ALBUM COLLECTION バックナンバー 2005
■January ■Februaly ■March ■April ■May ■June ■July ■August ■September ■October ■Nobember ■December
- REMAGINE/AFTER FOREVER
- WOUND CREATIONS/AMORAL
- SCHIZO DELUXE/ANNIHILATOR
- APOCALYPTICA/APOCALYPTICA [IMPORT]
- LUXAETERNA/AQUARIA
- DOOMSDAY MACHINE/ARCH ENEMY
- BACK FROM THE HEAT/ARTHEMIS
- ILLUSIONS/ARWEN
- CHAINED/AT VANCE
- THE INQUISITION/AXENSTAR
- THE EMPIRES OF THE WORLDS/BIOMECHANICAL
- MIASMA/THE BLACK DAHLIA MURDER
- NOSFERATU/BLOODBOUND
- IDOLATOR/BLOOD STAIN CHILD
- LIQUID MONSTER/BRAINSTORM [IMPORT]
- LIQUID MONSTER/BRAINSTORM
- TYRANNY OF SOULS/BRUCE DICKINSON
- ARE YOU DEAD YET?/CHILDREN OF BODOM
- CHIMAIRA/CHIMAIRA
- CONSPIRACY IN MIND/COMMUNIC
- ONCE WAS NOT/CRYPTOPSY
- LAYERS OF LIES/DARKANE [IMPORT]
- UNDOING RUIN/DARKEST HOUR
- BEYOND THE SEA/DARK MOOR
- CHARACTER/DARK TRANQUILLITY
- RECLAIM THE BEAT/DEFLESHED
- TOUCHED BY THE CRIMSON KING/DEMONS & WIZARDS [IMPORT]
- INVENTOR OF EVIL/DESTRUCTION
- HERO/DIVINEFIRE
- INHUMAN RAMPAGE/DRAGONFORCE
- ENCLOSED/DREAMAKER
- DIFFERENCE/DREAMTALE
- OCTAVARIUM/DREAM THEATER
- SUPERHEROES/EDGUY
- GRIME VS.. GRANDEUR/FALCONER
- CIRCLE OF LIFE/FREEDOM CALL
- ADVANCE TO THE FALL/GALNERYUS
- MAJESTIC/GAMMA RAY
- THE LAST SUPPER/GRAVE DIGGER
- CONSIGN TO OBLIVION/EPICA
- TURIS FRATYR/EQUILIBRIUM
- THEATRICAL MADNESS/EVIL MASQUERADE
- AT THE BLIZZARD END.../FOLLOWBANE
- IV: CONSTITUTION OF TREASON/GOD FORBID
- CHAPTER V:UNBENT,UNBOWED,UNBROKEN/HAMMERFALL
- THE SICKNESS WITHIN/HATESPHERE
- THE CALL/HEED
- BORN II ROCK/HELLFUELED
- KEEPER OF THE SEVEN KEYS -THE LEGACY-/HELLOWEEN
- BLESSED BLACK WINGS/HIGH ON FIRE
- WALK IN MINDFIELDS/IVANHOE [IMPORT]
- ANGEL OF RETRIBUTION/JUDAS PRIEST
- THE BLACK HALO/KAMELOT
- THE SPIRIT OF UKKO/KIUAS
- VOICE OF WILDERNESS/KORPIKLAANI
- ENEMY OF GOD/KREATOR
- FREEMAN/LABYRINTH
- COMALIES/LACUNA COIL
- LADY MACBETH/LANA LANE
- MALEVOLENT RAPTURE/LEGION OF THE DAMNED
- VOL. 4/LULLACRY
- ELEGIES/MACHINE MEN
- AERONAUTICS/MASTERPLAN
- DEMONS OF INSANITY/METALIUM
- THE UNBORN/MORS PRINCIPIUM EST
- NEVER ENDING/MYSTIC PROHECY
- THIS GODLESS ENDEAVOR/NEVERMORE [IMPORT]
- THIS GODLESS ENDEAVOR/NEVERMORE
- ANNIHILATION OF THE WICKED/NILE
- GRAND ILLUSION/NOCTURNAL RITES
- FOREVER ENDEAVOUR/NOVAK
- FROZEN IN TIME/OBITUARY
- YEARS IN WASTE/OMNIUM GATHERUM
- ENIGMATIC:CALLING/PAGANS MIND
- SILENCE SPEAKS/PLATITUDE
- SEVEN SEALS/PRIMAL FEAR
- REQUIEM FOREVER/REQUIEM
- THE ALL-STAR SESSIONS/ROADRUNNER UNITED
- PAPER BLOOD/ROYAL HUNT
- DREAMLAND MANOR/SAVAGE CIRCUS
- HEART & ANGER/SECRET SPHERE
- THE FUNERAL ALBUM/SENTENCED
- CRADLE OF INSANITY/SERPENT
- REASON/SHAAMAN
- ROOM V/SHADOW GALLERY
- FAIRYTALES/SKYLARK
- STABBING THE DRAMA/SOILWORK
- OF LOVE AND LUNACY/STILL REMAINS
- STRATOVARIUS/STRATOVARIUS
- TERROR FOR SALE/TERROR 2000
- TOOLS OF DESTRUCTION/THUNDERSTONE
- JEANNE D'ARC/THY MAJESTIE
- ASCENDANCY/TRIVIUM
- MISSION NO.X/U.D.O.
- UNCHAINED/UNCHAINED
- VITALIJ KUPRIJ'S REVENGE/VITALIJ KUPRIJ'S REVENGE
- ACCEPT THE FACT/WARMEN
- REALITY/WINGDOM
- THE SILENT FORCE/WITHIN TEMPTATION
■ | JanuaryARWEN | DARK TRANQUILLITY | GRAVE DIGGER | KORPIKLAANI | KREATOR | MASTERPLAN | OMNIUM GATHERUM | UNCHAINED | |
ILLUSIONS/ARWEN |
イリュージョンズ/アルウェン |
KING RECORD KICP-1052 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スペイン出身の大所帯バンドのセカンドアルバムです。バンドの中心人物のギタリスト、ホセ・ガリードは在籍していたダーク・ムーアを脱退して、このバンド一本でやっていくらしいです。伸びのあるパワフルハイトーンヴォーカルを中心に、ファニーな女性ヴォーカルのダブルヴォーカル、ツインギター、ダブルキーボードという豪勢な体制で作り出すサウンドは、優雅さを持つクラシカルなイントロから、ダークなカラーから飛翔していくシンフォニックな効果を施されたドラマティックなタイトルトラックへと進んでいきます。透明感のあるキーボードサウンドを前面に出した3は煽情性の強いメロディが満載のミドルテンポのナンバー、シンフォニー・エックスのハードな要素とネオクラシカルな部分の配分を変えてみるテクニカルなスピードナンバーの4、ソリッドなリフからファンタジックに展開していく劇的ナンバーの5、女性ヴォーカルが歌い上げるリリカルなメロディが染みるパワーバラードの6、シリアスなムードが高まる7は積み重ねられるメロディがクライマックスへの階段に。タイトなビートとキャッチーなコーラスが一つになって感情を高めていく8、センチメンタルなメロディがアップテンポで展開されていく9、テクニカルなプレイで細かい展開が緩やかな緊張感を生むアップテンポの10、繊細なバラードの11、へヴィリフが圧迫感を増していく12はダイナミックに場面転換していくハードな一曲。13は明るいムードのポップチューン。ボーナストラックには3の別バージョンが収録されています。 メンバーの人数が音の圧力に直結しない軽やかさをもった滑らかなサウンドが生み出す華麗な世界は、柔らかな印象を与えるキーボードな装飾が施されたメルヘンなところとシャープなギターのハードなところがマーブル状に模様を描く鮮やかなものです。色々なバンドを想起させるモザイクめいた楽曲が多いですが、芳醇なメロディを持った幻想的で劇的なサウンドは味わえる一枚です。 |
同系統アルバム ANOTHER SUN/THALION OF WARS IN OSYRHIA/FAIRYLAND DARK MOOR/DARK MOOR |
CHARACTER/DARK TRANQUILLITY |
キャラクター/ダーク・トランキュリティ |
TOY'S FACTORY TFCK-87380 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの7枚目のアルバムです。初期の攻撃性を思い出したかのようなスリリングなイントロで始まるアルバムは、シャープなギターリフと叙情メロディが一体となって突進力とドラマ性が融合していく彼等のイメージ通りのスピードナンバーの1、続く2も攻撃的に迫るワイルド感を前面に押し出した突進ナンバーで、ゴシックメタル寄りだった作風を振り払うような勢いと更に強化された静謐な叙情感を見せていきます。メロディアスなリフで次々とダイナミズムを生み出していく3、ミステリアスでへヴィなムードが支配する4はメランコリックなメロディが感情を揺さぶるドラマティックなナンバー、5はセンチメンタルなメロディが注ぎ込まれるアップテンポの曲、煽情性の強いメロディがパワーメタリックに展開されていく6は重なり合うリフとメロディが衝動的に突き進んでいきます。さらに畳み掛ける7はスラッシーなビートと跳ねるビートが生み出すライブ感が心地良いドラマティックな仕掛けを用意した一曲。情念を爆発させていくヴォーカルと物悲しいメロディの相乗効果で物語性を高めていく8、哀愁のメロディを奏でるリフからギターソロへと漂流するミドルテンポの9、ニューウェーブ的なキーボードサウンドに導かれた10はソリッドなリフを詰め込みながら次々と展開していく複雑系。リリカルなメロディが暗黒の海へと流れ込む11はバンドの美意識が結晶する劇的ナンバー。ボーナストラックは陰鬱なナンバーに4のリミックス、さらにビデオクリップもCD-ROMに収録。 さすがに後続のバンドほどの攻撃性や破壊力は、懊悩の狂おしい衝動が原動力のバンドの性質上持ち合わせることはありませんが、自分たちのアイデンティティを再確認した上で、ダーク・トランキュリティという部品を用いてダーク・トランキュリティのサウンドを再構成したような印象を与えるアルバムですが、単なる焼き直しに留まらないこれまでのアルバムの蓄積が作り出す楽曲の構成力と更に深みを増していくメロディが積み重ねられていく様は、バンドのアルバムへの充実度を感じさせます。一曲に多くの要素を詰め込んだためか、曲のスタイルが少し抑えられ気味で曲のバラエティという点では不満が残るところからもたらされるバンドの方向性が不透明に感じられたりするところもありますが、北欧メロディックメタルの教科書的な側面も持った満足感の強い完成度の高いアルバムになっています。 |
同系統アルバム THE FOREVER ENDEAVOR/ENFORSAKEN COLONY/IN FLAMES SWEET VENGANCE/NIGHTRAGE |
THE LAST SUPPER/GRAVE DIGGER |
ザ・ラスト・サパー/グレイヴ・ディガー |
SOUNDHOLIC TKCS-85111 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツのヘヴィメタル道を邁進する不退転のバンドのすっかり12枚目のアルバムです。メンバーチェンジ無しで製作されています。物悲しい旋律のイントロダクションから、キリストの「最後の晩餐」をテーマにした重厚長大なへヴィナンバーのタイトルトラックへと至るアルバムは、勇壮なフックのあるコーラスを武器に突進するスピードナンバーの3でクセのあるギターソロが炸裂していき、続くへヴィナンバーの4は怪しげなムードが圧迫感のあるメロディと共に生み出されていきます。圧力を高めたアグレッシヴなリフに導かれる5はミステリアスなキーボードでブレイクしつつ強面のムードで突き進み、彼ららしいドライブ感のあるリフのスピードナンバーの6、9、壮大かつドラマティックに展開していく重厚なスローナンバーの7、泣きのメロディと邪悪なムードが交錯する8はタフなミドルテンポのナンバー。ソリッドなヘヴィリフが圧倒的な存在感を生み出し哀愁帯びたコーラスへと結びつく10、跳ねるビートがダークなリフを伴って進む11はブレイクしつつ浪々としたコーラスへと。そして、哀しいピアノの調べのイントロからのパワーバラードでアルバムを締めくくります。 元RAGEのマンニ・シュミットが持ち込んだであろうRAGE的な捻りのある展開と彼らの持ち味のストレートな突進力が更に絡み合った印象を与えてるアルバムは、タイトルトラックの重みが全体へと波及する(コンセプトではないですが)統一されたトーンを持ったものになっています。陰鬱な空気が支配するダークなサウンドは、彼らの本領発揮の爆発力とはあまり相性が良くない感じもあって、ギターソロやインストゥルメンタルの充実度とは裏腹にテンションが上がりきらない微妙な一枚になってます。 もしかするとヴォーカルの馬力が全盛期ほどではないせいかもしれないけれど…。 |
同系統アルバム 8 DEADLY SINS/MANTICORA THUNDERBALL/U.D.O. BLOOD & BELIEF/BLAZE |
VOICE OF WILDERNESS/KORPIKLAANI |
荒野のコルピクラーニ/コルピクラーニ |
SOUNDHOLIC TKCS-85112 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ファーストアルバムのビデオクリップが一部で話題騒然となったフィンランド出身のバンドのセカンドアルバムです。酔っ払いが酒樽片手に広場を駆け回る、そんなイメージが襲い来る民俗音楽を核に据えたフォークとヘヴィメタルの融合を目指すアルバムは、ヴァイオリンの調べに乗って大勢の酔いどれダミ声が炸裂しながらハイテンションで暴走していく軽快さと陽気さが哀愁帯びたメロディと一体となって突き進む1からエンジン全開です。続く2も更にアルコールが回ったドタバタ劇を演出する大騒ぎな雰囲気で突っ走り、飲みすぎでぶっ倒れます。少し酔いが醒めた3では正統派っぽいギターリフとやっぱり一杯引っ掛けてるヴォーカルとアコースティック楽器陣が物悲しさを背負ったメロディを歌い上げダイナミックに進み、鋭いギターリフが荒野に吹きすさぶフルートのメロディを運び哀愁と郷愁が木霊するドラマティックなインストゥルメンタルナンバーの4へと。呪術系の呻き声からスローテンポからミドルテンポでじっくり迫る5はブレイクしながらテンションを上げていきます。叙情的なメロディが大らかなヴォーカルによって唄われる自然との一体感を感じさせるミドルテンポの6、ハヤーヤ!ヤー!ヤー!再びヤケクソ気味に疾走するコーラスもワイルドな狩りの歌の7、そして飲みが足りないことに気づいてしまった飲んだくれスピードインストゥルメンタルナンバーの8、さらにちょっと飲みすぎたが迎い酒だ!の豪腕ナンバーの9でいったん潰れます。ソリッドなリフとアイリッシュなメロディが交錯する10、最後はセンチメンタルなメロディが切々と唄い上げられるバラードナンバーです。 さらにボーナスビデオクリップにはバンドの名を一躍轟かせた伝説のビデオクリップと新作クリップが収録されています。 終始ハイテンションでぶっ飛ばすフォークとメタルのバトルロイヤルが聴き手を激しく高揚させていくサウンドは、祭と言うかパーティと言うか、宴。そう獲物を手に入れて村中で飲めや歌えの大騒ぎに参加しているかのような、ある意味臨場感に満ちたものになってます。独特の味を生み出すアコースティックなフォークの要素が付かず離れずしながらヘヴィメタル/ロックのフォーマットに絡んでいく、躁状態が延々と続く底抜けサウンドが心地良い一枚です。 |
同系統アルバム IRON/ENSIFERUM JAKTENS TID/FINNTROLL BATTLE METAL/TURISAS |
ENEMY OF GOD/KREATOR |
エネミー・オブ・ゴッド/クリーター |
NIPPON CROWN CRCL-4834 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンスラッシュメタルの重鎮バンドの11枚目のアルバムです。世界に吹き荒れるテロの脅威をテーマにセンセーショナルなタイトルを背負ったアルバムは、次々と繰り出されるスラッシーに突進するダイナミックでドラマティックな展開を持ったタイトルトラックから、彼等が転化してきた劇的ヘヴィメタルが作り出されていきます。ヘヴィリフが不穏な空気を演出する2は殺伐とした破滅感が吹き荒れるミドルテンポのナンバー、威圧感の強いアップテンポの3は荒廃する狂気の嵐に巻き込まれる攻撃的な一曲、さらにソリッドなリフで突き進む大きな起伏を持った展開の激しい怒りに満ちた4へと続いていきます。ミドルテンポの5は狂おしいコーラスがもたらす絶望感と高速ギターソロの構築美のコントラストが激しい曲、アコースティックの荒涼としたサウンドを背景にウィスパーヴォーカルが唄われるイントロから、叙情的なメロディが繰り出されていく6は北欧メロディックデスメタルのスタイルをも取り込みながらキャッチーなコーラスへと進んでいきます。アーク・エナミーのマイケル・アモットがゲスト参加した7は畳み掛けるギターリフで圧倒していく小気味良いスピードナンバーで、ツインリードも飛び出す凄まじいギターソロが圧巻です。濃密なメロディで始まる8はクランチーなリフで押し込みながら急展開するアップテンポの劇的ナンバー。フックのあるメロディアスなリフがテスタメントを彷彿とさせる9はメロディを発展させながらエキゾチックなギターソロへと。アルペジオの物悲しい響きが哀愁を導く10は大仰な仕立を持ったミドルテンポの重厚な曲で構築美がアイアン・メイデンを思い出させます。再びスラッシーに疾走する11はメロディアスなギターソロとフックのあるコーラスで意気上がるナンバー。凄まじい哀感を背負った12はリズムチェンジして怒りを吐き出していく破滅への挽歌。ボーナストラックにはDVDに収録されていないライブ音源が二曲。 ゴシック寄りの方向性で手にしたメロディとドラマ性はそのままに、前作から続く初期破壊衝動の復活が加わって、スラッシュ/パワーメタルとしてのダイナミズムを完全に構築したサウンドは、ここまで培われたキャリアの成果の結実を伺わせるものです。バンド史上最高とも思わせるギターソロの充実度やテーマ性と一体化した説得力を持った楽曲が生み出すカタルシスが心地良い、バンドの自信とサウンドの充実が味わえる凶悪な一枚です。 限定版のDVDには興味深いアルバムのメイキングやビデオクリップ、ライブ映像が数曲収められていますが、価格差分の価値があるかどうかは少し微妙。 |
同系統アルバム INCORPORATED/GRIP INC. SOUTH OF HEAVEN/SLAYER FIRST STRIKE STILL DEADLY/TESTAMENT |
AERONAUTICS/MASTERPLAN |
エアロノーティクス/マスタープラン |
MARQUEE MICP-10487 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?元ハロウィン組とヨルン・ランデが手を組んだバンドの第二弾アルバムです。警報のSEからドラマティックでメロディアスなヘヴィメタルが展開されていくアルバムは、余裕を感じさせるブルージーなハスキーヴォーカルのパフォーマンスと融合した高品質の楽曲を揃えています。ネオクラシカルな装飾を施され堂々とした存在感を見せるアップテンポの1、ミステリアスなムードから哀愁のメロディが繰り出されるミドルテンポのメランコリックな2、明朗なムードのキャッチーなメロディと細かいギターソロがハロウィンを彷彿とさせなくも無い3は飛翔感と叙情性が一体となったコーラスで盛り上がるミドルテンポのナンバー、スケール感の大きいイントロから泣きのメロディと情念が次々と炸裂していくドラマティックな4、メタリックなリフがへヴィに迫る5は骨太のダイナミックな展開が熱い一曲。スペーシーなイントロからラウドにロックしていく6はダークな雰囲気のコーラスとのコントラストが印象的。乾いた哀愁がこだまする7は広がりのあるパワーバラード。シリアスなムードが支配する8は攻撃的なシャープさを持ったスリリングなナンバー、センチメンタルなメロディが覆うダークな9、叙情的なイントロからダイナミックに迫る10は扇情的なヴォーカルが情感を高めていくギャロップする曲。ピアノの調べをバックにヴォーカルが唄いあげる導入からドラマティックに盛り上げていく11は矢継ぎ早に繰り出されるフレーズの嵐が緊迫感を保ちながら開放感のあるコーラス、さらに天空へ突き抜けるギターソロへと突き進む渾身の大作です。ボーナストラックの12はアコースティックからへヴィに至る優しいムードの曲になっています。 前作からバンド内の意思疎通も進んだのか、調和の取れた安定感を感じさせる楽曲が作り出されているアルバムは、個々のパフォーマンスと各々の特長が更に効果的に用いられるようになっており、バンドとしての成熟を見せていきます。独自性の高まったバラエティのある楽曲が詰め込まれたバンドの充実度を伺わせる完成度の高いアルバムになってます。 |
同系統アルバム THE WEIGHT OF THE WORLD/METAL CHURCH ANIMA MUNDI/DIONYSUS LONG LOST PRIDE/IMAGINERY |
YEARS IN WASTE/OMNIUM GATHERUM |
イヤーズ・イン・ウェイスト/オムニアム・ギャザラム |
MARQUEE MICP-10491 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドのセカンドアルバムです。スリリングなインストゥルメンタルが乱舞するイントロから、締め上げられ系のデスヴォイスが加わったアルバムは、プログレメタルの感触をたっぷり含んだ複雑系のテクニカルなヘヴィメタルをやってます。スペーシーなキーボードに緊迫感のあるフレーズと変拍子を多用するドラムからネオクラシカル風味のギターソロが加わった1から畳み掛けるスラッシュビートとクリアーなプログレサウンドが融合していく楽曲が揃えられています。緩急自在の意外性のある展開と叙情性の強いメロディが混濁していくアイデア満載の楽曲が最後まで集中力を切らさずに続いていきます。 ヴォーカルが何だか微妙な感じなのが結構気になりますが、テクニックも混沌とした展開もステキなプログレパワーメタルとしても、かなり良い線をついているハイブリッドな感じのアルバムになってます。 |
同系統アルバム NOTHING/MESHUGGAH RIDERS OF THE APOCALYPSE/DEMONOID IRRADIANT/SCARVE |
UNCHAINED/UNCHAINED |
アンチェインド/アンチェインド |
MARQUEE MICP-10490 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドのファーストアルバムです。地元のフェスティバルなどで頭角を現していたバンドですが、紆余曲折あって歴史はそれなりに六年くらいあったりします。力の入ったハイトーンヴォーカルを擁したアルバムは、アイアン・メイデンあたりの作風に強い影響を受けたオーセンティックなヘヴィメタルを作り出しており、ツインリードが心地良いドライブ感のある1からキャッチーなコーラスを加えてスリリングなインストパートへとなだれ込みます。ミドルテンポの2は畳み掛けるヴォーカルパートとドラマティックなコーラスで盛り上げていく仕掛けの多い急展開の曲。不穏な空気の流れるイントロからキャッチーなメロディとメタル的な熱気を持ったアップテンポの3では情念のギターソロが炸裂。ホラーっぽいSEから大仰に展開されるキーボードを経て繰り広げられる4は徐々に盛り上げていく構成も劇的な大作です。 物悲しいメロディが心を打つバラードの5から雰囲気を受け継いでソリッドなギターリフが不安感を煽る6は緊迫感のある展開を見せていきます。湿ったメロディが繰り出される7は躍動感を得てツインギターも印象的に進むアップテンポの曲、スピード感のあるシャープなリフで突っ走るドラマ性を持った起伏も付けていく8、重厚なコーラスも加えて物語性の強い緻密な構成を見せる大作仕立の9で締めくくります。 ボーナストラックには2のアコースティックバージョンが収録されています。 時々不安定になるヴォーカルとオールドスタイルを追求するあまりに軽めに仕上げられているサウンドが、最近のメタル界隈の傾向からすると残念なところですが、次々繰り出される北欧バンドの面目躍如の芳醇なメロディをまとめあげる作曲能力はかなりのもので、活きのいいアイアン・メイデンかプリティ・メイズと言った印象を強めていきます。焼き直し感も残る伝統継承型のサウンドは好き嫌いが分かれるところですが、その筋の人には結構ヒットする一枚です。 |
同系統アルバム SCARS & WOUNDS/MACHINE MEN DANCE OF DEATH/IRON MAIDEN SHATTERED-MIND-THERAPY/WIZ |
■ | FebrualyAPOCALYPTICA | DREAMTALE | HAMMERFALL | HIGH ON FIRE | IVANHOE | JUDAS PRIEST | KAMELOT | MYSTIC PROHECY | NOVAK | SOILWORK | |
APOCALYPTICA/APOCALYPTICA |
アポカリプティカ/アポカリプティカ |
UNIVERSAL 986983-0 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のチェロトリオバンドの5枚目のアルバムです。ノリの良いラウドロック系の歌ありなThe Rusmusのシンガー、Lauri Ylonenが作詞して唄う1で幕を開けるアルバムは、これまで以上に楽曲のバラエティが広がったロックとクラシックの融合を追及していくサウンドになっています。ザクザクしたリフと優雅に流れる哀愁たっぷりのメロディが重なり合う北欧系センチメンタルナンバーの後でたっぷり聞くことが出来る2で彼らの本領を発揮すれば、ヘヴィメタルバンドを強くアピールするヘヴィリフと不安感を孕んだメロディ、さらにヒステリックなノイズが交錯し緊張感を高めていく3、シングルカットされた4はLauri YlonenにHIMのVille Valoが加わって哀感たっぷりに歌い上げる劇的バラードナンバー。耽美にメロディが流れていく5はへヴィパートとのコントラストが激しく、続く6はスピード感を増しつつ躍動的で攻撃的なドラムと美意識が渾然一体となってエキゾチックなメロディへと昇華されていき遂に…。美しくも哀しいメロディが切々と奏でられてクライマックスを迎える7、小品の8は跳ねるビートで疾走しメガデス風へヴィリフも飛び出す一曲。スレイヤーのデイヴ・ロンバードが再び参加した9は邪悪なムードも最高潮にスラッシュビートが炸裂していくへヴィ&アグレッシヴでヘッドバンガーなパートから一転、繊細なパートへと。煽情性の高いメロディが交差していく悲しみを秘めた10、暗いメロディが迫りくる11は破滅の予兆を持った悲しみのマーチ。 ボーナストラックには2の女性ヴォーカル入り、フランス語、英語、ドイツ語バージョンの三曲が収められていて、更にぁゃιぃソフトを入れるとビデオクリップも観られます。 更に純粋に音楽を極めようと進み続ける姿勢が如実に現れたサウンドは、制約を課していた初期の音楽性からの開放を宣言し、自由な世界へと飛び立つバンドの精神を感じさせます。インストゥルメンタルを軸に様々な音楽性を、ヘヴィメタルとクラシックの両面からの美意識でまとめあげる完成度の高いアルバムは、バンドの飽くなき探究心を見せ付ける一枚です。 |
同系統アルバム CULT/APOCALYPTICA BEST OF APOCALYPTICA/APOCALYPTICA REFLECTIONS/APOCALYPTICA |
DIFFERENCE/DREAMTALE |
ディファレンス/ドリームテイル |
MARQUEE MICP-10493 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドのサードアルバムです。ヴォーカリストが交替しており、さらにバンドの創設メンバーであるイサ・オルイェトサロがレコーディング後に脱退して、新しいギタリストが加入しています。キラキラキーボードの装飾を加えられたハロウィン型のメタリックなパワーメタルナンバーの1から新しいパワフルなハイトーンヴォーカルが力を発揮していくアルバムは、様式美でドラマティックなメロディックチューンの2、同郷のナイトウィッシュを彷彿とさせるメロディを持ったミドルテンポの3、重厚に迫る4ではオペラティックな歌唱を見せるヴォーカルとドラマ性の強いコーラスワークが魅力的。ヴォーカリストの地力が伺えるドラマティックバラードの5、やりすぎ感の強いソナタ・アークティカ風の泣きメロで疾走する蒼い6、アコースティックナンバーのリリカルな7では情感たっぷりのヴォーカルが堪能できます。起伏の激しいダイナミックな8はクラシカルなパートでドラマティックに演出され、メロディックチューンの9はかなりストラトヴァリウス。スカイラークっぽいところもあるキラキラドラマティック疾走ナンバーの10、センチメンタルなメロディで迫る11、ボーナストラックの12はユーロビート風のサウンドが聴かれる憂いを帯びたアップテンポのナンバーです。 北欧的なメロディが何だかイタリアンメタル風の押しの強い展開で繰り広げられるアルバムは、流動的なバンドメンバーに引きずられたか、音楽性にも−散漫な印象さえ与える−バラエティに富む多彩な楽曲が並べられています。他のバンドからの影響が完全には消え去っていない楽曲が、クオリティとパフォーマンスの向上したサウンドに温度差を生じさせるのが少し残念な、方向性は定かではないものの完成度の高まる一枚です。 |
同系統アルバム DUST TO DUST/HEAVENLY ONCE/NIGHTWISH WINGS/SKYLARK |
CHAPTER V:UNBENT,UNBOWED,UNBROKEN/HAMMERFALL |
チャプターファイヴ:アンベント、アンバウド、アンブロウクン/ハンマーフォール |
MARQUEE MICP-10496 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のメタルウォーリアーズの5枚目のアルバムです。緊張感を高めるイントロから繰り出される、オーセンティックで熱気のあるヘヴィメタルナンバーは今作でも徹頭徹尾、彼らの世界を構築していきます。ソフトな感触のハイトーンヴォーカルが少し逞しさを増したような気もするアップテンポの1はシンプルなリフと緩急の強い展開、さらに長尺のインストゥルメンタルで劇的さを演出していきます。ミドルテンポの2は堂々とした雰囲気とキャッチーなコーラスが一体となった曲、スピードを上げる3はドライブ感も強くダイナミックに突き進みます。ヘヴィリフと熱気を帯びたヴォーカルと漢コーラスがアクセプトを彷彿とさせる4、哀愁帯びるメロディが心にしみるバラードの5、再びヘヴィリフでジリジリ迫る6は更にアクセプト度アップ。さらに追い討ちをかけるヘヴィナンバーの7、リリカルなアコースティックのインストゥルメンタルを挟んで、ドライブする9は勇ましいコーラスでテンションを上げていきます。ヴェノムのクロノスが参加した10は壮大な雰囲気を醸し出す重厚な大作でアルバムの最後を締めくくります。ボーナストラックは2のカラオケとライヴ音源が収録されています。 ミドル〜スローテンポの曲を中心にして全体的に硬派な印象が強まったアルバムは、更に装飾をそぎ落としてシンプルかつストレートに自分たちのサウンドを磨きこんだ意欲的なものになっています。高揚感を生み出すフックのあるメロディと分かりやすさを身上とした直球勝負のサウンドは、伝統的ヘヴィメタルを満足いくまで聴かせる地に足の付いたものでバンドの充実度を示していますが、日本市場では勝負を賭けることになる一枚になってます。 |
同系統アルバム UNCHAINED/UNCHAINED AMONG THE GODS/MOB RULES THUNDERBALL/U.D.O. |
BLESSED BLACK WINGS/HIGH ON FIRE |
ブレスド・ブラック・ウイングス/ハイ・オン・ファイヤー |
RITUAL RECORDS DDCR-3001 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?元SLEEPのマット・パイク率いるアメリカ出身のバンドの2004年発表のサードアルバムです。前作からベーシストが交替して、元MELVINSのジョー・プレストンを迎えてアルバムを製作しています。モーターヘッドが突然ヘヴィメタルを追求すべし!との天啓を受けたような、原初ロックの衝動性とヘヴィメタルの凶暴性が共鳴しながら繰り出される、ストロングスタイルのサウンドがダミ声ヴォーカルで次々と生み出されていく様は、地球黎明期の大地の脈動を思わせたり。スラッシュ、ドゥーム、ストーナーロックなどの要素を喰らい尽くしてオカルティックな混沌を吐き出してながら、ヘヴィメタルの暗黒の核へと突き進んでいく荒ぶる太古の神々に捧げられるべき一枚です。ボーナストラックはジューダス・プリーストのカバーです。 |
同系統アルバム VOLUME ONE/HELLFUELED UNTIL THE END/KITTIE PROPHECY/SOULFLY |
WALK IN MINDFIELDS/IVANHOE |
ウォーク・イン・マインドフィールズ/アイヴァンホー |
MASSACRE RECORDS MAS CD0364 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?シンフォース、ブレインストームで現在活動中の元ヴォーカリストと袂を分かって以来、活動停止状態だった、一時期は日本盤も出ていたドイツ出身のバンドの8年ぶりの4枚目のアルバムです。中心人物のギタリストとベーシスト以外は全員メンバーチェンジして製作されています。情感豊かに歌い上げるタイプの少しブルージーなハイトーンヴォーカルを擁したアルバムは、センチメンタルなメロディを変拍子やテクニカルなプレイで彩るドラマティックなへヴィメタルを作り出しています。劇的なミドルテンポの1からダイナミックなリズムを刻む哀愁たっぷりの2、浮遊感あるテクニカルプレイから叙情性たっぷりのヴォーカルが繊細に唄う3は派手に展開するパートとのコントラストが見事。4〜5はエスニックなムードが漂う微熱めいたエモーショナルなナンバーで、ダイナミックな展開が耳を惹きます。優しいムードの6はヴォーカルの情感をダイレクトに伝えるセンチメンタルな一曲。妖しげなムードがスリリングに転じていく7は静と動のコントラストも激しく進み、テクニカルな面を前面に押し出す8は徐々に盛り上げていくドラマティックナンバー。へヴィなリフで迫る9は情感が劇的に開放されていく曲。ダイナミックにフレーズが叩きつけられる10は緊迫する空気がテクニカルに拡散する密度の高い曲です。 今となってはメタル分担当だったと思われるヴォーカリストの交替によって、よりプログレ色の強まったサウンドに移行したアルバムは、包み込むようなメロディを軸にドラマティックな展開を見せる表情豊かなものです。昔のことはすっかり忘れてしまいましたが、ハイテンションだった前任ヴォーカリストよりは肩肘張らない落ち着いたフィーリングとミステリアスなムードを生み出す一枚です。 |
同系統アルバム AWAKE/DREAM THEATER BEYOND DAYLIGHT/VANDEN PLAS INFERNAL/SILENT VOICES |
ANGEL OF RETRIBUTION/JUDAS PRIEST |
エンジェル・オブ・レトリビューション/ジューダス・プリースト |
SONY MUSIC JAPAN EICP-467-8 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ロブ・ハルフォードが復帰した英国からの鋼鉄神の15枚目のアルバムです。ダークな質感を持ったギターリフが復活なったロブ・ハルフォードの力強い歌唱と絡み合って、強い物語性を生み出していく1から、ドライヴ感の強いリフでひた走るロックナンバーの2と、これまで抑えられてきたギターソロも自由奔放にプレイされるアルバムはバンドの良い雰囲気を感じさせます。へヴィナンバーの3では、観客を意識する暗いシンガロングパートが印象的。しっとりしたメロディを唄う4は叙情感の強いドラマティックナンバー。邪悪なムードと攻撃的なヴォーカルで迫る5はヘリオンとペインキラーが歌詞に登場するギターソロも劇的なミドルテンポの曲、今が何年だったか確認したくなるハードロッキンな6、哀愁のバラードナンバーを挟んで、ドラマティックなイントロから威圧感たっぷりに迫る暗黒ファンタジー炸裂する8は抑えたペインキラーのような質感で、畳み掛けるインストゥルメンタルとコーラスが圧巻です。次曲へのブリッジ的な位置づけのリリカルな小品の9からの10は、ネス湖を題材にしたミステリアスな大作で、未だ高い構成力と演出力が健在であることをアピールしています。 ティム“リッパー”オーウェンス期をすっかり無かったことにしようとしている姿勢を感じさせるアルバムは、プロデュースのロイ・Zが影響したのかバンドの黄金時代を想起させるドラマティックでメロディアスな曲調のオーセンティックなブリティッシュ・ヘヴィメタル・ナンバーを揃えたものになっていて、“ジューダス・プリースト”の刻印をそこかしこに刻んでいきます。常に新機軸を組み込んできたバンドの方向性も、遂に自らのキャリアを総括する段階に入ったのか“ジューダス・プリースト”のみで構成されるサウンドには、安定と不動の信念が打ち出されており、ベテランバンドには保守的なプロデューサーの仕事振りもあって緊張感と意外性を生み出してきた新時代のヘヴィメタルの牽引車という立場には拘泥しないようです。 初回版のボーナスDVDで確認される通り、遠くない未来に訪れるバンドのキャリアの最終章をふまえつつ、このアルバムを純粋に楽しめるものは幸いなるかな…。 |
同系統アルバム THE LAST SUPPER/GRAVE DIGGER THE BOOK OF HEAVY METAL/DREAM EVIL THE GLORIOUS BURDEN/ICED EARTH |
THE BLACK HALO/KAMELOT |
ザ・ブラック・ヘイロー/キャメロット |
KING RECORD KICP-1047 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ出身のバンドの7枚目のアルバムは、前作からの「ファウスト」を題材としたコンセプトを完結させるものになっています。ディム・ボガーのヴォーカリスト、シャグラットのデスヴォイスをメフィスト役に配し、重厚さと邪悪さが競演するミドルテンポの1から始まるアルバムは、へヴィネスが強調された強力なサウンドに狂おしいほどのエロティシズムを発散するヴォーカルがうねる濃密な空間を演出するものになっています。スピード感あふれる壮大なファストナンバーの2ではストラトヴァリウスのイェンス・ヨハンソンが1に続いて個性際立つキーボードソロを披露しています。ミステリアスな空気が哀愁帯びたメロディに包まれていくミドルテンポの3ではエピカのシモーネ・シモンズがロイ・カーンとシンクロし、華麗な装飾に美しく彩られていきます。シンフォニックなアレンジのイントロから起伏も激しく進んでいく4はソリッドなギターリフと優雅に羽ばたくメロディが融合していくドラマティックなナンバーで中盤のオーケストラとギターの競演で山場を作ります。 小品のインタールードを挟んで、MASQUERAIDのマリが加わった哀感があふれ出すバラードの6、へヴィなリフがディープなコーラスが一体となって迫る7ではエモーショナルなギターソロが聴かれます。へヴィながらドラマティックな展開でクラシカルパートとの強いコントラストを生み出しています。 キャバレー風の歌唱を演出するインタールードから、ドラマティックでスリリングなタイトルトラックを経て、エッジの利いたリフが作り出すスピード感を持ったダイナミックな11、さらに緊迫感と壮大な世界観を提示するクライマックスとなる大作の12へと進んでいくアルバムの起承転結の転にあたるパートは彼らのキャリアの集大成的な側面を持った曲群が揃っており、このスタイルの完成形を提示するものになっています。 さらにインタールードを挟んで、曲名とは裏腹に躍動感のある14、日本盤ボーナストラックであるセンチメンタルなバラードの15でアルバムを締めくくります。もう一曲のボーナストラックは4の別バージョンでちょっと派手な仕上がりになっています。 自身の理想のサウンドを追求する美意識と世界観に裏打ちされてきた姿勢が、この物語世界において遂に完成を見たアルバムは、バンドの一つのキャリアの到達点でありコンセプトの幕を閉じるにふさわしいものになっています。シンフォニーとメタル、サウンドとビジョンを一体化させる美学を極めたバンドの現時点での才能をすべて注ぎ込んだ渾身の一枚です。そして、ライブパフォーマンスによって紡ぎだされる物語が新たな伝説を誕生させる…かも。 |
同系統アルバム TEMPLE OF SHADOWS/ANGRA ONCE/NIGHTWISH IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE/BLIND GUARDIAN |
NEVER ENDING/MYSTIC PROHECY |
ネヴァー・エンディング/ミスティック・プロフェシー |
KING RECORD KICP-1055 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ギリシャ出身のギタリスト、ガス・G率いるバンドのサードアルバムです。メロディアスなイントロからのパワーメタルな1から始まるアルバムは、ハスキーなパワーヴォーカルが熱く唄い上げるヘヴィメタル然としたサウンドが展開されていきます。攻撃的なリフがアップテンポで迫る2、パワフルなリフとクワイアで雄々しく迫る3、熱く迫るヘヴィナンバーの4、スラッシーに突進するガッツィーな5、ドラマティックなバラードの6、鋭いリフで疾走する7はパワーメタリックに突き進むドラマティックな一曲。メロディアスに展開するミドルテンポの8、パワフルに疾走する9はドラマティックな展開を見せ、刻みリフで押していく10へと。泣きのインストゥルメンタルの11、そしてボーナストラックの12はスピードナンバーです。 ガス・Gがドリーム・イーヴル、ファイヤーウィンドと実力派のヴォーカリストと組んでいたせいか、はたまたヴォーカリストが能力を過信し過ぎているのか、無難で普通なメタルパートではそれなりに聴けるもののメロディアスなサビのパートではヴォーカルがかなり危なっかしい上に、曲の構成と無関係なギターソロの弾きっぷりで、ガス・Gファン以外には疑問符が浮かぶアルバムは、プライオリティが高いバンドの割にはチグハグな印象が強いものになってます。メンバー個々の力量を見極めたうえで集中してやってほしい気がする、何だかバンドとして無理をしている感じがする一枚です。 |
同系統アルバム ONE STEP BEYOND/DUNGEON NEW WORLD MESSIAH/NOCTURNAL RITES ENSLAVED/STEEL ATTACK |
FOREVER ENDEAVOUR/NOVAK |
フォーエヴァー・エンデヴァー/ノヴァック |
MARQUEE MICP-10495 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデンのプログレッシヴ・メタル・バンド、マインズ・アイのヴォーカリスト、アンドレアス・ノヴァックのソロ・プロジェクトです。同郷のディオニソスのジョニー・ウーリンやセリオンのクリスチャン・ニーマンなど多数のゲストが参加して制作されています。湿り気を帯びた伸びやかな硬軟取り混ぜたマイルドなヴォーカルが歌い上げる透明感と開放感あふれるメロディが押し寄せるアルバムは、飛翔感の強いポップチューンの1から心躍らせる優しい楽曲が並んでいます。ほのかな哀感漂うミドルテンポの2は繊細なラブソング、センチメンタルでキャッチーなメロディがダイナミックに展開する3は輝くようなコーラスで盛り上げていきます。ファニーな雰囲気のキーボードとシリアスなメロディが重なり合う4は情感たっぷりの劇的ナンバー。女性ヴォーカルとのデュエットを聴かせる5は心潤すバラード、哀愁メロディが塗り重ねられていく6、ファンキーなムードで進む7は動的なポップチューンでクィーン的な演出も。ほの暗いムードが支配する8は希望に満ちたコーラスへと。リリカルなメロディと壮大さを演出していく曲展開が一体となった美しい9、キャッチーなメロディが親近感を作り出すポップな10、エッジを強調した躍動的なロックナンバーの11、起伏の大きいドラマティックな12もキャッチーなコーラスが印象的です。そしてスリリングなギタープレイから始まる物語性の強い劇的ロックナンバーの13でアルバムの幕を閉じます。 力強さと柔らかさを合わせ持った表現力豊かなヴォーカルに導かれるアルバムは、ゆったりと心を開放していく癒し系サウンドを生み出しており、アーティストの別の側面を強くアピールしたものになっています。良質メロディとクリアーなサウンドを味わえる珠玉の一枚です。 |
同系統アルバム IN THE BEGINNING/CRYSTAL BALL RETURN TO EVERMORE/TEN ALL IN TIME/MISTER KITE |
STABBING THE DRAMA/SOILWORK |
スタッビング・ザ・ドラマ/ソイルワーク |
MARQUEE MICP-10492 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの6枚目のアルバムです。ツアーに助っ人として参加したスカーヴのドラマー、Dirk Verbeurenを正式に迎えて製作されています。これまでの方向性を高まった経験値で更に磨きを掛けていくアルバムは、起伏は激しいながらもコンパクトにまとめられたギターリフが激情的なヴォーカルを乗せて浮遊感のあるコーラスへと展開していくアップテンポの1、畳み掛ける豪腕リフとニューウェーブ風のアンビエントなパートを交錯させながら進む攻撃的な2、シャープなリフで突進する3は開放感のあるコーラスへ。スリップノット風の押しの強いビートを持った4、扇情的なコーラスへとダイナミックなリフが導くミドルテンポの5、スラッシーに突き進む6はブルータルなデスヴォイスで咆哮していくアグレッシヴな一曲。近未来感覚のキーボードに導かれる7は哀愁のコーラスへと展開していくタイトなナンバー、インダストリアルなムードがほんのり漂うヘヴィでドラマティックな8、情念を叩きつけるヴォーカルと叙情的なメロディが押し寄せるノイジーでセンチメンタルな9、ブラストビートが炸裂する10は問答無用の突進力を見せ付けるデスラッシュなナンバー。ザクザクしたリフと叙情的なサビのコントラストが彼ららしい11、哀愁メロディとタイトなリフが融合していく12ではフラッシーなギターソロも飛び出します。ミドルテンポで存在感たっぷりに迫る13はアグレッションとエモーションが複雑に絡み合います。 サウンドの方向性への自信と新たな地平への開拓精神が融合していくアルバムは、これまでの方法論を少し変化させた、最近のいわゆるMAメタル的なアプローチも感じられる曲作りがされています。クリアーなサウンドは表現力を増してきたヴォーカルメロディを際立たせる反面、ヘヴィメタルとしての圧を多少減じる結果になっており、整然とした曲と相まって淡白な印象も与えます。新たなドラマーはパワフルでパフォーマンスも満点ですが、肝心の楽曲の方は少し安全な方法を選んでいるようで、これまでのようなスリリングな感触と求心力が減っている感が強いです。それはともかく、彼らの個性的なサウンドは発揮されている安定感は強い一枚になってます。 |
同系統アルバム SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE/IN FLAMES EMBER TO INFERNO/TRIVIUM INCORPORATED/GRIP INC. |
■ | MarchAMORAL | AQUARIA | DARK MOOR | GALNERYUS | LANA LANE | SHAAMAN | TRIVIUM | |
WOUND CREATIONS/AMORAL |
ウーンド・クリエイションズ/アモラル |
MARQUEE MICP-10501 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの2004年発表のデビューアルバムです。メシュガーの生地にデスとアナイアレイターをトッピングしたピザみたいな。リフにはスラッシュメタル、ギターソロにはプログレと、いわゆるテクニカルデスメタルなサウンドで、荒削りで奔放な曲作りながら、今後に期待できそうな面白いアルバムです。 |
同系統アルバム EMERGENT/GORDIAN KNOT NOTHING/MESHUGGAH IRRADIANT/SCARVE |
LUXAETERNA/AQUARIA |
ルクスイテルナ〜永遠の光〜/アクアリア |
MARQUEE MICP-10500 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?UIRAPURUの名で知られていたブラジル出身の新星、アクアリアのデビューアルバムです。日本ではアルバム発表前にレコード会社の綱引きでリリースが遅れていましたが、結局はマーキー/アヴァロンに軍配が上がった模様です。期待感を高める豪華なイントロダクションから導かれるる2は、伸びのあるハイトーンヴォーカルによって描き出されるシンフォニックなサウンドに、疾走感が爽快感と一体となったメロディ洪水が押し寄せるドラマティックスピードナンバーで、起伏に満ちた展開と演出が吸引力を強く発揮していきます。優雅に流れるメロディが昇る太陽を映し出していくダイナミックでロマンティックな長尺の3、ラテン系のビートが加わった4は民俗音楽のフィーリングを感じさせる躍動的で壮大な一曲。クラシカルなイントロからテクニカルなフレーズを繰りだす5はエモーショナルなヴォーカルがキャッチーなコーラスへと突き進む重層な曲、優しいメロディに導かれる6は穏やかな自然のSEも加わって癒しと安らぎの空間を演出していきます。女性ソプラノコーラスから不安感を与えるピアノの調べを経て、オーケストラパートへと発展する7は勇壮なコーラスとオペラティックなヴォーカルが融合していく絢爛豪華なシンフォニックオペラメタル。哀愁帯びたマーチが始まる8は勝利と栄光への苦難の道程を描き出す起伏も緩急も激しい緊迫するドラマティックな超大作でバンドのポテンシャルの高さを窺わせます。ファニーで快活なクラシカルメロディが乱舞する疾走ナンバーの9、壮大なコーラスによってオペラティックワールドが展開していくタイトルトラックの10、そしてボーナストラックの11はキャッチーなメロディが気持ちいいアップテンポの爽快な曲になっています。 壮大なスケール感によって生み出されるファンタジックワールドはまさしく、同郷のアングラの流れを強く受け継ぐものですが、フェアリーテイルか神話めいた世間ずれしない世界観は明朗快活なサウンドと一体となって、ラヴ&ピースな雰囲気を醸し出していきます。スリリングなプレイとダイナミックな展開が、春から初夏にかけての生命の息吹を感じさせる希望と勇気に満ちた光の園を創り出す新人離れした一枚です。 |
同系統アルバム ILLUSIONS/ARWEN ANOTHER SUN/THALION TEMPLE OF SHADOWS/ANGRA |
BEYOND THE SEA/DARK MOOR |
ビヨンド・ザ・シー/ダーク・ムーア |
VICTOR VICP-62984 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スペイン出身のバンドの5枚目のアルバムです。アルウェンにも参加しているギタリストのホセ・ガリードは脱退、ベーシストも交替と今回もメンバーチェンジも激しくアルバムを製作しています。荘厳なイントロから一転、少しハスキーなハイトーンヴォーカルによるキャッチーなメロディがハードなリフに乗って脈動するメロディックナンバーで始まるアルバムは、ジャケットにも象徴される暗い影が全編に横たわるシリアスなものです。哀愁漂うドラマティックなスローナンバーの2ではオペラティックなコーラスからテンポアップして楽曲を盛り上げていき、ドライヴする3はソリッドなリフを繰り出しながら熱気を高めていくハードなナンバー、そしてソレ系の人には曲名だけで キタ━━━( ´∀`)・ω・) ゜Д゜)゜∀゜)・∀・) ̄ー ̄)´_ゝ`)−_)゜∋゜)´Д`)゜ー゜)━━━!!!! な4〜5はオーケストレーションが神秘性を演出していくインストゥルメンタルからスリリングに展開していくドラマティックスピードナンバーで“夢の国”の冒険を描き出しています。叙情フレーズが炸裂する6は感情が爆発していくパワーバラード、ツインリードが印象的な泣きのアイアン・メイデン風の7はアップテンポの哀愁ナンバー。タイトルトラックは邪悪さと神秘性を加えて壮大に迫るミドルテンポの曲、緊迫感高まる重厚なオーケストレーションのインストゥルメンタルからの10はシャープなギタープレイが印象的な緊張感を維持するドラマティックなミドルテンポの曲で、コーラスとの掛け合いも見せつつ盛り上げていきます。ボーナストラックはヴィヴァルディの四季から“冬”とポップな要素も持ったスピード感のあるナンバーが収録されています。 全体的には豪華なアレンジが効果的に用いられるようになって硬派な印象が強まったサウンドは、ヴォーカリストの表現力もアップして、ロックしていくドラマ性が更に高まっています。少しオーセンティックな方向に向いた、より骨格のしっかりしたドラマティックなヘヴィメタルを目指した力強く華麗な一枚です。 |
同系統アルバム UPON THE WORLD/MEDUZA AMONG THE GODS/MOB RULES RECKONIG NIGHT/SONATA ARCTICA |
ADVANCE TO THE FALL/GALNERYUS |
アドヴァンス・トゥ・ザ・フォール/ガルネリウス |
VAP VPCC-81509 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャパニーズHMの炎を灯し続ける期待のバンドの第二弾です。厳かなピアノからの暗雲から光が差し込むような壮大なイントロから始まるアルバムは、ネオクラシカルなフレーズが炸裂し、ハイトーンヴォーカルが情熱的に歌い上げていく美意識の高まるスリリングな展開のスピードナンバーの2で鮮やかな劇的空間の扉を開いていきます。扇情的なギタープレイと力強いヴォーカルとのコンビネーションが作り出す感情の高まりは、連続して続く3へと受け継がれていき、開放感と緊迫感が交錯するスピーディーでロマンティックなフレーズが次々と繰り出されていきます。ヘヴィリフで硬質なイメージを構築していく圧迫感の強いながらも華麗さも残す4、繊細なピアノが導く5はキーボードが飛翔してファストパートへ展開する哀メロ炸裂の急転直下なスピードナンバー。キャッチーなメロディが明朗なムードを生み出していくミドルテンポの6、唸りを上げるスピーディーなフレーズが嵐のように襲い来るインストゥルメンタルを経て、シンフォニックなアレンジも華麗に繰り出されていくミドルテンポの8で哀愁メロディがハートを鷲づかみ。タイトでミステリアスなリフで構成される9は多彩な表現を聴かせるヴォーカルに導かれて雰囲気を変転させていく新機軸の一曲。センチメンタルなメロディが切々と歌い上げられるパワーバラードの10、哀愁帯びたメロディがポップなムードで進む11は泣きメロコーラスが印象的。物悲しいギターが涙腺に染みるインストゥルメンタルでアルバムは一旦幕を閉じますが、ボーナストラックの13でドラマティックなテクニカル系疾走チューンを繰り出します。 自分達の美意識に則った音楽性を更に追求していくアルバムは、バンドとしての一体感と方向性を研ぎ澄ましたものになっており、ドラマティックなヘヴィメタルとしての高い完成度を誇るものになっています。プログレハード的なテクニカルパートがポイントで導入されていますが、ちょっとムードが変わるので哀メロ洪水に溺れたい人には少し余分だった気も。それはともかく、日本人の琴線に触れるどころか掻き鳴らしていく扇情性と叙情性が怒涛のように押し寄せる日本代表の一枚です。 あ、でも天野嘉孝のジャケットはこれっきりにして、もっと熱意のある絵師に頼んだほうが良いと思われます。 |
同系統アルバム D'UN AUTRE SANG/MANIGANCE SUPREMACY/ELEGY LABYRINTH/LABYRINTH |
LADY MACBETH/LANA LANE |
レイディ・マクベス/ラナ・レーン |
MARQUEE MICP-10497 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デビューしてすっかり10周年を迎えるアメリカからのおしどりハードロック夫妻の7枚目のスタジオアルバムです。今作はシェイクスピアの「マクベス」をマクベス夫人の視点から描き出すロックオペラアルバムを目指しています。センチメンタルなピアノの旋律が導くバラードパートから一転、パンチ力のあるハードなアタックを見せるスリリングな、まるでメガデスのような1から起伏の激しいドラマティックな楽曲を揃えてきたアルバムは、3人のギタリストによるフラッシーなプレイも鮮やかに物語を紡いでいきます。泣きのギターが哀愁のメロディを奏でるパワーバラードの2では変わりなくエモーショナルで艶やかな声を響かせていき、穏やかな空気が流れる優しい3はリリカルで開放感の残るナンバー。70年代ハードロック的な空気のヘヴィリフで構成するサタニックな一面も残るダイナミックな4、ニューウェイブ的な雰囲気が漂う叙情的な5、リリカルなメロディとポンプロック風味のダイナミズムが楽しめる6、センチメンタルなインストゥルメンタルを挟んで、再びハードに展開する8は伸びやかなヴォーカルがシャープなリフに伴われるスピードチューンでアルバムの後半のハイライトになっています。物悲しいメロディが積み上げられるバラードの9、物語を締めくくるの10はエモーショナルなヴォーカルが哀愁たっぷりに歌い上げるしっとりとした曲になっています。 ハードな面とソフトな面のコントラストが強力になったサウンドは、憂いと激しさを併せ持ったドラマを表現するためのパーツとアーティストを的確に配置した創造性の高いもので、バンドの引き出しの豊富さを窺わせるものになっています。円熟味を更に増した安定感と説得力の高い楽曲が生み出す、彼らのハードロックの完成形を示したアーティスティックな一枚です。 |
同系統アルバム ILLUSIONS/ARWEN BEYOND DAYLIGHT/VANDEN PLAS AERONAUTICS/MASTERPLAN |
REASON/SHAAMAN |
リーズン/シャーマン |
VICTOR VICP-62989 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ブラジル出身のバンドのセカンドアルバムです。商標の関係でバンド名のスペルを変更することになってしまいましたが、音の方はそんな雑音を打ち消す充実度です。まるでジューダス・プリーストかと思わせるヘヴィ&ハードな1でダーティな歌唱を聴かせて、これまでのアンドレ・マトスファンを驚かせるアルバムは、独特の繊細なメロディを内包してドラマティックに進んでいきます。叙情メロディが感情を揺さぶる優しさと力強さを兼ね備えるパワーバラードの2、ドラマティックでダイナミックなTHE SISTERS OF MERCYのカバーの3はアルバムに違和感なく溶け込み、牧歌的な穏やかな空気に包み込まれるドラマティックな4へと繋がっていきます。緊迫感するイントロからハードなリフを繰り出す5はセンチメンタルなムードを保ちながらドラマ性を高め、ミステリアスな雰囲気がインダストリアルなサウンドで描き出される6はエキゾチックなインストパートで一気に盛り上がります。さらにエキゾチックなムードを引き継ぐ7はエモーショナルなヴォーカルが印象的なドラマティックな曲、スリリングなイントロで高揚感を高めていく壮大な8はシャープなリフの劇的メタリックナンバー、ソリッドなリフで押してくる9では煽情性の強いメロディとダイナミックな展開がパワフルなメタルナンバー、そしてドラマティックに迫るスケール感の大きい12でアルバムを締めくくります。 実験的な要素を上手く消化しつつ、自分達の音楽に仕上げてきたあたりは、さすがにキャリアを重ねてきたアーティストの力量を感じさせます。アングラからの呪縛からも解き放たれた自由な精神が生み出す、肩の力の抜けた開放感と安定感のある一枚です。 |
同系統アルバム AERONAUTICS/MASTERPLAN WORLDS APART/SILENT FORCE TEMPLE OF SHADOWS/ANGRA |
ASCENDANCY/TRIVIUM |
アセンダンシー/トリヴィアム |
ROADRUNNER RECORDS RRCY-21238 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ出身のバンドのセカンドアルバムです。ベーシストが交替し、さらにギタリストを加えて4人編成で製作されています。センチメンタルなピアノの調べで幕を開けるアルバムは、攻撃性と突進力を前面に押し出したデスラッシュな2へと進んでいきます。ヴァイオレンスなデスヴォイスから一転するフックのあるクリーンヴォーカルパートは邪悪なムードを壊すことなくダイナミックに曲を盛り上げていきます。北欧メロディックデスメタル的なギターリフがデスヴォイスを乗せて突き進む3は哀愁伴うドラマティックなコーラスとのコントラストも魅力的でフラッシーなギターソロを含めた曲展開も練られています。叙情的なメロディのイントロから叩きつけるソリッドなリフで突進する4は押しの強いコーラスからリリカルに転じていく劇的な曲。タイトルトラックはリズムチェンジで緩急を付けつつヘヴィかつエモーショナルに進んでいくダイナミックな一曲で、作曲能力の向上を強く伺わせます。叙情メロディのリフで進む6はヘヴィな雰囲気も伴ってエモーショナルなコーラスパート、さらにシンガロングな漢コーラスで一気に盛り上げます。ドライブしていく7はメロディックハードもビックリのクリーンパートとのコントラストも強く、ギターソロも情感豊かに飛翔していきます。クリーンヴォーカル一本で迫る8はヴォーカル、ギターともエモーショナルなメロディが炸裂していく彼らの成長を感じさせる一曲。スラッシーに突進しながらデスヴォイスとシンクロしていくクリーンヴォーカルが強いドラマ性を生み出していくエモーショナルな9、シャープなビートが繰り出されていく10は80年代スラッシュメタル風の突進力が印象的、もちろんエモなコーラス有り。クリーンヴォーカルの哀愁メロディで始まる11はデスヴォイスと絡み合いつつ、一転疾走パートへ。攻撃的に突進する12は嵐のようなデスラッシュパートとクリーンパート、さらにエキゾチックなギターソロが渾然一体となった劇的な曲です。ボーナストラックには、やはりデスラッシュなパートとエモーショナルなパートのコントラストが強い13、アップテンポで叙情リフを繰り出す14が収録されています。 影響を受けたバンドを上手く料理して、自分達の独自性を生み出そうとする意気込みを感じさせるアルバムは、このスタイルのサウンドが好きな人のツボを突いたフレーズや曲展開満載でテンションの上がる一枚になってます。デスヴォイスとクリーンヴォイスとのシームレスな融合、そしてデスメタル的な突進力と華麗なギターソロの違和感の無い結合が一体となって迫るサウンドは、新世代ヘヴィメタルからの伝統的ヘヴィメタルへの一つの回答と言えるもので、多くの要素を制約無しに結び付けていけるバンドのこれからの飛躍を約束するものになっています。 |
同系統アルバム STABBING THE DRAMA/SOILWORK THE END OF HEARTACHE/KILLSWITCH ENGAGE THE WAR WITHIN/SHADOWS FALL |
■ | AprilAT VANCE | BRAINSTORM | DEFLESHED | DREAMAKER | EPICA | EVIL MASQUERADE | LABYRINTH | LACUNA COIL | METALIUM | SECRET SPHERE | |
CHAINED/AT VANCE |
チェインド/アット・ヴァンス |
MARQUEE MICP-10504 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツ出身のバンドの6枚目のアルバムです。ハードなアタックを見せるスピードナンバーの1から始まるアルバムは、熱気あふれる強力ハイトーンヴォーカルのキレも良く、これまで通りのネオクラシカルワールドを繰り広げていきます。ミドルテンポの哀愁ナンバーの2、6、スピードナンバーの3、タイトルトラックは情念高まるヘヴィナンバー、不穏な空気が漂うアップテンポの5はスリリングにドライブしていきます。バッハをモチーフにした静かな小品のギターインストゥルメンタルの7から、ノリの良いアップテンポのネオクラな8、エキゾチックな感覚を持った哀愁ナンバーの9、定番のヴィヴァルディのカバーは冬です。再び疾走ナンバーの11でテンションを上げると、“熊ん蜂の飛行”をやってみたりしつつ、ボーナストラックは攻め込むアップテンポのナンバー。 バンドが安定しない割には、これまでと変わらず安定した作品を作り出している彼等ですが、ヴォーカリストが馴染んだおかげで、クオリティは向上しているような。とりあえず、物凄い安全パイで知らない人にもお奨めな一枚です。 |
同系統アルバム UPON THE WORLD/MEDUZA UNDERWORLD/ADAGIO RISING SYMPHONY/STORMWIND |
LIQUID MONSTER/BRAINSTORM |
リキッド・モンスター/ブレインストーム |
METAL BLADE 3984-14526-2 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツ出身のバンドの6枚目のアルバムです。パワフルなハイトーンヴォーカルと存在感を強く主張するギターリフが一体となった高密度高圧力のパワーメタリックな楽曲は前作からの路線を受け継ぐ彼等らしいサウンドになっています。重量感たっぷりのミドルテンポの1は威圧的なメロディで押しまくり、続く2はアクセプトあたりの流れを汲んだ哀愁メロディとソリッドなリフが一体になるキャッチーかつヘヴィな曲でエモーショナルなギターソロも印象に残ります。叙情的なメロディが女性ソプラノヴォーカルと共に唄われる壮大でドラマティックな3はシンフォニックな展開も見せながら狂おしい情念を叩きつけていきます。一転して激しさを前面に押し出す疾走ナンバーの4はスラッシーなリフがテンションを上げるパワーメタリックな曲で高速ギターソロも見せます。エキゾチックな佇まいも残るヘヴィリフで迫る5は哀愁のコーラス&ギターソロとのコントラストで起伏を生み出し、リリカルなメロディが涙を誘う6は彼らの繊細な一面を感じさせる劇的パワーバラード。緊迫感のあるリフが憂いを帯びたメロディを乗せるミドルテンポの7でも鮮やかなコーラスで盛り上げ、キレのあるリフが叩き込まれヴォーカルもアジるアグレッシヴなスピードナンバーの8へ。哀メロ炸裂のミドルテンポの9は静と動の起伏も激しいドラマティックナンバー。ダイナミックなリフが押し込まれる10は攻撃的で高密度なパワーメタルチューン、扇情的なメロディのタイトなリフが繰り出され、コーラスも煽情性に輪をかけて注ぎ込まれる哀愁の劇的ナンバーの11でアルバムを締めくくります。 哀愁メロディに更に磨きがかかったパワーメタルなアルバムは、情動的なドラマを生み出す曲展開に演出も堂に入ったもので、バンドの充実度と熟成度を実感させるものです。バンドのサウンドの方向性としては手詰まり感も窺わせつつも、更に力を増すギターソロの求心力にヴォーカルの感情没入度も最高潮の、自信と完成度を誇る一枚です。 |
同系統アルバム ENSLAVED/STEEL ATTACK THE GLORIOUS BURDEN/ICED EARTH 8 DEADLY SINS/MANTICORA |
RECLAIM THE BEAT/DEFLESHED |
リクレイム・ザ・ビート/デフレッシュド |
SOUNDHOLIC TKCS-85116 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの5枚目のアルバムです。ささくれたデスヴォイスが叫ぶ中、怒涛のような爆音絨毯爆撃リフがこれでもかと繰り出されていく徹頭徹尾デスラッシュを追求しているアルバムです。ギターソロ?ハァなんですかそれ?って言うくらいにリフまたリフの応酬で聴き手に息つく暇さえ与えない轟音の壁はまさに音の暴力。モトリー・クルーのカバーすらデスラッシュに染め上げるサウンドは、遮るもの皆粉砕する凶暴性と暴虐性に満ちており、衝動系突進デスラッシュの極北の一枚です。 |
同系統アルバム THIS IS HELL/DIMENSION ZERO IMPACT/DEW-SCENTED OCCULT MEDICINE/YYRKOON |
ENCLOSED/DREAMAKER |
エンクローズド/ドリーメーカー |
KING RECORD KICP-1069 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スペイン出身の元ダーク・ムーア組が結成したバンドのセカンドアルバムです。デスヴォイスのエフェクトを掛けたヴォーカルパートや浮遊感のあるキーボードがヘヴィリフに乗って突き進む1からフューチャリスティックなエフェクトのサウンドが展開されるアルバムは、イン・フレイムスやソイルワークに近い方法論の楽曲を作り出しており、ヴォーカルのエリサ・C・マーティンの新たな一面を感じさせます。ダーティな歌唱に急展開のリフワークを繰り出す2はミステリアスなムードも残る激しく劇的な一曲、攻撃的なリフワークにダークな雰囲気が圧し掛かる3はデスヴォイスも加わって飛翔感のあるコーラスとギターソロへと。叙情メロディを孕んだリフに乗せて哀愁メロディが唄われるアップテンポの4はウィスパーヴォーカルも飛び出す起伏の激しい曲、キーボードの浮遊感がニューウェイブ的な5はセンチメンタルな感触とヘヴィな音像が絡まりあう情感豊かな曲、デスヴォイスで突進する6はキラキラキーボードと女性ヴォーカルも加えてドラマティックに展開するスピードナンバー、サイレンのSEから怒涛のリフが繰り出される7はシャープな印象の劇的ナンバー。荘厳さが演出されるミドルテンポの8は男女ヴォーカルの絡み合いがドラマを生み出す手の込んだ曲、ラウドなリフで押しまくる9は緩急激しいデスヴォイスも加わる劇的ナンバー。キラキラキーボードで疾走する10はデスヴォイスの叫びもテンションを高めるシンフォニックメロデス的な曲。センチメンタルなムードで進む11は女性ヴォーカルの繊細さと強さを活かした一曲、激しいビートと優しいメロディが同居する12は懊悩感を高めるアップテンポのナンバー、繊細なバラードの13で幕を閉じます。 以前のバンドの面影を振り切った未来志向のヘヴィメタルを追求するアルバムは、北欧メロディックデスメタルからニューウェイブまで多くの要素を取り込みつつ、独自性を生み出そうとする意気込みに満ちています。男女ヴォーカルにデスヴォイスと組み合わせのバリエーションを増やしたりする、それらの努力が結果的にドラマティックなヘヴィメタルへと結実する辺りは、さすがスペインの血。色々詰め込みすぎで曲の印象が似通っている感も少しありますが、攻撃的で先鋭的な感覚の強まった一枚になっています。 |
同系統アルバム SUICIDE BY MY SIDE/SINERGY STABBING THE DRAMA/SOILWORK SOUNDTRACK TO YOUR ESCAPE/IN FLAMES |
CONSIGN TO OBLIVION/EPICA |
コンサイン・トゥ・オブリヴィオン/エピカ |
MARQUEE MICP-10508 [☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のバンドのセカンドアルバムです。期待感を高めるオーケストラと合唱隊の壮大なイントロダクションから始まるアルバムは、前作の方向性を更に発展継承するものになっています。透明感と強さを兼ね備える女性ソプラノヴォーカルを中心に煽情性の強いメロディと合唱隊に彩られるドラマティックな2から天上の世界が広がり、荘厳なコーラスから起伏も激しく勇壮さと哀愁を兼ね備えた重厚長大な3、静かなイントロから叙情的なメロディをしっとりと唄い上げるヴォーカルを堪能できるバラードの4、オペラティックなコーラスに導かれるダイナミックな5、ドラマティックに緊迫感を高めていく6と劇的ドラマのオンパレード。ファンタジックな9ではキャメロットのロイ・カーンも参加しています。大作の11ではデスヴォイスにブラックメタル的な展開も見せつつ壮大に盛り上げます。 表現力が向上したヴォーカルを中心に、サウンドを強化してきたアルバムはバンドの成長を感じさせるもので、今後にも期待できそうな一枚です。 |
同系統アルバム INVISIBLE CIRCLES/AFTER FOREVER SHINE/EDENBRIDGE ONCE/NIGHTWISH |
THEATRICAL MADNESS/EVIL MASQUERADE |
シアトリカル・マッドネス/イーヴル・マスカレード |
MARQUEE MICP-10505 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ロイヤル・ハントの初代ヴォーカリストが籍を置く、デンマーク出身のバンドのセカンドアルバムです。ダークなムードを持ったネオクラシカルな起伏の激しい劇的ナンバーで始まるアルバムは、前作の路線を継承する鮮やかな色彩を持ったものになっています。続く2はスピード感を増したスリリングな急展開も飛翔するトリッキーで美しく絢爛でシアトリカルな仕上がりになっており、予想も付かない構成が聴き手を惹きつけます。タイトなギターリフがファニーなヴォーカルと結びついて叙情的なコーラス、さらにスリリングなインストゥルメンタルへと繋いでいくドラマティックな3、ネオクラシカルなフレーズが重厚に展開されていくスローテンポの4、アップテンポの5はフォーク風味も取り入れつつヘヴィメタル然として突き進んでいき、哀愁のコーラスで盛り上げます。ドラムマーチ風イントロからスピードを増す6は暗さを持った華麗な叙情劇的ナンバー、リリカルなメロディを切々と歌い上げる7、女性コーラスを取り入れたヘヴィで迫力満点の8は叙情メロディを奏でるギターを加えて収束していき、ネオクラリフ炸裂のヘヴィナンバーの9ではアラビアンな旋律も。鋭いリフが切り裂いていく10はクラシカルなコーラスにシアトリカルな演出が加わった想定範囲外のアグレッシヴな曲。そしてセンチメンタルな小品の11でアルバムを締めます。ボーナストラックは往年のディスコナンバーながら完全にバンドのカラーに染まっています。 前作の華麗さがカーニバルの表通りの喧騒とするなら、今作は裏通りの妖しさを前面に出したダークさとケイオスな空気を主体としたネオクラシカルワールドを形成しており、前作とは対照的な印象を与えるものになっています。安定感を増して表現の幅を広げつつある一枚です。 |
同系統アルバム FAR FROM THE MADDING CROWD/WUTHERING HEIGHTS DAYS OF RISING DOOM - METAL OPERA/AINA THE PHANTOM AGONY/EPICA |
FREEMAN/LABYRINTH |
フリーマン/ラビリンス |
KING RECORD KICP-91062 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドの5枚目のアルバムです。不穏なムードのイントロが不安を呼び起こすアルバムは、彼等らしい哀感たっぷりのメロディがこれまた変わらぬハイトーンヴォーカルで唄われて行き、哀愁のドラマを演出する楽曲で一安心。とは言え、これまでとは少し毛色の変わったヘヴィでダークなパートがメロディアスなパートとのコントラストを生み出していく様子はプログレメタル風。穏やかで叙情的なメロディが流れる2はリリカルなパートから一転スピードパートへと移行する急展開の曲、叙情メロディで突進するムードを見せる3はテクノキーボードも炸裂のスピードナ ザクザクしたリフが繰り出されるタイトルトラックはエモーショナルな空気を押し込みながら哀愁メロディが開放されていく情感豊かなナンバー、哀メロがアップテンポのビートで浮遊する5は情感を高めつつ、ダークな空気に覆われていく6は熱気を帯びるヴォーカルによってブルージーなパートも加えて二転三転しつつダイナミックに盛り上がります。あやしげなSEから哀愁のギターが立ち上る7は情念系ヴォーカルの熱唱と陰鬱なムードがペイン・オヴ・サルヴェイションあたりを思い出させます。メタリックなヘヴィリフが迫る8は扇情的なメロディが畳み掛け、後半のスリリングなインストへと。電話のベルからヘヴィに展開する9はエモーショナルなヴォーカルで引っ張りプログレ風ソロパートを迎えます。起伏も激しくドラマティックな展開を見せる叙情的な10はプログレハード的なムードも持ち合わせるスケール感の大きな楽曲です。 レイドバック気味のドラムサウンドとパートによってその表情を大きく変えていく楽曲が生み出す感覚は、多様性を持ち味にしていたバンドの初期の音楽性を強く思い起こさせるもので、スピードメタル寄りだった前作から更に方向性を広げたものになっています。予想の付かない展開がもたらす新鮮さと彼等らしいメロディの融合が面白い独自性を発揮する一枚です。 初回限定盤に付属のDVDは2004年に東京で行われたライヴ映像やビデオクリップなど収録で、なかなか手に入りにくい彼らの映像を見られる値段以上に貴重かもしれない代物になってます。 |
同系統アルバム D'UN AUTRE SANG/MANIGANCE SUPREMACY/ELEGY LABYRINTH/LABYRINTH |
COMALIES/LACUNA COIL |
コマリーズ/ラクーナ・コイル |
GLINDHOUSE RECORDING RDCY-1002 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身の男女ヴォーカルを擁するバンドの2002年に発表されたサードアルバムです。ギタリストが新たに加入しています。叙情的なメロディをソプラノ女性ヴォーカルが中心に男性ヴォーカルを絡めつつ進むスタイルは そのままに、妖艶で濃厚な音世界を積み上げていくアルバムは、ミドルテンポのナンバーを中心に感情を鮮やかに描き出していきます。浮遊感のある女性ヴォーカルの官能的な響きがソリッドなバックのサウンドと融合していくメランコリックな一枚です。 |
同系統アルバム FALLEN/EVANESCENCE EPILOGUE/TO/DIE/FOR THE COLD WHITE LIGHT/SENTENCED |
DEMONS OF INSANITY/METALIUM |
デーモンズ・オブ・インサニティ/メタリウム |
KING RECORD KICP-1067 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?日本凱旋も果たしたジャーマンピュアメトゥの5枚目のアルバムです。不穏な空気がディープなナレーションと共に蠢きだす大仰なイントロダクションから始まるアルバムは、これまでの姿勢に全くブレの無い強固なサウンドを生み出しています。来日公演でも披露された、畳み掛けるソリッドなギターリフの応酬と強力ハイトーンヴォイスが心地よいハイテンションの突進ナンバーの2からキャッチーで勢いをつけるコーラスと血潮たぎらす展開の楽曲が繰り出されていき、邪悪なムードを持ったアップテンポの3では絶唱必至のコーラスとヘヴィなギターソロが熱気倍増。再び来日公演で演奏された4は静から動への移行も激しいエモーショナルかつドラマティックなナンバーで、唄えるコーラスが求心力を増していきます。ヘヴィなビート&リフが繰り出される5は朗々と歌い上げられるヴォーカルが圧倒的な存在感を生み出していきます。キーボードサウンドが彩りを添える哀愁のメロディが紡ぎだされる情感豊かなヘヴィナンバーの6、唸りを上げるリフが躍動的に突き進む7は漢らしいコーラスで威勢良く、ギターソロは滑らかに。悠久の時を刻みつつゆったりと流れるオリエンタルなムードを持った高密度の8、ヘヴィリフで進む9はスピードを変えたコーラスがアクセントになった圧迫感の強い曲。ダイナミックなイントロからドライブ感の強いリフが繰り出される10は湿ったメロディのサビが印象的。クランチーなリフでミステリアスなメロディを唄う11、ピアノの物悲しい調べが染みるバラードの12、激しさを増すソリッドなリフで迫る13は妖しげなコーラスを加えつつスピードアップしていくドラマティックナンバー。ダウナーでヘヴィな14で幕を閉じるアルバムのボーナストラックの15はラウドネスのヘヴィメタルなカバー。 紆余曲折を経ながらもバンドの方向性に一遍の迷いも生じずに、その姿勢を貫き通した成果が現れた混じりけの無いパワーメタルを作り出しているアルバムは、既に平伏するしかない領域に達しており、先達のマノウォーにも通じる実直さがエンターテイメントに昇華されたものです。来日公演の熱気を呼び起こす、ヘヴィメタルの一つの側面を極限まで磨き上げるゲルマン魂が作り出した珠玉の一枚です。 |
同系統アルバム THE BOOK OF HEAVY METAL/DREAM EVIL DEFYING THE RULES/HIBRIA DEVIL'S GROUND/PRIMAL FEAR |
HEART & ANGER/SECRET SPHERE |
ハート&アンガー/シークレット・スフィア |
MARQUEE MICP-10503 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドの4枚目のアルバムです。クラシカルなイントロダクションで期待感を高めつつ繰り広げられるサウンドは、前作の路線を一変させたシンフォニックスピードメタル。ツーバス連打のドラマティック疾走ナンバーの2でテンションを最高潮に持ってくるあたりは、ファーストアルバムあたりの勢いを感じさせるもので、やっぱり微妙な感じのハイトーンヴォーカルの不安定さも相まってスリリングな雰囲気を醸し出します。さらにキラキラドラマティック路線の3ではヴォーカルが遂に上手くなったぞ!と思わせてみたところ、同郷のラビリンスのヴォーカルのゲスト参加だったりで、何だかガッカリ感も覚えつつ哀愁メロディ&コーラスで盛り上げます。ダイナミックなリフで押しまくる4はオーセンティックなヘヴィメタル的な感触も持った起伏の激しい曲、哀愁コーラスが印象的な5はミドルテンポのメロディアスなナンバー。スリリングなリフとエモーショナルなヴォーカルが一体になって迫る劇的ナンバーの6、哀メロ炸裂の7は女性ヴォーカルも加わって繊細さが際立つパワーバラード、オーケストラヒット&合唱隊もハイテンションで暴走する8はシンフォニックスピードメタルの面目躍如で緩急自在の疾走ナンバー、センチメンタルなイントロからザクザクしたリフが刻まれる9はドラマティックに展開する開放感のある叙情的な一曲。リリカルなムードを漂わせる10は泣きのギターも炸裂する劇的バラード、アグレッシヴに叩きつけられるリフと繊細なキーボードのコントラストも印象的な11は緊迫感高まるミドルテンポのナンバーでアコースティックなギターソロも飛び出します。哀愁漂うイントロからヘヴィリフが展開する12は静と動を使い分けつつ盛り上げるセンチメンタルなナンバー。荘厳なコーラスから疾走する13はスリリングに展開するドラマティックな一曲。ボーナストラックの14は予想を覆す2のアコースティックバージョンです。 前作の実験的な要素は隠し味程度に抑えて、シンフォニックスピードメタルに復帰してみたアルバムは、彼らに対する期待には一応答えたものになっていますが、やっぱりヴォーカルのパフォーマンスが気になる一枚です。 |
同系統アルバム DUST TO DUST/HEAVENLY WINGS/SKYLARK GLORY THY NAME/DIVINEFIRE |
■ | MayAXENSTAR | EQUILIBRIUM | FOLLOWBANE | MORS PRINCIPIUM EST | SERPENT | STILL REMAINS | THUNDERSTONE | WINGDOM | |
THE INQUISITION/AXENSTAR |
ザ・インクイジション/アクセンスター |
KING RECORD KICP-1075 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの三枚目のアルバムです。古いレコードのようなサウンドで始まるアルバムは、青い切なさが響く甘いハイトーンヴォーカルが唄い上げる叙情感を湛えたメロディックメタルの基本線はそのままに、更に強化されたセンチメンタルなムードに頭の先まで沈み込む楽曲を揃えています。キラキラ哀愁メロディのアップテンポの1から扇情的なフレーズが氾濫しドライヴ感を増して進む、静と動を使い分けてメロディを畳み掛ける哀愁スピードナンバーの2、NWOBHM的なギターワークも見せるドラマティックな3、重厚さを醸し出すイントロからの4は湿ったメロディが物悲しいアップテンポのナンバー。メロディアスハード風のポップさを持ったセンチメンタルな5、アコースティックギターの調べも切ないバラードナンバーの6から、ドラマティックに盛り上げるスリリングなスピードナンバーの7、ミドルテンポの8はサビでテンポアップしてテンションを上げます。ミドルテンポで押しの強いリフを聴かせる9は劇的展開。 ボーナストラックの10はギターソロ前のブレイクが日本向けっぽいスピードチューンを収録しています。 北欧メロディックメタルの伝統に急接近していくサウンドは、哀愁と叙情性を先鋭化させた情感に訴えるものになっています。曲調の幅が狭くて、更にヴォーカルの表現の幅も狭いので、金太郎飴っぽい似たような楽曲が揃ってしまうのは安心感と停滞感の利点と欠点を併せ持つものですが、泣きメロ炸裂の楽曲で固められたアルバムは、スピードメタルよりは北欧ハードロックのフィーリングの方向性を目指した印象の強いもので、微妙で繊細な感覚を楽しめる一枚になってます。 |
同系統アルバム ANIMA MUNDI/DIONYSUS HOLLOWED BE THY NAME/MOB RULES DELIRIUM VEIL/TWILIGHTNING |
TURIS FRATYR/EQUILIBRIUM |
神々の紋章/エクリブリウム |
SOUNDHOLIC TKCS-85120 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツ出身のヴァイキングメタル・バンドのデビューアルバムです。バンドの結成は2001年。全編ドイツ語で唄われる勇壮かつ哀愁満ちたサウンドは、疾走に次ぐ疾走で高揚感を高めていき、ハイテンションで北欧神話世界を描き出します。 |
同系統アルバム IRON/ENSIFERUM BATTLE METAL/TURISAS SWORD'S SONG/BATTLELORE |
AT THE BLIZZARD END.../FOLLOWBANE |
アット・ザ・ブリザード・エンド.../フォローベイン |
FOCD001 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?京都出身の2人組シンフォニックデスメタルバンドのデビューアルバムです。華麗なキーボードの調べに導かれるアルバムは、クラシカルなフィーリングと叙情的なメロディが融合する美麗な楽曲がヒステリックなデスヴォイスの咆哮によってドラマ性を生み出していく1からドラマティックな高揚感を高めつつ進んでいきます。リリカルなフレーズからブラストビートが炸裂していく2は飛翔感を持ったフレーズへと導かれていく緩急の激しいスピードナンバーで手の込んだ劇的インストゥルメンタルパートが印象的です。哀愁帯びたメロディに女性ヴォーカルも加わる3は攻撃性を増したヴォーカルとのコントラストも激しいダイナミックな曲、豪華なイントロから畳み掛けられる圧迫感の強いパートがスピードを増しつつ一体となって突き進む攻撃性と激情性が融合する壮絶な4、センチメンタルなムードが一変して疾走する5、典雅に流れるインストゥルメンタルの6を経て、凶悪に突進する7はスリリングな演出をまといつつ一気に駆け抜けていきます。フォーク風のメロディから緊迫感を高めていく8はリズムチェンジを重ねつつクライマックスに向けて収束していきます。壮大で重厚なイントロからネオクラシカルな優雅な調べを紡ぎだす9、物悲しさを前面に出したイントロから激走を始める優雅さと凶暴さを合わせ持ったダイナミックな10で起伏も激しくアルバムの幕を降ろします。 流麗なキーボードを中心に組み立てられる楽曲は、優雅さを保ちながらスリリングな展開を見せていき、扇情力の強いメロディの魅力を際立たせます。大きな山場を仕立て上げ劇的さを際立たせるフレーズ運びや展開、さらに荒涼とした冷気を伴う世界観の醸成が、自主制作盤の音作りを含めた幾らかのマイナス点を一気に払拭する、まだまだ伸びしろのありそうな今後の活動に期待を抱かせる一枚です。 |
同系統アルバム NYMPHETAMINE/CRADLE OF FILTH MYSTIC YOUR HEART/BLOOD STAIN CHILD DEATH CULT ARMAGEDDON/DIMMU BORGIR |
THE UNBORN/MORS PRINCIPIUM EST |
ジ・アンボーン/モルス・プリンシピアム・エスト |
MARQUEE MICP-10514 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドのセカンドアルバムです。キーボードが交替して製作されています。雪崩を打ったような音の洪水に飲み込まれていく、攻撃性と叙情性の融合が壮絶なドラマを生み出していくアルバムは、鋭利な刃物のようなギターリフが繰り出される1から女性コーラスを導入しつつも暴虐性と戦慄の美意識が凶悪なデスヴォイスによって描き出される緩急自在の高密度劇的空間が創り出されていきます。嵐のように突き進む激烈突進ナンバーの2も哀愁帯びたメロディを加えて生み出す劇的展開が一気に飛翔する圧倒的な一曲。破壊槌のような轟音を響かせながら疾走する3は叙情的なメロディを伴いながら抑えられない感情が迸り、ニューウェーブ風のモダンなサウンドを内包しつつ叙情性を高めていくツインギターも官能的なラウドでドラマティックな4、キレのあるタイトなビートとトリッキーなリフで突っ走る5はテクニカルなギターも鮮やかにへヴィかつ威嚇的に迫り、慟哭の叫びも心を打つ一曲。耽美な調べが悲壮感を紡いでくインストゥルメンタルを経て、オーケストレーションされたキーボードとギターの壮絶な高速プレイが緊迫感を高めていくブルータリティとダイナミズムが雌雄を争う兇悪かつ緻密なタイトルトラックへ。モダンな装飾を振り切りながら突進していく高速ナンバーの8でもムードを一変させるドラマティックな展開を見せつつ、幽玄なイントロから破壊的なリフを叩き込む9はインダストリアルな効果を導入しつつ激しい起伏と複雑な展開を持った劇的ナンバー。女性ヴォーカルの優しい歌声が叙情的に迫り、狂熱的なギターの物憂げな調べが絡みつくインストゥルメンタルの10で幕を閉じます。ボーナストラックは渋い選曲のメガデスのカバーと1のデモバージョンが収録されています。 メロディックデスメタルのマイルストーンとして一躍名乗りを上げる大きく飛躍を遂げた凄まじい完成度を誇るアルバムは、荒狂う破壊性と叙情性に満ちた狂おしい甘美な美旋律の相克が生み出す感情の発露を叩きつける渾身の作品です。先達のバンドの成果を根こそぎ奪い取る兇悪さと貪欲さに満ちる必殺の一枚です。 |
同系統アルバム CHARACTER/DARK TRANQUILLITY FORCE THE PACE/WITHERING SURFACE WINTERSUN/WINTERSUN |
CRADLE OF INSANITY/SERPENT |
クレイドル・オブ・インサニティ/サーペント |
SOUNDHOLIC TKCS-85119 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デモ音源がインターネットでも話題になっていた、1993年に結成された神戸出身のバンドのデビューアルバムです。叙情感たっぷりの哀愁メロディを湛えたイントロダクションから、メロディ洪水が炸裂するアルバムは、破壊力のあるデスヴォイスを伴って美旋律が怒涛のように押し寄せる疾走ナンバーの2からかなり手の込んだ展開を見せていき、さらに突進する3ではメランコリックな感覚を保ちながらブルータルなヴォーカルが叫び、ピアノの調べも艶かしいネオクラシカル展開まで盛り込みます。劇的哀愁メロディが華麗なギタープレイで生み出されていくアップテンポの4はクラシカルなフックを取り込んで泣きメロが渦巻きます。メランコリックな5はゴシックメタル風の暗いムードを引き摺りつつ感情を激発させていき、再び疾走する6は哀愁メロディが乱舞するドラマティックセンチメンタルナンバー。アップテンポの7はメタリックなリフとメロウなムードを交錯させるダイナミックな曲でギターソロも狂乱。更に爆走する8はスラッシーなリフの刻みが心地よい、ヴォーカルも咆哮、ギターソロは華麗に、そして曲はドラマティックに結実します。ダイナミックなイントロから高速プレイを聴かせる9は凶暴さを前面に突進し、衝動性がメロディと一体となり、さらに突進する10はメロディを纏いつつエモーショナルに疾走していきます。 流麗なギターを中心に哀愁、叙情、郷愁を誘うメロディを暴走させていくアルバムは、ロマンティックなフィーリングとブルータルなサウンドを丁寧に編みこんでいく劇的世界を生み出します。音が全体的にもう少しクリアーだと更に心地よく音世界に沈みこめたような気がしますが、充実した楽曲が満載の日本発超悶絶級メロディメーカーの衝撃の一枚です。 |
同系統アルバム CHARACTER/DARK TRANQUILLITY FORCE THE PACE/WITHERING SURFACE ADVANCE TO THE FALL/GALNERYUS |
OF LOVE AND LUNACY/STILL REMAINS |
オヴ・ラヴ・アンド・ルナシー/スティル・リメインズ |
ROADRUNNER RRCY-21240 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ミシガン州出身のバンドのメジャーデビューアルバムです。バンドの結成は2004年。叙情的なメロディを保持するダイナミックなリフと、デスヴォイスとダーティヴォイスを行き来するアグレッションとエモーションを一体化させていくヴォーカルによって構成されるアルバムは、ドライヴ感の強い1から情感が迸る、いわゆるメタルコアなサウンドを作り出していきます。躍動感と凶暴性が絡み合って進む2、弾むビートが衝動性に拍車をかける3はセンチメンタルなキーボードの演出、更に起伏の激しい大胆な展開によってドラマ性を高めていきます。泣きのメロディが炸裂する4はオーセンティックなメタル風展開にエモなコーラスが加わってピアノソロも導入の基本に忠実な一曲、突進力を増して突撃する5は北欧の厳寒の空気が漂うダイナミックな曲、エキサイティングなリフとセンチメンタルなコーラスが交錯するアップテンポな6、ピアノメインのインストの7を経て、タイトなリフをぶん回すダイナミックな8ではドラマティックなインストパートで一気に盛り上げます。キャッチーなリフがデスヴォイスを乗せて進む9はリズムチェンジからの叙情パートが印象的。ダークさを持ったメタリックなリフが圧迫感を高めつつ浮遊感のあるメロディが絡みつく10、叙情メロディックメタルしてみる11はミドルテンポで哀愁を高めつつドラマティックに収束。キーボードを前面に押し出して激情を演出していく12はノイジーなパートで締め上げながら更にエモーショナルに沈み込みます。ボーナストラックは変幻自在に進む最近のイン・フレイムスっぽく。 キャッチーなコーラスとアグレッシヴなギターサウンドに透明感のあるキーボードと、メタルコアと呼ばれるサウンドのイメージに忠実に作り上げられたアルバムは、後塵を拝するものの魅力的な要素を徹底的に追求したものになっていて、演奏、楽曲ともに新人離れした安定感が生み出されています。とりあえず、このスタイルのバンド群の中においては突出する要素や独自性はありませんし、手堅すぎる作風が音世界への没入を妨げがちな雰囲気ですが、次のアルバムは様子を見たい気がする一枚です。 |
同系統アルバム STABBING THE DRAMA/SOILWORK THE END OF HEARTACHE/KILLSWITCH ENGAGE THE WAR WITHIN/SHADOWS FALL |
TOOLS OF DESTRUCTION/THUNDERSTONE |
トゥールズ・オヴ・デストラクション/サンダーストーン |
MARQUEE MICP-10515 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの三枚目のアルバムです。へヴィリフとダークなメロディが存在感を主張するエモーショナルなミドルテンポの1から、暗さを伴いながら進むミドルテンポの2で彼らのもう一つの武器である開放的なコーラスを披露しています。ダイナミックなドライヴ感を持ったリフで進む3は熱気みなぎるテンションの高いヴォーカルと相まって強い突進力を生み出していきます。メロウな雰囲気で進む4は哀愁のメロディが染みるミドルテンポの曲でセンチメンタルなコーラスで盛り上がります。へヴィナンバーの5はミステリアスな雰囲気を生み出しながら劇的なコーラスへと繋げる彼らの本領発揮の一曲。滑らかなキーボードとシャープなギターリフに導かれる6はスピード感を高めつつ起伏も大きく進んでいくドラマティックな曲、リリカルなムードから劇的に移り変わっていくパワーバラードの7、メタリックなリフを持ったスピードナンバーの8では劇的なギターソロも加わって突き進みます。叙情的なキーボードとシャープなギターリフが交錯する圧力の高いアップテンポの9でも一気に飛翔するコーラス、さらに絡み合うキーボードとギターのインストゥルメンタルが印象的。ミステリアスなキーボードからへヴィリフが加わって感情が迸るドラマティックワールドを演出していく10は荘厳なコーラスも加わって展開も激しく進んでいく大作。 ボーナストラックの11はディオのカバーで、相変わらず本家に負けない魅力を生み出しています。 これまでよりも生々しいライヴ感の強い音作りに表される、骨太のメロディックメタルを追求していくアルバムは、求心力を増すハスキーヴォーカルの力強いパフォーマンスに変わらぬ存在感のあるリフワークに重心を置いたギター、さらに次々とメロディを紡ぎだす鮮やかなキーボードが哀愁に満ちた劇的空間を作り出していきます。派手さは抑え気味ですが、地に足の着いた手堅さを感じさせる磐石の一枚です。 |
同系統アルバム CHAINED/AT VANCE AERONAUTICS/MASTERPLAN UNCHAINED/UNCHAINED |
REALITY/WINGDOM |
リアリティ/ウィングダム |
VICTOR VICP-63054 [☆☆☆] >>>>>BUY...?元ソナタ・アークティカのキーボーディストや元ラプソディーのベーシストなどが集まって結成されたバンドのデビューアルバムです。伸びのあるハスキーなハイトーンヴォーカルを武器にプログレハード風のダイナミックなメロディックメタルを作り出すアルバムは、デジタルなキーボードの装飾にソリッドなギターリフを繰り出しつつエモーショナルなパートとのコントラストが鮮やかな劇的ナンバーの1から、リリカルなイントロで始まりダークなギターリフへと進む情感豊かなミドルテンポの2、激しさと叙情性のコントラストでドラマ性を生み出すダイナミックな3は女性コーラスも挿入しつつ盛り上げていきます。叙情的なメロディの優しいパートからデスヴォイスのコーラスも加わった攻撃的なパートへと変転する起伏の激しい4、スペーシーな感覚のイントロからエモーショナルなヴォーカルが加わっていくドラマティック・プログレな5、陰りを帯びた空気に包み込まれる6は情感高まるヴォーカルに導かれるリリカルでエモーショナルな一曲。ムーディな感触を持つ7はメロウに進み、ミドルテンポの8は開放的なコーラスに向けて徐々に盛り上げるミステリアスなナンバー。浮遊感のあるキーボードとへヴィなリフで構成する9はヴォーカルが力強く唄いあげる劇的ナンバー、さらにムードを変える10は哀愁帯びたメロディが一転ドラマティックに飛翔していく大作。ボーナストラックのインストゥルメンタルナンバーは物悲しいメロディが連ねられるネオクラシカルな静かな曲です。 ヴォーカルのパフォーマンスやテクニカルなプレイなど新人離れした完成度を見せるアルバムは、突出した特徴はまだ醸成されていないものの、安定感、構成力とも安心して聴ける一枚になってます。 |
同系統アルバム SHATTERED-MIND-THERAPY/WIZ STORM SEASON/WHITE WILLOW INFERNAL/SILENT VOICES |
■ | JuneARTHEMIS | BRUCE DICKINSON | COMMUNIC | DARKEST HOUR | DEMONS & WIZARDS | DREAM THEATER | FREEDOM CALL | KIUAS | NILE | PAPER BLOOD/ROYAL HUNT | SHADOW GALLERY | |
BACK FROM THE HEAT/ARTHEMIS |
バック・フロム・ザ・ヒート/アルテミス |
MARQUEE MICP-10518 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドの4枚目のアルバムです。ポップさとハードさが適度にミックスされた初期クローミング・ローズを継承しイタリアの血で発展させたような、マイナーとメジャーなメロディが交錯しながらハイテンションで突き進む、スリリングなハイトーンヴォーカルを中心としたパワーメタルなアルバムは、アップテンポで煽情性の高いメロディが炸裂していく1からエモーショナルなギターソロが炸裂するタイトなサウンドを展開させており、緩急激しく疾走する2では様式美展開もはらみつつ哀感持った爽快感を生み出していきます。タイトなリフが展開されるミドルテンポの3はハードロックテイストを感じさせるポップさと憂いを帯びたメロディが一体となり、ハードなリフを刻む4は湿り気を帯びるキャッチーなメロディでスピード感を保ちながらコーラスで開放感を演出していきます。ドライブ感のあるリフで進む5はテルミンを導入してスペーシーでエモーショナルなムードを作り出していきます。ヴォーカリストの成長が伺えるパワーバラードの6から、テンションが上がってメタリックなリフが叙情性と爽快感が綯い交ぜになったコーラスへと突入していく、スリリングなギターソロも印象的な7、再び哀愁のメロディが響くバラードの8、ダイナミックなイントロから疾走する9は怪しげなムードを加えながら攻撃的に迫り高揚感も高まる一曲。扇情的なメロディがエモーショナルに炸裂していくアップテンポの10は求心力の強いキャッチーなコーラスと泣きのギターが印象的なコンパクトなナンバー。ボーナストラックの11はトゥイステッド・シスターのカバーでロックしています。 基本路線には変化無くクオリティを高めてみるアルバムは、プレイの安定感と爽快感が増したキャッチーさが目立つサウンドになっています。バラエティのある楽曲とバンドの結束力が生み出す充実感を楽しめるロックしている一枚です。 |
同系統アルバム ONE STEP BEYOND/DUNGEON HELLFIRE CLUB/EDGUY ENSLAVED/STEEL ATTACK |
TYRANNY OF SOULS/BRUCE DICKINSON |
ティラニー・オブ・ソウルズ/ブルース・ディッキンソン |
VICTOR VICP-63078 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アイアン・メイデンのヴォーカリストとして知られるブルース・ディッキンソンの6枚目のソロアルバムです。プロデュース&ギターは、すっかり常連のロイ・Zが参加しています。前作で見せた超絶オカルティックヘヴィエストメタルから、今作ではオーセンティックなへヴィメタルに振り戻ったダークながらも熱いサウンドを作り出しています。空気を暗黒と瘴気に染め上げる不気味なイントロダクションから、キレのあるギターリフがドライブしていくメタリックなファストナンバーの2はスリリングなロイ・Zのギターもドラマティックに盛り上げると、感情豊かな歌声が堪能できるダイナミックなミドルテンポの3へと、ベテランアーティストの円熟味と熱気あふれるプレイが炸裂します。ドラマティックに迫る4は情感高まる起伏の激しい曲、神秘的な宇宙観を提示する壮大さと叙情性が一体となったスパニッシュギターの調べも官能的なメロウナンバーの5、へヴィリフがセンチメンタルに転換していく6はテーマ的に5と対になるようなダイナミックなナンバー、再びメタリックなリフを刻む7はパワフルな劇的メタルナンバー。サザンロック的な乾いた空気が吹くエモーショナルな8、ミステリアスなイントロから暗い熱気が噴出していく緊迫したヘヴィナンバーの9、タイトルトラックはタイトなへヴィさとエモーショナルなヴォーカルが暗黒の翼を広げていく黒い劇的ナンバーです。ボーナストラックの11は哀愁に満ちたメロディが紡がれる感極まるエモーショナルな一曲です。 オカルティックな要素とSFな要素が交錯するあたりはイギリスらしさを感じさせるもので、多彩な才能を発揮するブルースの一面を窺わせるものになっていて、バンドでは表現しきれない哲学的ながらも衝動的なサウンドを作り出している、ブルース・ディッキンソンの魅力とブリティッシュメタルの伝統を再認識できる宇宙へと飛翔する一枚です。 |
同系統アルバム 'TAGE MAHAL/JON OLIVA'S PAIN TOOLS OF DESTRUCTION/THUNDERSTONE ANGEL OF RETRIBUTION/JUDAS PRIEST |
CONSPIRACY IN MIND/COMMUNIC |
コンスピラシー・イン・マインド/コミュニック |
MARQUEE MICP-10520 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ノルウェー出身の元スカリオットのメンバーが中心となって結成されたバンドのデビューアルバムです。スカリオットに在籍していた時にも追及していたサウンドは、独特のサウンドで欧州に基盤を築くネヴァーモアだったわけで、ここで聴かれるサウンドも予想に違わずその路線を継承しています。哀愁帯びたフラットなメロディを唄い上げていく煽情性の強いパワーヴォーカルは、かなりネヴァーモアを意識しているようですが、全体的にはあれほどアクの強くないマイルドな仕上がりになっています。凶悪な攻撃性よりは叙情性に比重を置いたサウンドは、ダークでメランコリックな世界観を生み出しており、テクニカルな展開を増やしてドラマをより多く積み重ねていきます。 ソリッドなプレイとエモーショナルなフィーリングを前面に押し出したサウンドが結びつく哀愁系漆黒メタルは、ヨーロッパの歴史の重みが紡ぐ闇を遺憾なく描き出しており、アメリカ出身のネヴァーモアの換骨奪胎と言えるかもしれません。北欧の哀愁漂うセンシティヴな感覚を楽しめる一枚です。 |
同系統アルバム DREAMNING NEON BLACK/NEVERMORE STRANGE TO NUMBERS/SCARIOT UNTIL THE END/KITTIE |
UNDOING RUIN/DARKEST HOUR |
アンドゥーイング・ルイン/ダーケスト・アワー |
VICTOR VICP-63076 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ワシントンDC出身のバンドの4枚目のアルバムです。デヴィン・タウンゼンドをプロデューサーに迎えて製作されています。浮遊感と叙情感が一つになったイントロダクションを経てセンチメンタルなメロディを引き連れたシャープなギターリフと静かなパートがダイナミックに展開されていく1から、感情をむき出しにしていくデスヴォイスが加わった、北欧メロディックデスメタルに影響を受けたドラマティックなサウンドが繰り広げられていきます。エモーショナルなムードで進む2はクリーンスタイルのヴォーカルと泣きのメロディも加わって扇情的に迫るミドルテンポのナンバー、ブルータルに疾走する3は狂乱のギターからスラッシーに切り刻む嵐のようなスピードナンバーで密度の濃い展開を見せていき、さらに畳み掛けつつスピード感を生み出すアップテンポから豊潤なメロディを湛えるミドルテンポに表情が移り変わっていく4はフラッシーなギターソロでクライマックスを迎えます。リリカルなアコースティックのインストゥルメンタルの5から、突進力のあるリフが唸りを上げていく激烈劇的ナンバーの6、さらにエモーショナルなエレクトロニカルなインストゥルメンタルで物語を形作っていきます。一転、暴虐性を露にする起伏の激しいブレイクの効いた8で叩きふせながら、さらに小気味良いリフでメロディックに突進するダイナミックな9は叙情性を高めた劇的ギターソロも印象的に進みます。ミドルテンポの10は叙情リフが幾重にも折り重ねられつつ感情を盛り上げていき、さらにスピードを上げた11は起伏も激しく叙情メロディックリフが組合されていくドラマティックな一曲で、マーチ風の物悲しいパートでエンディングを迎えます。 北欧メロディックデスメタルを再解釈したような、ドラマティックでエモーショナルなサウンドを作り出していくアルバムは、感情の起伏を忠実に刻み込んだ情念漲るものです。北欧メロデスの種子が海を渡ったアメリカ大陸で力強く花開いたメロディックデスメタルに忠実な完成度の高い一枚です。 |
同系統アルバム OF LOVE AND LUNACY/STILL REMAINS THE UNBORN/MORS PRINCIPIUM EST ASCENDANCY/TRIVIUM |
TOUCHED BY THE CRIMSON KING/DEMONS & WIZARDS |
TOUCHED BY THE CRIMSON KING/DEMONS & WIZARDS |
SPV 085-9949S [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フロリダ出身のアイスド・アースのギタリスト、ジョン・シェイファーとドイツのブラインド・ガーディアンのヴォーカリスト、ハンズィ・キアシュのパワーメタル・プロジェクト第二弾です。アイスド・アースの「NIGHT OF THE STORMRIDER」あたりを彷彿とさせる特徴的なオーケストラヒットとコーラス、さらにシャープなリフが一体となったオープニングから導かれる1はブラインド・ガーディアン仕込みの堂々としたメロディが乗った、二つのバンドのサウンドが歩み寄ったりしないのに親和性の高いコラボレーションを見せるスリリングなドラマティックナンバーで、今ではどちらのバンドもあまりやっていないスタイルを作り出します。哀愁帯びたメロディが刻まれるミドルテンポの2はギターソロもエモーショナルに刻むタフな曲、スラッシーなリフによって切り裂かれていく3は重層のヴォーカルラインによって盛り上がるメランコリックなスピードナンバーで、リフみたいなギターソロも聴けます。激しくアイスド・アース節が炸裂するパワーバラードの4もコーラスは幾重にも。静かでミステリアスなムードから一転疾走する5は切れ味鋭いリフが叩き込まれるダイナミックなナンバーで最近のアイスド・アースでもこんなに速くないなあと思い出します。リリカルなイントロからパワフルな歌唱とソリッドなリフを聴かせるミドルテンポの6は劇的コーラスとギターソロが哀愁を誘います。アコースティックギターの調べに乗せてブラインド・ガーディアン的なリリシズムが生み出されるバラードの7、メタリックなリフが威圧感たっぷりに迫る8はミステリアスなコーラスも加わって邪悪なムードを高めていく展開も複雑なシアトリカルナンバー。アコースティックギターから綴られる9は物悲しい空気に包み込まれるドラマティックバラードでかなりアイスド・アース。 10は今更感の強いレッド・ツェッペリンのカバーで、特に言うことは無いですが、リミテッドエディションはボーナストラックが4曲ばかり。 とてもヒロイックファンタジーなジャケットとは裏腹に、歌詞の題材はスティーブン・キングの「ガンスリンガー」シリーズだったりするハンズィの趣味が出ているアルバムですが、ベースになっているのはやっぱり緩急自在の曲展開のアイスド・アースなわけで、高揚感が高まるブラインド・ガーディアン分がアグレッションとかダークな空気で抑制されるシリアスなドラマティックメタルになってます。どちらのバンドのスタイルからも少しずつアイディアを出し合った、両バンドのファンの予想を裏切らない二人の自由な感じが伝わるアルバムで、サプライズはそんなに無いものの、両バンドのちょっと前のフィーリングを感じさせたりする安定した一枚です。 |
同系統アルバム SOMETHING WICKED THIS WAY COMES/ICED EARTH LIQUID MONSTER/BRAINSTORM 8 DEADLY SINS/MANTICORA |
OCTAVARIUM/DREAM THEATER |
オクタヴァリウム/ドリーム・シアター |
WARNER MUSIC JAPAN WPCR-12079 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ出身のプログレッシヴメタルバンドの8枚目のアルバムです。へヴィメタル色が強まった前作から、プログレッシヴな方向へ再び振り戻したアルバムは、前作のコンセプトを引き継ぐへヴィでアグレッシヴな1から、いつも通りにやってます。ヴォーカルのジェイムス・ラヴリエが遂にバンドのメンバーに!という訳では無いでしょうが、唄メロ含めたパフォーマンスは最高レベル。プログレ大家のオマージュを含めつつ様々な仕掛けや謎掛けを仕込んでいき、自由な発想でイメージを描き出していくアルバムは、彼らにとっては自然で受け手にしてみると普通にドリーム・シアターな一枚です。 |
同系統アルバム WALK IN MINDFIELDS/IVANHOE AWAKE/DREAM THEATER II=I/ANDROMEDA |
CIRCLE OF LIFE/FREEDOM CALL |
サークル・オブ・ライフ/フリーダム・コール |
KING RECORD KICP-1081 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツ出身のバンドの4枚目のアルバムです。キーボードが正式メンバーになっていますが、音楽性には変化はないようです。これまでとは少し異なるフィーリングの重厚なミドルテンポのナンバーの1でサプライズを与えているアルバムは、独特のハイトーンヴォーカルが歌い上げるソフトなメロディとドラマティックなコーラスはそのままに、よりメリハリのついたものになってます。続く彼らの十八番のポジティヴメロディとキャッチーなコーラスで軽快に進む飛翔感が心地よいアップテンポのナンバーの2で、いつものムードに戻ると続く3ではミステリアスなムードを高めつつタイトな印象を与えていきます。緊迫感高まるイントロからセンチメンタルなメロディを展開させていくアップテンポの4はダイナミックに、叙情的なメロディが羽ばたく5は情感が発露するメロディックナンバー。壮大なインストゥルメンタルからドラマティックにスピード感のあるリフが繰り出され畳み掛けるコーラスの波状攻撃を加えつつクライマックスへと雪崩れ込む7、哀愁帯びたメロディがへヴィに繰り出される8は緩急を付けつつ大胆なコーラスワークで勇壮に進みます。ウィスパースタイルのヴォーカルで始まる9は一気にテンションを上げて突っ走る緩急自在の劇的疾走ナンバーでオーディエンスも一丸必至のコーラスが印象的。奇妙なイントロから雄大さを感じさせるダイナミックなリフで進む10は湿ったメロディとのコントラストが印象的なスケール感の大きなドラマティックナンバー。ポップなメロディがへヴィなリフに乗って進む光に満ちたドラマティックな11、リリカルなイントロからセンチメンタルに迫る情感豊かなバラード的な展開から壮大でドラマティックな様相を見せていくタイトルトラック、そしてボーナストラックにはセカンドアルバム収録のバンド名を関した曲とファーストアルバム収録曲ののアコースティックバージョンが収録されています。 これまでの作品に比べると、明朗快活な曲ばかりではなくシリアスに陰のある曲も加えてアルバム全体でコントラストを付けている辺りに、新しい方向性を加えていこうとする意図を感じさせます。より練りこまれた楽曲の求心力が彼らの特徴的なメロディとの相乗効果によってドラマティックなメロディックメタルへと結実していくバンドの成長を伺わせた一枚です。 |
同系統アルバム LUXAETERNA/AQUARIA DIFFERENCE/DREAMTALE ILLUSIONS/ARWEN |
THE SPIRIT OF UKKO/KIUAS |
ザ・スピリット・オブ・ウッコ〜魂伝…/キウアス |
UNIVERSAL MUSIC UICO-1083 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドのデビューアルバムです。メロディックデスメタルのエキスを抽出したブラストビートとギターとキーボードによる叙情的なメロディが繰り出されるイントロから生み出されるのは、ドスの効いたダミ声ヴォーカルが力強く唄いあげていく攻撃的なパワーメタルです。ソリッドなリフとメロディが交錯していく1は清廉なコーラスがドラマティックに緩急激しく展開されていく突進力を持ったスピードナンバー、ソリッドなギターリフが詰め込まれていく2は派手な演出を加えるキーボードも一体となって突進していく聞き手を威嚇していく爆走ナンバーで熱気あふれるコーラスでさらにハイテンション。さらにダーティな歌唱でヴァイキングメタル的な荒くれ感を生み出すへヴィナンバーの3、ドラマティックスピードナンバーの4は攻撃的に突き進みつつ扇情的なコーラスへと帰結する激しい展開の曲で中盤のインストは少しブラインド・ガーディアンを彷彿とさせます。ミドルテンポの5は叙情的なメロディを中心にエモーショナルに迫るダイナミックな曲。雪原のSEからアコースティックなイントロを経て爆走する6はパワフルヴォーカルが全開のリリシズムとダイナミズムが融合していく壮絶な曲、リリカルなイントロからムードを引き継ぎつつ哀愁たっぷりに迫る7は起伏も激しく感情が爆発していく雄大なヘヴィナンバー。ストリングスの幽玄な響きに導かれる8はブラックメタル的な冷気も感じさせつつへヴィに進むミステリアスかつ哀愁たっぷりの曲、ボーナストラックの9は派手なキーボードに導かれる豪快疾走ナンバーです。 テクニカルに華麗なプレイを聴かせるギターにタイトなビートを刻むドラム、叙情感とドラマ性の演出に効果を発揮するキーボードと手法自体は同郷のチルドレン・オヴ・ボドムに近いものですが、北欧メロディックデスメタルを通過し吸収したサウンドは、骨太の展開を見せるパワーメタルに新たな血を加えていく力強さと勢いを感じさせるもので、この先のパワーメタルのスタンダードになりそうな予感さえ窺わせたり。表現の制約が少ないバラエティに富んだ曲作りが出来る強みが効果的に発揮されていけば、一躍メインストリームに躍り出そうなポテンシャルを秘めた期待の一枚です。 |
同系統アルバム OF HUMAN BONDAGE/ANGEL DUST HATE CREW DEATHROLL/CHILDREN OF BODOM DEATH UNLIMITED/NORTHER |
ANNIHILATION OF THE WICKED/NILE |
アナイアレイション・オブ・ザ・ウィケッド/ナイル |
RELAPSE RECORDS YSCY-1001 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ出身のバンドの4枚目のアルバムです。メンバー交替が色々あったようですがサウンドには影響が無い模様。かなり長いタイトルのアラビアンなインストゥルメンタルの1から始まるアルバムは、これまで通りエジプト神話をモチーフにした呪詛めいたドロドロなデスメタルをやってます。ブラストビートに圧殺される極悪で凶悪な2では衝動性と神秘性が混濁していくギターソロがドラマティックな側面を作り出し、邪神の凶暴性を描き出す3は突進力のあるリフが乱舞する大胆な起伏を持った狂乱の一曲。アラビア風イントロからへヴィに展開する4はドス黒いオーラが立ち上る高圧の長編。ザクザクしたリフが畳み掛けられる5はブルータルな側面を露にするアグレッシヴな曲、とんでもなく長いタイトルの6はテクニカルにリズムチェンジを繰り返しながら狂気に接近していく混沌とした曲、突進力の強まる7は威圧感を高めながら混乱のクライマックスへと。スーパーナチュラルな恐怖が迫りくる異形のインストゥルメンタルを経て、神秘性と凶暴性を高めながら突き進んでいくダイナミックなタイトルトラックへ。10はロバート・E・ハワードの作り出した“無名祭祀書”にインスパイアされた渾身の大作で、コズミックホラーな感触を持ったスケール感も大きく迫りくる禁断の知識。ボーナストラックはエスニックなムードが爆発するイントロからのブルータルナンバー。 独特の世界観を明確なビジョンで鮮明に映し出す暗黒神話は、さらに磨きを掛けられて孤高の域に達しそうな勢いの一枚に集約されていきます。それよりも驚きなのは歌詞よりも長編なまるでオカルト書のような曲解説を訳したことです。ラヴクラフト万歳、でもハワードを読むとしよう…。 |
同系統アルバム FATE OF NORNS/AMON AMARTH HERETIC/MORBID ANGEL SCULPTURE OF STONE/DIES IRAE |
PAPER BLOOD/ROYAL HUNT |
ペイパー・ブラッド/ロイヤル・ハント |
MARQUEE MICP-10516 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマーク出身のバンドの8枚目のアルバムです。メンバーの脱退が相次ぎ活動が不安視され始めたバンドですが、新たなギタリストと初期メンバーながら6枚目のアルバムを最後に体調の問題でバンドを離れていたケネス・オールセンが加わって製作されています。アーテンションで聴かれたジョン・ウェストのパフォーマンスがギリギリのところだったのは記憶に新しいですが、その回復ぶりに不安の残るアルバムは、荘厳さと不安感が合い混じったイントロダクションからの1で始まります。パワフルさが大分回復したように聞こえるヴォーカルの情感豊かな歌声がドラマティックに展開される煌びやかで叙情的なネオクラシカルワールドは、続くキャッチーなコーラスとへヴィネスが融合していく2で新たなギタリストの息吹も吹き込まれた、初期のダイナミズムを思わせる展開を見せていきます。哀愁帯びるメロディが心にしみる劇的インストゥルメンタルの3から、ネオクラシカルなイントロを経て繊細さと華麗さが交錯していくダイナミックな4はエモーショナルなコーラスで一気に盛り上げます。センチメンタルなイントロから哀愁のメロディを積み重ねるパワーバラードの5は扇情的なインストゥルメンタルが印象に残ります。緊迫感高まるソリッドなリフと華麗なキーボードが乱舞するインストゥルメンタルの6、アコースティックギターとピアノの優しい調べに導かれる7はブルージーなフィーリングも加わるソウルフルな曲、一転してシャープなリフワークがドライブする8は微妙にキャメロット風味を加えてみるドラマティックスピードナンバー。大胆な劇的イントロからエモーショナルに迫る9は雄大さと飛翔感を生み出しながら感情を爆発させていきます。へヴィリフとスリリングなネオクラシカルフレーズ、さらにブルージーなギターとテクニカルなドラムが有機的に絡み合うインストゥルメンタルの10、そしてボーナストラックは「PARADOX」収録の曲のアコースティックバージョンで、あ、やっちゃった? ジョン・ウェストのヴォーカルに多少の不安もあったのか、キーボードが縦横無尽に活躍し新人ギタリストの力量も確かなインストゥルメンタルパートを充実させてきたアルバムは、北欧の叙情性に満ちたメロディはそのままに、スリリングな感覚も増幅された劇的ネオクラシカルサウンドを作り出しています。バンドの危機をひとまず乗り越えたメンバーの結束を感じさせる彼らへの期待通りの一枚になっています。 |
同系統アルバム CHAINED/AT VANCE THEATRICAL MADNESS/EVIL MASQUERADE ILLUSIONS/ARWEN |
ROOM V/SHADOW GALLERY |
ルーム・V(ファイヴ)/シャドウ・ギャラリー |
MARQUEE MICP-10523 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ出身のバンドの5枚目のアルバムです。サードアルバム「TYRANNY」の続編となるコンセプトアルバムは、長い空白期間を一瞬で埋めるかのようなスリリングでドラマティックなインストゥルメンタルで幕を開けると、女性ヴォーカルとのデュエットも官能的に迫るセンチメンタルながらシャドウ・ギャラリー節満載のドラマティックラヴソングの2へと。一気にへヴィネスが増加する3はテクニカルプレイと開放感あふれる多重コーラスが炸裂し曲のムードが二転三転していくダイナミックなナンバー、ゆったりと流れるメロディが心地よい大河のような優雅さを持った大作の4、場面を一気に転換させるへヴィで緊迫した5から、不穏な空気が覆いかぶさるテクニカルな6へとインストゥルメンタルを二曲続けて、2のモチーフを使った小品の7でムードを和らげた後は、再びインストゥルメンタルの二連発。繊細なムードを持った8はリリカルな空気を運ぶファンタジックナンバー、9はショッキングなフレーズが黒い空気を導き、切ない感情があふれ出す物悲しい長編の10へと。ラウドなリフを響かせる11は緊張感高まる場面を描き出すハードアタックでプログレメタルなやっぱり長編の曲、センチメンタルなイントロからドラマティックに盛り上がる12、テクニカルにへヴィリフを刻む13はドラマティックに突き進み、エンディングの14で雄大さを保ちながら優雅に幕を閉じます。ボーナストラックの15はリリカルなメロディがコーラスと共に情感豊かに迫るコンパクトな佳曲。 緊迫感高まる構成力と優しいメロディのコラボレーションが生み出す、彼ら独自の世界は今作でも変わることなくオリジナルストーリーへと没入させてくれています。メタフィクション的な構造に変化したストーリーがサウンドと共鳴しながら劇的世界を作り出すアーティスティックな一枚です。 |
同系統アルバム WALK IN MINDFIELDS/IVANHOE AWAKE/DREAM THEATER II=I/ANDROMEDA |
■ | JulyARCH ENEMY | BIOMECHANICAL | THE BLACK DAHLIA MURDER | BRAINSTORM | DARKANE | NEVERMORE | OBITUARY | SENTENCED | |
DOOMSDAY MACHINE/ARCH ENEMY |
ドゥームズデイ・マシーン/アーク・エネミー |
TOYS FACTORY TFCK-87388 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの6枚目のアルバムです。このアルバムを最後にギタリストのクリストファー・アモットの脱退がアナウンスされておりアルバムの製作が危ぶまれましたが、ガス・Gなどの助けもあって無事完成へと漕ぎ着けています。エモーショナルなイントロダクションから始まるアルバムは、テクニカルにリフを刻みつつ、凶暴性にも説得力が増した女性デスヴォイスが咆哮する、メガデスのデイヴ・ムステインを彷彿とさせるスリリングなギターソロも加わったドラマティックな2を迎えます。切れ味鋭いギターリフで疾走する3はメロウなコーラスとメロディでムードを一変させる起伏の激しいナンバー。へヴィリフで圧迫感を高めていく4はうねりを加えながらドロドロした絶望感と情念を吐き出し、ダークなリフが物悲しさを呼び起こす5では苦痛に満ちるサウンドが迫ります。クランチーなリフで構成される6は疾走〜ブラストパートへ移って往年のスラッシュメタル的な雰囲気を生み出し、まるでアイアン・メイデンなギターソロへと。エスニックなイントロからパンテラ風のリフを聴かせる7は泣きのギターソロで昇華されていく奇妙な曲。このバンドで演奏する理由が希薄なプログレ臭の強いインストゥルメンタルの8を経て、不安感の高まるイントロから刺々しいリフが繰り出される9は威圧し恫喝しながら進むミドルテンポのナンバー。捕虜など一人も生かしておかないスリリングなリフを積み重ねる10はメロディアスなギターソロも加えたパワーメタリックな一曲。ダイナミックに展開していく11は扇情的なメロディを重ねつつドラマティックに収束していきます。 ボーナストラックにはライヴが二曲収録されています。 迫力は増して何となく様になってきたヴォーカルですが、やはりデスヴォイスとしても表情が乏しくて、とてもメガデスをやりたそうな音楽的に大きく幅を広げていくバックの演奏とのギャップがより激しくなっており、サウンドとしては互いに相殺しあっている感が強いです。もう普通に唄えるヴォーカルを入れて普通にヘヴィメタルをやった方が立ち位置がはっきりしてバンドの未来が開けるのではないかと思われますが、とりあえずヴォーカルをあまり気にしない人ならメタル的には楽しいフレーズ満載のアルバムになってます。 |
同系統アルバム CHARACTER/DARK TRANQUILLITY THE ARRIVAL/HYPOCRISY ENCLOSED/DREAMAKER |
THE EMPIRES OF THE WORLDS/BIOMECHANICAL |
ジ・エンパイアズ・オブ・ザ・ワールズ/バイオメカニカル |
SOUNDHOLIC TKCS-85125 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ギリシャ出身の元DECEPTOR、最近ではバランス・オブ・パワーにも参加していたジョン・Kがイギリスに渡って結成したバンドのセカンドアルバムです。冷気を伴ったオーケストラヒットも衝撃的にテクニカルなフレーズが暗黒舞踏を展開していきながら、ロブ・ハルフォードと元パンテラのフィル・アンセルモを足したようなパワー全開のヴォーカルが吼える壮絶な1から始まるアルバムは、パンテラ系の叩き込むリフとハイトーンスクリームを混濁させていくアグレッシヴな2へと。アジテーションヴォーカルと突進力の強いリフが組み合わさった緩急激しい怒涛のスピードナンバーの3、どんよりしたリフで展開する4はパンテラとクイーンズ・ライクが交錯してシンフォニックなキーボードアレンジも加わって予想も付かない方向へ向かうダイナミックな曲、情感たっぷりのヴォーカルが静と動のコントラストの激しいサウンドに乗せて歌い上げる5、オーケストレーションも加わって大仰に迫る6は細かいリフワークと変拍子を見せつつジューダス・プリースト風のサビも加わって突き進みます。ソリッドなリフでアグレッシヴに迫ったかと思えばエモーショナルなメロディで情感たっぷりに進む振幅が激しいドラマティックな7、ラッシュしていく8はブルータルなヴォーカルが一体となって圧倒していき混沌へと収束していく破壊力満点のナンバー、ミドルテンポの9はパンテラ系パートからブルース・ディッキンソンが顔を覗かせる起伏の激しい曲。壮絶なテクニカル疾走パートが暴虐的に暴走していく10は先鋭的な感覚を露にしていきます。11〜14は組曲形式になっており、冷気漂うオーケストレーション全開の目まぐるしく展開していく緊迫したインストゥルメンタルの11からナレーションの12を挟んで、清廉な合唱隊に導かれる13は緊張感高まる鋭角なパートから叙情的なパートを超えシアトリカルに展開していく高い構成力を見せ、さらにダイナミズムが強化されていく14はドライヴするリフが情念高めるヴォーカルとシンクロして情動的に突き進んでいきます。 ブルータル・プログレメタルと言う風な造語を作りたくなる、衝動性高まる混沌と秩序が攻守所を変えながら、縦横無尽に音を積み重ねていく凄絶なサウンドを作り出していくアルバムは新世代ヘヴィメタルとしての一つの突出したスタイルを提示しており、伝統を継承しつつも貪欲に様々な要素を食らい尽くす凶暴なものです。多彩な表情を見せるヴォーカルに変幻自在のインストゥルメンタルが生み出す濃密な音世界が味わえる期待の新星の一枚です。 |
同系統アルバム CRUST/SADIST WOUND CREATIONS/AMORAL CRITERIA FOR A BLACK WIDOW/ANNIHILATOR |
MIASMA/THE BLACK DAHLIA MURDER |
ミアズマ/ザ・ブラック・ダリア・マーダー |
METAL BLADE JAPAN MBCY-1042 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカはデトロイト出身のバンドのセカンドアルバムです。ドラマーが交替して製作されています。威圧感たっぷりのノイジーなリフが叙情性を蓄えていくイントロダクションから始まるアルバムは、エッジの効いたギターリフがクランチーに刻んでいき、炸裂系デスヴォイスとドスの効いた低音デスヴォイスが交錯するアグレッシヴな2で、北欧メロディックデスメタルの影響を感じさせるドラマ性の強いギターソロが加わったサウンドを展開させていきます。間髪入れずの3はダイナミックなリフが迫力を増しながら進行する凶悪さが際立つミドルテンポの曲、隙間無くメロディを孕んだリフが詰め込まれる4は突進力も凄まじく起伏の激しいブルータルナンバー、唸りを上げるリフの猛襲が叙情リフと変転しながら突き進む5、6はイーヴルなパートで情念深く展開します。畳み掛ける起伏の激しいリフがキレ味鋭く展開する7、爆発力のあるリフが一体となって迫るイントロからパワーメタリックにエッジのあるリフを刻み、リズムチェンジも激しいギターソロも正統派な8、ブラストビートで押し捲る9、躍動感のあるリフが蠢きながら突き進む突進ナンバーの10は雪崩のようなエンディングを迎えます。ボーナストラックの11はハードコアな爆裂ナンバーです。 すっかり初期北欧ブルータルデスメタルと化した作品ですが、爽快感すら感じさせる壮絶なスピード感と突進力は扇情性の強いギターソロと相まってダイナミックに楽曲を構成していきます。スタイルとしては一周して戻ってきた感もありますが、独自に消化された攻撃性と衝動性が先鋭的に磨き上げられた勢いのある一枚になってます。 |
同系統アルバム CHARACTER/DARK TRANQUILLITY THE FOREVER ENDEAVOR/ENFORSAKEN FORCE THE PACE/WITHERING SURFACE |
LIQUID MONSTER/BRAINSTORM |
リキッド・モンスター/ブレインストーム |
METAL BLADE JAPAN MBCY-1041 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツ出身のバンドの6枚目のアルバムです。とりあえず、CD部分はこの辺りを参照してもらうとして、日本盤の特典であるボーナスDVDについて書いてみよう。曲順という概念が正しいかどうか微妙なところですし、インターフェイスが何だか見たこと無いぞ。まあ表記どおりに紹介してみると、このアルバムからのビデオクリップ“ALL THOSE WORDS”ですが、炭鉱跡みたいな場所でドラマティックな楽曲をそりゃあもう熱気あふれるプレイを見せていますけど、女性コーラスとの絡みは残念ながら無いようです。前作からのビデオクリップはヘヴィナンバーの“HIGHS WITHOUT LOWS”場所は何も無い倉庫か?これはちょっとお金を掛けてない感じです、プレイの様子はよく分かるけど。さらに“DOORWAY TO SURVIVE”はライヴ前光景と野外ライヴ映像を組み合わせたもので、お子様も来ている会場は満員。さらに映像はヨーロッパ〜アメリカツアーの模様、ってホントにライヴ前とMCばっかりなんですけど、そして普通に観光客、日本の光景が無いのが残念。さらにアルバム製作現場の模様へと。まあ普通だ。そしてジューダス・プリーストの普通なカバーがオーディオのみで収録されています。 近いうちに日本に来ないかなあと、とりあえずヘッドバンギングしてみる一枚です。 |
同系統アルバム ENSLAVED/STEEL ATTACK THE GLORIOUS BURDEN/ICED EARTH 8 DEADLY SINS/MANTICORA |
LAYERS OF LIES/DARKANE |
LAYERS OF LIES/DARKANE |
NUCLEAR BLAST 1459-2 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの3年ぶりの4枚目のアルバムです。女性コーラスが導く厳粛な空気と透明感が不安感を持って迫るスケールの大きいイントロダクションから始まるアルバムは、これまでの路線を踏襲したアグレッションとアンビエントなムードが一体になったカオティックなへヴィメタルを作り出します。壮絶なドラミングと破壊力満点のギターリフが怒涛のように押し寄せる緩急自在の突撃デスラッシュな2は空間的なコーラスワークを盛り込んだダイナミックなナンバーで、叙情感たっぷりのギターソロもさらにパワーアップ。ソリッドなリフが隙間無く並べられていく3はパワーメタリックな感触も持ったもので、テクニカルなインストゥルメンタルも印象的。エモーショナルでへヴィなイントロから一転暴走状態で突っ走る4でも広がりのあるコーラスで空気を一変させていき、リリカルなイントロからの5はクランチーなリフで哀愁帯びた硬質なメロディが描き出され、北欧メロディックデスメタル的な劇的展開へと進んでいきます。ブルータルに突進していく6はヴォーカルの叫びとリフがシンクロしつつ迫力たっぷりに展開していくスラッシュナンバー、悲壮感に彩られるダークなインターミッションの7からトリッキーなギターリフが重ねられ威圧感たっぷりのコーラスへと結実する8、ドライヴしながら疾走する9はブレイクも効いたダイナミックなスピードナンバー、多彩なメロディとへヴィリフが変転していくインストゥルメンタルの10から、ダークなムードのイントロから畳み掛ける壮絶パートも邪悪に迫る凶暴性を前面に出した11、叙情リフがスラッシーに突進する12はメロディとブルータリティを交錯させながらシアトリカルに変貌していきつつ余韻も感じさせずに終わります。 これまでのサウンドを更に磨き上げて、哀愁ギターソロの象徴されるエモーショナルな面と激烈なリズム隊が支えるアグレッシヴな面のコントラストを強めたアルバムは、切れ味鋭いスピード感のあるリフワークも手伝ってスラッシュメタル的な印象も残る一気呵成の作品になっています。曲の構造も決めのコーラスワークの盛り上げ方も今までと殆ど変わらないものの、バンドも結束力が増したお陰か演出力が増して求心力と魅力が大きく向上している一枚です。 |
同系統アルバム THE FOREVER ENDEAVOR/ENFORSAKEN SYL/STRAPPING YOUNG LAD IRRADIANT/SCARVE |
THIS GODLESS ENDEAVOR/NEVERMORE |
THIS GODLESS ENDEAVOR/NEVERMORE |
CENTURY MEDIA [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ出身のバンドの6枚目のアルバムです。ギタリストにテスタメントなどで活動していたスティーヴ・スマイスを迎えて製作されています。デスメタル的なアグレッションを露にする混沌とした音像と悲壮感たっぷりのメロディを叩きつける激しい緩急を持った1から始まるアルバムは、新たに加入したギタリストのフラッシーなギタープレイも加わって、これまで以上にダイナミズムが強調された躍動的なサウンドを作り出しています。ミドルテンポの2はツインリードギターも濃密に迫るエモーショナルなナンバー、へヴィなイントロからスラッシーなリフとストロングなリフを交錯させながら突き進むソリッドな3ではスピード感の強いギターソロを刻み付けます。凶悪な圧迫感を持ったリフで聞き手を踏み潰すヘヴィナンバーの4、ピアノの不安な響きから狂おしい情念を注ぎ込む黒いドラマティックナンバーの5、シアトリカルなムードを持った暗黒童話の6、テクニカルなギタープレイを聴かせるミステリアスなインストゥルメンタルから暗く激情をぶつけるダイナミックな8へと。動的な衝動を持ったリフが蠢く中、エキゾチックなフレーズからのスリリングなギターソロが印象に残る9、アコースティックギターの調べが繊細なメロディを導く10はメタリックなパートへと一変して突破力を上げていくコントラストの強い曲で展開の激しさがプログレッシヴな感覚を生み出します。タイトルトラックは再びアコースティックギターからへヴィ&アンニュイなムードを高めつつソリッドなリフを畳み掛けていき、へヴィパートへと急転してからの展開は緊迫感も感情も最高潮にクライマックスを迎えます。 前身のサンクチュアリー時代から、サウンドイメージに連続性を持たせてきたバンドですが、情念を刻み付ける絶唱を聴かせるヴォーカルと圧倒的な存在感を放つへヴィネスが一体となった漆黒世界はそのままに、特徴的なプロデュースを見せるアンディ・スニープによって焼け爛れそうな毒気が中和されていくアルバムは、これまで作り上げてきたメロディ、楽曲のバリエーションという一面を持った、彼らのキャリアの一つの区切りとなるであろう集大成的なものになっています。新たな戦力の加入によって、更に扇情性と多様性を高めていくメロディに加え、攻撃的な鋭角さも研ぎ澄まされたサウンドが、物語性を強めながら聴き手の苦痛と懊悩にダイレクトにシンクロしていく感情の起伏を確実に浸透させていきます。既に完成の域に達している孤高のアルバムは、ある程度のキャッチーさも持ち合わせるバランスの取れたものになっており、バンドの魅力を充分に分かりやすく提示した高密度の一枚です。 |
同系統アルバム CONSPIRACY IN MIND/COMMUNICK ENEMY OF GOD/KREATOR 8 DEADLY SINS/MANTICORA |
FROZEN IN TIME/OBITUARY |
フローズン・イン・タイム/オビチュアリー |
ROADRUNNER JAPAN RRCY-21243 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フロリダ出身のベテラン・デスメタルバンドの6枚目のアルバムです。個々のメンバーの活動に熱心でバンド活動は休止状態でしたが、2004年に再始動してアルバムを製作しています。のたうつようなへヴィリフが蠢くイントロダクションから始まるアルバムは、バンド休止のブランクを感じさせないドロドロした感覚を保っており、バンドの特徴である混沌と呪詛めいたムード満点です。スピードアップした2は嘔吐系デスヴォイスが破裂する緩急の激しい曲でスピード感のあるギターソロが印象的です。初期のスタイルに近い圧迫感の強いグロテスクなヘヴィナンバーの3、へヴィリフが分厚いグルーヴ感を生み出していくミドルテンポの4、再びスピードを上げた5はシンプルなリフを連ねるアップテンポのナンバー、引き摺るようなへヴィリフがジリジリ迫るスローナンバーの6、ロックするビートがドライヴ感を生み出すヘヴィロックンロールな7、トライバルなリズムも登場する8は塊のようなリフがスローダウンしていき、邪悪さが溢れ出す9はスピードを変化させながらフラッシーなギターソロへと。スローテンポのイントロから厚みを増していき加速していく10はスラッシーな感覚も持ったダイナミックでカオティックな一曲。ボーナストラックは前作からのライヴ音源が二曲収録されています。 バンドの状態も良くなったアルバムは、自分達のサウンドを追及し新しい要素も少しづつ加えていきながらも、デスメタル以外では有り得ない代物を作り出します。現在進行形で蠢くデスメタルの重鎮の存在感を強くアピールする一枚です。 |
同系統アルバム ANNIHILATION OF THE WICKED/NILE HERETIC/MORBID ANGEL MERCENARY/BOLT THROWER |
THE FUNERAL ALBUM/SENTENCED |
ザ・フューネラル・アルバム/センテンスト |
MARQUEE MICP-10529 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの8枚目のアルバムです。バンドはこのアルバムを最後に解散を宣言しましたが、さて。解散が決まって何かが吹っ切れてしまったかのような躍動感と勢いのあるロックしてきた1から、扇情力の強いメロディが炸裂していくアルバムは、センチメンタルなメロディが押し寄せるミドルテンポの2、スローナンバーの3と情感豊かに歌い上げるざらついた声質のヴォーカルも相まって琴線に触れる情念が迸っていきます。繊細なメロディが幾重にも紡がれ感情を高めていくドラマティックな4、突然初期の凶暴性を思い出したかのような爆発的なインストゥルメンタルの5を超えて、ブルージーな雰囲気が漂うメランコリックな6は劇的なインストゥルメンタルパートで一気に盛り上げます。ソリッドなリフが悲壮なメロディと絡み合う7は怒りと悲しみが交錯するパワフルなメランコリックナンバーで清廉なコーラスもムードを高めます。締め付けるようなメロディが迫る8、9、10は彼らの本領発揮といったナンバーになっています。歌詞がインモラルな11はドライヴ感の強いナンバーで、泣きのメロディとタイトなリフが生み出すムードとのギャップが面白い曲になってます。アコースティックギターの悲壮な調べに導かれる13はアルバムの最後を飾る荘厳さと寂寥感を併せ持ったドラマティックな曲で、これまでの歩みを描き出すかのようにバンドを物悲しく送り出します。 ボーナストラックには興味深くはありますが、このアルバムにはあまり相応しくないライヴ音源が二曲収録されています。 より磨き上げられた叙情メロディと哀愁が去来する空気を生み出す手法は既に完成の域に達しており、最終章を飾るに相応しい完成度を持ったサウンドが展開されていきます。解散が本当に惜しまれる、デスメタルを経て遂にメランコリック・ヘヴィメタルの一つの頂点を極めたバンドの総決算の一枚です。 |
同系統アルバム TYRANNY OF SOULS/BRUCE DICKINSON BLOOD & BELIEF/BLAZE SCARS & WOUNDS/MACHINE MEN |
■ | AugustBLOOD STAIN CHILD | CHIMAIRA | DESTRUCTION | FALCONER | PAGANS MIND | STRATOVARIUS | TERROR 2000 | |
IDOLATOR/BLOOD STAIN CHILD |
アイドレイター/ブラッド・ステイン・チャイルド |
M&I COMPANY MYCP-30341 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?大阪出身のバンドの三枚目のアルバムです。浮遊感のあるイントロから繰り出される怒涛のメロディックリフの嵐に押し流されるアルバムは、クリーントーンのヴォーカルも導入してドラマティックさに輪をかけたメロディックデスメタル。テクノ風キーボードも彩りを添えつつ強烈な哀愁と叙情感を生み出しながら起伏も激しくスラッシーに突っ走る1から、強烈な感情を叩きつけながら突進する2はノーマルヴォイスも背景を固めつつ煽情性の高いコーラスで一気に盛り上げます。センチメンタルなピアノサウンドがブラストビートと共にドラマ性を作りだしていく3は情念の高まりとシンクロする壮絶さが印象的です。叙情リフが小気味よくドライヴしていく哀愁メロディが渦巻く4、ミドルテンポの5はニューウェーブ的な浮遊感を作り出しながら情念みなぎるヴォーカルが咆哮していくダイナミックなナンバー、再び疾走する6は流麗なメロディと華麗なキーボードを引っさげて頂点に向かって駆け上ります。スペーシーなキーボードサウンドからタイトなへヴィリフを繰り出していく7はミステリアスなムードを保ちながらウィスパーヴォーカル、女性コーラスなど絡めて悲壮な世界観を打ち出し、女性ソプラノの繊細な歌声と哀愁メロディに導かれる8はテクノビートが前面に押し出された新機軸のトランス・インストゥルメンタル。ミドル〜アップテンポの9は寂寥感漂うメロディが切々と唄われ感情が高まるエモーショナルな一曲、テクノ風フレーズな多彩な表情を見せるキーボードを絡めつつ疾走メロデスをやってのける10は透明感あふれる女性コーラスも挿入してドラマティックに突き進みます。叙情メロディが心にしみる11は透明感を持ったキーボードと一体になった劇的美旋律の海におぼれる繊細な曲。ボーナストラックはLUNA SEAのカバー。 チルドレン・オヴ・ボドムの影を払拭してイン・フレイムス的な現代性とダーク・トランキュリティーの叙情感を詰め込んだアルバムは、強力な求心力を持ったメロディを最大限に活かして、トランスサウンドでフットワークの軽さを演出していくドラマティックなものになっています。まだ、不安定ながらもノーマルヴォイスの導入で表現力を高め、幅広い手法を取り入れようとする意欲を感じさせる野心的な一枚です。 |
同系統アルバム OF LOVE AND LUNACY/STILL REMAINS THE UNBORN/MORS PRINCIPIUM EST ASCENDANCY/TRIVIUM |
CHIMAIRA/CHIMAIRA |
キマイラ/キマイラ |
ROADRUNNER RRCY-21248 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカはクリーヴランド出身のバンドのサードアルバムです。ドラムに元DYING FETUS、MISERY INDEXのケヴィン・タリーを迎えて製作されています。重量感たっぷりのダイナミックなリフに導かれるアルバムは、更にヘヴィメタル分を増して進んでいきます。デスヴォイスの咆哮も凄まじいアグレッションを前面に押し出す1は、ミステリアスなムードの中盤を経て威圧感たっぷりに迫り、不協和音系のギターソロで盛り上げます。不穏なイントロからクランチーなリフが繰り出されるアップテンポの2はアーク・エナミー張りの華麗なギターソロでドラマティックに。ザクザクしたリフを響かせながら黒いムードを生み出す3、ダークなリフが濃密な粘りを作り出していくエモーショナルなコーラスも聞かせる4、破壊力たっぷりの5は呪詛めいたインストが積み重ねられていく妖しいナンバー、トリッキーなギターと怪しいリフが交錯する起伏の激しい6、濃厚なへヴィリフが重ねられていく衝動的なスローナンバーの7、暗いメロディからソリッドなリフに繋ぐ8はタイトなビートを刻みつつエモーショナルなギターソロへ。唸りを上げるギターリフで押し捲る9はブレイクを効かせながら圧迫感を強めていき、マーチ風のエンディングを迎えます。威圧するリフが怒りを込めて繰り出されていく起伏の激しい10、ボーナストラックは弾むリフが衝動性を露にしていくミドルテンポのナンバーです。 過剰なエフェクトや装飾を取り去っていった結果、ピュアなブルータルメタルになってしまったアルバムですが、キャッチーさを捨て去ったそのストレートでシンプルな姿勢がメタル的には好感触に繋がっています。妖しげなギターソロにへヴィサウンドとじっくり煮詰めた曲展開が聴き手を圧倒していく、存在感を強く主張した一枚です。 |
同系統アルバム SCULPTURE OF STONE/DIES IRAE TRACES OF THE PAST/THE FORSAKEN BALLET OF THE BRUTE/HATESPHERE |
INVENTOR OF EVIL/DESTRUCTION |
インベーター・オブ・イーヴル/デストラクション |
KING RECORD KICP-1094 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ベテランジャーマンスラッシャーの9枚目のアルバムです。ドラマーを若手に代えて製作されています。スラッシュメタルの本流を貫く破壊力満点のサウンドで組み立てられるアルバムは、わきあがる不穏で邪悪ななイントロから始まる1から壮絶にクランチーなリフが叩き込まれ、吐き捨てヴォーカルが咆哮する起伏の激しいブレイクの効いた突進ナンバーが揃えられていきます。分厚いギターリフで圧殺していきつつロック感も生み出す2では印象的なギターソロも聴かせます。ダイナミックな3では、RAGEのピーヴィー・ワグナー、サクソンのビフ・バイフォード、ドロ・ペッシュ、元アイアン・メイデンのポール・ディアノ、キャンドルマスのメサイア・マコーリン、ディム・ボガーのシャグラット、ヒポクリシーのピーター・テクレン、ソイルワークのビヨーン・ストリッドなどヘヴィメタル界隈の錚錚たるメンバーを集めて大作に仕上げており、交友関係の広さを覗わせます。邪悪に突っ走る4、ミステリアスなムードでへヴィに迫る緩急も激しく緊迫感を生み出していく5、唸りを上げるソリッドなリフが積み重ねられていく6、躍動的なリフワークが熱く迫る7はオーセンティックなヘヴィメタル的な感触も持っています。ヘヴィナンバーの8はヒステリックなヴォーカルが叫ぶ中スピードを上げ下げしていきます。エキゾチックなムードも持った9は邪悪なムードが迫りくる高密度のミドルテンポのナンバー。タイトなビートで突き進むエンジン全開の10、11、リリカルなアコースティックギターのインストゥルメンタルから、ボーナストラックの13は「ETERNAL DEVASTATION」収録曲の2005年バージョン、さらに3のカラオケが収録されています。 徹頭徹尾スラッシュメタルをやってのけるアルバムは、剛球一直線に留まらない緻密な構成も持ったベテランらしい味わいを感じさせるもので、ヘヴィメタル的な醍醐味に満ちた迫力満点のものです。どこを切っても未だ衰えぬスラッシュ魂が炸裂していく余裕と力感がみなぎった充実の一枚になっています。 |
同系統アルバム RECLAIM THE BEAT/DEFLESHED IMPACT/DEW-SCENTED TERROR FOR SALE/TERROR 2000 |
GRIME VS.. GRANDEUR/FALCONER |
グライム・ヴァーサス・グランドール/ファルコナー |
METALBLADE MBCY-1043 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの4枚目のアルバムです。ギタリストとベーシストが交替して製作されています。ソリッドな音像のギターリフと粘っこいギターソロがマイナーメロディを連ねる中、野太いパワーヴォーカルが哀愁帯びた歌唱を聴かせる開放感と雄大さを持ったパワーメタリックでミドルテンポの1から、正統派ヘヴィメタルを一直にやってのけるアルバムは、ドライヴ感のあるリフとフォーク調のアイリッシュなメロディが結びつくアップテンポの2では中低音から高音までテンションをあげていくヴォーカルが高揚感を高め、ヘヴィナンバーの3はエモーショナルなヴォーカルが感情を高めていくダイナミックなナンバー、フォーク風メロディと勇壮さを保って迫る分厚いコーラスに導かれる4はスピードの上げ下げが強いコントラストを生みながらも小気味よく進んでいきます。フックのあるギターリフでオーセンティックにヘヴィメタルしていくアップテンポの5、へヴィリフに乗せて力強い歌声を聴かせるタイトな6、湿ったメロディのリフが積み重ねられていくパワーメタリックな7ではフォークロアな片鱗をうかがわせます。エキゾチックな空気も持ったダイナミックなリフに導かれる8は黒いグルーヴを生み出しながらスピードを上げていく熱気あふれる一曲。ジューダス・プリーストを彷彿とさせるリフワークに哀愁のメロディが加わった9はヴァイキングの息吹を感じさせながら尖ったコーラスへと。スピード感のあるリフとリリカルなメロディが交錯していくフォーク色の強まった場面展開も鮮やかな10、ボーナストラックの11はスタンダードなロックンロールナンバー。 バンドの生命線とも言える特徴的なフォークメロディが大分引っ込んでストロングスタイルなヘヴィメタル然としてきたアルバムですが、魅力的なフレーズも多く配置されているものの、全体としてはあまり冒険はしないスタンダードな楽曲が多く、キャッチーな唄メロと相まって伝統的と言うかブリティッシュな感触が強まっています。独特の個性が薄味になってしまったため、何だかおとなしくなってしまった印象が強いですが、パフォーマンス自体は安心して聴かせるものになっている手堅い一枚です。 |
同系統アルバム UNCHAINED/UNCHAINED TYRANNY OF SOULS/BRUCE DICKINSON LONG LOST PRIDE/IMAGINERY |
ENIGMATIC:CALLING/PAGANS MIND |
エニグマティック:コーリング/ペイガンズ・マインド |
MARQUEE MICP-10533 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ノルウェー出身のバンドの三枚目のアルバムです。ミステリアスでダイナミックなイントロダクションから繰り出されるへヴィメタリックなリフが次々積み重ねられていく1から、伸びやかなハイトーンヴォーカルが歌い上げる情熱的なメロディとテクニカルなプレイが融合していくプログレッシヴメタルが紡ぎだされていくアルバムは、緊張と弛緩を繰り返しながら強いドラマ性を生み出していくスケール感の大きい緻密なサウンドを繰り出していきます。スピードアップしてスペーシーな感覚を生み出していく2はドラマティックに開放と収縮を繰り返すスリリングなナンバー、ザクザクしたギターリフが鋭く迫る3はダークな色彩を生み出しながら情感豊かなヴォーカルが場面展開も激しくドラマを描き出していきます。空間的な優雅さを持つミドルテンポの4、カラフルなキーボードサウンドに導かれながら飛翔するインストゥルメンタルの5を経て、クランチーなリフを繰り出すダークな6はドラマティックに展開する上昇感が心地よい手の込んだ一曲。緊迫感たかまるイントロからシリアスなドラマを生み出していく7はスペーシーなムードを保った重層構造の曲。スリリングなギターリフが迫る8はテクニカルなプレイによって徐々に開放されていく感覚が味わえる劇的ナンバー。リリカルでスペーシーなインストをはさんで、哀愁のバラードの10、マーチ風のイントロからソリッドなギターリフを繰り出しつつドライヴしていく11は豊潤なメロディを湛えながら爽快なインストゥルメンタルを加えて二転三転してクライマックスに向けて突き進みます。 神秘主義に裏打ちされる歌詞世界を多彩なメロディと確かなテクニックで色鮮やかに現出させていく手法は、まさしくプログレッシヴメタルの真髄と言えるものです。へヴィネス、スピード、メロディ、テクニカル、ドラマティックと全方位に渡って隙の無いサウンドを作り出す様は、さながら万華鏡のような感覚を味あわせます。心地よいサウンドに満たされた圧倒的なテクニックとエモーションが生み出す至高のドラマが詰め込まれた完成度の高い一枚です。 |
同系統アルバム OCTAVARIUM/DREAM THEATER MISPLACED/DGM D'UN AUTRE SANG/MANIGANCE |
STRATOVARIUS/STRATOVARIUS |
ストラトヴァリウス(初回限定盤)/ストラトヴァリウス |
VICTOR VICP-63115 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの11枚目のアルバムです。バンドのリーダーであるティモ・トルキがヴォーカルとドラマーを解雇、さらに女性ヴォーカルを加入させて活動する、と宣言したのもつかの間、熱心なファンかは不明ながらも襲撃されるなどティモ・トルキは精神状態が不安定になって入院。その後、治療の甲斐あって平常心を取り戻したティモ・トルキは脱退したメンバーに頭を下げた結果、バンドは元の鞘に納まってアルバムが製作されています。ベーシストはツアー生活に疲れてアルバム完成後に脱退しています。後任はティモ・コティペルトと活動していたラウリ・ポラー。これまでと違った感触を持つソリッドでへヴィなシングルカットもされた1から始まるアルバムは、これまでの迷走状態を脱した安定したサウンドを作り出しており、バンド名を冠した意気込みを窺わせます。シリアスなメロディと躍動感みなぎるアップテンポの2でも前向きな姿勢を強く押し出そうとする意思に裏打ちされる力強さを生み出し、哀愁のメロディを紡ぐミドルテンポの3、暗いテーマを描き出すムーディーな4は感情を激しく吐き出していくオペラコーラスも加わったドラマティックな曲。キャッチーなメロディも伴って進むアップテンポの彼ららしい5、アドルフ・ヒトラーについて唄った6はテーマよりはキャッチーなメロディと重厚さを合わせ持ったヘヴィメタル然とした一曲。冬の寒風が心に染みるリリカルなバラードの7、スローナンバーの8はバンドの以前の状態を映し出すかのようなエモーショナルな曲、へヴィに迫る9は濃密なムードを保ったまま希望に満ちたエンディングを迎えていきます。 精神の混沌状態が如実に表れていた、まるでセラピー状態のサウンドは流石に鳴りを潜めて、世界には希望が残されていることを実感したかのようなポジティヴな感覚を背負った楽曲も揃えられているアルバムは、バンドとしての新たな領域に挑むものです。今までとは違う伝統的な手法を多く用いた楽曲には違う魅力が加わっており、これまでのサウンドにアクセントを与えていますが、長編となるとまだティモ・トルキの気分に左右されたりする躁鬱状態が少し感じられます。バンドとしてはとりあえず全力を出している作品は、このタイミングで製作しないと諸事情あって問題だったのかもしれませんが、メンバーが何だか各々遠慮がちになってしまったサウンドを、もう少し煮詰めた方が良くなったであろうちょっと惜しい一枚です。次回作は完全復活か? 初回限定版のビデオクリップには壊れる前のティモ・トルキの雄姿が。゜・(ノД`)・゜。 |
同系統アルバム TOOLS OF DESTRUCTION/THUNDERSTONE AERONAUTICS/MASTERPLAN CIRCLE OF LIFE/FREEDOM CALL |
TERROR FOR SALE/TERROR 2000 |
テラー・フォー・セール/テラー2000 |
SOUNDHOLIC TKCS-85126 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のソイルワークのヴォーカル、ダーケインのギタリスト、コンストラクデッドのドラマーが中心となったプロジェクト第三弾です。ツアーにも帯同したベーシストが専任として加入して製作されています。愚直にスラッシュメタルを作り続けてきたプロジェクトですが、凶悪なギターリフが猛烈に繰り出されていく1のイントロからこれまでと変わらぬ路線と一瞬思わせるも、かなり壊れたファニーな感覚もふんだんに盛り込んだ80年代スラッシュメタルの総決算とハードコア的な暴走を見せていきます。切れ味鋭いクランチーなギターリフは緩急も激しく隙間無く詰め込まれ、さらにLAメタルを思い起こさせるキャッチーなコーラスに外野のテキトーな合いの手が加わる躁状態のカオティックワールドは、さらにスピードアップしてメタルジャンキーを鼓舞する2で高速スキャットなど絡めつつぶち切れたメタル宣言。激烈暴走状態の3は緩急激しいセックス&ロックンロールなエンドレス・ファッカー。メタルヒーローを目指す爆走ナンバーの4はオペラティックな歌唱も見せつつラウドロックしていくダイナミックな一曲で、アナイアレイターからテスタメントまで一気に駆け抜けていきます。メタル業界やサタンもアル中もクソくらえなデスラッシャーの5、6、8、サイコキラーのマッドなポエムを唄うスラッシーな7はブラックメタル風コーラスが挿入されつつ、スキャットも異常に突っ走ります。ヤケクソ気味に暴走する9はイカれたコーラスパートが聴き手も巻き込む憤懣やるかたない一曲。同郷のバンドを鼻で笑いつつ爽快な疾走感を生み出すダイナミックな10はロブ・ハルフォードも冷や汗流れるハイトーンシャウトも聞かせつつ、何だか近所の事を歌ってドライヴしていく11は日記かよ!デスメタルをパロってんのか!?という咆哮と、どこで録音したんだよ!なデパートの日本語館内放送とかフリーキーな叫びが爆音に乗って暴走するフュージョンみたいなフレーズも飛び出すインストゥルメンタルの12、さらにボーナストラックの13は妄想歌詞が脇目も振らず疾走していくぶっ壊れた曲です。 メインのバンドに余程ストレスを感じているのかどうかは不明ですが、そこら辺のムカツク事象に問答無用で唾を吐きかけていくクソッタレなアティテュードが全編を支配するアルバムは、とりあえずスピードを落とした曲なぞ全くない、アナーキーな代物です。サウンド的にはデスヴォイスからオペラヴォイスまで多彩な表現を見せるヴォーカルを筆頭に自分達のバンドの方も真っ青な壮絶なリフワークに変幻自在のギターソロ、さらに凶悪なドラミングと異常なクオリティになっていますが、所々に配されるキャッチーなコーラスやクソ真面目な歌唱が唄っている対象をコケにする意図しかないのが、ある意味爽快。 メンバー全員のどこかの箍が外れた極悪で一気呵成に突き進む作品は、皮肉と嘲笑と憤怒と鬱屈が弾け飛び、トラッシュな衝動性が先の見えないハイウェイを爆走していく痛快な一ままままーままーまままーまー |
同系統アルバム METAL DISCHARGE/DESTRUCTION RESTLESS & DEAD/WITCHERY CITY/STRAPPING YOUNG LAD |
■ | SeptemberAFTER FOREVER | CHILDREN OF BODOM | DIVINEFIRE | EDGUY | GAMMA RAY | NOCTURNAL RITES | SAVAGE CIRCUS | SKYLARK | WARMEN | |
REMAGINE/AFTER FOREVER |
リマジン/アフター・フォーエヴァー |
MARQUEE MICP-10539 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のバンドの4枚目のアルバムです。荘厳なコーラスを伴ったイントロから緊迫感あふれる空気が現出するアルバムは、メタリックなリフと力強い歌声とオペラティックな歌唱を合わせ持った官能的な女性ヴォーカルが絡み合い、合唱隊と楽器隊が一体になってドラマティックに雪崩れ込む2へと進んでいきます。哀愁のメロディがキュートに迫る3はオペラティックなヴォーカルがナイトウィッシュを彷彿とさせるミドルテンポの曲。合唱隊に導かれる4はアップテンポのビートに乗ってデスヴォイスと交錯しながら進むメタリックでスリリングなナンバーで切れ込む女性ヴォーカルが強いダイナミズムを生み出します。叙情的なメロディが全編を包む5は女性ヴォーカルが感情豊かに歌い上げる場面転換の激しいダイナミックなナンバー、へヴィでダークかつ邪悪なムードが女性ヴォーカルによって切り開かれていく美醜のコントラストの強い6、緊迫感あるギターリフとキーボードが突進していくアップテンポの7はキャッチーなメロディと劇的コーラスの転換が心地よい一曲。ゴシックな感覚がスペーシーな空気と結びつく8はダークファンタジーな劇的へヴィナンバーでデスヴォイスや合唱隊が加わって二転三転する大作に仕上がっています。優しいメロディに包まれるリリカルな9、ミステリアスなムードが硬質なサウンドで固められていく10はシアトリカルなヴォーカルパフォーマンスが加わって変則的な邪悪さを醸し出します。オーケストラヒットも高らかにクランチーなリフで突進するシンフォニックデスメタル風なパートとプログレハードなパートが交錯する11、ドラマティックなイントロから男女ヴォーカルの掛け合いによってエキゾティックに悲劇が描かれる12でアルバムは幕を閉じます。 色彩豊かなキーボードサウンドと変わらないメタリックな感覚が神秘的でドラマティックな世界を生み出していくアルバムは、スケール感の大きい派手な展開が自信をつけたバンドの意気込みを表すかのような力強いものになっています。メタリックなところからメルヘンなところまで、作風の広さの強みをかなり活かしたバラエティに富んだ一枚です。 |
同系統アルバム CONSIGN TO OBLIVION/EPICA COMALIES/LACUNA COIL ONCE/NIGHTWISH |
ARE YOU DEAD YET?/CHILDREN OF BODOM |
アー・ユー・デッド・イェット?/チルドレン・オブ・ボドム |
UNIVERSAL MUSIC UICO-1086 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの5枚目のアルバムです。ツアーに参加していたシナジーのメンバーでもあるローペ・ラトヴァラが正式に加入して製作されています。ダイナミックなリフワークと合いの手コーラスも加えた、骨太の姿勢を前面に出したミドルテンポの1から、かなりアメリカの市場を意識したサウンドが展開されていくわけですが、やっぱり思い切りよく弾かずにはいられないギターソロと、己の道をまい進する華麗なネオクラキーボードがフィンランドの大地の息吹をあふれ出したりしなかったり。スピードが上がりそうで上がらないへヴィロックなタイトルトラックはテンションが今までほどには高まりきらない感じで、曲名がメガデスなのでスリップノットとメガデスを掛け合わせてみたアグレッシヴな3はスリリングなインストゥルメンタルが今までのサウンドを彷彿とさせたりします。へヴィに迫る4は北欧の地の荒涼感を生み出し、何だかアナイアレイターにもこんな曲があったなあと思ったりする5は飾り気の無いストレートなスピードナンバー。アップテンポからミドルテンポに変化しながら、キラキラキーボード&ギターが場を乱す今までに近い曲調の6、クサメロでスピードを変えつつドライヴしていく7、ダークなムードで突進する8はシングルカットされた一曲。叙情メロディがタイトなビートに乗って荒々しく進む9、ボーナストラックはブリトニー・スピアーズの・し・ょ・う・げ・き・てきなカバーとポイズン。 ブルータルでへヴィなスタイルが、アメリカでも飽和状態のメタルコアあたりからの影響の発露なのは明らかですが、やりすぎなギター&キーボードソロがアメリカナイズされてたまるかと言う意志の表れなのか、体に染み付いてどうしても抜けきらないのかは微妙なところです。ネオクラシカルでデスメタルと言う衝撃的なアイデアを引っさげて現れたバンドにしては、このスタイルの変化はアイデアとしては新鮮味に欠けるし、後半にしたがって地が出てきてしまうのがかなり中途半端な印象を与えます。曲のある程度の品質は保っているので、そこかしこに聴き所も見つけられなくはありませんが、オーケストラヒットをかなり抑制されてしまったキーボードの人が脱退しないか心配になってしまう、アメリカ大陸に手を掛けてみたものの身体が北の大地に残ってしまっている一枚です。 |
同系統アルバム STABBING THE DRAMA/SOILWORK DOOMSDAY MACHINE/ARCH ENEMY ASCENDANCY/TRIVIUM |
HERO/DIVINEFIRE |
ヒーロー/ディヴァインファイア |
KING RECORD KICP-1097 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドのセカンドアルバムです。暗黒と深遠な空気に満たされる荘厳なイントロダクションの1から始まるアルバムは、デスヴォイスもアクセントに使いながらドラマティックに楽曲を組み立ていく手法もそのままに、激しく襲い来る攻撃的なスピードナンバーの2へとシンフォニックな演出全開で突き進んでいきます。華麗なキーボードに導かれる3は優雅に哀愁メロディを連ねつつアグレッシヴかつ劇的な展開を見せるアップテンポの曲、メタリックなリフでスピードアップしていく4は苦悩と懊悩が交錯する躍動的でシリアスなナンバー、へヴィリフが悲哀と決意を描き出すダイナミックな5、ドラマティックなイントロからスリリングなフレーズを重ねながら進む6、暗いメロディを閉じ込めるスピード感のある7、ブラックメタル的な迫力のあるイントロからソリッドなリフで突進する8は悲劇的なムードが展開されます。バンド名を冠した9はストロングスタイルのリフがパワフルに繰り出されていくミドルテンポのナンバー。女性ヴォーカルが参加したボーナストラックの10はクイーンのカバー。 シンフォニックなサウンドの華やかさが全体を覆う闇によって押し込められていくアルバムは前作の分かりやすさが多少減退して楽曲自体は地味と言うか渋めのものになっています。サウンドの素材からイメージされるよりも遥に物悲しい夜の物語を描き出していきつつ、メロディックデスメタル的な暗さが、浮かび上がろうとする高揚感を別の方向へとシフトさせる少し鬱屈した印象の残る一枚になってます。 |
同系統アルバム THE BLACK HALO/KAMELOT HEART & ANGER/SECRET SPHERE WINTERSUN/WINTERSUN |
SUPERHEROES/EDGUY |
スーパーヒーローズ/エドガイ |
MARQUEE MICP-10537 [MINI] >>>>>BUY...?ドイツ出身のバンドの2006年に発表予定の7thフルアルバムからの先行ミニアルバムです。ほのかな哀愁とグルーヴ感が一体になって迫るタイトルトラックは、これまでの流れを踏襲するミドルテンポのナンバーで、すっかり風格が出てきた劇的な演出も効果的な一曲。続く2はアップテンポで軽快に突っ走るロックナンバーで、強力なドライヴ感と明朗なコーラスが高揚感をもたらします。メランコリーなバラードの3を挟んで、トビアス・サメットのソロアルバムに続いて、最近ではロック畑に戻りつつあるマイケル・キスクを再び担ぎ出した4は、クイーン風コーラスも飛び出す起伏も激しいハイテンションの展開でクライマックスへとなだれ込みます。他には英国のマグナムのカバーの5、1の別の魅力を見せるアコースティックバージョンの6が収録されています。 既にジャーマンメタル界隈では二番手くらいに付けているバンドですが、エンターテイメントしていくロックな感覚を更に強めてメジャーな貫禄もすっかり身に付いたようです。次のアルバムも堂々としたロック大作になることが予想されそうな期待感いっぱいの一枚です。 |
同系統アルバム CIRCLE OF LIFE/FREEDOM CALL MAJESTIC/GAMMA RAY DIFFERENCE/DREAMTALE |
MAJESTIC/GAMMA RAY |
マジェスティック/ガンマ・レイ |
VICTOR VICP-63135 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンメロディックメタルの開祖、カイ・ハンセン率いるガンマ・レイの8枚目のアルバムですアーライ!突進する躍動的なリフが繰り出されていくパワーメタル一徹の1から古典ヘヴィメタルを解釈しつつドラマティックに仕上げていくメタルマイスターなアルバムは、カイ・ハンセンの楽曲よりもガンマ・レイなアップテンポでキャッチーなコーラスが切迫感と開放感を生み出す2、ミドルテンポで哀愁のメロディを浪々と歌い上げるパートから一転スリリングに展開する起伏の激しい3、キレのあるリフで疾走する4はジューダス・プリーストの血脈を受け継ぐ華麗なギターソロも興奮のメタリックナンバー。コーラスを重ねるドラマティックなイントロから堂々と突き進むミドルテンポの5はアイアン・メイデン風のパートを挟んで一気に盛り上げていきます。へヴィリフがグルーヴィに展開されていく6は助走を付けてどこかで聴いたようなコーラスへとジャンプします。湿ったメロディとタイトな展開からやっぱりプリーストしてしまいつつもギターソロが彼ららしい7、さらにルーツを遡ってみる8はレインボー風のエキゾティックなリフからちょっと“キル・ザ・キング”してみる妖しげな曲。キラキラメロディで迫る9はキャッチーなコーラスも印象的なポップナンバー。ネオクラシカルなイントロからの大作の10は合唱団の緊張感高まるコーラスに導かれるドラマティックな曲で、上昇感の強まるクワイアや緻密なギターソロも加わってクライマックスへと。ボーナストラックの11は何だかとっても“ラピッド・ファイア”みたいに“エキサイター” 慣れ親しんだ伝統的フレーズと爽快さが混濁しながら突き進んでいくサウンドは、気付いてみると他には何だかいなくなってしまった、独特の手法と言っていいかもしれないガンマ・レイ節が炸裂するものになっていて、もう何が新しくてオリジナルなのかどうでもよくなってきた世界が広がります。良いフレーズはどこで誰が使ってもいいんだ!と言う強い主張があるかどうかは定かではありませんが、もう聴いている瞬間さえ心地よければ良いだろうな一枚です。 |
同系統アルバム GRIME VS.. GRANDEUR/FALCONER HELLFIRE CLUB/EDGUY DUST TO DUST/HEAVENLY |
GRAND ILLUSION/NOCTURNAL RITES |
グランド・イリュージョン/ノクターナル・ライツ |
VICTOR VICP-63163 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの7枚目のアルバムです。少々とっつきの良くないエモーショナルながらもへヴィなミドルテンポのナンバーで幕を開けるアルバムは、一抹の不安を感じさせながらも続く2から哀愁漂う叙情メロディックメタルが連ねられていきます。スピードが上がりそうなイントロがちょっと罪作りな湿ったコーラスもドラマティックな2、うねるメロディがソリッドなリフに乗って進む3はキャッチーなコーラスが印象的。攻撃的なへヴィリフの4は情感が開放されていくサビが官能的に迫り、ダークなムードが哀愁のコーラスから飛翔するミドルテンポの5、エキゾティックなムードで進む6はデスヴォイスも加わった毛色の変わった神秘的なへヴィナンバーで、壮大さを伴ったヴォーカルとテクニカルなプレイがドラマティックな展開をリードします。熱唱するヴォーカルを前面に押し出した7は叙情感たっぷりのシリアスなメロディックナンバー。へヴィリフが躍動的に刻まれる8はアップテンポの飛翔感を持った叙情ナンバー。センチメンタルなメロディがパワフルに歌い上げられる9、重厚なムードを持った10はスケール感の大きいドラマティックな展開を見せていきます。ボーナストラックはダイナミックなリフが炸裂し情感高まるヘヴィナンバーの11とオーセンティックなメタルリフが力強いコーラスへと進む正統派メタルな12が収録されています。 泣きを内包するパワフルヴォーカルの魅力を最大限に発揮するアルバムは、北欧ならではの豊潤なメロディと硬質なサウンドを詰め込んだ高品質のメロディックメタルを形作っており、派手さには欠けるものの味わい深い手堅い一枚になってます。すっかり安心のブランドになったバンドの地力を感じさせる安定した作品です。 |
同系統アルバム FREEMAN/LABYRINTH AERONAUTICS/MASTERPLAN PAPER BLOOD/ROYAL HUNT |
DREAMLAND MANOR/SAVAGE CIRCUS |
ドリームランド・マナー/サヴェージ・サーカス |
MARQUEE MICP-10530 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?元ブラインド・ガーディアンのドラマー、トーメン・スタッシュが新たに結成したバンドのファーストアルバムです。ヴォーカルとギタリストにはスウェーデンのパースエーダーの二人、そしてプロデュースも担当したアイアン・セイヴィアーのピート・シールクが加わっています。最初から強烈なビートと強靭なギターリフが嵐のように繰り出されていく1から、強力なパワーメタルサウンドが生み出されていくアルバムは、焦燥感と掻痒感高まるギターフレーズや分厚いクワイアなど、ヴォーカルの声質もハンズィ・キアシュそっくりと、これはパースエーダーでも同じですが、初期ブラインド・ガーディアンの息吹を受け継ぐ要素が満載です。哀愁帯びたメロディを積み重ねながら突き進む2では、リズムチェンジからの展開やギターソロが期待に応えるドラマティックさを見せ付けます。ダークファンタジーな感覚が強まるイントロからの3はフォークロアなムードが前面に押し出されたミドルテンポのダイナミックな曲、リリカルながらも雄々しいメロディが展開されるイントロからの4はパワフルなヴォーカルラインが伝統的なジャーマンメタル風な劇的ナンバー。勇ましいイントロから期待感を高めつつ突進していく5は哀メロが唸りを上げて暴走していきます。リリカルなムードが全編を包むファンタジックな哀愁ナンバーの6、ソリッドなリフが叩き込まれていく7は攻撃的に突っ走るパワーメタリックな一曲、不穏な空気が蠢くイントロからダークな空気が醸造されていく長尺のインストもミステリアスなミドルテンポの8、切迫感たかまるメロディから激しく疾走する9はテンション高まる求心力の強いスピードナンバー、ボーナストラックの10は何だかお経みたいなパンクロックのカバーです。 1/4は間違いなくブラインド・ガーディアンそのもののサウンドが作り出されているアルバムはコピーと言うよりも、本家に対する分家、もしくは“if”のブラインド・ガーディアンと言った代物で、現在の本家の方向性に釈然としない向きには喝采の一枚です。色々なものを詰め込みたかったのか割と長めの曲が多く、アルバムの後半になるにしたがって、アイアン・セイヴィアー〜ピート・シールク色もかなり強く出てくるのですが、ギターフレーズの細かいところがかなり分析されていて、ブラインド・ガーディアンらしさとは何かが改めて提示されていると同時に、本家がこの路線を選択しなかった理由も分かってくる気がする、それでもパワーメタルって良いなあと思わせる作品になってます。 |
同系統アルバム EVOLUTION PURGATORY/PERSUADER IMAGINATIONS FROM THE OTHER SIDE/BLIND GUARDIAN BATTERING RAM/IRON SAVIOR |
FAIRYTALES/SKYLARK |
フェアリーテイルズ/スカイラーク |
SOUNDHOLIC TKCS-85128 [☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドの7枚目のアルバムです。女性ヴォーカル主体のサウンドを目指した結果。ドラマーが脱退しています。えー、日本のファンが生暖かく見守って愛してきたスカイラークが終焉を迎えたことが明らかになってしまったアルバムですが、どうしてこんな事になってしまったのでしょう?ハードロック寄りにシフトしたバンドの方向の変化も要素の一つですが、やはり最大の要因は今作では全編に渡って歌声を披露しているモデル兼業のキアラ嬢でしょう。キアラ嬢をどうにかして使いたいという方向性はサウンド全体のレベルを大幅に引き下げる結果を生み出し、更にそれに輪をかけたのが素人に毛の生えた程度の歌唱力。普通の曲だった「DIVINE GATES PART II -GATE OF HEAVEN-」からのリマスターのボーナストラックが素晴らしく聴こえるようでは、後のぬるま湯加減も極まった楽曲は推して知るべし。今後発展する見込みが全く無い上に自身のパートにまで注文をつけられるとあってはドラマーが愛想を尽かすのもむべなるかな。それでも売れたいという執着は残っているのか、あざとさの垣間見える日本向けのボーナストラックやキアラ嬢のトレーディングカードを付けるに至っては失笑するしかありません。 バンドは一体誰のものなのか。今までのサウンドは中心人物のエディ・アントニーニのみで培われたものではなかったはず。ここまでの事をやるのであれば、バンドを解散して新たなる道を模索するのが、これまでのファンに対する誠意ではないでしょうか。 ともあれ今までの功績も失われ、この針の筵に座らされるような絶望的な状況の中、これまでにも増して力強いパフォーマンスを見せてくれたオリジナルヴォーカリスト、ファビオ・ドッゾに敬意を表してたった一つだけ星を残させていただきます。 |
同系統アルバム SHADOW OF THE MOON/BLACKMORE'S NIGHT LADY MACBETH/LANA LANE SHINE/EDENBRIDGE |
ACCEPT THE FACT/WARMEN |
アクセプト・ザ・ファクト/ウォーメン |
UNIVERSAL MUSIC UICO-1087 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のチルドレン・オブ・ボドムのキーボーディスト、ヤンネ・ウォーマンの三枚目のソロアルバムです。流麗なキーボードの華麗な調べがネオクラワールドを現出させていくテクニックとエモーションが交錯したインストゥルメンタルからアルバムは、ストラトヴァリウスのティモ・コティペルトが歌声を披露するミドルテンポのメロディックナンバーの2は哀愁メロディが満載のセンチメンタルな感覚が現在の本家よりも様になってます。キラキラ感と渋めのヴォーカルが織り成すエモーショナルナンバーの3、チルボド&ストラト風味のスリリングなインストゥルメンタルの4を経て、同郷のフィンランドのポップバンドの女性ヴォーカルが唄うバラードの5、再びティモ・コティペルトが唄う6はへヴィな感触とプログレメタル的な展開を見せます。邪悪なイントロからの7は夢幻的なムードを湛えたスローナンバー。ベタベタ展開が心地よいネオクラ全開のインストゥルメンタルの8、チルドレン・オブ・ボドムのアレキシ・ライホが唄う80年代ヒットナンバーの9、へヴィでミステリアスな10ではラルフ・サントーラがギターで参加しています。 肩肘張らずにリラックスしたサウンドを聴かせるアルバムは、自由なフィーリングとアイディアを詰め込んだバラエティに富んだもので、ヤンネ・ウォーマンの趣味がよく分かるものになってます。鋭角さが減ってマイルド感が強まったため、耳に馴染みやすいもののちょっと食い足りない気がする一枚です。 |
同系統アルバム STRATOVARIUS/STRATOVARIUS FUTURE WORLD/ARTENSION RECKONIG NIGHT/SONATA ARCTICA |
■ | OctoberANNIHILATOR | GOD FORBID | HATESPHERE | HEED | HELLFUELED | HELLOWEEN | MACHINE MEN | NEVERMORE | PRIMAL FEAR | ROADRUNNER UNITED | U.D.O. | WITHIN TEMPTATION | |
SCHIZO DELUXE/ANNIHILATOR |
スキッツォ・デラックス/アナイアレイター |
MARQUEE MICP-10550 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?すっかり、ジェフ・ウォーターズのソロプロジェクトと化して久しい、カナダ出身のバンドの11枚目のアルバムです。アートワークがやたらと素敵なアルバムは、テレビをザッピングしているSEから始まる最近のメタルっぽいモダンへヴィネスでミドルテンポな1で、何だか微妙に期待も膨らまないところですが、“KING OF THE KILL”あたりを彷彿とさせるリフからテクニカルなギターが荒れ狂う予想も付かない展開が炸裂する変態スラッシャーな2で溜飲を下げると、トリッキーなリフで弾むビートを作り出しながら進む3はアジテイトしていくヴォーカルも手伝って硬質な印象を与え、テクニカルなギターソロで盛り上げます。ムーンクレスタっぽいゲームプレイ中のSEからクランチーなで圧迫感の強いリフを経てアナイアレイター節なヴォーカルライン〜崩れ落ちるようなインストゥルメンタルから意外な展開を見せていくシアトリカルに特攻していく曲。テクニカルなリフが炸裂するスピードナンバーの5はジェフ・ウォーターズ節が満載な上にテンションの高い掛け声が加わって変態度を増しながらもアイアン・メイデン由来の伝統的パートで意表を突くパラノイアな曲でアナイアレイター万歳。テスタメントに何だか似ているへヴィでグルーヴィな6でもメロディアスなギターソロを詰め込んで、怪しさ炸裂のイントロから高速リフが刻み込まれる7は哀愁帯びたキャッチーなコーラスを持ったスラッシーな曲でメタリカ風ヴォーカルで更にスピードアップ。へヴィリフが小気味よいビートに乗って進む8はギターの叙情フレーズも加わったドライヴ感の強い曲でヴォーカルはジェフ・ウォーターズ自身が担当しています。ミステリアスなイントロから場面を二転三転させていくシアトリカルな9はサイコな主人公が懊悩する彼らの描いてきたこれまでのストーリーに連なる曲。ザクザクしたへヴィリフとデスヴォイス風のヴォーカルが圧迫感を高める10はムーディなパートもあったりで多彩な表情を見せていきます。ボーナストラックは前作のシングル収録の超高速ナンバーの11に、かなりレアな気がするデモバージョンが3曲収められています。 初期のテイストと、ここ最近のモダンな雰囲気が何となく組み合わさった、何でもありなアナイアレイターに相応しい混沌とした構造を持ったアルバムは、ジェフ・ウォーターズの自由な発想を好き勝手に表現してみたサービス精神たっぷりの盛り沢山の一枚です。ヴォーカリストの力はあんまり発揮されてはいなかったりしますが、あとはバラードとかポップなナンバーがあれば完璧な気がする彼ららしい派茶目茶な作品でした。 |
同系統アルバム TERROR FOR SALE/TERROR 2000 THE ART OF DYING/DEATH ANGEL WOUND CREATIONS/AMORAL |
IV: CONSTITUTION OF TREASON/GOD FORBID |
IV:コンスティテューション・オブ・トゥリーズン/ゴッド・フォービド |
TOY'S FACTORY TFCK-87398 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ニュージャージー出身のバンドの4枚目のアルバムです。元々ハードコア畑のバンドでしたが、昨今の北欧メロディックデスメタルに影響を受けたサウンドに変わって来た模様です。タイトでラウドなギターリフでグイグイ押し込んでくる力強さとデスヴォイスの咆哮がハードコアの空気を呼び起こしつつ、切り返しの激しいダイナミックな展開とメロディアスなギターソロがメタルコア的な感覚に収束していく1から、直線的な攻撃性と叙情性のコントラストが一層際立つサウンドを展開させていくアルバムは、情感豊かにメロディが重ねられていくミドルテンポの2、アグレッシヴに突進する3は起伏も激しく妖しいギターソロへと突入していくソリッドな曲。叙情的なメロディのリフが積み重ねられていく4は凶悪なヴォーカルがムードを変えていきノーマルヴォイスのコーラスへと雪崩れ込む捩れた曲。叩きつけられるリフが圧倒的に迫る5、切れ味鋭いドラミングとギターリフが連なって突き進む6でも退廃的なコーラスが加わり、タイトなリフが叙情的なコーラスを呼び起こすドラマティックな7へ。 哀愁漂う静かなナンバーの8から不穏な空気を演出し、続くアグレッシヴさが戻ったミドルテンポの9で更にそのムードを醸造していきます。そして最後の10では前二曲のムードを振り切ってそれまでの鬱屈を一気に吐き出すかのようなダイナミズムが炸裂していく攻撃性と劇的さが開放される渾身の展開で盛り上げます。ボーナストラックは起伏の大きいブルータルな曲が収録されています。 強靭なリフワークが生み出していく攻撃性はハードコアの流れを汲んだ凶暴なもので、メロディ重視の滑らかなプレイを聴かせるメロディアスなパートとのコントラストが、まるで別バンドかと思わせるほどの大きな違いを生み出しており、起伏の大きなサウンドの多様性を作り出しています。一応三部に分かれているアルバムですが、各部ごとの違いはそれほど大きくなく、あまり気にするほどではありません。リフのキレがメロディに影響されない硬質さが、北欧の血脈を完全にアメリカナイズしたような感覚をもたらす強力な一枚です。 |
同系統アルバム UNDOING RUIN/DARKEST HOUR OF LOVE AND LUNACY/STILL REMAINS ASCENDANCY/TRIVIUM |
THE SICKNESS WITHIN/HATESPHERE |
ザ・シックネス・ウィズイン/ヘイトスフィア |
SOUNDHOLIC TKCS-85130 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマーク出身のバンドの4枚目のアルバムです。迫力たっぷりの禍々しいイントロから繰り出される怒涛の突進スラッシュビートに乗せて咆哮を上げるデスヴォイスの、凶悪デスラッシャーなサウンドは今作でも揺ぎ無く、鈍く叩きつけられていくギターリフと粘り気のある妖しいギターソロが組み合わさったダイナミックな1から、鋭角にリフが切れ込んでいき突進から弛緩のスピードの変化も大きいアグレッシヴな2ではメロディアスなギターソロもアクセント。ソリッドなリフで高圧的に迫る3はダークな空気が全編を包みつつ一瞬でスピードアップする起伏の激しいナンバー、さらに溜めを作りつつ爆走する4は思わず頭も振れるキレのいいリフからスピードを殺したパートへ移る前の曲とは逆の展開を見せます。衝動的なヴォーカルが爆走パートを呼び起こす5は起伏の激しい展開で聴き手を惹き付けます。キレのあるドラムと唸りを上げるギターリフが巻き起こすグルーヴィな感覚が速度を増していく6、タイトなビートでジリジリ迫る7は退路を断った高密度のサウンドを作り出します。唸るリフが抉り込むように迫る怒りに満ちた8は無常の退廃的なパートを経て再び感情を激発させ、グルーヴィに迫る9は威圧感も高まる邪悪な一曲。再び暴走状態に突入する10、加えてスローパートもある11、ボーナストラックは黙って突進のスラッシャーな12、ドロドロしたイントロから暴走するリズムチェンジも激しい13、14はスーサイダル・テンデンシーズのカバー。 聴き手と衝動がシンクロしていく迫力満点のサウンドは、突進と飽和を繰り返しながら、緊張感を維持していく手の込んだものになっていて、一筋縄でいかないサプライズを持った展開が楽曲への集中力を高めていきます。スラッシーな感覚に磨きを上げたアルバムは、これまでと変わらぬ破壊力と安定感を備えた強力な一枚になっています。 |
同系統アルバム RECLAIM THE BEAT/DEFLESHED TRACES OF THE PAST/THE FORSAKEN INVENTOR OF EVIL/DESTRUCTION |
THE CALL/HEED |
ザ・コール/ヒード |
MARQUEE MICP-10545 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のロスト・ホライズンのヴォーカリスト、ダニエル・ハイメンが新たに結成したバンドのファーストアルバムです。静けさを感じさせるイントロダクションから始まるアルバムは、へヴィでダイナミックなリフが熱気を運ぶドラマティックな2でストロングスタイルのヘヴィメタルの開幕を宣言します。パワフルなヴォーカルはロスト・ホライズン時代と変わりなくその迫力たっぷりの歌声を聴かせていますが、このバンドでは感情が自由に発露されているようです。哀愁帯びたメロディを力強く唄うミドルテンポの3、アップテンポでセンチメンタルな感覚が増幅されていく4、大仰なイントロからタイトなリフが刻まれていく5は勇壮さが哀愁へと転化していくミドルテンポのナンバー、物悲しいメロディが強力なヴォーカルに昇華されていくドラマティックなパワーバラードの6、激情が哀愁メロディと連れ立って進むミドルテンポの7はソリッドなリフにエモーショナルなギターソロも効果的に感情を高めていきます。へヴィバラードの8でムードを変えると、一転して9ではダイナミックなリフがスピード感を生み出す劇的ナンバーで情念高まるコーラスを聴かせ、ミドルテンポの10では暗いムードが熱気を帯びつつ進んでいきます。泣きのメロディが絶え間なく続く11、アコースティックな響きが更に哀愁を揺さぶる12、ボーナストラックの13は疾走感のあるリフが抑えたメロディを引き連れていくアクティヴな曲です。 ヒロイックファンタジーな路線だったロスト・ホライズンの今後に限界を感じたのが何となく分かる、エモーショナルだったり精神的な事象を表現することにしてみたアルバムは、その力強い歌唱とギターの鮮やかなメロディも相まって、ドラマティックで情感豊かなサウンドを作り出しています。前バンドの影を払拭しようとする試みが、方向性を若干狭めているような感もありますが、今後も独自の路線を突き進んで欲しい一枚です。 |
同系統アルバム FREEMAN/LABYRINTH AERONAUTICS/MASTERPLAN PAPER BLOOD/ROYAL HUNT |
BORN II ROCK/HELLFUELED |
ボーン・トゥ・ロック/ヘルフュエルド |
SOUNDHOLIC TKCS-85129 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?いつのまにかオジー・オズボーンもすっかり元気になったなあ、と誰もが思ってしまうスウェーデン出身のバンドの2枚目のアルバムです。ダイナミックに展開していく骨太ロックな楽曲が詰め込まれたアルバムは、今回も激しくオジー・オズボーン・バンド。本家よりも本家らしい1、2、6、7の粘り腰のフックのある曲を筆頭に、キャッチーなメロディが印象的に迫る3、繊細なメロディとダイナミックなリフが交錯する4、スコーピオンズあたりの哀愁ハードロックに力強さを加えたタイトルトラック、本家ではあまり聴かれないスピード感あふれる8は激しく正統派ヘヴィメタルしていく熱いナンバー。振幅も大きくロックしていく9、10、突進力を上げてゴリゴリ進んでいく11と豪快な品揃えです。 オジー・オズボーン声が評価に大きな影響を与えているバンドですが、メロディックロックとしても温故知新とセンスの良い高品質な楽曲を作っており、ヴォーカルが違っていれば別の評価もあったと思わせます。物真似と呼ばせないだけの説得力を持ったサウンドは、新人バンドの勢いも駆って生きのいいパワフルなもので、二枚目にして既にベテランの余裕すら感じさせるガッツィーでホットな一枚となっています。 |
同系統アルバム TOOLS OF DESTRUCTION/THUNDERSTONE TYRANNY OF SOULS/BRUCE DICKINSON UNCHAINED/UNCHAINED |
KEEPER OF THE SEVEN KEYS -THE LEGACY-/HELLOWEEN |
守護神伝-新章-/ハロウィン |
VICTOR VICP-63161-2 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?メロディックメタル界に燦然と輝く「守護神伝」の名を再び冠した11枚目にあたる二枚組アルバムです。ドラマーが元ロウヘッド・レックスのダニー・ルブレに代わっています。ナレーションから開幕するアルバムは、“KEEPER OF THE SEVEN KEYS”を彷彿とさせる大作の1から高揚感と開放感を合わせ持ったハロウィン節が炸裂するコーラスにツインギターのスリリングで複雑な展開を聞かせるもので、ファンタジックでドラマティックなムードが全編を覆うものになっています。ドラマティックなイントロからアップテンポに展開していくドラマティックな2を筆頭に、典型的ハロウィン型メロディックスピードメタルナンバーな3、ミドルテンポでシリアスなムードとキャッチーなコーラスが絡み合う4、シングルカットされたキャッチーな5、元気が良くなるアップテンポの6はスピードアップして湿ったコーラスへと雪崩れ込む劇的ナンバー。 楽曲のバラエティに富むディスク2では、かつての曲をSEに配したイントロからの大作はダークな色彩を保ちながら、神秘的なコーラスなどを効果的に配しながらドラマティックに組み立てられていく力作で、こちらがオープニングでも良かったような。 キャンディス・ナイトを連れてきたバラードの2、へヴィなリフがハードロック調なノリに展開していく3はメロウなコーラスを持ち、ギターソロはブラックモア風。アンディ・デリス色の強いキャッチーなハードロックなナンバーの4、メランコリックなムードを持ったスリリングなスピードナンバーの5、アップテンポの6はポップなフィーリングを持ったロックする一曲。ドラマティックなイントロから泣きのメロディが詰め込まれていきライヴでもテンションの上がる劇的ナンバーの7、ボーナストラックの8は7と傾向が似ている湿ったメロディが満載のドラマティックナンバー。 バンドの迷走状態を脱する目的か、ハロウィンというパブリックイメージを再現しようとする意気込みに満ちているアルバムは、結果的にマイケル・ヴァイカート色を他のメンバーが生み出しているという逆転現象を起こしており、これまでのアンディ・デリス以降のハロウィンで培ってきたサウンドを打ち消す方向に働いています。初期の劇的で直感的なサウンドはアンディ・デリスの歌唱には鬼門だったはずですが、敢えてそれをやってみるあたりは、これまでの清算をする気なのか、これからの行く末を提示するものなのかは未だ判断できません。新生ハロウィンになってからの実験的だったり新機軸だったりした新たな魅力は前作から今作で完全に影を潜め伝統に回帰してしまったサウンドは、経験に裏打ちされる楽曲が新興バンドとは一味違うクオリティを生み出していることも確かで、安心して聴ける作品にはなっていますが、二枚にしたボリュームは感じられない二枚です。 |
同系統アルバム LUXAETERNA/AQUARIA CIRCLE OF LIFE/FREEDOM CALL MAJESTIC/GAMMA RAY |
ELEGIES/MACHINE MEN |
エレジーズ/マシーン・メン |
ATTIC ARCADE GCCY-1011 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドのセカンドアルバムです。微妙にメンバー名の表記が変わっていますが、中の人は変わっていません。アイアン・メイデンの影響を激しく感じさせるサウンドは、デビュー作と変わらず、ブルース・ディッキンソン風の唄いまわしに湿ったツインリードが炸裂する哀愁正統派ヘヴィメタルが展開されていきます。アップテンポでドライヴ感の強い1やミドルテンポで粘りのある歌唱を聴かせる2、ドラマティックな展開が見所の3など、伝統的スタイルの楽曲が満載です。 前作のインパクトがさすがに薄れてしまった、このアルバムでは安定した楽曲を提供しているものの、このスタイルにどっぷり漬かっている人にとっては、あまり驚きの無いものになっていて先達のバンドに感じられるマンネリ感が早くも訪れていなくもないような。このスタイルを守ってくれる姿勢は大いに買いなのですが、開拓されつくしたこのサウンドに新しい息吹を吹き込んでもらいたい気もする、落ち着いた高品質の一枚になってます。 |
同系統アルバム TYRANNY OF SOULS/BRUCE DICKINSON GRIME VS.. GRANDEUR/FALCONER UNCHAINED/UNCHAINED |
THIS GODLESS ENDEAVOR/NEVERMORE |
ディス・ゴッドレス・エンデヴァー/ネヴァーモア |
KING RECORD KICP-1103 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アルバムの詳細はこちら。というわけで、ずっとネヴァーモアの日本での立場を見守ってくれているBURRN!誌に敬意を表して書かせていただきますが、まず最初にこのバンドが日本で正しく評価される可能性があったのは、サードアルバム「DREAMNING NEON BLACK」です。カルト教団にのめり込んだガールフレンドを描いたシリアスで重いテーマを選んだこのアルバムは、サウンドと主題がシンクロした精神的に凄まじい破壊力を秘めたもので、ゴシックメタルもかくや、と言う壮絶な世界観とそれを描写しきった才能に衝撃を受けること必至。いかんせん、絶望的に暗く重いサウンドは聴き手を選ぶところもあったため、メロディックスピードメタル旋風が吹き荒れていた日本では顧みられることもありませんでした。 次のチャンスである、バンドの渾身の作となった「DEAD HEART, IN A DEAD WORLD」はメロディやキャッチーな感覚が増えてとても取っ付きやすいものに(彼らにしては)なったため、日本での更なる飛躍が期待されましたが、レコード会社との契約問題から日本盤発売が大幅に遅れ、タイミングを逸したバンドの評価が上がることはありませんでした。 さらに続く「ENEMIES OF REALITY」はそのグロテスクな印象とサウンドの問題を抱えていたにも関わらず作品としては凶暴性と破壊力が増した迫力満点のもので、彼らのアグレッシヴな側面を前面に押し出されており、新しいファンを獲得する可能性もありました。が洋楽撤退の日本クラウンのプロモーションも及ばず、この作品でも何も起きませんでした。 そして、本作はリリースのタイミングがかなり遅れたものの、日本盤が出たことで遂に来日の可能性が高まったわけですが、この間ずっとネヴァーモアの日本での立場を見守ってくれているBURRN!誌が何をしてくれたかと言えば 見守っていただけでした、生暖かく。どうしてネヴァーモアの日本での知名度が低いんだろう?不思議で仕方が無いよ。 「ネヴァーモアはまだB!のメインストリームに入れてもらえないのでしょうか(嘲)」 |
同系統アルバム NEVERMORE/NEVERMORE THE POLITICS OF ECSTASY/NEVERMORE DREAMNING NEON BLACK/NEVERMORE DEAD HEART, IN A DEAD WORLD/NEVERMORE ENEMIES OF REALITY/NEVERMORE |
SEVEN SEALS/PRIMAL FEAR |
セヴン・シールズ/プライマル・フィア |
VICTOR VICP-63145 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?マット・シナーとラルフ・シーパースのコンビもすっかり馴染んだドイツ出身のバンドの6枚目のアルバムです。これまでのサウンドの集大成のような迫力満点のパワフルなイントロから始まるアルバムは、ミドルテンポで重量感たっぷりに繰り出されるダウンチューニングが施されたギターリフに乗って強力ハイトーンヴォーカルが歌い上げる直球勝負の正統派メタルの1から、徹頭徹尾ヘヴィメタルが追求されていきます。キャッチーなメロディが扇情力も強く哀感を生み出していくアップテンポの2、哀愁メロディで迫るスローテンポのエモーショナルなタイトルトラック、リリカルなイントロから怒涛の突進力を見せ付けながら突っ走る4はパワーメタルのお手本のような攻撃性とダイナミズムが一体となった強力ナンバー、ミドルテンポの5はフックのあるへヴィリフとシナー譲りのコーラスが融合するパワフルな一曲。スケール感たっぷりのイントロから情念を吐き出していくヴォーカルとエモーショナルでドラマティックなギターソロも鮮やかな6、静に唸るヴォーカルから躍動的なギターリフへと展開する7はアイアン・メイデンの“HALLOWED BE THY NAME”を彷彿とさせるムードを持ちつつ希望のあるコーラスへと導くドラマティックなアンセム。タイトなリフが起伏も激しくダイナミックに突き進む重量感と圧力たっぷりの熱気あふれるヘヴィナンバーの8、ミステリアスなイントロが一転してアップテンポにキャッチーなメロディを引っさげて進む9はシナーの「NATURE OF EVIL」からの曲で、両バンドの良好関係が伺えます。哀愁たっぷりに唄いあげるパワーバラードの10、ボーナストラックの11は再びパワーとメロディが一体となって迫るヘヴィナンバーです。 シナー的なメロディアス要素とストロングスタイルのヘヴィメタルが遂に渾然一体となって完成形を見た劇的正統派サウンドが展開されていくアルバムは、古典に留まることなく新たな魅力を発散させながら求心力を強めていきます。パワー、メロディ、スピードが高いレベルで融合しドラマを生み出していくバンドの現時点での最高傑作であり、ドイツから正統派ヘヴィメタルの旗手を宣言する一枚です。 |
同系統アルバム TOOLS OF DESTRUCTION/THUNDERSTONE THE GLORIOUS BURDEN/ICED EARTH ANGEL OF RETRIBUTION/JUDAS PRIEST |
THE ALL-STAR SESSIONS/ROADRUNNER UNITED |
オール・スター・セッションズ/ロードランナー・ユナイテッド |
ROADRUNNER RRCY-29106 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ロードランナー25周年を記念してジョーイ・ジョーディソン(SLIPKNOT)、ロブ・フリン(MACHINE HEAD)、ディーノ・カザレス(ex-FEAR FACTORY)、マット・ヒーフィー(TRIVIUM) を中心としたチームによって在籍したアーティスト達が集結した一大企画アルバムです。豪華な顔ぶれを見る限り、期待もかなり高まろうと言うもので、実際キルスウィッチ・エンゲイジのヴォーカルが唄うメタルコアの1でアナイアレイターのジェフ・ウォーターズらしい高速ギターソロキタ━━━━━━(゜∀゜)━━━━━━ !!!!!とか、異様に再現度の高い正統派メタルの4でキング・ダイアモンド様の爬虫類ヴォイスキタ━━━━━━(≧∀≦)ノ━━━━━━ !!!!!とか、100%クレイドル・オヴ・フィルスで間違い探しでもする気か!な8とか色々盛り上がるところはあるものの、アクの強いアーティストが勢揃いしたアルバムだけに、個々のアーティストの特徴が楽曲を食ってしまってコラボレーションのし甲斐があんまり無かったかもしれなかったり、メンバーをシャッフルしてみても、そんなに影響の無い構成だったりで、ロードランナー・サンプラーとあんまり変わらないような印象が強いです。4人のキャプテンが気を使いすぎたのか、あまり突拍子も無い組み合わせも無いですし。だって、セパルトゥラとキマイラのギターを変えて大変わりするかって言われると…ねえ?もっとも技術力の高いアーティストが集まっただけにサウンドは高品質だし、バラエティのある楽曲が揃っているので、参加バンドに興味のある人は今後のためにも持っておく価値はありそうです。永久特典になったDVDはアルバムのメイキングですが、みんな真面目なんだなあ。でも、とりあえずジェフ・ウォーターズがスリリングなギターソロを弾くためにはプロデューサーが締め上げないとダメって事は分かった。 |
同系統アルバム GRINDHOUSE ALBUM/VARIOUS ARTISTS ROADRAGE 2004[DVD]/VARIOUS ARTISTS RESIDENT EVIL: APOCALYPSE-Original Soundtrack-/VARIOUS ARTISTS |
MISSION NO.X/U.D.O. |
ミッション・ナンバー・エックス/U.D.O. |
KING RECORD KICP-1104 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツの鋼鉄軍曹の10枚目のアルバムです。アルバムを10枚積み重ねたからと言って、ウド・ダークシュナイダーのメタル魂が揺らぐはずも無く、この作品でも徹頭徹尾ヘヴィメタルが貫かれているわけですが、このアルバム発表前に行われたアクセプト再結成ライヴツアーで以前のメンバーとのプレイがウドの心境に確信を与えたか、サウンドの方はかなりアクセプトに接近しています。他のメンバーのバンド再開希望を振り切って己の道を突き進むその姿には、今までに二度までも信じるメタル道を裏切られた恨み節が込められて… …いるかは定かではないですが、メロディとパワーがみなぎる誰にも真似できない不変のヘヴィメタルを提示し続けている一枚です。 |
同系統アルバム BLOOD & BELIEF/BLAZE GRIME VS.. GRANDEUR/FALCONER THE LAST SUPPER/GRAVE DIGGER |
THE SILENT FORCE/WITHIN TEMPTATION |
ザ・サイレント・フォース/ウィズイン・テンプテーション |
ROADRUNNER RRCY-29107 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のバンドの2004年に発表された3枚目のアルバムです。すいません。まだよく分かってません。 |
同系統アルバム CONSIGN TO OBLIVION/EPICA SHINE/EDENBRIDGE ANOTHER SUN/THALION |
■ | NobemberLEGION OF THE DAMNED | LULLACRY | THY MAJESTIE | |
MALEVOLENT RAPTURE/LEGION OF THE DAMNED |
マルヴォレント・ラプチャー/リージョン・オブ・ザ・ダムド |
KING RECORD KICP-1112 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のバンドのデビューアルバムです。バンドの中心人物は同郷のブラックメタルバンド、OCCULTのリチャード・エビッシュとエリク・フロレイン。デスヴォイス気味な吐き捨てヴォーカルにクランチーなリフで突撃するブルータルなスラッシュメタルをやってのけるアルバムは、悪趣味なジャケットにふさわしいオールドスタイルなサウンドがこれでもかと埋め込まれており、緩急付けて暴走する楽曲炸裂です。スピードナンバーでは初期デストラクションやクリーター、ソドムなどのジャーマンスラッシャー的なムードを持っており多彩な表情を見せる代物で様々なリフを聞かせてくれます。ミドルテンポの8とか起伏の激しい10はかなりスレイヤー。ボーナストラックも5曲収録で、とりあえず、怒涛の勢いで圧倒してくれるあたりがスラッシャーには爽快でボリュームたっぷりな一枚になってます。 |
同系統アルバム INVENTOR OF EVIL/DESTRUCTION THE SICKNESS WITHIN/HATESPHERE RECLAIM THE BEAT/DEFLESHED |
VOL. 4/LULLACRY |
Vol.4/ララクライ |
WOODBELL WBEX-25011 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの4枚目のアルバムです。コケティッシュな女性ヴォーカルとノリの良いタイトな楽曲が一体となった、ポップメタルなアルバムです。キャッチーでポップな1から、ミドルテンポでセンチメンタルなコーラスが染みる2、ドライヴ感の強まった3はアップテンポでへヴィ度も少しアップのストレートなナンバー。へヴィなリフに乗せてキュートなヴォーカルが浮遊感のあるメロディを唄う4はキャッチーさが日本でも受けそう。リリカルなムードに包み込まれる優しい5、デスヴォイスが加わった6は虚無感漂うムードからドラマティックに動いていきます。スラッシーなリフが繰り出されていくへヴィな7は勢いをつけて浮遊する一曲、ミドルテンポの8はセンチメンタルなメロディがたっぷり入った情感豊かな曲、ダークな雰囲気が80年代メタルを彷彿とさせる9はへヴィに展開しつつかなりクイーンズライク。一転して突っ走るロックナンバーの10でムードを切り返した後は、ボーナストラックのKISSとW.A.S.P.です。 久しぶりに見たら、セカンドアルバムの時とはヴォーカルの人が別人になっていて驚きましたが、音楽的には変わりなく勢いのある基本的にポップなメタルをやってました。特徴的な女性ヴォーカルがクセになる心地良い感覚を持った一枚でした。 |
同系統アルバム FOREVER ENDEAVOUR/NOVAK PLAGUE-HOUSE PUPPET SHOW/TWILIGHTNING COMALIES/LACUNA COIL |
JEANNE D'ARC/THY MAJESTIE |
ジャンヌ・ダルク/ザイ・マジェスティ |
SOUNDHOLIC TKCS-85132 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドのサードアルバムです。ヴォーカリストにIRENCROSのジュリオ・ディ・グレグリオを迎えて製作されています。フランスの英雄、ジャンヌ・ダルクの生涯を描いたコンセプトアルバムとなった本作は、壮大なイントロからムードを盛り上げていき、渋めのハイトーンヴォーカルに導かれてパワーメタリックに突進する2でフラッシーなギターソロも加えつつスリリングな楽曲を披露しています。ホーンのイントロから勇壮なムードが展開されるミドルテンポの3は力強い歌唱とドラマティックな急展開で運命的なシーンを彩り、スピードを増した4は運命に急き立てられるかのようなジャンヌを劇的に描きます。勇ましい行進曲風の5はミドルテンポでSEも絡めて力感たっぷりに迫り、アップテンポで攻撃的に迫る6は湿ったメロディとコーラスも伴ってテンションを上げていきます。今度こそ行進曲なインストゥルメンタルを挟んで、激情的に突っ走るドラマティックスピードナンバーの8へと。不穏な空気が高まる9では重厚なイントロから不安感が高まる劇的ナンバーを聴かせ、パワーバラードな10へ。暗いムードのインストゥルメンタルから、運命の流転を続けたジャンヌの終焉の時を劇的に描き出す12は二転三転する展開がクライマックスへと導く大作になっています。 ボーナストラックの13にはデビューアルバム収録曲の再録版が収められています。 史実をテーマにしたアルバムは、サウンド的にはあまり大仰にしない直球勝負のパワーメタル色の強いものになっています。新加入のパワフルなヴォーカルの全力パフォーマンスや情念込めたギターソロなど華麗さよりも剛健さが前面に押し出されるサウンドは、攻撃的と言うか激動の運命を勢いで一気に押し切る印象が強いです。その分、緩急が弱まって単調なきらいもありますが、ドラマティックなパワーメタルサウンドを実直にやってみせた一枚です。 |
同系統アルバム NEVER ENDING/MYSTIC PROHECY HEART & ANGER/SECRET SPHERE EMPEROR OF THE BLACK RUNES/DOMINE |
■ | DecemberBLOODBOUND | CRYPTOPSY | DRAGONFORCE | PLATITUDE | REQUIEM | VITALIJ KUPRIJ'S REVENGE | |
NOSFERATU/BLOODBOUND |
ノスフェラトゥ/ブラッドバウンド |
MARQUEE MICP-10562 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のストリート・トークのキーボーディスト、フレドリック・バーグらが結成したバンドのファーストアルバムです。なぜかメイクはブラックメタル風。アイアン・メイデンからの影響がたっぷり感じられるサウンド満載のアルバムは、ツインリードのギターリフが懐かしさすら感じさせるアップテンポの1からハスキーなパワフルヴォイスの正統派ヴォーカルが湿ったメロディたっぷりのNWOBHMなヘヴィメタルを作り出しており、ハモるツインギターソロには眩暈すら覚えます。続く2は哀愁のメロディにコーラスが印象的なアップテンポの曲でスリリングなギターソロもあり。嵐の予感なSEから始まる3は静から動への変転が鮮やかな、やっぱりメイデンスタイルなギャロップする扇情性がドラマを呼び込む一曲。ミドルテンポで勇壮なコーラスも漢前でメタルモンスターな4、唸りを上げるリフがドライヴしていく5はコーラスがサワヤカなスピードナンバー。ミドルテンポで熱いサビを聴かせる6、それってどこの“イーグル・フライ・フリー”?な7、どっぷりメイデンスタイルな8はギャロップするリフが軽快なナンバー。アップテンポで哀愁帯びたエピックなムードを生み出す9、シンガロングなコーラスが心地よい10、静かなイントロからドラマティックに突き進む11など。 オーセンティックながらも高品質な楽曲を作り出しているあたりは、ぽっと出の新人ではないことを証明していますが、ノスタルジックな感覚が強すぎて個性という点では疑問符を浮かばせます。さらに曲のバリエーションもそんなに無いことが聴き込むにつれて明らかになっていったりで、当初の期待も萎んでいくわけですが、そうは言っても最近増えてきたメイデン復興路線の中ではかなり良い線行ってる一枚です。 |
同系統アルバム GRAND ILLUSION/NOCTURNAL RITES UNCHAINED/UNCHAINED ELEGIES/MACHINE MEN |
ONCE WAS NOT/CRYPTOPSY |
ワンス・ノット・ワズ/クリプトプシー |
VICTOR VICP-63207 [☆☆☆] >>>>>BUY...?カナダ出身のバンドの5枚目のアルバムです。初期2枚のアルバムのヴォーカリスト、ロード・ワームが復帰して製作されています。物悲しいインストゥルメンタルで始まるアルバムは、そんなムードを一変させる凶暴で狂乱な世界に静寂と激動が同居するテクニカルな2で、その異様性を露にしていきます。戻ってきたロード・ワームのヴォーカルも獣性を発散させつつ咆哮していきます。激しくブルータルデスしている高速の3、凶悪に突っ走る4ではヒステリックなギターソロを聴かせ、不穏な空気を巻き起こしながら始まる5は邪悪なムードが高まる起伏の激しい楽曲になっています。一気に駆け抜ける5や6、ジャズ風に始まってもやっぱり凶暴な展開になる7、異様な空気で迫るイントロから暴走していく8は中盤で小気味良い疾走に移って更に暴走そしてネオクラギターソロ。静かに始まる9は高速フュージョン風に展開しつつ続くエスニックなインストゥルメンタルの10へと雪崩れ込み、さらに混沌とした暴走ナンバーの11へと連続性を保って突き進みます。ボーナストラックにはロード・ワームの唄ったライヴ音源が2曲。 徹頭徹尾デスメタルに仕上がったアルバムは、様々な音楽要素を蹂躙しつつ独自の暗黒世界を構築していくもので、予測不能の展開と凄まじいプレイに圧倒されます。楽曲の構築性が高まったせいで、戻ってきたヴォーカルとも思ったほどシンクロせずに初期の異様さが薄まってしまったのが少し残念ながらも、混乱と暴虐のサウンドを味わえる一枚です。 |
同系統アルバム WOUND CREATIONS/AMORAL HERETIC/MORBID ANGEL NOTHING/MESHUGGAH |
INHUMAN RAMPAGE/DRAGONFORCE |
インヒューマン・ランペイジ/ドラゴンフォース |
VICTOR VICP-63220 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?大英帝国が生んだ驚愕暴走集団の第三弾です。レコーディング後にリズム隊が脱退した模様。しかし、そんな事は気にせず今作も疾走だ。キラキラキーボードに引っ張られつつとりあえず疾走しまくりな1から、バラードの8(ギターソロが何だか速い)を除いて全部疾走です。ボーナストラックも疾走です。メロディの持って行き方は今までとあまり違いは無いですが、流石に三枚目ともなるとリズムパターンの異なる疾走への組み立て方もツボを完全に心得たものになっていて、楽曲のカタルシスとスピードがシンクロする高揚感も最高潮に達する、あまりのスピード狂ぶりに喝采混じりの笑いさえこみ上げる楽曲満載です。もちろん高速のギターソロもキーボードソロもたっぷり詰め込まれた、愛すべきスピードジャンキーによるスピードジャンキーのためのスピードジャンキーな一枚です。 |
同系統アルバム ADVANCE AND VANQUISH/3 INCHES OF BLOOD INVENTOR OF EVIL/DESTRUCTION BACK FROM THE HEAT/ARTHEMIS |
SILENCE SPEAKS/PLATITUDE |
サイレンス・スピークス/プラティテュード |
KING RECORD KICP-1119 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの三枚目のアルバムです。ドラマーにキーボード、更にはギタリストの脱退という局面を乗り越えて製作されています。ハスキーなディープヴォイスを中心にテクニカルなプレイときらめくメロディを配したサウンドは、叙情的なきらめきを放つキーボードサウンドに導かれるメロディアスでパワフルな1へと進み、叙情的で哀愁に満ちた世界を広げていきます。そのムードを引き継ぐミドルテンポの2でもタイトなサウンドとメロディが融合した情感豊かな楽曲を聴かせています。テクニカルなリズム隊と暗いメロディがクライマックスに向けて盛り上がっていく劇的な3、叙情的なムードを一転させてハードに迫るアップテンポの4はテクニカルなプレイがリリカルなメロディを盛りたてるスリリングな楽曲。SEのイントロからダークに進んでいく5は湿ったメロディが印象的な一曲。テクニカルなプレイが前面に出たスピード感のある6はキャッチーなコーラスも伴って高揚感高まるものになっています。 ソリッドなギターリフとタイトなビートで押し込んでいく7は、柔らかいコーラスも加わったメロディアスなパートとのコントラストも強い変則的でダイナミックな曲。へヴィなリフとエモーショナルなメロディがトリッキーなリズムに乗って進む哀愁の8、アップテンポでキラキラキーボードが炸裂する勢いのある9はハードロックな側面を強く押し出してテンションを上げていきます。ブルージーな空気がへヴィにテクニカルに展開されていく10は情感あふれるヴォーカルも相まってドラマティックに仕上げています。ボーナストラックには前作からの楽曲のリメイクバージョンが収録されています。 情感込めたメロディを軸にしたサウンドは、楽曲を底から支えるテクニカルなプレイが安定感と意外性を生み出しつつ、感情表現を前面に押し出したものになっています。哀愁たっぷりでその筋の人を鷲掴みなメロディを堂々と唄う通好みの渋いヴォーカルと割と落ち着いたサウンドが充填されるアルバムは、やっぱり日本では全然売れそうな気がしないですが、地に足の着いた地力を感じさせる一枚になっています。 |
同系統アルバム TOOLS OF DESTRUCTION/THUNDERSTONE LONG LOST PRIDE/IMAGINERY BEYOND DAYLIGHT/VANDEN PLAS |
REQUIEM FOREVER/REQUIEM |
レクイエム・フォーエヴァー/レクイエム |
SOUNDHOLIC TKCS-85134 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの三枚目のアルバムです。キーボードが交替して製作されています。さらにアルバム完成後にギタリストが脱退した模様。ブルータルな歌唱からファルセットすれすれのオペラティックハイトーンまで絶好調なヴォーカルも元気なアルバムはキーボードが激しくロックするスピードナンバーの1で幕を開けます。異様にキャッチーなコーラスがへヴィリフに乗ってハイテンションになるアップテンポの2ではファンキーなキーボードソロまで飛び出します。勇壮なイントロから華麗なメロディが広がる起伏の激しいドラマティックナンバーの3、ソリッドなリフとトリッキーなリズムにアジテイトするヴォーカルが乗る攻撃的なナンバーの4ではテクニカルなギターソロを聴かせ、スピードを増した5は北欧的なメロディのキーボードと熱いヴォーカルが交錯しながら劇的に仕上げていきます。変拍子なリフとパワフルなヴォーカルで押す6は哀愁帯びたコーラスへと持っていく二転三転な展開が面白い一曲です。叙情的なメロディを朗々と唄うヴォーカルと透明感のあるコーラスで盛り上がる7、キラキラキーボードから熱く劇的に突き進んでみる8、10、ハイトーンヴォーカルがコーラスを引き連れてハイテンションで突っ込むアップテンポの9、ソナタ・アークティカに移籍してしまったヘンリク・クリンゲンベリがデスヴォイスを披露する11は勢いのあるスピードナンバーで全員ハイテンション。ボーナストラックの12は突進ナンバー。 まるでバンドの最終章みたいなタイトルのアルバムですが、サウンドの方はプログレやAORなど色々な手法を取り入れたバラエティに富んだものになっていて、得意のパワーメタル路線だけではないジャンルの垣根を飛び越えようとする意気込みを感じさせます。聴いているうちに何だかイタリアのバンドのような気がしてくるのが面白い一枚です。 |
同系統アルバム HARD AS IRON/HEIMDALL HEART & ANGER/SECRET SPHERE BACK FROM THE HEAT/ARTHEMIS |
VITALIJ KUPRIJ'S REVENGE/VITALIJ KUPRIJ'S REVENGE |
ヴィタリ・クープリズ・リヴェンジ/ヴィタリ・クープリズ・リヴェンジ |
MARQUEE MICP-10563 [☆☆☆] >>>>>BUY...?アーテンションなどで活動するヴィタリ・クープリの最新プロジェクトです。セッションで競演したギタリストのマイケル・ハリスを始め、HOLY MOTHERやARKで活動していたベーシストのランディ・コーウェン、ドラマーのジョン・マカルーソのメンバーで構成されています。ネオクラシカル・サウンド満載のアルバムの最初を飾るのは、イングヴェイなどと活動していたドゥギー・ホワイトがヴォーカルを取ったスピード感のあるドラマティックな1で、スリリングなプレイを聴かせる本領発揮な一曲。続く2もドゥギー・ホワイトが歌声を披露するミドルテンポの哀愁ロックナンバー。タイム・レクイエムなどで活動するアポロ・パパサナシオが唄う3はソリッドなリフがドラマティックに展開されていくへヴィなナンバー、4は派手なネオクラシカルプレイが炸裂する攻撃的なナンバーになっています。 5は、ヨラン・エドマンが唄うミドルテンポの劇的へヴィナンバー。ハイドンのピアノ曲をやってみる6を挟んで、キーボードが乱舞する長編のネオクラインストゥルメンタルの7、何だかよく分からない人が唄う8は邪悪なムードが漂うヘヴィナンバー。ジョー・リン・ターナーを担ぎ出した9はストリングスなども加わったドラマティックなナンバー。再びヨラン・エドマンが唄う10はアップテンポの勢いのあるロックナンバーになっています。イタリアのクリス・カテナが唄う11は哀愁漂うショパンの調べも組み込んだドラマティックバラードです。 ロイヤル・ハントで忙しそうなジョン・ウェストを待ちきれなかったのか、一人で作曲して制約とか、しがらみからすっかり開放されて、ちょっと元気になったヴィタリ・クープリが色々なヴォーカリストと楽しく過ごしたアルバムですが、アーテンションと大して変わらんだろ!という突っ込みを入れたくて仕方が無くなる一枚です。 |
同系統アルバム FUTURE WORLD/ARTENSION CHAINED/AT VANCE AERONAUTICS/MASTERPLAN |