寒々と冬田枯れ草打ち濡れて鄙びる様よ 吾は雨なり 久方の友らの笑顔 隔たりぬ心を隠し吾も笑うなり 冬晴れの白みぬ空と空き腹を重ねて今日は幸せと見る 紅の血に染まれるか 唇の極まる冬に君は立っている 残り火の生命燃やして発つ夜に しっかり征けと降るや初雪 街角の暮らしの中に染み込んで消えていくなり この初雪は 自転車はさゆる空気を切り裂いて進みゆくなり 吾が子守歌 人殺しと気狂いが自由を求めて戦っている 何百年も歴史を作って 収容所のガス室とお前らの正義とどう違うのか 子供達にわかるか 一人は勇気と言う友 人の間は恐怖という吾 刺し違えたり 真っ直ぐでいたいと思う 捻れても真っ直ぐ上に捻れたいんだ さざめきの君の溢れる電話口 暗かりし吾をおかしく思う 雪国にかまくらありてたくましく冬を越しゆく人の温もり 崩しゆく形に絡む心かな ガラス細工の風の中にて ひとひらのほどろ雪かな 言の葉は吾の手のひらで溶けてゆくなり 何もなくただ抱きしめるだけで良い 温もり分かつ人よ そばにいて 人求む吾も吾なり 人拒む吾も吾なり 全て良しとす 雪時雨 白くさゆる気染まり来る世に紅の枯れ木見えたり 叩きつける風 雪解けの泥水 みんなぶっ飛ばして走れ使命の自転車 僕から生まれたのに僕の言葉じゃない 十二月二十五日は雪の原が晴れた あちこちと散るだけの雪が積雪に反射して吾の目に入るなり 落ちぶれて被った布団 雪の日に 負けるもんかと畳んでしまう さゆる気は集光レンズ 一点に葉を集めたり 木枯らしの光で 立つ瀬なきこの身を雪と遊ばせば 子ら集い来て点々となる さゆる朝 晴れ雪の原 吾の跡を返し見るからに転ぶ楽しさ 果てもなき雪の白さに耐えかねて泥となりぬる温もりを探す バタバタと音立て揺れる街灯は雪を払えり 吾の如くに 日もさゆり暮らしにくかる雪の原もそのままであれ 君に見せたきに 昨日のと一昨日の氷比べれば 科学にならぬおかしさがある 子供らの歌を見て 吾の未来を見たように震えた