目次に戻る 前のページに戻る 次のページに進む


「負けるもんか」


この冬の風は
時々人を追いつめる
どんなに痛みが
この生活感の中に
吹き積もっても
負けるもんか
絶対負けるもんか
君を愛している間は

ゆっくりと君が
気づかないようにして
この星域を包む空間になろう
生まれるよりも砕け散る
星々の数にだって
負けるもんか
絶対負けるもんか
君を愛しているから

秋よりも和やかに
千切れ飛ぶ雲をなぞる
電話が鳴らなくても
夢よりも忙しい暮らしにも
無遠慮な眼差しにさえも
負けるもんか
絶対負けるもんか
君を愛している間は

いつの時も笑っていよう
白髪の草原に腰を下ろして
見つめることに力を
抱きしめることに優しさを込めて
そんな毎日に襲い来る疲れに
負けるもんか
絶対負けるもんか
君を愛しているから

そして
君が遠くへ行って

思い出だけがひとりぼっちで
何かにすがりつきながら
君を失って今は
どうして涙が出るのかもわからず
崩れ落ちそうになりながら
それでも負けるもんか
絶対負けるもんか
君を愛していたんだから

目次に戻る 前のページに戻る 次のページに進む