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「雪女」


羨ましい娘
あなたの愛を一身に受けて
街角の日溜まりみたいに笑う
こころに吹き荒れる
この吹雪が
あなたとあの娘に見えないように
笑顔を浮かべて流す涙は
真っ赤な氷です

冬の夜
街路樹を彩る
イルミネーション
なんて残酷なんだろう
寒さに耐える木々を隠して
あの娘が光なら
氷は透明な闇
包み込む

あなたは光を見つめている
凍り付く闇は熱を程良く冷ます
心の隙間に生まれ落ちた
幻の微かな煌めき
あなたの無意識に憑依して
二度と離れることはない
無限に深く広く包み込んでいよう
たやすく溶けてあげたりしない

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