イギリス音楽のルネッサンス:

                 19世紀末から、1960年代位までが 
                 実は1700年前後から,150年以上も続い
                 たイギリス音楽の停滞期から、解放された
                  ある”百花繚乱”的状態であったのだ・・・・


J E Millais・ Ophelia

ドイツの音楽史が、H、シュッツなどから 連続的に新ウィー

ン楽派辺りまで ある発展的な芸術的変遷を、辿るのに対

し ”古典派”周辺の位置づけにおいて、現代的音楽芸術の職業的地位の土台を確立

した まさに その時期に イギリス音楽の創造は 著しい欠落を 見せるのである。
(このことはドイツ音楽発展の”連続性”と対蹠的な”イギリス音楽”の本質から来る特性と 考えて見よう・・・当然間にSウェズリーなどもいる訳だが、”特徴”に注目すること・・・
こういった空白の現象はそこに独立した鍵盤音楽が全般的に乏しいと全く同様なイミでの”特徴”なのである2002年5/9月)


これは又、ある意味 フランス音楽史の傾向をさらに、極端なものにしたとはいえなくもない。

バッハに対してクープラン、ラモー/シューマン、ブラームスに対してベルリオーズ、サンサーンス

ショーソン等(例えば)といった対照に、ハイドン、モーツアルト、ベートーヴェンに相応するものを、

フランス音楽史でも思いつけないということを考え併せることなのだが・・。

イギリス音楽史は、まさに”前衛的に”15世紀以前において、3度構成、調機能的要素(単に長、短

調的ということでないところの)を先取りする。独特なフォーブルドンなどの技法、ダンスタブルら・・。

そしてその新しい流れがフランドル辺りまでもひろがりオケゲッムなどによるその時代の対位法的な

ある完成を産みだす働きをする。そして、特に唯一というべき「イギリスにおける鍵盤音楽の隆盛期」

が存在したエリザベス朝の時代を経て17世紀末 近代的調性音楽が調合されるに至り、ヘンリー

パーセルによって真に近代的人間の声を、はじめて音の表現として鋭く響かせることとなる・・。

(そしてのその陰のブロウ・・パーセルへのオード・・、またロック、カンベール、ハンフリーetc)

が、 こういった西洋音楽語法初期確立期のあと、ドイツにおけるのと全く逆にこの国の音楽史は

長い沈黙でもって重要な2世紀を過ごすように見えるのである。

ヘンデル、やハイドンの輸入あと、全く「一地方的存在」以上の意味(威風堂々だけの作曲家としての

エルガー,又せいぜいアヴァンギャルドへの対立陣営のための代表者としてのブリテン・・といった    

ような見方 )では、”絶えてしまった” もしくは ”本質的な動きはごく遠い昔だけの・・” と 

いうぐあいに、 日本などでは 事実上 評価されることの多かったイギリス音楽は、実は1970年位

までも、丁度ミレーなどがラファエル以前のルネッサンス絵画などの価値を、”発見し”復活を目指

したのと似て、そしてそれ以上の成果を続くようなかたちで 音楽の畑からの様々な花束として示しだす

ことになる。少なからず驚くほどの愛されるべき作品数と主張と個性をもった作曲家群、そして むしろ

そこには根本的に新たな美学の発見がある。よりポピュラーな音楽との親和性と作用性を、基本的に

持つ事と特殊な”受け入れ難さ”の微妙な混合が特徴ともなったとりどりの存在からは、現代社会の

本質をより、見て取ることが出来る。

・・・・・・・・・・”ラファエル前派とロマン派絵画について”
  

【上の文の大体は、1998年3月頃のHPを作った時と同一内容。】


      

  イギリス音楽とは何か?と、こうして論じていく際 定義のようなものを、まずどうしても    
   必要と思われるひとには、次のようなことを、考えていただきたい。・・・確かにアイルラン
   ド音楽は属すのか?etc〜というのはありうる質問だから・・・・
   西欧音楽という特別に構造的立体的な音楽の”相”の内部において、また幾つかの特徴的な
   性格が分岐している。それは方角的言語その他の要素で移り変わる地域と結びついたもの。
   18世紀頃から東欧音楽、ロシア音楽への波及現象的な東側に向けての特徴的な性格の傾向。
   また、同様の動きとしてスカンジナビア半島へも北方的特徴の性格の傾向。そして、形成の
   中心部では、啓蒙主義の宮廷時代くらいまでは、”楽師・音楽家”の代名詞 みたいな南方
   のイタリア音楽(19世紀ヴェリズモ的オペラにおいて大衆音楽に流れる・・)。その要素を
   半分くらい残した独特な”古典主義””中心主義?”のフランス音楽。そこに対比的に産業
   社会と強く結びついて、楽師の立場と別の音楽家の立場を作ったドイツ音楽の個性。そして
   それと一見近いゆえ、また諸々の理由で歴史の上で、見て取りにくくなったイギリス音楽の
   難解な性格。だから、このHPで述べる”イギリス音楽”とはもっぱら、ドイツ、フランスな
   どと対比した”性格的傾向”で、ある色調の違いの意味となる。大事なことは、この色調の
   違いは、説明の文脈によって、様々な外延的意味を持つことで、場合によってはアイルラン
   ド音楽やスペイン音楽、ベルギー音楽などといったものは当然考え得るが、説明の内容に左
   右されて、より大きな傾向の分岐のなかに含めて話題とすることもある・・・・等々。
  (宮廷文化と結びついてフランス音楽とイギリス音楽の類縁性を強調する論調も考えよう・・)
                       etc・・・2002・7/25記載  
       ※この問題は「フロイトの・・・」でもっとちゃんと?論じられる予定なのです。⇒
              
        

    ある程度、歴史的考察みたいなものの場合、最近の事柄は一応はずして言及する場合も   
   普通だと思う。私たちの世界の歴史の全体を、考えた場合にも、実は、特筆すべき豊かな創
   造的な時代であった事が、いいたいのです。もちろん、いわゆる”イギリス音楽”というも
   のの中から、今後もどんどん素晴らしいものは、出るだろうし、その状況ももっと盛んなも
   のになると、何となく想像はしているのですけれど。とにかく、普通、こういった話題で、
   ちらつく、国家(国旗など)、人種の話は、ひとまず遠ざけて、今はまず眺めてみようとい
   うこと。              (2003/7/21)
       


         

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