海・うみ・海 不思議な言葉 この世で最も低いところ そして最も深い存在 海に浮かぶものではなくて あの海の視点が欲しい 海もまた僕達と同じように この星にへばりついているだけ けれども海はこの星の個性である 僕らはこの星のどんな個性になるのだろう 海岸に寄せて 君の素足を洗う波 港に船を宿らせて大漁旗をなびかせる 生活を受け入れた海のおめかし 愛の囁きをちゃぷちゃぷと演出する 小気味よい桟橋の浮き沈み 彷徨えるオランダ人やクラーケン 諦めない人々の夢と希望の溜まり場 海の組成表に魚の項目がないのは 科学の非現実を証明している 親父の海 母なる海 海の出会い 海の別れ 海の雫 海のうねり それぞれの時間の中に それぞれの海がある 海は大きさも広さも知らず ただ見つめられている 何千年も 何万年も 土にも帰れないアスファルトの上の死より 巨大な恐怖を湛える海で死にたい そんな想いに関わりもなく 海は見つめられている