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「鉄骨を運ぶ」


初夏の太陽の下
鉄骨を運ぶ
肩が砕けそうになるけど
僕の前で鉄骨の片端を支えている
この見知らぬおっさんの
流れ落ちる汗があるから
僕は鉄骨を運び続ける
おっさんはさっき
ご飯に梅干しだけの弁当を
誰より旨そうに
ヤカンの水で流し込んでいた
そして今
軽やかな掛け声と
地面に食い込む足取りで
僕の前を歩く
僕の方が背が低いから
少しだけ重たいかも?
とにかく五月の太陽の下
流れ落ちる汗を見ながら
肩が砕けてしまう前に
あの日陰まで鉄骨を運ぼう

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