名機にロックオン
妖怪道中記
(1987 ナムコ)
★ いたずらもののたろすけは天界に上れるか?
いたずらもののたろすけはいつも村中の人々をこまらせていました。あまりのいたずらぶりに神様はたろすけにおきゅうをすえようと、眠っているうちに地獄の
入り口まで運んできてしまいました。「エンマさまの裁きをうけるがよい」----さあ大変、たろすけは生きながらにして地獄を旅することになってしまいま
した。どうやら行い次第で行き先が違うようです。天界、人間界、畜生界、餓鬼界、地獄界----はたしてたろすけは無罪放免となり天界に上ることができる
のでしょうか----しかし、勝手に命奪われてりゃ天界にあがろうがあまりむくわれてない気もしないでもない???
たろすけを操作し、地獄の入り口、苦行の道、幽海、裁きの谷、輪廻界の5世界をクリアしていくゲームです。輪廻界での行いによってエンディングが変わる
「マルチエンディング(といっても前述の5種類)ゲーム」となっています。皆さんは全てのエンディングを見ましたか!?
ここでは主に究極の「1コイン天界」について語っていきたいと思います。
★ 3種の神器なんて集めない!? 必殺の「おたやん渡り」
最後の裁きをうける輪廻界にすすむためには、通常は3種の神器を集め、三途の川の婆に見せなければいけません。しかし、この婆は1キャラクタとして処理さ
れているため、「首付き」という人面妖怪の上に乗って飛び越えることができました。このテクニックにより1コインクリアの可能性が飛躍的に向上したのでし
た。
で、このテクはゲーメスト編集部周辺では「おたやん渡り」と呼ばれていました。テクニックにわたしのネームがついていますが、別に私が考え出したわけでは
ありません。ただ単に「首付きの顔が私に似ていたから」というそれだけの理由です(しくしく
----)。パターンがうまくいかなくて首付きがいうことを聞かないときは「がんばれ、おたやん」と
か「ふざけんな、おたやん」とか罵声がとびかっており、なんか変な気がしました----。
★ 1コイン天界への道は遠く----永遠のライバル地獄火
発売当時、このゲームにおいて「1コイン天界」を達成するのは不可能であるとまでいわれていました。天界へ上るには「最後の輪廻界において敵を倒さず、か
つ置いてあるお金も一切とらない」という条件が必須でした(たとえ敵に押されてお金をとってしまったとしても条件違反)が、1コインで進んでいくと永久パ
ターン防止キャラの地獄火がたくさん出現するため、それらをかわしながら条件をクリアするのは至難の技だったのです。
地獄火はゲームスタート後一定の時間が経過すると出現する(意地の悪いことに3匹同時に出現するときもある)ようになっていて、どこで地獄火を出すかも大
きなポイントとなっていました。長い縦スクロールを利用したり、各種メッセージが出ている間に出現タイミングをあわせたりして消してしまうことも可能だっ
たため、どんどんパターン化されていきました。そして1コイン天界を達成するパターンが確立されたとき----実に「天界達成の瞬間はスタートボタンを押してから約14分15秒後」と秒単位で決まっていた(たぶん10
秒内の誤差)のでした。それだけに洗練された天界パターンは一種の美しさすら感じられます。
★ 熊本のゲーマーとの長電話
都内で1コイン天界が達成されてまもなく、熊本の某ゲームセンターから「常連数名が1コイン天界を達成した」というしらせが届きました。当時都内でも数名
しか達成していなかった1コイン天界ですから、どんなパターンなのか興味があります。編集部でもっともやりこんでいたGOD鈴木氏がそのゲームセンターに
電話をかけ、天界達成者と話し始めました。----「うんうん、その後首付がでてきて----」「ここの縦
スクロールで地獄火を消して----」「あー、そうですよねー」----実に楽しそうに会話をしています。延々1時間超----で、出てきた結論が「お互いほぼ同一のパターンである」ということでした。この時
に聞いた「血の池の最後の雲のパターン」(雲を上って上へいくのだけれど、なかなかタイミングがあわない)はまさに「目からウロコ」でした。彼らのあみだ
したパターン「血の池にはいったら一度もジャンプせずに一番奥までいき、雲が上がりきった瞬間にジャンプす
るとタイミングがぴったりとあう」により、1コイン天界の確率が大きく向上したたのです。
ちょいと自己PRになってしまいますが、このホームページは「タウン情報くまもと」にて紹介されるそうで、もしかしたらあのときの彼らも見ているのかもし
れません!?
★ 地離れても技は一つ
熊本のゲーマー達とのコミュニケーションによって痛感したのが「地離れても技は一つ」という
言葉。もともとこの言葉は、博多の某グラディウススーパープレイヤーが、遠方に引っ越してしまった友人(こちらも有名グラディウススーパープレイヤー)に
あてた年賀状に書いたものだという話ですが、「たとえ物理的な距離がはなれていようとも、究極を追求していくと同一のテクニックに収束していく」という思
想が現れています。特に妖怪道中記やグラデイウスの復活パターンように「自由度が高いように見えて、実は制限が多い」というゲームにおいてはこれがあては
まってくるといえるのではないでしょうか。
★ 究極のテクニック「三種の神器あり天界」
時間調整(キャラクター調整)によるパターン調整が完璧に決まったときは、天界達成時の時間は秒単位で決まっていたのは前述のとおりですが、このパターン
では、一部時間調整のため「待ち時間」が若干存在します。究極のプレイヤー達は「待つぐらいなら三種の神器
を集める」という発想に至りました。言葉でいうには簡単ですが、これまた究極に至難の技。ただでさえ時間の余裕がないところを遠回り(これ
が本来の開発者の意図のはずではありますが)していくわけですから、最後は地獄火とたわむれながらのプレイになってしまうことも請け合いです。成功したと
ころは私も1回しか確認していません(現ゲーメスト編集長の石井ぜんじ氏)。
あのときのぜんじさんの顔といったら----クールをよそおっているものの、うれしくてならないという雰囲気が誰がみたって感じ取れました。名うての名プ
レイヤーもうれしさを隠せない----そんな重みが1コイン三種の神器クリアにはありました。
★ こんなテクニックもありました----
題して「コンコン技」!!
レバーをコンコン小刻みに入れながら走ると、普通より速く走れたのでした。これを利用しして、前述のパターンより1分以上速いタイムで1コイン天界を達成
したプレイヤーもいました。ゲーマーおそるべし!!