薬効
『はくしゅっ』
 それはダナティアの1つのくしゃみから始まった。
「あれぇ? 殿下、だれかにうわさされたのかなぁ?
 でも、よかったよね。1回ならいいうわさだよっ!」
「マリア、噂より先に風邪の可能性も考えましょうね。
 熱はなさそうに見えますが…サラ、一応薬の準備をしておいて下さい」
 しかし、エイザードがそう言った矢先に、
「薬なら…ここに」
と、どこからか液体の入ったビーカーを取り出す。
「エイザード…サラをあおるのはよしてちょうだい」
 脱力したように言うダナティア。
「サラも! あたくしはそんなあやしげな薬は飲まなくってよ!」
「でも殿下…風邪は甘く見たら大変だよ」
 おずおずと言うファリス。あやしげな薬という部分に触れないということは、ファリスも否定しきれないのだろう。
「殿下、風邪は肺炎を引き起こす。早期回復が一番だ。
 もちろん殿下が病人になったら、私の愛で看病するから大丈夫だが…」
 何がどう大丈夫なのか…
 その部分にひっかかりながらも、返答が怖く、皆聞けないで沈黙する。
「わかったわ! 飲めばいいんでしょう!」
 サラの手からビーカーをひったくり、それを一気に飲み干す。

 そしてダナティアは…次の日、見事に風邪を引いた。


「これはどういうことかしら!? サラ・バーリン!!」
 見舞いにきたサラを見て、がばりと起きあがり、開口一番にそれを言うダナティア。
「いきなり怒鳴り声とは…つれないな。殿下」
 何がどうつれないのか…
 そしてダナティアの額に触れたり、脈をはかったりする。
「風邪だな。殿下」
 一言告げる。
「そんなことはこの症状でわかっていてよ!
 そ・れ・よ・り・も!! なぜ薬を飲んだのに風邪を引くのかしら?」
「どうやら、体の機能と一緒に、風邪のウイルスも活性化させてしまったらしい。
 まだまだ改良の余地がありそうだな…」
 なにやら、紙にいろいろなことを書き足すサラ。
「それはつまり、あたくしを実験台にしたということかしら?」
 怒気をはらんだ声で聞き返すダナティア。
「実験台とは失礼な。先の成功のための立派な被験者と言ってもらえないだろうか?」
「同じじゃないの!」
 さらに怒るダナティア。
「風邪を引いている時に興奮はよくない。
 ほら、体が熱くなってきているだろう?」
 あくまでも冷静に言うサラ。
「誰のせいだと思っているのよ!」
 とはいいつつ、確かに体が熱い。しかし、この熱さはどこか異常な気が…
「薬に何を混ぜたのかしら? サラ・バーリン!!」
 しかし、
「さあ?」
などととぼけるサラ。
「安心していい、殿下。全快するまで私が愛をもって看病しよう」
 ……それが安心できないというのに……
「治る頃には全てを忘れている。
 全て私に身を任せて欲しい」
 そう言ってダナティアを押し倒す。
――そこでダナティアの意識はブラック・アウトした――

 ダナティアが何をされたのか、本当に全て忘れているのかは不明だが…――
 それ以来、ダナティアがサラを前にもましてさけるようになったということだけ、付記しておく――

 薬を使うのは誰のリクエストでしたでしょうか?(爆)
 というわけで、リクエスト通り薬の使用でした(笑)
 でも相変わらずギャグ(笑)
 あ、サラは殿下には看病しただけです。妖しげなことは一切してません。殿下の方もその記憶はありません。
 じゃあ、なぜさけているのかというと、殿下の直感というか、何か嫌なことをされたような気がしているためです。
 おそらくは薬の実験台でしょう。
 その部分のサラのセリフもいろいろ考えたんです。「愛による下心つきの」と付け足すとか、「尊い犠牲」とか…(笑) どちらにしろ殿下は怒りますが…(笑)
 俺がサラ×殿下を書くと、サラは鉄面皮で殿下は悲惨なめにあってしまいます(爆) でも、そこにサラの愛はあります(笑) 殿下はないけど(^_^;)
 あ、体と一緒にウイルスも活性化ってのは、スレイヤーズのリカバリィのをあてはめたものです。薬で悪化の方が先に思いついてました(笑) ちなみに薬が完成したかも不明。ダナティアの犠牲は一体…(^_^;)
 さて、あと1つのリクエストはBサラ×殿下。おそらく…とても難しいです。
 書けるのか?! 自分!!
  (裏)