事 実 証 明 書

1、はじめに

 本年12月3日の記者会見で、福井県監査委員事務局岡崎長俊局長は、本監査請求(4)に

かかる秋田県への監査委員事務局の出張がカラ出張であることを認めた。同月3日付県民

福井新聞の報道によれば、当初、この秋田出張についても、監査委員事務局幹部はカラ出

張であることを否定していたものであって、ようやく、12月3日の記者会見で公式にカ

ラ出張の事実を認めたものである。そして、翌4日、林田恒正総務部長は、すべての県職

員について平成6,7,8年度の出張旅費に不正支出がなかったかどうか調査することを明ら

かにした。

 ところで、言うまでもなく、県監査委員事務局は、他の部局の公金支出に不正違法がな

いかどうかを監査する部局である。それにもかかわらず、その当の監査委員事務局が旅費

の支出にあたってカラ出張をするというのは、言語道断というべきである。自らが違法不

正な行為をしている者が他の部局の違法不正を正すことができるはずがない。県民の県政

に対する信頼は、地に落ちたと言うべきである。その信頼を回復するためには、監査委員

事務局がまず自らの襟を正すことが不可欠である。本監査請求はそのための一助とすべく

行うものである。本監査請求への対応如何が、県監査委員が県民の信頼に耐えうるものか

どうかを示すバロメーターとなるのである。

2、監査請求(1)(2)の津市への出張については、三重県監査委員事務局では、福井県監査

委員事務局の訪問の事実はないとのことである。三重県に照会すれば、容易に明らかとな

る事実である。

 しかも、不思議なことに、請求(2)の事務局次長の出張旅費(平成6年10月20・21日)

については、旅行命令簿には記載があるが、支出負担行為伺兼支出命令決議書にはその記

載がない。そればかりか、復命書も作成されていない。

 事務局次長ともあろうものが、率先してこのような不正違法支出をするとは、信じられ

ないところである。

3、請求(3)の山口県への出張(平成7年1月19・20日)は、平成7年1月17日未明に発

生した阪神淡路大震災の直後である。そのことを慮ってか、平成7年1月11日に、一度

は新幹線による出張旅費で概算払いをした後、年度末である同年3月になって、1月23

日にバックデートさせて、飛行機による旅費で清算をしたと繕っている。この小賢しさは、

県民に対する「良い指導」になるであろう。これを、何と、事務局長が先頭を切って行っ

ているのであるから、呆れ果てるにも程がある。

 おまけに、復命書には、平成4年度、5年度(出張したのは平成7年1月である!)の

山口県監査委員の審査意見書の表紙のコピーをつけて、監査事務調査をしたという体裁を

繕っているのだから、驚きである。

 勿論、山口県監査委員事務局には、福井県監査委員事務局の訪問の事実を示す書類は残

っていない。

4、請求(4)の秋田県への出張(平成7年2月22〜24日)は、既に県が公式にカラ出張で

あることを認めている。

 この出張には、秋田県監査委員の平成4年度、5年度の審査意見書の表紙のコピーが添

付された、次長補佐、主任監査員の復命書が作成されているが、それが内容虚偽の文書で

あることも、記者会見で公式に認められているところである。過去の年度の監査委員意見

書の表紙のコピーなど、実際に出張に行こうが行くまいが入手できるものを添付して、そ

れで、県民の税金を使った「監査事務調査のための出張」をしたことの報告にすること自

体が不正の温床となっているのである。

5、請求(5)の愛媛県への出張(平成7年3月13〜15日)については、(6)(7)と同時期に

行われており、これが事実だとすると、監査委員事務局12名のうち、実に9名までもが

愛媛・茨城・宮崎に出張していたことになる。

しかも、残っている事務局のうち、事務局長高佐和弘と主事tは3月15、16日

にかけて敦賀に出張しており、主任監査員k、同T、同N、同K、

同Z及び同Sは3月16、17日にかけて小浜に出張している。そうすると、

3月15日には、監査委員事務局は、次長補佐池田庄治以外は全員出張していたことにな

るが、これでは県内の監査業務が一切できないことになるのであって、そのようなことは

あり得ない。

結局、請求(5)(6)(7)を含めてこの時期の出張はすべて、事務局長、次長を筆頭に、監

査委員事務局が組織的に行った、予算消化のためだけの違法なカラ出張である疑いが濃厚

である。

仮に、真実出張がなされていたとしても、監査委員事務局内に次長補佐しかいなくな

るような出張の組み方は明らかに県内の監査業務に支障を来すものであって、必要性のな

い不当な出張旅費の支出である。

また、請求(7)の宮崎出張については、3ヶ月も経たない平成6年12月20日から21

日にかけて、高佐事務局長、S主任監査員及びK主任監査員が監査事務調査のために

出張しているのであるから、必要性の全くなかった不当なものである。

6、請求 (8)の佐賀県への出張と請求(9)の北海道への出張も、同一の時期(平成7年3

月22〜24日)に行われており、合計6名が県外に出張していることになる。3月15日の

出張と含めると、この年度末の2週間の内全員が県外に出張しており、多い者は2度も県

外に出張していることになる。ここに至っては、組織ぐるみのカラ出張は疑いの余地を容

れないところである。

また、請求(8)の佐賀県への出張については、復命書には添付書類は何もなく(それで

も復命書本文には「その結果を別添のとおり復命します」と書かれている)、何をしたの

か全く分からない形式だけの復命書が作成されているだけである。しかも、この出張には

主事までもが同行しているが、主事は、単に上司の命を受け事務に従事するだけの職務し

か有しないものである(福井県監査委員事務局組織運営規程4条7項)から、通常、県外

の監査事務調査のために出張することはあり得ない。人数あわせのカラ出張であるとしか

考えられない。仮に実際に主事までもが出張しているのであれば、その必要性は乏しく、

不当な旅費支出であることは明らかである。

7、請求 (10)の香川県への出張と(11)の東京都への出張も同一時期(平成7年3月28日

〜30日)にかけて行われており、年度末のこの時期に出張がなされているとは信じられ

ない。ちなみに、(11)の復命書には、「その結果は別添のとおり復命します」とあるだけ

で、別添の資料はない。

しかも、3月28日から30日にかけては、池田次長補佐、I主任監査員及びD主

任監査員が小浜に出張している。結局、年度末のこの時期に、合計7名もの事務局が出張

で不在ということになるが、そのような状態で適正な監査業務が行えたとは到底思われな

いのである。いずれも、予算消化のためだけのカラ出張であろう。

8、以上見てきたとおり、監査委委員事務局のカラ出張は、それぞれの書面の上だけでは

不備はなく、巧妙に粉飾されている。今後行われる予定の県職員全員の旅費調査に当たっ

ては、旅行命令簿や出勤簿、復命書などの関係書類を調べ、庶務担当者から聞き取りを行

うというが、そのような方法では、旅費の不正違法支出は見抜けないことが、本監査請求

で明らかになった。全旅費について出張先に文書による確認を行い、また出張者本人から

出張の裏付け資料を提出させるべきである。それと同時に、不必要不合理な出張が行われ

ていないか、各課ごとのタテヨコの調査を行って、洗い出しを行うべきである。

9、なお、本監査請求は、いずれも支出の日から1年以上を経過しているものであるが、

出張先の裏付けがとれ、県が秋田出張のカラ出張であることを公式に認めるまでは、よも

や監査委員事務局がカラ出張を行っているとは想像だにしなかったものであり、正当な理

由があるものである。よもや、監査委員が請求期間徒過を理由として本請求を却下すると

は思わない。

監査委員の公正なる判断をお願いしたい。

                         平成9年12月18日

 福井市民オンブズマン準備会

   代表 湯 川 二 朗 

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