雑記帖 - 旅日記
- No.5
2003夏~信州 その3「星降る高原へ」 -
流れ星望月町から、硫黄の匂いでくらくらしそうな万座温泉を経由して、今晩の宿泊地志賀高原石の湯へと向かう。冬場に見慣れた渋峠を越え、横手山の脇を通る。「ちぃさん初めてスキーに来たときに、おいしいパン(横手山頂ヒュッテの焼きたてパン)が食べられるからと騙されて、いきなりここに連れてこられて、半泣きで滑り(転げ?)降りたんだよね~」。(そんな記憶は引き出しの奥深くに仕舞ってしまった)ちぃさん「パンおいしかったな~!」。ちょうど夕暮れ時だけど、空には雲が多く、太陽もすっぽり雲の中。今日は夕陽鑑賞は無理かなと、熊の湯まで半分ほど降りたところが、みるみる雲が晴れてきた。あわわわ、急いでもときた道を引き返す。
既にカメラマンが数人スタンバイしているスポットで車を止める。間に合った。真っ赤な夕陽が笠岳に静かに沈んでいく。カメラマンのお一人の「ここからがドラマだ」との言葉通り、しばらくして素晴らしい夕焼けが始まる。雲の形がみるみる変わるので、空は思いがけないような色彩を次々とみせてくれる。もうこれで終わりかなと思ったら、また別の色が現れる。そんな夕焼けマジックを何度も披露して、空はだんだんに暮れていく。薄紫にかすむ山肌がとりわけ美しい。
すっかり日が暮れてから(当たり前か)、今晩の宿「石の湯ロッジ」に到着。こちらもまた、と・ぺこさんが主に春スキーの際にお世話になる宿。さらりとした温泉につかってから、お食事の前に、石の湯にはじめて来たちぃ凸さんはちょっとだけ螢鑑賞。もう8月も終わりというのに、今年はまだ螢がたくさん飛んでいる。さて、石の湯ロッジに来たときの楽しみの一つが生ビール。ジョッキではなくグラスに丁寧につがれたビールは、きめ細かいクリーミーな泡がほとんど芸術品。んぐんぐ、ぷはあ~。宿のスタッフにお土産にと持ってきたゆい自然農園のトウモロコシもさっそく出して頂いて、その茹でたてのうまかったことといったら。心のこもったお料理、デザートのご馳走もワインとともにすべて平らげて。。。
「う、生まれそう~」なお腹を抱えて、夜はロッジ前の駐車場での星空観察会へ。満天の星空には、星の水がこぼれ落ちてきそうな天の川。時折、流れ星がキラリと横切る。宮澤賢治のようなロッジのスタッフのSさんがつぎつぎと星の名前を教えてくれる。カシオペアの近くのアンドロメダ星雲も肉眼で見える。そして何といっても今年は火星の大接近年、天体望遠鏡で覗く火星の表面には白くもわっとした南極が。夜になると長袖を着ていても寒い。冷えた身体を再び温泉に入って温めて、今夜もぐっすりおやすみなさい。
おひるね3日目も好天。午前中は、ロッジから見える大ぼっこ山登山コースへハイキング。ロッジの前の白樺林を抜け、モウセンゴケ、ウメバチソウなどを探しながら登っていくと、しばらくしてりんどう平にでる。一面のスギゴケの絨毯に、エゾリンドウ、ノアザミ、アキノキリンソウなどが咲いていて、トンボや蝶が飛び交い、撮影班は大はりきり。さらに急な斜面の笹薮を登り切ると、風通しのよい尾根に出る。眼下には、ロッジが見え、携帯電話でロッジに連絡を入れると、スタッフの人が白い傘をぶんぶん振って「やっほ~」と叫んでくれる。そのまま坊寺山へ進むこともできるが、今回はUターンコースを選択。ロッジでBBQが待っているのだ~。
温泉で汗を流してから、お庭に設置されたグリルの上で、用意してもらったどっさりの野菜と肉をじゅうじゅう焼いて食べる。こういう時のシェフは男性陣と相場が決まっているので、ト&凸さんにおまかせする。木陰を抜ける風に吹かれながら、美味しい生ビールとワインでほろ酔いになり、これで食が進まない人はいない。テーブル一杯に用意されていた食材は、見事にすべて食べ尽くされた。デザートのシャーベットが、またおいし。いうまでもなく、食後はそのまま夕方までぐっすりと昼寝。くか~。
夕方、観光客が少なくなり始めたところを見計らって、昨日通ってきた渋峠からもう少し走ったところにある草津白根山へ登山にでかけた。”登山”といっても駐車場から火口まで200メートルほど、しかもコンクリートで固められた道がついており、ヒールはいたおねーさんも、乳母車にのった赤ん坊も、犬もてくてく歩いていく。もしかしたら、もっとも簡単に登ることのできる百名山かも。同じ頃駐車場に着いた仲の良さそうなカップルがいて、男性の方があごが外れたのかと思うほど始終ニコニコ顔でいるので、ほほえましくて何だか目が離せない。
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関連情報
- 石の湯ロッジ
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