魔法珠 〜Magic・Soul〜 10
10.
「キアルス、勝手に人が死ぬと決めつけるな。あたしはそう簡単に死にやしないさ。
根性だけはあるつもりだし」
笑いながら言う。
「根性でなんとかなるなら、今頃この世は破滅してるぞ。
普通の人間の手におえる物じゃない」
さらりと言ってのけるリアール。
(記憶を戻してしまえば、もうサラズィアさんが危険なめに遭うことはない。
半分は既に封印したのだから、もう半分は私が抑えておけばどうにかなる。いや、してみせる。
だから……)
「全部、本当のことを話します。
まずは…」
闇精霊、光聖霊にしか使えない還元魔法。
――本来あるべきものよ、その形を取り戻せ、元ある姿を取り戻せ――
《解放!》
呪文を唱えて記憶を戻す。
姿も私本来の姿に戻っていた。闇精霊である姿に。
「へぇ、キアルスって女だったのか?
今まで一緒に旅してたのに、全然気付かなかったな」
(うーん、悪かったかもな)
キアルスが苦笑しながら言う。
「ボディーガードには男の姿の方がよいでしょう。気付かれないようにしてたんですよ。
いえ、そうじゃなくて」
一度、言葉を区切る。
次の瞬間には辛そうな表情をしていた。
「サラズィアさんの記憶を封じたのは私です。すみません。魔法珠の封印を強力にするためにしなければならないことだったのです。
けれど…一緒に旅をして思ったんです。
私はあなたを死なせたくないと。
だから、このまま帰りましょう。
魔族からは私が護ります。闇精霊が使う闇魔法は人とは比べものにならないくらい強いものです。
残りの魔法珠は私がどうにかします。
だから…」
キアルスの言葉を遮ってあたしは話し出す。
「あたしは巫女だった。そして、やらなければならないことがあった。
あたしはそれが嫌で飛び出したけど、今ならわかる。
あたしは魔法珠を封印しなければならないんだ。このペンダントはそれを補助するために六芒星の形をしているんだ。
だから、キアルスが気にすることはない。
あたしは平気だから。
時々、何か落ち込んでることがあったけど、それが原因だったんだろ。
あたしは平気。それにリアールっていう味方も出来たんだし」
そう言ってリアールの方を見る。
「ってえことは…俺にこの旅にきあえと…。そーゆーことか?
まあ、魔法珠に興味があっからな。ありがたいといえばありがいんだが…。
おまえら、全ての魔族を敵に回す気か?
まあ、しゃーないか。
それに俺は魔剣士だしな。大抵の魔族はどうとでもなる。戦いはまかせときな」
そう言って豪快に笑う。
「ちょっと、あたしにも残しといてよ。
ストレス解消にするんだから」
「ス…ストレス解消…って、サラズィアさん………」
わずかな不安を残しながらも、新メンバーの増えたあたし達の旅は続く。
ふう…とりあえずこれで一段落 魔法珠も半分見つけたし けどまだずいぶんとアップするの残ってるなぁ…
主要キャラのあと1人はかなり最後の方まで出てきませんね…
では、ちょっと新展開な次をどうぞ
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