新しき雲間からのせせらぎ。 この胸の中を彩る爽やかな空気と、 緑なす丘の頂に続くうっすらとした道。 蔦のびっしりと生い茂るくすんだ朱色の煉瓦の 暖かく低い壁が両脇に長々と連なって、 ミルクの匂いを漂わせている。 道端のたくましい草花の歓呼の声に胸を張りつつ、 生まれた瞬間から愛と夢を握りしめている 懐かしき君のあかぎれた手を取りて、 一歩、また一歩と、 気持ちを静かに見つめながら、 軽やかに重なっていく足どりである。 口笛にはいつもの労働の歌がいい。 いつしか天上の軍楽隊が伴奏を添える。 君は即興詩人になって、心地よい韻を踏む。 野の鈴の愛らしいはにかみを見て 君のさえずる声は安らかな童謡に変わり、 地上と天上の全ての音が緩やかに響きあう午後。 ここから流れ出すものは、 楽しげな色の絵の具を重ねつつ 明日の夜明けのカンバスに流れ込む。 犬と猫が足下でスキップ、小鳥が耳元でハミング。 それらをおかしげに見つめながら、 君はこのゴツゴツと凍えた左手を握りしめる。 丘の頂に続くこの永遠の道の歓喜に寄せて、 水たまりを弾けた泥のカタマリのシャワーに 世界の虹の色の配列からそれぞれの風がそよぐ。 新しい年の始まりは、 毎日の暮らしがその匂いのままに 新鮮に積み重ねられること。 働き者は働こう。 歌を唄うものは歌を、 迷えるものは大いに迷い、 鳥は空を滑り続け、 太陽は太陽のように、 水は水のままに、 昨日も今日も明日も、 世界は相変わらず素晴らしい。 傍らの君を振り返るときは、 幸せを確かめるために 極上のウインクをしよう。 眉をピクリとつり上げる ユーモラスな精神は、 この節くれた体にこそ宿る。 丘の頂に続く汗と涙の匂いのする道。 たくさんの言葉とたくさんの匂いが散らばって、 指さすたびに思い出が溢れ出してくる道。 この曲がりくねった道を共に歩いていこう、 君と犬と猫と牛と豚と山羊と羊と鶏と蛇とケラと蜂と、 貧しくも豊かな家族たちの嬉々とした声を連れて、 また変わらぬ伸びやかな毎日が続くようにと祈りながら。 この年にはどうか新しい命を与えて下さいますように。 贅沢な願いの許される、始まりの日の道行きである。