(THE TOWER OF DRUAGA − ドルアーガの塔)
BY NAMCO (1984)
アーケードゲーム初のRPG(?)ゲームの前に100円玉の塔
ゲームの目的は、主人公の「ギル」が悪の化身「ドルアーガ」に捕らわれた「カイ」を助け出す、というものです。カイを助け出すためにはドルアーガの作り出した悪魔の塔「ドルアーガの塔」を60階まで登っていかなければなりません。
全60階をクリアしてカイを助け出すためには、数々のアイテムの力が必要です。これらのアイテムは「トレジャーボックス(宝箱)」として各フロアに1個ずつ(2個のフロアもあり)隠されており、それぞれ一定の条件のもとに出現するようになっています。この宝箱の出し方が実に複雑なものもあり、当時のゲーマーたちは出現条件を調べるために「ドルアーガの塔」ならぬ「100円玉の塔」をゲーム機の上に積み重ねていたものでした。一時は「ゲーム基盤を買ってしまったほうが早い」とか「筐体=貯金箱」とまでいわれていました。
ドルアーガが広げたゲーマーの輪(表現がちと古いかな!?)
そんなふうに、ドルアーガを攻略するためには結構お金がかかったものでした。そこでゲーマーたちがとった作戦は「共同研究」でした。いつのまにか知らない者同士が情報交換等で話し合うようになり、それが講じてゲームサークルに発展したというケースも多くありました。数々の攻略本等の同人誌もこの時期に多数出現しています。反面、「自分達で調べた宝物の出し方を、他人に知られたくない」という理由で「情報を隠すことが美徳」という陰にこもった思考がマニアの間で横行しはじめたのもこの頃でした。
アイテムに関するさまざまなエピソード
多数あるアイテムの中には、絶対必要なものから全く役に立たないものまでいろいろあります。何分、全くの新分野のゲームでしたから、アイテムに関してはいろんなエピソードがありました。以下にすこし紹介します。
こんなゲームだと思っていた AND バグッた
19面の宝「ブックオブライト」をとらないと、20面以降の迷路が真っ暗になってしまいます。それを知らなかったゲーマーは「バグッた!!」とかさわいだり、はなからあきらめて「こんなゲームなんだろう」と妙に悟ったりしていたものです。
剣が出ない!!
26面の宝「ハイパーガントレット」は剣を振り出すスピードが大幅にアップするアイテムです。しかし、その前に24面の「バランス(天秤)」を取っていないと、剣が出せなくなってしまいます。最弱の敵スライム(一説には後半においては最強の敵ともいわれているけど)さえも倒せず右往左往するギルは涙を誘います。
ゲームを叩いたらアイテムが出た!?
31面の宝「パール」は「1Pスタートボタンを押す」という極悪(!?)な出し方でした。もちろん通常にプレイしていても出現しませんから、おこったゲーマーはゲーム機を叩いたりしたものです。そのとき偶然に1Pスタートボタンを押したため、アイテムが出てしまった--というケースがよくありました。おかげで一部では「31面の宝はゲーム機を叩いたら出る」と信じられていたという、うそのようなホントの話。
自虐行為も腕自慢
40面の宝「ポーションオブデス」を取ってしまうと、タイムの減りかたが異常に速くなります。ですから、通常はアイテムを取らずに進んでいくのですが、そこは腕自慢をしたいゲーマーの悲しい性。41面の宝「ポーションオブキュア」をとれば回復するため、わざと40面のアイテムを取り、速攻で41面のアイテムを取る--という芸当に走るプレイヤーが続出しました。41面といえば、強敵ウイザード(迷路の壁を貫通する呪文を使う)が4人もいるフロアでしたから、そんな中で「タイムアップの前にクオックス(ドラゴン)を倒し、アイテムを取る」のは結構難易度が高いのでした。
永遠の謎25面と55面の宝箱
結局、全ての宝箱の秘密がわかったわけですが、25面と55面の宝箱については謎につつまれていました。結論から言うと、この2つの面には宝箱の出し方のデータが存在していないとのことでした。一部では「アーマーが出る」とか「バランスが出る」とかいうウワサが流れたようです。
では、なぜこの2面だけ宝箱が出ないようになっていたのでしょう?一説には「25という数字はドルアーガの開発コードナンバーであり、あえて欠番とされた」「55面は56面(宝箱は出現するが空箱)と関連した宝箱が出るはずだった」という話もありました。しかし、真偽のほどは明らかではありません。
苦労して助け出したカイは----
さてさて、数々の試練を乗り越え、60階までやってきてお目にかかったカイといえば----
ゲームのポスターではかわいい女の子だったんですけどね----
この点は不評だったのか(?)、次回作の「イシターの復活」(また後日紹介します)ではそれなりにかわいく描かれています。