雑記帖 - 旅日記
- No.2
2002夏~島旅シリーズ「舳倉島」その3 -
荒れる日本海そうこうしているうちに、はや帰りの船が出る3時になり、島に残るという民俗学者夫婦にお別れして、再び荷物をリアカーに載せて港へ。あっという間の舳倉島滞在だったけど、十分満喫。船のデッキから手を振って舳倉島さんサヨウナラ~。帰りは行きよりも風が強くなっていたものの、追い風だったので行きほど船も揺れず、時間通りに輪島港に到着。さてさて、能登町めざして出発しますか。おっと、その前に、輪島に来たら必ず寄る酒屋「酒のたかた」に行かねば。輪島の地酒「千枚田」純米酒ほか数本をまずは入手。菊姫の大吟醸の酒粕も購入。荷物はクールで送ってもらうようぬかりなく手配。
輪島から能登町までは、能登半島を横断すること車で1時間ちょっと、意外と近い。能登半島の富山湾側の内海と反対側の外海では、海の様子がまるっきり違う。外海は、どどーんと荒れる日本海のイメージそのままいつも波が高いのに対し、富山湾側の内海では、嘘のように海が穏やかで、私はこちらの方が好き。
さんなみは富山湾沿いに走る国道からちょっと登った小高い所に建っていた。平屋建てで客室は3室。以前は、国道沿いにあり、そこから5年前に現在の場所に移転してこられたため、まだ建物も新しく、敷地のあちこちに、角材が積んであったり、手を入れてないところが残っている。きっと、ご主人がこれからいろいろと楽しんで作って行かれるのでしょう。私達が泊まったときは、海を見おろせる露天風呂を建築中だった。
三波村さっと一風呂浴びてから、夕飯を囲炉裏の部屋でいただいた。浜であがった新鮮な魚介類や自家栽培の野菜や米を使った能登地方の郷土料理があれこれたっぷり。味付けの特徴は「いしり」という調味料、イカと塩のみで作る魚醤油で、癖になるような独特の旨味がある。今回のツアーの一行は、どいつもこいつも大食らい。その大食家の面々も、満腹、満足して舌鼓をうったのだった。
夜は山から海に吹く風が気持ちよく、秋の虫の声に3匹のいびきの混声合唱団で、能登の夜は更けていく。すっきり目覚めた翌朝も、郷土料理の朝食をたっぷり味わった。昨日着いたときはもう暗くなっていて気がつかなかったけど、さんなみの敷地周辺には田圃や畑が広がり、そして、その向こうには静かな海が広がっていて、住むならこんなところがいいと私が常々思っている条件にぴったり。
さんなみを後にして、以前さんなみがあったところで、娘さんがオーストラリアンの夫とやっているというパン屋「ふらっとベーカリー」へ。喫茶店も併設していて、さっそく食後の一杯に珈琲をいただいた。オーストラリアではシェフをしていたというやさしい青い瞳のベンさんと、しっかりものの娘さんの経営するパン屋さんは、天然酵母、原料にもこだわったパン作り。お隣ではイタリア料理の民宿「ふらっと」も経営しておられるので、機会があったら、こちらにも泊まってみたい。実は、さんなみを教えてもらったのも、コーエンさんというオーストラリアの方。コーエンさんの自宅は、我が家の近くにあって、20年来家族ぐるみの付き合い。ヴィレッジ・セラーズというワインの輸入販売の仕事をされていて、もちろん「ふらっと」のベンさんとも親しく、民宿「ふらっと」に泊まりに行けば、コーエンさんのワインがたくさん味わえるとのこと。
そんなこんなで、「予想もしていなかった盛りだくさんな旅になったね、さすが、とぺこツアーやちゃ!」と満足しきって舳倉島&能登への小旅行を終えた一行でした。運転手のじゅんちゃんどうもご苦労様でした。
文・絵 ぽこ
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