ALBUM COLLECTION バックナンバー 2008
■January ■Februaly ■March ■April ■May ■June ■July ■August ■September ■October ■Nobember ■December
- ALIENIGMA/AGENT STEEL
- CAPTAIN MORGAN'S REVENGE/ALESTORM
- TWILIGHT OF THE THUNDER GOD/AMON AMARTH
- WE ARE THE NIGHTMARE/ARSIS
- BLACK SOCIETY/ARTHEMIS
- 01011001/ARYEON
- SEASONS OF TRAGEDY/BENEDICTUM [IMPORT]
- CANNIBALISED/BIOMECHANICAL
- DOWNBURST/BRAINSTORM
- BLOODDRUNK [DELUXE EDITION]/CHILDREN OF BODOM
- DELUSIONS OF GRANDEUR/CIRCLE II CIRCLE
- GODSPEED ON THE DEVIL'S THUNDER/CRADLE OF FILTH
- THE UNSPOKEN KING/CRYPTOPSY
- TRACED IN AIR/CYNIC
- DEMONIC ART/DARKANE
- AUTUMNAL/DARK MOOR
- KILLING SEASON/DEATH ANGEL
- D.E.V.O.L.U.T.I.O.N./DESTRUCTION
- DISMEMBER/DISMEMBER
- FAREWELL/DIVINEFIRE
- ULTRA BEATDOWN [Limited Edition]/DRAGONFORCE
- PHOENIX/DREAMTALE
- MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE
- TINNITUS SANCTUS [limited edition]/EDGUY
- SLANIA/ELUVEITIE
- SAGAS/EQUILIBRIUM
- FADE TO BLACK/EVIL MASQUERADE
- AMONG BEGGARS AND THIEVES/FALCONER
- UNBREAKABLE/FIREFLIGHT
- THE PREMONITION/FIREWIND
- MY SOLITUDE/FOLLOWBANE
- COMPASSION DENIED/FREQUENCY
- REINCARNATION/GALNERYUS
- VERSUS/THE HAUNTED
- PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER
- THE SKULL COLLECTORS/HIBRIA
- THE CRUCIBLE OF MAN:SOMETHING WICKED PART 2/ICED EARTH
- A SENSE OF PURPOSE/IN FLAMES
- GLOBAL WARNING/JON OLIVA'S PAIN
- NOSTRADAMUS/JUDAS PRIEST
- FOR THE REVOLUTION/KALMAH
- THE NEW DARK AGE/KIUAS
- KORVEN KUNINGAS/KORPIKLAANI
- FEEL THE BLADE/LEGION OF THE DAMNED
- DEADACHE [DELUX EDITION]/LORDI
- FUTURE ADDICT/MARTY FRIEDMAN
- LURKING FEAR/MEKONG DELTA
- OBZEN/MESHUGGAH
- THIS PRESENT WASTELAND/METAL CHURCH
- INCUBUS - CHAPTER SEVEN-/METALIUM
- DEATH MAGNETIC[STRONG EDITION]/METALLICA
- N/NORTHER
- 魑魅魍魎/陰陽座
- THE_ASCENSION/OTEP
- GOD'S EQUATION/PAGANS MIND
- ELECTRIFY/PARADOX
- PATHOSRAY/PATHOSRAY
- IMMORTAL/PYRAMAZE[IMPORT]
- CARVED IN STONE/RAGE
- COLLISION COURSE -PARADOX II-/ROYAL HUNT
- THE AGE OF NERO/SATYRICON
- HOLOGRAPHIC UNIVERSE/SCAR SYMMETRY
- SKELTONS DOMINATION/SCELERATA
- SWEET BLOOD THEORY/SECRET SPHERE
- COMMUNION/SEPTICFLESH
- xGODx/SERPENT
- FOREVER CHAOS/SHADOW
- CRASH & BURN/SINNER
- CONQUER/SOULFLY
- HEADING NORTHE/STORMWARRIOR
- THE FORMATION OF DAMNATION/TESTAMENT
- THE SCARECROW/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA
- SHOGUN/TRIVIUM
- HWAINOO/ULTIMATIUM
- THE MARCH/UNEARTH
- THE END OF LIFE/UNSUN
- HELL/VENOM
- ALL MY LIFE/VIPER
■ | JanuaryBRAINSTORM | LEGION OF THE DAMNED | MEKONG DELTA | METALIUM | NORTHER | TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA | |
DOWNBURST/BRAINSTORM |
ダウンバースト/ブレインストーム |
METAL BLADE JAPAN MBCY-1092 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンパワーメタラーの7枚目のアルバムです。プロデュースにサシャ・ピートとミロを迎えたもののベーシストが脱退しています。大型機械が唸りを上げるSEから激しく突き進んでいくアルバムは、強力なギターリフで押し捲るパワーメタルナンバーの1から熱気と覇気に溢れるサウンドを展開しており、鮮やかなギターソロやキーボードの効果的な演出も劇的さを後押ししていきます。シングルカットもされたヘヴィナンバーの2は彼らの持ち味を発揮するミドルテンポのナンバーで意気上がる強力なクワイアが印象的。リリカルなムードがヘヴィリフで強化されていくエモーショナルな3、色褪せたサウンドのイントロから鮮やかに変転するスピードナンバーの4は壮大な演出のコーラスで盛り上がるシャープな一曲。叙情的なメロディを紡いでいく5は感情が高まるパワーバラード。エモーショナルな感覚がソリッドなリフと押し寄せる叙情感の募るハードなミドルテンポナンバーの6、破壊力のあるギターリフで突進する7は疾走感のあるビートと開放感のあるコーラスが合わさったパワーメタルナンバー。ストリングスを加えたイントロからセンチメンタルに迫る多層のコーラスもドラマティックな8、ダイナミックなリフが襲い来る9は威圧感を高めながら進むアグレッシヴなナンバー、タメの効いたソリッドなリフが情感豊かな歌唱と一体になって迫る劇的ナンバーの10、ボーナストラックの11はウィスパーヴォイスも飛び出すグルーヴィなヘヴィロックナンバー、スピード感あふれる切れ味鋭いギターリフと哀愁メロディで突っ走るファストナンバーの超日本向けな12、13は2のインダストリアル風リミックス。 二人のプロデューサーの影響か、以前よりも多少人当たりが良くなったサウンドは独特の硬質感を維持しつつも更にリスナーの裾野を広げていけそうなキャッチーさも手にしており、豪腕パワーメタル一本だけではない多彩な要素も加えて楽曲を作り出しています。フラッシーなギターソロも更に強化されて楽曲の劇的さも高まる渾身のアルバムは、経験と地力のバランスが最高潮に高まった紛れも無くヘヴィメタルな一枚です。 |
同系統アルバム WALK THE EARTH/SILENT FORCE EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE WARBALL/VICIOUS RUMORS |
FEEL THE BLADE/LEGION OF THE DAMNED |
フィール・ザ・ブレイド/リージョン・オヴ・ザ・ダムド |
SPIRITUAL BEAST POCE-16019 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?オランダ出身のバンドが前身バンド時代の最後のアルバムをそのまま収録し、更に新曲とカバーを加えた三枚目のアルバムです。爆発するリフと凶悪な咆哮の応酬が圧巻の緩急激しい突進ナンバーから始まるアルバムは、壁のようなギターリフが間近に迫るミドルテンポの2、噛み付くように突進する狂気のファストナンバーの3、畳み掛けるリフが圧倒的な破壊力を持って突撃する4、クランチーなリフがうねる起伏の激しいミドルテンポの5、静かな曲調が不安感を煽るインストの6から一転アグレッシヴに突進する7へと。更に激しさを増す8は炸裂するコーラスが熱気を煽ります。圧迫感の強いリフで押し切る凶悪な9、凶暴なミドルテンポの10、獣性を抑えつけながら重量感たっぷりに迫る11はリズムチェンジして凶悪さを増していきます。ドカドカ突っ走る12から、13は同郷バンド、ペスティレンスのカバー。ボーナストラックにはライヴバージョンが3曲収録されています。 前身バンドの終わりごろには既にスタイルが確立されていた事がまざまざと窺えると言うか、バンドの歴史の継続性が分かる、現在のバンドとの共通点の多いサウンドが展開されていくわけですが、最近は更に磨きが掛かってきたことも思い出させます。スラッシュメタル魂が途切れることなく受け継がれてきたことが喜ばしい、破壊力満点の一枚でした。 |
同系統アルバム HE WHO SHALL NOT BLEED/DIMENSION ZERO INCINERATE/DEW-SCENTED SERPENT SMILES AND KILLER EYES/HATESPHERE |
LURKING FEAR/MEKONG DELTA |
ラーキング・フィア/メコン・デルタ |
KING RECORD KICP-1289 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?2007年に発表された伝説のジャーマンスラッシュの長い雌伏期間を経ての復活8thアルバムです。ラルフ・ヒューベルト以外のメンバーは、ドラマーにすっかりジャーマンメタルの顔となったウリ・カッシュ、ギターにセオリー・イン・プラクティスのピーター・レイク、ヴォーカルにはスキャナーやエンジェル・ダストで活動していたレオ・ズゥピジエルという実力者を揃えています。一聴しただけで彼らと分かる独特のリフワークが戻ってきたアルバムは、不穏な空気と一寸先は闇の摩訶不思議な空間を創り出しており、不安感を与えるギターリフの異様な展開と浮遊するハイトーンヴォーカル、壮絶に繰り出される楽器陣の緊張感あふれるプレイが炸裂する1から、変態スラッシュメタルが繰り広げられていきます。遊び心の残るインストゥルメンタルナンバーの4や7など彼らのユーモアとチャレンジ精神が窺える楽曲もありベテランアーティストの余裕も感じさせます。 クラシックやジャズ、フュージョンなどをスラッシュメタルの闇鍋に叩き込んだ孤高のサウンドは、これまでのキャリアを一旦まとめ上げたような各年代の彼らの持ち味が現れたものになっていて、テクニックに定評のあるメンバーの安定したプレイが当時のサウンドをブラッシュアップしたような印象も与えます。長いブランクがあったことを全く感じさせない異次元のサウンドに改めて驚かされる、完全復帰の一枚です。 |
同系統アルバム YEARS IN WASTE/OMNIUM GATHERUM THE UNDERCURRENT/SCARVE METAL/ANNIHILATOR |
INCUBUS -CHAPTER SEVEN-/METALIUM |
インキュバス〜チャプター・セブン/メタリウム |
SOUNDHOLIC TKCS-85179 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンピュアメタラーの7枚目のアルバムです。ギタリストが交替していますが、前任は脱退していない模様。暗いムードを演出しながら進むマーチ風イントロから始まるアルバムは、起伏の激しいアップテンポのドラマティックな1で一気に空気を変えていきます。勇壮なコーラスも相まって圧迫感と熱気が一体になって迫るミドルテンポの3、ヘヴィネスとイーヴルな空気がオカルティックに展開していくタイトルトラックの4は、怒りと情念が混沌としたスローナンバー。パワフルなギターリフで進む5はダイナミックなメロディ展開が情感を高めていくミドルテンポのナンバー。唸りを上げるリフで突き進むアップテンポのナンバーの6、ドラマティックでダークなイントロから勇ましいクワイアも加わった劇的熱血ナンバーの7、タイトなギターリフを積み重ねていくミドルテンポの8は密度の高い情念込めた一曲。クランチーなリフで突っ走る9はドライヴ感とハイテンションのスクリームで息上がるナンバー。アクセプト系の重厚でグルーヴィなナンバーの10、ボーナストラックの11はダークな雰囲気のアップテンポなナンバー。 ミドルテンポの曲を中心にエモーショナルなサウンドを徹底的に叩きつけていくアルバムは、スピード感や爽快感は更に減退したもののバンドの意志が強く伝わる緊迫感と緊張感の強まった、文字通りのパワーメタルサウンドを作り出しています。初期のバンドのイメージはどこに行ったのかと言うシリアスムードのみで構成されるサウンドは、力を抜いたところが微塵も無いストイックな姿勢に裏打ちされており、頑強でソリッドな質感が聴き手を圧迫していく一枚でした。 |
同系統アルバム FRAMING ARMAGEDDON:SOMETHING WICKED PART 1/ICED EARTH EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE WARBALL/VICIOUS RUMORS |
N/NORTHER |
N/ノーサー |
MARQUEE MICP-10715 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの5枚目のアルバムです。スリリングなギターリフで突進し、泣きのギターが炸裂する起伏の激しいデスヴォイスもアグレッシヴに迫るファストナンバーの1で幕を開けるアルバムは、前作からの流れを汲んだバラエティの強まったメロディックデスメタル・サウンドを作り出しており、キラキラ感の強まるイントロから躍動的に突っ走るメロディックな2では叙情感あるクリーンコーラスでムードを一変させ、遠めから始まる3は寂寥感も高まる情動的な劇的ナンバー。威嚇的な凶暴パートから哀愁たっぷりのクリーンパートへと雪崩れ込むコントラストの強い4、ドラマティックなイントロからバラード風の曲調と凶悪なヴォーカルの組み合わせが哀哭度を上げる5、哀愁リフでダイナミックに突っ走る6、疾走感の強まるライヴ映えしそうなコーラスが熱いロックアンセムの7、クランチーなリフで構成される8は硬質感とメロディが重なり合うアップテンポのナンバー。ヘヴィなイントロからの9はザクザクしたリフがパワーメタル風味で勢いのあるコンパクトな楽曲。クリーントーンとデスヴォイスで唄うパワーバラードの10、攻撃性を前面に出して威圧していく展開が急なメロデスナンバーの11では緊迫感あるギターソロで圧倒していきます。激情を吐き出すミドルテンポのドラマティックな楽曲の12、ボーナストラックの13はヒップホップなグループのカバーですが何が何でもメタルです。 周囲の雑音を余り気にしないで、自分達の思うように作ったサウンドになっているアルバムは、コマーシャルな側面が強まったある意味万人向けな作品に仕上がっていて、叙情的なメロディはそのままに前作からのロック的な押しの強さとキャッチーな要素を更に強めています。そういうわけで、全体的には普通にレベルアップしているわけですが、この激戦区のスタイルで頭角を現すのは結構大変な気がする一枚です。 |
同系統アルバム FICTION/DARK TRANQUILLITY LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST COME CLARITY/IN FLAMES |
THE SCARECROW/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA |
ザ・スケアクロウ/トビアス・サメッツ・アヴァンタジア |
MARQUEE MICP-10710 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?エドガイのヴォーカリスト、トビアス・サメットのメタルオペラ・プロジェクトの第三弾です。エスニックな香りが漂う重厚なムードの1から始まるアルバムは、キャメロットのカーンの艶かしい歌声が口火を切ってドラマティックな展開の壮大な楽曲を演出していきます。ケルティックな空気を持ったタイトルトラックの2はヨルン・ランデの力強い歌唱が聴けるミドルテンポの劇的な大作でスケール感の大きい楽曲に仕上がっています。マイケル・キスクが久々に唄うハロウィン風の3は皆が待ってたアップテンポのナンバー、カイ・ハンセンもギターで参加。ソフトなタッチの優しいナンバーの4、アマンダ・ソマーヴィルがメインヴォーカルを張るセリーヌ・ディオンみたいなデュエットナンバーの5、再びヨルン・ランデが力強い歌唱を聴かせるスピードナンバーの6、アリス・クーパーが妖しく唄うミステリアスな7はスリリングなギターソロから一気に盛り上がります。アップテンポの躍動感あふれるドラマティックなメタルナンバーの8でもヨルン・ランデが熱唱。ボブ・カトレイが中心になって進むバラードナンバーの9、オリヴァー・ハートマンにルドルフ・シェンカーが参加した湿ったハードロックナンバーの10、11はシングルカットされていた繊細でドラマティックな楽曲。ボーナストラックの12は7の別バージョンが収録されています。 ベースまでプレイするトビアス・サメットの多彩な才能が再び明らかになった作品ですが、メタルに拘らない自身のルーツに忠実なロックアルバムとなったあたりは、バンドでの制約を感じているのか否かは不明。前作ですっかり信用度や人望も高まって求心力も増したプロデュース能力や、多彩なアーティストとのコラボレーションによって独自の世界を強化していくあたりは、アーティスティックな面でも更に成長を感じさせており、バンドを辞めてソロ活動に走っていかないかと心配になりそうな一枚です。 |
同系統アルバム THE DIVINE CONSPIRACY/EPICA DARK PASSION PLAY [LIMITED EDITION]/NIGHTWISH INTO THE LIGHT/NUCLEAR BLAST ALLSTARS |
■ | FebrualyBIOMECHANICAL | MESHUGGAH | RAGE | ROYAL HUNT | SERPENT | |
CANNIBALISED/BIOMECHANICAL |
カンニバライズド/バイオメカニカル |
HOWLING BULL YDSI-0020 [☆☆☆] >>>>>BUY...?英国産テクニカルメタルの三枚目のアルバムです。バンドの中心人物であるジョン・K以外全員脱退という危機的状況に陥りながらも、元ドラゴンフォースのエイドリアン・ランバートなどを迎えて製作されています。ホラー風味のスリリングなイントロから壮絶なリフワークとヒステリックなハイトーンからデスヴォイスまでを繰り出す混乱と歌劇風演出が入り混じった狂気のプレイが炸裂する1から始まるアルバムは、ロック的なドライヴ感の強いパンキッシュなヘヴィナンバーの2、ブルータルに突進していく3は不安感を醸造しながら混乱に拍車を掛けていきます。アコースティックなイントロから爆発力のあるヘヴィリフを展開させていく4はクイーンズライク的エモーションを加えていきます。重く分厚いギターリフを叩きつけていく5はハイトーンコーラスも飛び出すアグレッシヴな突撃ナンバー。スピードを抑えた陰鬱なムードから疾走していくダイナミックな展開の6、オーケストレーションも加わった恐怖演出の緊迫感あふれる7、ブルータルに突進していくパッショネイトな8、連続性を持たせた9はオーケストレーションによるイントロからエモーショナルにオペラティックな歌唱が広がる壮大なナンバー。一転してブルータルに突撃する10は音の壁で圧殺する勢いを見せます。ボーナストラックの11は1、8のオーケストラアレンジが収録されています。 ブルータルメタルに様々な要素を濾過しないで突っ込んでみた作風は前作と変わりなく、スタイル的にはメンバーチェンジの影響はほとんど無いようです。作品的には前作の延長線上にあって、掘り下げ方が浅いと言うか音圧や密度の割には軽い作風という傾向が進行しているのが、バンド内のゴタゴタを反映していなくも無く。問答無用の音の洪水に圧倒されていく感覚はタップリ味わえる一枚でした。 |
同系統アルバム METAL/ANNIHILATOR LURKING FEAR/MEKONG DELTA REPTILE RIDE/AMORAL |
OBZEN/MESHUGGAH |
オブゼン/メシュガー |
MARQUEE MICP-10692 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のエクストリームメタルバンドの6枚目のアルバムです。獣性の強いデスヴォイスとノイジーで切れ味鋭いリフが変幻自在に展開されていく異様なサウンドは、ここに来て更に凄みを増しつつ不安感と焦燥感を煽り立てており、高速ナンバーの1、神秘性と不安定さを安定して構築するミドルテンポの2、唸りを上げる鉄壁のギターリフで圧倒していくアグレッシヴな3、不安感を増大させるヘヴィリフが非人間的に迫るスローナンバーの4、再び攻撃的に混沌を突きつける5、不穏な空気を一気に上昇させるヘヴィナンバーの6、アップテンポなのに不安感を拭えない変拍子炸裂のテクニカルなビートが浮遊感を生み出す7、圧巻のビート感が怒涛のように押し寄せる圧迫感の強まる8、孤立感が募るイントロから畳み掛ける混沌のリフが異様な世界を生み出していく9、と人外のサウンドで埋め尽くされるアルバムなわけで相変わらずの孤高性と独自の世界で突っ走ってます。メシュガーの積み重ねられた狂気に満ちた異次元空間にダイヴできる一枚でした。 |
同系統アルバム YEARS IN WASTE/OMNIUM GATHERUM THE UNDERCURRENT/SCARVE PASSENGER/MNEMIC |
CARVED IN STONE/RAGE |
カーヴド・イン・ストーン/レイジ |
MARQUEE MICP-10720 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンメタルのすっかり重鎮、レイジの多分16枚目くらいのアルバムです。マイク・テラーナがマスタープランに行ってしまったので、後任にサイレント・フォースでも活動するアンドレ・ヒルジャースを迎えて製作しています。レイジなのにフルアルバムに10曲しか収録されていないなんて!Σ(゜д゜lll)ガーン と言う、久しぶりにコンパクトにまとまった感のあるアルバムは、新ドラマーの堅実なプレイもあって、いつもと変わらぬ安定したサウンドを作り出しています。物悲しいイントロから激しいギターリフを叩きつけて突き進むパワーメタリックなタイトルトラックから、ダークでクールな感覚を強めるアグレッシヴな2、高速パートで一気にテンションを上げる3はメロディアスな唄が一体となって突き進むダイナミックなナンバー。エスニックなムードが漂うヘヴィナンバーの4、哀愁パートとヘヴィパートのコントラストも激しいパワーバラードの5、哀愁帯びたメロディがストレートな曲調に乗って進むアップテンポの6、ヘヴィリフが力強く迫る7は感情をダイレクトに叩きつけていくミドルテンポのナンバー。タフなギターリフに導かれる8は感情揺さぶるコーラスとテクニカルなギターソロもダイナミックなアップテンポの曲、モダンなギターリフがリリカルなメロディと重なり合って哀感を生み出すミドルテンポの9、オーケストレーションも加わってドラマティックに突き進む10は陰鬱な世界観が支配するヘヴィナンバー。 新たなメンバーも加わって、またしてもバンドの原点を見直すことになってしまったアルバムは、ツインギター時代のサウンドに近い感覚のストレートな作風になっています。もっとも、ヴィクター・スモールスキのテクニカルなプレイは相変わらずだし、その前に作っていたニュークリア・ブラストのコンピレーションの影響も多少見え隠れしますが、実験的な要素がカットされたやっぱり少し前のレイジって感じが濃厚な上に、ついでにピーヴィーの趣味性も減っています。ここ最近の変態度の下がった万人向けなスタイルが更に強化されている、レイジ的には割と普通な一枚でした。 |
同系統アルバム METAL/ANNIHILATOR BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND EMOTIONAL COMA/LIONS SHARE |
COLLISION COURSE -PARADOX II-/ROYAL HUNT |
コリジョン・コース〜パラドックスII〜/ロイヤル・ハント |
MARQUEE MICP-10713 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマークのバンドの9枚目のアルバムです。ヴォーカルにマーク・ボールズを迎えて製作されています。名作と呼ばれる「PARADOX」の続編と言う位置付けになっています。哀愁帯びたイントロダクションから始まるアルバムは、繰り出されるメロディの波が絶えることなく押し寄せる1から劇的展開を見せていきます。力強いヴォーカルと哀愁メロディが一体となって迫る畳み掛ける美展開とテクニカルなプレイが凄まじい2、哀感たっぷりの叙情性が高まるミドルテンポの3、緊迫感高まる4、優しいムードでセンチメンタルなメロディを歌い上げていくエモーショナルな5は後半に向けてドライヴ感を強めていくダイナミックなナンバー、キラキラキーボードと扇情性高まるメロディが一体となって迫るミドルテンポの6、ダークなムードが高まる7は懊悩感が漂うミステリアスなナンバー、女性ヴォーカルも加わった8は感情が激発していくドラマティックナンバーで力強いメロディと構築性の高い展開で圧倒していきます。怒声のSEから熱情込めて暗い雰囲気を醸造していく9はヴォーカリストの力量と重厚なコーラスが圧巻の壮大なナンバー。ムードを一転させて攻撃性を高めていく10は様々なヴォーカルが開放感あふれるコーラスを繋いでいく劇的展開を迎えて幕を閉じます。 実力者のマーク・ボールズを迎えたことで更に完成度の高まったアルバムは、クオリティとは別に不振の続いていた最近の状況を覆すポテンシャルを秘めており、名作の続編と言う自らに枷を課したハードルをクリアしていきます。バンドとの親和性も非常に高いマーク・ボールズがいつまでバンドに留まってくれるかは不明ですが、徹頭徹尾劇的美旋律楽曲がこれでもかと詰め込まれた渾身の一枚でした。 |
同系統アルバム MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE WALK THE EARTH/SILENT FORCE TAROT/DARK MOOR |
xGODx/SERPENT |
ゴッド/サーペント |
SOUNDHOLIC TKCS-85186 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?神戸出身のバンドのセカンドアルバムです。遠くから聞こえる物悲しいピアノの音に導かれるアルバムは、ドラマティックなイントロからわめくデスヴォイスと溢れるメロディが炸裂するスピードナンバーの2へと突き進んでいきます。どこを切っても哀愁メロディが零れ落ちる凄まじい密度のアルバムですが、メランコリックなギターリフに加えて扇情的なギターソロも涙腺を刺激し続ける凶悪な代物で、ここまでやってくれるとデスメタルではない何か別のものと言った方が正しいに違いないと確信させます。スピードを上げても下げてもメロディアス。畳み掛けるタイトなビートがスピード感を生み出す5あたりはヴォーカルの使い分けの妙もあってドラマ性と情感が交錯する演出力の向上を感じさせます。センチメンタルなメロディが炸裂する8は少し毛色の違う哀愁の一曲。ゴシック風味な10もドラマティック。 このメロディの塊を削ってヘヴィメタルに仕上げたようなアルバムは、このまま衝動的で叙情的な日本独自と呼ばれるようなサウンドを追求していってもらいたい一枚です。 |
同系統アルバム LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST BEFORE THE BLEEDING SUN/ETERNAL TEARS OF SORROW THORNOGRAPHY/CRADLE OF FILTH |
■ | MarchAGENT STEEL | BENEDICTUM | ELUVEITIE | FREQUENCY | IN FLAMES | KORPIKLAANI | MARTY FRIEDMAN | |
ALIENIGMA/AGENT STEEL |
エイリアニグマ/エージェント・スティール |
SPIRITUAL BEAST POCE-16022 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカンスピードメタルの2007年に発表された5枚目のアルバムです。スラッシーな刻みが炸裂していく爆走スピードナンバーの1で幕を開けるアルバムは、迫力あるダミ声ヴォーカルとドラマティックでテクニカルなギタープレイが満載の80年代サウンドを思い起こさせる楽曲を揃えています。不穏なギターリフで進む2は圧迫感を高めつつハイテンションのヴォーカルが叫ぶアップテンポのナンバー、破壊力のあるヘヴィリフで展開する3、グルーヴィなリフと起伏の激しいヴォーカルが不安感を煽るダークな4は加速するテンポで盛り上げます。ソリッドなギターリフで突き進む5はフラッシーなツインギターソロでテンションを上げていきます。クランチーなリフでアジテイトしていく攻撃的な6、ダイナミックなリフワークでドラマティックに迫る7は哀愁と壮大さを持ったナンバー。緊迫感高まるリフがハイテンションヴォーカルと共に起伏の激しい楽曲を演出する8、神話的な題材をダークなパワーメタルに仕上げた9、凶悪な暴走状態を維持するアグレッシヴな10、ボーナストラックには、UFOの名曲のカバーが収録されています。 徹頭徹尾、隙の無い高密度の鋼鉄サウンドを展開していくアルバムは、ダイナミックな展開とスラッシーな曲調が合わさった過去と現在が融合した楽曲を作り出しており、自分達のルーツの保持と時代性の確保の両立を果たしています。破滅的な題材のサイエンスフィクションなテーマを組み込んだ楽曲は、ゆるいリスナーを受け付けない強靭さと物騒さを露にしていきますが、ヘヴィメタルと言うイメージに忠実な攻撃性と質感を兼ね備えた強力な一枚です。 |
同系統アルバム METAL/ANNIHILATOR THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL THE FINAL SIGN OF EVIL/SODOM |
SEASONS OF TRAGEDY/BENEDICTUM |
シーズンズ・オブ・トラジェディー/ベネディクト |
LOCOMOTIVE RECORDS LM-555 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ産パワーメタルバンドのセカンドアルバムです。エキゾチックなムードのイントロダクションから、畳み掛けるハードアタックなギターリフの2へと移行していくアルバムは、男前な野太い歌唱を聴かせる姉さんのパワフルヴォーカルが炸裂する豪腕系のパワーメタルを作り出しており、フラッシーなギターソロにキーボードも加わったドラマティックな展開を見せます。ダイナミックなギターリフが大きく展開するミドルテンポの3はエモーショナルなヴォーカルのパフォーマンスも相まってスケール感も大きく迫ります。ヘヴィでダークな4はソリッドなヴォーカルとエモーショナルなコーラスが交錯して硬質感と情感を高めていきます。ミドルテンポの5は熱いヴォーカルが感情豊かに歌い上げ、ヘヴィリフとの温度差を生み出します。躍動するリフとハイテンションのヴォーカルにデス声コーラスまで加わるパワフルな劇的メタルナンバーの6、掻痒感の強いリフで進むグルーヴィにドライヴする7、タイトなビートの上をエモーショナルに浮遊する8、9はアクセプトの代表曲のカバー、10はメランコリックなメロディが紡がれるエモーショナルナンバー、荘厳なイントロからシリアスなドラマティック展開を見せる大作の11でアルバムは幕を閉じます。 女傑と言った感の強まるヴォーカルの押しの強さで圧倒されるアルバムは、オーセンティックなパワーメタルサウンドを作り出しており、それ自体は特筆すべきものではないですが、安定感のある堅実なものになっています。ヴォーカルが言われてみれば女性と言う具合でなかったら、すっかり埋もれてしまいそうな派手さの少ないサウンドですが、とりあえず安心して聴かせるクオリティの熱気あふれるメタル魂の伝わる一枚でした。 |
同系統アルバム WARBALL/VICIOUS RUMORS UNITED/DREAM EVIL COMPASSION DENIED/FREQUENCY |
SLANIA/ELUVEITIE |
魔笛の国のスラニア/エルヴェイティ |
HOWLING BULL YDSI-0027 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スイス出身の8人組バンドの二枚目のアルバムです。哀愁と望郷感たっぷりのダイナミックなイントロダクションから始まるアルバムは、四季の移り変わりを描写しながらフォーキッシュなサウンドを作り出していきます。凶暴なデスヴォイスで進む2は北欧メロディックデスメタル風のシャープな展開とフィドルやマンドラなどの民族楽器の調べが組み合わさったスピード感のあるナンバー。牧歌的なメロディ満載のフォーク的感覚とデスヴォイスのコントラストが激しいミドルテンポの3、フォーキッシュに突き進む叙情的なアップテンポの4、季節を転回するインストゥルメンタルの5に続いて、フォーキッシュな楽器のアクセントが効いた哀愁メロデス突進ナンバーの6、フォーキッシュなイントロからアグレッシヴなメロデスサウンドを紡ぎだす7は起伏の激しい展開が印象的。女性ヴォーカルが朗々と歌い上げ、デスヴォイスが慟哭の叫びを上げるミドルテンポの牧歌的な8、インストゥルメンタルの9を挟んで、フォーキッシュ劇的メロデスナンバーの10へと。歓喜と哀愁が渾然一体となった叙情感たっぷりの突進ナンバーの11、コーラスとドラマティックな演出の哀愁アウトロでアルバムは幕を閉じます。ボーナストラックには1のアコースティックバージョンが収録されています。 フォークな空気を生み出す多彩な楽器陣以外は、割と正統派なメロディックデスメタル的な曲作りが比重を占めており北欧バンドよりも濃厚でない世界が繰り広げられていきます。民謡メロディと冷気漂うメロデスサウンドが一体になって迫る、コントラストの強い世界観を演出していく一枚です。しかしヴァイキングメタルと言ってもそもそもスイスには海が無い(´Д`;) |
同系統アルバム VICTORY SONGS/ENSIFERUM FICTION/DARK TRANQUILLITY TURIS FRATYR/EQUILIBRIUM |
COMPASSION DENIED/FREQUENCY |
コンパッション・ディナイド/フリークエンシー |
SOUNDHOLIC TKCS-85190 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドのセカンドアルバムです。ヴォーカリストにアット・ヴァンスなどで活動するリック・アルッツィを迎えて製作されています。ハスキーな声質の粘投系ハイトーンヴォーカルを擁することになった新たなアルバムは、ヘヴィリフが迫るミドルテンポのメタリックなパートとエモーショナルなパートが絡み合う1から、ドラマティックなヘヴィメタルを展開していきます。スピード感を増したギターリフを繰り出す2はソリッドなリフが緊迫感を高める扇情的なナンバー。重量感あるギターリフが荒涼感の残るメロディに絡みつくミドルテンポの3、叙情感を孕むリフをエモーショナルなヴォーカルで彩る4はヒードのダニエル・ヘイマンが参加。這いずるようなリフでグルーヴ感を生み出していくパワーバラードの5、叙情リフのイントロからテクニカルに進むミドルテンポのエモーショナルな6、ダークなリフが情感豊かなヴォーカルに引っ張られるダイナミックな展開の7、キャッチーで躍動感のあるリフで進むドラマティックな8、ソリッドなリフが重厚に迫る9は威嚇的なデスヴォイスも加わってドラマティックに開放されていきます。ボーナストラックの10はロクセットのカバー!が収録されています。 前作の流れを汲んだオーセンティックなメタルサウンドを展開していくアルバムは、新たに加わったヴォーカリストの力量もあって、確かにクオリティアップを果たしており安定した作品に仕上がっています。ヴォーカリストがバンド専任ではないと言う不安材料はありますが、ドラマティックなメタルらしいメタルな一枚になっていますが… つーかこのヴォーカリストは結局三つのバンドを掛け持ちしているわけで、これでどのバンドのライヴパフォーマンスもほとんど期待できないことが明白に。ライヴで酷い惨状→低評価→路線変更とかの負のスパイラルに突入しないか本当に心配ですが、どうしてこうも同じヴォーカリストに集中してしまうのか!こいつらは!脱退したヴォーカリストはいったい何をやっているのか、どの元ヴォーカルも実力派だっただけに、バンド活動しないのは大いなる損失ですが、こんな独自性を失うような選択をするバンド群に本当に未来はあるのか? |
同系統アルバム EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE NEW PROTECTION/RIDE THE SKY UNITED/DREAM EVIL |
A SENSE OF PURPOSE/IN FLAMES |
ア・センス・オブ・パーパス/イン・フレイムス |
TOY'S FACTORY TFCK-87435 [☆☆☆] >>>>>BUY...?北欧メロデスの雄、イン・フレイムスの9枚目のアルバムです。起伏も激しく畳み掛けるスピード感のある1から始まるアルバムは、初期のテイストを若干戻したサウンドを展開させていき、モダンさが多少薄まっています。突進力を上げた2は緊張感と開放された叙情感のコントラストを強めるメロディアスなナンバー。北欧的な叙情リフで突き進む小気味良いアップテンポの3ではエモーショナルなコーラスが印象的。煽情性の高いメロディで迫るスローナンバーの4、叙情リフが炸裂する5は加速して一気に盛り上げるダイナミックなナンバー、ソリッドなリフが叙情感と融合していくメロディアスなミドルテンポの6、グルーヴィなリフとエモーショナルな叫びが交錯していく7、ニューウェーブ的な哀愁と叙情感を生み出すセンチメンタルでエモーショナルな8、突撃リフでとりあえず咆哮して疾走してみる9、重量感のあるギターリフが扇情的なメロディに絡みつくミドルテンポの10、11、再びドカドカ疾走してみるダイナミックな劇的ナンバーの12、ボーナストラックの13は叙情リフで畳み掛ける劇的疾走ナンバー、14、15はアップテンポの叙情ナンバーが収録されています。 方向性の軌道修正をして初期を思い起こさせる楽曲を揃えてきたアルバムですが、マイルドなサウンドと相まって全体的な劣化は否めないところで、これまでのモダンな路線よりは溜飲が下がる側面もあるにせよ、求心力では大幅に後退している感が強まっています。更にヴォーカルがクリーントーンをほとんど使わなくなったのも初期を思わせますが、その代わりにメロディ重視のためにデスヴォイスと言うよりは中途半端なダーティヴォイスになってしまっていて、ダイナミズムの点で大きくマイナスに。クリーントーンのコーラスが減ってメタルコア勢とは多少の違いを示すことは出来たものの楽曲のバリエーションも大幅に減って閉塞感ばかりが残る一枚でした。 |
同系統アルバム LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST DREAMCRUSHER/NAILDOWN N/NORTHER |
KORVEN KUNINGAS/KORPIKLAANI |
森界の王/コルピクラーニ |
MARQUEE MICP-10721 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身の呑んだくれメタルバンドの5枚目のアルバムです。ヴァイオリンやアコーディオンを引き連れて突っ走っていく、テンション高めのファストナンバーの1で幕を開けるアルバムは、前作辺りまでの騒乱状態が少し落ち着いてシリアス度が上がったサウンドを展開しており、フォーキーなメロディが哀愁帯びて展開されるミドルテンポの2、郷愁感と望郷感を合わせ持つ雄大なアップテンポの3は割とメロディラインがお経っぽい仕上がり。素朴なメロディで森の生活ををイキイキと描き出す4、パーティ風味のメランコリックなメロディが発動するインストの5、哀愁メロディを前面に押し出したパワフルな6、物悲しいメロディがダイナミックに展開されるミドルテンポの7、叙情感高まるバラード風ナンバーの8、一転して突進力を見せる9は緊張感を持ったインストナンバー。アップテンポで突っ走る10は勇壮さも取り戻した激しいナンバー、今までにない負の感情を露にするミドルテンポの11、叙情的なメロディがテンポアップと共に高まっていくドラマティックな12、スリリングに加速していく13は唸りを上げる楽器陣が咆哮するコーラスと一体に突き進むスピードナンバー。朗々と唄われる哀愁メロディが印象的なスローナンバーの14、タイトルトラックのインストナンバーは沈痛さとそれを打ち破る希望を合わせ持ったダイナミックな曲になっています。 方向性がシリアスに転進した前作から見ると、嫁さんに飲みすぎを叱られて心機一転して仕事に邁進してみました、みたいな真面目さが更に漂うサウンドは特徴的だった異常なハイテンションっぷりが影を潜めています。その分、シンプルにメロディを味わうことが出来るわけですが、あのバカっぽく騒々しい素面では出来そうにないサウンドが恋しくなってくるのも事実。クオリティとしては徐々に向上しているものの、ちょっと寂しい感じが募る一枚でした。 |
同系統アルバム THE VARANGIAN WAY/TURISAS DRAGONHEADS/ENSIFERUM TURIS FRATYR/EQUILIBRIUM |
FUTURE ADDICT/MARTY FRIEDMAN |
フューチャー・アディクト/マーティ・フリードマン |
AVEX TRAX AVCD-23546 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?日本人より演歌の心が分かる?元メガデスのギタリスト、すっかり日本在住のマーティー・フリードマンの7枚目のアルバムです。今回はB'zなどでドラムを担当するジェレミー・コルソンをヴォーカルにも起用して自身の楽曲のカバーなどで構成した一枚になっています。ヴォーカリストとしての力量は全く未知数のジェレミー・コルソンですが、バッドボーイズ・ロックンロールに似合いそうなクセのある唄いっぷりでこれまで、マーティーが一緒にプレイしてきたヴォーカリストの中ではデイヴ・ムステインに近い…ことはないな。書き下ろしのゴシック調イントロダクションの1から始まるアルバムは、アグレッションとメロディが交錯する新曲の2で本気度を垣間見せます。衝撃の仕上がりになったメガデスの名曲の3はギターソロに入らないと原型を思い出せない思い切ったアレンジ。4、5はカコフォニーの楽曲で…と言うかもう全く思い出せないのが難ですが(´Д`;)アグレッシヴでキレのある仕上がりになっています。問題作「RISK」からの楽曲の6はメガデスでやった方が合いそうなロックしているアレンジで当時の混乱振りが思い返されます。もう憶えている人も少ない、ハワイからの楽曲の7はイーブルでヘヴィなアレンジが印象的なナンバー。「YOUTHANASIA」からの8は比較的原曲を維持しつつアクセントを加えています。9は新曲でアッパーな感覚とロックなフィーリングが合わさったアップテンポのナンバー。シャッフルするビートがスリリングに迫る、ハワイの曲の10、マーティーの最初のバンドであるDEUCEからの楽曲の11は原曲も分からないので何ですが攻撃的かつ緊迫感を持ったメガデスっぽいメタルナンバーになってます。12はストリングなども加わったロマンティックなインストナンバー。 素人っぽさが時折現れるヴォーカルの力量はさておき、フラッシーなプレイを聴かせるマーティーのプレイは相変わらずですが、自身の過去の楽曲に向き合うことでメタル魂が燃え上がってきた…ような。なんとなくまたバンドをやりたくなってきたような気配を感じさせる楽曲に、もう一度ワールドワイドなメタルシーンでバンドを率いて才能を発揮して欲しいと思わせる一枚です。 |
同系統アルバム BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND CIRCUS OF FOOLS/MACHINE MEN AVENGED SEVENFOLD/AVENGED SEVENFOLD |
■ | AprilALESTORM | CHILDREN OF BODOM | DISMEMBER | FIREFLIGHT | PARADOX | PATHOSRAY | SCELERATA | |
CAPTAIN MORGAN'S REVENGE/ALESTORM |
モルガン船長の復讐日誌/エイルストーム |
HOWLING BULL YDSI-0030 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スコットランド出身のバンドのファーストアルバムです。勇壮で哀愁帯びたメロディで突き進む1からダミ声ヴォーカルが荒々しく吐き捨てていくアイリッシュなムードも残るヴァイキング、いやパイレーツメタルが展開されていきます。ドラマティックに流転するイントロからアグレッシヴに進む2はファンファーレ的なキーボードアレンジが高揚感を高める劇的ナンバー。アコーディオンの響きに導かれる3は威圧感の強いヴォーカルが襲い掛かり威勢のいいクワイアも熱いアップテンポのナンバー、哀愁帯びたアコーディオンとヴォーカルが情念深く迫るスローナンバーの4、タイトなビートで噛み付くように迫るエッジの効いたナンバーの5、クランチーなリフで追い込むこのアルバムでは比較的オーセンティックなパワーメタルナンバーの6、勇ましいメロディがギャロップしていくクワイアもハイテンションのアップテンポの7、フォーキッシュなメロディがアコースティックで描き出されるエレジー風の8、ドラマティックなイントロからドライヴしていく勢いのある9、10はスコットランドに伝わる伝統曲のカバー、ボーナストラックの11にはヘヴィメタルアンセムな勢いのあるナンバーが収録されています。 ヴァイキングメタルよりも洗練度が上がって文化的なサウンドを作り出しているアルバムは、確かに「パイレーツ・オブ・カリビアン」あたりの荒々しい時代のヨーロピアンな空気を感じさせるメロディックメタルになっています。ランニング・ワイルドやスカイクラッドや最近のブラインド・ガーディアンあたりにも通じるフォーキーでパワフルなヘヴィメタルを堪能できる一枚です。 |
同系統アルバム VICTORY SONGS/ENSIFERUM THE VARANGIAN WAY/TURISAS KORVEN KUNINGAS/KORPIKLAANI |
BLOODDRUNK [DELUXE EDITION]/CHILDREN OF BODOM |
ブラッドドランク〜デラックス・エディション/チルドレン・オブ・ボドム |
UNIVERSAL MUSIC UICO-9033 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のシンフォニッククサメロデスメタルだったバンドの6枚目のアルバムです。疾走感の強い突撃ナンバーの1で4thアルバムあたりのテンションが戻ってきて期待感を高めては見たものの、バンドの意識がすっかりそこら辺に無い事が徐々に明らかになっていく最終的に虚無感の漂うアルバムは、ミドルテンポで閉塞感の強い2、クランチーなリフとタイトなビートで押し切る3はとりあえずピロピロギターとかキーボードを入れてみた。暗いメロディを激しく叩きつけつつ進む4はインストバトルだけが熱いぜ。シャープなリフで疾走する5はアグレッションを高めつつ、ムーディなインストで盛り上げます。アナイアレイターっぽいリフで押し込む6は哀愁インストパートも鮮やかに。とりあえず突っ走ってみる7は減速と急加速を繰り返す忙しいナンバー。ミドルテンポで吼える8、爆発力を上げて疾走するダイナミックな9、ボーナストラックの10、12はカントリーの名曲のカバーが収録されています。 キラキラクラシカルキーボードやギターソロなんざ恥ずかしくてやってられないぜ!とか言う割には、オーケストラヒットとかクサメロのインストに楽曲の魅力を預けてしまっている矛盾したサウンドがひたすら展開されていくわけですが、冷静に考えたらその辺の要素を減らしたら並みのバンド以下じゃん!という突っ込みを入れずにはいられない。それほど強力なリフが書けるわけでも、扇情的なメロディが作り出せるわけでもなく、勢いで進んできたツケが回ってきたかのような才能の枯渇っぷりが激しいあらゆる点で劣化気味の、カントリーのカバー曲だけが印象に残る一枚でした。 |
同系統アルバム LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST DREAMCRUSHER/NAILDOWN N/NORTHER |
DISMEMBER/DISMEMBER |
ディスメンバー/ディスメンバー |
MARQUEE MICP-10732 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デビュー20周年のスウェーデン産デスメタルバンドの8枚目のアルバムです。長い事チェックしていないうちに、オリジナルメンバーが二人だけになってしまってました。いきなりの爆走状態で突進し緩急の激しい展開で緊迫感を維持するブルータルなデスメタルナンバーで幕を開けるアルバムは、扇情的なギターソロも詰め込みながら突き進みます。ミドルテンポの2は圧迫感の強いギターリフで威嚇的なヴォーカルが迫る強圧なナンバー、ドカドカ突っ走る凶悪な3は湿ったメロディを内包するリフを散りばめつつ哀愁のギターソロを決める爽快ナンバーで、アイアン・メイデンばりのアウトロが印象的。ザクザク切れ込む破壊力のあるギターリフで押し込む4はアグレッシヴなアップテンポのナンバー、爆走状態で突き進む5は正統派スウェーディッシュ・デス。哀愁メロディ炸裂のギタープレイから始まる圧迫感の強いミドルテンポの6、テンションを一気に上げる爆発力と加速力の強い7、のたうつヘヴィネスが圧力を高めていくスローナンバーの8、唸りを上げるギターリフで突っ走る叙情ギターソロも入った爆走ナンバーの9、閉塞感の強いヘヴィナンバーの10、沈痛なイントロから激しくダイナミックに劇的展開していくダークな11、ボーナストラックの12はライヴバージョンが収録されています。 ブルータルな部分とリリカルな部分が混在するスウェーデン産デスメタルらしさを堅持するスタイルはメンバーチェンジも乗り越えて、これまで通りぶっちぎってます。まったく変わらない姿が安心感と信頼を紡ぐデスメタルの化身のような一枚でした。 |
同系統アルバム CANNIBALISED/BIOMECHANICAL FEEL THE BLADE/LEGION OF THE DAMNED REPTILE RIDE/AMORAL |
UNBREAKABLE/FIREFLIGHT |
アンブレイカブル/ファイアフライト |
BMG JAPAN BVCP-21600 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フロリダ出身のバンドのセカンドアルバムです。男性3人、女性2人の五人のバンド構成でエモーショナルなサウンドを作り出しています。ヘヴィさとダークさが重なり合うリフを響かせつつ、情念深くもキャッチーな女性ヴォーカルが歌い上げるドラマティックな1から始まるアルバムは、感情の迸りを止めることなく進んでいきます。静と動のコントラストが鮮やかなミドルテンポの2、ストリングスの重厚な響きのイントロから物悲しく進む3は開放感のあるコーラスがカントリー風味。グルーヴ感を持ったリフに乗って躍動的なヴォーカルが唄うヘヴィナンバーの4、切迫感が高まる5はダイナミックな展開のミドルテンポの曲。情感を高めるバラードナンバーの6、テンポアップして気持ちを高ぶらせていく起伏の大きい7、ミドルテンポの8は暗い感情を込めつつ男性ヴォーカルも加わったドラマティックな一曲。9は哀愁メロディのコーラスが効果的なセンチメンタルなミドルテンポのナンバー、アコースティックな響きが切々と歌い上げるヴォーカルを導く優しく壮大な10、 ボーナストラックの11、12はデビューアルバムからのシングルカットされたナンバー、13は6のアコースティックバージョンが収録されています。 嫌味の無い女性ヴォーカルの情感豊かな響きに癒されつつ、ヘヴィだったり凝った展開を見せたりすると言う、エモーショナルなサウンドはメジャーで勝負する度量の広さを見せていますが、バンドの手札が少ない気がする楽曲のバリエーションの少なさはちょっと聴いていくにつれ効き目が弱まってしまって最終的には印象が薄まってしまうのが残念なところ。基本路線のバラエティは少なそうなので、もうちょっとギミックに凝って目先を変えたほうが長持ちしそうな気がする一枚でした。 |
同系統アルバム FALLEN/EVANESCENCE KARMACODE/LACUNA COIL VOL. 4/LULLACRY |
ELECTRIFY/PARADOX |
エレクトリファイ/パラドックス |
MARQUEE MICP-10731 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンスラッシュメタルの復活アルバムからすっかり時間も経ってしまった4枚目のアルバムです。ドラマーとベーシストが交替しています。不安感が高まる物悲しいイントロから繰り出されていくのは、ベイエリアスラッシュの血統を受け継ぐ高速ナンバーの1、激しいクランチーなリフワークと叙情感を持ったメロディに緩急の大きい展開で一気にテンションを上げていきます。センチメンタルな小品の2を引き継いで始まる3はダイナミックなリフがパワフルに突き進んでいく馬力のあるクランチーな曲で煽情性の高いギターソロもドラマティックに展開していきます。哀愁と叙情性が一体となって迫るダークなミドルテンポナンバーの4、不穏なギターリフが圧迫感を持って迫る5は畳み掛ける展開が威圧感を増していくスピードナンバー。不安定感漂うSEのイントロから暗いメロディが展開されていく6はヘヴィネスを増しつつ情念を高めていくミドルテンポのナンバー。引っかかりの多いメロディとメタリックなリフで突っ走る7は緊迫感あふれるダイナミックな展開が印象的。不安感に苛まれるイントロからシャープなリフを展開していく起伏の激しい8はスリリングなギターソロで緊張感を一気に高めます。メランコリックなイントロから情感あふれるメロディを展開していくバラード風ナンバーの9、タイトルトラックは緊迫感のスラッシーなリフが交錯する怒涛の展開で圧倒するパワフルなナンバー。ボーナストラックにはアメリカンサザンロックバンドのブラックフットのカバーが激しくメタリックに収録されています。 キャリアの割には発表しているアルバムが非常に少ないので、音楽性がほとんど擦り切れていない辺りが当時のスラッシャーな記憶を呼び起こして思わずテンションが上がる事も多々あり、メタリカとかテスタメントあたりのスラッシュメタルが死ぬほど好きだったファン心理に忠実なサウンドを作っている姿には仲間意識を覚えずにはいられないわけで。ずっと聴いていると何だかアウトレイジの橋本直樹に聞こえてくるヴォーカルとか彼ららしいダークなメロディ回しや懊悩感漂う曲展開などオリジナリティも継続して発揮されており、アイスド・アースやポルターガイストあたりのスラッシュ/パワー/スピードメタルの境界が曖昧だった頃のヘヴィメタル然としたヘヴィメタルをやってくれている何が何でもヘヴィメタルな一枚でした。 |
同系統アルバム ALIENIGMA/AGENT STEEL THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL METAL/ANNIHILATOR |
PATHOSRAY/PATHOSRAY |
パトスレイ/パトスレイ |
MARQUEE MICP-10733 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドのファーストアルバムです。アルバム発表後に創設メンバーが一人脱退していますが、まあ気にしない。ピアノの調べが交錯していくミステリアスなイントロダクションで始まるアルバムは、メタリックなサウンドとテクニカルなプレイが錯綜するドラマティックなプログレワールドを展開していきます。馬力のあるハイトーンヴォーカルも力強く迫る2はエッジの効いたギターリフにダイナミックな展開が起伏も激しくスリリングに繰り出されるパワーメタリックな印象の強い一曲、緊迫感高まるイントロからソリッドなギターリフが繰り出されていく3は緩急の激しさやインストがプログレ風味ながらもメタル的な押しの強いナンバー。リリカルなイントロからヘヴィリフで展開する4はウィスパーヴォイスのパートと伸びやかなハイトーンのコントラスト、更にテクニカルでスリリングなソロパートが鮮やかに迫る劇的ナンバー、エモーショナルなイントロから情感たっぷりに迫るバラード風ナンバーの5、不穏なリフが鋭く切れ込む6は鋭角さが際立つ緊迫感高まるパワーメタルナンバー。ヴォーカルの妙が味わえる美しい小品の7、ザクザクしたギターリフが不穏な空気を演出する8はアップテンポのダイナミックな展開の一曲。テクニカルなイントロから感情を炸裂させるヴォーカルが加わりダークなムードで劇的に進む9、センチメンタルなアコースティックナンバーの10はボーナストラック。 パワフルなヴォーカルとテクニカルなプレイでプログレメタルをやってるわけですが、全体的な音の印象としてはバックグラウンドのヘヴィメタルな感触が強く、分かりやすい曲展開とキャッチーなメロディが合わさって手の込んだパワーメタルと言う雰囲気。イタリアンだけにそれほどダークでもなくエンターテイメントするサウンドが展開されていく、イタリアの層の厚さを実感させる一枚でした。 |
同系統アルバム DIFFERENT SHAPES/DGM EMOTIONAL COMA/LIONS SHARE PARADISE LOST/SYMPHONY X |
SKELTONS DOMINATION/SCELERATA |
スケルトンズ・ドミネイション/セレラータ |
SPIRITUAL BEAST POCE-96006 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ブラジル出身メロディックメタルバンドのセカンドアルバムです。オリジナルメンバーだったギタリストが脱退して、新たなメンバーを迎えて製作されています。線の細いクリアーなハイトーンヴォーカルを擁するサウンドは、ツインリードギターが炸裂していくメロディアスなもので、ダイナミックなリフワークで進むミドルテンポの1は骨太のサウンドと繊細なメロディが合わさったドラマティックな一曲になっています。キラキラしたキーボードと共に進むスピード感のあるギターリフと畳み掛けるギターソロで勢いを増していくメロディアスなスピードナンバーの2、疾走感高まるリフで飛翔していく3はアングラ風の世界観を見せる高速ギターソロも熱いファストナンバー。哀愁帯びたメロディアスなリフで展開する4は躍動感のあるアップテンポの曲で手の込んだギターソロがアクセント、叙情的なメロディが染みるドラマティックなバラードの5、ダイナミックに展開するイントロからタイトなビートを繰り出していくミドルテンポの6はキラキラキーボードと劇的展開で盛り上げます。ソリッドなリフで進む7はタイトなリズムと開放感のあるコーラスのコントラストが強い曲、ヘヴィリフとエモーショナルなメロディが融合していくミドルテンポの8、優しいメロディが紡がれていくエモーショナルな9、ムーディなインストナンバーの小品の10を引き継いで、哀愁帯びた牧歌的なメロディが展開されていく11はタイトなビートを刻む劇的展開の大作です。 ボーナストラックには8の日本語バージョンと5のアコースティックバージョンが収録されています。 アングラやハロウィンと言ったバンドの影響を受けながら作り出されていくメロディックメタルは、ヴォーカリストの地力がちょっと足りない感もありながらも実直に自分達の信じるスタイルを貫き通す姿勢を明らかにしていきます。ツインギターの濃厚な絡みという武器を活かして高みを目指していく、一定レベルの期待を抱かせる発展途上の一枚でした。 |
同系統アルバム DIMENSIONS/FREEDOM CALL TAROT/DARK MOOR AGONY - GIFT OF LIFE/INSANIA |
■ | MayDEATH ANGEL | DREAMTALE | OTEP | SECRET SPHERE | STORMWARRIOR | TESTAMENT | VIPER | |
KILLING SEASON/DEATH ANGEL |
キリング・シーズン/デス・エンジェル |
KING RECORD KICP-1296 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ベイエリアスラッシャーの5枚目のアルバムです。哀愁帯びたイントロから強烈なシャウトを繰り出していくアップテンポで密度を高めながら吐き捨てるようなサビへと雪崩れ込むパワフルなナンバーで幕を開けるアルバムは、タフなギターリフで突き進むタイトなビートでロックする2へと。アコースティックなイントロからダイナミックな展開を見せる3は70年代ハードロックの息吹を感じさせる骨太ナンバー。ハードコアナンバーの4、ミドルテンポのダークな展開から一転激しくスラッシーに突っ走る起伏の激しい5、ミドルテンポでグルーヴィな6、モーターヘッド的なリフとだるそうなサビがロックな7。クランチーなリフで切れ込む8はドライヴ感の強いスピードナンバー。ビヨンビヨンするギターからファンキーなノリのヘヴィナンバーな9、ノリの良いロックンロールナンバーの10、エモーショナルなイントロからヘヴィに展開していく11はダークなコーラスやリリカルなソロパートなども絡めつつ進みます。 スラッシュメタルと言うよりもヘヴィロック寄りなサウンドを作ってきた彼らですが、ここに来てパンクやブリティッシュロックなど更にルーツを掘り下げたような楽曲をそろえています。多少レイドバック気味のサウンドですが、ヘヴィメタルなベースは維持しつつ、ジャンルに拘らないバラエティに富んだ楽曲を作っている自由な感覚の彼ららしい一枚になってます。 |
同系統アルバム THREADS OF LIFE/SHADOWS FALL UNITED ABOMINATIONS/MEGADETH ALIENIGMA/AGENT STEEL |
PHOENIX/DREAMTALE |
フェニックス/ドリームテイル |
MARQUEE MICP-10736 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの4枚目のアルバムです。ヴォーカル、ギター、ドラムスが交替と言う大幅なメンバーチェンジを経て製作されています。キラキラキーボードと華やかなメロディを引っさげて疾走する1から、パワーのあるハイトーンヴォーカルが炸裂するメロディックスピードメタルを作り出すアルバムは、叙情メロディで突っ走るアップテンポの2はストラトヴァリウス風キーボードソロとキャッチーなコーラスが印象に残ります。ソリッドなリフで進む3はダークな感触が強まるミドルテンポのナンバー、湿ったメロディを重ねてアップテンポでロックする4、シャープなリフで刻む5はダイナミックな展開でタイトに迫るアクセプト辺りの流れを汲んでみるコーラスの厚いナンバー、キャッチーなメロディと躍動感のある曲調が高揚感を生み出す6、透明感のあるメロディで起伏ある展開を見せるドラマティックなナンバーの7、それまでのムードを一転してヘヴィに迫る8は不穏な空気を演出しながら劇的なコーラスワークを加えつつシリアスに展開します。キラキラしながらセンチメンタルに突っ切るアップテンポの9、ピアノの物悲しいイントロからエモーショナルに展開する10は女性ヴォーカルが加わった劇的ナンバー。叙情メロディが炸裂する11は緩急の強い展開とキャッチーなクワイアで盛り上げるアップテンポのハロウィン風ナンバー。ドラマティックにメロディを紡いでいくアッパーな12は歌詞と相まって高揚感高まる展開が染みるポジティヴな一曲。 1と9がボーナストラックと言う日本向けにチューニングされているアルバムは、スタイルとしては初期に指向していたストラトヴァリウス&ハロウィンなものに近づいており、バンド内のゴタゴタはあったにせよアルバムを重ねただけの事はある高品質のサウンドを作り出しています。それなりに多様なスタイルを取り入れているとは言え、この手のスタイルとしては余りインパクトを感じさせるものではなくなってしまっているので、高品質と言うことでしか評価できないあたりが痛し痒し。もっとも、影響を受けたバンドがそのスタイルから遠ざかったり無くなったりしているので、残された存在としては意味がある位置に立った一枚になってます。 |
同系統アルバム AGONY - GIFT OF LIFE/INSANIA DIMENSIONS/FREEDOM CALL GAMBLING WITH THE DEVIL/HELLOWEEN |
THE_ASCENSION/OTEP |
ジ・アセンション/オーテップ |
VICTOR VICP-64127 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカLA発のバンドの3枚目のアルバムです。元アメリカン・ヘッド・チャージのギタリスト、カーマ・チーマと元シナプスのドラマー、ブライアン・ウルフが新たに加入し製作されたアルバムですが、完成後にカーマ・チーマが脱退。現在は元シナプスのギタリスト、アーロン・ノルドストロムが加入しています。不安定感を醸し出すアカペラのイントロから繰り出されるのは、凶悪なヘヴィリフが唸りを上げる暴虐サウンド。獣性も露に叫びを上げる女性デスヴォーカルも壮絶にブルータルに聴き手を薙ぎ払っていきます。クランチーにヘヴィリフを繰り出していく2は女性らしい艶やかな歌唱と畳み掛けるリフ&咆哮のコントラストも凄まじい激情のナンバー、ノーマルヴォイスで気だるく優しく唄う3は女性だったことを改めて思い出す一曲。ラウドなリフでドカドカ進む4はラップ風歌唱も見せる破壊力のあるナンバー、5はミステリアスなイントロを経てウィスパーヴォーカルが怪しく唄うパートから爆発力のある展開を見せる起伏の激しい一曲。ダークなギターリフを繰り出しながら気だるい歌唱がテンションを上げていく尖ったナンバーの6、物悲しいゴシック風イントロから不穏な空気を醸造しつつエキゾティックにヘヴィネスを高めていく7、ニルヴァーナのカバーの8、不穏なリフを重ねながら凶暴に進むミドルテンポの9、メランコリックなメロディを爪弾きつつ、エモーショナルに迫る10、疾走感を高めてヘヴィリフを積み重ねる11は扇情的なヴォーカルが感情を爆発させるダイナミックなナンバー、不安感高まるムーディなイントロから黒い感情を吐き出していく緩急の強い12、無音状態が不安になるほど続く隠しトラックの妖しい経文めいた13、ボーナストラックは、ニューウェーブ風の倦怠感がスパークするコーラスで打ち消される14、不穏なイントロがダークなムードを引っ張る15、16はニルヴァーナのカバーのラジオエディットが収録されています。 ブルータルなヘヴィサウンドとニューウェーブ的なメロディが交錯するアルバムは、女性ヴォーカルの男性ヴォーカルに対抗しようという気負いを感じさせない内面からの衝動をそのまま吐き出す自然体の多彩なパフォーマンスにも支えられて、感情が鮮やかに爆発していくコントラストの強い情景を描き出していきます。エッジの効いたプレイに女性らしさと凶暴さが同居していく独特の世界観を堪能できる一枚です。 |
同系統アルバム VOL.3:(THE SUBLIMINAL VERSES)/SLIPKNOT DANTE XXI/SEPULTURA UNTIL THE END/KITTIE |
SWEET BLOOD THEORY/SECRET SPHERE |
スウィート・ブラッド・セオリー/シークレット・スフィア |
MARQUEE MICP-10735 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドの5枚目のアルバムです。ドラマーが交替しています。吸血鬼小説の嚆矢とされる、ジョン・ポリドリの「吸血鬼」を題材にしたコンセプトアルバムになっています。ミステリアスで物悲しいイントロで幕を開ける吸血鬼伝説は、線の細いハイトーンヴォーカルとツーバスが炸裂していく強力な破壊力を持ったシンフォニックなスピードナンバーの2で一気にテンションを上げていきます。センチメンタルなイントロから起伏の激しいシンフォニックな展開を見せ付ける3は感情の振幅も激しいドラマティックなパワーメタルナンバーで高速ギターソロの応酬などフェードアウトするあたりも、すっかり山場。ミドルテンポの4はロマンティックなメロディを軸に開放感をもたらすサビを配置する爽やかさも残る楽曲。ダンサブルなイントロからタイトなビートで迫る5はソリッドな質感と荒々しい歌唱が交錯していくダイナミックな曲、キーボード主導のドラマティックなイントロからの6はアップテンポで感情を高めていくキャッチーなナンバー。 センチメンタルなメロディが紡がれていく7はイタリアンメロディックメタルな感触が濃厚なバラードナンバー、ムードが一転するタイトルトラックはヘヴィネスとプログレッシブな展開が交錯する緩急の激しいダイナミックな曲でメランコリックなサビとのコントラストが印象的。ミドルテンポの9は哀愁帯びたメロディが切々と迫るエモーショナルなナンバー、更にエモーショナルな10を経て、シンフォニックなアレンジを施されたスケール感の大きいドラマティックで起伏の激しいスピードナンバーの11へと突き進んでいきます。ボーナストラックの12は割と音質の良くないパワーメタルナンバーが収録されています。 コンセプトアルバムとは言ったものの、サウンド、楽曲ともにそれほど意識されるものではなく「A TIME NEVERCOME」あたりを彷彿とさせるドラマティックでメランコリックなパワーメタル…、聴き手のイメージにあるシークレット・スフィアな世界が広がっていきます。新たなスタイルを模索し続けてきたバンドですが、最終的にシンフォニックパワーメタルに戻ってきてしまうあたりに業を感じさせますが、やはり皆が聴きたいサウンドと作り出されるサウンドが一致すると幸せな事になれるんだろうなあと実感させられる、2ndアルバムの焼き直しっぽいところはあるものの、安定感が少し増してパワーアップした一枚でした。 |
同系統アルバム TAROT/DARK MOOR 6 DAYS TO NOWHERE/LABYRINTH GHOST OPERA/KAMELOT |
HEADING NORTHE/STORMWARRIOR |
ヘディング・ノース/ストームウォーリアー |
SOUNDHOLIC TKCS-85194 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマン・パワーメタラーの三枚目のアルバムです。重々しいイントロから爆発力のある疾走ナンバーの2へと進むアルバムはカイ・ハンセンの流れを汲んだハスキーなヴォーカルと勇壮さを孕むメロディが交錯するパワーメタルが展開されていきます。キャッチーさを増したメロディで軽快に進むアップテンポの3はエピックなパートでの切り返しが鮮やか。SEを絡めた重量感のあるイントロから熱気高まるハイテンションの正統派メタルナンバーが展開される4、哀愁メロディが重ねられるミドルテンポの5はエピックなムードも加わった高密度のナンバー。ハロウィン風味なアップテンポの6、重厚さが高まるエモーショナルなヘヴィナンバーの7、フラッシーなギターが炸裂してテンションが一気に上がるスピードナンバーの8、物悲しいメロディのイントロから一転激しくギターソロも壮絶に突き進む9、叙情感漂うミドルテンポの10、エピックなムードがスケール感を高めるアウトロの11、ボーナストラックはアップテンポの躍動的なナンバーが収録されています。 哀愁帯びた勇壮なサウンドが徹頭徹尾繰り出されていくアルバムは、ジャーマンメタルの一つの側面を強調したものになっており、その影響下にあるバンドを継承しています。頑固にこのスタイルを追求する姿は心強いと言うか潔いと言うか、なんだかムズムズする感じですが、ただひたすらにヘヴィメタルする様にシンクロしたくなる一枚でした。 |
同系統アルバム LAND OF THE FREE II/GAMMA RAY MEGATROPOLIS/IRON SAVIOR BLADE OF TRIUMPH/IRON FIRE |
THE FORMATION OF DAMNATION/TESTAMENT |
ザ・フォーメーション・オブ・ダムネーション/テスタメント |
KING RECORD KICP-1299 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ベイエリアスラッシャーの9年ぶりのオリジナルアルバムです。オリジナルメンバーでツアーを行っていましたが、ドラマーのルイ・クレメンテが故障で脱退。後任に、元フォービドゥン〜スレイヤーのポール・ボスタフを迎え、さらにミックスにアンディ・スニープを起用して製作されています。エスニックな空気が満ちるイントロダクションの1から、重病だったのが信じられないチャック・ビリーのドスの効いたヴォーカルが炸裂する激しい展開を見せる重厚な2でバンドのケミストリーと言うやつを見せ付けていきます。唸りを上げるギターのイントロから威圧感たっぷりに進む3は多彩な展開とエモーショナルなギターソロが耳を惹くアップテンポのナンバー。爆走状態のデスヴォイスも加えた起伏の激しいスラッシュナンバーのタイトルトラック、ミステリアスなメロディで展開される5は高密度のミドルテンポのナンバー、再び疾走状態に移行する6はアップテンポと高速リフをぶつけ合いながらテンションを上げていく切れ味鋭いナンバー。躍動するダイナミックなビートで突き進む7は雄々しいクワイアと転調しての高速パートで盛り上がる展開の激しいナンバー、クランチーなリフで迫るミドルテンポのグルーヴィな8、アップテンポの9はエモーショナルなヴォーカルが硬質なメロディを唄う「THE RITUAL」時代風のナンバーで、キレのあるギターソロが印象的。激しいドラミングからスピードアップしていく10は大きく抑揚を持たせながら進むメロディアスなスピードナンバー。ムーディなパートとヘヴィパートが交錯しながら進む起伏の激しい11でアルバムの幕を閉じます。 久しぶりのオリジナルな作曲チームが帰ってきたということで、これまでのバンドの良いとこどりなサウンドが展開されており、極端なヘヴィネス路線とかメロディアス路線とか言うことも無く、一聴して分かる彼ららしい楽曲が詰まっています。久々に聴いたアレックス・スコルニックの妖しいギターソロもこのバンドを形作っていた要素だったことをすっかり思い出しつつ、流石に初期のような問答無用の躁状態にはなりませんが、円熟味と余裕たっぷりの独自の世界を作り出すテスタメント満載なリアルタイムのサウンドを堪能できる一枚でした。 |
同系統アルバム URBAN BEING/DESTRAGE INCINERATE/DEW-SCENTED ERASER/REVENGIA |
ALL MY LIFE/VIPER |
オール・マイ・ライフ/ヴァイパー |
MARQUEE MICP-10737 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?元アングラのアンドレ・マトスが在籍していたことで知られるブラジル出身バンドの10年ぶりの2007年に発表されたアルバムです。叙情的なメロディとハイトーンヴォーカルが激しく迫るメロディックメタルナンバーの1からオーセンティックなスタイルのヘヴィメタルが展開されていくアルバムは、ツインリードギターも本当に初期のバンドサウンドに近いもので、ある意味衝撃的。“パラノイド”みたいな曲風のアップテンポで展開の大きいロックナンバーの2、哀愁帯びたメロディで進む3は小気味良いタイトなビートがドライヴするアップテンポのナンバー、エモーショナルなバラードナンバーの4を経て、アンドレ・マトスが参加した5はメランコリックなイントロからスピードを増してドラマティックに飛翔していく起伏の激しいナンバー。ヘヴィさを増したギターリフで進む6はダークさとキャッチーさが交錯するメタルナンバー、泣きのメロディが炸裂する7はアップテンポで進む彼ららしさが満載のナンバー。繊細なパワーバラードの8から、三連リフがメイデン風な9は緩急の大きいダイナミックなナンバー。ウエスタン風のイントロからドラマティックに展開するインストの10はとてもアイアン・メイデン。ベースラインが印象的な11はメタリックなリフがダイナミックに切れ込むアップテンポのナンバー、これまでのスタイルに新たな血を吹き込む意欲を見せるとアングラっぽくなった12はメロディとパワーが結合するダイナミックなナンバーです。ボーナストラックの13はドラマティックなイントロから突き進む何でボーナスやねん、みたいなナンバーが収録されています。 アイアン・メイデンやブラック・サバス、ディープ・パープルなど伝統的なバンドの影響をたっぷりと感じさせる存在だったデビューしたてのバンドの記憶を呼び起こすサウンドは、エモーショナルなギターソロや今となっては懐かしささえ憶える曲展開がヘヴィメタルの初期衝動を思い出させます。当時の空気を蘇らせるサウンドは現在では一長一短な状態ですが、普通のヘヴィメタルに飢えている層にはかなり強くアピール出来そうな復活したのが奇跡みたいな一枚です。 |
同系統アルバム DIMENSIONS/FREEDOM CALL ASCENDENCE/LORD CIRCUS OF FOOLS/MACHINE MEN |
■ | JuneARTHEMIS | CIRCLE II CIRCLE | EDENBRIDGE | FIREWIND | JON OLIVA'S PAIN | JUDAS PRIEST | PYRAMAZE | SCAR SYMMETRY | |
BLACK SOCIETY/ARTHEMIS |
ブラック・ソサイティ/アルテミス |
SOUNDHOLIC TKCS-85197 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イタリア出身のバンドの5枚目のアルバムです。ギタリストが一人脱退していますが、無事に製作されています。デジタル色も強まったイントロから繰り出されていくのは、ハイトーンヴォーカルも伸びやかにスパルタンなムード漂う骨太でソリッドなメタルナンバーで、このところのバンドの傾向を突き詰めたものになっています。2曲目はエモーショナルなヘヴィナンバーで挑戦的な曲順を見せていきますが、アグレッシヴなイントロからの3はソリッドなギターリフで躍動するアップテンポのスピードナンバーでムードを一変させていきます。野太いコーラスも加えてヘヴィに迫る4はエモーショナルなヴォーカルが情感を揺らすグルーヴィなナンバー、キレのあるリフで突っ走るスピードナンバーの5は躍動するビートとクワイアが合わさってテンション上げる一曲。ダークな色彩が強まるタイトルトラックはシリアスなテーマを孕んだ懊悩感を演出する曲、湿ったメロディとリフ回しがメガデス風味な7はクワイアも厚いアップテンポのロックナンバー。激しくロックンロールするスピードナンバーの8は切迫感も強まるライヴでの掛け合いが楽しそうな曲。ブラックサバス的なヘヴィロックナンバーの9、ドライヴするギターリフがロックする10はトリッキーなギターソロも飛び出すアップテンポのナンバー。 フラッシーなギターソロやオーディエンスを巻き込むライヴ感も加えてスタイルを構築していくアルバムは、キャッチーなメロディと人当たりの良いヴォーカルがハードロック色を更に強めており、スピードメタルの枠は既に取り払った自由なサウンドが展開されていくバンドのルーツに迫るものです。既に、ギリシア神話の女神から取ったバンド名からは想像もつかないサウンドが広がる一枚ですが、類型から脱出しようとする気概を見せる野心的なアルバムです。 |
同系統アルバム FUTURE ADDICT/MARTY FRIEDMAN SWINELORDS/TWILIGHTNING THE SCARECROW/TOBIAS SAMMET'S AVANTASIA |
DELUSIONS OF GRANDEUR/CIRCLE II CIRCLE |
ディリュージョンズ・オヴ・グランデュール/サークル・トゥ・サークル |
MARQUEE MICP-10747 [☆☆☆] >>>>>BUY...?元サヴァタージのヴォーカル、ザック・スティーヴンスのバンドの4枚目のアルバムです。強力なギターリフで幕を開けるアルバムは、パワフルなヴォーカルと湿ったメロディを内包するパワーメタリックな1から欧州的なヘヴィメタルを作り出します。ダイナミックなイントロからの2は哀愁メロディが炸裂するサビでスピードアップするドラマティックなミドルテンポの曲、ザクザクしたギターリフがヘヴィに迫る朗々とした歌声とピアノを絡めたインストパートが印象的なアップテンポの3、ピアノの物悲しいメロディに導かれる4はエモーショナルなミドルテンポの曲、パワーメタリックにドライヴしてテンションを上げるスピードナンバーの5、ヘヴィリフで情感吐き出すミドルテンポの6、ボーナストラックの7、アコースティックギターに導かれる8はヘヴィなリフがダイナミックに迫るパワフルなナンバー、グルーヴィな9ではフラッシーなギターソロで盛り上げます。ミドルテンポの10はソリッドなギターリフで展開し、大作の11はピアノの繊細な調べから壮大に展開していくサヴァタージ譲りの輪唱コーラスが繰り広げられる一曲、再びボーナストラックの12はヘヴィリフが硬質のメロディを導いていくミドルテンポのナンバー。 前作からメンバーも固定され、バンドサウンドも安定感を増してきたアルバムは、サヴァタージの影響を脱してオリジナリティが強化されたものになっており、攻撃性と鋭角さが際立つものです。アメリカ産でも欧州スタイルのヘヴィメタルを追及する姿勢は変わらず、ギタリストの才能にかなり支えられながら、自分達のスタイルを探求している一枚です。 |
同系統アルバム COMPASSION DENIED/FREQUENCY DOWNBURST/BRAINSTORM EVOLUTION 4.0/THUNDERSTONE |
MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE |
マイ・アース・ドリーム/エデンブリッジ |
MARQUEE MICP-10746 [☆☆☆] >>>>>BUY...?オーストリア出身のバンドの6枚目のアルバムです。壮大なイントロダクションから繰り出されていくサウンドは、これまでよりもエッジを効かせたもので、ファンタジックな世界観に影を加えたような代物になっています。ダークでソリッドなギターリフにソプラノヴォーカルが絡むヘヴィシンフォニックナンバーの2、壮大なシンフォニックサウンドをバックにソプラノヴォーカルが歌い上げる3、エスニックなムードを孕みつつダークに迫るドラマティックな4、ハードなリフでメタリックに進む5はコーラスワークと哀愁のギターソロが印象的。シンフォニックなイントロから優しい歌声を聞かせていくファンタジックな6、叙情メロディが炸裂していく7はダイナミックな展開のミドルテンポの劇的ナンバー。シャープなリフのイントロからシンフォニックに展開するスピードナンバーの8、メタリックなリフとオーケストレーションが交錯するイントロからダークなサウンドが展開する9、ボーナストラックのアコースティックなインストの10から大作組曲の11へ。スピード感溢れる緊迫した1部から壮大なインストの2部、ドラマティックな小品の3部、ブリッジの4部を挟んでデスヴォイスも加わる緊張感の増したファストナンバーの5部、エンディングとなる静かなナンバーの6部でアルバムは幕を閉じます。 前作よりもヘヴィさを増して、ナイトウィッシュに近いサウンドを作り出しているアルバムは、生オーケストラを導入してシンフォニック度も増強させており、更なるクオリティアップを果たしています。硬質感を増して他のバンドとの差別化が図れなくなりつつありますし、スタイル的に停滞感が漂っているのが難ですが、一定の安定感と完成度を保った一枚にはなっています。 |
同系統アルバム THE DIVINE CONSPIRACY/EPICA DARK PASSION PLAY/NIGHTWISH AFTER FOREVER/AFTER FOREVER |
THE PREMONITION/FIREWIND |
ザ・プリモニション/ファイアーウインド |
KING RECORD KICP-91301 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ギリシャ出身のバンドの5枚目のアルバムです。壮大なイントロから繰り出されるダイナミックなギターリフとパワーのあるヴォーカルのコンビネーションが生み出す力感溢れるドラマティックナンバーで幕を開けるアルバムは、いつも通りの華麗なギターソロも炸裂する正統派ヘヴィメタルを作り出していきます。扇情的な泣きのメロディが溢れ出す2はアップテンポで情感を高めつつ進む、ディオあたりを継承するパワーメタルナンバー。アイリッシュなメロディがキャッチーに迫るアップテンポの湿ったロックナンバーの3、躍動感のあるギターリフとセンチメンタルなキーボードが交錯する中、ドラマティックに飛翔するサビが印象的に残るスピードナンバーの4、スラッシーなリフでゴリゴリ進む5はアグレッションとキャッチーさが合わさったパワーメタルナンバー。情念込めたメロディが切々と紡がれるパワーバラードの6、ヘヴィリフで繋ぐ7はキャッチーなメロディと湿ったサビを聴かせるミドルテンポのナンバー、馬力のあるリフで重量感たっぷりに進む8は鮮やかなヴォーカルとの対比や劇的なギターソロも印象的なミドルテンポの曲、9は80年代に物凄く流行ったポップナンバーのカバーで、とりあえずこの曲のカバーを初めて聴いたがギターは勿論弾きまくりだ(´Д`;)暗いムードが全編を覆う10は希望を感じさせるメロディラインに光明を見出すミドルテンポの曲、ザクザクしたギターリフでスピードを上げていく11はドラマティックな哀愁のサビとインストも加わった超日本向けボーナストラック、さらにボーナストラックの12はグルーヴィなリフが印象的なヘヴィナンバー、13は3のアコースティックバージョンが収録されています。 今回はメンバーチェンジも無く落ち着いた環境で製作されたサウンドは、個々のプレイヤーのスキルに伴って恐ろしく安定感と完成度を高めたものになっており、超高品質のメロディックメタルを作り出しています。一分の隙も無いようなサウンドを当たり前のように聴かせるため意外性や衝撃度は薄まっていますが、彼らの魅力と伝統的なヘヴィメタルの醍醐味がタップリ詰まった一枚です。 |
同系統アルバム COMPASSION DENIED/FREQUENCY DIFFERENT SHAPES/DGM CARVED IN STONE/RAGE |
GLOBAL WARNING/JON OLIVA'S PAIN |
グローバル・ウォーニング/ジョン・オリヴァズ・ペイン |
MARQUEE MICP-10743 [☆☆☆] >>>>>BUY...?開店休業中のサヴァタージの創始者のソロアルバム第三弾です。前作で加入したギタリストが脱退しています。サヴァタージ風の劇的展開を見せるダークな1で幕を開けるアルバムは、亡きクリス・オリヴァと作ったピアノに導かれるコーラスワークも鮮やかなルーズな雰囲気のムーディな2で空気を変えていくと、唸るギターリフで押し込む威嚇的なサビも激しいダイナミックなメタルチューンの3でテンションを上げていきます。「STREETS A ROCK OPERA」時代を彷彿とさせるダイナミックな展開が鮮やかな起伏の激しい4、エモーショナルで繊細なメロディを紡ぎだしていく劇的ナンバーの5、インダストリアルな効果を加えたソリッドでアグレッシヴなナンバーの6、乾いた空気をもたらすハンマー・ダルシマーの感覚がアクセントになったカントリー風味なロックナンバーの7、ピアノの繊細なメロディに導かれる優しい8、情念を叩き込む9は落ち着いたパートと開放されたパートとのコントラストも鮮やかなナンバー。アグレッシヴな曲調とコーラスワークのコントラストが劇的さを生み出すミドルテンポのハードロックナンバーの10、ドラマティックなバラード風ナンバーの11、ブレイクの効いたリフがパワフルに迫る12はダークなメタルナンバー、13は心に染みる優しいロックナンバーとバラードを組み合わせた長編。ボーナストラックの14はファルセットも効いたピアノのヴォーカルナンバーが収録されています。 いつも通りのジョン・オリヴァのダミ声ヴォーカルが炸裂しているアルバムは、スタイルとしては実験的な要素も強いバラエティに富んだ楽曲を揃えてきています。メタルと言うよりはオールドスタイルのロックナンバーの方が多めな、ジョン・オリヴァのルーツが垣間見えるものですが、クリス・オリヴァの遺産にも再び出会える、気分を落ち着かせる一枚でした。 |
同系統アルバム ROOM V/SHADOW GALLERY BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND THE CODEX/THE CODEX |
NOSTRADAMUS/JUDAS PRIEST |
ノストラダムス/ジューダス・プリースト |
SONY MUSIC SICP-1914-5 [☆☆☆] >>>>>BUY...?メタルゴッドが帰還したジューダス・プリーストの16枚目のアルバムです。今回は20世紀に大人気だったノストラダムスを題材にしたコンセプトアルバムになっています。コンセプトアルバムということで、すっかり肩に力の入ったサウンドは初期のプログレ展開の大作みたいな作風が延々と続くと言う耐性の無い人には苦行にしかならないものになっており、ある意味ノストラダムスの生涯的には正しい展開を見せるあたりはベテランバンドの力量でしょうか。それはさておき、楽曲としてはミドル〜スローの大仰な前フリだけで山場の来ない登っている気がする坂を下っていると言うスピードの変化による展開も少なく、楽曲単体としてもアルバム全体としても起伏の少ないものになっているため、聴き所がとても難しい代物です。それでもオールドスタイルなヘヴィメタルとしてのある程度のクオリティは保っているため、聴けないこともないあたりが年季の入った技と言うべきでしょうか。まあ、とりあえず年を喰ったせいで色んなことが回りくどくなってシンプルで構わないところをズルズル引き摺ってしまった二枚組アルバムでした。 |
同系統アルバム A MATTER OF LIFE AND DEATH/IRON MAIDEN OPERATION: MINDCRIME II/QUEENSRYCHE GOTHIC KABBALAH/THERION |
IMMORTAL/PYRAMAZE[IMPORT] |
イモータル/ピラメイズ |
LOCOMOTIVE RECORDS LM638 [☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマークを拠点にする多国籍バンドの3枚目のアルバムです。ヴォーカルにアイスド・アースのマシュー・バーロウを迎えて製作されましたが、既に脱退している模様。寂寥感漂うスケール感の大きいイントロダクションから始まるアルバムは、アイスド・アースを彷彿とさせるクランチーなギターリフを見せる2でかなりの衝撃を受けますが、テクニカルなプレイでメロディアスなドラマティックメタルを生み出す基本路線には変わりなく、マシュー・バーロウの粘りのあるヴォーカルが情感を揺さぶる起伏の激しい曲に仕上げています。ヘヴィリフで進む3はパワフルなヴォーカルとセンチメンタルなコーラスが交錯するミドルテンポの哀愁ナンバー。物悲しいイントロからダイナミックなリフワークを繰り出していく4はエモーショナルなヴォーカルメロディが心に染みるミドルテンポの曲、フックのあるリフが積み重ねられていくミドルテンポの劇的ナンバーの5、物悲しいピアノの響きが美しいバラードナンバーの6、哀愁メロディで突き進むソリッドな7はドラマティックな展開が心に染みます。アイリッシュなムードが漂うファンタジックでソリッドなナンバーの8、エッジの効いたリフで進む9は起伏の大きい畳み掛ける展開で盛り上げる劇的ナンバー、そして荘厳なマーチ風ナンバーの10でアルバムの幕を閉じます。 アメリカンパワーメタル路線に鞍替えかと一瞬思わせたりもしますが、それはサービスだったようでファンタジックな世界観を構築するサウンドが展開されていきます。特徴的なマシュー・バーロウの歌声でアイスド・アースっぽく聞こえるようになるかと思われましたが、繊細なメロディラインとヨーロピアンなスタイルがかなりの感触の違いを生み出しており、ケミストリーとまでは行きませんが相乗効果を生み出しているようです。既にこの組み合わせは見られない可能性が高いですが、ヴォーカルの新たな側面と叙情的なメロディを堪能できるメロディックメタルな一枚でした。 |
同系統アルバム NEW PROTECTION/RIDE THE SKY 6 DAYS TO NOWHERE/LABYRINTH COMPASSION DENIED/FREQUENCY |
HOLOGRAPHIC UNIVERSE/SCAR SYMMETRY |
ホログラフィック・ユニヴァース/スカー・シンメトリー |
MARQUEE MICP-10742 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの3枚目のアルバムです。比重的にすっかりデスメタルではなくなっているアルバムは、扇情的なメロディとデスヴォイスでスタートするヘヴィナンバーの1からクリーントーンの哀愁ヴォーカルが情感豊かに唄いあげるコントラストの強いテクニカルなスタイルになっています。唸るダークなリフで進む2は暗いコーラスとエモーショナルなヴォーカルが情念を賦活させるミドルテンポのナンバー。畳み掛けるフックのあるリフを連れてデスヴォイスがタイトに迫る3はキャッチーなコーラスでムードを変えます。叙情的なメロディが重ねられる4はクリーンヴォーカルにデスヴォイスが絡むエモーショナルな一曲、テクニカルに疾走する5はデスヴォイスがメインでクリーンコーラスのエモーショナルなパートが絡むアグレッシヴなナンバー。キャッチーなリフで湿ったメロディが炸裂していくアップテンポのセンチメンタルな6はデスヴォイスからのテクニカルパートとの起伏激しい展開が聴き所、ソリッドなリフがデスヴォイスと一体になって進む7はクリーンパートにデスヴォイスが巻き込まれていくミドルテンポのナンバー。叙情的なメロディでザクザク進むキャッチーなアップテンポの8、デスヴォイスがテンションを上げるクランチーでヘヴィな9でも交錯するクリーンパートがムードを一変させます。ミステリアスなイントロからの10はスケール感の大きいダイナミックなリフで起伏激しく展開する長編ヘヴィナンバー。テクニカルなビートを刻みつつデスヴォイスで進む11はスペーシーな感覚のミドルテンポの曲、エモーショナルなギターに導かれる12はクリーンヴォーカルが切々と唄うパートと豪腕ヘヴィパートが重なり合って一体になっていく様が心地良い一曲。 デスヴォイスがすっかりアクセントになってしまって、テクニカルなプレイの緊張感とクリーンヴォーカルの情感を味わうのが主になっているサウンドですが、それぞれの要素が高品質にまとめられているため、整合性を強く感じさせるものに仕上がっています。ハイブリッドなスタイルとして突出した安定感を見せるすっかり出来上がっている一枚です。 |
同系統アルバム REPTILE RIDE/AMORAL THE FALL OF IDEALS/ALL THAT REMAINS DREAMCRUSHER/NAILDOWN |
■ | JulyCRYPTOPSY | HEADHUNTER | SOULFLY | |
THE UNSPOKEN KING/CRYPTOPSY |
ジ・アンスポークン・キング/クリプトプシー |
VICTOR VICP-64194 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?カナダ出身のバンドの6枚目のアルバムです。前作で復帰したオリジナルヴォーカルを解雇してメタルコア畑の新ヴォーカリストと女性キーボーディストを加入させて製作されています。ブラストビートを挨拶代わりに叩きつける1から始まるアルバムは、凶悪なデスヴォイスで咆哮する新ヴォーカリストがブルータルでテクニカルな楽曲を表現していきます。切れ目無くブラストビートが叩き込まれる2、ヘヴィネスと威圧感を上げて加減速を繰り返すダイナミックなナンバーの3、ゴシック風のダークさが高まる4はクリーンヴォーカルが感情を激発させていく新機軸と荒れ狂う凶悪パートとのコントラストが激しい曲。極限までコントロールされた暴走状態で突っ走るタイトなヘヴィチューンの5でもクリーンコーラスと湿ったメロディ、更にフラッシーなギターソロまで飛び出します。クリーントーンのエモーショナルな叫びで始まる6はテクニカルなビートの凶悪パートとクリーンパートが混沌としながら突き進むダイナミックな曲、エッジの効いたリフが迫る7は壮大な感覚を生み出しつつ凶暴に迫る起伏の激しいミドルテンポのナンバー、爆発力のあるギターリフで突進する8、高圧のリフで圧倒していく9は加速しながら攻撃力を増していき、クリーンヴォーカルのエモーショナルなパートでクールダウンする激動のナンバー。ブラストビートと不穏な空気が立ち込めるヘヴィナンバーの10にもクリーンパート。メロディアスなイントロからウィスパーヴォイスが暗く迫る11は情感が高まる奇妙な曲。ボーナストラックの12はストラッピング・ヤング・ラッドのカバー。 テクニカルでブルータルと言う基本線は守りつつも、ヘヴィメタル然としたダイナミズムも大胆に取り入れて柔らかい部分が凶悪な部分を更に強調させるという効果を見せつつ、楽曲の起伏の幅を広げたアルバムは、クリーンヴォーカル、キーボードとこれまでにない要素も盛り込み、新たなスタイルへの挑戦を感じさせます。デスメタルに留まらない楽曲への拘りを強く窺わせる野心的な一枚でした。 |
同系統アルバム CANNIBALISED/BIOMECHANICAL DISMEMBER/DISMEMBER FEEL THE BLADE/LEGION OF THE DAMNED |
PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER |
パラサイト・オブ・ソサエティ/ヘッドハンター |
KING RECORD KICP-1304 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デストラクションのシュミーアがバンドを追い出されていた時代に結成していたバンドの復活4枚目のアルバムです。日本ではお酒のCMでお馴染み、映画「第三の男」のテーマソングから始まるアルバムは、クランチーなギターリフが激しく叩きつけられる2からパワフルなサウンドが展開していきます。ミドルテンポのヘヴィナンバーの3はキャッチーなコーラスも伴った哀愁帯びた正統派ナンバー、物悲しいパートから徐々に盛り上げていく4はアイアン・メイデンばりの展開が鮮やかな劇的ナンバー。ザクザクしたリフで押していく5は躍動感のある展開で勢いよく迫る一曲、6はあのスキッド・ロウのカバーで想像以上に曲に合っているのが衝撃的です。一転して鋭いリフを繰り出していくスピードナンバーの7はテンションを上げる突進ナンバー、ミドルテンポの8はアクセプト的なムードも持ったダークなヘヴィナンバーでフラッシーなギターソロも加わります。エスニックなイントロから激しいギターリフが展開される9はダイナミックなスピードナンバー、ミドルテンポの10はトリッキーなリフと気合の入ったヴォーカルが合わさった展開の大きいパワーメタリックな一曲、ミドルテンポのグルーヴィな威圧感の高まる11、ボーナストラックの12は納得のジューダス・プリーストのカバー、更に3の誰が進めたか分からないけど、だんだん進歩している最近流行の日本語バージョン、そしてカラオケバージョンが収録されています。 本家デストラクションよりも、バラエティに富んだ表現を見せるアルバムは伝統的ジャーマンメタル、正統派ヘヴィメタルの流れを汲みつつ彼ららしさが全開になったパワーメタルを作り出しており、シュミーアの歌唱からしてメロディを重視したものになっていて、ここでしかやれないサウンドを追求していきます。シュミーアのルーツや多彩な音楽性が様々な形で発揮されていく、結成当時のこだわりをそのまま残している一枚です。 |
同系統アルバム MASTERCUTOR/U.D.O. METAL/ANNIHILATOR ALIENIGMA/AGENT STEEL |
CONQUER/SOULFLY |
コンクァー〜征服〜 −CD+DVDスペシャル・エディション−ソウルフライ |
ROADRUNNER RRCY-29149/50 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?元セパルトゥラのヴォーカリスト、マックス・カヴァレラ率いるブラジルのバンドの6枚目のアルバムです。荘厳さと重厚さを兼ね備えたイントロから重量感たっぷりのリフと迫力あるデスヴォイスとコーラスが繰り出されていくスラッシーでダイナミックな1から、様式美を構築していく緊迫感のあるサウンドが生み出されていきます。畳み掛けるソリッドなギターリフが圧迫感を高めていく2はトライバルなムードも加えつつ、スラッシーに展開し、ダークなリフからアップテンポで突き進んでいく3は起伏の激しい展開とスリリングなギターソロでテンションを上げていきます。暗黒世界に蠢くグルーヴィなヘヴィリフなイントロから激しく躍動していく4はドライヴするスラッシーな曲、ヘヴィリフで威圧感を高めて後半から加速していくミドル〜ファストナンバーの5、威嚇するようにドライヴしていく6、唸りを上げて突進する起伏の激しいブルータルなナンバーの7、咆哮から始まる8はタイトなビートを刻んでいくスラッシーなナンバーで、ある意味キャッチーなコーラスとエモーショナルなギターソロが印象に残ります、そして驚きの展開へ。トライバルなイントロからのミドルテンポのダークな9はドライヴしながら密度を高めていく曲で、アウトロには中近東風のメロディが繰り出されていきます。ブラック・サバスに捧げるだけのことはあるヘヴィでグルーヴィで陰鬱な10、11は哀感たっぷりのインストナンバー。 ボーナストラックには突進スラッシュナンバーの12、13はバッド・ブレインズ、14はマリリン・マンソンのカバーが収録されています。 トライバルなワールドミュージックからスラッシュメタルを経て、正統派とも言えるダイナミズムを備えたアグレッシヴなヘヴィメタルに至ったバンドのスタイルは、更に音楽性を深化させていく意識を強く感じさせます。緊張感と迫力を維持していく強固なサウンドは、凶暴で豪腕でありながら整合性の高いものになっており、このスタイルのアルバムとしては取っ付きやすく、彼らのアーティスティックな側面を際立たせています。他のプロジェクトや本家の影響を受けつつも独自性を発揮しようとする意欲的で完成度の高い大作の一枚でした。 |
同系統アルバム REPTILE RIDE/AMORAL RESURRECTION/CHIMAIRA HERVEST/NAGLFAR |
■ | AugustDIVINEFIRE | DRAGONFORCE | KALMAH | KIUAS | |
FAREWELL/DIVINEFIRE |
フェアウェル/ディヴァインファイア |
KING RECORD KICP-1311 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの4枚目のアルバムです。バンドの中心人物が音楽関係から少し離れるとのことで、これが最終アルバムになる模様。物悲しいシンフォニックなイントロダクションから幕を開けるアルバムは、凶暴なデスヴォイスとアグレッシヴなギターリフが一体になって迫り勇壮なクリーンコーラスで盛り上げる緊張感のある2から彼ららしさが全開のサウンドが展開されていきます。鋭いギターリフで切れ込んでいくスリリングな3もデスヴォイスでリードしつつドラマティックなコーラスで盛り上げる起伏の激しいナンバー、アップテンポでタイトなギターリフを積み重ねていく4は哀愁メロディ炸裂のヴォーカルが一気に感情を爆発させていく逞しい一曲、デスメタル的な激しいリフとデスヴォイスで圧倒する壮絶な5、ミドルテンポの6はパワフルなヴォーカルが哀感帯びたメロディを繰り出すドラマティックな一曲。ネオクラシカルなプレイが炸裂していく7はタフなヴォーカルがパワフルに唄うパワーメタリックなナンバー、まるでシンフォニー・エックスな暗さを持った8はソリッドなリフワークやネオクラシカル&プログレッシヴ展開が怒涛の波状攻撃を繰り出す大作。クラシカルでシンフォニックなインストの9を経て、哀愁帯びたイントロからヘヴィリフを繰り出していくセンチメンタルな10のアウトロでアルバムは幕を閉じます。 ネオクラシカル&シンフォニックでドラマティックなパワーメタルというスタイルを貫き通したバンドの意志はこのアルバムでも守り抜かれており、このスタイルでは追随を許さない独自の世界が構築されていきます。最終アルバムと言うことで、これまで作り上げてきた全てを吐き出す勢いの圧倒的で壮絶なサウンドが展開されていき、聴き手にバンドが存在した証を刻み込むような気迫と気概を感じさせます。このスタイルが復活することは当分無さそうなのが残念ですが、とりあえず安定感と安心感のあふれる強力な一枚でした。 |
同系統アルバム AFTER FOREVER/AFTER FOREVER NOTHING TO UNDO -CHAPTER SIX-/METALIUM PARADISE LOST/SYMPHONY X |
ULTRA BEATDOWN [Limited Edition]/DRAGONFORCE |
ウルトラ・ビートダウン(期間限定) /ドラゴンフォース |
VICTOR VICP-64299 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?英国産スピードマスターの4枚目のアルバムです。スピード命のスタイルはこのアルバムでも全く揺らぐことはなく、一曲目から突っ走っていて畳み掛ける高速ギターソロやキャッチーなメロディもファンの期待を裏切らない一枚になっています。これまでとの大きな違いといえば、コーラスワークが丁寧かつ厚みを増しており、演奏に押し込まれることもあるヴォーカルを効果的に助けています。更にスピードが頭打ちになってしまった曲をカバーするために、ミドルテンポのパートやブレイクの挿入、リズムチェンジを効果的に使って緩急をより強力に発生させる手法に磨きをかけています。3、4のエモーショナルなアレンジのギターソロや、今回も収録のバラードナンバー、ミドルテンポを中心に展開するドラマ性を高めた演出が印象的な新機軸の5、楽曲のムードを一転させる展開の7などがアルバムのアクセントになっており、バンドの成長が窺えます。ボーナストラックはLAメタルっぽい雰囲気もある哀愁メロディが満載のアップテンポの9、奇妙なイントロから疾走状態に移行する10、やっぱり疾走してしまう11が収録されています。 ワールドワイドでの活動を糧に順調に成長を続けているバンドの現在進行形が如実にあらわれた強力な一枚でした。 |
同系統アルバム THE FINAL CHAPTER/DUNGEON ENTER DECEPTION/CELLADOR BELIEVE/BURNING IN HELL |
FOR THE REVOLUTION/KALMAH |
フォー・ザ・レヴォリューション/カルマー |
UNIVERSAL MUSIC UICO-9041 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの5枚目のアルバムです。ドロドロ方向に舵を切ってみた前作でしたが、今回はダークさが薄まってキャッチーなメロディとデスヴォイスがアップテンポなナンバーで炸裂していく北欧メロディックデスメタルのスタイルに忠実なものになっていて、ドライヴするギターリフがファストに突っ走るスピードナンバーの1からドラマティックなギターソロが披露されていきます。フォーキーなメロディが積み重ねられていく2は叙情感を高めながら進むアップテンポの劇的ナンバー。哀愁メロディで畳み掛ける3は小気味良い展開と威勢の良いコーラスが一体となった勢いのあるナンバーで華麗なギターソロも健在。派手なギターリフで押し捲る4は緩急の強い展開で緊迫感を高めるスピードナンバー。メランコリックなムードのヘヴィ&スローな5、アップテンポの6、7は、切れ味鋭いメロディックなリフで攻めるキャッチーな曲、ブルータルさが上がった8は切り返しの鋭い展開で引っ張るスピードナンバー、叙情的で勇壮さも持ったメロディがヴァイキング風味を醸し出すアップテンポの9は劇的展開で聴き手を休ませないダイナミックな曲、ボーナストラックの10はセパルトゥラのカバーが収録されています。 最近の傾向とはムードが異なるものの、相変わらずクオリティの高いメロディックデスメタルを作り出しているアルバムは、割と広い層向けのキャッチーさが高まったメロディ満載のスタイルを追求しています。ちょっと全体的には緩い空気だったり、インパクトが下がっているのが何ですが、コンパクトにまとめられた楽曲が揃っている手堅くまとまった一枚です。しかし、SHM-CDの効果がまったく期待できないこのプロダクションはどうなんだ(´Д`;) |
同系統アルバム xGODx/SERPENT LIBERATION=TERMINATION/MORS PRINCIPIUM EST FINAL LETTER FROM.../FOLLOWBANE |
THE NEW DARK AGE/KIUAS |
ザ・ニュー・ダーク・エイジ/キウアス |
UNIVERSAL MUSIC UICO-9040 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のバンドの三枚目のアルバムです。タイトでパワーメタリックなリフを一曲目から繰り出していくアルバムは、起伏の大きいダイナミックな展開と勇壮さと激しさが同居するダミ声ヴォーカルと鮮やかなギターソロで押していく、ゴッタ煮パワーメタリックな代物です。スリリングでシャープなプレイがフラッシーに決まるドラマティックなメタルナンバーの2、キーボードとギターが絡み合うネオクラシカルでシンフォニックなイントロからミドルテンポで刻む3は攻撃性と緊迫感を高めつつ突き進む、チルボドスタイルの曲。デスメタル風味なヘヴィリフで始まる4はネオクラプレイとタイトなリフが交錯していく高密度のナンバー、中近東風なイントロからエキゾチックなムードを高めていく5はデスヴォイスも活躍するヘヴィナンバー。ストロングスタイルのリフで押していくミドルテンポの6でも朗々としたコーラスとエモーショナルなギターで盛り上げます。女性ヴォーカルとのアコースティックなデュエットナンバーの7、一転してクランチーに突っ走る8は哀愁メロディを孕んだ劇的スピードナンバー。ネオクラキーボードに主導される緊張感高まる9はタイトなリズムを刻みつつ一気にエピックなコーラスへと転換するダイナミックな曲、アコースティックパートとドラマティックなコーラスに移行するヘヴィパートとのコントラストも鮮やかな壮大な10、ボーナストラックの11はネオクラシカルなイントロからダークなメロディを繰り出すミドルテンポのナンバーが収録されています。 色々なところからの借り物スタイルもかなり板についてきて変幻自在なパワーメタルを作り出すアルバムは、ヴォーカルの表現力の向上やギタープレイの充実も相まって特異なサウンドを順調に育みつつあります。常にドラマティックな展開を仕込みヘヴィメタル的な大仰さを叩き込む、今後の期待度が更に高まった一枚です。 |
同系統アルバム CAPTAIN MORGAN'S REVENGE/ALESTORM KILLING SEASON/DEATH ANGEL DOWNBURST/BRAINSTORM |
■ | SeptemberARSIS | DESTRUCTION | EQUILIBRIUM | GALNERYUS | THE HAUNTED | ICED EARTH | METALLICA | 陰陽座 | TRIVIUM | ULTIMATIUM | |
WE ARE THE NIGHTMARE/ARSIS |
ウィー・アー・ザ・ナイトメア/アーシス |
KING RECORD KICP-1324 [☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカ産のエクストリーム・デスメタルの三枚目のアルバムです。崩れ落ちるような不安感を醸造していくリズムチェンジを執拗に繰り返すテクニカルなスタイルと炸裂するデスヴォイスが融合した変幻自在の1から始まるアルバムは、エクストリームな要素とメロディアスな要素が交錯していく複雑なサウンドを作り出しており、攻撃性と緊迫感を増しつつ予想の出来ない展開に雪崩れ込む2、北欧メロデス風リフワークで進む3は哀愁メロディを孕みつつエモーショナルに決着します。テクニカルなイントロから変拍子を炸裂させつつブルータルに突っ込んでいく4、ジェットコースターのように急転直下していくカオティックな5、スリリングなイントロから湿ったメロディを絡めつつ転がりまわる6、7、リズムチェンジを繰り返しながら華麗かつブルータルに迫る8、9では更にエモーショナルなギターソロまで加わって楽曲を盛り上げます。ミステリアスなイントロから叙情的なメロディを紡いでいく10はタイトな展開でカオティックに突入していきます。 イントロから予想される展開に決して落ち着かない印象がクルクル変化するカオスなサウンドを創り出して行くアルバムは、鋭角なプレイがその世界観を徹底的に形作っており聴き手を圧倒していきます。曲展開が複雑なため、曲単位での輪郭が曖昧になるところもありますが、エクストリームを地でいくサウンドが全開の一枚です。 |
同系統アルバム HOLOGRAPHIC UNIVERSE/SCAR SYMMETRY REPTILE RIDE/AMORAL THE UNDERCURRENT/SCARVE |
D.E.V.O.L.U.T.I.O.N./DESTRUCTION |
デヴォリューション/デストラクション |
KING RECORD KICP-1323 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ジャーマンスラッシャーの10枚目のアルバムです。哀愁帯びたイントロから始まるタイトルトラックは、ハイテンションで突っ走る暴走スラッシュナンバーで、切迫するギターソロに緊迫感あふれる展開が聴き所。ヘヴィリフを引っさげて重量感たっぷりに迫る2はグルーヴィなミドルテンポの曲、ダークでミステリアスな感触の3はソリッドなリフが密度を高めていく威嚇的なナンバーでエモーショナルなギターソロが印象的、グルーヴィなリフで押していく4は圧力高まる怨念渦巻くナンバー、タイトなビートを刻みつつ進む5はソリッドな質感を構築しつつアジテイトしていくアップテンポのナンバー、スラッシーに荒れ狂う6は緩急も激しく哀愁メロディも孕んでアグレッシヴに突き進みます。クランチーなリフでドライヴしていくスピードナンバーの7、ヘヴィに進む8は威圧感の強いミドルテンポのナンバー、メロディックなイントロからの9はダイナミックな展開で盛り上がるクワイアやフラッシーなギターソロも熱いドカドカナンバー、畳み掛けるリフで圧倒していく躍動的な突進ナンバーの10、 ボーナストラックの11はタンクのカバーが収録されています。 別プロジェクトのヘッドハンターからの影響も窺えるダイナミックなサウンドは、多数のゲストを迎えて色彩豊かなものになっており、スラッシュメタルという枠組みを守りつつ多彩な表現に挑戦しています。年齢を重ねても衰えない攻撃性と貪欲な探究心は若手バンドにはまだまだ席を譲らない気概に満ちておりバンドの勢いを感じさせます。ベテランバンドの存在感を強烈に示した充実の一枚です。 |
同系統アルバム FEEL THE BLADE/LEGION OF THE DAMNED INCINERATE/DEW-SCENTED ALIENIGMA/AGENT STEEL |
SAGAS/EQUILIBRIUM |
サーガス(DVD付)/エクリブリウム |
MARQUEE MIZP-60013 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツ出身のバンドの二枚目のアルバムです。壮大で郷愁感誘うイントロダクションに導かれるアルバムは、全編ドイツ語で唄われる炸裂系のデスヴォイスとフォーキーなメロディがシンクロして突っ走る叙情感と高揚感が渾然一体となって迫る2、物悲しいイントロからロマンティックなメロディが乱舞しながらアッパーに展開していくデスヴォイスとキャッチーさが融合した衝撃の劇的ナンバーの3など、フォーキーなだけには留まらない多様なスタイルを展開していきます。トライバルなビートとダンサブルなメロディが交錯しリズムチェンジを繰り返す高密度で展開の激しいアップテンポの4、ムードを一転させてブラストビートで突進する5は攻撃性を高めながらも繊細なメロディを加えた最終的には印象の変わるデスラッシュなナンバー。パワーメタリックに展開していく6は勇壮さが壮大に広がる勢いのあるナンバー。ポップでフォーキーなメロディが転げまわる7はヴォーカルがだんだんドナルド・ダックに聞こえてくるアッパーでハイテンションな曲。センチメンタルなムードが高まる優しいインストナンバーの8を経て、物悲しいイントロから大仰に展開していく重厚な大作の9、更に叙情性が高まる10は重厚さと神話性が強化される大作で後半からのパワフルな展開が耳を惹きます。フォーキーなメロディで疾走する11は高揚感も高まる起伏の激しいキャッチーなナンバー、哀愁帯びたメロディで始まる12は大仰に展開していく重厚な曲、最後を飾る超大作のインストナンバーの13はこれまでに使われたモチーフが組み込まれたアルバムを集約したような曲に仕上がっています。 デスヴォイスなのでドイツ語は全く気にならないサウンドは、フォークをベースにしたヴァイキング/エピックメタルに留まらない、メロディアスなものなら何でも使う多方面に触手を伸ばした貪欲なスタイルを追求しており、これまでの同系統のバンドの一歩先を行くアルバムを作り出しています。ドラマティックでエピックなスタイルを追求しつつも独特の臭みを和らげ普遍化を果たしつつある手腕が買われる、今後の躍進にも期待される強力で会心の一枚です。 |
同系統アルバム KORVEN KUNINGAS/KORPIKLAANI VICTORY SONGS/ENSIFERUM THE VARANGIAN WAY/TURISAS |
REINCARNATION/GALNERYUS |
リインカーネーション/ガルネリウス |
VAP VPCC-81610 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?日本が誇るメロディックメタルバンドの5枚目のアルバムです。シンフォニックで壮大なイントロダクションから幕を開けるアルバムは、ソリッドでメタリックなギターリフと哀愁帯びたキャッチーなメロディと厚いコーラスが日本語詩で唄われるパートのコントラストが激しいドラマティックな1で新たな側面を見せていけば、2では畳み掛けるコーラスワークも劇的なスピードナンバーで一気にテンションを上げていきます。繊細なアコースティックのイントロから扇情的なメロディが炸裂する3はアップテンポでキャッチーな展開を見せ、スピードアップする畳み掛けるサビが印象的な曲、日本語で唄われる4は爽やかさも兼ね備えるキャッチーなメロディで進むアップテンポのナンバーでスリリングなギターソロがムードを高めていきます。泣きのメロディで流されるポップなイントロから突っ走る緊張感高まるスピードナンバーの5、トリッキーなビートのテクニカルなパートとロマンティックなパートとの落差が激しいアップテンポの哀愁ナンバーの6、センチメンタルなイントロからエキゾチックなパートとソリッドなプレイが交錯しつつ劇的なサビへと突入していくアップテンポの7はオリエンタルなフレーズも取り入れた哀愁のギターソロで盛り上げます。キャッチーなメロディを乗せたメタリックなヘヴィパートから日本語のサビが飛び出すソリッドな8、トライバルなビートを刻みつつ緊張感を増していく9は輪唱で加わるコーラスも勇壮でドラマティックなスピードナンバー、叙情的なメロディを繰り出す10は日本語で唄われるセンチメンタルなミドルテンポのナンバーでテンポを上げたギターソロで煽情性を高めていきます。11は情感高まる開放的なバラードナンバー、攻撃性を増して起伏も激しく突き進む12は明朗なコーラスとドラマティックなギターソロも加えたダイナミックなファストナンバー。 荒れ狂う哀愁メロディが嵐のように吹きすさぶギターソロにキーボードとハイトーンヴォーカルが織り成す美旋律空間は実験的な要素も消化されて、バンドとしての一体感も高まったクオリティの高いサウンドを構築しています。聴き手を圧倒するように繰り出されるギタープレイの充実っぷりに満足感を覚えると共に、普遍的なメロディに近づいたヴォーカルラインが重なり合って、一般層に浸透したいバンドサイドの空気を感じさせます。手の込んだ曲展開がヒットチャートに載るにはどうなんだ、と言うアーティスティックな一面も忘れない一枚でした。 |
同系統アルバム DIFFERENT SHAPES/DGM THE FINAL CHAPTER/DUNGEON FAREWELL/DIVINEFIRE |
VERSUS/THE HAUNTED |
ヴァーサス/ザ・ホーンテッド |
TOY'S FACTORY TFCK-87449 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のデスラッシャーの6枚目のアルバムです。アット・ザ・ゲイツが再結成した影響からかイエテボリ・スタイルからの脱却を図っています。畳み掛ける強烈なビートで突っ走る1からスラッシーにヘヴィに展開していくアルバムは、アグレッシヴなヴォーカルやシャープなギターソロも加えてダイナミックに進んでいきます。ミドルテンポで高圧のギターリフを繰り出していく2は威嚇的に展開しつつダークなメロディを絡めてグルーヴィに仕上げ、スタスタ突っ走る3は咆哮するヴォーカルのテンションを高めつつ緩急を付けていくナンバー。暗いメロディを重ねつつヘヴィに展開するミステリアスな4、ドライヴするリフで進む5はグルーヴィなパートへと展開していくダークなナンバー、ゴシック風味のメランコリックな6を経て、ブルータルに暴走するハイテンションの突撃ナンバーの7へ。エモーショナルなヴォーカルが聞かれるミドルテンポの8、アメリカンヘヴィロック風味のダークな9から、ヘヴィなイントロで始まる10はパワフルなミドルテンポからファストに展開していく急転直下なナンバー。凶悪な叫びがヘヴィリフに乗って展開する11はアジテイトするSEで幕を閉じる曲。 ボーナスCDには怒涛の突進ナンバーの1、転がるヘヴィリフで進む2は威嚇するヴォーカルで押すミドルテンポのナンバー、メランコリックなメロディを紡いでいくダイナミックなインストの3、タイトなリフを繰り出していく4はアグレッシヴに畳み掛けていくソリッドなナンバー、グルーヴィでアップテンポな5が収録されています。 北欧風味が意図的に薄められてブルータルな感覚が強まったサウンドは、多少感触が異なるものの彼ららしさは保持されており、小気味良いデスラッシュなアルバムになっています。前作あたりの陰鬱なムードが払拭されて爽快ささえ感じさせるストレートな一枚でした。 |
同系統アルバム FEEL THE BLADE/LEGION OF THE DAMNED INCINERATE/DEW-SCENTED SERPENT SMILES AND KILLER EYES/HATESPHERE |
THE CRUCIBLE OF MAN:SOMETHING WICKED PART 2/ |
ザ・クルーシブル・オヴ・マン〜サムシング・ウィキッド・パート2/アイスド・アース |
MARQUEE MICP-10722 [☆☆☆] >>>>>BUY...?ピラメイズに電撃加入してファンを驚かせたマシュー・バーロウが出戻って製作されたアメリカ産パワーメタルの9枚目のアルバムです。前作同様、オリジナルストーリーに基づいたコンセプトアルバムの続編です。緊張感高まる荘厳なコーラスで幕を開けるアルバムは、クランチーなギターリフと共にあの声が帰って来たダイナミックでドラマティックな2へと暗黒神話を描き出していきます。不穏な空気を醸造していくエキゾチックなムードも加わったヘヴィナンバーの3〜4は感情高めつつ劇的に展開します。哀愁漂うメロディを積み重ねて感情を揺さぶっていくミドルテンポの組曲的な流れを見せる5〜6〜更にスリリングに展開していく7は“SOMETHING WICKED”三部作のモチーフが登場します。パワフルなリフを繰り出しつつヘヴィに迫る8では勇壮なコーラスがムードを高め、激情と荘厳のコーラスが感情を揺さぶる物悲しく劇的な9へと。威嚇的なヘヴィナンバーの10は閉塞感を高めつつ攻撃的で重厚なコーラスへと繋いでいきます。キレのあるクランチーなリフで進む11は緊迫感高まる劇的ナンバー。ミドルテンポの12は重ねられる重厚なコーラスワークが神話的世界観を彩るドラマティックな曲で再び三部作のモチーフが加わって盛り上げ、続く攻撃性をむき出しにしたスラッシーな13では仲の良いブラインド・ガーディアン的なコーラスが印象的です。哀愁帯びたメロディがドラマティックに飛翔していく14、そしてアルバムの幕を閉じる15は前作の1のモチーフを使った曲で終わり無き物語を暗示させていきます。 ボーナストラックの2曲は前作からの曲をマシュー・バーロウが唄いなおしたもので、あまりにも想像通りの出来。 超大作となった渾身の力作も遂に完結ということで、これまで以上に大上段に構えた独自世界を作り出しているわけですが、ちょっと気負い過ぎて全体的に間延びしている感は否めないところ。“SOMETHING WICKED”三部作が良かったのは要素が凝縮されていたためと、映画の予告編的なところがあったお陰かと、本編は予告編に適わない説がここでも当てはまったのは残念、いやそれ以前に予告編にあった場面が無くなってる気が…。マシュー・バーロウが帰ってきて皆が期待するアイスド・アースになったものの、ストーリーに引っ張られて楽曲の自由度に制約が掛かったのが惜しまれる、やりたいことは全部やった一枚でした。 |
同系統アルバム INCUBUS -CHAPTER SEVEN-/METALIUM THE BLACK CIRCUS, Part 2 - DISCLOSURE/MANTICORA DELUSIONS OF GRANDEUR/CIRCLE II CIRCLE |
DEATH MAGNETIC[STRONG EDITION]/METALLICA |
デス・マグネティック〜ストロング・エディション/メタリカ |
UNIVERSAL MUSIC UICR-9028 [☆☆☆] >>>>>BUY...?スラッシュメタル四天王と呼ばれて久しい、アメリカンメタル大物バンドの9枚目のアルバムです。あやしげで不穏なイントロから始まる1で、原点回帰しようとする意欲が窺えるソリッドな質感の“BLACKEND”みたいなダークなナンバーを聞かせていくアルバムは、前作ではほとんど無かったギターソロも前作の分まで詰め込んだように復活してとりあえず楽曲のダイナミズムを取り戻しています。クランチーなリフで押し込むアップテンポの2、グルーヴィなイントロからの3はルーズなヘヴィロックナンバーでNWOBHM風味なインストパートが印象的。哀愁のメロディがエモーショナルに歌い上げられるパートからスリリングなインストパートに展開する“ONE”みたいな4、ミステリアスなイントロからクランチーなリフを刻む5はスラッシュメタルだったことを思い出させる突貫ナンバー。ミドルテンポでルーズなムードの6、センチメンタルなイントロからの7はエモーショナルなパワーバラード。タイトなビートで押していく8はダイナミックに展開していくアップテンポのナンバー。ザクザクしたリフで威圧感を醸し出す9は展開の激しい長編インストナンバー。爆裂するスラッシュナンバーの10は往年の勢いを取り戻した熱気あふれるナンバー。 バンドの方向性みたいなものがほとんど希薄で周りの意見にしたがってみたようなスタイルは、ビッグバンドになってからのファンが持っている最大公約数的なメタリカのイメージは保っているものの、かなり薄味で回りくどい印象。ルーズな空気が漂う最近の作風で「...And Justice For All」を作ったけれど寄る年波には勝てなかったみたいな一枚でした。もうちょっと下れば良かったのに…(´・ω・`) |
同系統アルバム ALIENIGMA/AGENT STEEL KILLING SEASON/DEATH ANGEL ELECTRIFY/PARADOX |
魑魅魍魎/陰陽座 |
CHIMIMOURYOU/ONMYO-ZA |
KING RECORD KICS-1385 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?男女ヴォーカルを擁する妖怪メタルバンドの8枚目のアルバムです。不穏な空気が立ち込めるヘヴィなイントロから始まるアルバムは、男性ヴォーカルが主導権を持ったダイナミックな展開を見せるミドルテンポの1から独特の世界観を構築していきます。哀愁メロディで進む2は女性ヴォーカルがメインのアップテンポのセンチメンタルなメタルナンバー、威勢の良い相槌も勇ましい攻撃性を高めたドライヴ感の強いアップテンポの3、キャッチーなメロディで躍動感を生み出していく4、哀感孕むメロディで切なく迫る5は情感の高まりが最高潮に達するドラマティックなナンバー。ヘヴィなリフがグルーヴ感を生み出していく6はキャッチーなコーラスとの対比が印象的な一曲。ドライヴするリフが緊張感を作り出していくスピードナンバーの7、タイトなリフが躍動的に展開するテンションの高いノリのヘヴィロックチューンの8、ソリッドなリフで突き進む攻撃的なファストナンバーの9はミステリアスなパートとのコントラストも激しいダイナミックな一曲。リリカルなパートから演劇的なパートも飛び出す物語性の強い劇的大作の10、マーチ風ドラムと哀愁のメロディが交錯するパワーバラードの11、物凄くポップなナンバーの12はどこのアイドル歌謡? 独自の和風世界を創り出して行くアルバムは、個性的なアクが和らいでメジャーシーンを意識した普遍的なサウンドに接近しています。攻撃的な男性ヴォーカルと優しい女性ヴォーカルのコントラストも強まって伝統的なヘヴィメタルのスタイルを踏襲するドラマティックな展開が歌詞世界とシンクロしていく様はバンドの真骨頂。ほどよい大衆性とマニアックなバランスを上手く取り合わせたバラエティに富んだ一枚です。 |
同系統アルバム ALL MY LIFE/VIPER THE PREMONITION/FIREWIND DELUSIONS OF GRANDEUR/CIRCLE II CIRCLE |
SHOGUN/TRIVIUM |
将軍〜CD+DVD スペシャル・エディション〜/トリヴィアム |
ROADRUNNER RRCY-29161/2 [☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカン・ニューウェーブメタルの5枚目のアルバムです。不穏なムードのイントロからアグレッシヴでマッシヴな展開を見せるデスヴォイスも復活した1で幕を開けるアルバムは、エモーショナルなメロディと起伏の激しい楽曲が揃ったもので、キャッチーなイントロから北欧メロデス風の展開を見せるアップテンポでエモーショナルな2ではフラッシーなソロパートが印象に残ります。情念こもったイントロから感情を吐き出していく畳み掛けるメロディで迫るミドルテンポの3、キャッチーなメロディで躍動的に進む物悲しい4、哀愁パートとデスヴォイスパートのコントラストが激しいミドルテンポの5、スリリングなリフで突っ走る起伏の激しいスラッシーな6、アップテンポで切迫感のあるメロディを積み重ねていくエモな7、妖しげなムードで進むミドルテンポのヘヴィナンバーの8、アップテンポの9はキャッチーな展開を孕んで後半で加速するドライヴ感の強い曲、アップテンポのヘヴィパートからエモーショナルなコーラスへと展開する10、重苦しいムードが全編を包む情念を吐き出していくミドルテンポの11はセンチメンタルなパートからの激烈パートへの展開も激しい大作。ボーナストラックは、キャッチーなコーラスも加わった威嚇的なヴォーカルで進むクランチーな12、スリリングなリフワークで突っ走る緩急の激しい13、アイアン・メイデンのカバーの14が収録されています。 新世代メタリカと呼ばれる所以が良く分かるアルバムは、クリーンヴォイスとデスヴォイスのハイブリッドに戻ったスタイルで情感豊かに迫る、フラッシーなギターソロもたっぷりフィーチュアされたダイナミックなヘヴィメタルを作り出しており、着実な成長が窺われます。安定感のある楽曲は高品質で安心して聴けますが、期待されるほどの驚きはそれほど感じられず、エキサイトメントが減少気味。手堅すぎて勢いが削がれてはいるものの、新世代組では一歩先んじた一枚でした。 |
同系統アルバム DEATH MAGNETIC[STRONG EDITION]/METALLICA THE UNSPOKEN KING/CRYPTOPSY THE FORMATION OF DAMNATION/TESTAMENT |
HWAINOO/ULTIMATIUM |
ワイヌー/アルティメイタム |
SOUNDHOLIC TKCS-85202 [☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のメロスピバンドの二枚目のアルバムです。ちょっと線が太めなギリギリな感じのハイトーンヴォーカルが繰り出すメロディックな世界は、畳み掛けるイントロからアップテンポでテンション上げてキャッチーなコーラスを詰め込んでいく1から劇的に展開していきます。ミドルテンポで丁寧にメロディを歌い上げていく2、かなりハロウィンなアップテンポナンバーの3は民謡調のキャッチーなフレーズが印象に残ります。エモーショナルなバラードの4、ソナタ・アークティカ風味な5はミドルテンポのメランコリックなキラキラナンバー、シンフォニックなイントロが緊張感を高める6はデスヴォイスみたいに吼えてみたりしつつ攻撃性をちょっと上げたシンフォニックメタルな曲、なんかどっかで聴いた気がするメロディの7はメロウなパートから疾走してみる急展開の曲で終盤のハイトーン攻撃が凄まじい、色んな意味で。キーボードのキラキラが華やかな叙情メロディの起伏の激しい劇的長編ナンバーの8、ボーナストラックの9はとってもストラトヴァリウス。 いろいろ何だか危険水域なヴォーカルはさておき、北欧のメロディ満載サウンドの命脈は確実に受け継いでおり、ところどころに光るフレーズがあったりして、あっさり切り捨ててしまうにはちょっとだけ惜しい感じ。微妙なヴォーカルが全然平気なC級バンドマニアな人にはツボに入りそうな、とても素人にはオススメできない一枚でした。 |
同系統アルバム PHOENIX/DREAMTALE SKELTONS DOMINATION/SCELERATA AGONY - GIFT OF LIFE/INSANIA |
■ | OctoberCRADLE OF FILTH | CYNIC | LORDI | METAL CHURCH | UNEARTH | VENOM | |
GODSPEED ON THE DEVIL'S THUNDER/CRADLE OF FILTH |
ゴッドスピード・オン・ザ・デヴィルズ・サンダー/クレイドル・オヴ・フィルス |
ROADRUNNER JAPAN RRCY-21328 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?英国産ブラックメタルバンドの8枚目のアルバムです。謎に包まれた歴史上人物として知られるジル・ド・レイの、その栄光から堕落した人生にまつわる実話に基づいているコンセプト・アルバムになっています。ドラマーがチェコ出身の元NEMESISのマーティン・スカループカに交替しています。壮大でシンフォニックなイントロダクションで幕を開けるアルバムは、ブラストビートとヒステリックなデスヴォイスが炸裂していくダイナミックでスリリングな2で大仰な演出のサウンドを作り出していきます。不穏なイントロからの3は女性ヴォーカルとのデュエットも聴かせる哀愁帯びたメロディを孕んだミドルテンポのエモーショナルなナンバー。ナレーションと荘厳なコーラスから始まる4は叙情感の強いメロディを孕んだ不安感を醸造するアップテンポのスリリングな曲、物悲しいメロディと壮大さを兼ね備えたインターミッションの5を挟んで、攻撃的に突き進んでいく6は威圧感を高めながら起伏激しく展開する大仰でダイナミックなナンバー。壮大なイントロからの7は圧力を高めながら進む威圧的な黒いナンバー。荘厳なコーラスを背負って進む8はシャープなドラミングが冷気を伴うスラッシーなナンバー、緩急の強い9はアグレッシヴなスピードナンバー。冷気漂う不穏なイントロからの10は壮絶なドラミングとヒステリックなヴォーカルが一体になって迫るアグレッシヴでドラマティックなナンバーで荘厳なコーラスで曲を締めます。ミドルテンポで物悲しいムードを演出していく11、12は起伏も緩急激しく突っ走る壮絶なナンバー。荘厳なアウトロの13でアルバムは幕を閉じます。 大仰でシアトリカルなスタイルを取り戻したアルバムは、オカルティックなホラー風味を前面に押し出した物語性の強いものになっており、サウンドトラック的な感覚も持った代物です。メジャー感の強いサウンドとアングラホラー風なムードが交錯して、キング・ダイアモンドあたりに源流を持つスタイルが洗練されて作り出されていく様はこのところの彼らには少なくなっていたもので、独特なエキセントリックヴォーカルも最大限の効果をもたらしています。このスタイルを追求するためには強い物語が不可欠なんだなあ、と改めて思わせる起死回生の一枚でした。 |
同系統アルバム AFTER FOREVER/AFTER FOREVER GOTHIC KABBALAH/THERION THE_ASCENSION/OTEP |
TRACED IN AIR/CYNIC |
トレースド・イン・エア/シニック |
MARQUEE MICP-10787 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デビューアルバムのみを残し解散した、既に伝説と呼ばれるフロリダ産プログレッシヴデスメタルバンドの復活アルバムです。バンドは中心メンバーの二人とゴーディアン・ノットでも活動していたシェーン・マローンにオランダのEXIVOSのタイモン・クリデニールで構成されています。ノイジーなSEとスペーシーなコーラスが絡みあうインストで開幕するアルバムは、静かな浮遊感のあるヴォーカルのパートからノイジーなヴォーカルと変拍子が炸裂するテクニカルで緩急の激しい哀愁ナンバーの2へと進んでいき、同じ空気を維持する3は情感を高めつつ衝動性を生み出していきます。タイトなビートを刻んでいく4は寂寥感の残るメロディを絡めてダイナミックに進む一曲。テクニカルなリズムワークで聴き手を幻惑していく5では民俗音楽風フレーズも飛び出すトリッキーな展開を見せます。デスヴォイスをフィーチュアしつつヘヴィに迫っていく6は重厚なサウンドを作り出し、リリカルなイントロから崩れ落ちては造り直すような展開を見せていく起伏の激しい7へ。そして、ミステリアスでリリカルな8でアルバムは一端終了。ボーナストラックの9は6のデモバージョンが収録されています。 長い年月の間にデスメタル部分はごっそり削ぎ落とされてしまって、普通にプログレメタルとなってしまっている復活作ですが、当時の夢幻的なイメージを落胆させずに再現してみるところは現役アーティストの実力でしょうか。当時のハイブリッドなヘヴィメタルとしての新鮮さは今となっては既にありませんが、その独特な世界観を再び垣間見れる一枚でした。 |
同系統アルバム CHIMERA/ANDROMEDA SCARSICK/PAIN OF SALVATION SYSTEMATIC CHAOS [SPECIAL LIMITED EDITION]/ DREAM THEATER |
DEADACHE [DELUX EDITION]/LORDI |
デッドエイク・デラックス・エディション/ローディ |
BMG JAPAN BVCP-25154/5 [☆☆☆] >>>>>BUY...?フィンランド出身のモンスターメタルバンドの4枚目のアルバムです。80年代風のキャッチーなダミ声ハードロックサウンドの方向性は今作でも変わりなく、見た目とのギャップが激しいポップな楽曲が揃ってます。ミステリアスなイントロから、ノリの良いアッパーなハードロックチューンの2へと進むアルバムは、ラウドなリフがポップなコーラスへと展開していくミドルテンポの3、センチメンタルなメロディが紡がれる哀愁漂うスローナンバーの4、ダークなパートから爆発力のあるコーラスへと一気に展開するダイナミックなアップテンポの5、ブルージーな雰囲気を見せる70年代ロックナンバーの6、湿ったメロディが哀愁帯びたヴォーカルとシンクロしていくミドルテンポのエモーショナルな7、情感高まるパワーバラードナンバーの8、ピアノの物悲しい響きに女性ヴォーカルが重なる小品の9から勢いを加速していくドライヴ感の強いハードロックナンバーの10へと。タイトルトラックはダイナミックにフックのあるメロディが積み重ねられていく哀愁ロック。「オペラ座の怪人」のフレーズをフィーチュアした12はヘヴィなリフが迫るドラマティックなナンバー、物悲しいメロディで情感たっぷりに迫るアクセプトみたいな13、ボーナストラックにはドライヴするリフで走っていく14、15は荘厳なムードが加わったミドルテンポの哀愁ナンバーが収録されています。 パーティーロック的なサウンドで盛り上がってきたバンドですが、今回のアルバムは全体的に哀愁成分を増やして、彼らの言うところのモンスターの悲哀を前面に押し出したものになっており、往年のスコーピオンズやUFOあたりに近い感触を持ったものになっています。楽曲の構成力とか求心力は高まっていますが、音だけだと思ったほどインパクトの無いものになっていて、被り物との相乗効果でライヴでは盛り上がるんだろうなあ、と思わせる一枚でした。絵があるとギャップで笑えるしな,、'` ( ´∀`) ,、'` |
同系統アルバム BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND KILLING SEASON/DEATH ANGEL PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER |
THIS PRESENT WASTELAND/METAL CHURCH |
ディス・プレゼント・ウェイストランド/メタル・チャーチ |
MARQUEE MICP-10764 [☆☆☆] >>>>>BUY...?アメリカン・パワーメタルバンドの9枚目のアルバムです。ヘヴィなドラムとリフで始まるアルバムは、オーセンティックなパワーメタルナンバーの1から彼ららしいサウンドを作り出しており、テンションの低いブルース・ディッキンソンみたいな微妙なところもあるダミ声ヴォーカルやフックのあるリフも安定していると言うか、いつも通りです。哀愁漂うメロディで押すミドルテンポの2、荒涼とした空気が流れるスローテンポのエモーショナルな3、クランチーなリフがドライヴ感を高める緩急の強いアップテンポの4、パワフルなリフで押し込む5はグルーヴィなミドルテンポのナンバーで中盤からのテンポアップで盛り上げます。ブギー風のリフを繰り出す乾いた感覚の6、哀愁帯びるメロディで迫るミドルテンポの7は終盤のギャロップするパートがアイアン・メイデン。テンションをちょっと上げたヴォーカルがタイトなリフに乗ったアップテンポの8、パワフルなギターリフがダイナミックに迫る9はメロディとパワーが融合していく緩急の大きい劇的メタルナンバー。オーセンティックなギターリフを積み重ねながら感情を高めていく10は起伏の激しいダイナミックなメタルナンバー。 よく言えば堅実、悪く言えば地味な作風になっているアルバムは、まあ期待通りって言えば期待通りなんですが、これはちょっと新規ファンを獲得するのは難しそうな雰囲気。安定しすぎでエキサイトしない、まったりした空気はベテランバンドとは言えメタルとしてはどうなんだって感じですが、それなりに落ち着いて聴かせる普通にメタルだなあって一枚でした。 |
同系統アルバム BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND KILLING SEASON/DEATH ANGEL PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER |
THE MARCH/UNEARTH |
ザ・マーチ/アンアース |
METAL BLADE JAPAN MBCY-1099 [☆☆☆] >>>>>BUY...?マサチューセッツ出身のバンドの4枚目のアルバムです。ドラマーがキングダム・オブ・ソロウなどにも参加していたデレク・ケースウィルに替わっています。MAメタルの代表的な存在として捉えられているバンドですが、このアルバムではメロディアスなギターを大幅に増量して、伝統的なヘヴィメタル然としたスタイルに近づいています。キレのあるイントロからスラッシーにブレイクしながら突っ走るタイトな1、不穏なイントロからやっぱり突っ走ってみるテスタメント風味な2はメロディアスなコーラスでムードを変えます。北欧メロデス風味のリフを繰り出す3はダークなムードに展開しつつ華麗なギターソロを繰り出すナンバー、泣きメロが炸裂するイントロからメガデス風味なリフを繰り出す、アコースティックなパートも加えたメロウな4、クランチーだったりメロディアスだったりするギターの応酬がドラマティックに展開していく5、ヘヴィなイントロからスピードを上げていくアップテンポのタイトルトラック、メロデス風味の叙情性を孕んだ突進力のある7、ロックンロール色の強まった8、ヘヴィなリフでエモーショナルに迫る9、メロディアスなイントロからのパワーメタリックなメロディアスになったりヘヴィになったり忙しい10はSEからの後半がハードコア風味の何だか良く分からない曲。ボーナストラックにはライヴバージョンが二曲収録されています。 アンディ・スニープの普通にミックスしたサウンドにすっかり染まってしまって、ハードコア色が薄まっているため、フラッシーなギターソロも相まって普通のメタルとしても聴きやすくなってしまったアルバムですが、メロディの多彩な展開に比べると、クリーントーンを排除してハードコアで突っ切るヴォーカルが一本調子に聞こえてきて曲のバリエーションが乏しく感じられたりします。それでもモッシュを煽るハイテンションの楽曲が揃えられており、一気に突っ走る割りにサラっと聴ける一枚です。何だか飽きるの早そうだけど(´Д`;) |
同系統アルバム N/NORTHER SHOGUN/TRIVIUM A SENSE OF PURPOSE/IN FLAMES |
HELL/VENOM |
ヘル/ヴェノム |
UNIVERSAL MUSIC UICO-9044 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?イギリス出身の活動停止したり再開したり何だか忙しいバンドの12枚目のアルバムです。胡散臭いムードが充満する、ロックンロールしていくダークなメタルを創り出して行くアルバムは、ヘヴィなサウンドを刻みながらもキャッチーな感覚も残るアップテンポの1から、押し寄せるギターリフで圧迫していくダイナミックなヘヴィナンバーの2、グルーヴ感の強まる呪術的なビートに乗せてタイトに展開していくダークな3、唸りを上げるヘヴィリフで畳み掛けるグルーヴィな4、這いずるようなリフで進んでいく勢いのあるアップテンポの5、重量感のあるギターリフが襲い掛かる威圧的な6、パワーメタリックな空気を醸しつつ進む7、邪悪なムードを演出しつつ重量感のある空気を蓄えていくミドルテンポの8、ロックする9は馬力を上げて突っ走るドライヴ感高まるスピードナンバー。ザクザクしたリフが威圧感を高めるヘヴィナンバーの10、不穏なリフを展開させるブラック・サバス風味のヘヴィナンバーの11、唸りを上げて突進する12はフラッシーなギターソロも加わって盛り上げます。重厚で威圧的なアウトロの13。ボーナストラックにはライヴが二曲収録されています。 初期の頃の破天荒なサウンドは今更望むべくもありませんが、ここまで生き残ったバンドの気概を感じさせるアルバムは、現在進行形の姿を如実に表します。バラエティのある楽曲は反骨精神あふれるアティチュードを満載させつつヘヴィメタル&ロックンロールなスタイルを貫き通しており、安定感のあるアルバムになっています。 |
同系統アルバム D.E.V.O.L.U.T.I.O.N./DESTRUCTION KILLING SEASON/DEATH ANGEL PARASITE OF SOCIETY/HEADHUNTER |
■ | NobemberDARKANE | DARK MOOR | EDGUY | PAGAN'S MIND | SATYRICON | SEPTICFLESH | SHADOW | SINNER | UNSUN | |
DEMONIC ART/DARKANE |
デモニック・アート/ダーケイン |
TOY'S FACTORY TFCK-87442 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの5枚目のアルバムです。ヴォーカルがザ・ディフェイスドやコンストラクデッドなどで活動していたイェンス・ブローマンに交替しています。壮大に展開するシンフォニックなイントロから導かれるアルバムは、噛み付くような吐き捨てヴォーカルに壮絶でシャープなドラミングが炸裂していき、スペーシーなコーラスとエモーショナルなギターソロも加わったデスラッシュな2へと突入していきます。間髪入れずに始まる突撃スラッシャーな3はエモーショナルなコーラスでブレイクしつつ突進、エッジの効いたリフを繰り出していく4はタイトなビートも加わったパワフルなアップ〜ミドルテンポの曲、ホラー映画風のSEからの5は情感豊かなギターソロを経ての壮大な展開からスピードを変化させつつアグレッシヴに突撃していく壮絶なナンバー、やっぱり突撃してみながらギターソロは官能的な6、鋭いドラムと怪しいメロディで突き進むミドルテンポの7、畳み掛けるビートが襲い掛かる威圧的な加減速を繰り返す8、タイトなリフとビートが鋭角さを増していく9は咆哮するコーラスが情念を叩きつけていくソリッドな曲。哀愁のギターのイントロから爆走する11はスリリングなギターソロとコーラスで情感を高めていき、アグレッシヴでダイナミックなイントロからドライヴ感を強めながら突っ走る12、ボーナストラックにはライブバージョンが収録されています。 直線的でスラッシーなムードを高めつつも、官能的でフラッシーなギターソロを加えていく少し今までとは違うスタイルを作り出しているアルバムは、近未来的なサウンドよりも衝動性を重視した攻撃的なサウンドに比重を置いています。コーラスワークが同じような展開の曲が少なくないのが、いつも通りって言えばいつも通りですが、とりあえず突進力と攻撃力は倍増してみた問答無用の勢いのある一枚です。 |
同系統アルバム CANNIBALISED/BIOMECHANICAL THE UNSPOKEN KING/CRYPTOPSY VERSUS/THE HAUNTED |
AUTUMNAL/DARK MOOR |
オータムナル/ダーク・ムーア |
MARQUEE MICP-10793 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スパニッシュ・メロディックメタルの7枚目のアルバムです。チャイコフスキーの白鳥の湖を大胆に取り入れた衝撃的でドラマティックな大作の1で幕を開けるアルバムは、秋めいた郷愁感漂う空気を演出しながらシンフォニックなサウンドを醸造していきます。「オペラ座の怪人」めいたミステリアスなムードも作り出す哀愁たっぷりのミドルテンポの2、ケルティックなメロディが乱舞する3はスリリングな展開とオペラティックなコーラスが交錯していく劇的ナンバー。センチメンタルなムードが高まる4は情感込めたコーラスワークで盛り上がるミドルテンポのネオクラシカルナンバー、緊迫感高まるコーラスワークで一気に盛り上げる5は起伏も激しいダイナミックな劇的ナンバーで、緊張感を維持しつつクライマックスへと。ネオクラシカルなリフが展開されていく劇的パワーメタルナンバーの6、ムードを引き継いでパワフルに進む7はヘヴィさが強調されたダークで劇的な一曲。シンフォニックなイントロから逞しいメロディで展開する8は勇壮なムードを高めつつ優雅に飛翔していきます。ミドルテンポの9は哀愁メロディを連ねていく情感豊かなナンバー、ソリッドなリフが壮大に展開していく10は神秘的な空気をダイナミックに拡大させていく劇的ナンバーでフラッシーなギターソロも加えて盛り上げます。そして、壮大で華麗なインストナンバーの11でアルバムは幕を降ろします。 女性ヴォーカルに合唱隊やオーケストラなどシンフォニックな面が強化されてサウンドトラック風の壮大なスケール感を作り出しているアルバムは、これまでの作風を一歩進めた優雅な世界観を構築しており、前任ヴォーカリストの影を完全に払拭するものです。メロディ展開のバラエティが多少減っているものの求心力のある楽曲を作りこんでいる安定感あるアルバムに仕上がっており、バンドとして新たな完成形に近づいていることを実感させます。スペインの血が脈々と流れるドラマティックサウンドを堪能できる一枚です。 |
同系統アルバム MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE COLLISION COURSE -PARADOX II-/ROYAL HUNT FAREWELL/DIVINEFIRE |
TINNITUS SANCTUS [limited edition]/EDGUY |
ティニタス・サンクタス(初回限定盤)/エドガイ |
MARQUEE MICP-90039 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ドイツ産ピュアメタルバンドの8枚目のアルバムです。ここ最近の作風を踏襲していくアルバムは、ミドルテンポのタフなヘヴィナンバーの1からハードロックとヘヴィメタルの境界が渾然としていた時代のサウンドを作り出していきます。ヘヴィなリフをグルーヴィに詰め込んでヴォーカルとギターが情動的に唄う2、キャッチーなメロディとコーラスワークで開放感を与えるアップテンポの彼ららしい3、ダイナミックなリフでスケール感大きく迫るミドルテンポのヘヴィな4、アップテンポな軽快さと暗いムードが交錯していく湿ったナンバーの5、エモーショナルなパートからオペラティックなコーラスへとムードを変えていくミドルテンポの6、リリカルなパワーバラードの7を挟んで、キャッチーで厚いコーラスを聴かせるハードロッキンなミドルテンポの8へと。起伏の激しい多彩な展開を見せる大作のドラマティックナンバーの9、オーセンティックなハードロックナンバーの10、ボーナストラックにはカントリーっぽいバカなナンバーが収録されています。 ドイツの先達バンドのスコーピオンズやアクセプトなどの流れを汲んだヘヴィメタルを創り出して行くアルバムは、伝統性と革新性が微妙に交差しながら進んでいく安定感のあるものになっており、このスタイルをすっかりモノにした感が強まります。当分はスピードメタルをやりそうにないバンドの強固な意志を感じさせる、メタルの核みたいなものを思い出させる一枚でした。でも、ボーナスCDのライヴ盤の方が熱いよな!,、'` ( ´∀`) ,、'` |
同系統アルバム ALL MY LIFE/VIPER BLACK SOCIETY/ARTHEMIS BOOK OF THE DEAD/BLOODBOUND |
GOD'S EQUATION/PAGANS MIND |
ゴッズ・イクエイジョン/ペイガンズ・マインド |
MARQUEE MICP-10786 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ノルウェー出身のバンドの4枚目のアルバムです。リリカルでファンタジックなイントロダクションで幕を開けるアルバムは、アグレッシヴなギターリフが緊張感を持って迫るダイナミックで壮大な大作の2でテクニカルなプレイと力強いヴォーカルを聴かせて行きます。繊細なキーボードとキャッチーなギターリフが交錯する3は爽快感を生み出すコーラスで飛翔していきます。ブルータルなリフのイントロからアグレッシヴに迫る4は開放感のあるコーラスパートとのコントラストが激しいパワフルなナンバー、デヴィッド・ボウイのカバーの5を挟んで、トリッキーなリフを繰り出す6は感情が炸裂していく緊迫感高まるヘヴィナンバー、モダンなテイストが高まる7は緊張感を維持しつつ進むタイトでクランチーな一曲。気だるいムードとヘヴィな展開が伸びやかなコーラスを導く8、ダイナミックな曲展開でスリリングに進む9は緩急も激しいソリッドなナンバー、哀愁たっぷりのインストゥルメンタルの10を経て、壮大な迫力たっぷりの大作に仕上げた11へと。ボーナストラックの12はメランコリックなメロディが際立つ美旋律ナンバーが収録されています。 テクニカルなギターと手の込んだ展開を盛り込んだ楽曲は、それらのギミックを考慮しても全体的な印象としてはパワーメタリックな方向に寄ったサウンドになっており、馬力のあるヴォーカルとも相まってヘヴィメタルらしさの強まったものです。躍動感と開放感に加えて緊張感を維持していくバランスの取れたサウンド作りはここにきて完成度を高めており、プログレメタルのお手本のようなアルバムに仕上がっており、更なるレベルアップを感じさせた一枚です。 |
同系統アルバム PATHOSRAY/PATHOSRAY DIFFERENT SHAPES/DGM THE PREMONITION/FIREWIND |
THE AGE OF NERO/SATYRICON |
ザ・エイジ・オヴ・ネロ/サテリコン |
ROADRUNNER RRCY-21332 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ノルウェー産二人組ブラックメタルの7枚目のアルバムです。ブラストビートから圧力を高めていく1から、静と動のコントラストも強く重量感タップリに迫るヘヴィナンバーの2、威圧感を高めながらリズムチェンジを繰り返し重厚に突き進む3、畳み掛けるダイナミックなビートで圧倒していくアグレッシヴな4、迫力あるドラミングとダークな空気感が荒涼とした世界を描き出す5、ねじくれたヘヴィリフが這いずる暗く重厚な6、ムードを引き継ぎながら熱気を増していく呪詛めいた7、ブラスセクションを加えて荘厳さを増した8はノルウェー語で唄われる重さに拍車が掛かったナンバー。 磨り潰されるような音像がもたらす聴き手を圧殺するような黒く邪悪な空気が充満するアルバムは、ローマ帝国の暴君とシンクロしていくサウンドが強烈な存在感を持って迫ります。ブラックメタルを暗黒のヘヴィメタルへと変質させた独自の方法論が展開されていく、高密度の空間が形成された一枚です。 |
同系統アルバム COMMUNION/SEPTICFLESH IN SORTE DIABOLI/DIMMU BORGIR HERVEST/NAGLFAR |
COMMUNION/SEPTICFLESH |
コミュニオン/セプティック・フレッシュ |
MARQUEE MICP-10783 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ギリシャ産エクストリームメタルの復活7枚目のアルバムです。ブラストビートが炸裂する中、オーケストレーションとコーラスが大いなるものへの畏怖を演出していくシンフォニックデスメタルな1から始まるアルバムは、ダイナミックに荘厳さを創り出して行く2はクリーントーンのミステリアスなコーラスを絡めつつミドルテンポで威圧感を高めて進む重厚なナンバー、タイトルトラックは攻撃性を高めたリフワークと神秘的なコーラスが絡み合う凶暴なナンバー。大仰なドラムワークのイントロから壮大に展開していく4はドラマティックとも呼べる勇壮でシンフォニックな曲、圧迫感を高めて進む5は凶暴性を露にしながら荒れ狂うアグレッシヴなナンバー、叙情的なメロディを紡ぎだす6は感情を叩きつけながら進むダイナミックなナンバー。映画のサントラ風演出で突き進む7は呪詛めいたヴォーカルとの相乗効果で劇的さに拍車を掛けます。タイトなリフを刻みつつ怪しげに進む8はクリーンヴォーカルとデスヴォイスで掛け合いながら圧力を高めていくミドルテンポのナンバー、扇情的なメロディで迫る9はミドルテンポのドラマティックな哀愁ナンバー。ボーナストラックには2のオーケストラバージョンが収録されています。 古代エジプト神話やラヴクラフトの物語、聖書など歴史やフィクションの題材を自らの世界観で塗り替えるサウンドスタイルは、アルバム毎に変化する彼らの方向性からは前作を踏襲するものになっています。かなりのブランクがあったにも関わらず、復活できるのにはスタイルの自由度が高いせいでもありますが、このバンドに何を期待するべきか困るところ。とりあえず、どんなスタイルでも高品質に仕上げてみせる職人芸というかアーティスティックな顔を見せ付ける一枚です。 |
同系統アルバム ITHYPHALLIC/NILE IN SORTE DIABOLI/DIMMU BORGIR HERVEST/NAGLFAR |
FOREVER CHAOS/SHADOW |
フォーエヴァー・ケイオス/シャドウ |
MARQUEE MICP-10792 [☆☆☆☆☆] >>>>>BUY...?大阪出身の女性ヴォーカル擁するメロディックデスメタルバンドの二枚目のアルバムです。どこのメロディックパワーメタルだと言う華麗なイントロで幕を開けるアルバムは、凶暴なデスヴォイスで突進するブルータルなパートとギターヒーロー的なプレイを見せるメロディアスなパートとのコントラストも凄まじい1から強力なナンバーを揃えていきます。威圧感のあるギターリフで不穏に迫る2は炸裂するデスヴォイスで圧倒しながら流麗なメロディで繋いでいく攻撃性と叙情性が交錯していくスピードナンバー、流麗なメロディが疾走していく3はアップテンポのキャッチーな展開と畳み掛けるフラッシーなギターソロで盛り上げていく圧巻の劇的ナンバー。北欧メロデスの流れを汲んだ4は叙情メロディと激情がぶつかり合う起伏の激しいナンバー、突進力を上げていく5はブルータリティとメロディが混在する凶暴な曲、センチメンタルなメロディが炸裂する6はアコースティックパートも盛り込んだ展開と劇的さで盛り上げる一曲。緊迫感を高めつつ疾走していく7は緩急も激しく突き進むドライヴ感の強いナンバー、叙情的なフレーズが爆発するアップテンポでキャッチーな8、ザ・ホーンテッドのアンダース・ビョーラーが参加した9はブルータルに展開しつつ、粘りのあるメロディアスなソロを聴かせる一曲。リリカルなイントロからドラマティックに飛翔していく10はダイナミックな展開で加速するメロディアスなナンバー。ボーナストラックには誰もが知ってるディオのカバーと、きっとその辺に居たのでつい録音してしまった、オリジナルシンガーを迎えてのビッチのカバーが収録されています。 ギタリストが一人脱退するなど沈黙を余儀なくされていたバンドですが、復活のアルバムはデビュー作を上回るクオリティを誇る代物になっており、ブランクを感じさせない仕上がりです。80年代のギターヒーローを彷彿とさせるフラッシーなプレイが炸裂する中、ブルータルに徹するヴォーカルが絡み合うドラマティックなサウンドはキレを増し、国産バンドと言う括りはほとんど必要ないワールドワイドで闘えるものになっています。不透明なバンドの今後の活動が懸念されなくもないですが、長い間待たされた甲斐のある強力な一枚です。 |
同系統アルバム RISE OF THE TYRANT/ARCH ENEMY xGODx/SERPENT FOR THE REVOLUTION/KALMAH |
CRASH & BURN/SINNER |
クラッシュ・アンド・バーン/シナー |
KING RECORD KICP-1336 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ベテランジャーマンメタルバンドの15枚目のアルバムです。ギタリストがプライマル・フィアのヘニー・ウォルターに戻っていますが、いつものことです。サイレンの響きが開幕を告げるアルバムは、いつも通りのマット・シナーの渋い歌声がキャッチーなメロディを唄うドライヴしていく1からオーセンティックなハードロックが展開されていきます。閉塞感のあるヘヴィなリフを繰り出す2はキャッチーなコーラスで開放感を作り出します。乾いた空気のロックナンバーの3、6、アイリッシュなメロディも絡めた哀愁あふれるミドルテンポの4、カントリーなロックナンバーの5、熱気溢れるハードロッキンなドライヴする7、叙情感たっぷりのパワーバラードの8、マーベラス3のカバーの9を挟んで、ポップなフィーリングでロックする10、ダークなムードで迫るヘヴィな11は叙情的なギターソロが情感を揺さぶります。 ボーナストラックには情感的なメロディが印象に残るミドルテンポの12、セカンドアルバムの楽曲のリメイク、初期の楽曲のライヴの三曲が収録されています。 プライマル・フィアの活動も忙しそうなのに、コンスタントにアルバムを発表していくマット・シナーの旺盛な創作意欲には驚かされるばかりですが、二つのバンドの差別化を強めるためにこちらの方はよりオーセンティックになっていくあたりは、バンドの年季とシンクロして味わい深いサウンドになっています。安定感のあるサウンドを作り続けるベテランのキャリアを感じさせる一枚でした。 |
同系統アルバム GLOBAL WARNING/JON OLIVA'S PAIN TINNITUS SANCTUS [limited edition]/EDGUY SWINELORDS/TWILIGHTNING |
THE END OF LIFE/UNSUN |
ジ・エンド・オヴ・ライフ/アンサン |
MARQUEE MICP-10788 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?元ヴェイダーのギタリスト、マウザーが女性ヴォーカルと組んで結成したバンドのデビューアルバムです。ヘヴィリフを紡いでゴシックな空気を生み出していく1から、コケティッシュなヴォーカルが浮遊するサウンドを作り出しているアルバムは、ミステリアスなムードを作り出しつつアグレッションも加えてヘヴィに迫る2、叙情メロディが炸裂してパワフルなバックと融合していく3、シンフォニックなバックを引き連れてドラマティックな展開を見せる叙情的な4、ハードなリフとセンチメンタルなメロディが融合していくミドルテンポの5、哀愁あふれるメロディを紡ぎだすパワーバラードの6、バラードの7、ヘヴィなバックと情感高まるヴォーカルが絡みあうスローナンバーの8、アグレッシヴなリフに乗せて浮遊感のあるメロディを響かせるミドルテンポの9、グルーヴィなリフで進む10はメロウなメロディとのコントラストを強めながらキャッチーに展開します。デジタルなビートも加わったシャープなサウンドとテンションの高いヴォーカルが一体となって進むアップテンポの11、ボーナストラックには7のポーランド語バージョンが収録されています。 あまりクセの無いヴォーカルで抵抗感無く聴かせるサウンドは、バックの演奏のバリエーションの豊富さもあって多彩な表情を作り出しており、枠に囚われない楽曲を揃えています。今までに見ることが出来なかったギタリストの才能が発揮された、驚きの一枚です。 |
同系統アルバム UNBREAKABLE/FIREFLIGHT DARK PASSION PLAY [LIMITED EDITION]/NIGHTWISH MY EARTH DREAM/EDENBRIDGE |
■ | DecemberAMON AMARTH | EVIL MASQUERADE | FALCONER | FOLLOWBANE | HIBRIA | |
TWILIGHT OF THE THUNDER GOD/AMON AMARTH |
トワイライト・オブ・ザ・サンダー・ゴッド/アモン・アマース |
METAL BLADE JAPAN MBCY-1101 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの7枚目のアルバムです。叙情感あるメロディックなリフで突進していく1からグロウルするデスヴォイスも凄まじい起伏の激しい迫力満点のドラマティックなデスメタルを創り出して行くアルバムは、重量感のあるギターリフを積み重ねて、ある種の荘厳さを生み出すアップテンポの2、ミドルテンポの3は重厚なリフで構成される情感を叩きつけていく曲、畳み掛けるクランチーなリフと小気味良いヴォーカルで切迫感を高める4は唸りを上げるギターワークが一体となって劇的に展開していきます。威風堂々と迫る5、6はエピックメタル的な構成のミドルテンポのナンバー、アップテンポで飛ばしていく7は畳み掛ける勢いのあるヴォーカルとコーラスで引っ張る勇壮なナンバーでフラッシーなギターソロも飛び出します。叙情メロディを重ねていく情感溢れる8、躍動感あるギターリフで突き進む9はドラマティックなギターソロも加えて盛り上げます、更にアポカリプティカも加わって劇的さと叙情感が倍増。寂寥感と哀愁が木魂する重厚な10でアルバムは幕を閉じます。 基本的な方向性はそのままに、更に劇的に展開していくエピックなサウンドは躍動感を増して、独自性と普遍性のバランスを高めており、より多くの人に受け入れられそうなアルバムに仕上げています。北欧の力強く生命力にあふれた神話世界を鮮やかに描き出していく一枚でした。 |
同系統アルバム THE VARANGIAN WAY/TURISAS FOR THE REVOLUTION/KALMAH DISMEMBER/DISMEMBER |
FADE TO BLACK/EVIL MASQUERADE |
フェイド・トゥ・ブラッド/イーヴル・マスカレード |
MARQUEE MICP-10805 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?デンマーク出身のバンドの4枚目のアルバムです。リズム隊が交替して製作されています。エスニックなフィーリングのイントロからドラマティックに流転していく、ハイトーンヴォーカルも力強いネオクラシカルワールドが展開していくアルバムは、スリリングでオペラティックな1からその魅力全開です。ソリッドなリフを刻んでいく2はシリアスな印象のダークなアップテンポのナンバー、キラキラ感が強まるミステリアスなムードの3は叙情メロディと劇的歌唱がシンクロする泣きのナンバー、クランチーなリフで畳み掛ける4はレインボーの現代版と言った雰囲気の展開。タイトなリフがミステリアスなメロディを導いていくミドルテンポの5、パワーメタリックなリフで妖しげな空気を生み出していくソリッドな6、アグレッシヴなリフでパワフルに迫る7はドラマティックに転がっていくダイナミックなナンバー、陰鬱なイントロからオペラティックに展開していくダークでヘヴィな8、キーボードインストから起伏の激しい展開を見せていく9、ヘヴィリフでジリジリと詰めて来る10はエモーショナルなヴォーカルが空気を一変させるダイナミックな展開を見せる劇的ナンバー。ボーナストラックの11はネオクラシカルなインストナンバーが収録されています。 ギターとキーボードが絡み合う中、ハイトーンヴォーカルが空気を切り裂いていくドラマティックなネオクラシカル・ワールドは度重なるメンバーチェンジでも一切ブレることなく突き進んでいきます。中心人物のビジョンを忠実にクオリティ高く展開していく、安心感のある一枚でした。 |
同系統アルバム THE 8TH SIN/NOCTURNAL RITES SKELTONS DOMINATION/SCELERATA NEW RELIGION/PRIMAL FEAR |
AMONG BEGGARS AND THIEVES/FALCONER |
アマング・ベガーズ・アンド・シーヴス/ファルコナー |
MARQUEE MICP-10804 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?スウェーデン出身のバンドの6枚目のアルバムです。物悲しいイントロから、ヒートアップしていく起伏の激しいスピードナンバーの1で幕を開けるアルバムは、哀愁あふれるヴォーカルとフォーキーなメロディが炸裂していく彼ららしいサウンドが展開していきます。アップテンポでダイナミックに迫る勇壮な2、女性ヴォーカルとのデュエットを聴かせる3はオペラティックな掛け合いが叙情感を強化していく哀愁ナンバー。ミドルテンポの4はエピックなムードが哀愁たっぷりで展開していきます。情感高まるフォーキーな哀愁メロディで畳み掛けるミドルテンポの5、牧歌的ムードを高めながらキャッチーな展開を見せる6ではオペラティックなパートも飛び出します。叙情的なメロディが切々と紡がれていくミドルテンポの7、スピードアップして突進していくダイナミックな8、ヘヴィリフで迫る9は加減速を繰り返しながらメロディを積み重ねていく劇的ナンバー。ボーナストラックの10はキャッチーながらも湿った曲調のポップなナンバー。フォーキーでエピックなムードが強まる11、ピアノのイントロからデュエットで掛け合いを見せる12はスピードアップして表情をガラリと変えるドラマティックな展開が印象的な大作。ボーナストラックの13はセカンドアルバム収録曲のスウェーデン語リメイクが収録されています。 スタジオバンドに徹するという潔い決断によって、オリジナリティを完全に取り戻したサウンドは更に磨きを増してメロディと劇的さがパワーアップ。ミュージカル畑のヴォーカルの表現力を活かしたアレンジや女性ヴォーカルの参加もあって物語性も強化されており、作曲能力の高さをうかがわせます。ライヴでこの楽曲を味わうことがほぼ無理なのが残念ですが、軸のぶれない充実した内容の一枚です。 |
同系統アルバム VICTORY SONGS/ENSIFERUM DIMENSIONS/FREEDOM CALL BLADE OF TRIUMPH/IRON FIRE |
MY SOLITUDE/FOLLOWBANE |
マイ・ソリテュード/フォローベイン |
SOUNDHOLIC TKCS-85205 [☆☆☆] >>>>>BUY...?京都出身の二人組メロディックデスメタルの4枚目のアルバムです。ロマンティックで物悲しいイントロから、疾走感の強いメロディと炸裂系デスヴォイスが絡み合っていくスピードナンバーの1で始まるアルバムは、優雅なイントロから攻撃性と華麗さが交錯しながら進む起伏の激しい2、リリカルなイントロから哀愁メロディが炸裂しながら加速していく3、クラシカルなムードを持ったバロック風な4、ドラマティックに飛翔していくメロディで畳み掛けるスピードナンバーの5、メランコリックなインストゥルメンタルの6から、女性ヴォーカルも加わってドラマティックに展開していく大作の7へと。ストリングスの物悲しい調べからダイナミックに展開していく8、女性ソプラノヴォーカルが唄う小品の9を経て、緩急も激しく展開していく10で幕を閉じます。 アルバムを重ねるごとに曲作りはこなれてきて、ツボを押さえた展開で耳を惹きますが、反面サウンドプロダクションの方は大きな変化は無く、あまり褒められたものではない感じになっています。バンドの編成の方も変化なしで、新しいインプットとかバンド形態によるアンサンブルと言ったものも少ないので、煮詰まり加減も窺われますが、豊潤なメロディと劇的展開が堪能できる一枚になってます。 |
同系統アルバム FOR THE REVOLUTION/KALMAH xGODx/SERPENT FOREVER CHAOS/SHADOW |
THE SKULL COLLECTORS/HIBRIA |
ザ・スカル・コレクターズ/ヒブリア |
SPIRITUAL BEAST POCE-16043 [☆☆☆☆] >>>>>BUY...?ブラジル出身のバンドの二枚目のアルバムです。ドラマーが交替して製作されています。タイトル通り、パンチのあるドラマティックなファストナンバーの1から始まるアルバムは、ドライヴするリフと鮮やかなギターソロで引っ張るアップテンポの2、ザクザクしたギターリフで畳み掛ける3は力任せでぶん投げるパワーメタリックな曲でフラッシーなギターソロの連投が激しい。フックのあるリフで躍動していく4は朗々としたコーラスで盛り上げます。シャープなギターリフで切れ込んでいく5はアグレッシヴに攻めるファストナンバー。パワフルでダークなイントロから躍動していく気迫溢れる6、タイトルトラックは馬力のあるリフ起伏も激しく押し捲るスリリングな曲。唸りを上げるリフの連鎖に圧倒される8は粘りのあるコーラスと切り返しの大きい展開で盛り上げる一曲、大作の9は起伏と感情のうねりがシンクロしていくドラマティックな仕上がり。 ボーナストラックの10は3のデモバージョンでサビの違いで少し印象が異なった曲になっています。 楽曲を取り込んでみると曲と時間がズレていると言う新手のコピー防止策か、と勘ぐりたくなるアルバムですが、伸びのあるハイトーンヴォーカルとテクニカルなギターソロで正統派メタルをやってのける方向性は変わらず色んなところに既視感を憶えなくもないものの熱いサウンドが展開されていきます。デビュー作よりはまとまりがあって安定して見えますが、曲展開が割と一本調子なので初聴きのインパクトはそれほど持続しない印象、ライヴでは盛り上がるだろうけど。復興の兆しが見えなくも無いオーセンティックなメタルを真っ当にやってのける様には素直に共感を覚える、次回作はかなりハードルが高そうな一枚でした。 |
同系統アルバム THE 8TH SIN/NOCTURNAL RITES SKELTONS DOMINATION/SCELERATA NEW RELIGION/PRIMAL FEAR |