雑記帖 - つれづれのことのは

No.91
ボケとドジ

日曜の夜のこと、友人より電話あり「森山良子さんのコンサート来んだがけ?」「え~っ、なんで、どうして、15日じゃなかったけ~?」。パソコンに予定を貼りだして、毎日チェックして待ちわびていたというのに…。チケットを取り出してみると、大きく15周年と書かれている。「記念のCD持ってきてあげるからね」と優しい友達に慰められる始末。

家の改造で、ここのところ仮設暮らしのため、なんとなく落ち着かず、料理も鍋料理続きなので、たまにはしっかり手の込んだものをと、今朝は里芋と烏賊の柚子味噌煮、それに吹き寄せも食べたいと牛蒡、人参、椎茸、銀杏、あぶらげどれも丁寧に細く細く刻んでいたら、里芋のところで手を滑らせてしまった。ジャズのリズムに乗って調子に乗りすぎたらしい。よく研いだ包丁で切れ味もよかった!

どうも、ボケとドジは仲良しの親戚らしい。

(2003-02-11)

No.92
思案投げ首

とりかかった改造が要望の多さと認識の不足で難航、只今座礁に乗り上げて思案投げ首となっとります。「思うようにいかないのが人生というもの」と、日頃判ったつもりなんですが、逆境は人や家族の有り様を再認識することになります。今何が一番必要で、何が一番大切か…。

今日の午前中は、建具屋さんとの打ち合わせに四苦八苦し、大きな木製建具の二重ガラスを友人宅に見学へ。昔気質の職人の腕を誇る建具屋さんは、簡単なやり方に納得せず、やはり本来の組み込み式を主張され、ここはひとつ「腕をふるってやって頂きましょう!」ということに。今日は、台所のセットが納品される筈だったのが、ドアーの幅が2㎝足りない~。明日に持ち越しです。

(2003-02-14)

No.93
春の花

事務所の前の公園も桜三分咲きです。 ご近所の庭には、さんしゅゆやれんぎょうが満開で、農家の庭先では、白いこぶしが一杯花をつけてます。さんしゅゆは地上の珊瑚とも呼ばれるそうですが、遠目にはちいさなぼんぼりがいっぱいついてるみたい。今日は富山まで用事にでかけたのですが、途中の公園にはれんぎょうが勢揃いして優しく黄色の花をたれていて、思わずこちらもお辞儀をかえしたくなりました。廃屋になり主のいない裏庭で、はなずおうが律儀に枝一杯に花をつけていて、はっとして足を止めたり、あっちでもこっちでも花々にお目にかかれる季節。花咲く木っていいですね。

(2003-04-04)

No.94
新芽

友人からこごみを沢山もらいました。木灰でさっと下茹ですると、緑がぱ~っと鮮やかになり、森の精気がつまっているようで思わずつまみ食い。柔らかくて、ちょっとしたぬめりとかすかな苦みが美味しく、白和えにして食べました。こごみもわらびもたらの芽も新芽の柔らかいところが断然美味しい。キャベツもそうなのですが、新の物が出回ると多少値が張ってもつい手が出てしまう。この時ばかりは、私もやっぱり「若いのがいいな」と思ってしまうのです。

ワラビの昆布締めもいたって簡単。蕨に灰をふりかけ、沸騰したお湯をたっぷりかけてしっかり冷まします。水をうたせて、灰を十分に流した蕨を昆布の幅に切りそろえます。さ~っと砂を落とした昆布に、端からびっしりきれいに蕨を並べ、くるくると巻きます。つまりは蕨入り昆布巻きを作るんです。ラップでしっかりくるんで1日おくと昆布の香りでそのまま美味しい蕨のおさしみが頂けるというわけ。芥子酢味噌で和えてもいいのですが、昆布の香りと塩味でそのまま食べるのが大好きです。昆布はもちろん出汁に使えますし、昆布巻きにしたまま冷凍で保存もできます。

(2003-04-23)

No.95
川本喜八郎作品集

「花折り」「道成寺」「不射の射」など素晴らしい人形アニメーションに改めて感動しました。まるで人形に命が吹き込まれているような細やかな動きや、日本の美しい風景や伝統が取り入れられた素晴らしい表現に、ただただうなってしまいます。当に日本が世界に誇れる芸術のひとつだと、ちと興奮気味です。

昔、NHKで「三国志」を夢中になって愉しんでいたのが、ついこの前のことの様にいろいろ思い出されたのですが、製作年代をみてみると、なんと子供達が二人ともまだ小学生だったとは!凸さんの「三国志」狂いはここが出発点で、漫画も家族で廻し読み、そういえば誕生日のプレゼントも吉川英治さんの「三国志」、お年玉で買ったゲームも「三国志」、寝ても覚めても三国志だったなあ。

川本喜八郎氏に大きな影響を与えた演劇界の大先輩飯沢匡先生(「ブーフーウー」の作者)の偉大さも、またあらためて認識しました。著書を一杯揃えていることや、大きな手で握手して貰ったことは、いまでも自慢のひとつなのです。先生はお亡くなりになりましたが、こうして喜劇の手法が素晴らしいかたちで残されていることにも感動。

「セルフポートレート」という瀬川英子さんの演歌をバックにした自画像アニメが爆笑で、持ち歌になりそう。是非ご覧下され。
生まれる前から 結ばれていた
そんな気がする 光の糸
「あなた」「おまえ」…
ちゃかちゃんちゃん♪

(2003-05-12)

No.96
鯖の龍田揚げと鯵の南蛮漬け

昨日、久しぶりに鯖の龍田揚げを食べました。子供達がまだ小さい頃にしょっちゅう作ったおかずです。昔は、鯖が安くて家計がピンチの時にも大助かり。私が子供の頃に、母がよく作ってくれた一品でもありました。きっと、母もこれで家計をやりくりしていたのかな…。しかし、最近は地の鯖がすっかり高級なものになってしまいました。

鯖を一口大に切って、味醂とお醤油で下味付け片栗粉をまぶして揚げるという簡単な料理なのに大好評。だいぶ前から片栗粉ではなく葛粉を粉にしてまぶすのですが、これがまた美味しい!甘酢あんも葛で固めると間違いなく味がよくなります。粉っぽさがないのです。

鯵の南蛮漬けは冷めてこそ美味しいものの代表です。半日置いた頃が味がいいし、これからの暑い季節には、冷蔵庫で冷たく冷やしたのが食欲をそそってくれます(いつだってそそられないことはないのですが…)。これも昔の献立に頻繁に登場し、食卓と家計にとってまさに強い「味方」でした。

せいぜいでも全長7~8センチという小鰺の南蛮漬けが好きです。小アジは、エラも柔らかくて、刃先を入れてやるとすっとはらわたもいっしょに簡単にとれてしまいます。ひょいひょいとリズムよくさばいて粉をふり、さっと唐揚げにし、更に二度揚げしたはしから、用意した甘酢にじゅっと漬けこんでゆくのですが、横からちょっと手がのびたり、作り手も決まってつまみ食いするものだから、なかなか南蛮漬けにならなかったりしたものでした。

(2003-05-23)

No.97
おつかれさま冷凍庫

核燃料の不気味な墓場の写真と、暖冬で無惨に枝折れ裂けた木々を目の当たりにしてショックを受けて以来、私にできることを始めようと、冷凍冷蔵庫の他に使用してきた家庭用冷凍庫をなくすことを思い立ちました。小型ながらも20年以上も故障なしで使い続け、便利にすっかり頼り切っていたのですが、何か地球にいいことひとつしようと実行にふみきりました。「食材の計画的な購入と使い廻しを実行するんだぞ」と自分に言い聞かせたものの、ちょとした大決心がいりました。ストックをじょじょに使い切り、きれいに掃除して、アルコールで消毒、匂い消しに炭をいれ、自分にも冷凍庫にも「ごくろうさま」でスイッチオフ。それでも「また必要に迫られるかも?」と、まだ処分はせずに納戸に収めたままの小心者なのですが…。地球に優しい暮らしにちょっとばかり誇らしげな気持ちの今日この頃、お風呂に揺らぐロウソクの灯りをみながら微笑んでいます。

(2003-06-25)

No.98
包丁研ぎ

研ごう、研がなくちゃ、でも研いでる時間が。。。
と、思い続けていた包丁研ぎをしました。ちょっと心落ち着けて、しゃっしゃっしゃっとリズムをつけて、無心になれる時間が好きです。大好きな糠漬け切っても切れ味がちがいます。ミョウガを切ると、見事なまでに薄くぱりっと仕上がります。トマトもすっぱり、剥いた皮は透けてみえそう。さっぱりとした心地よさに、ささやかなしあわせで心を満たすひとときです。

(2003-07-09)

No.99
夏の花

事務所の玄関先には大小それぞれふたつの鉢物に季節の花木を植えています。今夏、ひとかかえもある大きな樽の鉢の方に「木槿」を植ました。古くはアサガオと呼ばれたそうで一日で花が終わるのですが、次々に大きな花をさかせます。交通量が多く南西向きなのですが、あまり環境を選ばず強い木のようです。ここのところ、「今日はいくつ咲いたかな」というのが出勤したときの楽しみ。

毎朝通る線路沿いの道にはこの季節になると立葵が見事にずら~っと花を咲かせています。天に向かってすくっとたつ葵の花は花茎がいさぎよく、じめじめした梅雨のうっとおしさを忘れさせてくれる花です。若い頃剣道を趣味にしていた父は80近くになっても背筋がすっと伸びていました。困ったことに母に似たのか、最近、だんだん背中が丸まってきた我が身を反省させる花でもあります。

もうしばらくすると街並みの花壇には、顔程もある大きな花をつける芙蓉の花が咲くのもたのしみ。

(2003-07-12)

No.100
北陸人気質

富山県人いや北陸人は、概して真面目で実直で我慢強い田舎物(これが大好きなのです)が多いのです。なにしろ、その昔といってもほんの30数年前、受験の際にお江戸に向かった「と」さんは、親戚への手土産に重い重いお米と餅米を20キロも担いで夜行に揺られて行ったのですから。

とってもシャイな性格の「と」さんは、駄洒落を連発して笑いを誘うのが得意。その息子でやはり父親似でシャイな凸さんは、小学校の全校生集会でナニやら表彰されることになった時、どういうわけか突然モンローウォークばりにお尻フリフリで表彰台へ歩み出て満場爆笑。健康優良児よりも肥満児に近いぷりんぷりんのお尻だったので効果抜群だったそうです。「おか~ぁさん、こういうのは困ります。」と、後から真面目が売り物の担任の先生からきつく注意されてしまったのですが、聞いてる方は、なんとなく照れくさかったんだろうなと想像されて可笑しくて下向いて懸命に笑いをこらえていました。

また、足の速さだけは自信のあった凸さんは、運動会になると大張り切り。400メートルに出場し、クラスの応援団の前で手を振りながら一人抜き、来賓席の前で真剣な眼差しで一人抜き、最後に(写真はここで写すように指定してあった)ゴール目前で笑顔でもう一人抜いてゴールしてみせました。「ぽこさんに似て足が速い。かっこいいねっ!」と誉めると、「最初から計算して4位でスタートするところが技なんだっ!」そうです。こんな風にシャイなだらんま(富山弁で馬鹿)です。

(2003-07-18)