初心者のためのヘヴィメタル
第二回 「オリジナルを聴く!」
ヘヴィメタルに興味をもって何かアルバムを買ってみようと思われた方は、 BURRN!誌などの音楽雑誌のレヴューを参考にされるのではないか、と思うのですが、そのレヴューに○○タイプとか、○○を彷彿とさせるとかいう言い回しがでてくることがあります。
これはそのアルバムを表現するときに、その作品の傾向に近い、もしくは方向性が似ているといったときに使われます。
そして、それに使われるバンド、もしくはアーティストはいずれもオリジナリティがあり、自分の世界を創り出しています。
そういうわけで、フォロワー(後に続くもの,後継者というような意味)を聴く前にオリジナルを聴くことが大切だと思うわけです。ヘヴィメタルの基礎知識といったところでしょうか。ここで紹介するのは最近のBURRN!誌でよく見かけるものです。参考にしてもらえれば良いと思います。
DREAM THEATER
ドリーム・シアター型- 最近よく見かけるプログレッシヴ・ロック系のサウンドを表現するときに使われます。具体的には、テクニカル、複雑な曲展開、ハイトーンヴォーカル、ヘヴィさなどを兼ね備えているバンドであることが多いです。
おすすめするのは彼らのセカンドアルバムの
IMAGES AND WORDS/DREAM THEATER
です。彼らのイメージをよく表わしたアルバムだと思います。
QUEENSRYCHE
クイーンズ・ライク(チ)型-
ハイトーンヴォーカル、テクニカル、ちょっとプログレッシヴなバンドに使われます。前者と異なるのは、あくまでもハードロック/ヘヴィメタルの範囲内であるということです。さらに正統派ヘヴィメタルであるということも重要です。ここで絶対に欠かせないのはハイトーンヴォーカルです。ヴォーカルだけが似ている場合は、このバンドのヴォーカリストであるジェフ・テイトのようだといわれます。
彼らの作品では3rdアルバムが最高傑作といわれていますが、ここでは
RAGE FOR ORDER/QUEENSRYCHE
を薦めておきます。セカンドアルバムですが、彼らの特徴は十分に出ていると思います。
BLACK SABBATH
ブラック・サバス型-
重いリフ、陰鬱な雰囲気、悪魔的な歌詞世界といった今で言うドゥーム・メタルの基本となる要素をもったサウンドを表現するときに使われます。とにかく、重く、暗いというのが絶対条件です。
BLACK SABBATH/BLACK SABBATH
世間一般ではセカンドアルバムの評価が高いのですが、ファーストアルバムの方が雰囲気を出しているように思えます。!!!WARNING!!!
ブラック・サバスは時代によって、その曲調が大きく変化しています。初期といえば前述のようなことを表わしていますが、ロニー・ジェイムズ・ディオやトニー・マーティンなどの名前が一緒に出てくるようであれば、それは様式美ヘヴィメタルをあらわしています。ご注意下さい。
IRON MAIDEN
アイアン・メイデン型-
正統派ヘヴィメタルを表わします。ツインリードギター、ドラマティックな曲展開などの要素が含まれます。アイアン・メイデンはベースサウンドが特徴的なため、ベースがこのタイプと表現されることもあります。
THE NUMBER OF THE BEAST/IRON MAIDEN
やはり、アイアン・メイデンといえば、ブルース・ディッキンソンのヴォーカルのイメージが強いと思われます。ヴォーカルが変わってのこのアルバムは楽曲もよく彼らの代表作といって良いと思います。
SLAYER
スレイヤー型-
スラッシュ・メタルといえば、このバンド。疾走するドラム、咆哮するヴォーカル、切れ味するどいギターリフなど今では少なくなってしまったタイプのサウンドをやっているバンドに使われます。
REIGN IN BLOOD/SLAYER
スラッシュ・メタルの要素をすべて叩き込んだアルバム。スレイヤーを代表する、スラッシュ・メタルを体現するアルバムといえるでしょう。
PANTERA
パンテラ型-
現代的なヘヴィネスを表わすときに用いられます。歪んだギターサウンド、ノイズのようなヴォーカル、アグレッシヴ、怒りに満ちた歌詞、ハードコアをミックスしたような曲調など。
VULGER DISPLAY OF POWER/PANTERA
パンテラを90年代のヘヴィネスの旗手にのしあげた、このアルバムが良いのではないでしょうか。
HELLOWEEN
ハロウィン型-
これは、このバンドというよりもいわゆる、ジャーマン・メタルというものを表わしていると思ってもらっても良いと思います。分かりやすく親しみやすいメロディ、スピードなどを持つサウンドに使われます。
KEEPER OF THE SEVEN KEYS I/HELLOWEEN
サードアルバムの方が評価は高いのですが、元ギタリストのカイ・ハンセンの色が強く出ているこのアルバムを薦めたいと思います。
YNGWIE MALMSTEEN
イングヴェイ・マルムスティーン型-
彼はヘヴィメタルでのクラッシックの導入を進めたギタリストです。クラッシック的なフレーズ(そのものズバリのことも)に曲展開、特にギターソロでその傾向が強く見られます。
RISING FORCE/YNGWIE MALMSTEEN
まあ、どのアルバムでも彼は弾きまくっているんですが、初期のアルバムの方がその傾向が強いということでこれにしました。
- さて、ここで重要なバンドがいないような気がします。
その存在がヘヴィメタルそのものであるために、あえて語られることのないバンド、それは、