請 願 書

請 願 書

一、件 名
  正覚寺門徒戸数の是正について

二、要 旨
  戦時中の混乱期に於ける門徒戸数の過剰申告と、過疎化における世帯数の減少をふまえ、正覚寺の届出門徒戸数の是正をされたい。

三、理 由
  第二次世界大戦戦時中の混乱期に於いて、政策として様々な職業・企業の合併ということが行なわれ、寺院合併という噂も広がりました。当時の正覚寺住職山吹彰憲は、放置しては門徒戸数の小さい寺は大きな寺に合併吸収され消滅してしまうという危機感から、正覚寺存続を目的として架空の門徒を加えた門徒名簿を作成し提出したということです。
したがって、現在届けられている門徒戸数は架空のものであり、終戦から五十周年を迎えようとしている現在に於いては是正されてしかるべきであると考えます。
  また、近年能登に於ける過疎化は行政をはじめ誰もが認めるところであり、輪島に於いても例外ではありません。
当寺は、門徒の多数が市街地にあるため、過疎化の影響を強く受け、独居老人の家庭も多数あることから今後も門徒の減少が続くことは目に見えて明らかです。
 以上の理由から、御本山から相続講金の御依頼を受けましても完納できない状況が永年続いております。
住職継承の折など完納が必要とされる年度は、組内寺院の御理解と御協力により納証をお借りして形式上のみ完納として頂いてきましたが、前年度は100万円余りの不足分を山吹家の財産を切り崩して完納とさせて頂きました。
しかし、この様な状況の改善を先送りすることは、組内をはじめ教区・教団に大きなご迷惑をかけ続けることとなり、この際正覚寺門徒戸数の是正をして頂くことが必要であると考えます。
 よってここに、正覚寺門徒戸数の是正を強く求め、請願致します。


  平成六年七月十二日



御門徒への報告

右記の請願書を総代・世話方の皆さんと相談し、本山の出先機関である能登教務所(七尾)の所長と七組組長である宅田真照寺様に提出させて頂きました。

 正覚寺の本山届け出門徒戸数は340戸余りであるらしいのですが、現在は毎年282戸の御依頼が来ます。
ちなみに昨年度(平成5年7月1日から平成6年6月30日)は、門徒一戸7800円で正覚寺の総額219万9600円という御依頼でした。
これをそのまま今年度 (平成6年7月1日から) の御依頼額で計算致しますと、門徒一戸12300円で、正覚寺としては346万8600円の御依頼額となります。
この340万円余りの御依頼を現在の正覚寺の実情で完納しようとすれば、門徒一戸平均23000円(150戸で分割)のお願いをしなければならなくなります。
同じ真宗大谷派の門徒であるのに所属する寺によって本山の御依頼金額が違うというのは不平等であり、このようなお願いは住職として出来るものではありません。

 この御依頼金は門徒に対する懇志金であり義務金(義務金は別途16万円から17万円納めている)ではありません。
しかし、近年は本山や組織の役職に就いておられる方々からの完納要請が強く、完納できない寺の住職として肩身の狭い思いを致しておりました。
何も本山に対して願い事をしない普通の年度は、ただ肩身の狭い思いをするだけなのですが、住職交代や、今年のように子供が得度(僧侶になる儀式)をするなど、本山に願事をしなければならない年は、御依頼金の完納が絶対条件となります。
有りもしない門徒の数の分まで本山にお金を納入しなければならないなんて不合理だと思いましたが、子供の将来に関わる問題だけに住職の母である久喜子が預金を叩いて100万円余りの不足金を納入して子供たちの得度を致しました。

 本山の役員の方に正覚寺の負担金を少なくして欲しいとお願い致しましたら、「次は住職交代の時まで完納の義務は無いのだから辛抱して下さい」という旧来通りの御返事でした。
ただ住職である私一人が肩身の狭い思いをするだけなら、それも正覚寺住職の責任かなと辛抱致しますが、近年は御門徒の皆さんにも肩身の狭い思いをさせていると聞き、また将来正覚寺を継ぐであろう子供にまでこの重荷を背負わせたくはありません。

 ここが辛抱の限界だと思い、先の請願書を提出し門徒戸数の見直しをお願い致しております。
現在七組の組会と門徒会で継続審議中です。次号にて結果を御報告できると思います。



平成6年度の御依頼

平成六年度御門徒一戸総御依頼額 一二、三〇〇円也 
 一、経常費御門徒一戸御依頼額 八、〇〇〇円也 
内訳 本山相続講金    七、五〇〇円也 
本山同朋会員志金 五〇〇円也 
 一、蓮如上人五百回御遠忌懇志金 四、一〇〇円也 
(蓮忌四年間総御依頼額 一六、二〇〇円也)
 一、教区費 二〇〇円也 
真宗大谷派
 能 登 教 務 所



教務所長から組長への連絡文書

平成6年7月15日

第7組長
  旭 祐栄 殿

能登教務所長
   藤島 昭順


    御依頼門徒戸数の減戸申請について(通知)

 去る、7月12日付で手紙で請願のあった貴組 正覚寺の御依頼門徒戸数減戸について、去る7月14日開催の御依頼額割当適正審議委員会において審議された結果を下記のとおり通知いたします。

 門徒戸数減戸(第7組)については、平成3年7月15日の同委員会で出された「報告」をもとに、通常の能登教区教区門徒会及び能登教区教区会で議決されたとおり該当組で解決すること。

以 上

 


決   議

議 題 T

正覚寺及びJ寺の門徒戸数変更について

 年度頭初の定例組会以来諸々の会議を重ね慎重に審議してまいりました。
昨年10月5日の臨時組会において“新年組会で下記の2つの案よりどちらかに意志表示をしていただき、その多数をもって結論とする”ということが話し合われました。そこで用紙に記入の上、当日御持参下さい。
持参できない方は24日までに正副組長宅へ届けて下さい。
 尚、定例組会(9月5日)臨時組会(9月19日、10月5日)、門徒会関係では定例(9月7日)常任委員会(10月18日)、それに組委員と教務員の前元現が加わった合同会議(7月23日、25日、8月26日、9月28日)と計9回にわたり検討を重ねてきたことを申し添えます。

第1案 教区全寺院の門徒数を見直す時機になっているように思われるので、検討を願う嘆願を教区に提出する。
第2案 両寺住職は職務を深く自覚され、お取越を全門徒に勤めて、本山懇志金の趣旨を徹底し、収納の篤励に努力されんことを望みます。その上で検討する。

添付文書@正覚寺の請願書 AJ寺の請願書 B所長より組長への文書

 

 

請願書で理由として述べている「戦時中・・・」という説明は、周囲の先輩住職方に教えていただいたことを記述したものですが、当時はそういう情報しかありませんでした。
どうも先輩住職方のお伝えも不正確であったようで、今回の調停や特別委員会の答申により、さまざま知らなかった事実が明らかになり、いろいろと教えていただきました。
調停は不調になりましたが、これまで謎(秘密?)だった今日の御依頼に至る経過が明らかにされただけでも成果だったと思っています。

記録を所有していないので曖昧ですが、上記の請願の投票の結果は、第2案への投票が多く、議決されたと記憶しています。
多少表現が乱暴ですが、全門徒へ徹底的にお参りに押しかけ、本山への納金を強要すれば集まるはずだと、結局、住職として取り立て方が生ぬるいから完納できないのだろうと判断されてしまったようで残念です。
強制的に厳しく取り立てないと末寺・門徒は本山へ懇志を納めないだろうという、人に対する不信感がこの問題の解決を阻んでいると強く感じました。
「寺や僧侶の格付け(旧寺格、堂班)という差別がなかったら、誰が本山へ金を納めるか!」と言われたある住職の言葉が、全てを言い表しているのかもしれません。
ただ、当初は正覚寺のみの請願であったはずのところへ、J寺さんからも依頼が提出され、両寺が一括して審議されたため、それぞれの寺の特有の事情が全く調査・検討されなかったことが、この決議の欠陥だと思いました。
違いを認め合うことができない、皆同じで一緒なんだという決めつけに問題が解決できない根本があるようにも感じています。
それにしても、 「本山懇志金の趣旨を徹底し、収納の篤励に努力」と言われましたが、そもそも本山懇志金の趣旨とはどういうことなのでしょうか?
本廟護持、本山の維持・運営には経費がかかるから、末寺・門徒は経費を分担して負担するのは当然ということなのでしょうか?
そんなことは当たり前だろと言われそうですが、それならば、能登の御門徒1戸あたり8,500円の分担算出根拠はどういうことなのでしょうか?
正覚寺の御依頼門徒戸数282戸の根拠は何なのでしょうか?
現在の正覚寺の門徒戸数=明治11年の石川県届け出門徒戸数×8割(2割減)という方程式は、どのように証明されるのでしょうか?
住職として自分が理解できていない本山の御依頼を、御門徒に納得していただける説明ができるはずがありません。
言語道断、末寺・門徒は黙ってお上・本山の仰せに従えというのでしょうか?
でも、もうそんな脅しはいつまでも通用しないんじゃないでしょうか。
納得できない不可解なものが宗教、浄土真宗とでもいうのでしょうか?
でも、納得できなければ、人は離れていってしまうんじゃないでしょうか。



本山御依頼金
週刊新潮 | 北国新聞 | 寺門興隆
裁  判 | 御遠忌・修復懇志金 |  調  停
拝啓 宗務総長殿 | 質問状と回答
請願書(1994年) 
| 近江第1組本山経常費調停

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