明日は午後から雨が降る 天気予報にニッコリと頷いた 君のあの日のマネをして ホッと胸をなで下ろした 何故だろう? 暗い時間には雨音がいい 僕の体から 一匹の羽虫が飛び立った それはAMAZING GRACE 晩秋の煙に響いてる弦の揺らめき 共鳴する夕日に照らされて いつしか空気に溶けた 強がりにも慣らされて 心の片隅にある君の言葉を 探すことも少なくなる でも、今夜だけは 明日のために眠るまでの ほんの数十分の間だけ さっきの電話の何気ないさざめきを 大切に繰り返し繰り返し思う 君はいったい 本当は何なのだろう 僕の見ていた君は 何番目の君なの? 全ての君を手にすることなど 望んではいけないけれど 人は涙も笑顔も 作り出せるけれど 僕の偽りはいつも 君のためでありたいと願う 現実と別れて飛んでいく あの羽虫のように ホントはいつでも 君の喜ぶものだけを 世界の全てにして 君の喜ぶ顔を見つめていたい それは嘘ではないけれど 現実の中でかき消されてしまう まるで愛が薄れてしまったかのように 君が遠ざかる 君の声が聞こえても 君の文字が見えても かりそめのふれあいを重ねる度に 君が遠ざかってしまうのは 毎日の中に塗り込められてしまうのは あり得ないものを求めているからだろうか いろんな人が見せてくれる 現実的な未来の姿をぼんやりと眺めて そうして何度も君の写真と見比べる 明日のために眠るまでの ほんの数十分の間だけ 夢にも見られないような夢が見たい 「 好きだから信じていたいけれど、 好きだから疑ってしまうみたい。」 口にしてから、ハッとした 「 そういう本音、好きよ。 ただ愛してるなんて言われるより、 そばにいる気がする。」 顔が見えないから、声が透き通っていた 思い浮かべた君の顔が、遠くを見ていた