持ち上げるのは止めてくれ 叩きつぶすのも止めてくれ どうか私を正直に生かして下さい 彼は呟く 赤々と燃えるこころは 夏の暑さにも冬の寒さにも その温度を変えられることなく しかし誰にも認められず 生まれ持つ資質を あざ笑う人々 この世界の全ては 劣等感によって歪められる そんなに蔑みたければ 自分を鏡に映してみるがいい 君が蔑む彼が 輝きをなくしているならば 君が彼にねじ込んだ 劣等感のためだ しかし彼の大きな瞳は 毅然と澄んでいる 誰も彼を哀れまない 自由は与えられることはない ねじ曲がりそうなこころにむち打って 自らつかみ取らなければ 善人の沈黙は 万人の悪よりも 彼を追いつめていく 信頼を奪い去る 彼はこころを休めるために 再び前進するために 遠くの街に旅立っていく いつか戦うことを誓いながら 「みんなが壊すのだとしても 僕は作り出そう」 この閉じた世界の中で こころを荒げるのは容易い けれども熱情を昇華させたいと 彼は歩き出している 世界に散らばる温もりを 信じることを学び始めている 平和を求めるこころは 時として弱々しく過つ 平和とは争わないことではない 不条理な出来事の嵐の中で 正義と思いやりが 貫き通されることなのだ その凄まじい強さを 彼は確かめようとしている