字義通りに定義するならば、その時点の音楽シーンで最も重く金属的な音を出す音楽ということになるのでしょうが、ヘヴィメタルにも歴史があり、そう簡単にはいきません。
ヘヴィメタルの基本的な形としては、ノイズの乗ったギター、音の壁を創り出すベースとドラム、力強いヴォーカルによってクラシックの音楽的手法を取り入れた劇的な展開をもつ楽曲を攻撃的に表現するものが一般的です。さらに総てのパートがユニゾンでクライマックスに向かって進んで行きます。
またハードロックとヘヴィメタルの関係ですが両者の音楽的な違いは無いといってもよいでしょう。あえていうなら、違いは音にしか存在しません。聴く人の持つ重さの感覚が両者を区別するのです。
ヘヴィメタルが音楽シーンに拡散、浸透していく間に様々な形態のものが生まれていき、多様化していきました。現在では次のような形態のヘヴィメタルがあります。
ヘヴィメタル
パワー(力強さ)、スピード(速さ)、メロディ、ヘヴィネス(重さ)の基本要素を持ちます。正統派、ピュアヘヴィメタルなどと呼ばれたりします。
以下のものはそれぞれの要素を推し進めたものです。
パワーメタル
スピードメタル
メロディアスな要素も取り込むとメロディックスピードメタルと呼ばれます。
メロディックメタル
特に北欧出身の透明感あるメロディを持つバンドを北欧メタルと呼びます。
ドゥームメタル
LAメタル
ヘヴィメタルの一般化に大きな影響を与えたアメリカ産のヘヴィメタルです。その音楽性はハードロックに近いものとなっており、キャッチーなメロディ、ヴィジュアルを重視したスタイル、パーティーロックなどの要素を持ちます。代表的なバンドに、BON JOVI、STRYPER、DOKKENなどがありました。
スラッシュメタル
ハードコア、パンクの要素を取り入れたヘヴィメタル。前出のLAメタルに対する反動から生まれたため非常に攻撃的です。スラッシュの語源は鞭打つ音から来ていると言われています。ギターはリフ中心でヴォーカルは吐き捨てるようにして唄うことが多く、ドラムはツーバスを使用します。メロディの要素は希薄。
デスメタル
スラッシュメタルをさらに推し進め、ヴォーカルに非人間的な咆哮スタイルをとりいれたもの。ドラムはマシンガンビートと呼ばれるツーバスを多用します。歌詞は死、破滅等ネガティブなものが多くみられます。
メロディックデスメタル
メロディという相入れないと思われた要素を導入したもの。正統派ヘヴィメタルに近づくものもあります。
ブラックメタル
デスメタルから派生した、呪術、悪魔主義的なスタンスを持つもの。北欧のバンドには、その主義を実践するものもおり、殺人事件にまで発展したこともあります。
ゴシックメタル
ドゥームメタル、メロディックデスメタルなどから派生したニューウェイブの要素も取り入れたもの。中世の建築様式のスタイルが語源。陰鬱さと哀感あふれるメロディアスなサウンド。女性ヴォーカル、ストリングス、SEなどを導入し、その世界を創り出します。
ジャーマンメタル
ドイツ出身のヘヴィメタルを指しますが、日本では分かりやすいメロディライン、唄いやすいコーラス、大仰な展開を見せるメロディックスピードメタルとしての代名詞になります。
プログレッシヴメタル
プログレッシヴロックをヘヴィメタルに取り入れて消化したもの。複雑な曲展開、テクニカルな演奏などの要素を持ちます。