会務活動
福井から京都に移り変わったものの、未だに京都での新件はほとんど受けていない。私への依頼は、事件ではなく、弁護士会の委員就任だ。公害対策環境保全委員会のアシスタントに、司法改革推進委員会と法曹一元司法改革推進本部の委員を早速引き受けさせられた、いや、引き受けさせていただいた。それから、商工会議所主催の不況克服巡回法律相談に、消費者サラ金法律相談も受けた。
それから、公害環境委員会の関係で、その他に、京都北部の網野町の条例策定に関する弁護士会の意見書の起草や、近弁連(近畿弁護士会連合会)人権シンポのコーディネーターなるものも引き受けてしまった。
網野町の条例
網野町の条例というのは、こういうことだ。網野町は、京都北部丹後半島のほぼ先端にあり、鳴き砂の浜で有名な琴引浜という海岸がある。その名の通り、砂浜を歩くと、キュッキュッと砂が鳴くらしい。そのきれいな砂浜が、今、ゴミや犬の糞で危機に瀕しているらしい。そこで、網野町で、この琴引浜を中心とするきれいな海岸や自然環境を保全しようとして「網野町美しいふるさとづくり条例」を作ろうとしている。ついては、京都弁護士会に条例作成にあたっての意見を求めるというのだ。弁護士会では、公害環境委員会の中にプロジェクトチームを作って、対処することにした。その一員に入ってもらえないかということだった。
「条例づくり」と言えば、自治体職員の合同政策法務研究会(九州大学の木佐教授や千葉大学の鈴木教授らが自治体職員とともに自主的に作り上げてきた政策法務研究会の全国合同研究会。全部自費負担の手作り研究会だ。また、別の機会に詳しく紹介したい)でここ最近ずっと議論している問題だから、関心がある。喜んで引き受けることにした。
講師?
そうそう、「条例づくり」と言えば、大阪の山村弁護士の紹介で、日本経営協会が自治体職員の研修の講師を引き受けて欲しいと言ってきた。テーマは、地方分権時代を迎えての条例制定講座だ。これまで法律実務家として法律・条例解釈論を扱い、法律・条例がいかに市民の参加・使い勝手・救済を考えていないかを痛感してきた。こと条例に至っては、市民は単なるその名宛人・対象に過ぎず、市民の参加も救済も全くと言って良いほど考えられていない。だから、逆に、その市民の側から条例を作る側にもの申せないか、少なくともそんな利用者の側からの「条例づくり講座」ができればいいなと思う(但し、そんな講座に行政の側からの需要があるかどうかは別問題だが)。
近弁連人権シンポ
また、近弁連の人権シンポというのは、毎年、高裁管内の弁護士会でつくっている弁護士会連合会(ブロックと呼んでいる)で定期総会を開いているが、その機会に人権問題を取り上げたシンポジウムを開いている。福井にいたときも、中弁連(中部弁護士会連合会)のもんじゅ事故を素材とした原発に関する情報公開のシンポや刑事弁護のシンポの実行委員を引き受けたことがある。近弁連では、今年は、環境行政訴訟の問題等を取り上げるという。そのシンポジウムで、行政法の研究者や行政訴訟の当事者や代理人弁護士をパネリストとするディスカッションを行うので、そのコーディネーターを引き受けろというのだ。学者の先生方とのお付き合いもないわけではないから、私にできることであればと、つい安請け合いをしてしまった。
と言うわけで、京都に移ってきてからというもの、仕事(業務)もそっちのけで、委員会関係のこと(会務)ばかりをしている今日この頃であった。ちなみに、この日記を書いているのも、公法学会を傍聴しての帰りの新幹線の中である。
(2000/10/8記)