越えにしは貴女と僕の太陽を交わし合うため ひとすじの道 自動車を掘り出すからに陽も隠れシャベルの腹に根雪ありけり 自動車も黙して歩む雪の夜の丸まった背に灯火冴え立つ 寒き夜に雪明かりのみ照らされて人の踏みたる道はありけり 白津波 走りながらの雪だるま 前進のみが生を継なげむ 大雪に人の情けは温かく借りたシャベルでタイヤ掘り出す 形なくただ歌うたい求むれば生は歌なり人は歌なり 人間性を感じさせるくらいの不便さが必要なのです ふるさとにうぐいすの風 妹は早や髪をとかして朝市に発つ 崎々を寄せ来る風は果てしなく僕の背中を追いかけている 生くるたび背負いにけりな豊かなる河の流れとならむがために 断ちてなお逢わるることの思われて五月ぐもりは心なりけり 風吹けば風車の如く君想う 巡りゆく瞼の君も旅立ちて四季夭折の部屋に一人