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「月」


君が旅立った夜
何て綺麗な月
あるいはアルテミスとも
月天子とも呼ばれる
宙を統べる光を
受け止めて
再び放つ
優しい思いやりと
強い決意を
その断面に感じる
本質は狂気
狂いゆく自分を見つめながら
巡ることをやめない
いじらしさと
逞しさを
生き物は持っている
そして月に映された君の顔
悠久の時の中で
数え切れぬ人が見つめ続けてきた
浮かび上がる月鏡の不思議
こんなにも
感じあえるなんて
文字と声が運ぶものは
歪められてしまうことが多すぎるけれど
あの月に映る君の眼差しは
白銀の高貴さをもって
僕に確信を与える
君と僕の
出会う宙に
何て綺麗な月

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