AG1:声楽作品(1)



       




3:        
  ” FACADE  ”   (1921)


   


                                                  ペギー アシュクロフト、ポール スコフィールド  (語り)

             ロンドンシンフォニエッタ

       ウィリアムウォルトン 指揮       (LONDON  414 664-1)..LP



   作曲者自身の指揮による自作自演盤。72年頃の録音。
   今まで出たもののうち、この曲のムードが、最も出ている盤かもしれない。
   初期のウイリアムウォルトンの創作の思想的背景として、最も重要なのがシットウエル家とのつき合いで、
   若い時の彼は、住み込んでピアノを弾いて暮らしていた話は有名である。こういう若い時代の影響は、
   ブリテンのオーデンとの思想的関係を容易に思い起こさせるが、多少 作用関係は違うものかもしれない。
   まず、エディス シットウエルの詩は、オーデンやまた英詩壇におけるその前の中心人物とされる
   TSエリオットなどのそれ とかなり質のちがうものといった方が良いと思われれる。
   いわゆる、シュールレアリスムに属するような要素を持ち、オートマティズム風の扱いでもあるし  
   語感に非常に重要な力点が置かれる。だから、オーデンやエリオットのように、それなりに西欧思想史
   との概念の関係を考えることが出来、また前衛的抽象詩の手法が取り入れられつつも基本的に世界を語り、
   劇性も結構存在する詩と違って、確かに英語以外の語に置き換えることは、最も難しい類のものである。
      (わたしなどは、その語感のニュアンスが全く不十分にしか判らない
       ので自信を持って、この類の詩は説明できない。・・・・・・2003/3/7)
   そういった拒否性が若いウォルトンの肌にあったし、またその性格は音楽性(語感性)にも容易につながる。
                           シットウエルの方向性は、また大陸のシュールレアリスムと違って、皮肉な現実感覚を多分に示すのが特徴
                           で、前衛性すらもジョークの感覚を凌駕するものでない。・・・
    



   





              “LADY WALTON”、RICHARD BAKER  (speakers)  

         RICHARD HICKOX         ( conductor)

                   〜〜 THE CITY OF LONDON SINFONIA