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「雪舞い」


カリ、コリ、ギュッギュッ
カリ、コリ、ギュッギュッ
あの人のことも、この人のことも
楽しいことも、苦しいことも
一歩一歩踏みしめながら
滑って転ばないように
足下に神経を集中しながら
少し黒ずんだ雪の廊下を歩いていく

雪はあまりに真っ白だから
渦を巻いたり、クロスしたりして
僕のフロントを、滑り上がったりして
目をきつくつぶっていても
光が流れ込んで、頭痛が止まらない
空気はツンとした匂いで軽やかに
やることをやらずに置く僕を責めている
心に白が、重く重く降り積もっている

雪舞いて
見上げる坂に足跡の
空を目指して、雪を踏みしめて

子供の頃みたいに
楽しいステップを踏みたい
転がることなんて恐れもしないで
尻もちの痛みが、生きていることだから
そう思って勢いをつけようとするけれど
体はこわばって、動けないままに
さっき言葉に出せなかった
心を繰り返してる

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