER WAKE/ELVENKING TURIS FRATYR/EQUILIBRIUM |
THE 8TH SIN/NOCTURNAL RITES |
第八の罪/ノクターナル・ライツ |
VICTOR VICP-63835 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの8枚目のアルバムです。パワフルなギターリフとビートが印象的な1からハスキーヴォーカルの哀愁メロディが炸裂する突き抜けるようなドラマティックメタルが飛翔するアルバムは、北欧メロディックデスメタル的な叙情感も湛えつつ扇情的に迫り、モダンな感覚のシャープでソリッドなギターリフを繰り出しつつエモーショナルなヴォーカルが情感たっぷりに唄いあげていくミドルテンポの2へと進んでいきます。シンフォニックで壮大なイントロから導かれる3は哀愁あふれるエモーショナルなミドルテンポのナンバー、叙情メロディでキャッチーに進むミドルテンポのポップな4、メロデス風に突っ込むアップテンポのアグレッシヴな5でも伸びやかなコーラスパートが印象的。ゴシック風味のセンチメンタルな感覚が強まるミドルテンポの哀愁ナンバーの6、更にミステリアスなムードを高めるドラマティックな7、ムードを一変してタイトなビートを刻む8はダイナミックでハードな一曲。ピアノのイントロから情感高めるバラードの9、ボーナストラックの10は湿った空気が叙情的に高まるスローナンバー。シンフォニックな演出とハードなアタック感を融合させるヘヴィな11、12はリリカルなインストゥルメンタルナンバー。 正統派メロディックメタルとして完全にスタイルを確立したバンドの自信を感じさせる余裕のある一枚になってます。 |
同系統アルバム BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND WALK THE EARTH/SILENT FORCE EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE |
THE UNDERCURRENT/SCARVE |
ジ・アンダーカレント/スカーヴ |
MARQUEE MICP-10669 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フランス出身のバンドの4枚目のアルバムです。ツインヴォーカルの一人ギョーム・ビドーがネミックに加入しバンドを脱退したため、元ダーケインのローレンス・マックロウリーを迎えて製作されています。が、ローレンス・マックロウリーは既にバンドを離れた模様。不穏なマーチングドラムに導かれるうねるギターリフが殺傷力も高く突き進んでいく1からテクニカルデスメタルを作り出していくアルバムは、破壊力満点の起伏の激しい突進ナンバーの2でもエキセントリックなハイトーンとデスヴォイスのツインヴォーカルが鮮やかに緊迫感を生み出していきます。轟音の壁で圧迫していく3は非人間的に突き進む凶悪ナンバー。物悲しいメロディを孕みつつ暗い感情を露にしていくヘヴィで不穏な4、威嚇的に突進していくアグレッシヴでタイトな5、オーヴァードライヴするギターリフと激しいドラムによって切り刻まれていくブレイク多用の緊迫した6、不安感を高めるイントロからリリックなムードを演出していく7は爆発的な感情の奔出で盛り上げる展開の大きいナンバー。不穏なムードでテクニカルなビートを刻んでいくダークでヘヴィな8、ボーナストラックの9、10はライヴ音源、11は8の唄無しバージョンが収録されています。 テクニカルな要素とヘヴィでアグレッシブなサウンドが、冷酷な世界を生み出していくアルバムは、新たなヴォーカルを迎えても独自の世界観を変えずにシャープでスタイリッシュな楽曲を揃えています。メタリックでマシーナリーながらもスパークする感情を爆発させていく安定感のある一枚です。 |
同系統アルバム PASSENGER/MNEMIC PITCH.BLACK.EFFECTS/CALLENISH CIRCLE UNSU/LYZANXIA |
FIRE UP THE BLADES/3 INCHES OF BLOOD |
ファイアー・アップ・ザ・ブレイズ/3インチズ・オヴ・ブラッド |
ROADRUNNER RRCY-21286 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?カナディアン・スピードメタラーの三枚目のアルバムです。二人のヴォーカリスト以外交替という非常事態にも関わらず、プロデューサーにスリップノットのドラマー、ジョーイ・ジョーディソンを迎えて無事完成に漕ぎ着けています。唸りを上げる不穏なギターの響きが高まるマーチ風のイントロから一転、突進力と破壊力にあふれるスピードメタルを展開していくアルバムは、炸裂系のデスヴォイスとヒステリックなハイトーンヴォーカルが渾然一体となって迫る切れ味鋭いギターリフで押しまくり、ギターソロも壮絶なハイテンションの2へと進んでいきます。パワーメタリックなリフでザクザク切り刻むスラッシーでダイナミックな展開の3、更にドライヴ感を高めて突っ走る4は起伏の大きい展開にハモンドオルガンも加わった高速正統派ナンバー。高圧のギターリフで圧迫感を高めていくミドルテンポで不穏な5、既に本家よりも熱いアイアン・メイデン風疾走ナンバーの6、メガデス風のキレのあるリフで突進する7は攻撃性も露にキメの高速フレーズを叩き込んでいきます。ヘヴィロック的なルーズな雰囲気を生み出す8はキャッチーなメロディでドライヴしていきます。スレイヤーを思い出させるスラッシーな9はブラストビートも繰り出す怒涛の疾走ナンバー。メロディアスなリフでダイナミックに進むギターソロもドラマティックな10、ムードを引き継ぐ11はメイデン風のアップテンポのナンバーでドラマ性を高めていきます。ソリッドなリフが鋭角なイメージを生み出す12は劇的な展開で盛り上げます。13はメイデンなインストナンバー。ボーナストラックの14はタフなギターリフでタイトに迫る物語性の強いメタリックな一曲。 似たスタイルのデスヴォイスとダーティなハイトーンのダブルヴォーカルは一人でも何とかなるんじゃないの?と思わせるものの、純粋に正統派メタルを高速化してハイテンションで突き進む様は中途半端な妥協を感じさせず清々しいもので、メタルへの愛情をたっぷりと味あわせてくれます。ヘヴィメタルファンの琴線に触れるヘヴィメタルファンの熱意が生み出した強力な一枚です。 |
同系統アルバム THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL BELIEVE/BURNING IN HELL ENTER DECEPTION/CELLADOR |
■ | JulyBLOOD STAIN CHILD | CHIMAIRA | DUNGEON | 陰陽座 | RIDE THE SKY | SYMPHONY X | THRESHOLD | TURISAS | U.D.O. | |
MOZAIQ/BLOOD STAIN CHILD |
モザイク/ブラッド・ステイン・チャイルド |
M&I RECORDS MYCP-30427 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?大阪発フューチャーメタルバンドの4枚目のアルバムです。専任ヴォーカルが加入、ギタリストが交替して製作されています。キーボードのデジタルな響きに荒々しいドラミングが重なる炸裂系デスヴォイスの突撃メロデスナンバーの1から叙情的なメロディを満載した楽曲が揃ったアルバムは、畳み掛けるギターリフが緊迫感を増していくスピードナンバーの2では衝動を爆発させていき、アップテンポのダンサブルなビートに導かれる3はデジタルエフェクト満載で女性ヴォーカルも加わって激情を高めていきます。ドラマティックなイントロからアグレッシヴに突き進む4はテクノなパートやノーマルヴォイスとのコントラストを生み出しながら加速していきます。ミドルテンポからアップテンポに移行していく5はセンチメンタルな感情を吐露していくエモーショナルな曲、ユーロビート風のキーボードと荒れ狂うデスヴォイスが交錯する6、叙情感たっぷりのメロディが琴線に触れる7は女性ヴォーカルも加わったゴシック風ナンバー、スピード感が心地いいトランスナンバーと化した8、ピアノの調べが物悲しい9はドラマティックに崩壊していくダイナミックな曲。哀愁メロデス疾走ナンバーの10、叙情ナンバーの11は情感を高めていく劇的なミドルテンポの曲。ボーナストラックには全然イージーじゃないスーパーハードなTRFのカバーが収録されています。 小室哲也がメロデスのアレンジも手がけてみました、みたいなテクノサウンドを大胆に導入したアルバムは、叙情メロデスを研究し尽くして新しい道へと進もうとするバンドの意志を強く感じさせるもので、曲名などに現れるガンダム含む日本のポップカルチャーをバックグラウンドにした独自性を打ち出すのに成功しています。貪欲に新しい音を求める姿勢が聴き手を巻き込んでいく求心力のある一枚になっています。 |
同系統アルバム COME CLARITY/IN FLAMES LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST PITCH.BLACK.EFFECTS/CALLENISH CIRCLE |
RESURRECTION/CHIMAIRA |
リザレクション/キマイラ |
NUCLEAR BLAST XQAN-1048 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?米国産エクストリームバンドの4枚目のアルバムです。オリジナルドラマーが復帰して製作されています。パワフルで邪悪なギターリフを問答無用で叩きつけてくるデスヴォイスが咆哮する起伏の激しいアグレッシヴナンバーの1から緊迫感と緊張感が高まるアルバムは、唸りを上げるギターリフがソリッドに詰め込まれる2ではクリーントーンのコーラスも加わった冷酷な感覚を生み出していきます。緊張感高まるドラムロールから怒涛の突進力を見せる3はラウドなコーラスで威圧感を強め、フラッシーなギターソロで爽快感を加えます。恐怖感を煽るイントロダクションから陰鬱な空気を生み出していく4はヘヴィなリフで圧迫感を強める邪悪なムードと冷気が交錯するナンバーで、クリーンヴォイスからのメロディアスパートがシアトリカルな舞台を整え、前半と後半の様相を一変させます。破壊力のあるドラミングからの5は楽器が一体となった重量感で押し込むダイナミックなナンバーで、クリアーなギターソロが一服の清涼感を生み出します。呪詛めいたヘヴィネスを生み出す6、ホラー風味のSEからヘヴィリフを繰り出す7は邪悪感を増幅させながら密度を高めていきます。畳み掛けるリフの猛襲で一気呵成に攻めあがるテスタメントを彷彿とさせる8、アグレッシヴに突き進む凶悪な9ではエモーショナルなギターソロがムードを変えます。唸りを上げるヘヴィリフが呪いめいて聞こえ出す10は加速して壮絶さを作り出します。重厚さと激しさが細かく交錯していくアグレッシヴな11は加減速を繰り返しつつ邪悪な空気を強めていきます。 邪悪で不穏なムードが立ち込めるドス黒いサウンドが充満したアルバムは攻撃性を露にする壮絶さと叙情感が微妙に交錯していき、嵐のような緊迫感を生み出していきます。内から沸き起こる怒りが抑えきれずに噴出していく様が聴き手を巻き込んでいく凶悪な一枚です。 |
同系統アルバム PASSENGER/MNEMIC PITCH.BLACK.EFFECTS/CALLENISH CIRCLE UNSU/LYZANXIA |
THE FINAL CHAPTER/DUNGEON |
ザ・ファイナル・チャプター/ダンジョン |
SOUNDHOLIC TKCS-85171 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?オーストラリア出身のパワーメタラーの5枚目にしてバンドの最期を飾るアルバムです。ハイトーンシャウトの雄叫びで始まるアルバムはスラッシーに食い込むギターリフで突撃する1からメロディとパワーが交錯するダイナミックなヘヴィメタルを展開させていきます。転がるリフが爽快に突っ走る2は勇壮なメロディがキャッチーなコーラスへと昇華するメロディアスなスピードナンバー、哀愁帯びるメロディで迫るスローナンバーの3は彼らの繊細な部分が前面に出たドラマティックな一曲で渾身のギターソロが印象的。殺傷力の高いクランチーなリフを繰り出していく4は扇情的なメロディで盛り上げるクライマックスみたいな劇的ファストナンバー、戦場のSEから高速リフで一気に駆け抜ける5はスピードを上げ下げしつつ、複雑な展開でスリリングに迫るパワーメタリックな曲、叙情的なメロディが心に染みるドラマティックなバラードナンバーの6はエモーショナルなギターソロとの相乗効果でムードを盛り上げます。ミディアムテンポの7はソリッドなリフとハードロック風の哀愁ナンバー。バンドの総決算となる8は過去、現在、未来のバンドのあらゆる要素をすべて詰め込んだ超大作で、壮絶なまでの劇的さが圧巻の一曲です。ボーナストラックの9はファーストアルバムの曲のリメイク、10はスリリングなインストナンバー、11は6のアコースティックバージョンが収録されています。 解散前提のアルバムと言いつつも、中身の充実度は最高レベルの密度の濃いサウンドが展開されていく様は残されたメンバーのこのバンドに掛けた思いが十二分に伝わる気迫の篭ったものになっており、最期を鮮やかに締めようとする心意気を感じさせます。周囲の不十分な環境により心ならずも解散ということになってしまいましたが、そんな事を微塵も感じさせないバンドの魂が結実した最強の一枚になっています。 そして、鋼鉄の魂は次のバンドへと…。 |
同系統アルバム WHEN EDEN BURNS/PERSUADER NOTHING TO UNDO -CHAPTER SIX-/METALIUM THE BLACK CIRCUS, Part 2 - DISCLOSURE/MANTICORA |
魔王戴天(まおうたいてん)/陰陽座(おんみょうざ) |
MAOUTAITEN/ONMYOUZA |
KING RECORD KICS-1314 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?和風正統派ヘヴィメタルの雄、陰陽座の7枚目のアルバムです。おどろおどろしいイントロから繰り出されていく土着的幽玄世界は、ドラマティックに加速する2で鮮やかな女性ヴォーカル、朗々とした男性ヴォーカルの絡みも艶かしく、溜めと決めを効果的に使った歌舞伎調フレーズやデスヴォイスも盛り込んでスリリングな楽曲を広げていきます。哀愁帯びるメロディで突き進む3はオーセンティックな感覚のヘヴィメタルで奇をてらわない安定した展開を見せています。ドライヴしていくギターリフが男性ヴォーカルメインで積み重ねられていく4はドラマ性を前面に出したアップテンポのナンバー、叙情的なメロディを紡ぎだす5はクワイアを絡めてダイナミックに迫る一曲。トリッキーなリフを刻む6はポップに迫るキャッチーなコーラスがシンガロングを呼びそうなアッパーなロックナンバー。不穏なギターフレーズで始まる7はダークでヘヴィな曲調と女性ヴォーカルの艶かしさがコントラストを生み出す曲で扇情的に迫るギターソロが印象に残ります。一転してハードな曲調になった8は男性ヴォーカルが荒々しく唄い女性ヴォーカルが切れ込むスリリングなスピードナンバー、センチメンタルなムードを高めるバラードの9、ポップなムードで突っ走る爽やかなロックナンバーの10でアルバムは幕を閉じます。 いつも通りの英語詩よりも理解に時間が掛かりそうな古典的日本語の妙に翻弄される独自の世界観を築きつつ、すっかりベテランらしい安定感と堂に入った曲作りが堪能できるアルバムは、バンドのプロフェッショナル性が完成の域に達したことを感じさせます。バンドのヴィジュアルイメージはさておき、万人向けのドラマティックで爽快感を持った楽曲を揃えた一枚になっています。 |
同系統アルバム AFTER FOREVER/AFTER FOREVER GHOST OPERA/KAMELOT DIVINE GATES PART III - THE LAST GATE/SKYLARK |
NEW PROTECTION/RIDE THE SKY |
ニュー・プロテクション/ライド・ザ・スカイ |
MARQUEE MICP-10670 [☆☆☆] >>>>>BUY...?元ハロウィン〜マスタープランのウリ・カッシュが新たに結成したバンドのファーストアルバムです。ギタリストとヴォーカリストにはTEARS OF ANGERで活動するヤンソン兄弟、ベースにX SAVIORのマティアス・グラナス、キーボードにストームウィンドのカスパー・ダールクヴィストが加わっています。煌びやかなイントロから、ハスキーなハイトーンヴォーカルが哀愁たっぷりに歌い上げるミドルテンポのドラマティックな1から伝統的ハードロックナンバーを繰り出していくアルバムは、デジタルなキーボードと荘厳なコーラスが一体となったイントロから明るいメロディが広がっていくアップテンポのキャッチーでクイーン的な2へと進んでいきます。深刻さを増したミステリアスなイントロからプログレハード的な劇的展開を見せるヘヴィな3、邪悪な空気が蔓延していく4はスリリングな展開を見せるプログレでテクニカルなスピードナンバー。不安感の高まるソリッドでエモーショナルなナンバーの5、叙情的なメロディで進む6はテクニカルなインストを見せるダイナミックなミドルテンポのナンバー、緊張感高まるメロディから不穏な空気を濃くしていく7はネオクラシカルな劇的パートで盛り上げる一曲。アップテンポでメロディアスに迫る8は哀愁メロディが染みるキャッチーなナンバー。ヘヴィネスに迫る9は暗く盛り上がるミドルテンポの曲、センチメンタルにスピードを上げていくドラマティックナンバーの10、メタリックなヘヴィさが積み重ねられていく11は哀愁のサビで開放されます。哀愁ハードロックナンバーの12は勇壮な曲展開が心地良いエモーショナルな一曲。ボーナストラックの13はイーヴルな感覚がのたうつヘヴィナンバー、14はセンチメンタルなバラードが収録されています。 伝統的なスタイルを守りつつも、プログレやAORといった要素を取り込んで多様性を見せるサウンドを作り出しているアルバムは、メンバーのバックグラウンドが浮かび上がるバラエティに富んだものです。進歩的なサウンドを目指して方向性を広げてはいるものの、それぞれの要素は既存の枠内に留まるものになっていて、全体としては保守的な印象を与えてしまうのが難ですが、ベテランアーティストが揃った安定感と懐かしさを感じさせる一枚になっています。 |
同系統アルバム WHEN DREAM AND FATE COLLIDE/FREQUENCY EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE THE 8TH SIN/NOCTURNAL RITES |
PARADISE LOST/SYMPHONY X |
パラダイス・ロスト/シンフォニー・エックス |
VICTOR VICP-63905 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ産プログレパワーメタルの7枚目のアルバムです。ミルトンの「失楽園」にインスパイアされた劇的音空間を創り出しています。荘厳で壮大なムードを演出するシンフォニックなイントロダクションを経て繰り広げられる劇的世界は、高密度の緊迫感高まるインストパートに導かれる壮絶な攻撃的ナンバーの2でダイナミックなヴォーカルとハードなドラム、テクニカルなギター、キーボードが華麗に乱舞していきます。ベースのイントロからアグレッシヴな展開を見せる3はスピードを変化させつつダークにスリリングに迫ります。ミディアムテンポの4は邪悪な部分が強調されるグルーヴィな感覚を持った曲で情感の高まりによるダイナミズムを生み出していきます。エモーショナルに盛り上げる5は哀愁漂うメロディと繊細なプレイが絡み合う濃密な楽曲、フックのあるギターリフで始まる6はドラマティックに盛り上がる哀愁正統派メタルナンバー、ミステリアスなムードを持った7はテクニカルにプログレ展開を見せながらパワフルなヴォーカルが切れ込む緊張感高まる一曲。滑らかなインストパートが飛翔していくスリリングなスピードナンバーの8はダイナミックな展開で高揚感と緊迫感を高めていく曲になっています。センチメンタルで力押しなバラードの9、扇情的なメロディのイントロから邪悪さと不安感を増大させていく劇的ナンバーの10は二転三転するインストパートの積み重ねが圧倒的です。ボーナストラックの二曲はデモバージョンのインストゥルメンタルが収録されています。 GIGANTOURで競演したバンドからの影響か、かなりハードな音像になっている今作は、作風自体はこれまでの流れを受け継ぐダークでドラマティックなものになっており、全体としては強靭さが更に増した感が強まっています。テーマに連動した暗い感情が炸裂していく様が彼らのスタイルと調和して更なる高みに達していく姿も凄まじい、4年半待たされた甲斐のある強力な一枚になっています。 |
同系統アルバム TAROT/DARK MOOR LEGEND OF THE BONE CARVER/PYRAMAZE BUILDING UP THE APATHY/SILENT VOICES |
DEAD RECKONING/THRESHOLD |
デッド・レコニング/スレッショルド |
NUCLEAR BLAST XQAN-1049 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?英国産プログレメタルの8枚目のアルバムです。ダークでヘヴィなギターリフで強力な一撃を加えて始まるアルバムは、元エッジ・オヴ・サニティのダン・スウォノをゲストヴォーカルに迎えた1からソリッドな空気とエモーショナルな感覚を鋭角に表現していくブリティッシュロックの伝統を受け継いでいきます。更にヘヴィでメタリックなリフを刻みつつキャッチーなメロディを生み出していく2、捩れるギターリフがキーボードとテクニカルに進行していく3はデスヴォイスも加わったトリッキーな一曲。不穏なイントロからピアノの物悲しい調べで展開する4はスケール感の大きいプログレナンバーで感情の高まりが曲とシンクロしていく劇的な曲になっています。優しいメロディがゆったりと描き出される中、インストパートを経て飛翔する壮大な5、不安感を煽るノイジーなギターからの6はデジタルビートも使った躍動的なナンバー、美しいピアノの調べからザクザクしたギターリフが展開されていく7は多彩なパートが印象に残る一曲。壮大なスケール感を感じさせる8はダイナミックに展開されるバラード風ナンバー。ソリッドなリフを叩き込みながらヘヴィに迫る9はミステリアスな展開を孕んでテクニカルに進行していくアルバムの集大成的な一曲になっています。 デスメタルヴォーカルを取り入れつつ伝統的な様式美展開も繰り出していくベテランバンドとは思えない貪欲さを見せていくアルバムは、若々しさや瑞々しささえ感じさせる躍動感のあふれるものになっています。伝統と革新を融合させていくサウンドは安定感のあるプレイでその存在感を確かなものにしており、この辺は経験値の高いバンドでなければ出せない技術力の妙を知らしめています。成熟度と意欲が高い水準で極められたバンドにとっても会心の作と思われる一枚です。 |
同系統アルバム SCARSICK/PAIN OF SALVATION LEGEND OF THE BONE CARVER/PYRAMAZE BUILDING UP THE APATHY/SILENT VOICES |
THE VARANGIAN WAY/TURISAS |
ザ・ヴァランジャン・ウェイ〜大海原の覇者〜/チュリサス |
HOWLING BULL HWCY-1271 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のヴァイキングメタルバンドの二枚目のアルバムです。激しくメンバーチェンジが行われて製作されています。勇壮なホーンセクションのイントロから導かれるサウンドは、スケール感もアップした哀愁漂うドラマティックな楽曲で、アイリッシュなメロディと雄大な展開が味わえる1から、北欧の荒ぶる魂が受け継がれていきます。アコーディオンの哀愁の調べから勇壮なコーラスも壮大に迫る2は物語性の強いミドルテンポの劇的ナンバー、ダーティヴォイスで荒々しく、ノーマルヴォイスでミステリアスに迫る3はアグレッシヴな面とソフトな面のコントラストが激しいミドルテンポのナンバー。哀愁と勇猛さが交錯していく勇ましい行進曲のようなアップテンポの4、弦楽器を使い酒場の喧騒を描くようなイントロからスピードを維持して突っ走るダンサブルな疾走ナンバーの5、ピアノのイントロからシンフォニックに展開していくダイナミックな6は様々な場面を映しながらシアトリカルに進みます。ダークな色彩が強まる7は神秘的なコーラスも相まってドラマティックな展開を見せ、物語の終幕を飾る8はエピックな展開が荘厳に進む大作でプログレ風インストも組み込んで壮大なエンディングを迎えます。 ボーナストラックの9は1のシングルエディット、10は前作からのナンバーのフィンランド語バージョンが収録されています。 あらゆる面でスケールアップしたアルバムは、ヴァイキングメタルの枠を飛び越え、シンフォニックメタルかポンプロック、はたまた往年のプログレッシヴロック的な感覚さえ感じさせるサウンドとストーリー性を持った視覚的なものになっています。シアトリカルなムードと北欧ヴァイキング伝承の空気が一体となって迫るコンセプトに導かれる一大絵巻を堪能できる一枚です。 |
同系統アルバム TRIUMPH OR AGONY/RHAPSODY OF FIRE GUIN SAGA〜陰謀編〜[Limited Edition]/淡海悟郎&ビッグ・マウス VICTORY SONGS/ENSIFERUM |
MASTERCUTOR/U.D.O. |
マスタークトー/U.D.O. |
AFM RECORDS XQAN-1050 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンメタルの重鎮、ウド・ダークシュナイダー率いるU.D.O.の11枚目のアルバムです。レヴューショーのような軽快なオープニングの物騒な内容の口上で始まるアルバムは、叙情感と重量感たっぷりのギターリフとアグレッシヴなシャウトで突き進むパワーメタリックでアップテンポなタイトルトラックへと進んでいきます。フックのあるメロディと叙情的なギターソロは磨きを増して、続く2は古いレコードのようなSEからヘヴィに迫るミディアムテンポのナンバーで、唸るウドのヴォーカルがエスニックなコーラスと絡む曲、ドライヴ感が強まるアグレッシヴな切迫感の高まるアップテンポの3、センチメンタルな哀愁が漂うバラードナンバーの4、メタルアンセムな5は圧迫感の強いヘヴィリフに威圧感タップリのコーラスが加わったミディアムテンポのダークな一曲。ミステリアスなムードが高まる6はヘヴィでイーヴルな感覚に襲われる重厚なナンバー、デジタルな感覚が加わった7は緊迫感が高まる攻撃的でソリッドなアップテンポのナンバー。繊細なメロディが紡がれる8は彼らの叙情的な部分がクローズアップされる壮大なバラード、ピカレスクロマンな歌詞世界を切々を歌い上げていくスローナンバーの9、鬱屈したムードながらもクワイアが厚いアップテンポの10、ボーナストラックの11は唸るギターリフがヘヴィに迫る不穏なナンバー。不安感の高まるヘヴィリフが繰り出される12はタイトなビートがダイナミックなナンバー、ロックンロールする13はそのままエンディングのSEへと雪崩れ込むアッパーな曲。 すっかり円熟の域に入ったバンドですが、創作意欲は尽きることなく自分達のスタイルを貫いたヘヴィメタルを作り出しています。アクセプトが完全に終了した現在となって、バンドの後継の意気も上がる密度の濃いサウンドが展開されていく様は往年のアクセプトを彷彿とさせます。正統派ヘヴィメタルの鉄壁の守護神として磐石の体制を作り出している一枚でした。 |
同系統アルバム LIBERTY OR DEATH/GRAVE DIGGER SEVEN SEALS/PRIMAL FEAR EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE |
■ | AugustAMORAL | DIMENSION ZERO | GALNERYUS | IRON FIRE | LORD | NILE | |
REPTILE RIDE/AMORAL |
レプタイル・ライド/アモラル |
EXPERIENCE WBEX-25024 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの3枚目のアルバムです。凶暴なデスヴォイスが吼えるテクニカルでブルータルなデスメタルを繰り出すアルバムは、突進力と攻撃性を生み出しながら滑らかでフラッシーなギターソロを聴かせる1、メロディアスなギターリフが煽情性を高める2は起伏激しく突き進む、鮮やかなギターソロも印象的なドラマティックナンバー。暴走気味のスラッシーな3はキャッチーなパートを絡めて進むスピードナンバー、キャッチーなメロディを引っさげてオーセンティックなメタルスタイルとアグレッシヴなスタイルを組み合わせていくフラッシーな4、ダークな空気を生み出していく5は威圧感を高めつつメロディを積み重ねていきます。ポップささえ感じさせるアップテンポの6は凶悪なデスヴォイスとのコントラストも激しい小気味良いナンバー。爽快なスピードナンバーの7はキャッチーなコーラスなどメロデスのスタイルを踏襲しつつ疾走感を高めていきます。テクニカルでドラマティックなインストナンバーの8、ヘヴィナンバーの9は殺伐としたムードが充満していきメランコリックなエンディングを迎えます。ボーナストラックの10はフィンランドのポップシンガーのカバーで、原曲が全く想像できない代物になってます。 テクニカルなデスラッシュな基本線は残しつつも、キャッチーなメロディや叙情的なパートを上手く組み合わせてバラエティに富むサウンドを作り出していく自分達の嗜好に忠実なアルバムは、これまで以上に多様性を提示するものになっています。80年代スラッシュ、LAメタル、正統派メタルなどを最新サウンドで構築していく様は新しいヘヴィメタル像を形成していこうとする気概に満ちており、手詰まり感のあるデスラッシュなスタイルに一石を投じるものになっています。 |
同系統アルバム THE UNDERCURRENT/SCARVE PASSENGER/MNEMIC NON HUMAN LEVEL/NON HUMAN LEVEL |
HE WHO SHALL NOT BLEED/DIMENSION ZERO |
シャル・ノット・ブリード/ディメンション・ゼロ |
TOY'S FACTORY TFCK-87421 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イン・フレイムスのイェスパー・ストロムブラードが参加している、スウェーデン出身のデスラッシャーの三枚目のアルバムです。演説するSEから殺傷力の高いギターリフを繰り出していく起伏の強いハードコアな突進ナンバーの1で始まるアルバムは、これまで通りのブルータルな仕上がりになっています。不穏なムードのリフで迫る2はドラマティックなメロディアスパートで空気を一転させ、凶悪に切れ込んでいく3でも叙情フレーズを組み込んでダイナミックな楽曲に仕上げます。アップテンポで迫る4は哀愁ギターリフが煽情性を高めるドラマティックナンバー、怒涛の突進力を見せる5は攻撃性とかすかな叙情性が混沌とする一曲。静かなイントロから爆発力のあるリフを展開させていく6は狂おしい感情を高めつつ叙情メロディと共に一気に盛り上げます。多彩なリフで一気に突っ切るハードコアな7、北欧メロデス風のスピードナンバーの8、イン・フレイムス型の9はスピードとメロディが交錯するダイナミックな一曲。叙情ギターリフが炸裂するファストナンバーの10、センチメンタルなメロディが琴線に触れる11は感情と劇的展開が一体となって迫るダイナミックな曲になっています。ボーナストラックには、映画「サタデー・ナイト・フィーバー」で知られるビージーズの物凄いカバーが収録されています。 メンバーが関わっているバンドよりもハードコアでブルータルな要素を強めると言うコンセプトどおりのスピード感の強い凶暴なサウンドを作り出しているアルバムは、基本的にはこれまでと変わりなく切れ味鋭いプレイを聞かせています。イン・フレイムスやソイルワークが減らした要素を凝縮させてできたサウンドに強力な魅力があることを証明していく様は、メジャー化に伴って変化していくサウンドに作り手も聴き手も欲求不満を感じていることも明らかにしていきますが、別に好きな音なんだから成長しなくたっていいだろ!とモラトリアムに真っ向から対抗する一枚になっています。 |
同系統アルバム REPTILE RIDE/AMORAL DREAMCRUSHER/NAILDOWN LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST |
THE DIVINE CONSPIRACY/EPICA |
ザ・ディヴァイン・コンスピラシー/エピカ |
MARQUEE MICP-10682 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のバンドの三枚目のアルバムです。ドラマーが脱退しています。シンフォニックで物悲しく大仰なイントロダクションから始まるアルバムは、三部構成のコンセプトアルバムになっています。第一部となる2はスリリングなリフとオーケストレーションが有機的に絡み合うオペラティックでダイナミックなナンバーでソプラノ女性ヴォーカルとデスヴォイスの掛け合いにコーラスが加わって重厚なサウンドを作り出します。鋭いギターリフと攻撃性の高いデスヴォイスとソプラノヴォイスがシンフォニックに突撃する3、メランコリックなイントロから柔らかいソプラノヴォイスがセンチメンタルに歌い上げる4はそれまでの威圧的なムードを癒しつつ、後半で不安感を壮絶に演出していきます。タイトに展開するメタリックでダイナミックな5で一部を終えます。 第二部は民俗音楽的なムードを持ったインストゥルメンタルの6から、凄まじい破壊力を見せて突進するシンフォニックナンバーの7で一気にムードを攻撃的に転換していきます。荘厳なムードのイントロから叙情的なメロディで紡ぐ8は物悲しさを演出していくミドルテンポのナンバー、エスニックなムードで進む9はイスラム批判のミステリアスな曲で、スピードを変化させてドラマティックでスリリングな演出を見せる大作。 第三部は女性ヴォーカルを前面に押し出したエモーショナルなミドルテンポの10から、ピアノの響きが物悲しいバラードの11、ミドルテンポの12は重厚なムードが神秘性と安らぎを呼び覚ますダイナミックな展開を見せる一曲。アルバムの最後を飾るタイトルトラックは壮大なイントロからオペラティックに進むバンドの集大成的なナンバーで、畳み掛ける起伏激しい展開に圧倒される超大作です。 シンフォニックな展開とメタル然としたサウンドに磨きが掛かったアルバムは、緊張感と攻撃性が前面に出た高密度で重厚なものになっており、そのコンセプトと相まって壮絶な世界観を作り出していきます。有機的な楽曲の繋がりなど映画のサウンドトラックを経て、自分達の手法を固めていったスケール感の大きいドラマティックな一枚になっています。 |
同系統アルバム AFTER FOREVER/AFTER FOREVER GOTHIC KABBALAH/THERION PARADISE LOST/SYMPHONY X |
ONE FOR ALL - ALL FOR ONE/GALNERYUS |
ワン・フォー・オール・オール・フォー・ワン/ガルネリウス |
VAP INC., VPCC-81576 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?日本のメロディックメタルバンドの4枚目のアルバムです。ベースが交替して製作されています。リリカルなメロディが勇壮に移り変わっていくイントロダクションで一気に盛り上げていくアルバムは、ハイトーンヴォーカルが力強く歌い上げ、スリリングなギターリフと泣きメロが炸裂する高速ソロが乱舞する華麗なスピードナンバーの2でテンションを上げていきます。続くアップテンポの3はキャッチーなメロディと開放感のあるコーラスが畳み掛ける日本語詩の曲。ソリッドでテクニカルなギターリフを繰り出していく威嚇的でダイナミックな4、華麗なギタープレイで圧倒する5は再び日本語詩のドラマティックなスピードナンバーで切れ味鋭いメロディの展開が圧巻。パワフルなリフで押しまくる6は哀愁メロディが飛翔するスリリングなスピードナンバー、ヘヴィリフがグルーヴ感を生み出していく不穏な7、哀感帯びたメロディで情感を吐き出していくミドルテンポの8、ポップとも言えるキャッチーなメロディと泣きのギターで爽やかに迫るミドルテンポの9、テクニカルなプレイで突っ走るドラマティックナンバーの10はメロディとテクニックが交錯する渾身の一曲。ソリッドなギターリフを叩きつけてくる日本語詩の11は力強さと緊迫感が合わさって迫るダイナミックなパワーメタルナンバー、ムーディなインストナンバーの12でアルバムの幕を閉じます。 楽曲も書ける新たなベーシスト(本業はギタリスト)も加わって、製作体制も余裕が生まれたアルバムは、各メンバーのインプットも加わってバラエティのある楽曲を揃えています。バリエーションの広がりもサウンドの散漫には繋がらず、同じヴィジョンを描き出している辺りにバンド内の良好な関係が窺えます。まだまだ、新しい領域を開拓していこうとするバンドの前向きな姿勢を感じさせる力の入った一枚に仕上がっています。 |
同系統アルバム WALK THE EARTH/SILENT FORCE DIFFERENT SHAPES/DGM ASCENDENCE/LORD |
BLADE OF TRIUMPH/IRON FIRE |
ブレイド・オブ・トライアンフ/アイアン・ファイア |
SOUNDHOLIC TKCS-85174 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマーク出身のバンドの4枚目のアルバムです。哀愁漂うメロディが炸裂するイントロからクセのある切羽詰ったパワーヴォーカルがドラマティックに歌い上げるエピックなムードのパワーメタルナンバーで始まるアルバムは、オリジナルのヒロイックファンタジーなストーリーなどを下敷きに神話的劇的世界を描き出していきます。ソリッドなギターリフからミステリアスなムードを高めつつダイナミックに開放していく2は歴史の重厚感を演出していく力強い一曲。重量感のあるイントロから壮大なエピックメタルを作り出す3、ミドルテンポの4はファンタジックな世界観がアイリッシュなムードと共に迫るメロディアスな哀愁ナンバー、熱気高まる5は勇猛に突撃するスピードナンバーで意気揚がる劇的展開の楽曲。センチメンタルなムードが高まる6は叙情的なメロディが情感を高めていくエモーショナルなナンバー、スゴイ勢いのメタル賛歌な7は突進力の強まるハイテンションのパワーメタルナンバー、ヘヴィリフで迫る8は荒涼感漂うメロディが情感を高める一曲。アーサー王伝説をエモーショナルに唄う牧歌的なナンバーの9、アグレッシヴな感覚を前面に出した10は威嚇的なヴォーカルが「グラディエイター」の世界観を描き出すソリッドな一曲。勇壮さと哀愁が綯い交ぜになったタイトルトラックは北欧神話の世界を殺伐と描き出すアップテンポのナンバーでクラシックのフレーズの挿入や物悲しいコーラスが切迫感を強める劇的ナンバー。ボーナストラックの12は勇壮なパワーメタルナンバーで哀愁コーラスが劇的さを演出し、13は英国のディーモンのカバーが収録されています。 オーセンティックなスタイルのサウンドを徹頭徹尾やってのけるアルバムは、新世代な感覚なぞこれっぽっちもありませんが、問答無用のメロディックパワーメタルを信念を持って作り出していきます。エピックな世界観にどっぷり浸れるサウンドは、安心感と高揚感さらに聴き手との一体感を生み出しつつ、ヘヴィメタルの醍醐味をたっぷり味あわせます。ジャケットからの先入観を一切壊すことのないウォーリアーな魂が燃え上がるピュアメタルな一枚です。 |
同系統アルバム UNITED/DREAM EVIL THE 8TH SIN/NOCTURNAL RITES ANCIENT SPIRIT RISING/DOMINE |
ASCENDENCE/LORD |
アセンデンス/ロード |
SOUNDHOLIC TKCS-85173 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?惜しまれつつ解散となったダンジョンの中心人物、ロード・ティムのニューバンドの二枚目のアルバムです。音楽性は勿論期待を裏切らないダンジョン後継のサウンドを作り出しているものですが、そこには留まらない新たな要素も加えて展開していきます。嵐呼ぶSEのイントロダクションから、バンドの新生を宣言するアルバムは、壮絶とも言える激しさと厚いコーラスワーク、シンフォニックな展開が「SOMEWHERE OUT IN SPACE」を彷彿とさせるスラッシーな劇的ナンバーの2へと突き進んでいきます。叙情感の滲むメロディアスな3はポップなコーラスも哀愁帯びて迫るアップテンポのナンバー、小気味良いギターリフで進む4はヴィシャス・ルーマーズあたりの流れを汲むオーセンティックなメタルナンバー。 更に劇的さを増したミドルテンポのエモーショナルなナンバーの5、ダイナミックなイントロから焦燥感を高めるメロディを紡ぐ6はクランチーなリフと情感込めたヴォーカルが一体となっていくミドルテンポの劇的ナンバー、キャッチーなコーラスからスリリングにギターが舞う7はドライヴ感の強いスピードナンバーで熱いクワイアと爽やかなサビが心地良い一曲。哀愁帯びたメロディが心に染みるインストゥルメンタルの8を経て、スラッシーなリフが荒れ狂う9はデスヴォイスで怒りを開放した攻撃的な激烈ナンバーでキャッチーなコーラスとメガデスばりのギターソロが一服の清涼感をもたらし、更に続く10は壮絶な突進力を見せるインストナンバーで瞬間的な爆発力が凄まじいことになってます。パワーメタリックに突き進む11はフックのあるメロディを重ねつつ爆発していく気持ちが突っ込み気味のハイテンション劇的突進ナンバー。ボーナストラックには日本公演で競演したヴィジランテのヴォーカルが参加したX JAPANの名曲の割と忠実なカバーが収録されています。ロード・ティムが唄ったら大変なことになったんだろうな、ネタ的には待ってましたって感じなんだけど,、'` ( ´∀`) ,、'` ダンジョン時代の要素を全方向に少しずつ領域を広げてみるサウンドは、キャッチーな部分はよりキャッチーに、ハードな部分はよりハードに、と正統派メタル的なメリハリが強まったものになっており、ギターソロやコーラスワークを含めた細部にまで気を配る曲作りが曲の完成度を一層高めています。確かにダンジョンの遺志を受け継ぎながらも、そこから飛翔していこうとするバンドの意気込みと意欲を強く感じさせる新たなる狼煙を上げる力作になっています。 |
同系統アルバム THE FINAL CHAPTER/DUNGEON NOTHING TO UNDO -CHAPTER SIX-/METALIUM CIRCUS OF FOOLS/MACHINE MEN |
ITHYPHALLIC/NILE |
イシファリック/ナイル |
TOY'S FACTORY TFCK-87420 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?米国産ブルータルデスメタルの5枚目のアルバムです。キーボードとベース兼任ヴォーカルが脱退して三人編成で製作されています。スケール感と威圧感の強いイントロから起伏の激しい凶悪な突進ブルータルナンバーのクトゥルー神話を題材にした1から、古代神話に影響を受けた楽曲を繰り出していくアルバムは、妖しげなメロディがエジプトの呪術的な空気が蔓延する独特の世界観を生み出していきます。ブラストビートが炸裂する2では狂乱のギターリフが嵐のように吹き荒れ、エキゾチックなイントロから呪詛めいた圧迫感のある展開に圧倒されるタイトルトラック、物凄い長いタイトルの4は凶暴なリフとドラムで超高速で突撃したかと思えば重量感たっぷりに迫ったりと起伏も激しく一気に駆け抜けます。引きずる様なギターリフが邪悪さを演出していくヘヴィナンバーの5、ザクザク切れ込むリフが壮絶な6はヒステリックなギターソロも加わる怒涛の突進ナンバー。凶悪な攻撃性を露にする苛烈なナンバーの7、民族楽器を使って荒涼としたムードを演出するインストゥルメンタルの8、静かな雰囲気から一転、凶悪さが前面に出される壮絶な9で一気に爆発すると、スケール感を強めた壮大なイントロからの10は妖しげなメロディを重ねつつ重量感を高めていく圧倒的な存在感の曲になっています。 ボーナストラックには2,4のインストバージョンが収録されています、でも唄えっこないです。 他に類を見ないトリプルデスヴォーカルは出来なくなってしまいましたが、ツインヴォーカルでもこれまでの凶悪さは変わらず異次元世界を描き出していきます。緩急や強弱のコントラストが一層強烈なものになり、楽曲のダイナミズムがより鮮烈となって彼らの中では比較的聴きやすいものになっています。メンバーの変動は激しいものの、核の部分には全く揺らぎのない強力で強靭な一枚です。 |
同系統アルバム INCINERATE/DEW-SCENTED SERPENT SMILES AND KILLER EYES/HATESPHERE HERVEST/NAGLFAR |
■ | SeptemberAPOCALYPTICA | ARCH ENEMY | ICED EARTH | LEGION OF THE DAMNED | NIGHTWISH | PRIMAL FEAR | |
WORLDS COLLIDE [LIMITED EDITION]/APOCALYPTICA |
ワールズ・コライド・スペシャル・エディション/アポカリプティカ |
BMG JAPAN BVCP-25106/7 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?新たにドラマーが加入した、フィンランド出身のチェロ三重奏バンドの6枚目のアルバムです。今回は外部作曲者の曲や多数ゲストが参加して製作されています。不穏な空気が立ち込めるダークでメランコリックなアップテンポナンバーの緊迫する1から、彼ら独特の世界観を作り出していくアルバムはドラムも加わったバンドらしいサウンドを作り出しており、ギタリストとして初めて参加する布袋寅泰がプレイする2ではスリリングな空気と神秘的な雰囲気が同居する妖しい楽曲に仕上げています。アメリカのアーティスト、ジョニー・アンドリュースが書いた3ではスリップノットのシンガー、コリィ・テイラーが参加してエモーショナルな歌声を聞かせていますが、彼ららしさは控えめのヘヴィロックナンバーになっています。ダークでヘヴィな4はメタリックな部分と威嚇的な部分が前面に出た攻撃的なナンバー、5はラムシュタインのシンガーが唄うデヴィッド・ボウイのカバーでメランコリックなアレンジが施されています。邪悪なムードが高まるクランチーなリフを叩きつけていく叙情的で扇情的な6、スレイヤーのデイヴ・ロンバードが参加する7はギターばりの狂乱のチェロソロが聴き所のスラッシーなナンバー。THREE DAYS GRACEのアダム・ゴンディアが唄う8はエモーショナルなバラードナンバー。緊張感あふれるビートで突き進む9はメロディとアグレッションが融合していくメタリックなナンバー、ラクーナ・コイルのクリスティーナ・スカビアが唄う10はドラマティックでエモーショナルなパワーバラード、センチメンタルな感覚が研ぎ澄まされていく11、ボーナストラックは冷気漂う邪悪さと叙情感が際立つスピードナンバーの12、物悲しいメロディが空気を満たす叙情感たっぷりのダークな13、ドラム無しで真っ暗で陰鬱なムードを演出していく14と三曲が収録されています。 初回限定版のDVDには3のビデオクリップやインタビューなど興味深いマテリアルが収録されています。 新たな要素を導入して閉塞感を打破しようとする試みが窺えるサウンドはドラマーの固定によるロックバンドとしてのスタイルと可能性を模索する実験的な部分も見られますが、彼らの核となるダークでメランコリックな部分は健在。外部アーティストの曲はチェロという楽器の特徴を活かしているとは言えなかったりしますが、彼ら自身の楽曲はこれまで以上のアーティスティックな追求が図られており個々の楽曲を際立たせる方向で作られています。ヴォーカル入りの取っ付きやすそうな曲はバンドの本質を見失いがちという問題を抱えつつも、サウンドの多様性を許容するバンドの一体感が生み出した安定感あふれる一枚になっています。 |
同系統アルバム APOCALYPTICA/APOCALYPTICA REFLECTIONS/APOCALYPTICA CULT/APOCALYPTICA |
RISE OF THE TYRANT/ARCH ENEMY |
ライズ・オブ・ザ・タイラント/アーク・エネミー |
TOY'S FACTORY TFCK-87423 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの7枚目のアルバムです。学業のため、バンドを離れていたギタリストのクリストファー・アモットが復帰して製作されています。風雲急を告げるサイレンから唸りを上げるギターリフが展開されていく1から迫力ある女性デスヴォイスと哀愁たっぷりのメロディアスなツインギターソロが炸裂していくアルバムは、バンドに戻ったクリストファー・アモットの色が強まった鮮やかなものになっており、続く2は硬質なギターリフで圧倒していくは突進力と叙情感の相克が強まるナンバー。繊細なイントロから叙情感を帯びるメロディで迫るミドルテンポの3、ダークでメタリックなリフで突き進む4は正統派メタル的なドラマティックな展開で盛り上げます。センチメンタルなメロディをダイナミックに繰り出していくミドルテンポの5はライヴでコール&レスポンスが予想されるコーラスあり。「カリギュラ」の一説をイントロに使ったタイトルトラックはブルータルなリフとスリリングなギターが交錯するドラマティックなナンバー。メランコリックなメロディが押し寄せるエモーショナルな7、切なさと愛しさが一つに重なり合うインストゥルメンタルの8を経て、威嚇的に迫る9は圧迫感とメロディの開放感のコントラストが強いミドルテンポのナンバー。聖歌隊風のコーラスからアグレッシヴなリフを繰り出していく10は起伏の激しい展開にゴシックなコーラスとの対比がドラマ性を生み出します。ネオクラプレイが炸裂する11はアップテンポで突き進む哀愁ナンバー。ボーナストラックの12はキッスのカバーが収録されています。 兄弟ツインギターが戻ったことで、メロディの充実度は過去最高になっており、凶悪さに磨きをかけるデスヴォイスとのコントラストが強まってダイナミズムも強化されているアルバムは、メロディに比重を移した分、ブルータルな空気やメタル的なギターリフ、曲展開により生み出される緊迫感などが弱まっているあたりが難ですが、聴きやすさという点でも最高級になっています。ライヴでの存在感は抜群ながらも、このメロディ満載の中でのアンジェラ・ゴソウのパフォーマンスには相変わらず不満が残りますが、加入後のアルバムとしてはダーク路線と初期のメロディアス路線との折り合いが付いた、聴き手の期待するバンド像が生み出された一枚です。 |
同系統アルバム BEFORE THE BLEEDING SUN/ETERNAL TEARS OF SORROW THE UNBORN/MORS PRINCIPIUM EST FICTION/DARK TRANQUILLITY |
FRAMING ARMAGEDDON:SOMETHING WICKED PART 1/ |
フレイミング・アルマゲドン:サムシング・ウィキッド・パート1/アイスド・アース |
SPV 98182 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカンパワーメタルバンドの雄、アイスド・アースの8枚目のアルバムです。「SOMETHING WICKED THIS WAY COMES」アルバムでその一端が明らかにされたオリジナルストーリーが展開されるコンセプトアルバムになっています。“SOMETHING WICKED”トリロジーを彷彿とさせる妖しげなムードが漂う物悲しいイントロダクションから繰り出される楽曲は、スリリングなギターリフが展開していく“PROPHECY”を再構築したドラマティックな2でその在り方を主張していきます。前作から加入しているティム・オーウェンスの強力なハイトーンヴォーカルもこの荒涼とした世界観を充分に支えきっており、安定感で言えば過去最高レベルになっています。スペーシーなSEで構成されるインターリュードの3を挟んで、ヘヴィでアグレッシヴなアジテーションする4でミステリアスな空気を高め、緊張感高まるパワーメタリックな5でエスニックなムードと劇的展開を見せます。ダイナミックなコーラスと共に荘厳に情感を吐き出していく6、リリカルなバラードナンバーの7から一転激しく感情を叩きつけていく8はダイナミックな展開と硬質のギターリフが一体となって迫る劇的ナンバーで重層的なコーラスが印象的なアルバム中盤のハイライトになっています。ミステリアスなインターリュードの9から重量感たっぷりに迫る10は鮮やかな物語性を持った情景を力強く描き出します。緊迫感のあるSEのインターリュードの11からブルージーに流れるメロディが物悲しい12は自己存在の不安定さを描き出すエモーショナルなパートとダイナミックに展開するパートのコントラストが激しい一曲。鋭いギターリフで緊迫感を高めつつ威嚇的なヴォーカルで突き進む13、センチメンタルなイントロからシャープなリフが切れ込んでくる14は起伏の激しいヴォーカルと特異なギターソロ共に彼ららしいスタイルを貫いています。トリロジーのモチーフを使って、民族楽器とプリミティヴな感覚が強まるインターリュードの15からハモンドを多用するエスニックな16はダイナミックでデスメタル風のダーティヴォイスが威圧感漂うパワーメタルナンバーで、重層なコーラスワークとハモンド含むプログレ展開が存在感を強めていきます。ザクザクしたギターリフと攻撃性を高めた展開がお待ちかねの先鋭的なアイスド・アースを作り出していくタイトルトラックは積み重ねられる劇的展開も凄まじい壮絶な一曲になっています。18はコーラスワークも厚い重厚なナンバー、アウトロの19は透明感のある女性コーラスが物悲しさを生み出す一曲になっています。 新ヴォーカルになってから二枚目と言う事もあってスタイルの刷り合わせも順調に進んだ模様で、かねてからの計画を実行に移したコンセプトアルバムは、古代神話とSF的未来世界の関わりが現在に影響を与えていく壮大なアメリカンコミックスタイルのストーリーになっていて、これまで明らかになっていなかった設定の一端が開示されます。ほぼ全ての曲をジョン・シェイファーが一人で手がけているため、サウンドスタイルはこれぞアイスド・アースと言った感が強まっていますが、順調にスラッシーな部分は弱まっているため爆発力とか圧倒的な破壊力は不足気味。それでも正統派ヘヴィメタルに忠実な重厚感とドラマツルギーが交錯して生み出される破滅的な世界観は彼らの本領発揮となっていて、アイスド・アースを堪能できる一枚になっています。 |
同系統アルバム THE BLACK CIRCUS, Part 2 - DISCLOSURE/MANTICORA ANCIENT SPIRIT RISING/DOMINE NOTHING TO UNDO -CHAPTER SIX-/METALIUM |
SONS OF THE JACKAL/LEGION OF THE DAMNED |
サンズ・オブ・ザ・ジャッカル/リージョン・オヴ・ザ・ダムド |
SPIRITUAL BEAST POCE-16010 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のデスラッシャーの二枚目のアルバムです。ベーシストが交替しています。唸りを上げる破壊力のあるギターリフが鳴り響くアルバムは、吐き捨て型デスヴォイスが威嚇する緩急の大きい突進ナンバーのタイトルトラックから殺傷力の高い曲を並べていきます。畳み掛けるソリッドなギターリフが威圧的に迫る邪悪な2、モービッド・エンジェルあたりを彷彿とさせる怪しいヘヴィリフと突進力が凶悪で攻撃的な3、スピードアップして強襲する起伏の激しいスラッシャーな4、突進パートと威嚇パートのコントラストも激しい切れ味鋭いスラッシュナンバーの5、ミステリアスなインストゥルメンタルナンバーの6でムードを静めると、捻じ込むようなクランチーなリフの応酬とある意味キャッチーなコーラスが見所のミドルテンポの7へと。スピードアップして一気に突っ走る怒涛の8、ヘヴィリフが加速していく突進ナンバーの9、凶悪さがコーラスでシンクロしていく破壊力満点のミドルテンポの10、ボーナスのビデオクリップはイーヴルなイメージを前面に押し出したPVとライヴの二本が収録されています。 どこのB級ホラー映画だと言うくらい力が入りまくっているジャケットのアートワークからして、バンドの気合を示していますが、邪悪さと凶悪さに磨きが掛かったスラッシュメタルを作り出しているアルバムは、迷いの無い自然な進歩を遂げており、順調にクオリティがアップしています。強力な求心力と全盛期の息吹を伝えてくる、忘れかけていたスラッシュメタル魂が一気に蘇る強力な一枚になっています。 |
同系統アルバム HE WHO SHALL NOT BLEED/DIMENSION ZERO SERPENT SMILES AND KILLER EYES/HATESPHERE INCINERATE/DEW-SCENTED |
DARK PASSION PLAY [LIMITED EDITION]/NIGHTWISH |
ダーク・パッション・プレイ〜リミテッド・エディション/ナイトウィッシュ |
UNIVERSAL MUSIC UICO-9022-3 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身バンドのヴォーカルを交替して心機一転の6枚目のアルバムです。荘厳で静かなイントロからオペラティックなコーラス満載のドラマティックでスリリングに二転三転する大作組曲の1を繰り出していくアルバムは、前任ヴォーカリストへの恨み節が炸裂しつつもメンバーチェンジの影響を打ち消すような力強さと信念に裏打ちされており、強力なサウンドを作り出していきます。シンフォニックなキーボードのイントロからクセの少ない伸びやかな女性ヴォーカルが歌い上げる2はハードな男性ヴォーカルパートとのコントラストで劇的さを演出するミドルテンポのナンバー、リリカルなメロディがドラマティックに広がりを見せていくキャッチーな3、ミステリアスでヘヴィネスが増加した4は朗々としたメロディがダイナミックに展開するミドルテンポの曲、ソリッドなギターリフが不穏な空気を演出していく緊迫感高まる5は男性ヴォーカルの怒りに満ちた歌唱が凄まじいアグレッシヴなナンバー。センチメンタルなメロディが綴られるバラードの6、躍動感あふれるギターリフと鮮やかなメロディが一体となって迫るイントロから重厚なパートへと移行する7はエスニックなコーラスで官能的な空気を生み出します。アップテンポの8は緊張感のあるメロディワークと緊迫する展開が印象的なナンバー、キュートなメロディで柔らかく包み込むポップな9、アイリッシュなメロディが哀愁を誘う10、さらに牧歌的なムードが加わったインストゥルメンタルの11、ダークなムードが漂うシンフォニックな12は緊迫感の高まる展開で盛り上げ、リリカルで壮大なバラードの13でムードを落ち着けます。ボーナストラックの14はドラマティックなハードロックチューンが収められています。 オペラティックでゴシック風味だったソプラノヴォーカルから、スタンダードなポップスヴォーカル的に変わったことによって、豪華なアレンジやコーラスワークは、これまで通りですが大仰さを含んだ劇的な楽曲がストレートなものへと感じられるようになっており、楽曲の骨格がはっきりとしたロックオペラ色が強まっています。ヴォーカリストが変わっても一貫した姿勢に徹した照準が定まった一枚になっています。 |
同系統アルバム AFTER FOREVER/AFTER FOREVER THE DIVINE CONSPIRACY/EPICA DIVINE GATES PART III - THE LAST GATE/SKYLARK |
NEW RELIGION/PRIMAL FEAR |
ニュー・レリジョン/プライマル・フィア |
KING RECORD KICP-1261 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?正統派ジャーマンメタラーの7枚目のアルバムです。シナーなどでも活動していたトム・ナウマンが脱退し、ヘンニ・ウォルターが再加入して製作されています。ソリッドなギターリフとハイトーンスクリームが炸裂するヘヴィでダイナミックなパワーメタルナンバーで幕を開けるアルバムは、ヴォーカリストの存在感を前面に出した作風になっています。メタリックなリフと情感豊かなメロディラインが交錯していく2は感情が伸びやかに広がっていく壮大さも持ったドラマティックな楽曲、エピカのシモーネ・シモンズが参加したデュエット曲の3はドラマティックなパフォーマンスが心に染みるセンチメンタルなナンバー、タイトルトラックの4はタフなギターリフで押してくるキャッチーなコーラスもパワフルなナンバー。ピアノの物悲しいイントロから哀感たっぷりのメロディが情感込めて歌い上げられる、このアルバムの一つのハイライトである壮大なナンバーの5、続く展開の激しいシンフォニックで劇的なインストゥルメンタルの6、5のコーラスを再び取り戻す7で三部作が幕を閉じます。ヘヴィリフがスピードアップして突進するアグレッシヴな8は特異なコーラスが印象的、叙情的なメロディがコーラスと一体になって迫る9、ダイナミックなヴォーカルパートからドラマティックなヘヴィメタルが構築されていく10、ヘヴィリフでグルーヴ感を生み出すダークなナンバーの11、彼ららしいキャッチーなメロディとメタリックなリフが同居するドラマティックなナンバーの12、物悲しいメロディがミステリアスな歌詞と相まって迫る13、ボーナストラックには5のオーケストラバージョンが収録されており劇的さが更に高まっています。 ヴォーカルに比重を置いて表現力を高めつつも、メタリックな要素は変わらないドラマティックなヘヴィメタルを作り出しているアルバムは、これまでの硬派一本と言う印象を大きく覆すものとなっていて、ここに至るまでのアルバムの蓄積が形として現れたものになっています。多彩な表現とメロディを唄いこなすラルフ・シーパースの実力が、ここにきて改めて認識させられる楽曲を揃えており、バンドのヴィジョンがはっきりと伝わる迷いの無い仕上がり。自分達のレベルを更に上げようとする意欲に満ちたベテランバンドの気概を感じさせる一枚です。 |
同系統アルバム WALK THE EARTH/SILENT FORCE NEW PROTECTION/RIDE THE SKY THE 8TH SIN/NOCTURNAL RITES |
■ | OctoberABINGTON BOYS SCHOOL | DESTRAGE | HELLOWEEN | MYSTIC PROPHECY | NUCLEAR BLAST ALLSTARS | SOILWORK | |
ABINGTON BOYS SCHOOL/ABINGTON BOYS SCHOOL |
アビングドン・ボーイズ・スクール(初回生産限定盤) |
EPIC RECORDS ESCL-2993-4 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?T.M.Revolutionで知られる西川貴教を中心に結成された4ピース・バンドによるデビューアルバムです。ギタリストにT.M.Revolutionで活動を共にするSUNAO、元WANDSの柴崎浩、キーボードに岸利至を迎えて製作されています。伸びやかなパワーヴォーカルと変拍子が炸裂するヘヴィでプログレハードする1で幕を開けるアルバムはそれまでのメンバーの印象を改めさせるもので、バンドの意気込みをヒシヒシと感じさせます。テレビアニメ「DARKER THAN BLACK -黒の契約者-」 オープニングテーマの2はスクラッチやエフェクトを導入したアグレッシヴでメタリックなナンバーで、畳み掛けるギターリフとソリッドなビートがエモーショナルでパワフルなコーラスを導く強力な曲。荘厳さも感じさせるダイナミックでヘヴィなパワーバラードの3、テレビアニメ「D.Gray-man」オープニングテーマの4はセンチメンタルなメロディとダークな感覚が合わさったハードロックチューン。トリッキーなビートにエモーショナルなヴォーカルが乗るミドルテンポのナンバーの5、アップテンポの6はキャッチーなメロディが弾むポップチューン、ドライヴ感の強いギターリフで進むハードアタックな7、 プレイステーション3のゲーム「FolksSoul -失われた伝承-」の主題歌の8は狂おしい情念が起伏激しく発露していくエモーショナルなナンバーでダークな雰囲気と力強い歌唱が印象に残ります。HOME MADE 家族がラップパートで参加した9はモダンな感覚とメロウなパートのコントラストが強力なロックナンバー、テクニカルでシャープな印象のリフが切れ込む10はロックとテクノが融合するミクスチャーな一曲。BUCK-TICKのカバーの11、透明感のあるリリカルなパートとダイナミックな展開のテクノパートのコントラストが激しいインストゥルメンタルの12が収録されています。 T.M.Revolutionでの活動で周知となっている西川貴教の強力な歌声を武器に、ハードロックをベースとしたサウンドを作り出しているアルバムは、アメリカンミクスチャーロック的な手法も取り入れつつ伝統と革新を混在させた楽曲を揃えています。ポップだったりハードだったりする多様な楽曲が並ぶ様は、作曲の中心となっている岸利至と柴崎浩のスタイルの違いも分け隔てなく取り込んでいく懐の深さがベテランアーティストの真骨頂と言ったところでしょうか。ドラム、ベースの正式メンバーが居ないのが日本風で残念ですが、パワーのあるハードロックを日本のメインストリームでやってくれるバンドの活動にエールを送らずにはいられない期待の一枚です。 |
同系統アルバム METEORA/LINKIN PARK 6 DAYS TO NOWHERE/LABYRINTH SWINELORDS/TWILIGHTNING |
URBAN BEING/DESTRAGE |
アーバン・ビーイング/デストレイジ |
HOWLING BULL YDSI-0006 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドのデビューアルバムです。ディサルモニア・ムンディのエットレ・リゴッティがプロデュースしています。吐き捨て型デスヴォイスでエクストリームなサウンドを展開していくアルバムは、テクニカルなフレーズでソリッドなリフとメロディを絡ませていく突撃ナンバーの1から、高密度の楽曲を詰め込んでいきます。荒れ狂うヘヴィリフで迫る2は威嚇的なヴォーカルが圧迫感を持って叩きつけられるミドル〜アップテンポに変化するナンバーで中間のムーディなパートも印象的。唸りを上げるリフがテクニカルに展開していく緩急の激しいブルータリティとドラマ性を混沌とさせていく3、叙情感あふれるアコースティックなイントロからエモーショナルに展開する4はキャッチーさとカオスなフレーズが交錯するナンバーで、このバンドの独自性が表れます。炸裂する鋭いギターリフがアジテイトするヴォーカルと一体になって突き進む起伏の激しい5はメロディアスなコーラスとの絡みで情感を強めていきます。余韻を断ち切ってヘヴィリフで圧倒していく6はクリーンコーラスを絡めてブルータルに突撃する一曲。トリッキーなリフを絡めて進む7はサイバーなスタイルも取り入れたテクニカルなナンバー。不穏な空気が漲る8はスラッシーな高速リフで突き進む、アナイアレイターを彷彿とさせる突進ナンバーでドラマティックなギターソロも印象的。テクニカルなヘヴィリフとニューウェーブ風のパートが交錯するエモーショナルな9、エモーショナルなギターソロが清涼感を呼ぶ突撃ブルータルナンバーの10、ボーナストラックの11は爆発力の強いブルータルナンバーが収録されています。 一曲内に激しい起伏と緩急を盛り込んだサウンドは、破壊力と叙情性を合わせ持ったものとなっていて、テクニカルな要素を加味したモダンな側面からのアプローチも見せるハイブリッドな代物です。フューチャリスティックな雰囲気がエモーショナルなメロディと相まって、プログレバンドを多く排出するイタリアらしい一筋縄ではいかないカオスな空気を演出していく様は、新人離れした凄みを感じさせます。閉塞感が漂い始めるメロデススタイルに新風を注ぎ込みそうな一枚です。 |
同系統アルバム REPTILE RIDE/AMORAL HE WHO SHALL NOT BLEED/DIMENSION ZERO SONS OF THE JACKAL/LEGION OF THE DAMNED |
GAMBLING WITH THE DEVIL/HELLOWEEN |
ギャンブリング・ウィズ・ザ・デヴィル/ハロウィン |
VICTOR VICP-63979 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンメタルのすっかり重鎮、ハロウィンの12枚目のアルバムです。コミカルで悪趣味なSEから始まるアルバムは、ハイトーンシャウトが炸裂するブルータルな色合いを前面に押し出した凶悪なコーラスもアグレッシヴな2からダイナミックな楽曲が揃えられています。ハロウィン節がフル回転するキャッチーで開放感あふれるスピードナンバーの3、ピアノのイントロから哀愁と飛翔を交錯させていくメロディアスな4は情感込めたギターソロが楽曲を盛り立てます。唸りを上げるギターリフで突っ走る5は問答無用の正統派パワーメタルナンバーで高揚感を一気に高めます。叙情的なメロディが積み重なる6は情念が木霊するアップテンポのナンバー、ミステリアスなムードで迫る7は三部作の始まりの曲で、刹那的なメロディが印象に残るアップテンポの曲、 終盤のインストパートが妙に熱いメロディアスでソフトな哀愁ナンバーの8、ダークな感触が強まった9はグルーヴィな印象のミドルテンポのナンバー、アッパーでハッピーなハロウィンのロックナンバーの10、扇情的なメロディで進む11はドラマティックなコーラスが盛り上がるアップテンポのナンバー。泣きのメロディが炸裂していく12はキャッチーなスピードナンバーでインプロヴァイゼーション気味のインストパートが印象的、ボーナストラックの13はドライヴ感の強いギターリフで突き進むパワーメタリックな劇的楽曲が収録されています。 前作からメンバー変更も無く安定した環境で製作されたアルバムは、ポジティヴな感覚が全編を覆うダイナミックで彼ららしさが全開になった楽曲が揃っており、バラエティに富んだ充実した出来栄えに仕上がっています。特別、ギャンブルとかチャレンジはしていませんが、日本人のツボを的確に突いてくるハロウィン像を確信的に作り出した一枚です。 |
同系統アルバム WALK THE EARTH/SILENT FORCE AGONY - GIFT OF LIFE/INSANIA NEW PROTECTION/RIDE THE SKY |
SATANIC CURSES[LIMITED EDITION]/MYSTIC PROPHECY |
サタニック・カーシズ[初回限定盤]/ミスティック・プロフェシー |
SPIRITUAL BEAST POCE-96004 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ガス・Gが在籍していたことで知られるギリシャ出身のバンドの5枚目のアルバムです。現在のメンバーは、創設者のヴォーカリスト、R.D.リアパキス、ベーシストのマーティン・アルブレヒト、SYMPHORCEのギタリスト、マーカス・ポール、HEADSTONE EPITAPHのギタリスト、マーティン・グリム、セイクリッド・スティールのドラマー、マティアス・シュトラウプになっています。壮絶なギターリフが激しく迫る1からハスキーなヴォーカルと凶悪なクワイアで襲い掛かるドラマティックなパワーメタルナンバーの1から徹頭徹尾熱血ヘヴィメタルを作り出していくアルバムは、哀愁メロディ&リフで突き進むエモーショナルでドラマティックな2、パワフルなギターリフで強襲する3はスラッシュメタル的な要素の強いスリリングなナンバー。ミステリアスなハーモニーを響かせて始まるタイトルトラックはヘヴィリフが生み出す不穏な空気を硬質なコーラスと哀愁メロディで彩るダイナミックな楽曲。アドレナリン急上昇のスラッシーなリフで一気に押し切る凄まじい破壊力を持ったパワーメタリックな5、スケール感の大きいイントロから湿ったメロディが押し寄せる硬質ながらもエモーショナルなミドルテンポの6、反発力の強いアグレッシヴなギターリフで突っ走るダイナミックな7は鮮やかなギターソロが印象的。クランチーなリフが全然ロックじゃない8は緊迫感あふれる展開とキャッチーなコーラスと劇的ギターソロも盛り上がる一曲。ソリッドなリフとドラマティックな展開で進むアップテンポのヘヴィな9、ミステリアスなイントロから爆発していく10は緩急の激しい緊張感高まるスピードナンバー。11はもちろんブラック・サバスのカバー。ボーナストラックの12はクランチーなリフで押し込むパワーメタリックな激情ナンバー、13は哀愁帯びたパワーバラードが収録されています。ボーナスDVDはピュアメタラーが狂喜乱舞しているライヴが収録。 大幅なメンバー変更でクオリティが心配される状況でしたが、バンド創設者のメタルに掛ける信念が揺らぐことなく強力なピュアメタルサウンドを展開していくアルバムは、これまで以上の強靭さと攻撃性を持ったものになっており、ハードな面とソフトな面のコントラストも激しく迫る完成度の高いものです。スラッシュ/パワーメタルの流れを汲んだサウンドが聴き手の心を捉える、バンドの苦難を乗り越えて更なるパワーアップを果たした会心の一枚になっています。 |
同系統アルバム THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL FIRE UP THE BLADES/3 INCHES OF BLOOD THE FINAL CHAPTER/DUNGEON |
OUT OF THE DARK/NUCLEAR BLAST ALLSTARS |
アウト・オブ・ザ・ダーク/ニュークリア・ブラスト・オールスターズ |
VICTOR VICP-64015 [EXTRA] >>>>>BUY...?ドイツのインディペンデントレーベル、ニュークリア・ブラストの創立20周年を記念して製作された企画アルバムの第二弾です。元ソイルワークのギタリスト、ピーター・ウィッチャーズが中心となって製作されています。イン・フレイムスのアンダース・フリーデンが吼えるメロウさとヘヴィネスが一体となって迫るミドルテンポのタイトでスペーシーな1から、ダークでソリッドな質感を持ったサウンドを繰り出していくアルバムは、ヒポクリシーのピーター・テクレンがノイジーに叫び、メランコリックなコーラスや扇情的なギターソロも飛び出すヘヴィナンバーの2、ウィンターサンのヤリ・マーエンバーが参加した3はブラストビートで押し込むダイナミックでアグレッシヴな突進ナンバーでシンフォニックなコーラスパートが印象的です。デス・ロールとキャッチーなコーラスが交錯する突撃ロックナンバーの4はスカー・シンメトリーのクリスチャン・アルヴェスタムが参加した起伏の激しい一曲。元アンスラックスのジョン・ブッシュが唄う5はルーズな感覚のヘヴィロックナンバー。ソイルワークのビョーン“スピード”ストリッドが唄う6はセンチメンタルなムードが高まるエモーショナルなナンバー、カナダの老舗デスラッシャー、カタクリズムのマウリツィオ・イアコーノが参加する7はブルータルな突進ナンバー。デス・エンジェルのマーク・オセグエダが唄う8は切れ味鋭いスラッシーな曲で緩急も激しいダイナミックな展開を見せます。ソニック・シンジケイトのシンガー二人が参加する9はテクニカルなアレンジにツインヴォーカルが乗るダイナミックなナンバー、ネミックのシンガー、ギョーム・ビドーが唄う10はエモーショナルな衝動を露にするミドルテンポのヘヴィナンバー。 多彩な楽曲を展開させることで、ピーター・ウィッチャーズの才能を見せ付けることとなったアルバムは、バンドの層の厚さ以上に作曲能力の高さを知らしめるものとなっており、コンピレーションと言うよりはソロアルバムな仕上がりになっています。作曲者の色が強く出て企画意図とは少し違った形になった感が強いですが、最前線のアグレッシヴでエクストリームなサウンドを堪能できる一枚になっています。 |
同系統アルバム HE WHO SHALL NOT BLEED/DIMENSION ZERO LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST PASSENGER/MNEMIC |
SWORN TO A GREAT DIVIDE[LIMITED EDITION]/SOILWORK |
スウォーン・トゥ・ア・グレイト・ディヴァイド(初回限定盤)(DVD付)/ソイルワーク |
MARQUEE MIZP-60007[CD+DVD] [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの7枚目のアルバムです。結成メンバーであるギタリストが脱退し、ディメンジョン・ゼロのギタリスト、ダニエル・アントンソンが加入して製作されています。クランチーなギターリフで切り刻むエモーショナルなコーラスにギターソロとソリッドな突進力を見せるダイナミックな1から始まるアルバムは、ミドルテンポのダークな2でクリーンヴォーカルとダーティヴォイスを交錯させる情念漲る曲へと続いていきます。叙情感の強いイントロから激情に満ちたアグレッシヴなパートへ突入する起伏の激しいメロディックな3、さらに扇情的なメロディを繰り出していく4はヴォーカルが前面に押し出された情熱的なナンバー。北欧メロディックデスメタルのスタイルを継承する畳み掛けるギターリフが気持ちいい突進ナンバーの5、ミドルテンポでソリッドなリフを繰り出す6は弾けるメロディが躍動的なナンバー、ニューウェーブ的な浮遊感を持った7、タイトなリフで突進力を上げる8はテクニカルなビートも刻みつつ進みます。叙情的なギターリフで進む9はハードコアな感覚で威嚇するミドルテンポのナンバー。情念を叩きつけていくダイナミックな展開の壮絶なナンバーの10、不安感を高めつつ音圧を上げていく11、ボーナストラックはエモーショナルなコーラスと突進パートのコントラストが強まる12と、キャッチーなメロディがリリカルに展開していくアップテンポの13が収録されています。 ソングライターでギタリストの脱退が割と影響しているアルバムは、とりあえず困った時には初心に立ち返るみたいな姿勢が見え隠れする、最近のスタイルと彼らのルーツを適度に織り交ぜたものになっています。最近の傾向通りのモダンな作風はやはり閉塞感が強まったもので、脱退の影響をメンバー全員でカバーした甲斐のあった仕上がりになっていますが、脱退という事態以上にバンドとしての煮詰まり具合が心配になってきた、完成度は高いものの求心力が減った一枚です。 |
同系統アルバム THE FALL OF IDEALS/ALL THAT REMAINS DREAMCRUSHER/NAILDOWN RISE OF THE TYRANT/ARCH ENEMY |
■ | NobemberAVENGED SEVENFOLD | GAMMA RAY | ICED EARTH | LIONS SHARE | REVENGIA | TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA | TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA | |
AVENGED SEVENFOLD/AVENGED SEVENFOLD |
アヴェンジド・セヴンフォールド/アヴェンジド・セヴンフォールド |
WARNER MUSIC WPCR-12770 [☆☆] >>>>>BUY...?カリフォルニア出身のバンドの4枚目のアルバムです。タメの効いた勇壮なイントロから繰り出されるタイトなビートと粘りのあるダミ声ヴォーカルのエモーショナルなミドルテンポのナンバーで幕を空けるアルバムは、湿ったメロディとオーセンティックなアプローチのサウンドを作り出しており、シングルカットされた2では哀愁帯びたメロディとメタリックなギターリフが合わさったキャッチーなスピードナンバーを叩きつけていきます。叫び声のSEからダークなヘヴィリフを詰め込む3はグルーヴ感と懊悩感が高まるナンバー。ストリングスのイントロから叙情感を高めて進む4はソリッドなリフが徐々に躍動感を増していく曲でストリングスのソロパートも印象的。アコースティックパートから始まる5はエモーショナルなヘヴィパートへ移行してゴスペルコーラスも加わってドラマティックに進みます。アップテンポで叙情メロディを軽快に表す6はピアノの調べや女性コーラスも重なって煽情性を高めていきます。ストリングスも加わったダイナミックな構成で進む7、アイアン・メイデンの流れを汲む叙情リフで突っ走る8、これまでとは異質なアプローチを見せるダニー・エルフマン風ロックオペラの9はエキセントリックなヴォーカルが聴き所。カントリーロックの10、 ボーナストラックは2のライブバージョンが収録されています。 湿ったメロディが前面に押し出されるようになってメインストリーム的な雰囲気が高まったアルバムは、メタルな側面からのガンズ・アンド・ローゼス風アプローチと言った感の強いバンドの嗜好を自由に表現したシアトリカルロックサウンドを作り出しています。サウンドの自由度が増した割には、バンド自体の表現力の狭さが明らかになるバリエーションや音楽的な底の浅さが気になるところ。サウンドを手広くしすぎて重要な部分が結構薄くなってしまった一般向けアルバムです。 |
同系統アルバム BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND CIRCUS OF FOOLS/MACHINE MEN EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE |
LAND OF THE FREE II[LIMITED EDITION]/GAMMA RAY |
ランド・オブ・ザ・フリーII/ガンマ・レイ |
VICTOR VICP-63989 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンメタルのアーライことカイ・ハンセン率いるガンマ・レイの9枚目のアルバムです。あの名作「ランド・オブ・ザ・フリー」の続編の名を冠していますが、内容的には関連が薄い模様。遠くの方から聞こえるギターリフが開幕を告げるアルバムは、アップテンポのテンション高めの1からポジティヴな感覚が前面に押し出されたパワフルな楽曲をそろえています。静かなイントロからアイアン・メイデン風のリフにギターソロが炸裂する2は加速するコーラスパートで一気に盛り上げるドラマチックな一曲。エピックなインストの3から暴走状態に突入する4はザクザクしたギターリフに初期ハロウィン系のメロディとリリカルなコーラスがもつれあって突撃するスピードナンバー、湿ったメロディとヘヴィリフで押し込む5はロックフィーリングがダイナミックに迫るアップテンポのナンバー。小気味良いギターリフが畳み込まれるスピードナンバーの6は威嚇的に迫るヴォーカルが緊迫感を生むソリッドな曲。ミドルテンポで哀愁感漂うメロディを繰り出す7はアクセプトを彷彿とさせる重厚なリフとコーラスが印象的。スリリングなリフで突っ走る8は荘厳なクワイアとエモーショナルなギターでムードを高めるダイナミックなナンバー。リリカルなイントロから威圧的なヘヴィリフで圧倒する9はアイアン・メイデン的な展開の切り返しを見せる劇的長編の曲、湿り気帯びたキャッチーなメロディが心地良い10はコーラスのテンションが高いミドルテンポのナンバー、ドラムロールで始まる11は超正統派のリフを詰め込んだメタリックなスピードナンバーで厚いコーラスが高揚感を高めます。物悲しいイントロから感情を高めていく大作の12は積み重ねられるコーラスと展開の妙が劇的さを生み出す彼ららしい一曲。 ボーナストラックには前作からの曲のライヴバージョンが収録されています。 スピードとパワーにキャッチーなメロディ、それと少しの混乱、更にはカイ・ハンセンが居る!何の不満があるって言うんだ。最近整合性が高まって勢いが減ってきたバンドの本来のスタイルが戻ってきたヘヴィメタルそのもののサウンドが展開されていくアルバムは、激しく自身はもちろん他のバンドをインスパイアしながら自由奔放に突っ走っていきます。これでもかと繰り出される大量のギターソロに音で圧倒するクワイアの壁が重なり合っていく様は、新人バンドに真似の出来ない境地でリスナーが待ち望んでいたフリーダムな世界。ガンマ・レイの最高のところと駄目なところが交錯しながら転がりまわる、思わず笑いがこぼれるカオスでアーライな一枚です。 |
同系統アルバム GAMBLING WITH THE DEVIL/HELLOWEEN AGONY - GIFT OF LIFE/INSANIA DIMENSIONS/FREEDOM CALL |
FRAMING ARMAGEDDON:SOMETHING WICKED PART 1/ |
フレイミング・アルマゲドン〜サムシング・ウィキッド・パート1/アイスド・アース |
MARQUEE MICP-10702 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカンパワーメタルバンドの雄、アイスド・アースの8枚目のアルバムです。内容の詳細はこの辺りで。ボーナストラックは先行シングルの曲はこの辺で。というわけで、書くことが無くなったので、皆が待ってるマサ伊藤の解説について書いてみる。とりあえず、いつもの通り、バンドの人となりが2ページ以上使われてまして、ドラマーがコメディアンになるので脱退したとか、次回作にも続く大長編ストーリーが凄いぜ!とか書いてます。先行シングルの事に言及する割にはアルバムの具体的な楽曲のことは全然書いてないけど,、'` ( ´∀`) ,、'`でも、コンセプトアルバムって全然久しぶりじゃないよな、「HORROR SHOW」だってコンセプトみたいなもんだし、今まで出したアルバムの半分くらいコンセプトアルバムじゃん。訳詞を読んでもよく分かんないし、輸入盤とシングルを買ったほうが精神衛生上良いような気がする熱心なファン向けの一枚でした。 |
EMOTIONAL COMA/LIONS SHARE |
エモーショナル・コーマ/ライオンズ・シェア |
SPIRITUAL BEAST POCE-16014 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの5枚目のアルバムです。活動休止期間にメンバーが創設者のラーズ・クリスのみとなり、新たなメンバーを集めて製作されています。ヴォーカリストにはワザリング・ハイツなどで活動するニルス・パトリック・ヨハンソン、プロジェクトで意気投合したベース&キーボーディストのサンポ・アクセルソンの二人が正式メンバーになっています。ドラムは元ソイルワーク〜キマイラ〜セリオンなどのリチャード・エヴァンサンドが担当しています。リリカルなイントロからのヘヴィリフの応酬とパワフルなハイトーンヴォーカルでこれまでの印象を一変させるソリッドな1から、硬質で重量感のあるパワーメタリックな楽曲を揃えていくアルバムは、クランチーなリフでアグレッシヴに迫る哀愁感漂うコーラスも加えた起伏のあるファストナンバーの2、ダーク&ヘヴィに迫る3はディオ時代のブラック・サバスを彷彿とさせるグルーヴィな伝統的メタルナンバー。ジューダス・プリーストを思い出させるソリッド感とシャープなエッジが印象的な熱いメタリックナンバーの4、うねりを感じさせるリフと物悲しいメロディが交錯していくミドルテンポのグルーヴィな5、ハードアタッキンなギターリフで突き進む6は畳み掛ける強烈なビートがアメリカンパワーメタル風。アップテンポの7はザクザクしたリフで不安感を、重厚なコーラスで飛翔感を生み出すコントラストの激しい曲、ヘヴィでグルーヴィな8は再びブラック・サバス風の重厚なナンバー。ダイナミックなリフとディオを思い出させる強力な歌唱で迫る9はスリリングなギターソロも凄まじいアップテンポのハードなナンバー、ソリッドなリフとドラマティックなコーラスが印象的なミドルテンポの10、物悲しい旋律がダイナミックな展開で広がっていく11はギターソロの切り返しも鮮やかに重厚さを演出するスローナンバー。ボーナストラックの12は初期ブラック・サバス風のヘヴィナンバー。マルチメディアトラックには5のビデオクリップが収録されています。 プログレッシヴ&ヘヴィ路線を追求しつつ前作でキャッチーな方向に舵を切って消息が途絶えたバンドでしたが、パワーのあるヴォーカリストを得て哀愁漂う作風が一気に強靭なものへと作り変えられダークな空気の正統派ヘヴィメタル然としたサウンドを作り出しています。あまり手を加えない基本的にストレートな作風は現在のバンドの方向性を表すものとなっていて、その伝統的な手法はさておき新たなスタートを切る意気込みを感じさせます。実力派のアーティストが揃ったオーセンティックながらも強力な意志を感じさせる一枚です。 |
同系統アルバム PRINCIPLES OF PAIN/ELEGY EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE CIRCUS OF FOOLS/MACHINE MEN |
ERASER/REVENGIA |
復讐の炎/リヴェンジア |
SOUNDHOLIC TKCS-85181 [☆☆☆] >>>>>BUY...?アーク・エネミーのドラマー、ダニエル・アーランドソンが参加しているスウェーデン出身のバンドのセカンドアルバムですが、当のダニエルはこのアルバムで脱退。遠くから近づくイントロから爆発力のあるデスヴォイスとギターリフが炸裂していく1からソリッドなサウンドを作り出していくアルバムは、叩きつけるギターリフが過剰な攻撃性と滑らかなギターソロを生み出していくアップテンポの2、エモーショナルな咆哮がヘヴィリフに乗って叩きつけられていく叙情感もあるミドルテンポの3、ダイナミックなギターリフが重厚に迫る4は後半に向けてロック色を強めていきます。叙情リフで突っ込む5は繊細なメロディとインストパートのダイナミックな劇的展開で盛り上げます。エスニックなイントロからムードを保ったまま進む6はドライヴ感を強めつつソリッドに加速するロックナンバー。グルーヴするギターリフに引き摺られる哀愁帯びるヘヴィナンバーの7、ダーク&ヘヴィに迫る8はクリーントーンのエモーショナルな歌唱も飛び出す情念込めたナンバー、一気に加速して突っ走る9は脇目も振らない爆走スラッシュナンバー。スピード感を生み出すクランチーなリフで畳み掛ける10は切迫感の強まる突進ナンバー。ボーナストラックの11は咆哮が不安感を煽るダークなヘヴィナンバーが収められています。 全体としては、デス声でやってるパワーメタルって感じでスラッシーな部分はかなり控えめになっていて、北欧メロデスの手法の方が前面に出ている作風ですが、まだ色々なところが足りていないような。演奏面でも作曲面でもかなり地力のありそうなバンドですが、方向性が定まっていない感のある楽曲群が印象を若干希薄にしている、もうちょっと弾けて欲しい一枚でした。 |
同系統アルバム RESURRECTION/CHIMAIRA DREAMCRUSHER/NAILDOWN NON HUMAN LEVEL/NON HUMAN LEVEL |
LOST IN SPACE PART 1/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA |
ロスト・イン・スペース(パート1)/トビアス・サメッツ・アヴァンタジア |
MARQUEE MICP-10696 [MINI] >>>>>BUY...?エドガイのヴォーカリスト、トビアス・サメットのプロジェクト第三弾アルバムに伴うミニアルバムです。ファーストシングルになる1はミドルテンポのエモーショナルな雰囲気が強まる優しいナンバーで、これまでのアヴァンタジアのイメージからは少し離れた楽曲。2はアバのカバーで、ハロウィンも取り上げた楽曲。クワイア満載のドラマティックなアレンジが施されたパワフルな仕上がり。ヨルン・ランデが参加した3はパワフルなリフが爽快に突っ走るハイテンションなメタルナンバー。オーケストレーションのアレンジが豪華なミート・ローフ風のドラマティックナンバーの4はボブ・カトレイが参加。アヴァンタジアのメインテーマのインストを挟んで、ルシファーズ・フレンド(!)のカバーの6はエリック・シンガーも唄うダイナミックな仕上がりに。 ファンタジックでドラマティックなパワーメタルを展開していた二枚のアルバムとは異なり、トビアス・サメットのルーツに近い様々なサウンドを取りいれたバラエティに富む楽曲群は来るフルアルバムの出来を予想させないラインナップで、期待と不安が交錯するミニアルバムです。 |
LOST IN SPACE PART 2/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA |
ロスト・イン・スペース(パート2)/トビアス・サメッツ・アヴァンタジア |
MARQUEE MICP-10697 [MINI] >>>>>BUY...?エドガイのヴォーカリスト、トビアス・サメットのプロジェクト第三弾アルバムに伴うミニアルバムその2です。1はパート1と同じファーストシングル。マイケル・キスクキタ――(゜∀゜)――!!なアップテンポのキャッチーでハッピーな2はヨルン・ランデにクワイアも伴って開放感も強く進みます。3は英国のウルトラヴォックスのカバーで、ドラマティックでエモーショナルな一曲。ドライヴ感の強いアイアン・メイデン風の4、フレディ・マーキュリーのカバーの5はチャレンジャー。6は1をスタジオでジャムってるバージョン。 カバー曲が中心でフルアルバムの全体像は未だに分かりませんが、これまで以上にクリエイティヴでバラエティあふれる楽曲を揃えて、リスナーを驚かせるだろうことは必至の予感を覚えさせる、トビアス・サメットの自由な姿勢が見られるミニアルバムです。 |
■ | DecemberTHE CODEX | SODOM | |
THE CODEX/THE CODEX |
ザ・コデックス/ザ・コデックス |
KING RECORD KICP-1256 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イングヴェイ・マルムスティーンや最近だとリング・オブ・ファイアで活動しているマーク・ボールズとミッドナイト・サン、ラスト・トライブなどで活動していて、いつの間にかプライマル・フィアに加入しているマグナス・カールソンが手を組んだプロジェクトのファーストアルバムです。ベーシストにミスター・カイトのライナス・アブラハムソン、ドラマーにマインズ・アイのダニエル・フロレスが加わっています。伸びやかなハイトーンヴォーカルとエモーショナルなプレイを聴かせるギターがガッチリ手を組んだアルバムは、ドラマティックなイントロからスケール感大きく迫るメロディアスな1から、湿り気帯びたメロディが華麗なコーラスワークによって彩られていくミドルテンポの2、アグレッシヴに展開する3はスリリングなギタープレイとシャープなメロディが耳を惹く切れ味鋭い劇的なスピードナンバー。流麗なイントロから感情を揺さぶるドラマティックな4、哀愁帯びたギターリフがダイナミックに繰り出される5はエモーショナルなコーラスとテクニカルなギターソロが心に染みるハードロックナンバー。神秘的なムードを持った6は叙情的な劇的ナンバー、ダイナミックな展開のパワーバラードの7、パワフルなリフとメロディが重なり合って進むミドルテンポの劇的ナンバーの8、ヘヴィリフが壮大な世界観を先導する9、爽やかなメロディが伸びやかに展開するアップテンポの9、ダークなムードが充填される10は開放感のあるコーラスへと。湿ったメロディとギターソロが華麗に展開していくミドルテンポの11、緊迫感高まる12はドラマティックな展開とシリアスなメロディが合わさったダイナミックな曲。ボーナストラックには2のアコースティックバージョンが収録されています。 実力派と呼ばれる二人が揃って繰り出されるオーセンティックながらもメロディをふんだんに盛り込んだハードロックサウンドは、安定感と安心感に裏打ちされるもので意外性は少ないものの期待を裏切らないアルバムになっています。まだ、コラボレイトして間が無いので、お互いの特徴とかを探り合っている感もありますが、順調に活動できれば熟成が進んで良いバンドになりそうです。 活動できそうに無いけど(´Д`;) |
同系統アルバム 6 DAYS TO NOWHERE/LABYRINTH NEW PROTECTION/RIDE THE SKY UNIA/SONATA ARCTICA |
THE FINAL SIGN OF EVIL/SODOM |
ザ・ファイナル・サイン・オブ・イーヴル/ソドム |
KING RECORD KICP-1248 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマン・スラッシャーの重鎮バンドの、デビューミニアルバムに当時の未収録曲を加えた上にオリジナルメンバーで再録音した企画アルバムです。何じゃこの音,、'` ( ´∀`) ,、'` ということで、サウンドまで当時の空気を再現してしまったアルバムは、曲も当時のままだよ!なオールドスラッシャーで邪悪さが滲み出てくる緩急の激しい1から、オリジナルEPに収録されていた当時の衝撃が蘇る爆裂スラッシュナンバーの2、パンキッシュな爆走ナンバーの4、ハードコア的な疾走感を見せる6、狂気じみた暴走が心地良い8、ドス黒く突っ走る11、未発表曲は威嚇的なヘヴィナンバーの3は後半で加速して全てを振り切っていきます。ヴェノム的なイーヴルなヘヴィロックの5、マーチ風イントロから、爆発力のあるリフが叩き込まれるファストナンバーの7、ヘヴィリフでタイトにロックしていく9、邪悪さを増してドカドカ進む10、ザクザクしたリフがブレイクしつつ突き進んでやっぱり加速したり減速したりしてしまうアップテンポの12。 色々な点がアップデートされたりされなかったりの、彼らの原点を振り返りつつも改めてその魅力を再確認できるファンならずとも楽しめる一枚です。 |
同系統アルバム INCINERATE/DEW-SCENTED INVENTOR OF EVIL/DESTRUCTION SONS OF THE JACKAL/LEGION OF THE DAMNED |