MENU: ぽこぽこ日記 | 写真帖 | 映画メモ | アートメモ | このサイトのこと | メール
CSS: |

ぽこぽこ映画メモ - 2004

父と暮せば / 2004 / 日本

井上ひさしさんの原作を読み、こまつ座の演劇を観て、3度目の鑑賞。もともと演劇の脚本として書かれた作品を、どんな風に映画で表現するのかなあと思っていたら、なるほど、そこはいろいろひねってあった。俳優さん達も力が入っていた。ただ、黒木作品としては『美しい夏キリシマ』のほうが優れていたように思う。

2004-12-12 福井メトロ劇場にて

エイプリルの七面鳥 / Pieces of April / 2003 / アメリカ

生涯で料理なんてしたことない、にもかかわらず、のっぴきならない状況に陥いって、一生懸命にクリスマスディナーの準備に奔走&奮闘するお姉ちゃんのエイプリルがとってもいいのです。テンポもテーマも上映時間もすべて○。

2004-12-05 金沢シネモンドにて

隠し剣 鬼の爪 / 2004 / 日本

全体的に、前作『たそがれ清兵衛』よりもさらによかったように思う。名もなく貧しい下級武士の生活を丹念に描いているのは前作と同じ、だが、本作にはなんとも言えないおかしみがあちこちにちりばめられていて、それがすごくよかった。病身のはずの松たか子のほっぺたがやけに血色がよくて、ん?だったものの、その分、たくましく畑を耕したりする役柄がよく似合う。主人公(永瀬正敏)が剣を捨てて農民になり、ずっと想いを寄せていた娘(松たか子)と一緒に旅立っていくというラストがいい。藤沢周平さんの清々しい世界を山田洋次監督がますます上手く映像化されたなあと思う。

2004-10-30 高岡ピカデリーにて

ハナのアフガンノート / JOY OF MADNESS / 2003 / イラン

イランの有名な映画監督モフセン・アフマルバフの娘で13歳のハナは、姉サミラが監督した『午後の五時』の役者探しに同行し、その様子をフィルムに収めていった。映画を知らないアフガニスタンの人々との出演交渉は難航する。出ると約束したのに後になってやっぱり辞めるというおじいさん、なかなか決断できない若い女性、赤ん坊を殺すつもりだろうとと心配する両親。それもこれもタリバンの支配による影響が、まだまだ人々の心に闇を残しているから。アフガニスタンの風景や人々を美しく撮ろうとするのではなく、ありのままに見つめるハナの視点がとてもよかった。

2004-09-04 金沢シネモンドにて

ミトン / MITTEN / 1967-1972 / ソ連

パペット・アニメーション。犬が飼いたくてたまらない女の子が、自分のミトンの手袋を犬に見立てて遊んでいるうちに、ミトンがするすると変身して、本当に犬になってしまうというファンタジー。女の子と毛糸の子犬の人形が、とても表情豊かで愛くるしい。

2004-08-28 富山松竹にて

華氏911 / Fahrenheit 9/11 / 2004 / アメリカ

前作『ボウリングー』での摘発対象をさらに拡大し、ますますスケールアップした今作。ブッシュと現政府のやり口を徹底的に暴いていく。やや意図的すぎるきらいはあるものの、富は金持ちの権力者たちに集中し、戦争で犠牲になるのは貧しい者たちという構図を見事に描ききったムーア監督の手腕はさすが。

2004-08-25 高岡TOHOプレックスにて

わが故郷の歌 / Gomshodei dar Araq / 2002 / イラン

予告編を見て、是非観てみたいと思っていた作品。かつての妻から助けを求められ、息子2人と旅に出るミルザ。3人とも有名な歌手である。国を持たないクルド人は、イランとイラクに翻弄され、住むところを追われ、難民生活を強いられている。妻を捜して、村から村へ、難民キャンプからキャンプへと旅しながら、爆撃の激しい危険な地帯にだんだん近づいていく。親を失った子供達が大勢集まるキャンプ。虐殺され埋められた人達を掘り返す家族達。大人も子供も男は皆殺しになり、女達だけで暮らすキャンプ。どうしようもなく悲惨でつらい境遇にいても、人々の中に歌は生きている。楽師達は、体の中から沸き上がるリズムで、人々の思いを愛を歌い上げる。

2004-08-21 金沢シネモンドにて

エレファント / Elephant / 2003 / アメリカ

『ボウリング・フォー・コロンバイン』と同じく、コロンバイン高校での銃撃事件を題材にした作品。『ボウリングー』は、当時のコロンバイン高校に在学していた生徒だけでなく、卒業生や、銃社会を作り上げている会社や団体など、様々な角度からインタビューを試み、アメリカの銃社会への警鐘をならしているが、『エレファント』は、その時、現場にいた高校生達の心の中を覗き込み、硝子のようにもろい彼等の内面をじわじわとあぶりだすような作品。爽やかな秋の空には雲が流れ、グラウンドではアメフトに興じる生徒達がいて、冗談を言い合ったり、コンプレックスについて悩んだりしている。そんなありきたりの学校の風景の中を、事件の犠牲となった生徒、そして事件を起こした生徒達がゆっくりと歩いていく、あの事件に向かって…。先日、富山県でも、女子高校生が、見ず知らずの男性を「誰でもよかった」と背中から刺した事件が起こったが、もし、日本でも簡単に銃を手に入れられることができたら、彼女達は銃を使っていたかもしれない。「なぜ、あの事件が起きたのか」を、映画を観ながら、そして観た後も、ひたすら考えさせられた。

2004-08-01 金沢シネモンドにて

アフガン零年 / OSAMA / 2003 / アフガニスタン=日本=アイルランド

想像を超えたあまりに理不尽なアフガニスタンの現実。何の希望も見いだせないラストシーン。映画に出る前は、物乞いをして暮らしていたという主人公の少女の瞳が頭にこびりついて離れない。

2004-07-23 金沢シネモンドにて

幸せになるためのイタリア語講座 / ITALIENSK FOR BEGYNDERE / 2000 / デンマーク

それぞれに、悩みや事情を抱えている男女が、イタリア語教室を通して出逢い、そして恋をする。辛い現実の中で生きていても、けして希望は捨てない、みんな幸せになりたいと思っている。そして、それぞれの幸せを掴んでいくハッピーな物語。ドキュメンタリー・タッチの撮影で、こういう手法が最近の流行なのかな。

2004-07-18 富山松竹にて

ナージャの村 / 1997 / 日本・ベラルーシ

チェルノブイリの原発事故により汚染されたベラルーシのドゥヂチ村。政府から立ち退き勧告を受け、村の出入り口にはゲートが作られ、地図上から消されてしまったにもかかわらず、6家族が生活している。村人達は、麦やじゃがいもを育て、きのこを採り、自家製ウオッカを作り、厳しく美しい自然の中で、大地に根ざして暮らしている。原発とはまるで無縁の生活を送る彼等の村が放射能で汚染されてしまったという皮肉な事実。美しく豊かな風景と村人達のたくましい暮らしぶりをたんたんと映し出すドキュメンタリー映像が、心につきささる。

2004-07-11 ぽこぽこ映写室 (DVD) にて

ぼくの好きな先生 / ETRE ET AVOIR / 2002 / フランス

先日の『パリ・ルーヴル美術館の秘密』と同じニコラ・フィリベール監督の作品。高岡ピカデリーに来るはずだったのが、いっこうに上映されないのでしびれを切らして、DVDを購入してしまった。こちらも『ルーブルー』と同じくストーリーはなく、フランスの田舎のとある小学校の1年間の授業風景をたんたんと撮影したドキュメンタリー。なのに、気が付いたら、完全に教室の中に引き込まれている自分がいた。各々の子供達に、その子と同じ目線でそっと寄り添うロペス先生が素晴らしい。これが教育の原点ですべてではないかと思う。たくさん買って、特に小さい子のいる人達に配りたくなった。すっかりニコラ・フィリベール監督のファンになってしまったなあ。

2004-07-11 ぽこぽこ映写室 (DVD) にて

パリ・ルーヴル美術館の秘密 / LA VILLE LOUVRE / 1990 / フランス

世界最大の美術館ルーブルの舞台裏を撮った秀逸なドキュメンタリー。2、3度訪れたことのあるルーブルだが、あの巨大な美術館をさっと見て回るのはとても無理な話で、半日かそこらじゃ、もちろん一部の展示品しか目にすることはできず、それも、この映画を観て、ほんのごく表面しか目にしていなかったのだと思い知らされた。地下には、それぞれの専門スタッフしか知らない地下通路が張り巡らされていて(忍者屋敷を1万倍にしたぐらいの規模?)、隠し扉や秘密の入口があちこちに存在する。職員も、美術や考古学の専門家はもちろん、修復師、運搬、掃除、料理人、消防士、医師、実に1200人の専門スタッフが、それぞれの仕事に誇りを持って取り組んでいる。コメントはほとんどなく、黙々と働く職員の人達を丹念に追っていく。いつの間にか、カメラと一緒に自分もルーブル美術館の迷宮に入り込んでしまったような興奮を味わった。

2004-07-04 金沢シネモンドにて

私が好きなモノすべて / Vsetko Co Mam Rad / 1992 / スロヴァキア

『マルティン・シュリーク 不思議の扉』というシリーズの中の1作品。ほとんど予備知識がないまま観に行ったのだけど、これがなかなか面白かった。スロヴァキアの美しい田園風景をバックに、アキ・カウリスマキのような淡々とした進行で物語が展開する。今のところ、東京とあと数カ所でしか上映されていないみたいで、富山松竹さん思い切ったなーと感心して、これは是非にも観に行ってあげねばと思って行ったのだったが…、何と観客は私一人。そして、スクリーンが心持ちゆがんでいるのはまあ許せるとしても、しょっぱなから画像がずれていて字幕が読めなくてズッコケたり、途中でピントがぼやけたり、その度に、受付の方に顔を出して、「字幕がずれてまーす」「ピントがあってませんー」と、いろいろあって楽しかったのだけど、つぶれてしまわないかちょっと心配になった。帰りに、お詫びにとパンフレットを無料で貰ってしまった。昔からある街中の映画館だけに頑張って欲しいんだけどなあ…ほんと。

2004-06-19 富山松竹にて

美しい夏キリシマ / 2002 / 日本

題名どおりの美しい映像美を堪能した。先日観た演劇『父と暮らせば』と同じく、後世に伝えていきたい作品の一つ。主人公の日高康夫を演じる少年が、とてもよい。この少年は、この先、ますます、人の心の痛みのわかる人間に成長していくんだろうなあと思わせる。

2004-06-12 金沢シネモンドにて

10ミニッツ・オールダー / TEN MINUTES OLDER / 2002 / ドイツ=イギリス

「イデアの森」「人生のメビウス」の2部作で、合わせて15人の監督による10分ずつのコンピレーションフィルム。最初に観た「イデアの森」の方は、時間をテーマに撮られた作品。10分は短いようで長い、長いようで短い、人生もまた然り。結婚・誕生・進化・孤独・死・運・郷愁のテーマで撮られた「人生のメビウス」は傑作揃い。一粒で7度美味しい至福の時間。

2004-06-06 金沢シネモンドにて

真珠の耳飾りの少女 / Girl with a pearl earring / 2002 / イギリス

スクリーンがまるで一枚の絵のようで、フェルメールの絵の登場人物が、そのまま画面で動いているような錯覚にとらわれた。ストーリーにもう少し深みが欲しかったと思うのだが、以前訪れたデルフトの街やハーグのマウリッツハイス美術館で観たフェルメールの作品が、頭の中に鮮やかに蘇ってきて、それだけで楽しめた。

2004-06-01 ファボーレ東宝にて

スキャンダル / Scandal / 2003 / 韓国

ラクロの『危険な関係』の韓国版で、舞台設定は18世紀末の李朝の上流社会。建物、室内の調度品、衣装、それぞれのデザインや色合いなど、韓国の装飾美はため息が出るほどきれい。バックに流れるバロック音楽もそのシンプルな美にピタリとはまっていた。主役を演じたヨン様は、なるほど噂通りだったけど、色事師を演じるにはちょっと無理があったか。

2004-05-29 高岡ピカデリーにて

息子のまなざし / le fils / 2002 / ベルギー=フランス

社会復帰をめざす少年たちのための職業訓練校で木工を教えるオリヴィエと、たまたまそこへ入校してきた、かつて彼の息子を殺した当の犯人である少年を中心に、ドキュメンタリーのような映像でストーリーが展開する。最後に、ようやく二人の心がふれあったかな?というところでいきなり映画は終わる。心にずしっとくる映画だった。唯一足りなかったのはユーモアだろうか。

2004-05-16 金沢シネモンドにて

アイデン&ティティ / 2003 / 日本

ロックとはなんなのか、バンドブームって何だったのか。悩みながら、ぶつかりながら、自分なりの道を見つけていく中島がよかった。

2004-05-02 金沢シネモンドにて

グッバイ、レーニン! / GOOD BYE, LENIN! / 2003 / ドイツ

ベルリンの壁崩壊前に昏睡状態に陥り、崩壊後に意識を取り戻した母に、ショックを与えないために、激変した社会と生活の状況を知らせまいと、あれやこれやと努力する心やさしいアレックス。笑えて泣けた。

2004-04-12 梅田ガーデンシネマにて

蕨野行 / 2003 / 日本

ばばのレンと嫁のヌイ、心の中で取り交わされる二人の会話が、この上なくやさしくて、せつない。60歳になったら山にあがり、山の小屋で集団で暮らしながら、弱い者から自然死を迎えていくジジババ達。姥捨伝説と同じく残酷な実話なんだけど、最期まで自分をしっかりもちながら生きてそして死んでいく姿に心打たれた。

2004-04-12 OS劇場C.A.P.にて

女はみんな生きている / Chaos / 2001 / フランス

社会の歪みに抑圧され振り回されながらも、たくましくしたたかに生きる女性達が格好いい!! 登場する男達が、これでもかのダメ男ばかり。場面展開にふさわしい音楽も映画のテンポを盛り上げていた。

2004-04-11 金沢シネモンドにて

飛ぶ教室 / Das Fliegende Klassenzimmer / 2003 / ドイツ

名作『点子ちゃんとアントン』と同じ原作者のケストナーさんの作品だけど、監督も出演者もまったく別で、さらにいい出来だった。遠くまで観に行った甲斐あり。学校の授業なんかよりも、何よりも友情が大切なんだよというのがテーマになっていて、5人の個性豊かな子供達がとてもいい。それを温かく見守る大人達がまたいい。

2004-03-13 福井メトロ劇場にて

クジラの島の少女 / The Whale Rider / 2002 / ニュージーランド

村の正当な後継者を見つけだすことがすべての祖父。賢く、勇気もあり、身体能力にも優れた孫娘のパイケアの存在は、彼女が「女」であるということだけのために、祖父の目には入らない。パイケアのまっすぐな瞳がいい。テーマが宮崎駿さんのアニメーション『風の谷のナウシカ』に似てる。

2004-02-22 金沢シネモンドにて

ぷりてぃ・ウーマン / 2002 / 日本

実在するおばあちゃん劇団をモデルに製作されたスーパーフィクション。涙と笑いと元気いっぱいの楽しい映画。

2004-02-07 DVDにて

ジョゼと虎と魚たち / 2003 / 日本

ほわんとしたやりとりが特徴の田辺聖子作品の中ではちょっと異色の悲しい話が原作。原作の良さが活かされていて、まずまず。音楽のくるりもはまってた。

2004-02-01 ファボーレ東宝にて

夕映えの道 / Rue du Retrait / 2001 / フランス

一人きりでつつましい生活を送るがんこなばあちゃんとふとしたことで知り合った中年の女性。ばあちゃんを彼女の母と重ね合わせて、少しずつ面倒を見るようになり、ときには衝突しながらも互いに絆を深めていく。最後の場面に涙が溢れる。

2004-02-01 富山松竹にて

木更津キャッツアイ 日本シリーズ / 2003 / 日本

シリアス?なストーリーを、若者のパワーと笑いで包み込んでしまった愉快な作品。

2004-01-23 高岡TOHOプレックスにて

藍色夏恋 / 藍色大門 / 2002 / 台湾=フランス

画面から瑞々しい風が吹き抜けてくるような良作。純粋でまっすぐな若者達が心地いい。

2004-01-17 金沢シネモンドにて

ナヴィの恋 / 1999 / 日本

昨年観た「ホテル・ハイビスカス」があんまり面白かったので、中江監督の前作であるこちらも買ってしまった。メチャメチャ楽しい!西田尚美さん、はまり役。騒ぎ疲れて、最後に流れるマイケル・ナイマンが奏でる静かなピアノのテーマ曲が、なんだかとてもいいのです。海辺で一日過ごした後の、心地よい疲労感とでもいうのでしょうか。

2004-01-13 DVDにて

翌年 | 前年

CSS: |