上手な飲み方10則 



 1  笑いながら共に楽しく飲もう 
 2  自分のペースでゆっくりと 
 3  食べながら飲む習慣を 
 4  自分の適量にとどめよう 
 5  週に2日は休肝日を 
 6  人に酒の無理強いをしない 
 7  くすりと一緒に飲まない 
 8  強いアルコ−ル飲料は薄めて 
 9  遅くても夜12時で切り上げよう 
10  肝臓などの定期検査を 

(社団法人:アルコ−ル健康医学協会より)

一言:上手な飲み方10則は、アルコ−ル依存症になった方には該当しません。よくこんな事を言われるアルコ−ル依存症者の方がいます。「ウィスキーをビールのような薄いアルコ−ルにしたから大丈夫だ。」などですが、病気になった方にはこの原則は成り立ちません。
 このコーナーは、アルコ−ルと上手につき合いたいと思っている、普通の飲み方をしている方へのアドバイスです。アルコ−ルは、ゆっくりと味わいながらリラックスして、その雰囲気も楽しみたいものですね。































 笑いながら共に楽しく飲もう 


 人はストレス解消に、アルコ−ルを使うことが多い。会社の帰りに、同僚と赤提灯で上司の悪口などを言ってうさをはらすなど、巷でよく見られる光景である。最近では、女性も帰りに一杯飲んで帰るなどがファッション化していると報道されたりしている。
 適量のアルコ−ルでは、アルコ−ルによる一種の麻酔作用によって心身の緊張を緩和し、ストレス発散に役立つことは知られている。ちょっと理性の働きが弱められ、普段では言えないことでも言えたり、開放的な気分にさせてくれたりもする。
 しかし、アルコ−ルによるストレス解消も度が過ぎ、精神安定剤の目的に使用されるようになると、状況は一変してしまう。上司にちょっと嫌みを言われたりなどの対人関係場面での緊張を伴うと、すぐに大量のアルコ−ルを一人で飲むなどが簡単に生じてしまう。飲酒がストレス解消という効用から、いつのまにかアルコ−ル依存症への道を突っ走るという大変な事態に変わってしまう事になる。

 平成11年8月の読売新聞紙上、国民の7割がストレスを感じており、そのうちの6割が仕事上の悩みによるという世論調査結果であった。その解消法では、男性が「飲酒」(35%)とあげた者が多く、女性は「おしゃべり」(31%)であったが、それでも女性の「飲酒」は20%であり、男女共にアルコ−ルをストレス軽減に使う時代だとも言える。

 そんな時代だからこそ、安易にストレス解消をアルコ−ルだけに頼るのは危険である。アルコ−ルは、楽しく飲むのが一番と心得た方が良さそうである。




























 自分のペースでゆっくりと 


 アルコ−ルを飲むときには、自分のペースを守った方がどうしてよいのでしょうか。アルコ−ルは、消化器で吸収され血液中のアルコ−ル濃度が上昇します。この血液中のアルコ−ルが肝臓で分解され消失するまでには、人によって違いがあります。まず、消化器でアルコ−ルが吸収されるとき、食べ物を胃に入れているかそうでないかで吸収が異なります。体重の重い人とそうでない人では血液量が異なり、同じ量のアルコ−ルを吸収しても体重の重い人の方がアルコ−ル血中濃度が低くなります。さらに、アルコ−ルを分解する能力も人によって異なります。このように飲酒は、人のペースにあわせるのではなく、マイペースで飲む必要がある理由なのです。

 次に、一気にアルコ−ルを飲んだときはどうなるでしょうか。急性アルコ−ル中毒の原因になりますし、お酒の楽しみなんかは吹っ飛んでしまいます。今後、周りにそんな飲み方をする人がおられれば、それを止める事が社会的常識になってほしいものです。

 お酒の楽しみ方は、自分の適量を、自分のペースで、味わいながら楽しく飲むことではないでしょうか。




























 食べながら飲む習慣を 


 アルコ−ルを飲むときに、空酒よりも食べながら飲むという習慣の方が良いと言われています。それは、食べた食物が胃の粘膜に一種の防壁を作ってくれ、アルコ−ルかの胃粘膜が障害を受けるのを防ぎます。さらに、胃の中に食物があるとアルコ−ルの吸収が妨げられ、血液中のアルコ−ル濃度を一気に上昇させにくくします。

 その他に、物を食べながらということは、食べないで飲むのと比較して飲むペースがゆっくりとなり、飲酒量を減らします。また、食べ物が胃より吸収されると、飲酒欲求が減少し、飲み過ぎの予防にもなります。

 酒仙として有名な日本画家の横山大観は、物を食べずに飲んでいたと間違った情報が流布されていますが、実際に食事は三度三度きちんと取っておられたのです。ですから、90歳と長寿だったのでしょう。

 食べながら飲む習慣とともに、良質なタンパク質とビタミンをとるように心がけることが、酒を愛し楽しんだ横山大観のようになれるのではないでしょうか。




























 自分の適量にとどめよう 


 「適量の飲酒は、全死亡率を低下させ、健康に良い結果をもたらす。一方、過度の飲酒は大幅に死亡率を高める。」と、米国保健科学協議会のレポートからの報告があります。このような、報告は多数有り、虚血性心疾患の予防やストレス軽減にアルコ−ルは役立っているとも考えられています。

 では適量とはどのくらいの量を言うのでしょうか。アルコ−ル健康医学協会では、次のような目安を示しています。アルコ−ルに強い人の場合は、ビール(大瓶)では1〜2本、日本酒は1〜2合、ウィスキー(ダブル)1〜2杯としています。もちろん、アルコ−ルに弱い方がこの量を飲めば、過度の飲酒になりますのでご注意下さい。




























 週に2日は休肝日を 


 肝臓は本来はタフな臓器です。しかし、飲んだアルコ−ルは肝臓で90%が分解されますが、毎日飲み続けているといつもアルコ−ルの処理に肝臓が追われてしまい、ついにはその働きに問題が起こります。

 週に2回の休肝日を、なるべくなら2日続けて肝臓を休ませてあげると、元気な肝臓になってくれることでしょう。




























 人に酒の無理強いをしない 


 お酒に対して強い人と弱い人がいます。それは、アルコ−ルを分解する酵素の違いによります。この酵素の違いは、親からの遺伝によって生まれながら決まっています。すでにゲノム計画によって、その場所が特定されています。

 ですから、人にお酒を無理に勧めて相手の人が弱い人であれば、強い人のようにアルコ−ルが簡単に水と炭酸ガスに分解されず、二日酔いで苦しむことを強いることになります。それぞれが、それぞれの飲むペースを守って飲んでこそ、楽しいお酒になるのではないかと思います。




























 くすりと一緒に飲まない 


 アルコ−ルも薬の一種ですが、他の薬と同時に飲むことは、それだけ余計に肝臓に分解の負担をかけることになります。肝臓は、まずアルコ−ルの分解を優先しますので、薬の分解が遅れてしまいます。体は、どうもアルコ−ルによる長期間の酔いを避けたいのかもしれませんね。

 もう一つ、アルコ−ルと薬を一緒に飲むと、薬の種類によって吸収されやすくなります。つまり、薬が効きすぎる事態が発生することもあります。糖尿病の薬が効きすぎると、血糖値が下がりすぎて低血糖発作を起こすことも考えられます。

 大抵の薬は、アルコ−ルと同時に飲むことを避けるように言われています。特に、睡眠剤や精神安定剤、それに糖尿病の薬は注意を払っていただきたいものです。




























 強いアルコ−ル飲料は薄めて 


 強いアルコ−ル飲料、ウィスキーやプランデー、焼酎などの蒸留酒をストレートに飲むことは、食道や胃の粘膜を刺激し、障害を発生しやすくします。また、急激に酔いがまわりやすくなります。なるべく、胃腸に優しいミックスの飲み方がお薦めです。




























 遅くても夜12時で切り上げよう 


 シャルル=ペローの書いた童話の主人公「シンデレラ」のように、あなたは12時前までに飲むことを切り上げることが大切です。それ以後まで飲んでいるというのは、必要以上の飲酒をしている場合が多いですし、明日の仕事に響きます。楽しい酒で、朝はスッキリとした気分で迎えたいものです。




























 肝臓などの定期検査を 


 肝臓はとても丈夫な臓器です。それだから、酒の飲み過ぎで体の不調を感じて診察をした時、肝臓はすでにかなりのダメージを受け、肝硬変症のように元のような働きに戻ることができなくなっている場合もあります。定期的な検査は、酒飲みの常識にしたいものです。