異　議　申　立　書

　　　　　　　　　　　　　　平成１０年６月２９日

福井県知事栗田幸雄　殿

福井市宝永４丁目９番１５号（千葉ビル３階）

　　　　　　　　　　TEL　0776-29-7233

　　　　　　　　　　FAX　0776-29-7160

　　　　　異議申立人　　甲　野　　太　郎

　　　　　代理人弁護士　湯　川　　二　朗

下記の通り異議申立をする。

　　　　　　　　　　　　　　　記

第１　異議申立人の住所、氏名

　　　甲野太郎

第２　異議申立にかかる処分

平成１０年６月８日付公文書非公開決定通知書（福土第１５２６号）でなされた永平寺川ダム建設工事の入札予定価格調書の不開示決定（以下「原処分」という）

第３　前項の処分があったことを知った日

　　　平成１０年６月９日

第４　異議申立の趣旨

１、原処分を取り消す。

２、平成１０年５月１８日に入札が執行された永平寺川ダム建設工事の入札予定価格調書について全部開示する。

との決定を求める。

第５　異議申立の理由

１、異議申立人は、平成１０年５月２５日に、平成１０年５月１８日に入札が執行された永平寺川ダム建設工事の入札予定価格調書の開示請求をしたところ、原処分は、「入札事務の公正もしくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあるため」福井県公文書公開条例７条６号に該当するとして、不開示と決定したものである。

２、しかしながら、原処分は、福井県公文書公開条例の解釈を誤った違法なものであり、取り消されなければならない。

1. 入札予定価格を事後に公開することに行政への支障はない

   原処分は、「入札事務の公正もしくは円滑な執行に著しい支障を及ぼすおそれがある」旨述べるが、どうして支障が生ずるというのか何ら具体的なおそれが示されていない。

   これから入札を行うのであれば、入札予定価格を開示することが入札の公正な執行に支障を及ぼすことは理解できるが、既に入札が実施完了した段階において入札予定価格を開示することは、何ら将来の入札事務の公正かつ円滑な執行に支障を及ぼすものではない。

   　

2. 談合の有無を調査するためには入札予定価格を開示する必要が大きい

   本件永平寺川ダムの入札は、入札の前に福井新聞社などに「談合で施工業者は決定している」との情報提供がなされた談合疑惑のある入札であった（平成１０年５月　日付福井新聞）。本件が談合によるものであるかどうかを判断するためには、本件工事の入札予定価格調書の開示が必要である。

   逆に言うならば、県知事がこの入札予定価格調書の開示をしないことは、県が談合隠しに荷担しているのではないかとの批判を免れない。

   　

3. 予定価格事後公表の流れ

平成９年１２月１２日、行政改革委員会は、「最終意見書」の中で、「（予定価格を公表することは）発注者がコスト削減努力をしているのかコスト削減に反することをしていないかについて、納税者が関心を持ち、監視することを可能とする条件を整えるというメリット」があり、かつ「落札の実態を公にして第三者による監視を容易にし、不自然な入札を行いにくくする」ものであるから、「予定価格の事後公表を積極的に推進していくべきである」ことを明記し、閣議はこの行政改革委員会の最終意見を最大限尊重する旨の決定をした。

その後、平成１０年２月４日には、中央建設業審議会も同趣旨の決議をし、建設省はこれを受けて直轄工事については新年度から予定価格の事後公表を行う方針を明らかにした。

このような政府の動きを受けて、埼玉県では既に入札予定価格を公開している

平成１０年３月２３日付日経新聞の報道によれば、埼玉県は、公共工事のコスト引き下げと談合防止を目指し、３月から入札予定価格、最低制限価格などの情報を事後公開した。神奈川県も事後公開を決めたほか、千葉、茨城県なども検討しているという。

福井県においても、６月１日から工事入札予定価格を落札決定後公表することを決定した（平成１０年５月２８日付福井新聞）。これは、入札予定価格の事後公表に、原則的に行政事務執行に支障がないからに他ならない。６月１日以降の入札について事後公表ができるのであれば、それ以前の入札についての入札予定価格の事後公表も可能であるというべきである。

第６　処分庁の教示の有無及びその内容

「この決定に不服がある場合は、行政不服審査法（昭和３７年法律第１６０号）の規定により、この決定のあったことを知った日の翌日から起算して６０日以内に、福井県知事に対して不服の申立をすることができます。」との教示があった。

以　上