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膝のスポーツ障害はたくさんあります。その中の代表的なものをいくつか解説します。もちろんこのほかにも色々な膝のスポーツ外傷はあります。症状から膝の障害を調べられたい方はこちらをご覧下さい。
この疾患では疼痛が起こる原因として運動のしすぎである場合が多いため、運動量の制限や一時的な運動の休止が必要です。疼痛が少なくなってきたら大腿四頭筋(大腿の筋肉で膝を伸ばす働きをする)の筋力増強などのリハビリテーションを行います。
症状が強い場合は、関節鏡(胃カメラみたいな検査で、直径5mmの筒を膝の関節の中に入れてみます)による検査を行うことがあります。この検査で分裂部の異常可動性が認められた場合、分裂骨片が小さいときはその切除を行い、分裂骨片が大きいときはそれを本体の膝蓋骨に癒合させる手術を行います。
治療では、症状が軽度の場合スポーツを禁止したり、運動量を制限したりします。それでも治らない場合は、関節鏡(胃カメラみたいな検査で、直径5mmの筒を膝の関節の中に入れてみます)によって索状物を切除することがあります。
遊離片は移動しながら関節の軟骨を削っていためてしまいますので早期の摘出が必要になります。剥がれかけている場合は安静やギブスによる固定が必要になることがあります。治療には関節鏡を用いて遊離片を摘出することが多いです。
関節鏡を用いた場合、関節面の損傷によってはその場で治療(例えば関節面の毛羽立ちを取り除く)を兼ねることがあります。保存的な治療としては、大腿四頭筋の筋力トレーニング、ストレッチ、膝関節の保温、スポーツ直後のクーリング、痛みの強い場合はスポーツの制限をする等があります。
保存的な治療としては、筋力トレーニングやサポーターを使用します。亜脱臼や脱臼の程度がひどければ、手術的に(亜)脱臼を起こさなくするようにします。
治療としては、急性期の痛みの場合局所をクーリングします。また、スポーツの制限が必要になります。慢性期にはスポーツ前には局所を温めストレッチを十分に行います。症状が強い場合や膝蓋腱の損傷がひどい場合はギプスを巻いたり手術を行う場合があります。
治療としては、消炎鎮痛剤の内服や貼り薬を貼ったり、時に局所に注射をして炎症を抑えることもあります。スポーツ前には膝の保温につとめ、急性期やスポーツ直後にはクーリングが必要です。また、下り坂や路面の良くないところでのランニングをさけることや、大腿外側の静的ストレッチングを行うことも必要になることがあります。時に手術療法が必要な場合もあります。
治療は、まず普段は保温に努めることが必要で、スポーツ直後には局所のクーリングがよいでしょう。場合によっては運動量を制限する必要があります。疼痛が強い場合はギプスによる局所の安静を図ることがあります。脛骨祖面の骨の細分化による遊離体が出来た場合は摘出する必要があります。
この疾患で重要なのは、時に脛骨粗面の痛みを繰り返しますが成長が終了するとほとんどの場合疼痛もなくなることです。
検査としては、膝関節造影(半月板はレントゲンに写りませんので、膝の関節の袋の中に造影剤と空気を入れて半月版の状態を見る検査で、いわば胃のバリウムを飲む検査をみたいなものです。)、MRI、膝関節鏡(胃の検査で言えば胃カメラみたいなものですが、残念ながら口と膝は繋がっていませんので麻酔をかけて直径5mmのカメラを膝の中に入れて観察します。)等があります。
明らかに半月板損傷がある場合は、膝関節鏡によって治療を行います。半月版の損傷箇所によって治療が違います。半月板の膝の中の方は血流がないために縫ってもくっつかないことから、損傷箇所を切り取ってめくれ上がらないようにし関節軟骨が半月板によって傷められるのを防ぎます。半月板で膝の外側(辺縁側)にあるものは血流があることから、新鮮例であれば断裂部を縫って治療することがあります。
治療で損傷程度が軽い場合は、包帯固定や横に支柱のついたサポーター、ギプス固定を利用して治療します。更に程度が重い場合は、以前では手術的治療を行っていましたが最近ではギプス固定が主流のようです。
治療中は筋肉の萎縮を最小限に抑えるべく早期のリハビリテーションに心がけます。
その他の診断法として、MRI(磁場によって靭帯を描出します)や関節鏡検査(胃カメラみたいな検査で、直径5mmの筒を膝の関節の中に入れて見ます)によって診断します。
治療では、ほとんどの場合損傷靭帯の再建術を行います。再建術とは、切れてしまった或いはゆるんでしまった靭帯を別のもので置き換えて作りなおす手術のことです。再建の方法は色々ありますので主治医と良く相談してみて下さい。損傷がごく軽度の場合は、保存的に治療することがあります。この場合は徹底的なリハビリテーションが必要です(手術してもそうですけどね)。
膝の関節には、膝蓋骨と大腿骨とで作る膝蓋大腿関節と大腿骨と脛骨とで作る大腿脛骨関節があります。長年の膝への負担の掛かり具合で膝蓋大腿関節に変性が起こる人と、大腿脛骨関節に変性の起こる人がいます。大腿脛骨関節では変性はほとんどの場合内側に起こります。これは、人間が立位でいるときに下肢の体重が掛かる線が膝関節の中央からやや内側に通ることによります。
その他の変形性膝関節症の原因として、外傷後に起こることがあります。膝関節にかかる骨折を起こした場合や半月板損傷、靭帯断裂、離断性骨軟骨炎の最終的な状態として関節軟骨の損傷から変性を起こします。
膝関節の軟骨が変性を起こし変形性膝関節症になった患者さんには、僕はこのように説明しています。軟骨はつるつるの部分で膝が動くときにツルッツルッと滑るから痛くないのです。しかし、若いときからの無理が膝にかかっているとつるつるの軟骨がすり減ってきてしまいます。軟骨がすり減るとつるつるでなくなります。またひどいときは軟骨がなくなってその下にあるゴツゴツした骨がむき出しになります。そのような状態で歩くと滑りが悪いために膝に痛みが生じてきます。更に簡単に言えば、新築の襖はすーっと開きますが、古い家になると敷居がすり減って滑りが悪くなりスムーズに開かなくなります。これと同じ状態が膝に起きているのですとお話ししています。
症状が進むと膝関節に関節液が貯留してきます。関節液が大量に溜まるとこれだけで関節はパーンと張った状態になり痛みが増し、曲げにくくなります。(この場合関節液を抜くことになりますが、皆さんは関節の水を抜くと癖になると言われます。しかし、このようなこと全くありません。関節液を抜くと膝関節痛が楽になりいつもの通りのことをしてしまうために、そのことが負担になってまた関節液が溜まってしまうのです。これがあたかも水が溜まったのが癖になったかに感じるのです。)
関節の変形が進むと関節の可動域(曲げ伸ばしの出来る角度)が減少してきます。正座が出来なくなったり、膝の関節がきちんと伸びなくなったりします。また、人によっては靭帯が緩くなったり切れたりすることで膝のぐらつきが生じる場合があります。このようになると膝の安定性が失われるために、膝の変形がどんどん進んでいきます。大腿脛骨関節の内側に変形が起こっている人で、変形が進むとがに股歩きになってきます。
代表的な手術療法をご紹介します(以下の他にも手術方法はあります。)
変形性膝関節症で、変形が膝関節の内側に見られ、外側の軟骨が比較的残っている場合、患者さん活動性がかなりある場合等に適応になる手術方法です。
手術の方法は、膝関節の下の骨の脛骨という部分を楔状或いは円形状に骨を切り、軸を変えることで膝の関節に体重のかかる部分を従来に内側から外側に移動させるものです。簡単に言えば、変形膝関節症の患者さんはちょっと大げさに言えばがに股になりますので、これを骨を切って若干内股気味にすると言うことです。
今までの体重がかかっていた軸が変わることで、その膝に体が慣れるまで半年から一年ぐらいかかる方がおられます。ですから、手術したすぐに膝の痛みが取れると言うことはありませんので気長にリハビリテーションを行う必要があります。この手術の利点はあくまでも自分の骨で体重を支えることが出来ると言うことです。
この手術には2種類の方法があります。1つは変形した部分のみ(大概は膝の内側)を人工のもので変える方法。もう1つは膝関節全体を人工のもので変える方法です。
人工のものに変えると言うことは、簡単に言えば虫歯で痛い歯を削ってものをかぶせる治療に似ていると言えましょう。
人工のものに変えた場合の欠点もあります。上述した部分的な置換を行った場合は正座が出来る場合が多いですが、今で長期の成績が安定していないようです。全体を置換するものに関しては、おおむね膝は110度〜120度ほど曲がり(手術する直前の膝の変形状態や元々の曲がる角度によって違ってきます--->と言うことは、ある程度曲がるお膝で、手術もスムーズに受けるためにはあまり変形してしまう前に主治医と相談していい時期を決定していくことが肝心です)、大事に使えば15年〜20年ほどもつようになってきています。しかし、乱暴に扱えば早めに壊れてしまいます。これは、昔のテレビのチャンネルが回すものであったとき、ソーッと回して使っていれば長持ちするチャンネルがガチャガチャと乱暴に使っていれば映りが悪くなるのに似ています。