雪の降った夜 雪明かりの縁側で はじめて語り合ったな 冷や酒を旨そうに飲むお前 なかなか様になって 俺は酒も煙草もやらない お前はとっくに俺を越えてる お前は大学に入って 免許を取って車に乗って 最近恋人ができたって 照れくさそうに笑って言う いじめられっ子だったお前が いつの間にか自立していた つまづきながら壁を越え 息子よ お前を 俺は 誇りに思う 特別話すこともなく 雪を眺めて座っている お前が子供の頃のことを 思い出していた オムツも俺が換えたし 飯も噛んで柔らかくして食わせた それがこんなにでっかくなった お前は俺よりも 学校や社会と戦った 転校するときも 戦略的退却と泣いた 口下手な俺は何も言えず ただ肩を叩いて見ているだけ それでもお前は生きてきた 息子よ お前を 俺は 誇りに思う ポツリポツリと 思い出すように話す お互いの顔を見ないようにして 大したことは話さないけれど 俺は元気で お前も元気だ 一口だけ酒を含んだ 男同士はいいもんだって 親父の息子で良かったなんて 泣かせることを言いやがる いつかはお前も親父になって 息子とこうして話すのだろうか たまにはこんな夜もいい お前はずうっと俺の息子だ 息子よ お前を 俺は 誇りに思う 息子よ お前を 俺は 誇りに思う