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「夜の無言に...」


ああ 静かに
今 流れる 夜の無言(しじま)
何の欲望もなく
何の哲学もなく
ただあなたの息づかいを聞きながら
寝ころんで
あなたのリズムに
僕の呼吸を同調させんとして
少し苦しく
時間をわずかに触れる感覚
ああ 確かに
今この時に出会いて
日常が産み落としていく
あなたとの小さなチクチクする
悲しみも
僕たちの現実を踏みしめて
豊潤な何ものかを創り出す
春 暑い 水曜日
動物園の夜
僕たちの胎内生活がある

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