ああ、哲学をする人よ、 あなたたちは人類の最後の希望なのです。 だからこそ、尊いあなたたちよ、 生活を笑うことなかれ。 知性の迷妄に堕ちることなかれ。 批判精神の誘惑に誑かされることなかれ。 あなたたちが切り捨てようとするもの、 その中にどれほどの生き物が詰まっているか。 哲学の庭に錆のすえた匂いは、相応しくないのです。 どうか温かなスープのような生活感を、第一として欲しい。 あなたたちは言葉を口にするとき、 三度飲み込まなければなりません。 一度目には相手の顔を、 二度目には相手の暮らしを、 三度目には自分自身の顔を思い、 最後に声を選んで語り始めるのです。 あなたたちよ、その尊い言葉を生活の中で証明しなさい。 あなたたちよ、自分自身の尊さを生活の中で証明しなさい。 あなたたちの無責任と無自覚が、 どれほど哲学をおとしめているでしょう。 豊かな社会に溢れかえっている、知識だけしか持たぬ人々。 彼らは善良だけれども、単なる雑学者でしかありません。 哲学をするあなたたちは、雑学者であってはならない。 あなたたちの言葉は行動を創り、生活を創るのです。 雑学的考察と無責任な批判精神を哲学と呼ぶ学者。 哲学を高級なおもちゃのようにもてあそぶ若者。 容易に低級な哲学に溺れていく様を見るたび、 こう言わざるを得ないようにさえ思えるのです、 雑学的哲学こそが人類にとっての阿片である、と。 ああ、哲学をする人よ、 もう一度心に刻んで欲しい。 あなたたちは人類の最後の希望なのです。 生命が築き上げた希望の砦なのです。 だからこそ、尊いあなたたちよ、 言葉には命をかけて下さい。 そして生活の匂いを抱きしめて下さい。 喜びや悲しみや、恋をする心を、輝かせて下さい。 活き活きとした哲学を、どうか子供達に見せてあげて下さい。