雑記帖 - yo:ku:nel
- No.61
早瀬浦 -
両国の今売り出し中の蕎麦屋「ほそ川」で呑んだお酒がこれ。お酒のメニューにはなかったが、純米吟醸は有りませんかと言ったところ、でてきたのが、「早瀬浦」。福井県美浜町の酒というのは、うかつにも全く知らなかった。勿論初体験。
これが、実に美味しかった。香りは、洋梨ではなくて、和梨の上品な香り。香りは、菊の井に似ている。味は、小さな蔵特有の、言ってみれば扶桑鶴ライクの味もある。きしくも前半期ベスト酒の特徴を両方兼ね備えているではないか。
ほそ川は、内装が、イタリアかスペインっぽい。黄土色の珪藻土に、打ち出し鐵の金具、イタリア大理石の照明とドイツ(?)ぽいライト。空間がゆったりしているのが、何より贅沢な気分になる。白銀の「三合庵」といい、「松翁」といい、ちじこまって食べないといけないもんね。
(2005-10-29)
- No.62
土佐鶴純米大吟醸 -
土佐鶴の前に角偉三郎さん、といっても面識が有るわけでないが、自分を十二分に仕事で表現をした人生に魅力を感じる。我が家の宝物は、一個ずつの合鹿椀と片口。そして、我が家の入り口を今でも飾っている童子のようなマスクの色紙。これは、数年前に金沢武蔵ヶ辻の骨董屋さんで床に転がっていたのを、偶然見つけたもの。一目で気に入った。フリマ価格だった。写真で見る本人とよく似ている。線に勢いが有り、漆作品に通じる力強さがある。合掌。
土佐鶴は、「醉鯨」「司牡丹」の高知のお酒。 実は、この蔵は常時全国出荷量30位以内の大きな蔵であるとは、知らなかった。JUNちゃんとぐびぐび飲んだ。山田錦精米歩合40%以下に磨いてある。純米吟醸クラスとは、さすがにふくよかさや香りが異なる。
(2005-10-30)
- No.63
「越乃寒梅」古酒乙焼酎 -
今日は、業界の新人歓迎会だった。高岡の老舗料亭での宴。名工の手になる建物、立派な庭。なかなかの軸や額。しかし、お酒はと言えば日本酒1種類、焼酎が「しろ」に芋焼酎1種類。料理は、鮑や松茸料理など、おいしいものもあったが…。
自宅に戻ったら、T-oneに火がついていてほっとする。早速CDを。本日は、枯葉の饗宴。しっとりとしたイブモンタンの歌声と、マイルス・デービスの乾いたペット。どっちも心にしみる。肴になりそうな物をつまみながら、芋焼酎「砂のかけはし」を呑む。道がついて、先日新潟のよね君から貰った、「越乃寒梅」古酒乙焼酎を飲む。アルコール度数40度の米焼酎。きりっとした呑み心地である。米焼酎は日本酒党には親近感がある。越乃寒梅のは、特に酒臭く感じる。最近、菊姫や各地の酒蔵が焼酎を造り始めた。
CDの最後は、数年前に買い求めた、「シャラノフ」のお洒落なピアノトリオ。どれどれっ、越乃寒梅焼酎の味は、ZZZZZZ
どしらさまも おひゃすひなさいばせZZZZZZ(2005-11-01)
- No.64
三千歩の男 -
食べたい、けど痩せたい、世の中の健康志向を反映して、巷ではウォーキングが流行。このところ、我が家の近辺にもよなよな、テニスの素振りを入れたり、水泳のストロークの真似をしたりしながら歩く変なおっさんがいるらしい。おっさんの歩く距離は、三千歩のみ。 もっぱら、今修復中の勝興寺境内を歩くが、人っこ一人会わない。これで、寝る前に血糖値が下がるもんだと思いこんでいる。それを信じて、もう一度「越乃寒梅」乙焼酎、確かにお酒の蒸留酒。
(2005-11-03)
- No.65
芋焼酎「九曜」貯蔵古酒25% -
種子島産、6年貯蔵とのこと。芋なら黄金千貫に逆らい、白センガンを使用とのこと。完熟した甘みが売りである。居酒寿司の焼酎がこれ。研修生ベーヤンが、これは旨いとぐびぐび飲んだ。確かに呑みやすい。種子島と言えば、ロケットだけじゃなかった。隣の島の「三岳」とはちょっと違うと言うよりは、ランクが違うようだ。
(2005-11-09)
- No.66
空振り100回男の「竹葉」 -
テニスラケットで空振り100回は、ギネスブック物かも。しかし、今なら出来そうな気がするのが怖い。
それは、さておき、今晩は、石川県能都町宇出津数馬酒造の「竹葉」純米ひやおろし。能都町と言えば、往年のテニスプレーヤー「神和住純」さんの出身地である。神和住と言う部落もある。近年神和住テニスフェスティバルが開催されており、決勝トーナメントへ行くと、プロと組んでダブルスがして貰えるとか。今年は、との所属クラブのTさんが、沢松奈生子さんと組んで、見事優勝した。
能登のお酒は、何と言っても「宗玄」が有名。最近では、「能登誉」と「竹葉」がそれに次ぐ。そのほか、「谷泉」とか「白菊」というお酒もある。「谷泉」は一時幻のお酒ととの周辺で騒いでいたことがある。この辺は、ほんとの地酒。
竹葉は、以前からおとなしくてマイルドな味わいがあり、良い印象を持っている。金沢の蕎麦屋さん「更科藤井」は、竹葉に特注している。料理と喧嘩しない酒である。
(2005-11-10)
- No.67
三千盛 -
本日は、岐阜県笠原町のお酒、三千盛小仕込み純米。純米大吟醸とのこと。辛口のお酒として、有名。原料米は、長野の美山錦と富山の五百石らしい。沖縄のサムさんのお気に入り酒。
お酒の分類で言えば、表日本の旨酒。その中でも辛口。小仕込み純米は、さすがにこくがある。日本海側の、吟醸香漂う淡麗辛口酒とは、赤ワインと白ワインほどの違いがある。うーん、こうなると日本酒の基準酒も2ついるなー。とりあえず、表日本側のお酒の基準酒は、愛知県常滑沢田酒造の「白老」千寿にしよう。表日本側の旨酒は、燗酒に合うのはよくわかる。
(2005-11-12)
- No.68
伊勢吉どん -
よし、今度は「佐藤」を、といいつつ「伊勢吉どん」「佐藤」は、評判の芋焼酎らしい、しかも原酒とは。いったい何度かしら。焼酎や泡盛は、度数が高い方が美味しい。芋焼酎がきれたので、かといって「佐藤」はなく、今日は、「伊勢吉どん」鹿児島県薩摩郡宮乃城町小牧酒造製。25度。カメ仕込みが売り。喉ごしがちょっときつく感じるが、味、香りはなかなか。次は、佐藤だ。
さて、「鼎」。なかなか、よさげですね。吉田類さんの居酒屋放浪記をたまにBSでみると無性に行きたくなりますね。そこで、本日の酒書は、「下町酒場巡礼」四谷ラウンド発行。東京の場末、個性アル隠れた酒場46店を呑兵衛3人組が歩く「酒場愛好家」の必読書の帯。
店の紹介は「狭い、狭い、路地のずーっと奥に」とか「裸電球六個が照らすカンターだけの店」とか「 おばあちゃん一人で仕切る泡盛三杯までの店」とか「ひっそりと、戦後の闇市の世界」とか、「精力増強山いもーセピア色したお品書き」など魅力的なコピーがずらり。白黒写真の酒場風景を眺めているだけで酔ってしまう。
(2005-11-15)
- No.69
日本酒研修 -
本日は、ベーヤン研修最終日につき、トにとってもっとも得意な、そしてベーヤンにとっても本業と共にもっとも才能を示している日本酒研修。場所は、お師匠さんのいる「居酒寿司」。研修生は、ベーヤンと日本酒大好きなO嬢、下戸のK嬢が加わった。
お酒は、居酒寿司の作法にのっとり、まずシメイブルーで乾杯。次になみなみと注がれた「〆張鶴純」に、次々に挑戦。ベーヤンは連日の飴と鞭の研修の疲れのせいか、ぼとぼととこぼす。K嬢は残念。O嬢は、好きこそ物の上手なれと集中力を発揮し見事に一滴もこぼさずにお口へ、「はーおいしー」。突き出しは、鯨の背の皮の炊き合わせが出された。
お次は、トのスキーの唯一のお弟子さんからの貰い物長野県諏訪市の真澄の最高級酒純米大吟醸「夢殿」。真澄の「楽最真」は、こてこての吟醸香に甘口だった印象がある。さて、「夢殿」は、口に含むとおや、意外と軽い。メロンやらいろんな果実臭がある。真澄は、この春訪れた、諏訪大社の御宝鏡「真澄の鏡」に由来する。ここの酵母は、「協会7号」酵母に認定されている。
続いては、「竹鶴」大和雄町純米原酒。以前に取り寄せた分なので、今や注ぐと飴色に成っている。やや、古酒化して、くせがとれ、それなりにいける。居酒寿司のマスターは、夢殿は最後に吟醸香が残り、気になる。竹鶴のほうが、呑みやすいという、と言ってもマスターにとっては、〆張りと梅錦が横綱であることにかわりはない。
下戸のK嬢もお酒の美味しさに目覚め、懸命に挑戦する。O嬢は小気味の良い飲みっぷり。マスターは、若い娘さん二人の登場で大張り切り。肉厚のしめ鯖、「きじはた」薄造りや、穴子、バイ貝など、次々に出してくれる。そして、お得意の「卵焼き」を焼くと店内に良い香りがプーンと広がる。思わず誰かが「美味しいもの食べてると幸せ」とつぶやく。そーなんです。
そのうち、マスターの手造り「山葡萄酒」。何とこれはマスターが山で集めてきた山葡萄を漬け込んだもの。10年物梅酒ブランディ漬けまで出てきた。さらに、研修の最後にやや古酒化した「香露」大吟醸まで出てきた。こっちは日本の酵母の草分け「協会9号」だ。即ち日本の吟醸酒の原点。
そのうち、京都のヨン様こと潤様まで顔を出した。明日京都に出張すというO嬢は、京都の美味しい蕎麦屋情報を一生懸命聞いている。端っこに座ったベーヤンはと言えば、前回気に入った「九曜」をいつの間にか注文して、ぐびりとやっているではないか。なかなかすみには置けない。お酒は、全員合格というよりはもう超されているかも。
(2005-11-18)
- No.70
鍋に燗酒 -
ベランダの菜園にいつまでも、トマトやピーマンがなっていたけれど、さすがに冷え込んできて、志賀高原では一部で18日(土)からリフト運行開始のうれしいお知らせ。雪だ、鍋だ、燗酒だ。今夜の燗酒は「三千盛朋醸」。これは、純米吟醸の熟成タイプらしい。一升瓶の首に「燗で旨い」と赤字のタグがついている。
オー呑まいでか。銅のちろりをやかんに浮かべる。指を入れては飲み頃を確認し、はい~OK。 すっきりして、まろやか。燗酒としてはトップクラスである。冷やはどうか、口に含むと極端な辛口の寂寥感が口に広がる。しかし、のど元で地味のあるうまみを感じる。前呑んだ三千盛小仕込み純米より、こっちの方が好みである。沖縄の料理に合うのもわかるような気がする。旨口系の辛口が必要なのだ。
燗で旨いのタグの裏に燗酒の解説があったので、ちょっと引用したい。「日向燗 30℃近辺」「人肌燗 35℃近辺」「ぬる燗 40℃近辺」「上燗 45℃近辺」「あつ燗 50℃近辺」「飛びきり燗 55℃以上」。燗は人肌と馬鹿の一つ覚えのように唱えていたが、こんなにもいろんな温度で楽しまれてきたとは。
(2005-11-20)