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ぽこぽこ映画メモ - 2009

幸せはシャンソニア劇場から / 2008 / チェコ・ドイツ・フランス

笑い、涙、歌、芸、全てのものが上質で、全編に上手にちりばめられている。前作『コーラス』で何とも味のある教師を演じたジェラール・ジュニョーさんや同じく可愛らしいボウヤだったマクサンス・ペランさんが少年に成長し、登場。輪をかけて素敵な演技をしている。

2009-11-13 ファボーレ東宝にて

扉をたたく人 / The Visitor / 2007 / アメリカ

小さい頃に、何かの本に載っていた、ジャングルに住む黒人の少年が太鼓を叩く場面が大好きで、私もあの太鼓を叩いてみたくてしょうがなかった。生きているフリをしながら、日々を無気力に過ごしている老教授が、シリアとセネガル出身のカップルと遭遇し、やがてアフリカの太鼓ジャンベと出会う。自国にとって異分子と見なしたものを、まるで存在さえしていなかったのごとく、有無を言わせず排除してしまうアメリカという国に対して、怒りをぶつけるように全身で太鼓を叩く。

2009-10-18 フォルツァ総曲輪にて

小三治 / 2009 / 日本

小三治師匠は、高座以外の場では、まるで修行僧のようにも見える。結局、俺には落語は向いてないんだと分かったと苦しそうにつぶやく師匠。弟子には何も教えない、背中をみて盗めという師匠。どんなに噺が上手でも、「こころ」がなければ、お客さんには伝わらない。根っから真面目に生きる小三治師匠とは対照的に、舟橋師匠は、高座でのあのひょうひょうとした風情は高座を降りても何ら変わることなく、それは、かなりすごいことだなあと思った。

2009-08-16 フォルツァ総曲輪にて

ミツバチのささやき / El Espiritu de la Colmena / 1973 / スペイン

内線直後のスペインの田舎で、6歳の少女アナの純粋無垢な瞳を通して、家族や美しい自然、日々の出来事が描き出される。サンタクロースを信じる子供のようにフランケンシュタインを精霊として信じるアナ。全身で自分の周りの世界に立ち向かっていた子供時代をすっかり忘れてしまった大人達への痛烈な警句のように思えた。

2009-08-14 フォルツァ総曲輪にて

ヤング@ハート / Young@Heart / 2007 / イギリス

歌は生きがい、歌は人生。死ぬまで歌い続けると言い切るじいちゃんばあちゃん達の何とも輝かしい顔、顔、顔。旨く歌うことは重要でない、自分たちの歌になっているかどうかが一番大事なことなんだ。それだからこそ、彼等の歌声は、聴衆の胸を打ち、心に響く。そうして一度体験した人々はすっかりとりこになってしまうのだ。映画に登場するあの素敵なホールで、いつか体験することができたらなあ。

2009-03-29 フォルツァ総曲輪にて

ベルリンフィル 最高のハーモニーを求めて / Trip To ASIA the Quest for Harmony / 2008 / ドイツ

映像の大半がサイモン・ラトルさんと楽団員達へのインタビューで構成されている。音楽家を職業とすること、中でもベルリン・フィルの一員でありつつけることの困難さはもう奇跡のレベル。それなのに、小さい頃、自分に自信がなく、変人と見られ、周囲になじめないアウトローだったと話す楽団員が多いのにはびっくり。そんな超個性的とも言える人々が、個を極力排除したオーケストラという調和を作り上げていくのだから面白い。さらに確固とした伝統をしっかり受け継ぎながらも、常に新しいものに挑戦していくという姿勢も素晴らしい。技術はもちろんだけど、それ以上に楽団員全員の意識の高さが世界最高の音楽を生み出していくのだ。

2009-03-22 フォルツァ総曲輪にて

マルタのやさしい刺繍 / Die Herbstzeitlosen / 2006 / スイス

牧歌的な風景が広がるスイスの田舎町が舞台。ご多分にもれず、そこに暮らす人々はどこまでも保守的。そんな村で生まれ育ち暮らしてきた80歳のマルタは夫に先立たれすっかり気力を失っていたが、一念発起し若い頃の夢だったランジェリー・ショップを開いたのだから、村人達からは「いやらしい」店と総スカン。でも、おばあちゃんは諦めない。なぜならば、夫の呪縛から解放され、生まれて初めて自分の「生きがい」を見つけたのだから。笑って泣けて心が温まり、勇気と元気がもらえる佳品。

2009-03-21 フォルツァ総曲輪にて

旭山動物園物語 ペンギンが空をとぶ / 2008 / 日本

夢を諦めない情熱が革命的な発想を生みだし、閉園間際まで追い込まれた動物園が奇跡的な再生をとげ、さらに今では世界中の動物園の模範となるまでに成長した。動物たちへの愛は、最終的には人間への愛である。

2009-03-20 金沢コロナシネマワールドにて

マンマ・ミーア! / MAMMA MIA! / 2008 / アメリカ

エーゲ海の絶景の中で、ぎんぎらぎんのコテコテ衣装を身にまといはじけまくる出演者達も、なんでもゆるせてしまうのは、ひとえにどこまでも陽性で健全なABBAの音楽のなせるわざだろう。このミュージカルをブロードウェイで観てみたい。客席中のりのりなんだろうなあ。ダンシング・クィーンが身体の中をかけめぐる。ABBA中毒にかかってしまった。

2009-02-21 イオンシネマ金沢フォーラスにて

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