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「片見月」


月明かり
さざめき渡り
あまりに明るすぎて
あなたの顔が見えません

こんな月夜には
窓を開けて静かな風に
ジャズを流してみませんか
静かなピアノがいい

リズムパートはいらない
ベースとドラムスはいらない
エヴァンスのピアノだけにして
繊細な氷の粒を聴かせて

音が多すぎる
ハイ・ツェーだけを響かせて
月のグラスを震わせるほど
しなやかさが折れるまで

ポーン、ポーン、ポーン
あなたの顔が見えない
この月の明かりが
まぶしすぎて

もっと、もっと、もっと!!
叩き続けていたい
そして聴きたい
あなたの心

冷たさは偽りの色
いいえ、冷たさは
眠ることのない
真実の感覚

片見月
あまりに冴えて
サラサラと
月から雪が降ってきました

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