名機にロックオン


源平討魔伝


(1986 ナムコ)


さてさて、プレイステーションでも発売されたとあって、やたらとリクエストの多かった源平討魔伝の登場です。発売から20年。いまだにぷれいやの心をつかんで離さない源平の世界をみてみましょう。

● 滅びし平家のうらみ、忘れたわけではあるまいな----

1192年、闇は来たれり。
闇の源を頼朝といふ。頼朝、あまたの魔族を率いて地を征す。対せし平家の者ことごとく討たれ、壇ノ浦に沈みたり。
天帝、世の乱れを大いに憂い、三途の渡守安駄婆に命じて、平家の亡者よりひとりの豪の者を選ぶ。
その名を景清といふ。
景清、ぷれいやなる異世界の者の布施により、地獄よりよみがえりたり。
安駄婆はいふ。
諸悪の王、頼朝を倒すには、曲玉、剣、鏡の三種の神器のほかに、正しい心が必要じゃ。ひたすら信心を忘れなさるな。よいな、信心じゃぞ----。

当時のナムコにしてはめずらしい純和風のゲーム源平討魔伝。景清というキャラクターの出所は人形浄瑠璃の「出世景清」がベースらしいのですが、そのストーリーの重厚さとエンディングにみられるせつなさ(まさに諸行無常)、独特のキャラクターの魅力、そしてもちろんゲーム自体のおもしろさはいまだに80年代ゲーマーの心をつかんで放しません。前述のとおりプレイステーションに移植されたようですから、一度は源平討魔伝の世界にひたってみてはいかがでしょう。

● 3モードのゲーム構成が新しかった

源平討魔伝は当時にしては珍しく、ステージによってゲームのモード(フィールドビュー)が変化する、というシステムをとっていました。各ステージの鳥居をくぐればステージクリア。
BIGモード----景清が大きくなる横スクロール面。義経や弁慶、琵琶法師といった大型敵キャラが出現します。それぞれのキャラのセリフが秀逸!!
横モード----横スクロールで、ジャンプのタイミングや高さ・距離の調整が重要ポイントとなる面。落とし穴とか要石がライバル!!
平面モード----斜め上から見下ろした面。アイテムが非常に多いが、迷路になっているのでタイムアップに注意。といっても永久パターン防止キャラの鷹(簡単に倒すことができる)が出てくるだけだけど----。あ----鷹は他のモードのときでも出てくるので、念のため。平面モードでは鬼姫の「ぎょえー」という声に混じって「ああーん----」と色っぽい声が流れ、ちょっとはずかしい(笑)。

● 3種の神器は超重要

3つそろえないと頼朝を倒せません。それぞれ特殊効果があります。

八尺瓊の勾玉----毒きのこの毒を退けます。(後半は山のように毒きのこがでてくる)
八咫の鏡----稲妻にうたれてもダメージをうけなくなります。
草薙の剣----通常、剣のパワーは使えば使うほど(特に固いものを切ったとき)落ちていくのですが、これをとればもう安心。何を切ってもパワーダウンしません。

● 愛すべき(?)キャラクターの数々

源平討魔伝の魅力はそのゲーム自体の難易度や世界観もさることながら、その個性的なキャラクターの数々にあるのではないでしょうか。景清、弁慶、義経、琵琶法師----まだまだ巨大キャラが画面を動き回るのは珍しかった時代にこんな特徴のあるキャラが満載です。
大型キャラだけではありません。ぷれいやの皆さんは要石の形や動きまで脳裏にやきついているのではないでしょうか?

● 源平討魔伝の音声

基盤を持っている方は(私は持っていない)一度はテストモードで聞いてみるといいのですが、源平討魔伝のセリフは結構こまぎれに収録(という表現が正しいのかどうか----)されています。データのサイズか何かの関係でしょうか。例えば「必殺!旋風剣!いやー!!」の声にしても「必殺」と「旋風剣」と「いやー」の3パートに分かれて入っています。テストモードで「いやー!」だけを連続で聞いているとなんだか頭がおかしくなりそうで笑えます。そういえば、SNKのサイコソルジャーっていうゲームもこんな感じでデータはいっていたはずです。(「サイコソルジャー」という歌詞の部分をなんと「サイコ」「ソル」「ジャー」の3部分にわけているという----)

●旧バージョンとニューバージョンそしてもう一つ----

源平討魔伝には2つのバージョンがありました。ニューバージョンのほうは黄泉の国に落ちると剣のパワーがダウンしてしまうのですが、旧バージョンではそのままでした。そのため、ゲームを有利に進行させるため、わざと黄泉の国に落ちるぷれいやが続出でした。
ロケテストがあったかどうかは別として、さらに存在したのが、超オフレコの「××様用バージョン」!!!!ゲーム開発者(ここではいわゆる源平プロ)が××様に「こんなゲームを作りました。いかがでしょう」とプレゼンテーションするわけですが、発売OKのゴーサインをもらうために相当難易度を下げたものを作っていたということです。

● 神様は死んだ----

無事頼朝を倒し、エンディングにたどり着いたぷれいやは、花びらと散る景清の姿に涙したことでしょう。景清は討伐のためだけにかりそめの命を与えられ、そして天に返っていきました。諸行無常を痛感する瞬間です。
そして、冒頭のFLASHにて紹介しているエンディングメッセージにも実は源平プロの切実な思いがかくされていました。

この深谷氏という方は当時のナムコ開発スタッフの多大な信望を集めるほどのすばらしい人だったそうです。それがなんらかの理由で急逝されてしまい、その追悼の思いをこのエンディングメッセージに託した----と聞いています。源平討魔伝以前のいわゆる「ナムコ黄金時代」を支えたのが深谷氏だったとか----。そのへんのことを頭に入れてエンディングを見ていると、感ずるところが多いはずです。
(追記:後に遠藤氏がネット上にて深谷氏にかかるこのへんの逸話を公開しておられます)
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