COLUMN 重金属雑談
第十四回 「ヘヴィメタルとジャパン」
マルコポーロが黄金の国として西洋に伝えた国、ジャパン。
現代においては、その伝説は経済大国としてのジャパンマネーを意味するものとなってしまいましたが、ことヘヴィメタル界においては未だ日本は黄金の国としてアーティスト達の夢と希望の対象になっているようです。
しかし、その彼らの日本に対する認識が現在に至るもジャパンのままとなると…?
勘違い系
RIOT
日本人の琴線にふれるサウンドを創り出す彼らですが、デビューアルバムが日本で認められたことによりセカンドアルバムでは日本のファンに向けての感謝の意味を込めた楽曲が収められています、が
NARITA / RIOT
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それは何か違うかもー。
真紅のスモウ・レスラー(斧付)のコスプレをしたアザラシ男も鮮やかな成田空港の風景です。もちろんお約束アイテムのフジヤマも忘れてはいません。地理的には見えるわけありませんが、って言うか、ここはどこだ?成田闘争の様子をジャケットに描いたつもりのこのアルバムにはインストゥルメンタル・ナンバーのタイトルトラックが収録されています。
そしてこのスモウ・レスラーは「BORN IN AMERICA」アルバムにも現れています。
PHANTOM'S OPERA
AI TO YUME NO SEKAI / FOLLOWING DREAMS
プログレ系メロディアス・ハードな彼らですが強く日本市場を意識した「愛と夢の世界」なるナンバーを作ってしまっています。気持ちは分からないでもないですし、日本語もかなり正しい発音なのですが、何かが間違っている気がするのは気のせいでしょうか。
SEX MACHINGUNS
JAPAN / SEX MACHINGUN
日本が誇らないビジュアル系バンド。さらに確信犯。お米を食べよう。
時代劇系
JOHANSSON
SAMURAI/THE LAST VIKING
様式美キーボーディストとして名を馳せるヤンス・ヨハンソンとその兄弟ですが、このアルバムではサムライなる曲を発表しています。歌詞の内容も楽曲も至極真っ当なものですが、サビでのサムライの連呼は日本人の心にグサグサ突き刺さることでしょう。サァムラァーイ。
THE NINJA / SPEED METAL SYMPHONY
現メガデスのマーティ・フリードマンと現在闘病中のジェイソン・ベッカーが中心となったバンドですが、浪花節だよ人生は、のマーティ・フリードマンは哀愁帯びた泣きのメロディをこれでもか!と叩き込んでいますが、歌詞は何かが間違っています。ニィンジャァ。
TOKYO BLADE
LAメタル系バンドですが、バンド名がいきなり何かおかしいです。東京と刃で日本刀?
文化系
TESTAMENT
UROTSUKIDOJI / LOW
ヘヴィネスを追求する元スラッシュメタル組の彼らですが、日本の伝奇ヴァイオレンス・アダルトアニメ「うろつき童子」をモチーフにしたインストゥルメンタル・ナンバーをやっています。よほど気に入ったのか、劇中のセリフのサンプリングの許可を得ようとしましたが、駄目だったため日本語のセリフを自分達でやっちゃってます。何イッ、海の魔王かッ!
BLUE OYSTER CULT
GODZILLA / SPECTRES
ニューヨークの冷たい狂気、ブルー・オイスター・カルトの代表曲。日本が産み出した世界に通用するスター“ゴジラ”を題材にした曲です。彼らはこの曲の中で劇中のアナウンサーのセリフを再現しています。さらに彼らは後に「CLUB NINJA」という勘違い系タイトルのアルバムを発表しています。ゴッズィラッ!
DEVIN TOWNSEND
CITY / STRAPPING YOUNG LAD
「歌舞伎町から超鋼鉄重低爆音」という壮絶な邦題を付けられたこのアルバムでは、ジャケットに新宿歌舞伎町の風景が使われています。
SEPULTURA
BIOTECH IS GODZILLA / CHAOS A.D.
ヘヴィネスとあらゆるトライバルリズムの融合を追求する彼らですが、この曲では“ゴジラ”を比喩的に使っています。また、
KAMAITACHI / AGAINST
このアルバムで実現した日本の和太鼓集団「鼓童」との共演によって産み出された、このインストゥルメンタル・ナンバーでは日本的なサウンドとの融合が図られています。またジャケットも般若と仁王像が使われるなど強く日本を意識したものになっています。
日本贔屓な人々
MANOWAR
ジョーイ・ディマイオ閣下は前世がサムライ(自称)。
MARTY FRIEDMAN
日本人以上に日本の心を知り演歌を愛するヘヴィメタル・ギタリスト、マーティ・フリードマンは自身のソロアルバム「」で日本語詩を導入するなど、現在の日本人が失ってしまった何かを持っている、そんな気さえします。前出のカコフォニーから彼の日本への憧憬は更に推し進められたようです。
他、らんま1/2をこよなく愛するジャパニメ・マニア、モービッド・エンジェルのトレイ・アザトースや永井豪リスペクトのグレン・ダンジグなど色々なアーティストがいたりします。
感謝する人達
HEAVENS GATE
RISING SUN / HELL FOR SALE
ジャーマンメタルのもうすっかりベテランバンド、ヘヴンズ・ゲイトですが来日公演での熱烈な歓迎振りから、日出づる国日本のファンに感謝を込めた曲を力強く唄っています。
ジャパン・バンザイ!…いいのか、それで。
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