出汁について

絵:削り節器
削り節器

やすこさんの幼い頃は、毎朝起きると、カツオのだしの香りがぷーんとただよっているのが常でした。やすこさんの実家では食事前に誰かがカツオ節をしゅっしゅっと削り、それを出汁として使っていました。昔は当たり前だったそんな風景も、時間に追われるように生活している現在ではほとんど失われてしまいました。今では、袋詰めされたカツオのけずり節を買ってきて使うのが普通です。どうみても、昔の生活の方が豊かだったような気がします。

昆布とカツオ節

絵:昆布とカツオ節
昆布とカツオ節

昆布は、江戸時代、北前船によって北海道よりもたらされて以来、富山の食生活にはなくてはならないものとなっています。昆布の持つ上品なうまみは、料理の基本である出汁をとるのに欠かせません。
やすこさんがよく使うのは、羅臼昆布です。昆布は一般に肉厚なものが良質とされますが、羅臼昆布だけは肉薄な方がよしとされます。羅臼昆布からとれるだしは香り、口当たりともにとてもよい上品な出汁がとれます。

  1. 水カップ4に昆布を入れて約30分置く。
  2. 1を火にかける。
  3. 鍋肌の泡が大粒になってきたら、昆布を静かにとりあげる。
  4. 火を止めて、カツオ節をふわっと入れる。
  5. カツオ節がすっかり沈んだところで静かに木綿の布などで漉す(決して押さえつけてはいけない)。これが一番だしです。
  6. 一番だしをとったあとの昆布とカツオ節と水4カップを鍋に入れて火にかけ、沸騰したら3分間煮出す。これが二番だしです。

二番だしをとった後の出汁がら昆布は、ダイズと昆布の煮物タケノコのみそ煮に使う。

煮干し

絵:煮干しのだし
煮干しのだし

煮干しはカタクチイワシの子魚を乾燥させたもので、出汁をとるときは苦くならないように、頭と血合い(はらわたのところ)を丁寧にとって使います。やすこさんは水出し法で出汁をとります。広口瓶に煮干しを一人分3~5匹(大きさによる)づつと水を入れて、蓋をして、冷蔵庫に入れておきます。一晩たったら、鍋に瓶の中身を開け、水を足して、火にかけて沸騰したら煮干しをすくい取ります。ちなみに取った頭と出汁をとった後の煮干しは、贅沢な飼い猫ポコの大好物です。水出しせずに出汁を取る場合は、煮干しと水を鍋に入れて火にかけ、沸騰したら火力を落として5分程煮出します。水出しの場合はこの5分間とガス代が節約できるというわけです。

干しシイタケ

干しシイタケの戻し汁は独特の風味があって栄養も豊富です。干しシイタケには「どんこ」と「こうしん」があります。どんこはかさが厚く、味・香りともよいので、家では主にどんこを使っています。干しシイタケを戻すときは、鍋に干しシイタケと水を入れて、火にかけます。沸騰したら、火をとめて30分間そのままおきます。

だしパックまたは粉末だし

時間がないときは、だしパックや粉末だしを使います。だしパックにはカツオ節、昆布、煮干し、シイタケなどの粉末が入っています。使うときは、鍋に水とだしパックを入れて火にかけます。水から入れるところがポイントです。煮物などにもとても重宝します。粉末だしは、お湯に溶かすだけで、だしの出来上がり。でも、やはり、手間暇かけて取っただしに比べると風味がかなり劣ります。