雑記帖 - yo:ku:nel

No.1
お酒の神様

絵:酒の神様?
酒の神様?
我が家のドラ息子が、今度、京都嵐山で、新居を構えた。近くに松尾大社があるという。処で、日本酒の酒造神は、ここの祭神「大山昨神(オオヤマグイノカミ)」。従って、日本の酒蔵の神棚には、松尾様が鎮座ましましている。

ドラ息子は、母やすこさんの父さん、すなわちじいちゃんゆずりのからっきしの下戸。その昔、祇園でぶっ倒れて、救急車のお世話になったことも。毎日松尾大社にお参りに行けば、御利益で、少しはいけるくちになるでしょう。

お酒は、20歳を過ぎてから、無理なく、食事の助演として。と言いつつ、つい、途中下車出来なくなるから、やっかいだ。

お酒には、お酒として旨い、即ち主演タイプのものと、食事を引き立てて旨い、即ち助演タイプのものがある。白ワインで言えば、シャルドネ種が華やかでヴァラエティに富み、ワインとして旨いけど、食事にはむしろソーヴィニヨン・ブランの方が併せやすい。

絵:精米ダイエット
驚異のダイエット
純米大吟醸、大吟醸は、主演タイプ。両者の違いは、アルコール添加があるかいなか。両方とも、1升1万円標準。何れも、精米歩合が高いので少量しか作れない。ちなみに、我々が日常食べる御飯の精米は約90%、大吟醸は50%以下。要するに磨きに磨くと言うこと。蕎麦で言えば、真っ白の更科にあたる。

助演タイプは、純米吟醸、本醸造。違いは、前と一緒。1升2000円~3000円標準。とみは、もっぱら、純米吟醸を手を替え品を替えして、やすこさんの味を一そう美味しく味わうためと称して愛飲中。しかし、今やただの呑ベイとは、陰の声ならぬ表の声。2合でストップが丁度適量のこの頃。

もうひとつ、純米酒がありますが、私にとって、純米酒は、今のところ、料理酒か燗酒がメイン用途なのです。美味しい料理は、いいお酒を使うに限ります。やすこさんは、当然、純米酒惜しげもなく、ぱっぱっ、どぼどぼ。とみ、アー直接口に入れてクレー。

アルコール添加を許すかどうかが、1つの分かれ目。確かに、昔のアル添、時には、糖類添加は、戦時中の「のばせや、薄めや」の思想。最近は、純米では、味づくりがぼけっとして難しいので、キリッとさせるためのアル添とは、酒屋さんの言い分。

大量生産、大量消費のなれの果てが、バブル経済、不良債権の山とすれば、日本酒業界こそ、いち早く、品質本意、地元本位に転換し、これからの日本経済の再生の道を指し示しているのではないかとは、アルチューる乱暴の我田引水。

(2002-03-18)

No.2
お米とお水

絵:出来具合は?
出来具合はどうかしら
酒のもとであるお米について言えば、酒造好適米「山田錦」さえ使えば、そこそこの吟醸酒が作れちゃう。その他の好適米は、「五百万石」、「雄町」、「美山錦」など。米からくるフルーティーな吟醸香が、ますますお酒を美味しくさせるのですが、でも、その吟醸香をつけ香するふとどき蔵もたまにあるので、ご用心。

お酒は、一言でいうと、米を発酵させたものということになりますが、発酵の研究が進んだのは、ヨーロッパの呑兵衛達が、ワインの研究に血道を上げたからであります。そして大体、ヨーロッパの美味しいワイン、美味しいビールは、修道院製造が多いです。カソリック国が料理もお酒もうまい、これ常識。フランス、イタリア、ベルギーetc。お坊さんは贅沢。

美味しい日本酒づくりには、酵母菌が深く関わっております。古くは、蔵ごとに蔵つき酵母があるとも言われましたが、今は、定型化しています。熊本の「香露」の蔵で採取、培養された「協会9号酵母」が、全国の吟醸酒の酵母の大元締め。しかし最近は、酒づくりに熱心な各県で、新型酵母の開発が盛んです。

絵:いいだし?
いいだし?
美味しいお酒のベースはなんといっても水。この水を「山のだし」という人もいる。山に降り注いだ雨や雪が長い年月を掛けて、木の根の間や、岩にしみ通り地中に潜行して、山の出汁を身につけて伏流水として湧き出る。兵庫の灘が酒の中心地だったのも、宮水といわれる美味しい水があったおかげ。富山県のお酒が美味しいのも、美味しい水のおかげです。

白山につもった日本海の豪雪が、白山の花崗岩を通って、富山県側では、庄川となって礪波平野で「清酒立山」をうみ、石川県側では手取川となって、「菊姫」、「天狗舞」をうむ。「手取川」もいい。最近酒づくりトラストで復活した富山県の「成政」もいける。一方、立山連峰の水を使って酒にしているのは「銀盤」。ここの純米大吟醸1升2650円は、コストパーフォーマンスが高い。又、吟醸酒で名高い「満寿泉」。純米酒の「吉乃友」も真面目に作られたお酒。

美味しい水のあるところに美味しい酒あり。昨今の環境破壊の進行で、美味しい水の前途に暗雲が立ちこめ始めましたので、今のうちにせいぜい飲んでおかねば、と何だかんだ言いつつ呑兵衛は今日もお酒を飲むのでした。

(2002-03-25)

No.3
ラベルよければ
Highslide JS
呉羽山の梨畑
(2002-4-17 / ト)
Highslide JS
梨の花
(2002-4-17 / ト)

富山の呉羽山のふもとに広がる梨畑では、今、梨の白い花が真っ盛り。ところで、梨といえば、洋梨もぐーですが、洋梨のあの上品な香りの主成分はカプロン酸エチル。そのカプロン酸の香りが、日本酒吟醸香の目標の1つ。その前は、リンゴ酸などの単純な香りが人気でした。一方では、やせぎすの?(吟醸酒をやせぎすのファッションモデルのようと評した作家がいたはず)吟醸香、淡麗辛口には見向きもせず、昔ながらの旨口、芳醇を守り続ける酒もあります。

愛知常滑の澤田酒造の「白老」は、昔ながらの手間暇掛けた手造り酒。春は「瑶春」、秋は「豊饒」というラベルで、純米吟醸を限定販売。秋には五百万石を使った純米酒「第122号」も発売されるが、これがトのお気に入り。

絵:こーゆーのはちょっとね
こーゆーのはちょっとね

ところで、日本酒は、もともと収穫の余米をアルコールにしたもの。その意味では、「豊饒」というのは、嬉しい名前。他に、お米を意識した名前で、記憶に残る酒は、青森「田酒(デンシュ) 純米吟醸」、秋田「刈穂 純米吟醸」、島根「豊の秋 純米」など。その他、「何とか泉」など水に感謝したネーミングが多いのは、水がいかに美味い酒に欠かせないかと言うことですね。

ちなみに、ワインでも日本酒でも、選択に困ったら、素敵なネーミング、素敵なラベルのものは、大体外れがないということは、世の中の商売を見ていたら、想像の範囲内か。

つい先日、下手の横スキーで訪れたカナダのウィスラーで、B.C.(ブリティッシュコロンビア)州のワイン「Burrowing owl」のメルローやカベルネ・ソーヴィニヨンが美味しかったです。フクロウのラベルがお洒落でした。

(2002-04-17)

No.4
梅錦純米大吟醸・砂のかけはし

ku:nelの向こうを張って「酔う喰う寝る」今日からスタート。その実体は、その日飲んだお酒のレポート。飲んだ日(これはだいたい毎日ですが)かつ気の向いたとき限定版です。

今晩は、結婚ウン十年記念でした。乾杯したお酒は「梅錦純米大吟醸」ご存じ愛媛の銘酒。明治時代創業で、以来金賞受賞歴は数知れず。ここの「究極の酒」は、行きつけの居酒寿司のマスターのお気に入り。杜氏は丹波杜氏山根福平さん。純米大吟醸は山田錦を40%精米。日本酒度+2.5度酸度2.4。「究極の酒」は、ふくよかな厚みが印象深いが、こちらは、口に含んだとき香りがたち、味はやや酸味を感じる。端麗辛口の部類のようだが、富山、新潟のそれとはちょっと違う。後口は旨みが十分。ときたまある、ただ山田錦を使ってみましたというレベルとは一線を画す。喉に引っかからない軽い酒であり、同じ四国のお気に入り酒高知の「酔鯨」の純米大吟醸に近い。「酔鯨」はメロンのようなフルーツの香りが立っているが。かっては梅錦の樽酒というのが正月前に売り出され、安価で何ともいえない美味しい酒でしたが、最近は手に入らなくなってしまったが、寂しい。

もう一個は、芋焼酎「砂のかけはし」鹿児島指宿市吉永酒造製。主原料は黄金千貫(少しちがうということね)ここの売りは、コルニッシュという名前の(よくわからないが)蒸気釜で芋や米を蒸すこと。仕込みはかめ壺、貯蔵はタンク。芋味は有るが、それ以上にマイルドな印象。以上お酒と焼酎をいずれも少々でした。

(2005-06-13)

No.5
安赤ワイン・一刻者

本日は、かの岩手短角牛にパスタなどなんで、赤ワイン。今日のワインは、南アフリカの「PANGORIN]シラーズ2003。ぽこさん仕入れだけどたぶん1000円台?赤ワインは1000円前後しか最近飲んだことがない。優雅ささえ求めなければこれで十分。これでも量を考えれば日本酒の純米吟醸クラスが買えるんだから。しかし、グラスだけは100円ショップではなくてリーデルの安手でもそっちのほうが気分がいい。本日のワインはフルボディ=こてこてワイン。しかもシラーズ種なので土の匂いがたっぷり。カベルネソーヴィニオンのような色気は望めないが、もっと大地に近い味。シラーズは、オーストラリアが有名だけれど南アは、最近ワイン産地として売り出し中。

話は変わって、肉はなんといっても焼き肉。悲しいことにフレンチ、イタリアンの名店でも肉料理は単純な焼き肉よりうまいと思ったことがない、肉は醤油ベースだれが一番。岩手のあかべこ牛はあっさり系でもさすがでした。販売手店「たなか」さんが最近移転新装した富山県産氷見牛 もなかなかのもんです。

もう一個は、芋焼酎「一刻者」(いっこもん)。ひとくち口に含むと、おーきつい。芋の香りがプーン。復古調のラベルをよく見ると、製造は、薩摩郡宮之城町なれど、販売は宝酒造。と言うことは例の透明ボトルの「純」の芋ヴァージョンか。いっこもんは、芋、芋麹。昨夜の「砂のかけはし」は、芋、米麹。焼酎の違いなんて、材料以外にわかりにくいけれど同じ材料でも麹によって違うと言うことを初めて発見しました。

(2005-06-14)

No.6
休肝日

本日休肝日。ビールだけ。みかんさんのハンマーダルシマーの先生は顔面総崩れ術か、いい顔してる。トはまだまだ修行が足りぬ。精進せねば。

(2005-06-15)

No.7
伊佐錦

せり人さんより「ビールが休肝日に除外されるとは、とても勇気付けられました。」とのコメント。ビールってお酒でしたっけ?ちょっと待てよ。さっき飲んだビー缶みたら、アルコール度約5%とあった。350ml缶だったら、単純計算で約15gのアルコール摂取。ここまでは、かまへん。お酒2合で約60gのアルコール、この辺で押さえておけば肝硬変直行便を避けられるのかなと勝手におもっとります。しさんにはしかられるかもかも。

本日の焼酎は、薩摩芋焼酎「伊佐錦」。これは、結構標準的な芋焼酎。「伊佐錦」は、香りは芋、口に含んでも芋、飲み口はマイルド喉ごしが辛口。「砂のかけはし」は古式が効いたのか最後までマイルドでなめらか。

かの田崎真也さんによると伊佐錦は「はじめに、芋焼酎特有の芋の蒸れたような香りが感じられ、全体的にほんのりと、百合のような白いお花の香り、さわやかなミネラル香、ほんのわずかに白木の香り、白こしょうの香りが感じられます」。えー、そんじゃーと何度飲んでも、百合も、白木も、白こしょうも感じられない、あーよっぱらちまってわからなくなってしまった。みなさん、百合、白木、白こしょうにチャレンジしてくださいませ。

もう一個は、赤ワイン。本日はスペイン「ディエゴ デ アルマグロ」スペイン特有のテンプラニーリョ種。これも1000円前後と思う。きりっとした酸味がちで雑味がないことがいいところか。

(2005-06-16)

No.8
琥珀・清泉

ぺこさんと三度目の正直の「すし貫」へ(最近二度ふられたのだ)。ビールは、アサヒの熟成生ビール「琥珀」。缶ビールでは、アサヒドライをよく飲むので期待が大きかったけどこくもきれもいまいち。ビールは、プラハでこくも切れもあるビールを飲んだので、そこを基準にするとつらい。熟成を言うなら、さらにベルギービールがある。人間は、一度飲んだスーパーな味は忘れないのもの。どうしてもその記憶と比較してしまう。

日本酒は、5,6種類の中から「〆張鶴純」「清泉7代目」を選択。いずれも純米吟醸。〆張純はトのグリニッジビレッジ。日本酒標準時計。「清泉」(常温)は、かの夏子の酒の蔵元の新潟三島郡久須美酒造。喉に引っかからないのはさすがだが、酸味を感じて(こっちもひやすと酸味がひっこんだかもしれないが)、2つを飲み比べると、〆張(冷酒)は、ほんわかしてやはり落ち着ける。あては、このわた、しめ鯖、ヒラメの昆布締め。数の子(ここのは特におすすめ)。

しめ鯖は、この時期は脂が少なくて寂しいが、鯖はいつ食べてもあきない。このわたが滋味。海の恵みそのものの味でこたえられない。日本酒のあてとしては最高の一つ。しかしお酒のあてとしては、これを固めたくちこをあぶったほうが、味が濃くてもう一つ上手かも。温度的にはこのわたは燗酒、くちこは冷酒のほうがマッチングがいいかな。ヒラメは昆布味が良くしみて、ぺこさんの好みの味。この辺のあてになるとやはり焼酎では物足りない。

本日「すし貫」では、もう一つの「もしかしてやす子さん?」事件。最近マスターと結婚した若女将(なんと10才以上若いのだくやしー)が、「あのホームぺージでうちのこと載せてくれてるやす子さんですか?いつも携帯で読んでたんです。旅日記とかおもしろいので。一度聞いてみたかったんですよ。(わかって)あーすっきりした!」。パソコンはからきし駄目というマスターは「えーそれちゃなんのことけ???」

(2005-06-17)

No.9
勝駒

昨夜は数年ぶり?の暴飲暴食につき、休刊(肝)。ひたすら良く寝る。

「小さな手造り酒屋ですから、年にそうこっぽりとは作れません」「富山で一番小さな造り酒屋です」をうたい文句にした高岡の地酒「勝駒」。年300石しか作らないので入手の困難さから一部には幻の酒との声もある。なかやす酒店では、父の日No2ギフトになっていた。朝日町の蕎麦やさん「草の子」で出している。昨夜は話が弾んで、つい用意された勝駒大吟醸と純米酒をぐびぐび。一日早い父の日でした。

丁寧な造り、昔から白ワインのピュイイフュメに似た青い香りはあるが、吟醸香は決して派手ではなく、総体的に控えめ。この飲みやすさについつい。しかし純米酒は飲み過ぎても翌日頭ががんがんしないので助かる。本日は2000m泣き泣き泳いできた。

(2005-06-19)

No.10
久保田萬寿

本日は久しぶり(正確には一日ぶり)に飲酒。今日はなんと「久保田萬寿」。トにとっては一時の日本酒最高峰の一個。トの唯一のスキーの弟子にして実妹のマシンガン0子さんからのスキーコーチの御礼酒。

この製造元新潟朝日酒造は、地方ではかなり大手の蔵元。「洗心」やら「得月」はここの季節限定酒。辛口スッキリタイプであることは間違いない。このクラスで問題は華があるかどうか。そこが非常に微妙。ちなみに「梅錦純米大吟醸」はわかりやすいうまさがある。萬寿はひやしすぎると、香りがしぼんでしまい固い酒という印象、常温では普通の純米酒とどこが違うのかなー、しかし、この中間のかなり狭い温度域でさすがーという領域が有る。

父の日記念に喰いだおらーやまけん推薦酒「竹鶴」をとってみた。ちかいうちに報告できると思う。

(2005-06-20)