雑記帖 - 旅日記
- No.1
2000夏~鹿児島「温泉・山・海・森の旅」その2 -
ごはんのかおり妙見石原荘の温泉の湯量は、半端じゃありません。湯量が多すぎて堰き止めているというのですから驚きです。大浴場へのなが~い石の廊下を、カランコロン、下駄の音響かせて歩いて行くのがまたいいのです。川に面した内風呂はゆったりして、開け放たれた窓から清々しい涼風が吹き上げてきます。ど、ど~っと流れ落ちる温泉で打たせ湯が何とも心地よく、日頃の疲れがほぐれてゆくのでした。川風に揺れる合歓の木のピンクの花が満開で目に優しくうつります。
懐石の夕飯は、魚、山菜、黒豚などが、女将の選んだ器に彩り良く盛られているのがなんとも楽しいことです。くしくも、我家でも日頃から愛用している正木春蔵さんの作品や中尾万作さんの作品が多く使われていて嬉しくなってしまいました。九谷の茶碗祭りで、万作さんの試作品やサンプル物を安く手に入れ、それぞれ毎日のように使っているので、初めてとは思えぬ親近感がもてます。グラスは鹿児島切り子の手作りの器が惜しげなく使われていて、夏の器として涼感をいやまします。
初日の朝ご飯は、鮎粥。あまりの美味しさに、土鍋の底を卑しいくらいに音たててすくってしまい、思わず顔見合わせてしまいました。2日目は、炊き立てのご飯が厚手の鉄釜ごと運ばれてきました。どっしりとした持ちごたえする厚い木の蓋から、かすかにお焦げの香りが漂ってきて、ご飯大好き人間としては、も~それだけで「感動ですっ」(立松和平風)。近くにあれば、何度でも出かけて行きたい宿です。隼人町は何処を掘っても温泉だそうで、秋の紅葉もさぞかしと思われます。
以前から夏の霧島音楽祭が開催されている高原へ是非一度行ってみたいと念願していたのです。それと、ひそかに百名山踏破をめざす「と」さんの韓国岳登山と願いが一致し、翌朝、登山口へとサニーを走らせました。ガイドブックでは2時間半の時間を要するコースをマラソン登山するとさんを、途中の見晴らし台で風に吹かれながら双眼鏡で確認して応援。あっという間に駆け下りてきたとさんをひろって宿に戻り、露天風呂で一汗流したところで、休む間もなく一路南へ。
いってくっちゃ~午後は、開聞岳登山口にある自然公園までドライブ(運転手)し、鹿児島の百名山二山目に挑戦のトミちゃんを見送った後は、園内をゆっくりくまなく散策。トカラ馬の放牧場にもなっている公園は、東シナ海を見渡すことの出来る高台にあり、広々としています。開聞岳は海門とも書くそうで、山の裾野がそのまま海に連なっている独立峰。薩摩富士の名の通り、姿がどっしりとして美しく、みているだけでもいい~のです。
翌日は恒例の地酒探しです。ここは鹿児島、とくればもちろん美味しい焼酎が目白押し。お酒は、なんといっても、とさんの元気のもと、妙薬なのですから、これを欠かして帰るわけには参りませぬ。配送は6本入りのカートンを2個まで大丈夫と店員さんに言われ、12本に厳選するのがタイヘン!涙、涙の割愛です。無事送り終えて、石原荘お薦めの「椿高原茶屋」で打ち立て田舎蕎麦定食に舌鼓をうったところで、ちょうど時間となりました。鹿児島県南部、二日間で走行距離約350キロでした。さて鹿児島を後にして、二人が次に向かった先は…。
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