地球を剥いていくと 大きな爪が見えてくる 平らな丸い爪 蚊に喰われたような プックリとした愛の溜まりに バッテンをつける爪は 鉛色の笑顔を尖らせ 純情規制違反を監視している 悪は僅かであっても 極まるものである しかし善を行おうとすれば 常に到達することなく 追い求め苦しむ 「ひとつの命を救うものが世界を救うことが出来る」 せめて目に映る命だけでも救いたいと 君の行為はなされているだろうか 今の君を救っている その悲劇的な無責任は 果たして君の愛する人を 救うことができるだろうか 旗の元に集う魂の群 その旗に刻まれたものが何物か 命を懸けて疑っているか 命あるものを救っているか ああ、ハーケン・クロイツを背負う君よ 君の信じる暴走も略奪も憎悪も差別も まず君の愛するものに施すがいい そのあとに残ったものが君だ 広大な丘の上の夕日に 君の旗が翻っている 数億の屍に根を下ろし育ちゆく 美しい深紅の花々が風に揺れるだろう