名機にロックオン

R−TYPE
(1987 IREM)


● 傑作の横スクロールシューティングができたので取材に来てください
----という電話をアイレムからうけたのが86年の初夏頃。当時のアイレムといえばいまいちパッとしていなかったこともあり、正直取材に行く前はあまり期待していなかったのです。(「ハードの限界に挑戦しました」といって世に出したのが「怪傑やんちゃ丸」だったりした前科もあったし----(^^;))
----で、取材を開始したときに、私は同社に対して大きな偏見を持っていたのを自戒することになりました。理由は言わずもがな----です。独特の世界観と戦略性の高いゲームシステム、無敵の「フォース」という全く新しい攻撃方法----「これはいける」と確信したのでした。
取材から帰った後も3面の巨大戦艦(当時は1ステージすべてが巨大戦艦との戦いというゲーム自体ほとんどなかったし、2画面にも及ぶものなんて想像を絶していたのです)が頭からはなれなかったのを覚えています。当時初めてR-TYPEを見た(プレイした)人の多くは、やはりこんな衝撃をうけたんじゃあないでしょうか?


● 復活が熱い熱い!
敵の攻撃パターンを知っていないと太刀打ちできない(特に後半面)という性格のゲームでしたから、ミスした場合の復活パターンなんてのは、1周めの前半ぐらいならまだしも、2周めなんて「これしかないっ」というくらいパターンが限られてきます。有名なグラディウスの復活のケース同様、練り尽くされたパターンというものは美しく、一種の感動すら覚えるものです。稼ぎにも重要な7面後半の復活パターンなんかは「見ているほうが胃が痛くなるうっ!!」というくらいの弾の嵐の中を抜けていくのですが、まさに「この場所でしかよけれない」って感じのパターンにはまっていたりします。敵の出現サイクルが決まっていてなおかつ攻撃の激しいゲームってわりとこんな感じになるんですよね。


● ロケテストver.の固さ
さて、ご多分にもれずR-TYPEもロケテストなるものが巣鴨キャロットにて行われました。何分凄腕プレイヤーの集う店ですから、HTL-久保恵美子氏ことACU-EPS氏(バルトリックのコーナーでも述べましたが故人です)なんかはわずかなテスト期間中になんと最終面(1周め)まで到達してしまったのです。
最後のボスにフォースを打ち込み、ひたすら渦巻きをよけてショットショット----しかしボスはそのまま----「なんて固いやつなんだ----」結局渦巻きに追いつかれてしまいました。何回かこれを繰り返し、「じゃあスピードをあげて対処しよう」と最高速まで(^^;)スピードをあげて渦巻きをよけまくり----約10分(^^;;)もよけていたのにまだボスはそのまま----ボスが死なないこともすごいけど、ずっとよけていたテクニックと忍耐力のほうがすごいと思うのは私だけでしょうか?
結局開き直ってフォースを打ち込んだあとはショットを一切撃たずにいると、今度はOK----というオチでした。
実際に発売されたバージョンではショットを撃ってもOKだったのでEPS氏「簡単になったなぁ」と言ったとか言わないとか----!?


● ハイスコアの光を求めて----
全2周でENDかつ残機ボーナスなし----とくれば、例によってハイスコア狙いは「どこで稼ぐか」とか「なるべく敵を逃がさない」といった2点がポイントになってきます。結論として7面ボスが放り投げるゴミ(1万点!!)を撃って稼ぐのが一番高得点が狙える----ということで、ハイスコア狙いには奇しくも前述の最難関7面後半の復活が必須であるということにおちつきました。(このへんはアイレムが意図的に仕組んだことなのではないか??と私は思っていますが、実際のところはどうなんでしょうね?)
「敵を逃がさない」ことについては全ステージを通じて(というか2周めは必須)対空レーザーでいく----ということが基本でした。こうしないと2周めは敵の耐久力(2面のクラゲや3面の戦艦の波動砲の固さは涙ものです)が上がっており、破壊できなくなってしまうのです。対空レーザーは稼ぎのために必須でしたが、それ以前に「装備してないとクリアするのも大変」だったのです。


● 光あるところに影あり
悲しいかな、当時はハイスコアの影には必ずといっていいほどウソスコアが隠されていました。R-TYPEのように物理的な限界(敵の総数以上の点数なんて稼げませんから)が見えるゲームでは、「どのように稼いだか」というハイスコアに至る過程を確認すれば、それがウソかどうかは比較的簡単にわかってしまいます。このゲームの場合は特に限界付近のスコアを出せるプレイヤー達はほぼ同一のパターンとなり、敵を1機逃すことすら命取り(!?)につながるものですから、それと大きくはなれたプレイ方法でハイスコアを達成することなんて実際問題としてありえなかったのです。パターンがわかっていれば誰でもできるってものではなかったですから、ハイスコアラー達はあえて自分のパターンを隠すなんてことはありません(これは当時のどのパターンゲームにも言えたことですが)でしたし、それができるってこと自体が一種のスティタスだったような気がします。
----そんな中で編集部にハイスコアの申請とともに届いた1通の手紙。スコア的には確かに全国トップですが、その手紙の中身がひどかった!!。「こうやってこのスコアを出しました」と自分の2周めのパターンを細かく解説しているのですが、全般的に反射レーザーで進むパターン(対空レーザーが必須なのは前述のとおり)である上に、各ステージでの稼ぎが非常に甘いのです。雉も鳴かずば撃たれまい----「これでこんなスコア絶対出るわけない」というのが編集部の総意でした。
----ところが----なぜか校正段階でのチェックをすりぬけてしまい、全国トップとしてゲーメスト誌面に出てしまってたりして----これはおはずかしい----m(_ _)m----


● R-TYPE攻略ビデオあれこれ
石井ぜんじ氏の監修&プレイのR-TYPE攻略ビデオが発売されていたのは皆さんご存知でしょうか?2周めのノーミスパターンと復活パターンを収録した極めて完成度の高いビデオなんです。しかし、結構危ういシーンが多かったため、「ノーデスモード(弾が当ってもミスにならないモード)を使っているんじゃないの??と思っておいでの方も少なからずいたようです。これ、結論から言うとノーデスは使っていません。R-TYPEの当り判定はかなり小さいため、少し弾がかすったくらいではミスにならないのです。しかも、ノーデスモードだと弾が当った(=やられた)ときに自機が光るため、よく見ればやられていないことがわかると思います。(とは言ってもプレイしていたぜんじさん本人が「なんで死ななかったのかわからない」と言ってたりする)
----さて、このビデオの発売を一番喜んだのは誰だったのでしょう!?----プレイヤー?----という本命は置いといて----実は家庭用ゲーム機の攻略雑誌だったんです。(本当)
当時PC-EngineにR-TYPEが移植され、各雑誌がこぞって紹介&攻略を試みたのですが、いかんせん難易度の高いR-TYPEですから、一筋縄ではいきません。そこにこのビデオが発売と相成ったわけですから、まさに「渡りに船」。各誌ともどもビデオがすりきれるまで(^^;)見て攻略記事を書いたと書かなかったとか----。この手の攻略記事って各誌のオリジナリティがある程度は出るのですが、何故かほとんどの雑誌が同じ中身!!----ビデオの画面をそのまま撮影したような写真もでてたりして、苦笑したものです。もっとも、ビデオの出来自体を絶賛している雑誌とかもあったはずだから、それはそれでいいんですけどね。



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