迷いからの脱却
<根本に流れるコンセプトの確認>

最近オールドゲームを紹介するページが増えてきている。内容的には「濃い」ものが多く、画面写真まで掲載するものもある。
別に「紹介」ページを非難するつもりは毛頭ないし、写真のあるページに妬いているわけでもないのだが、そのようなページを見ていても、何かものたりなさを感じるのだ。これは私だけなのだろうか?
自分も一時「データベース的な紹介」を考えて、このページ上でもそういった方向で何機種か「紹介」してみたが、どうも作っていて楽しくないのだ。「単なる紹介記事的なページ」を作ってページを更新しても、反響のメールにおいては「懐かしい」という声はあっても「楽しい・面白い」という声はいまいち少なかったりする。(「当時を思い出す」とかいった声も少ない)
事実、「楽しかった」という声が多いのは「ゲーム自体の紹介は少ないが、当時のプレイヤーの様子や業界の裏話をふんだんに盛り込んだエッセイ的なページ」のほうだ。
私個人としては、「懐かしい」と言ってもらうのもうれしいけれど「楽しい」といってもらうほうが何倍もうれしい。


正直に言うと、ハイペースでロックオンのコーナーの機種を増加させるためには、どうしても単なる紹介だけに終始せざるをえない。そのほうが簡単だからだ。極端な話、表現も装飾も何ももりこまず、事実を列挙するだけでもできてしまう。しかし、私はそういった疑似マニュアルをつくるつもりなぞない。どちらかといえばストーリーテラーに徹したいのだ。
基板がのこっていれば(実はこれが結構難点であったりする)ゲームの内容の解説は、いわば100年後でも、発売当時にプレイしたことない人でも、もちろん自分でなくてもできるのだ。(特殊なテクニック等は別途残すべき情報の部類に入ると思う→一概に攻略情報については私が否定しない理由)
「アーケードゲームはゲームセンターでプレイするからこそアーケードゲームたりうる」と自分は考えているから、基板を集めようというつもりはないし、仮に集めるとしても今は資金的(笑)にも時間的にも余裕がない。データベース的にゲームを紹介し、後世に残すのは他の方のほうが向いていると思う。これも一種の役割分担(?)だろうか。


幸いなことに、実によい時代に雑誌編集に携わったおかげで、投稿により色々なプレイヤー生の声を聞いた。全国の様々なプレイヤー達と出会い、コミュニケーションをとることもできた。
当時、編集部に届いた手紙や葉書はアンケート葉書も含めて(引退後5年以上経過してからゲーメスト大賞授賞式に出席し、ある読者に「あなた私が編集部にいた頃プレゼントか何かに当選したことあったでしょ?」と言って図星だったこともある)全て目を通した。印象のある読者については、結構投稿内容を覚えていたりもする。
ロックオンの機種において85年〜88年が多いのは、この編集部時代の経験に起因している。
「個人の体験談や当時の雰囲気」というのは記録・伝達しないと共有できないものだ。基板を集めてもプレイヤーの心意気まではそれには「記録」できない。(SDIみたいにスコアが残っているなんてのもあるが。)


そう、私は自分の青春時代を記録したいのだ。しかも、できるだけひとりよがりでない形で。
限りなく内輪ネタなのに楽しい、しかも自分にしか作れない----そんなページを作りたい。
熱かった時代が、プレイヤーの息づかいが感じ取れるページ----そんなページを作りたい。
そのゲームの内容を知らなくても、見たことがなくても、究極的にはゲームをさわったことがない人が読んでも楽しめる----そんなページを作りたい。
最近ようやく「ゲームのことはよくわからないけれど、楽しかった」というメールももらえるようになってきた。
私の役割(笑)はゲームを残すことではなく、プレイヤーの心を残すことだと(勝手に)確信しているのだが、どうだろうか?


だから、私のページは限りなく「ゲーマー列伝」になってしまう。WEBを閲覧したとき、自分一人でテーブルに向かっている姿よりも、多人数でワイワイいっている姿やゲームセンターの全体図が思い浮かぶ----そんなページをめざしているのだ。データベースであれば結構雑誌とか同人誌とか出ている。しかし、自分の本当に作りたいものはそうではない、ということに気づいたのはつい最近のことだ。
マイナーな機種を取り扱うのも確かに一興。しかし、マイナーすぎる機種では逸話が少なすぎて私の望むところは達成できことが多い。確かに、べんべろべえ(笑)とかも紹介したいとは思うが----。

ゲームを通じたコミュニケーション。それがこのページの神髄であり、使命だと考えているのだけれど、どうだろうか?
もっと当時のプレイヤーの生の声を聴きたい!これは投稿コーナー担当経験者の性なのだろう。いまだにひきずっているし----

正直、このページの運営方針について一時期迷っていたのだがふっきれた気がする。
ネタがつきるまで走ろう。たとえ倒れても誰かがかならず引き継いでくれると信じて。

平成9年9月----1周年の日に思いつくままに列挙
「メジャーなゲームばかりでいまいちです」というメールに触発されたのかもしれない----

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