6月13日、国際交流会館にて、30名の参加の下、定例会を開きました。
この間、6月1日には、福井県旅費返還会が福井県に対し、平成6年から平成9年までの4年間の不適正なカラ出張旅費469,478,420円(利息を含む)を返還するというニュースがありました。市民オンブズマンの第一の成果といえるでしょう。もっとも、秋田県では、OA機器の購入等に充てられた公務遂行上の経費も含む43億7000万円の全額が返還されたのに、福井県ではその部分は返還対象に含められていないこと、実際の不正支出に関与したかどうかにかかわらず、課長補佐以上の管理職から一律に「返還」させており、管理職に不公平感を残す処理となったこと等の不十分なものであったことは、注意する必要があります。
市町村旅費調査委員会について
さて、5月1日に福井県下の35市町村に対し旅費調査委員会の設置の有無について照会をしたところ、6月13日現在、23町村から回答がありました。大半の町村は旅費調査委員会の設置は考えていないというものでしたが、丸岡町は「行財政改革推進本部において調査したい」、春江町・芦原町は「助役・総務課長において調査したい」と回答し、高浜町は「現在検討中」、大飯町は「必要性について検討する予定」との回答でした。市レベルの回答が全くありませんが、回答を催促し、少なくとも県下7市に対しては、直接働きかけをしていきましょう。
マスコミ県政記者懇談会についての県の回答
荒川さんの公開請求に始まった県政記者懇談会調査の終盤です。
これまでの調査で、出席した県政記者は各自5000円の会費を負担していること、ところが飲食料理店からの請求額と県が支払った懇談会の経費は一致していること、が明らかになってきました。そうすると、記者の会費が行方不明になってしまいます。そこで、5月1日付で県に対して、出席記者の負担した会費がどのように処理されたのか明らかにして欲しいという内容の公開質問状を発送しました。
それに対して、5月19日付で県広報課長名で回答がありました。
「今回の食糧費の支出にあたっては、事前に必要経費を算出し、会費分を差し引いた額を公費分として支払いました。従いまして、会費分は懇談会経費の一部(飲食およびコンパニオン代)に支払っています。」
極めて分かりにくい文書でしたので、熟読吟味しました。どうもコンパニオン代や飲食代の一部は、県宛の請求書からは除外してあり、会費で別途支払ったという趣旨のようです。確かに情報公開で得た飲食店からの請求書には、コンパニオン代が空欄になっています。
「議会情報公開のお願い」に対する県議会の回答
平成10年6月9日付 福井県議会議長見城一宣
議会情報の公開
平成10年4月24日付けの文書により依頼のありましたみだしのことにつきまして、福井県公文書公開条例では、議会は公文書公開の実施機関となっていないため、公開できません。」
杓子定規とはこのことを言うのでしょう。公文書公開条例という名前の「公文書非公開条例」がその実態です。県民におよそ開かれた姿勢を示さない議会は、県民にとって意味があるのでしょうか。
ちなみに、このとき公開を求めた情報は、平成9年実施の都道府県議員第49回軟式野球大会の実施に関する文書や、平成9年実施の議員の海外視察の実施に関する文書や、議員調査費に関する文書です。何か隠す必要のある文書なのでしょうか。情報公開に対する議会の姿勢を端的に表しているといえるでしょう。
カラ出張とその後の状況
県庁の21億円を超すカラ出張は、このうち、飲み食いなどに使われた4億7千万円がこのほど返還された。これで一件落着としてよいだろうか。
<組織的に行われた不正>
県が不適切・不適正としたこれらの支出は、巨大な組織の職階制の中で、悪いことと知りつつも上司の指示に逆らえず、あるいは自ら職務遂行上やむを得ないこととして、県庁全体を通じて日常的に行われてきたのが実態であり、個人としてはやりたくないという多数の職員の思いは、組織全体の暗黙的了解のもとに習慣化されてきた圧力に押しつぶされてきたといえよう。
<責任>
この責任は、県も認めたように、撤廃すべしとの問題提起を怠り、悪しき慣習を平然と守り続けてきた管理職職員にある。4億6千万円の返還は、主に管理職手当から毎月借入金の返済に充てられることになったが、そもそも管理職手当とは何か、何のために支給するのか、何に使われるべきものなのかを、この際明確にしてもらいたいものである。
<旅費調査の結果に基づく改善>
今回の事件後、県では予算の計上や繰越、旅費支給規則など制度の改善を行い、県職員から「いやなことをしなくてもよくなり、すっきりと仕事ができるようになった」といった話が伝わってくる。このことはカラ出張追究の結果でもあり、評価したい。
<実体解明と再発防止を求める市民の立場からの情報公開請求とその回答>
1、旅費調査委員会の調査結果についての裏付資料一切を請求(H10.3.17)したところ、公文書公開決定通知書(H10.3.31)には請求に係る公文書の件名または内容が、「旅費調査結果と改善方策に関する報告書のとりまとめについて」と記載され、県議会に提出された同報告書(千円単位)と円単位でまとめられた集計表(報告書作成のもとになったもの)が開示(H10.4.8)された。
この開示の折、人事課は、旅費調査は最終的に人事課で取りまとめたが、これは各部局の次長から所管部局の調査結果を聞く形で進められ、予め統一的様式を定めて行ったものではないと説明した。
2、1に続いて行った請求と回答
イ、旅費調査委員会の調査に際し、農林水産政策課、監理課、福井農村整備事務所、福井土木事務所が各部局(次長等)とのヒアリングに提出した旅費調査の取りまとめ書類、裏付文書、帳簿等一切(H10.4.27請求)
ロ、旅費をパソコンやワープロの購入に流用した課、出先機関の購入状況(年月日、機種、数量、価格、相手方など)を示す見積書、請求書、領収書、出納簿等の関係文書、帳票と備品台帳への登載状況(H10.4.27請求) 請求先:県教育委員会
ハ、上記イに対する回答(H10.5.7〜8)は、4ヶ所とも「請求に係る公文書は存在しないため、公開の可否の決定ができませんので通知します」という内容である。
ニ、上記ロに対する回答(H10.5.7)についても、ハと同様であり備品台帳に登記されていないためというカッコ書きが付記されている。
カラ出張の総額(H6〜8年度と9年度12月まで)は、2,151,782,155円と円単位で集計されているのに、その根拠となる文書などは何もないということになる。また、パソコンやワープロ等は備品台帳に登載されていないため誰の物ともわからない状態になっているということになる。
4、これは明らかに県の情報かくしであり、旅費調査の裏付資料やヒヤリングに提出した資料はメモのようなもので、条例に規定する公文書に相当しないものであるとするならば、速やかに関係者の供覧に付し、公文書とした上で公開するのが市民の知る権利を保証するという情報公開制度の趣旨に沿うものといえるのではないか。
情報かくしは、もんじゅ大事故の動燃や薬害エイズの厚生省の例で明らかなごとく、不正の始まりであり、県の情報かくしは再び県民を裏切る不正につながりかねない。
5、福井県条例に定める「公文書」とは、実施機関の職員が職務上作成または取得をした文書、図面及び写真(これらを撮影したマイクロフィルムを含む)であって、決裁または供覧の手続終了後、県において管理されているもの(第2条)とされているが、たとえば高知県条例では、実施機関の職員が職務上作成し、または取得した文書、図画、写真(これらを撮影したマイクロフィルムを含む)その他実施機関が定めるものであって、組織的に用いるものとして実施機関において管理しているものとなっている。
国の情報公開法案もこれと同様で、例えメモのようなものでも組織的に用いるものとして行政機関(県では実施機関)が保有していれば公文書と解釈される。福井県条例の決裁または供覧の手続を終了していないものは公文書とはみなされないとも解釈される規定は、改正を求める必要があるのではないか。
永平寺川ダム建設工事入札予定価格非公開
福井土木事務所が5月18日に入札を行った永平寺川ダム建設工事について、談合疑惑が報道されました。申込締切り以前に福井新聞社などに談合で施工業者は決定しているとの情報があり、入札結果はそのとおりになりました。土木事務所は、入札指名業者を呼びつけ事情聴取の結果、不正はなかったと判断して入札を行ったといいます。しかし、2年前の耕地事務所の入札談合にからむ刑事事件でも、判決で日常的に談合が行われていたと指摘されているのに、県は同じような調査の結果、不正はなかったと判断していたのは記憶に新しい所です。
さて、オンブズマンで、この建設工事の入札予定価格調書の公開を求めたところ、6月8日、「入札事務の公正もしくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある」との理由で、入札予定か書く調書は全部非公開となりました。それでも、入札結果を見ると、落札価格の69億4000万円から最高入札価格の74億3000万円に至るまで、きれいに数千万円ずつの価格差で分布しているのは、極めて不自然な作為の跡を感じさせます。
定例会当日の議論の中で、「談合は恒常化している。」「問題は談合かどうかということではなく、落札価格が適正かどうかではないか」「価格が適正かの前に、そもそもそんな工事が必要あるのかという工事が多いのではないか」との意見が出されました。
いずれにしても、福井県でも、6月1日からは、事後的に入札予定価格を公表するということが決まったばかりなのに、それ以前の入札だからという理由で非公開とするのは、県の政策として矛盾していると言わざるを得ません。そこで、6月30日に福井県知事に対し、非公開決定に対する異議申立てを行いました。